説明

電子血圧計

【課題】特別なセンサを設けることなくカフの収納状態を検出すること。
【解決手段】カフを収納するカフ収納部を備えた筐体110と、筐体110が備える蓋部材102に設けられ入力操作を受け付ける操作部、操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に報知動作をおこなう報知部と、を備えた電子血圧計100を構成した。たとえば、カフの収納状態などにより操作部に対して入力操作がおこなわれている場合は、副液晶表示部104を点滅させるようにした。これにより、当該入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内し、カフの収納状態を報知し、カフの収納状態の改善を促すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
上腕などの被測定体の動脈を圧迫するカフ、各種の入力操作を受け付ける操作部、測定結果など所定の情報を表示する表示画面などを備えた電子血圧計があった。このような電子血圧計には、カフを収納するカフ収納部を閉塞したり操作部や表示画面を覆ったりする蓋部材を設け、電子血圧計の非利用時においては蓋部材によってカフ収納部や操作部および表示画面などを覆うようにしたものがあった(カフ収納型上腕血圧計)。
【0003】
従来、具体的には、たとえば、血圧計本体を保護する保護カバーを設け、保護カバーの開閉を検知するマグネットスイッチにより保護カバーが開いたことを検知して保護カバーが開いたことを検知している間は表示部に電源を投入する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
また、従来、たとえば、血圧計本体に状態センサを設け、状態センサにより収納ケースの開放あるいは本体の取り出しを検知して、測定の注意事項やカフの巻き方を音声報知するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62−130609公報
【特許文献2】実開昭61−194504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1、2を含む従来の技術の電子血圧計においては、保護カバー(収納ケース)の開閉状態を検出するためにセンサを設けている。そのため部品点数が多くなりセンサ搭載のスペースが必要になったり、他の部品との干渉を避けて配置するために構造が複雑になったりするという問題があった。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、開閉状態を検出するための特別なセンサを設けることなくカフの収納状態を検出できる電子血圧計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子血圧計は、カフを収納するカフ収納部を備えた筐体と、前記筐体に設けられ入力操作を受け付ける操作部と、前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に報知動作をおこなう報知部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、操作部に対して入力操作がおこなわれている場合は、当該入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内することができる。
【0010】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記筐体が、前記カフ収納部を備える筐体本体と当該カフ収納部を開放可能に閉塞する蓋部材とを備え、前記報知部が、少なくとも前記蓋部材が前記カフ収納部を全開しない状態において視認可能な位置に設けられた表示体を備え、前記操作部に対する入力操作に応じて当該表示体の表示態様を変化させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、少なくともカフ収納部を全開しない状態において操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に、報知動作がおこなわれていることを案内できる。これにより、電子血圧計を使用していないと想定される状態において利用者が意図しない入力操作がおこなわれている状態を利用者に案内することができる。
【0012】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記蓋部材が、前記筐体本体の上側に設けられた支軸部を介して前記筐体に対して回動可能に連結され、前記カフ収納部を閉塞した状態における上面と下面とを反転させるように回動することによって、前記カフ収納部からカフを出し入れ可能に当該カフ収納部を開放し、前記操作部が、前記蓋部材における当該蓋部材が前記カフ収納部を開放する位置まで回動した状態において上面となる面(以下「第1の面」という)に設けられ、前記報知部が、前記蓋部材における前記第1の面の裏面に設けられた前記表示体の表示態様を変化させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、蓋部材における裏面が上側を向いた状態すなわちカフ収納部を閉塞した状態あるいは当該状態に類する状態において操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に、報知動作がおこなわれていることを案内できる。これにより、案内が必要であると想定される状況に限って、カフ収納部に対するカフの収納状態が不十分であるために操作部に対して利用者が意図しない入力操作がおこなわれている状態を利用者に案内することができる。
