説明

電子装置、情報交換システム、通信相手特定方法および通信相手特定プログラム

【課題】ユーザによる事前の設定なく送信先を特定する。
【解決手段】他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出部20と、検出された振動または音と他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士を少なくとも1つ比較する比較部47と、比較部47による比較結果に基づいて、前記他の電子装置が通信相手か否か判定する判定部48と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、情報交換システム、通信相手特定方法および通信相手特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯端末は、赤外線通信を用いて他の携帯端末との間でデータを送受信することができる。例えば、特許文献1では、他の携帯端末との間で赤外線通信を用いてデータを送受する携帯端末であって、赤外線通信によるデータの送受を行う旨の接続要求を他の携帯端末へ送信し、携帯端末の状態を、データの送信および受信を行う状態である送受信待機状態に切り替え、接続要求に対する応答を所定の時間内に検出した場合に、送信対象のデータを他の携帯端末へ送信するとともに、他の携帯端末における送信対象のデータを他の携帯端末から取得する携帯端末が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−15368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の携帯端末がデータを送受信するためには、ユーザは予め携帯端末の状態を、データの送信および受信を行う状態である送受信待機状態に切り替える操作をしなければならず、その操作に手間と時間を要していた。また、従来の携帯端末がメールでデータを送信するには、データの送信先をメールアドレスで指定しなければならず、その操作に手間と時間を要していた。
すなわち、従来の携帯端末において、所望の送信先にデータを送信するには、送受信待機状態に切り替えるか、またはデータの送信先をメールアドレスで指定するなど、ユーザによる事前の設定が必要であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザによる事前の設定なく通信相手を特定することを可能とする電子装置、情報交換システム、通信相手特定方法および通信相手特定プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様である電子装置は、他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出部と、前記検出された振動または音と前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士を少なくとも1つ比較する比較部と、前記比較部による比較結果に基づいて、自装置が前記他の電子装置と接触したか否か判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様である情報交換システムは、上記に記載の電子装置を複数備え、前記電子装置のうちの1つの電子装置が所定の閾値を超える振動または音を検出した場合、該電子装置は、自装置以外の他の前記電子装置がデータ送信対象であるか否か判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様である通信相手特定方法は、他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出手順と、前記検出された振動または音と、前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士で少なくとも1つ比較する比較手順と、前記比較手順による比較結果に基づいて、自装置が前記他の電子装置と接触したか否か判定する判定手順と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様である通信相手特定プログラムは、他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出部を備える電子装置のコンピュータに、前記検出された振動または音と、前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士で少なくとも1つ比較する比較ステップと、前記比較ステップによる比較結果に基づいて、自装置が前記他の電子装置と接触したか否か判定する判定ステップと、をコンピュータに実行させるための通信相手特定プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザによる事前の設定なく送信先を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態における情報交換システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態における電子装置のブロック構成図である。
