説明

電子血圧計

【課題】測定条件の設定に当たり煩雑な入力や操作を必要とせず、血圧データの測定条件別分類を確実ならしめること。
【解決手段】電子血圧計に、時刻情報を供給するとともに、警報機能と該警報機能を停止させるための停止操作部を具備する計時手段と、測定された血圧データを測定された時刻に関連付けて記憶させる記憶手段とを設け、停止操作部が操作された時刻を基準時刻とし、該基準時刻以前に測定され記憶手段に記憶された血圧データのうち、最新の血圧データから遡って数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択して就寝前測定値とし、基準時刻以後に測定され記憶手段に記憶された血圧データのうち、最古の血圧データから順に数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択して起床後測定値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子血圧計、特に測定した血圧データの測定条件別分類を確実ならしめる電子血圧計に関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理への関心の高まりとともに、血圧計を備える家庭が増えている。家庭内での血圧測定のメリットは、早朝に血圧が異常に高くなる「早朝高血圧」や、睡眠中に血圧が高くなる「夜間高血圧」などの病院では発見しにくい隠れた情報をチェックできること、血圧は測定する時間や場所で変動するため、医療機関などで一時的に測定するよりも血圧の変動に関する情報が多く得られることなどが挙げられる。
【0003】
家庭内での血圧測定を、健康管理上有用なデータとするためには、1日のうちの時間を決めて日々の血圧変動をチェックすることが重要である。1日のうちでも特に、「朝に測定した血圧値」と「夜に測定された血圧値」が血圧データとして重要であるとされている。ここでいう「朝に測定した血圧値」とは起床直後、「夜に測定された血圧値」とは就寝直前を指す。(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2009」より)
ここで「起床時」として朝に限らず実際に起床した時刻を用い、実際に起床した後に測定された血圧データを「起床後測定値」とし、「就寝時」として夜に限らず実際に就寝した時刻を用い、実際に就寝する前に測定した血圧データを「就寝前測定値」とすることもできる。
【0004】
例えば、シフトワーカなど、通常の人とは生活サイクルが異なるユーザにとっては、夕方起床した後に測定した血圧データが「起床後測定値」であり、就寝前の例えば昼ごろ測定した血圧データが「就寝前測定値」となる。
【0005】
このような場合も含め、上述のような目的の下に家庭内で用いる血圧計においては、測定した血圧データと測定条件としての時間的条件とを、いかにして簡易な操作により関連付けるかが問題となる。
【0006】
この点、血圧計などの健康機器と測定時間とを関連付けた従来技術として、例えば特許文献1の健康機器がある。
【0007】
特許文献1の健康機器では、健康機器にタイマー設定部と報知機能部を備えさせ、ユーザがタイマー設定部で設定した使用時間になると、報知機能部が音声などの報知形態でユーザに知らせる。
【0008】
また、従来技術の別の例として、特許文献2の電子血圧計がある。
【0009】
特許文献2に開示された電子血圧計は、例えば「起床時間」、「起床後時間帯」、「就寝時間」、「就寝前時間帯」などの、測定条件としての測定時間情報をあらかじめ入力しておき、ユーザが血圧測定した時刻に応じて、測定した血圧データと測定条件と関連付けている。
【0010】
さらに、従来技術の別の例として、特許文献3の電子血圧計もある。
【0011】
特許文献3に開示された電子血圧計は、例えば「起床後」、「就寝前」、「通常」などの複数種類の測定条件に対応した測定スイッチを備え、ユーザが血圧測定前にその測定ス
イッチのいずれかを押下することにより、測定した血圧データと測定条件とを関連付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−178798号公報
【特許文献2】特開2007−111119号公報
【特許文献3】特開2006−158879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1は、単に使用者に健康機器の継続的な使用を誘導することを目的としており、血圧データを測定条件に関連付けることは意図していない。
【0014】
また、特許文献2では、血圧測定と測定条件との関連付けが可能となるが、ユーザがあらかじめ測定時間情報を手入力で設定しておく必要があり、ユーザにとって非常に煩雑であという問題があった。また、設定間違いを誘発しやすい上、設定自体をし忘れてしまう可能性があるという問題があった。特にシフトワーカなどの通常の人とは生活サイクルの異なるユーザにとっては、生活サイクルの変更ごとに設定しなおす必要があるので余計に煩わしいという問題があった。別の面では、ユーザが血圧計に内蔵された時計の時刻設定を間違えると、測定条件自体が不正確になるという問題もあった。