【0014】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記報知部が、前記表示体を点滅表示させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、簡易な構成によって、報知動作がおこなわれていることを案内できる。これにより、少なくとも案内が必要であると想定される状況において、操作部に対して利用者が意図しない入力操作がおこなわれている状態を利用者に案内することができる。
【0016】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記蓋部材における前記第1の面に設けられ、前記操作部に対する入力操作に応じて所定の情報を表示する表示部を備え、前記表示体が、前記表示部が表示する情報とは異なる情報を表示することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、操作部に対する入力操作に応じた情報とは異なる情報を表示する表示体の表示態様を変化させることにより、電子血圧計の利用に影響を与えることなく、操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に、報知動作がおこなわれていることを案内できる。
【0018】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記表示体が、光を発する発光体であり、前記報知部が、前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に前記発光体を発光または点滅させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、簡易な構成によって、報知動作がおこなわれていることを案内できる。これにより、少なくとも案内が必要であると想定される状況において、操作部に対して入力操作がおこなわれている状態を利用者に案内することができる。
【0020】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、音声を出力する音源を備え、前記報知部が、前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に、前記音源から音声を出力させることによって前記報知動作をおこなうことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、利用者が電子血圧計に注目していない状況でも、操作部に対して入力操作がおこなわれている場合は、当該入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内することができる。
【0022】
また、この発明にかかる電子血圧計は、上記の発明において、前記蓋部材が、前記筐体に対してスライド可能に設けられ、前記筐体に対してスライドすることにより前記カフ収納部を開放可能に閉塞することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、カフ収納部の開閉に際しての省スペース化を図ることができる。これによって、電子血圧計の使い勝手の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明にかかる電子血圧計によれば、特別なセンサを設けることなく利用者にカフの収納状態を報知し、カフの収納状態の改善を促すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計のハードウエア構成を示す説明図(その1)である。
【図2】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計のハードウエア構成を示す説明図(その2)である。
【図3】蓋部材を示す説明図(その1)である。
【図4】蓋部材を示す説明図(その2)である。
【図5】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の動作にかかる各部の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子血圧計の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態)
(電子血圧計のハードウエア構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計のハードウエア構成について説明する。図1、図2は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計のハードウエア構成を示す説明図である。
【0028】