【図3】第1の実施形態における振動波形抽出部の処理を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態における振動波形比較部の処理について説明するための図である。
【図5】第1の実施形態における振動波形比較部の処理について説明するための図である。
【図6】第1の実施形態における音波形比較部の処理について説明するための図である。
【図7】第1の実施形態における情報交換システムの処理の流れが示されたシーケンス図である。
【図8】第1の実施形態の変形例における情報交換システムの構成図である。
【図9】第2の実施形態における情報交換システムの構成図である。
【図10】第2の実施形態における電子装置のブロック構成図である。
【図11】第2の実施形態における情報交換システムの処理の流れが示されたシーケンス図である。
【図12】第2の実施形態の変形例における情報交換システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施形態における情報交換システム1の構成図である。情報交換システム1は、第1の電子装置10_1と、第2の電子装置10_2とを有する。本実施形態では、第1の電子装置10_1は、データを送信する送信側の電子装置であり、第2の電子装置10_2は、第1の電子装置10_1から送信されたデータを受信する受信側の電子装置である。
【0013】
まず、本実施形態に情報交換システム1の概要について説明する。本実施形態における情報交換システム1では、第1の電子装置10_1と第2の電子装置10_2とを接触させたときに、第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された接触時の振動の波形と接触時の音の波形とをそれぞれ比較する。そして、第1の電子装置10_1は、振動の波形が一致し、かつ音の波形が一致した場合に、第2の電子装置10_2をデータの送信先と判定し、第1の電子装置10_1がユーザにより選択されたデータ(例えば、画像データ)を第2の電子装置10_2に送信する。これにより、第1の電子装置10_1は、ユーザによる事前の設定なく所望の送信先を特定することができる。
【0014】
続いて、第1の実施形態における第1の電子装置10_1について説明する。なお、第2の電子装置10_2は、第1の電子装置10_1の構成と同一のため、その説明を省略する。図2は、第1の実施形態における電子装置10_1のブロック構成図である。電子装置10_1は、検出部20と、記憶部31と、通信部32と、電源部33と、表示部34と入力部35と、制御部40とを備える。
【0015】
検出部20は、振動検出部21と、音検出部22とを備える。検出部20は、第2の電子装置10_2と接触させたときの振動または音の少なくとも1つを検出する。
振動検出部21は、自装置の振動を検出し、検出した振動の波形を示す情報(振動波形データ)を制御部40の接触判定部41に出力する。振動検出部21としては、例えば加速度センサまたはジャイロセンサなどが設けられている。
【0016】
音検出部22は、自装置の外部の音を検出し、検出した音の波形を示す情報(音波形でデータ)を制御部40の後述する接触判定部41に出力する。音検出部22としては、マイクなどが設けられている。
【0017】
記憶部31には、第2の電子装置10_2に送信するためのデータ(例えば、画像データ)が記憶されている。
通信部32は、外部との間で無線方式によって情報の通信が可能となるように構成されている。通信部32は、制御部40の後述する通信制御部42による制御を受けて、振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報と音の波形を示す情報とを要求する要求信号を送信する。
【0018】
また、通信部32は、他の電子装置である第2の電子装置10_1から第2の電子装置10_1により検出された振動と音のデータを受信する。具体的には、例えば、通信部32は、第2の電子装置10_1により抽出された振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報と音の波形を示す情報を第2の電子装置10_1が備える通信部32_2から受信する。
また、通信部32は、上記送信するためのデータ(例えば、画像データ)を第2の電子装置10_1が備える通信部32_2に送信する。
【0019】
電源部33は、第1の電子装置10_1が備える各部に電流を供給するための電源が配置されている。電源部33としては、例えば電池やバッテリー等が挙げられる。
表示部34は、制御部40による制御により、所定のデータを表示する。表示部34としては、例えば、液晶ディスプレイが設けられている。
入力部35は、タッチパネルを備え、タッチパネルによる操作により入力された情報を受け付け、受け付けられた入力情報を制御部40に出力する。具体的には、例えば、入力部35は、タッチパネルによる操作により選択された画像データのファイル名を示す情報を制御部40に出力する。
【0020】
制御部40は、接触判定部41と、通信制御部42と、振動波形抽出部45と、音波形抽出部46と、比較部47と、判定部48とを備える。
接触判定部41は、検出部20により検出された振動または音の少なくとも1つに基づいて、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触したか否か判定する。そして接触判定部41は、判定結果を示す情報を通信制御部42の受信制御部42_1に出力する。