【0015】
さらに、特許文献3では、スイッチの押下により測定条件を設定するので、依然として測定前の操作を必要とする点でユーザにとって非常に煩雑であるという問題があった。また、様々な測定条件が設定された多数のスイッチの中からそのときの測定条件に適したスイッチを選択しなくてはならず、押し間違いを誘発しやすいなどの点で改善の余地があった。別の面では、操作スイッチが多いことが特に高齢者にとって取扱い上の負担となるという問題があった。
【0016】
以上のように、従来技術においては、測定した血圧データを、「起床後測定値」、「就寝前測定値」に正しく分類して記憶するという点で改善の余地があった。
【0017】
本発明は、以上のような背景技術に鑑みてなされたものであり、測定条件の設定に当たり煩雑な入力や操作を必要とせず、血圧データの測定条件別分類を確実ならしめることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明の電子血圧計は、血圧を測定する血圧測定手段と、
時刻情報を供給するとともに、警報機能と警報機能を停止させるための停止操作部を具備する計時手段と、血圧測定手段により測定された血圧データを、測定された時刻に関連付けて記憶する記憶手段と、制御手段とを有し、制御手段は、停止操作部が操作された時刻を基準時刻とし、基準時刻以前および基準時刻以後のいずれか一方または両方の所定範囲に測定され、記憶手段に記憶された血圧データに基準時刻に対して設定された測定条件をさらに関連付けることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、目覚まし機能のアラームの停止という、ユーザの日常の必然的動作に基づき測定した血圧データを測定条件と関連付けることができるので、測定条件の設定に当たり煩雑な入力や操作を必要としない。
【0020】
また、起床という日常行動に付随した動作に基づいて、測定した血圧データが測定条件と関連付けられるので、シフトワーカなど通常の人とは生活サイクルの異なるユーザも設定条件の変更操作が不要となり、また、測定条件に対応したスイッチ操作も不要となるので、スイッチの押し間違いも防止できる。
【0021】
好ましくは、基準時刻以前および基準時刻以後の所定範囲は、それぞれ第1の手順および第2の手順のいずれか一方または両方の手順により決定される範囲である。
【0022】
また、好ましくは、基準時刻以前の測定データに対する第1の手順は、記憶手段に記憶された血圧データのうち、最新の血圧データから遡って数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択するものであり、基準時刻以前の測定データに対する第2の手順は、基準時刻以前の測定データに対しては、設定時間からあらかじめ定められた時間遡った時間幅内に測定された血圧データを選択するものである。
【0023】
また、好ましくは、基準時刻以後の測定データに対する第1の手順は、最古の血圧データから順に数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択するものであり、基準時刻以後の測定データに対する第2の手順は、設定時間からあらかじめ定められた時間遡った時間幅内に測定された血圧データを選択し、基準時刻以後の測定データに対しては、基準時刻を始期として、基準時刻以後あらかじめ定められた時間幅内において測定された血圧データを選択するものである。
【0024】
また、好ましくは、測定条件は、警報機能に対して設定される。
【0025】
また、好ましくは、警報機能は、起床時刻であることを知らせる警報であり、測定条件は、基準時刻以前が就寝前であり基準時刻以後が起床後である。
【0026】
また、好ましくは、設定時間は、警報機能をセットした時間である。
【0027】
また、好ましくは、設定時間は、基準時刻以前に測定された血圧データのうち最新の血圧データの測定時間である。
【0028】
また、好ましくは、警報機能は、さらに食事時刻または投薬時刻を知らせる警報を設定可能であり、警報機能が食事時刻の場合、測定条件は基準時刻以前が食前、基準時刻以後が食後であり、警報機能が投薬時刻の場合、測定条件は基準時刻以前が投薬前、基準時刻以後が投薬後である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の電子血圧計によれば、測定条件の設定に当たり煩雑な入力や操作を必要とせず、血圧データの測定条件別分類を確実ならしめることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電子血圧計の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる電子血圧計のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる血圧測定のタイムチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる電子血圧計の動作のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかるアラーム機能停止前の記憶部の構成を示す概念図である。