図1においては、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、不使用時における外観を斜め上方から見た状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計の、使用時における外観を斜め上方から見た状態を示している。
【0029】
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、筐体本体101と蓋部材102とによって構成される筐体110を備えている。筐体本体101は、電子血圧計100の使用時において前方となる側(前方側、使用者に向けられる側)が浅く、電子血圧計100の使用時において後方となる側(後方側、使用者から離れた側)が前方側よりも深い箱形形状をなしている。
【0030】
筐体本体101の内部には、ポンプ(図5を参照)、センサ基板、バッファー、フィルター、電磁SL、カフコネクタ、などが設けられている。ポンプ、センサ基板、バッファー、フィルター、電磁SL、カフコネクタなど、電子血圧計100が備える各部については、公知の技術であるため説明を省略する。
【0031】
筐体本体101は、カフ201を収納可能な空間を形成するカフ収納部202を備えている。カフ収納部202の上側には、上方に向けて開口する開口部203が設けられている。カフ201は、カフ収納部202に対して開口部203を介して出し入れされ、電子血圧計100の不使用時にカフ収納部202内に収納される。
【0032】
蓋部材102は、筐体本体101に設けられたカフ収納部202を開放可能に閉塞する。蓋部材102は、筐体本体101に対して回動可能に連結されている。蓋部材102は、カフ収納部202における開口部203を閉塞する位置と、カフ収納部202からカフ201を出し入れ可能に開放する位置と、の間で回動可能とされている。蓋部材102の一部は、電子血圧計100の使用を可能とする位置まで回動した状態において、電子血圧計100の設置面に当接する。
【0033】
蓋部材102において、当該蓋部材102がカフ収納部202を閉塞する位置に位置付けられた状態において上面となる面(以下「第2の面」という)には、表示体としての表示部を実現する副液晶表示部104が設けられている。副液晶表示部104は、少なくとも蓋部材102がカフ収納部202を全開しない状態において視認可能な位置に設けられている。具体的には、副液晶表示部104は、蓋部材102における第2の面と筐体本体101の上面とが接していない状態において視認可能とされる。
【0034】
蓋部材102において、当該蓋部材102がカフ収納部202を開放する位置まで回動した状態において上面となる面(以下「第1の面」という)には、液晶表示部(表示部)204および操作部205が設けられている。液晶表示部204は、操作部205に対する入力操作に応じて所定の情報を表示する。副液晶表示部104は、液晶表示部204とは異なる情報を表示する。
【0035】
電子血圧計100においては、液晶表示部204と操作部205とが隣り合って設けられている。これによって、電子血圧計100においては、当該電子血圧計100の利用に際しての利用者の視線の移動量を抑えることができ、電子血圧計100の使い勝手および操作性の向上を図ることができる。なお、液晶表示部204と操作部205とは必ずしも隣り合って設けられているものに限らない。たとえば、蓋部材102に液晶表示部204を設け、操作部205を筐体本体101に設けるようにしてもよい。
【0036】
図3および図4は、蓋部材102を示す説明図である。図3および図4において、副液晶表示部104は、時刻を表示する時計として機能する。時刻は、電子血圧計100が備える制御部における計時機能によって計時される時刻を表示する。
【0037】
液晶表示部204は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、体動マーク、脈間隔変動マークなど、電子血圧計100が測定した各種の測定結果を表示する。また、液晶表示部204は、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、体動マーク、脈間隔変動マークなどの各種の測定結果を、「ユーザ1」、「ユーザ2」などのように利用者ごとに表示する。液晶表示部204は、電池消耗マークや各種のエラーメッセージなどを表示してもよい。
【0038】
操作部205は、各種の操作キーを備えている。具体的には、操作部205は、操作キーとして、たとえば、血圧の測定を開始あるいは実行中の測定を停止させる際に操作される「測定/停止」キーや、時刻や日付の設定に際して操作される「時刻設定」キーを備えている。
【0039】
電子血圧計100においては、「時刻設定」キー(「印刷」キー)が操作されるごとに、たとえば、「秒→分→時→年→月→日」の順に設定箇所の選択を受け付けることができる。電子血圧計100は、設定箇所が選択された状態において、操作部205において操作キーとして設けられた「進む」キーや「戻る」キーの操作を受け付けた場合に、選択された設定箇所における各数値を増減させる。「進む」キーや「戻る」キーを長押しする(押し続ける)ことにより、増減させる数値を早送りすることができる。
【0040】