【0021】
具体的には、例えば、接触判定部41は、振動検出部21により検出された振動量が予め決められた所定の閾値Th1を越える場合、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触したと判定する。
なお、接触判定部41は、音検出部22により検出された音量が予め決められた所定の閾値Th2を越える場合、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触したと判定してもよい。
【0022】
また、接触判定部41は、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触したと判定した場合、検出部20により検出された振動または音の少なくとも1つに基づいて、振動開始時刻t_1を抽出する。
具体的には、例えば、接触判定部41は、振動検出部21から出力された振動の波形を示す情報を受け取り、その振動の波形が始めて振動量の閾値Th1を越える時刻を振動開始時刻t_1として抽出する。そして接触判定部41は、抽出した振動開始時刻t_1を示す情報を振動波形抽出部45と、音波形抽出部46とに出力する。
【0023】
なお、接触判定部41は、音検出部22から出力された音の波形を示す情報を受け取り、その音の波形が始めて振動量の閾値Th2を越える時刻を振動開始時刻t_1として抽出してもよい。
【0024】
通信制御部42は、第2の電子装置10_2との間で、無線アドホックネットワークを確立する。ここで、通信制御部42は、受信制御部42_1と送信制御部42_2とを備える。
受信制御部42は、接触判定部41により他の電子装置である第2の電子装置10_2に接触されたと判定された場合、通信部32が他の電子装置である第2の電子装置10_2から当該第2の電子装置10_2により検出された振動を示す情報または音を示す情報のうち少なくとも1つを受信するよう制御する。
【0025】
送信制御部42_2は、判定部48により他の電子装置である第2の電子装置10_2がデータ送信対象であると判定された場合、第2の電子装置10_2との通信を開始するよう制御する。具体的には、例えば、送信制御部42_2は、判定部48から入力される判定結果を示す情報を参照して、判定部48により他の電子装置である第2の電子装置10_2が通信相手であると判定された場合、送信制御部32_2は、他の電子装置である第2の電子装置10_2に所定のデータを送信するよう制御する。
【0026】
振動波形抽出部45は、接触判定部41により抽出された振動開始時刻t_1から所定期間(本実施形態では、1例として1秒間)の振動の波形を抽出し、抽出した振動の波形を示す情報を比較部47の後述する振動波形比較部47_1に出力する。
図3を用いて振動波形抽出部45の処理について説明する。図3は、第1の実施形態における振動波形抽出部45の処理を説明するための図である。
【0027】
同図において、振動検出部21から得られた振動の波形51の一例が示されている。横軸は時間で、縦軸は振動量である。また、振動量の閾値Th1を示す直線52が示されている。振動開始時刻t_1は、振動の波形51が始めて振動量の閾値Th1を越える時刻である。また、振動波形抽出部45から出力される振動開始時刻から1秒間の振動の波形53が示されている。
【0028】
図2に戻って、振動波形抽出部45は、振動検出部21から出力された振動の波形を示す情報を受け取り、振動の波形51が始めて振動量の閾値Th1を越える振動開始時刻t_1を抽出し、抽出した振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報を抽出する。そして、振動波形抽出部45は、抽出した振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報を比較部47の後述する振動波形比較部47_1に出力する。
【0029】
音波形抽出部46は、接触判定部41により抽出された振動開始時刻t_1から所定期間(本実施形態では、1例として1秒間)の音の波形を抽出し、抽出した音の波形を示す情報を比較部47の後述する音波形比較部47_2に出力する。
図4を用いて音波形抽出部46の処理について説明する。図4は、第1の実施形態における音波形抽出部46の処理を説明するための図である。
【0030】
同図において、音検出部22から得られた音の波形61の一例が示されている。横軸は時刻で、縦軸は音量である。振動開始時刻t_1が示されている。また、音波形抽出部46から出力される振動開始時刻t_1から1秒間の音の波形63が示されている。
【0031】
図2に戻って、音波形抽出部46は、接触判定部41から入力された振動開始時刻t_1を用いて、振動開始時刻t_1から1秒間の音波形を示す情報を抽出する。そして、振動波形抽出部45は、抽出した振動開始時刻t_1から1秒間の音波形を示す情報を比較部47の後述する音波形比較部47_2に出力する。
【0032】