【図6】本発明の第1の実施形態にかかるアラーム機能停止後の記憶部の構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる電子血圧計の動作のフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる血圧測定のタイムチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかる電子血圧計の動作のフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態にかかるアラーム機能停止後の記憶部の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1の実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態における電子血圧計100の構成を説明する。
【0033】
図1において、電子血圧計100は、本体110、本体に設けられ電源ボタンなどの操作ボタンが配置された操作部120、測定した血圧データをユーザの要求する所望の形態で表示等する表示部130、血圧測定においてユーザの血圧測定部位に装着されて、空気管150を通して送られる空気圧により、血圧測定部位を加圧するためのカフ140から構成されている。
【0034】
電子血圧計100は、警報機能としての目覚まし機能を有する時計部を内蔵しており、目覚まし機能のアラームは、操作部120に配されたいずれのボタンを押下しても停止するように構成されている。
【0035】
図2において、電子血圧計100のハードウエアは、カフ140および空気管150に接続され血圧を測定する血圧測定部210、目覚まし機能を有した時計である時計部240、アラーム時刻などを設定する時計設定部250、血圧測定部210により測定された血圧データを時計部240からの時刻データと関連付けて記憶する記憶部220、表示部130、各種ボタン入力から構成される操作部120、目覚まし時計のアラーム音(ベル音やブザー音)を発生するスピーカ260、およびこれらの各機能を制御するCPU230から構成されている。記憶部220は、例えばRAMで構成する。
【0036】
つぎに、電子血圧計100の血圧測定時の動作を説明する。
【0037】
ユーザが測定・停止ボタン(図示略)を押すことにより、CPU230が測定開始の指示を受信すると、CPU230は血圧測定部210に血圧測定シーケンスを起動する制御信号を送信する。
【0038】
血圧測定部210は、該制御信号を受信すると、空気管150を通じてカフ140に空気を送り込んで膨張させる。膨張したカフ140の圧力変動からカフ圧に重畳された脈波成分を抽出し、この脈波振幅から所定のアルゴリズムにより最高血圧と最低血圧を算出する。
【0039】
電子血圧計の血圧測定方法としては、オシロメトリック法など様々な原理によるものが公知であるから、ここでは説明を省略する。
【0040】
取得した血圧データは、表示部130に表示されるとともに、CPU230の指示に基づき、血圧測定部210から記憶部220に送信される。同時に、取得した血圧データは、時計部240による時刻データ、すなわち、年月日、時分を示すデータと関連付けられ、一つのレコードとして記憶部220に格納される。
【0041】
本実施形態は、ユーザの、起床時に電子血圧計100の目覚まし機能を停止させるという動作に基づき、上述のようにして記憶部に格納された血圧データを、自動的に、「就寝前測定値」、「起床後測定値」というように測定条件に関連付けた測定値と、いずれの測定条件にも属さない測定値とを分類するようにしている。
【0042】
本実施形態において血圧データを分類する手順は、起床時刻を基準として、それより以前に測定された血圧データのうち最新のものから遡ってあらかじめ定められた個数だけ「就寝前測定値」とし、起床時刻以後に測定された血圧データのうち最古のものから順にあらかじめ定められた個数だけ「起床後測定値」とするものである(第1の手順)。ここで、「就寝前測定値」についてのデータの個数と、「起床後測定値」についてのデータの個数は同一である必要はない。
【0043】
本実施形態では、「就寝前測定値」についてのデータの個数を3個とし、「起床後測定値」についてのデータの個数を2個とした場合について説明する。これらの個数は、あらかじめ記憶部220に格納しておいてもよいし、操作部120において設定できるようにしておいてもよい。
【0044】