電子血圧計100においては、「日」の設定が完了した後にさらに「時刻設定」キーが操作された場合、「12時間制」、「24時間制」などのように時間制を任意に設定することができる。電子血圧計100は、「12時間制」が設定された場合は時刻を0:00〜11:59の間の数値で表示し、「24時間制」が設定された場合は時刻を0:00〜23:59の間の数値で表示する。電子血圧計100は、「12時間制」が設定された場合、「AM」や「PM」などの表示を有効とする。
【0041】
また、具体的には、操作部205は、操作キーとして、たとえば、朝の時間に区分される時間帯に測定された血圧値の平均を表示させる「朝平均」キーや、夜の時間に区分される時間帯に測定された血圧値の平均を表示させる「夜平均」キーなどを備えている。電子血圧計100においては、「朝平均」キーおよび「夜平均」キーが同時に長押しされた場合に、朝の血圧と夜の血圧の時間区分の設定を受け付けることができる。これにより、利用者は、生活リズムなどにあわせて、各自の任意の時間帯を朝に区分したり夜に区分したりすることができる。
【0042】
操作部205における各種の操作キーは、カフ収納部202を開放する状態において入力操作を受け付ける。より具体的には、操作部205における各種の操作キーは、電子血圧計100の使用を可能とする位置まで蓋部材102を回動させ、第1の面を上側に向けた状態において、操作することが可能となる。電子血圧計100は、バッテリ(図示を省略する)を備えており、このバッテリによって副液晶表示部104、液晶表示部204および操作部205への電源の供給がおこなわれる。
【0043】
電子血圧計100は、電源がONの状態において操作キーに対する操作が一定時間ない場合に、電源をOFFの状態に切り替えるように構成されている。これによって、電源を切り忘れたために不用意に電池を消耗してしまうことを防止することができる。電子血圧計100における電源がONの状態とOFFの状態とは、電源スイッチを用いて切り替えるようにしてもよい。電子血圧計100は、電源がONの状態とされた場合に、液晶表示部204および操作部205を動作させる。
【0044】
図5は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の動作にかかる各部の構成を示すブロック図である。電子血圧計100においては、被測定者がカフ201内に腕を挿通させた状態で、操作部205における所定の操作キー(測定ボタンなど)を押すと、自動的にカフ201にエアを送り込んで測定が開始される。
【0045】
図5において、電子血圧計100は、CPU501、ポンプ駆動回路502、エアバルブ駆動回路503、発振回路504、メモリ506、副液晶表示部104、液晶表示部204、操作部205、ポンプ510、エアバルブ507と、圧力センサ508などを備えて構成されている。CPU501は、電子血圧計100全体の制御を司る。
【0046】
ポンプ駆動回路502は、CPU501から出力された制御信号に基づいて動作し、ポンプ510を駆動制御する。ポンプ駆動回路502は、ポンプ510を駆動制御することによって阻血袋509の内腔に空気を送り込み、阻血袋509の内腔に空気を送り込むことによって阻血袋509の内腔を加圧する。具体的には、ポンプ駆動回路502は、測定時において、阻血袋509の内腔の圧力が所定の圧力となるように、阻血袋509の内腔に圧縮気体を送り込む。
【0047】
エアバルブ駆動回路503は、CPU501から出力された制御信号に基づいて動作し、エアバルブ507を駆動制御し、エアバルブ507の開閉状態を制御する。エアバルブ駆動回路503は、エアバルブ507を駆動制御することによって、阻血袋509の内腔の圧力を維持するとともに、阻血袋509の内腔の圧力の減圧をおこなう。具体的には、エアバルブ駆動回路503は、測定時においてポンプ510の動作によって高圧状態となった阻血袋509の内腔の圧力の維持および減圧をおこなうとともに、測定終了後において阻血袋509の内腔を大気圧に復帰させる。
【0048】
圧力センサ508は、測定時において変化する阻血袋509の内腔の圧力を検出し、阻血袋509の圧力検出信号を出力する。発振回路504は、圧力センサ508から出力される阻血袋509の圧力検出信号を周波数に変換した信号をCPU501に出力する。
【0049】
CPU501は、タイマ機能によって時刻を計時し、計時した時刻信号を副液晶表示部104に出力する。副液晶表示部104は、CPU501から出力された時刻信号に基づいて時刻を表示する。また、CPU501は、発振回路504から出力された周波数信号の変化から算出した測定値信号を液晶表示部204に出力する。
【0050】
液晶表示部204は、CPU501から出力された測定値信号に基づいて、最高血圧値、最低血圧値、脈拍数、体動マーク、脈間隔変動マークなど、電子血圧計100が測定した各種の測定結果を表示する。液晶表示部204に表示された測定結果に基づき、被測定者によって所定の操作キーが操作されると、CPU501は、測定結果をメモリ506に出力する。メモリ506は、測定結果を記憶する。