比較部47は、検出部20により検出された振動または音と他の電子装置である第2の電子装置10_2により検出された振動または音とのうち、同一の物理量同士を少なくとも1つ比較する。具体的には、例えば、比較部47は、振動波形抽出部45により抽出された振動の波形および音波形抽出部46により抽出された音の波形をそれぞれ他の電子装置である第2の電子装置10_2により検出された振動の波形および音の波形と比較する。
比較部47は、振動波形比較部47_1と、音波形比較部47_2とを備える。
【0033】
振動波形比較部47_1は、通信部32を介して第2の電子装置10_2により検出された振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報を受け取る。そして、振動波形比較部47_1は、検出部20により検出された振動の波形と他の電子装置である第2の電子装置10_2により検出された振動の波形とを比較する。
【0034】
図5を用いて、振動波形比較部47_1の処理について説明する。図5は、第1の実施形態における振動波形比較部47_1の処理について説明するための図である。同図において、第1の電子装置10_1により抽出された振動波形53と、第2の電子装置10_2により抽出された振動波形53_2とが示されており、それらの振動波形情報が振動波形比較部47_1に入力される。また、振動比較結果を示す情報Rvが振動波形比較部47_1から出力されることが示されている。
【0035】
図2に戻って、振動波形比較部47_1は、入力された2つの振動の波形を示す情報から、2つの振動の波形の差が所定の範囲内にある場合、2つの振動を同一とみなし、振動比較結果Rvを1とする。
一方、振動波形比較部47_1は、入力された2つの振動の波形を示す情報から、2つの振動波形の差が所定の範囲内にない場合、2つの振動を異なる振動とみなし、振動比較結果Rvを0とする。そして、振動波形比較部47_1は、振動比較結果Rvを示す情報を判定部48に出力する。
【0036】
音波形比較部47_2は、通信部32を介して第2の電子装置10_2により検出された振動開始時刻t_1から1秒間の音の波形を示す情報を受け取る。そして、振動波形比較部47_1は、検出部20により検出された音の波形と他の電子装置である第2の電子装置10_2により検出された音の波形とを比較する。
【0037】
図6を用いて、音波形比較部47_2の処理について説明する。図6は、第1の実施形態における振動波形比較部47_2の処理について説明するための図である。同図において、第1の電子装置10_1により抽出された音の波形63と、第2の電子装置10_2により抽出された音の波形63_2とが示されており、それらの音波形情報が音波形比較部47_2に入力される。また、音比較結果を示す情報Rsが振動波形比較部47_2から出力されることが示されている。
【0038】
図2に戻って、音波形比較部47_2は、入力された2つの音の波形を示す情報から、2つの音の波形の差が所定の範囲内のある場合、2つの音を同一とみなし、音比較結果Rsを1とする。一方、音波形比較部47_2は、入力された2つの音の波形情報から、2つの音の波形の差が所定の範囲内にない場合、2つの音を異なる音とみなし、音比較結果Rsを0とする。そして、音波形比較部47_2は、音比較結果Rsを示す情報を判定部48に出力する。
【0039】
判定部48は、比較部47による比較結果に基づいて、他の電子装置である第2の電子装置10_2が通信相手であるか否か判定する。すなわち判定部48は、振動波形比較部47_1による比較結果と音波形比較部47_2の比較結果に基づいて、他の電子装置である第2の電子装置10_2が通信相手であるか否か判定する。
【0040】
具体的には、例えば、判定部48は、振動比較結果Rvが1で、かつ音比較結果Rsが1の場合、すなわち振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形が同一とみなせ、かつ音の波形が同一とみなせる場合、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触したとみなし、他の電子装置である第2の電子装置10_2が通信相手であると判定する。これにより、判定部48は、データ送信対象を他の電子装置である第2の電子装置10_2に特定することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、判定部48は、振動の波形が同一とみなせ、かつ音の波形が同一とみなせる場合、第2の電子装置10_2が通信相手であると判定したが、これに限ったものではない。判定部48は、振動の波形同士が近似し、かつ音の波形同士が近似している場合、第2の電子装置10_2が通信相手であると判定してもよい。
【0042】
一方、判定部48は、振動比較結果Rvと音比較結果Rsのうちいずれかが0の場合、すなわち振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形と音の波形とのうちいずれかが同一とみなせない場合、他の電子装置である第2の電子装置10_2と接触していないとみなし、他の電子装置である第2の電子装置10_2と通信相手でないと判定する。
そして、判定部48は、判定結果を示す情報を送信制御部42_2に出力する。
【0043】