つぎに、図3ないし図6を参照して、ユーザの1日のうちの血圧測定動作と本実施形態による電子血圧計の動作との関係を説明する。
【0045】
図3は、ユーザが23時に就寝して翌朝7時に起床し、1日のうちに、就寝前にAないしDの4回、起床後にEないしGの3回、それぞれ図に示した時刻に血圧測定した場合の例をタイムチャートで示している。
【0046】
図4は、ユーザが図3に示した血圧測定を行った場合の本実施形態による電子血圧計の動作のフローチャートを示している。また、図5および図6は、その血圧測定動作に伴って血圧データが格納される場合の、記憶部220の構造を概念的に示しており、後述するように、図5は電子血圧計100に内蔵されたアラーム機能の停止前の構造、図6はアラーム機能の停止後の構造を示している。
【0047】
図5および図6を参照して、本実施形態では、格納すべき血圧データおよび当該血圧データに関連付けられたデータを、年月日、時分「Ti」、最高血圧「SBPi」(Systolic Blood Pressure、収縮期血圧ともいう)、最低血圧「DBPi」(Diastolic Blood Pressure、拡張期血圧ともいう)、脈拍数「PLSi」(/分)としている。ここで、各データ末尾の「i」は、複数の血圧データを判別するための変数で、1回の測定で得られた血圧データでは同じ値としている。
【0048】
「ADDRi」は記憶部のアドレスを示し、血圧データおよび当該血圧データに関連付けられたデータは、時刻単位でアドレス「ADDRi」にレコードRiとして格納される。「F」は血圧データの測定条件を分類するためのフラグであり、「F=1」は「就寝前測定値」、「F=2」は「起床後測定値」を示す。「F」の値の初期値は「0」であり、該当する血圧データが「就寝前測定値」、「起床後測定値」のいずれにも分類されなければ「F=0」を維持する。
【0049】
本実施形態では、起床前には図3のAないしDにおける血圧測定が行われているので、図5に示すように、記憶部220にはAないしDに対応する血圧データがレコードR1ないしR4としてすでに格納されている。このときのフラグ「F」の値はすべて「0」である。
【0050】
つづけて、図4を参照して、ユーザが、起床後、電子血圧計100の操作部120に配
されたいずれかのボタンを押下して電子血圧計100に内蔵されたアラーム機能を停止させた後のCPU230の動作を説明する。アラーム停止ボタンが操作されると(S402でYES)、CPU230は、ボタンが押下された時刻を記憶部220に記憶させる(S404)。具体的には、CPU230は図6に示すように、記憶部220のADDRXに起床時刻T0=7:00を記憶させる。
【0051】
アラーム機能を停止させなければ(S402でNO)、ボタンが押下されるまでループする。
【0052】
つぎに、CPU230は、アラーム停止操作時刻すなわち起床時刻以前に測定した最新の血圧データであるR4から遡って3個の血圧データを「就寝前測定値」として記憶部220に格納する(S406)。具体的には、本実施形態では、R4,R3、R2が「就寝前測定値」に該当するので、図6に示すように、それらのフラグ「F」を「1」に設定する。「就寝前測定値」から外れるR1のフラグ「F」は「0」のままである。
【0053】
つぎに、変数「j」に「j+1」を代入し(S410)、血圧が測定された場合には(S412でYES)、当該血圧データを時刻とともに記憶部220に格納する(S414)。変数「j」は、「起床後測定値」として採用する2個の血圧データを判別するための変数である。血圧測定が行われなければ(S412でNO)、血圧が測定されるまでループする。
【0054】
本実施形態では、図6に示すように、まずEの血圧データがR5として格納され、このときの変数「j」の値は「1」であるから、S416をNOに抜け、R5のフラグ「F」の値に「2」がセットされる(S418)。
【0055】
つづいて、同様に、Fの血圧データが記憶部220にレコードR6として格納され、R6のフラグ「F」に「2」がセットされる。
【0056】
つぎの、Gの血圧データも記憶部220にレコードR7として格納されるが、このときの変数「j」の値は「3」であるからS416をYESに抜け、変数「j」の値を「0」にクリヤして(S420)S402に戻る。R7のフラグ「F」の値は「0」のままである。
【0057】
なお、アラーム停止操作により血圧データを「就寝前測定値」、「起床後測定値」に分類した以降に血圧測定を行って得られた血圧データについては、図4の処理とは別に図5のように血圧データが格納されていく。
【0058】
以上のような本実施形態の電子血圧計100の動作の結果、記憶部220のデータの構成は、図6のようになっている。
【0059】
すなわち、B、C、Dの血圧データレコードR2、R3、R4は、フラグ「F」の値が「1」に設定されて「就寝前測定値」に分類され、E,Fの血圧データレコードR5、R6のフラグ「F」の値は「2」に設定されて、「起床後測定値」に分類されている。
【0060】