【0051】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、後方側から前方側に蓋部材102を回動させることによって使用する。これによって、電子血圧計100の後方に壁などの障害物がある場合にも、電子血圧計100の前方にのみスペースを確保すればよく、さらに、筐体本体101に重なった状態に蓋部材102が開くために確保するスペースも小さくすることができるので、使用が可能な状態における電子血圧計100が占有するスペースを小さくすることができる。
【0052】
また、この実施の形態の電子血圧計100は、筐体本体101が、電子血圧計100の使用時における前方側が浅く、後方側が前方側よりも深い箱形形状をなしている。このため、カフ収納部202と液晶表示部204や操作部205とを、水平方向に並列に配置した場合と比較して、電子血圧計100の奥行き寸法を短くすることができる。これによって、電子血圧計100の設置スペースをより省スペース化することができる。
【0053】
(電子血圧計100の機能的構成)
つぎに、図6を用いて、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の機能的構成について説明する。図6は、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の機能的構成を示すブロック図である。
【0054】
図6において、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の各機能は、操作部205および報知部601によって実現することができる。操作部205は、当該操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、当該入力操作がおこなわれていることを示す信号を報知部601に対して出力する。
【0055】
報知部601は、表示体としての表示部を実現する副液晶表示部104を備えている。報知部601は、操作部205から当該操作部205に対して入力操作がおこなわれていることを示す信号が出力されている間、すなわち、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、副液晶表示部104における表示内容を点滅表示させることによって報知動作をおこなう。具体的には、報知部601は、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、副液晶表示部104において時刻を点滅表示させる。
【0056】
計時部602は、CPU501に内蔵され操作部205に対して入力操作がおこなわれてからの経過時間を計時する。操作部205における複数の操作キーに対して同時に入力操作がおこなわれた場合、計時部602は、操作キーごとに経過時間を計時する。
【0057】
CPU501は、計時部602が計時する経過時間に基づいて、当該経過時間が所定時間になった場合に液晶表示部204の表示を消灯させる。操作部205に対して継続して入力操作がおこなわれているか否かにかかわらず経過時間が所定時間になった場合に、液晶表示部204の表示を消灯させる。所定時間は、たとえば、「5分」、「3分」、「1分」など任意の時間を設定することができる。
【0058】
(電子血圧計100の報知動作)
つぎに、この発明の電子血圧計を利用者が使用したときの報知動作について説明する。利用者は、電子血圧計100により血圧測定をおこなおうとするとき、筐体本体101の蓋部材102をカフ収納部202からカフ201を出し入れ可能に開放する位置に回動させる。利用者は、カフ201をカフ収納部202から取り出し、測定部位に巻回する。利用者は、操作部205の「測定/停止」キーを操作し測定を開始させる。
【0059】
測定動作が始まるとポンプ510によりカフ201に空気が送り込まれ、測定部位を圧迫する。そして、オシロメトリック法などの周知の測定法によって血圧測定が行われる。
血圧測定が終了すると、蓋部材102の第1の面に設けた液晶表示部204に測定結果が表示される。利用者は、測定結果をどの領域に記憶するかを操作部205の「ユーザ1」キーまたは「ユーザ2」キーを操作することによって選択する。このとき「ゲスト」キーを操作することによって測定結果を記憶させずに測定を終了させることができる。
【0060】
利用者は、測定が終了すると、測定部位からカフ201を外し、カフ201をカフ収納部202に収納する。そして、利用者は、カフ収納部202における開口部203を閉塞する位置に蓋部材102を回動させて、カフの収納を完了させる。
【0061】
カフ201をカフ収納部202に収納する際に、カフ201が傾斜した状態で不完全に収納されたり、カフ201と本体とを接続するエアチューブがカフ201の上に突出した状態で収納されたりすると、カフ収納部202における開口部203を閉塞する位置に蓋部材102を回動させたときにカフ201やエアチューブが、蓋部材102に設けた操作部205の操作キーに接触して入力操作がおこなわれたまま、開口部203を完全に閉塞するか、完全に閉塞できない状態となってしまう。
【0062】
報知部601は、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、蓋部材102第2の面に設けた副液晶表示部104において時刻を点滅表示させる。利用者は、副液晶表示部104の時刻が点滅表示していることを認識することで、カフ収納部202に収納されているカフ201またはエアチューブなどの収納状態が不十分であることを認識して、カフ201の収納状態を改善する。