図7は、第1の実施形態における情報交換システム1の処理の流れが示されたシーケンス図である。ここでは、第1の電子装置10_1と第2の電子装置10_2との間で、無線アドホックネットワークが既に確立されていることを前提にする。まず、第1の電子装置10_1は、送信する画像データの指定を受け付ける(T101)。次に、第1の電子装置10_1は、ユーザにより動かされて第2の電子装置10_2と接触する。その際、第1の電子装置10_1は、第2の電子装置10_2と接触時の振動と音を検出する(T102)。同様に、第2の電子装置10_2は、第1の電子装置10_1と接触時の振動と音を検出する(T102_2)。
【0044】
次に、第1の電子装置10_1は、閾値Th1を越える振動が検出された最初の時刻である振動開始時刻t_1を検出する(T103)。次に、第1の電子装置10_1は、第2の電子装置10_2に振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報と音の波形を示す情報とを要求する(T104)。
【0045】
次に、第1の電子装置10_1は、振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報を抽出する(T105)。同様に、第2の電子装置10_1は、振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報を抽出する(T105_2)。
次に、第1の電子装置10_1は、振動開始時刻t_1から1秒間の音の波形を示す情報を抽出する(T106)。同様に、第2の電子装置10_2は、振動開始時刻t_1から1秒間の音波形を示す情報を抽出する(T106_2)。
【0046】
次に、第2の電子装置10_2は、第1の電子装置10_1の要求に応じ、振動開始時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報と音の波形を示す情報とを第1の電子装置10_1に送信する(T107)。
次に、第1の電子装置10_1は、自装置が抽出した振動の波形と、第2の電子装置10_2により抽出された振動の波形とを比較する(T108)。
【0047】
次に、第1の電子装置10_1は、自装置が抽出した音の波形と、第2の電子装置10_1により抽出された音の波形とを比較する(T109)。次に、第1の電子装置10_1は、振動の波形が同一とみなせかつ音の波形が同一とみなせるか否か判定する(T110)。振動の波形が同一とみなせかつ音の波形が同一とみなせる場合(T110 YES)、第1の電子装置10_1は、画像データの送信先を第2の電子装置10_2に特定し、画像データを第2の電子装置10_2に送信する(T111)。以上で、本シーケンスの処理を終了する。
【0048】
<第1の実施形態の効果>
以上、本実施形態の第1の電子装置10_1は、第2の電子装置10_2と接触したときに、自装置の検出部20により検出された接触時の振動の波形および接触時の音の波形と、第2の電子装置10b_2により検出された接触時の振動の波形および接触時の音の波形とをそれぞれ比較することにより、接触時の振動の波形および接触時の音の波形とが同一とみなせる場合、第2の電子装置10_2をデータの送信先に指定する。
【0049】
これによれば、本実施形態の送信側の電子装置は、予めデータの送信先を設定する必要なくデータの送信先を特定ことができるので、データの送信にかかる手間と時間を削減することができる。また、本実施形態の受信側の電子装置は、赤外線通信のように事前に受信待機状態に切り替える必要がないので、データの受信にかかる手間と時間を削減することができる。
【0050】
また、本実施形態の第1の電子装置10_1は、自装置が検出した振動の波形と同一とみなせる振動の波形を検出し、かつ自装置が検出した音の波形と同一とみなせる音の波形を検出した電子装置のみをデータの送信対象であると判定するので、間違ったデータの送信先を選択することを防ぐことができる。その効果について、下記に具体例を挙げて説明する。
【0051】
例えば、第1の電子装置10_1と第2の電子装置10_2と別の第3の電子装置との間で、無線アドホックネットワークが既に確立されていることを前提にする。第1の電子装置10_1は、自装置の振動を感知した場合に、無線アドホックネットワークを介して、そのネットワークに接続されている全ての電子装置に対して、すなわち第2の電子装置10_2と別の第3の電子装置に対して、振動時刻t_1から1秒間の振動の波形を示す情報と音の波形を示す情報とを要求する。
【0052】
その場合において、第1の電子装置10_1と第2の電子装置10_2とが接触した時に、偶然、第3の電子装置がテーブルに接触した場合、第1の電子装置10_1が検出した振動の波形または音の波形と、第3の電子装置が検出した振動の波形または音の波形とをそれぞれ比較した場合、振動の波形または音の波形のいずれか1つが偶然にも一致するケースがあり得る。
しかし、振動の波形と音の波形が両方とも一致する確率は、いずれか1つが一致する確率よりも更に低くなるので、第1の電子装置10_1は、間違ったデータの送信先を選択することを防ぐことができる。
【0053】
なお、本実施形態の第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された接触時の振動の波形と接触時の音の波形とをそれぞれ比較することによりデータの送信先を特定したが、これに限ったものではない。第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された接触時の振動の波形と接触時の音の波形のうちいずれかの波形同士だけを比較することによりデータの送信先を特定してもよい。