以後、CPU230は、ユーザの操作部120に対する操作に応じて、「就寝前測定値」の表示要求があれば、記憶部220からレコードR2、R3、R4を読み出して、最高血圧、最低血圧、脈拍数、測定時刻などを図1における表示部130に表示し、また、「起床後測定値」の表示要求があれば、レコードR5、R6を読み出して同様の表示することができる。
【0061】
あるいは、CPU230は、「就寝前測定値」の平均値の表示要求を受け付けて、レコードR2、R3、R4に含まれる最高血圧、最低血圧の平均値を表示したり、「起床後測定値」の平均値の表示要求を受け付けて同様の表示をしたりすることもできる。
【0062】
このようにしてユーザは、それぞれの生体活動状況下での血圧値の日々の変化を、容易に観察することができる。
【0063】
以上のように本実施形態によれば、目覚まし機能のアラームの停止という、ユーザの日常の必然的動作に基づき測定した血圧データを測定条件と関連付けることができるので、測定条件の設定に当たり煩雑な入力や操作を必要としない。
【0064】
また、起床という日常行動に付随した動作に基づいて、測定した血圧データが測定条件と関連付けられるので、シフトワーカなど通常の人とは生活サイクルの異なるユーザも設定条件の変更操作が不要となり、また、測定条件に対応したスイッチ操作も不要となるので、スイッチの押し間違いも防止できる。
【0065】
とくに、起床後および就寝前に測定されたデータの個数で測定条件と関連付けを行うので、起床後、就寝前に何回も測定を行ったとしても「起床後測定値」は起床直後、「就寝前測定値」は就寝直前に近いデータを測定条件と関連付けることができる。
【0066】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態において、測定された血圧データのうち、「起床後測定値」および「就寝前測定値」に分類する手順を異ならせたものである。
【0067】
すなわち、第2の実施形態においては、「起床後測定値」の分類条件をアラーム機能停止時刻後、所定の時間幅、例えば1時間以内に測定された血圧データとする(第2の手順)。
【0068】
ここで、アラーム機能停止後所定時間幅経過後の時刻を「起床限界時刻」と呼ぶことにし、本実施形態ではアラーム機能停止時刻が7:00であるので、この時刻は8:00に設定される。この所定時間幅の設定は、あらかじめ図2に示す記憶部220に格納しておいてもよいし、時計設定部250で設定できるようにしておいてもよい。
【0069】
また、第2の実施形態においては、「就寝前測定値」の分類条件は、就寝時刻から所定の時間幅、例えば1時間以前に測定された血圧データとする(第2の手順)。
【0070】
この場合、就寝時刻の設定は、例えば起床時刻以前に測定された血圧データのうち最新の血圧データの測定時刻を就寝時刻とみなして設定してもよいし、アラーム機能がONにされた時刻を記憶し就寝時刻とみなして設定してもよい。
【0071】
本実施形態においても、ユーザにより図3に示す血圧測定が行われたものとし、このときの本実施形態による電子血圧計100の動作のフローチャートを図7に示す。
【0072】
図7を参照して、S702からS704までの動作は第1の実施形態と同様である。
【0073】
S706において、上述のように設定した就寝時刻から1時間以前に測定された血圧データを「就寝前測定値」として記憶部220に記憶する。
【0074】
S708において、CPU230は、起床限界時刻である8:00を経過したか否かを判断し、経過していればS702に戻る。この時刻以降に測定した血圧データは、「起床
後測定値」に分類できないからである。
【0075】
つぎにCPU230は、ユーザにより血圧測定が行われると(S710でYES)、その血圧データを時刻とともに記憶部220に格納し(S712)、フラグ「F」を「2」にセットする(S714)。血圧測定が行われなければ(S710でNO)、S708に戻る。起床限界時刻を経過するまではS710〜S714を繰り返し、起床時刻7:00から起床限界時刻8:00までに測定されたすべての血圧データを、「起床後測定値」として分類する。
【0076】
本実施形態では、ユーザによって図3に示す血圧測定が行われたものとしているので、上記フローに基づいて本実施形態の電子血圧計100の動作が完了すると、記憶部220のデータは、第1の実施形態とは異なり図6に示すレコードR2は、フラグ「F」が「0」となり「就寝前測定値」に分類されないような構成となっている。
【0077】
なお、「就寝前測定値」についての時間幅と、「起床後測定値」についての時間幅とは、同一である必要はない。
【0078】
また、ユーザが起床時刻記憶機能を使用するか否か、すなわち本発明による機能を使用するか否かを切り替えるON/OFFボタンを設けてもよいし、「就寝前測定値」および「起床後測定値」の抽出条件(時間幅など)を設定できるようなボタンを操作部120に設けてもよい。
【0079】