【0063】
なお、操作部205に対して入力操作がおこなわれるのをカフ201またはエアチューブなどの収納状態が不十分であるときについて説明したが、これらに限られるものではなくほかの異物(例えば、測定結果をメモするために準備したペンやメモ帳など)が、カフ201とともにカフ収納部に収納されて操作部205に対して入力操作がおこなわれた場合も同様である。
【0064】
(電子血圧計100の処理手順)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100の処理手順について説明する。まず、操作部205に対する入力操作があったか否かを判断する。
【0065】
操作部205に対する入力操作がない場合は、操作部205に対する入力操作があるまで待機する。一方、操作部205に対する入力操作があった場合は、副液晶表示部104における時刻の点滅表示を開始するとともに、操作部205に対する入力操作があったと判断してからの経過時間の計時を開始する。
【0066】
操作部205に対する入力操作があったと判断してからの経過時間の計時を開始してから、副液晶表示部104における時刻の点滅表示を開始するようにしてもよい。
【0067】
入力操作が解除された場合は、副液晶表示部104における時刻の点滅表示を終了する。一方、入力操作が解除されていない場合は、液晶表示部104における時刻の点滅表示を継続し続ける。
【0068】
つぎに、操作部205に対する入力操作があったと判断してからの経過時間が所定時間以上となった場合は、液晶表示部204における表示を消灯する。操作部205に対する入力操作が継続しているか否かにかかわらず、最後に入力操作があったと判断してからの経過時間が所定時間以上となった場合は液晶表示部204における表示を消灯する。
【0069】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、カフ201を収納するカフ収納部202を備えた筐体110と、筐体110が備える蓋部材102に設けられ入力操作を受け付ける操作部205と、操作部205に対して入力操作がおこなわれている場合に報知動作をおこなう報知部601と、を備えたことを特徴としている。
【0070】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100によれば、操作部205に対して入力操作がおこなわれている場合は、当該入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内することができる。操作部205に対する入力操作は、利用者が電子血圧計100を利用する際の当該利用者による意図的な入力操作の他に、たとえば、カフ収納部202に対するカフ201の収納状態が不十分であるためにカフ201やエアチューブなどの部材が操作部205に接触することで利用者が意図しないでおこなわれる入力操作が想定される。
【0071】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100によれば、カフ収納部202に対する蓋部材102の位置を検出するセンサなど、カフ収納部202の開放状態を検出する機構を設けることなく、電子血圧計100の不使用時において操作部205に対して入力操作がなされていることを報知することによって、カフの収納状態が不十分であることを利用者に報知するができる。
【0072】
また、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100によれば、操作部205に対して入力操作がおこなわれている場合は、当該入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内することができるので、利用者に対してカフ201の収納状態の改善を促すことができる。これによって、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100によれば、操作部205に対して利用者が意図しない入力操作がおこなわれることによって操作部205に不要な通電がなされることによる不用意な電池の消耗を抑制することができる。
【0073】
この実施の形態においては、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、報知部601の制御によって、副液晶表示部104において時刻を点滅表示させることによって副液晶表示部104の表示態様を変化させるようにしたが、これに限るものではない。たとえば、報知部601は、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、副液晶表示部104が表示する表示内容を異ならせてもよい。
【0074】
具体的には、報知部601は、時刻に代えて、たとえば、「操作中」、「操作キーが操作されています。」、「操作キーが操作されています。操作キーの状態を確認してください。」などのメッセージを副液晶表示部104に表示させてもよい。また、具体的には、報知部601は、たとえば、「操作中」、「操作キーが操作されています。」、「操作キーが操作されています。操作キーの状態を確認してください。」などのメッセージを副液晶表示部104において点滅表示させてもよい。