【0054】
また、本実施形態の第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された接触時の振動開始時刻t_1と振動が所定の閾値Th1を越えている時間である振動継続時間T1とをそれぞれ比較することにより、データの送信先を特定してもよい。その場合、第2の電子装置10_2は、振動開始時刻t_1を示す情報と振動継続時間T1を示す情報とを第1の電子装置10_1に送信すればよい。これにより、振動開始時刻t_1を示す情報と振動継続時間T1を示す情報は、振動の波形を示す情報と抽出した音の波形を示す情報よりも容量が小さくすむので、第2の電子装置10_2は送信するパケット量を減らすことができるので、通信にかかる時間を短くすることができる。また、第1の電子装置10_1は、振動開始時刻t_1を示す情報と振動継続時間T1を示す情報を比較すればよいので、振動の波形または音の波形を比較するよりも演算量を削減することができる。これは、特に後述する第1の実施形態の変形例のように、通信対象となる候補の電子装置が多くなった場合に効果が大きい。
【0055】
また、本実施形態の第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された音が所定の閾値Th2を最初に超えた時刻である音開始時刻t_2と音が所定の閾値Th2を越えている時間である音継続時間T2とをそれぞれ比較することにより、データの送信先を特定してもよい。
【0056】
更に、本実施形態の第1の電子装置10_1は、上記を組み合わせて、振動開始時刻t_1と、振動継続時間T1と、音開始時刻t_2と、音継続時間T2とをそれぞれ比較することにより、データの送信先を特定してもよい。これにより、第1の電子装置10_1は、振動と音の4つ全てのパラメータが同一とみなせる場合、第2の電子装置10_2をデータの送信先と判定するので、振動または音のいずれかのパラメータに基づいて判定するよりも、正確に送信対象を特定することができる。
【0057】
<第1の実施形態の変形例>
また、本実施形態では、データを送信する電子装置が1台で、データを受信する電子装置が1台であるが、これに限らず、データを送信する電子装置が1台で、データを受信する電子装置が1台以上あればよい。
【0058】
図8は、第1の実施形態の変形例における情報交換システム1bの構成図である。情報交換システム1bは、第1の電子装置10_1、第2の電子装置10_2、第3の電子装置10_3、…、第Nの電子装置10_Nから構成されるN個の第iの電子装置10_i(iは1からNまでの整数)を有する。
【0059】
ここでは、第1の電子装置10_1から他の全ての電子装置に所定のデータ(例えば、画像データ)を送信する例について説明する。なお、所定のデータを送信する電子装置は、第1の電子装置10_1に限定されるものではなく、情報交換システム1bが有する電子装置のうちの1つの電子装置であればよい。
【0060】
情報交換システム1bが有する電子装置のうちの1つの電子装置である第1の電子装置10_1が所定の閾値を超える振動を検出した場合、当該第1の電子装置10_1は、自装置以外の他の電子装置がデータ送信対象であるか否か判定する。そして、第1の電子装置10_1は、データ送信対象と判定した電子装置に対して、上記所定のデータを送信する。
【0061】
第1の電子装置10_1がデータを送信する際には、同図に示されているように、ユーザにより自装置が動かされて、図8に示されるように、自装置が送信先の電子装置と直接接触させられるか、または別の電子装置を間に挟んで送信先の電子装置と接触させられる。
【0062】
ここで、送信側の電子装置が別の電子装置を間に挟んで送信先の電子装置と接触している1例として、図8において、第3の電子装置10_3が第1の電子装置10_1に直接接触しておらず、第2の電子装置10_2が第1の電子装置10_1と第3の電子装置10_3の間に挟まれていることが示されている。
【0063】
このように、受信側の電子装置は、送信側の電子装置である第1の電子装置10_1に直接接触しているだけでなく、他の電子装置が間に挟まれて、送信側の電子装置である第1の電子装置10_1の振動とが受信側の第2から第Nまでの電子装置の振動とが相互に伝わる関係にあればよい。
そして、各第iの電子装置10_iの筐体の素材と外形とを同一となるように構成すれば、接触した際に各電子装置が備える振動検出部が検出部は、それぞれ同一とみなせる振動の波形を検出することができる。
また、各第iの電子装置10_iは近接した位置にあるので、接触した際に各第iの電子装置10_iが備える音検出部は、それぞれ同一とみなせる音の波形を検出することができる。
【0064】
情報交換システム1bが有する電子装置のうちの1つの電子装置である第1の電子装置10b1が所定の閾値を超える振動を検出した場合、当該第1の電子装置10_1は、
自装置が検出した振動の波形および音の波形と、他のN−1個の電子装置(10_2〜10b_N)により検出された振動の波形および音の波形とを順に比較する。
【0065】