以上のように本実施形態によれば、起床後および就寝前の時間幅内に測定された血圧データを測定条件と関連付けを行うので、起床時間、就寝時間から時間が離れて測定された血圧データは測定条件に関連付けされることはなく、「起床後測定値」、「就寝前測定値」という測定条件に適した血圧データを関連付けることができる。
【0080】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態および第2の実施形態において、測定された血圧データを「起床後測定値」および「就寝前測定値」に分類する手順を組み合わせたものである。
【0081】
すなわち、第3の実施形態においては、「起床後測定値」の分類条件をアラーム機能停止時刻後、所定の時間幅内で測定されかつ最古のものから順にあらかじめ定められた個数だけ、例えば1時間以内に測定された最古のものから2個の血圧データとする。
【0082】
また、第3の実施形態においては、「就寝前測定値」の分類条件は、就寝時刻から所定の時間幅内で測定されかつ最新のものから順にあらかじめ定められた個数だけ、例えば1時間以前に測定されかつ最新のものから3個の血圧データとする。
【0083】
図8ないし図10を用いて本実施形態を説明する。
【0084】
図8を参照して、本実施形態の就寝時刻および起床時刻は、第1の実施形態および第2の実施形態同様それぞれ23:00、7:00としている。血圧測定は、就寝前にHないしMの6回、起床後にNないしQの4回、それぞれ図に示した時刻に行っているものとする。
【0085】
図9を参照して、S902およびS904は図4あるいは図7における説明と同様である。
【0086】
S906において、CPU230は、就寝時刻から1時間以前に測定された血圧データ
のうち、最新のものから3個を「就寝前測定値」として記憶部220に格納する。具体的には、図8の測定データのうち、KないしMの3個が該当するので、図10における記憶部220内のレコードR4ないしR6のフラグ「F」が「0」から「1」にセットされる。JすなわちレコードR3は、就寝時刻から1時間以前に測定されたデータであるが、最新のものから4個目であるので選択から除外され、フラグ「F」の値は「0」のままである。
【0087】
つぎに、CPU230は起床限界時刻8:00を経過したか否かを判断し(S908)、経過していれば(S908でYES)、変数「j」を「0」にクリヤして(S920)S902に戻る。変数「j」の役割は図4と同様である。
【0088】
経過していなければ(S908でNO)、血圧測定の有無を判断する(S910)。血圧測定が行われなければ(S910でNO)S908に戻る。血圧測定が行われれば(S910でYES)、変数「j」に「j+1」を代入し(S912)、その血圧データを時刻とともに記憶部220に格納する(S914)。
【0089】
S916およびS918は図4における説明と同様で、これらのステップとS908とにより起床限界時刻8:00までに測定された2個の血圧データが選択され、それらのフラグ「F」が「0」から「2」にセットされる。具体的には、図10において、記憶部220におけるNおよびO、すなわちレコードR7およびR8のフラグ「F」が「2」にセットされる。PすなわちレコードR9は起床限界時刻8:00以前に測定されているが、3個目なので選択から除外され、フラグ「F」の値は「0」のままである。
【0090】
以上のような本実施形態の電子血圧計100の動作の結果、記憶部220のデータの構成は、図10のようになっている。すなわち、フラグ「F」によって、レコードR4ないしR6が「就寝前測定値」、レコードR7およびR8が「起床後測定値」として分類されている。
【0091】
以上のように本実施形態によれば、起床後および就寝前の時間幅とデータ個数によって測定された血圧データを測定条件と関連付けを行うので、起床直後、就寝直前に近くて「起床後測定値」、「就寝前測定値」という測定条件に適した血圧データを関連付けることができる。
【0092】
これまでに説明した第1から第3の実施形態では、目覚まし機能のアラームの停止という、ユーザの動作に基づいて測定した血圧データを「就寝前測定値」および「起床後測定値」の両方の測定条件と関連付けて記憶する例を説明してきたが、上記の実施形態に限られるものではなく、目覚まし機能のアラームの停止の動作に基づき測定した血圧データを「就寝前測定値」のみを関連付けるようにしてもよいし、同様に「起床後測定値」のみを関連付けるようにしてもよい。
【0093】
また、血圧データと測定条件との関連付けを第1の実施形態では『基準時刻からのデータの個数』、第2の実施形態では『基準時刻、就寝時刻からの時間幅』、そして第3の実施形態では『基準時刻からのデータの個数と時間幅の組み合わせ』として、「就寝前測定値」と「起床後測定値」とで同じ手順としていた。しかし、これに限られることなく、例えば「就寝前測定値」は『基準時刻からのデータの個数』、「起床後測定値」は『基準時刻からの時間幅』というように「就寝前測定値」と「起床後測定値」とで手順を異ならせてもよい。