【0075】
また、この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100は、副液晶表示部104に加えて光を発する発光体を備え、操作部205に対して入力操作がおこなわれている場合に、発光体を点滅(点滅表示)させることによって報知動作をおこなうようにしてもよい。
【0076】
報知部601は、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、発光体を点滅(点滅表示)させることによって報知動作をおこなうものに限らない。たとえば、報知部601は、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、発光体を継続して発光させることによって報知動作をおこなうようにしてもよい。
【0077】
この発明にかかる実施の形態の電子血圧計100においては、操作部205に対して入力操作がおこなわれていることを案内するための専用の発光体を筐体本体101に設けるようにしてもよい。発光体は、専用の発光体に限るものではない。たとえば、操作部205におけるすべての操作キーあるいは一部の操作キーに発光体を設け、操作部205に対して入力操作がおこなわれている間、当該操作キーが光るように発光体を発光させるようにしてもよい。
【0078】
また、この発明にかかる電子血圧計は、音声を出力する音源を備え、報知部は操作部205に対して入力操作がおこなわれている場合に、音源から音声を出力させることによって報知動作をおこなうようにしてもよい。
【0079】
音源は、通電された場合に音声を出力する音響発生装置であって、たとえば、ブザーと称される音響発生装置によって実現することができる。ブザーは、電磁石を利用した音響発生装置の一種であって、数ボルトの交流または直流を電磁石に加えることによって、鉄などを用いて形成される金属片を振動させ、回路を断続するとともに音を発生させる。
【0080】
ブザーとしては、たとえば、圧電ブザーを用いることができる。圧電ブザーは圧電セラミックスの薄板と金属板とを貼り合わせただけの簡単な構造によって実現することができるため、圧電ブザーを用いることにより電子血圧計100の小型化および構造の簡易化を図ることができる。音源としては、圧電ブザーに代えて、たとえば、電子ブザー、電磁ブザーなど公知の各種のブザーを用いることができる。
【0081】
上記の実施の形態においては、蓋部材102がカフ収納部202を閉塞する位置から筐体本体101の前方側へ回動することによってカフ収納部202を開放する構成の電子血圧計100について説明したが、蓋部材102の回動方向はこれに限るものではない。蓋部材102は、たとえば、カフ収納部202を閉塞する位置から筐体本体101の後方側へ回動することによってカフ収納部202を開放し、使用が可能となる構成とされていてもよい。また、蓋部材102は、たとえば、本などのページを捲るように、左右方向に回動する構成とされていてもよい。
【0082】
(別の実施の形態)
つぎに、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計について説明する。この発明にかかる電子血圧計が備える蓋部材は、前後方向あるいは左右方向に回動する構成に限らない。
【0083】
図7は、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計を示す説明図である。図7において、上述した実施の形態の電子血圧計100と同一部分については、同一符号で示し、説明を省略する。
【0084】
図7において、この発明にかかる別の実施の形態の電子血圧計700において、蓋部材102は、筐体本体101に対してスライド可能に設けられている。具体的には、蓋部材102は、図7において符号701で示す矢印に沿って、後方側から前方側および前方側から後方側へ引き戸のようにスライドすることによって、カフ収納部202を開閉する。より具体的には、蓋部材102は、前方側から後方側へスライドすることによってカフ収納部202を開放し、後方側から前方側へスライドすることによってカフ収納部202を閉塞する。
【0085】
蓋部材102を、筐体本体101に対してスライド可能な構成とすることにより、カフ収納部202の開閉に際しての省スペース化を図ることができる。これによって、電子血圧計700によれば、電子血圧計700の使用に際して要するスペースを小さくすることができる。
【0086】
図7に示した電子血圧計700における蓋部材102は、当該蓋部材102がカフ収納部202を閉塞した状態においても、カフ収納部202よりも前方側に設けられた操作部205を覆わない形状および大きさとされている。蓋部材102の大きさおよび形状は、図7に示したものに限らない。蓋部材102は、たとえば、カフ収納部202を閉塞した状態において、カフ収納部202を閉塞するとともに当該カフ収納部202よりも前方側に設けられた操作部205を覆うような大きさおよび形状であってもよい。
【0087】