自装置が検出した振動の波形および音の波形と、他の第iの電子装置により検出された振動の波形および音の波形とがそれぞれ同一とみなせる範囲にある場合、第iの電子装置10b_iをデータ送信対象であると判定する。第1の電子装置10b_1は、この処理をN−1回繰り返す。そして、第1の電子装置10b_1は、データ送信対象と判定した電子装置に対して、上記所定のデータを一斉に送信する。
【0066】
<第1の実施形態の変形例の効果>
以上、本実施形態の送信側の電子装置は、自装置が検出した振動の波形および音の波形と、他の電子装置により検出された振動の波形および音の波形とをそれぞれ比較することにより、複数の送信先を特定し、その送信先に所望のデータを一斉に送信することができる。
【0067】
これによれば、本実施形態の送信側の電子装置は、予めデータの送信先を設定する必要なく複数のデータの送信先を特定ことができるので、データの送信にかかる手間と時間を削減することができる。また、本実施形態の受信側の電子装置は、赤外線通信のように事前に受信待機状態に切り替える必要がないので、データの受信にかかる手間と時間を削減することができる。
【0068】
また、第1の電子装置10_1から第Nの電子装置10_NまでのN個の電子装置の間で、無線アドホックネットワークが既に確立されていることを前提とした場合を考える。その場合、ユーザにより第1の電子装置10_1が、そのユーザがデータを送信したい第iの電子装置10_iに対してのみ接触したときに、第1の電子装置10_1は、接触した第iの電子装置10_iに対してのみデータを送信することができる。
これにより、第1の電子装置10_1を使用するユーザは、他の第iの電子装置10_iを使用するユーザに知られること無く、特定の電子装置に対してデータを送信することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態における情報交換システム2の構成図である。情報交換システム1bは、第1の電子装置10b_1と、第2の電子装置10b_2とを有する。同図において、xyz座標系において、第1の電子装置10b_1と、第2の電子装置10b_2とが衝突するときに、衝突の目標となる衝突目標位置71が示されている。
【0070】
そして、衝突目標位置71は、衝突目標直線L_1と衝突目標直線L_2の交点に位置する。また、第1の電子装置10b_1の衝突目標位置P_1に一番近い筐体の側面SD1と、第2の電子装置10b_2の衝突目標位置P_2に一番近い筐体の側面SD2とが示されている。
【0071】
まず、第2の実施形態における情報交換システム2の概要について説明する。上述した第1の実施形態では、第1の電子装置10_1と第2の電子装置10_2とを接触させたときに、第1の電子装置10_1は、それぞれの電子装置で検出された接触時の振動の波形と接触時の音の波形とをそれぞれ比較することによりデータの送信先を特定した。
【0072】
第2の実施形態では、衝突目標位置71を衝突目標に対し、第1の電子装置10b_1の側面SD1を向け、第2の電子装置10b_2の側面SD2を向ける。その場合において、第1の電子装置10b_1と第2の電子装置10b_2とが接触させられたときに、第1の電子装置10b_1と第2の電子装置10b_2とが、ある同じ衝突目標位置71の方向に向いている場合に、第1の電子装置10b_1は、第2の電子装置10b_2をデータの送信先として特定する。
【0073】
続いて、第2の実施形態における第1の電子装置10b_1について説明する。なお、第2の電子装置10b_2は、第1の電子装置10b_1の構成と同一のため、その説明を省略する。図10は、第2の実施形態における電子装置10b_1のブロック構成図である。なお、図1と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
図10の電子装置10b_1の構成は、図1の電子装置10_1の構成に対して、検出部20が検出部20bに変更され、制御部40が制御部40bに変更されたものとなっている。
【0074】
検出部20bは、検出部20と比べて、方位検出部23と、位置検出部24とが追加されたものになっている。
方位検出部23は、例えば、ホール素子によって地磁気から方位を検出する方位センサである。方位検出部23は、自装置が向いている方位を検出し、検出した方位の情報を制御部40bの後述する衝突位置抽出部94に出力する。
【0075】
具体的には、例えば、方位検出部23は、所定の座標系(例えば、緯度、経度、重力方向をそれぞれ軸とする座標系)において、筐体の側面であって衝突目標位置に一番近い側面SD1の法線方向を方位として検出し、検出した方位を示す情報を制御部40bに出力する。
【0076】
位置検出部24は、自装置の位置を検出し、検出した自装置の位置を示す情報を制御部40bの後述する位置抽出部93に出力する。位置検出部24は、例えば、ジャイロセンサである。
【0077】
制御部40bは、制御部40と比べて、位置抽出部93と、衝突位置抽出部94とが追加され、比較部47が比較部47bに変更され、判定部48が判定部48bに変更され、振動波形抽出部45と、音波形抽出部46とが取り除かれたものになっている。
【0078】
位置抽出部93は、位置検出部24により入力された自装置の位置を示す情報から、振動開始時刻t_1における自装置の位置を抽出し、抽出した振動開始時刻t_1における自装置の位置を示す情報を衝突目標直線算出部94に出力する。