【0094】
さらに、警報機能として目覚まし機能を説明してきたが、これに限られるものではなく、例えば食事時刻でアラームを発するように設定して、アラームの停止動作によって血圧
データを「食事前」、「食事後」という測定条件と関連付けるようにしてもよい。また、他の例としては投薬時刻にアラームを発するように設定して、アラーム停止動作によって血圧データを「投薬前」、「投薬後」という測定条件と関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0095】
これらの警報機能は、一日の中に複数設定してもよく、それぞれにアラーム時刻および警報機能のON/OFFを設定することができる。例えば、目覚ましのアラームは7:00、食事時刻のアラームは12:00、投薬時刻のアラームは17:00というように設定してもよい。なお、それぞれの血圧データと測定条件との関連付けを行う手順は第1から第3の実施形態に記載したのと同様の手順としてもよいし、上述のように「食事前(投薬前)」と「食事後(投薬後)」とで手順を異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
100 電子血圧計
110 本体
120 操作部
130 表示部
140 カフ
150 空気管
210 血圧測定部
220 記憶部
230 CPU
240 時計部
250 時計設定部
260 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血圧を測定する血圧測定手段と、
時刻情報を供給するとともに、警報機能と該警報機能を停止させるための停止操作部を具備する計時手段と、
前記血圧測定手段により測定された血圧データを、供給された時刻に関連付けて記憶する記憶手段と、
制御手段とを有し、
該制御手段は、前記停止操作部が操作された時刻を基準時刻とし、該基準時刻以前および該基準時刻以後のいずれか一方または両方の所定範囲に測定され、前記記憶手段に記憶された血圧データに前記基準時刻に対して設定された測定条件をさらに関連付けることを特徴とする電子血圧計。
【請求項2】
前記基準時刻以前および前記基準時刻以後の所定範囲は、それぞれ血圧データを分類する第1の手順および第2の手順のいずれか一方または両方の手順により決定される範囲であることを特徴とする請求項1に記載の電子血圧計。
【請求項3】
前記基準時刻以前の測定データに対する前記第1の手順は、前記記憶手段に記憶された血圧データのうち、最新の血圧データから遡って数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択するものであり、前記基準時刻以前の測定データに対する前記第2の手順は、前記基準時刻以前の測定データに対しては、設定時間からあらかじめ定められた時間遡った時間幅内に測定された血圧データを選択するものであることを特徴とする請求項2に記載の電子血圧計。
【請求項4】
前記基準時刻以後の測定データに対する前記第1の手順は、最古の血圧データから順に数えてあらかじめ定められた個数の血圧データを選択するものであり、前記基準時刻以後の測定データに対する前記第2の手順は、設定時間からあらかじめ定められた時間遡った時間幅内に測定された血圧データを選択し、前記基準時刻以後の測定データに対しては、前記基準時刻を始期として、該基準時刻以後あらかじめ定められた時間幅内において測定された血圧データを選択するものであることを特徴とする請求項2または3に記載の電子血圧計。
【請求項5】
前記測定条件は、前記警報機能に対して設定されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子血圧計。
【請求項6】
前記警報機能は、起床時刻であることを知らせる警報であり、
前記測定条件は、基準時刻以前が就寝前であり基準時刻以後が起床後であることを特徴とする請求項5に記載の電子血圧計。
【請求項7】
前記設定時間は、警報機能をセットした時間であることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子血圧計。
【請求項8】
前記設定時間は、前記基準時刻以前に測定された血圧データのうち最新の血圧データの測定時間であることを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の電子血圧計。
【請求項9】
前記警報機能は、さらに食事時刻または投薬時刻を知らせる警報を設定可能であり、
前記警報機能が食事時刻の場合、前記測定条件は基準時刻以前が食前、基準時刻以後が食後であり、
前記警報機能が投薬時刻の場合、前記測定条件は基準時刻以前が投薬前、基準時刻以後が投薬後であることを特徴とする請求項6に記載の電子血圧計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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