電子血圧計700は、操作部205に対する入力操作がおこなわれている間、たとえば、音源から音声を出力することによって操作部205に対して入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内する。あるいは、電子血圧計700において、筐体本体101に発光体(図7においては図示を省略する)を設け、操作部205に対する入力操作がおこなわれている間、当該発光体を点滅させることによって、操作部205に対して入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内するようにしてもよい。
【0088】
このようにカフ収納部202の開放状態を検出する機構を設けたりすることなく、電子血圧計100の操作部205に対して操作部205に対して意図せず何かが載っかっていたり、蓋と操作部の間に何かが挟まったたりして入力操作がなされていることを報知して、カフの収納状態や蓋部材102の閉塞状態が不十分であることを利用者に報知することができる。
【0089】
また、あるいは、電子血圧計700は、操作部205に対する入力操作がおこなわれている間、液晶表示部204を点滅させることによって、操作部205に対して入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内するようにしてもよい。さらに、電子血圧計700において、液晶表示部204とは別の表示部(図7においては図示を省略する)を設け、操作部205に対する入力操作がおこなわれている間、当該別の表示部を点滅させることによって、操作部205に対して入力操作がおこなわれている状態であることを利用者に案内するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、この発明にかかる電子血圧計は、生体(被測定者)に装着して血圧を測定する電子血圧計に有用である。
【符号の説明】
【0091】
100 電子血圧計
101 筐体本体
102 蓋部材
103 支軸部
104 副液晶表示部
110 筐体
201 カフ
202 カフ収納部
204 液晶表示部
205 操作部
700 電子血圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフを収納するカフ収納部を備えた筐体と、
前記筐体に設けられ入力操作を受け付ける操作部と、
前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に報知動作をおこなう報知部と、
を備えたことを特徴とする電子血圧計。
【請求項2】
前記筐体は、前記カフ収納部を備える筐体本体と当該カフ収納部を開放可能に閉塞する蓋部材とを備え、
前記報知部は、少なくとも前記蓋部材が前記カフ収納部を全開しない状態において視認可能な位置に設けられた表示体を備え、前記操作部に対する入力操作に応じて当該表示体の表示態様を変化させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記筐体本体の上側に設けられた支軸部を介して前記筐体に対して回動可能に連結され、前記カフ収納部を閉塞した状態における上面と下面とを反転させるように回動することによって、前記カフ収納部からカフを出し入れ可能に当該カフ収納部を開放し、
前記操作部は、前記蓋部材における当該蓋部材が前記カフ収納部を開放する位置まで回動した状態において上面となる面(以下「第1の面」という)に設けられ、
前記報知部は、前記蓋部材における前記第1の面の裏面に設けられた前記表示体の表示態様を変化させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする請求項2に記載の電子血圧計。
【請求項4】
前記報知部は、前記表示体を点滅表示させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする請求項3に記載の電子血圧計。
【請求項5】
前記蓋部材における前記第1の面に設けられ、前記操作部に対する入力操作に応じて所定の情報を表示する表示部を備え、
前記表示体は、前記表示部が表示する情報とは異なる情報を表示することを特徴とする請求項3または4に記載の電子血圧計。
【請求項6】
前記表示体は、光を発する発光体であり、
前記報知部は、前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に前記発光体を発光または点滅させることにより報知動作をおこなうことを特徴とする請求項2に記載の電子血圧計。
【請求項7】
音声を出力する音源を備え、
前記報知部は、前記操作部に対して入力操作がおこなわれている場合に、前記音源から音声を出力させることによって前記報知動作をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項8】
前記蓋部材は、前記筐体に対してスライド可能に設けられ、前記筐体に対してスライドすることにより前記カフ収納部を開放可能に閉塞することを特徴とする請求項2に記載の電子血圧計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−205651(P2012−205651A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72027(P2011−72027)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】