【0079】
衝突目標直線算出部94は、接触判定部31により抽出された振動開始時刻t_1において、方位検出部23により検出された自端末の方位を抽出する。
衝突目標直線算出部94は、抽出した振動開始時刻t_1の方位を示す情報と、位置抽出部93から入力された振動開始時刻t_1における自装置の位置を示す情報とに基づいて、自装置と他の電子装置が衝突する目標となる衝突目標位置が存在する衝突目標直線を算出する。
【0080】
具体的には、衝突目標直線算出部94は、振動開始時刻t_1の位置から、振動開始時刻t_1の方位の方向の直線を衝突目標直線として算出する。そして、衝突目標直線算出部94は、衝突目標直線L_1を示す情報を比較部47bの後述する直線交差判定部95に出力する。
【0081】
比較部47bは、直線交差判定部95を備える。直線交差判定部95は、通信部32を介して第2の電子装置10b_2により算出された衝突目標直線L2を示す情報を受け取る。直線交差判定部95は、算出された衝突目標直線L_1と、他の電子装置である第2の電子装置10b_2により算出された衝突目標直線L_2とが所定の位置範囲で交わるか否か判定する。
【0082】
具体的には、例えば、直線交差判定部95は、2つの衝突目標直線が所定の位置範囲で交わる場合、交差判定結果Rdを1とし、2つの衝突目標直線が所定の位置範囲で交わらない場合、交差判定結果Rdを0とする。そして、その交差判定結果を示す情報Rdを判定部48bに出力する。
【0083】
判定部48bは、比較部47の直線交差判定部95により交わると判定された場合、自装置が他の電子装置である第2の電子装置10b_2が通信相手であるか否か判定する。
具体的には、例えば、判定部48bは、交差判定結果Rdが1の場合、すなわち2つの衝突目標直線が所定の位置範囲で交わる場合、自装置が他の電子装置である第2の電子装置10b_2と通信相手であると判定する。これにより、判定部48bは、データ送信対象を他の電子装置である第2の電子装置10b_2に特定することができる。
【0084】
一方、判定部48bは、交差判定結果Rdが0の場合、すなわち2つの衝突目標直線が所定の位置範囲で交わらない場合、自装置が他の電子装置である第2の電子装置10b_2と接触しなかったと判定する。そして、判定部48bは、判定結果を示す情報を送信制御部42_2に出力する。
【0085】
図11は、第2の実施形態における情報交換システム2の処理の流れが示されたシーケンス図である。ここでは、第1の電子装置10b_1と第2の電子装置10b_2との間で、無線アドホックネットワークが既に確立されていることを前提にする。まず、第1の電子装置10b_1は、送信する画像データの指定を受け付ける(T201)。次に、第1の電子装置10_1は、ユーザにより動かされて第2の電子装置10_2と接触する。その際、第1の電子装置10_1は、第2の電子装置10_2と接触時の振動を検出する(T202)。同様に、第2の電子装置10_2は、第1の電子装置10_1と接触時の振動を検出する(T202_2)。
【0086】
次に、第1の電子装置10b_1は、閾値Th1を越える振動が検出された最初の時刻である振動開始時刻t_1を検出する(T203)。次に、第1の電子装置10b_1は、第2の電子装置10b_2に衝突目標直線を示す情報を要求する(T204)。
【0087】
次に、第1の電子装置10b_1は、衝突目標直線を示す情報を算出する(T205)。同様に、第2の電子装置10b_1は、衝突目標直線を示す情報を算出する(T205_2)。
【0088】
次に、第2の電子装置10b_2は、第1の電子装置10b_1の要求に応じ、衝突目標直線を示す情報を第1の電子装置10b_1に送信する(T206)。
次に、第1の電子装置10b_1は、自装置が算出した衝突目標直線と、第2の電子装置10b_2により算出された衝突目標直線同士が所定の位置範囲で交わるか否か判定する(T207)。
【0089】
衝突目標直線同士が所定の位置範囲で交わる場合(T207 YES)、第1の電子装置10b_1は、画像データの送信先を第2の電子装置10b_2に特定し、画像データを第2の電子装置10b_2に送信する(T208)。以上で、本シーケンスの処理を終了する。
【0090】
<第2の実施形態の効果>
以上、本実施形態の第1の電子装置10b_1は、第2の電子装置10b_2と接触したときに算出した衝突目標直線と、第2の電子装置10b_2により算出された衝突目標直線とを比較し、衝突目標直線が所定の位置範囲で交わる場合、第2の電子装置10b_2をデータの送信先に指定する。
【0091】
これによれば、本実施形態の送信側の電子装置は、予めデータの送信先を設定する必要なくデータの送信先を特定ことができるので、データの送信にかかる手間と時間を削減することができる。また、本実施形態の受信側の電子装置は、赤外線通信のように事前に受信待機状態に切り替える必要がないので、データの受信にかかる手間と時間を削減することができる。
【0092】
なお、本実施形態の第2の電子装置10b_1は、第2の電子装置10b_1との間で、衝突目標位置のみを比較したが、これに限らず、衝突目標位置と接触時の振動の波形とを比較してもよいし、衝突目標位置と接触時の音の波形とを比較してもよい。
【0093】
<第2の実施形態の変形例>
また、本実施形態では、データを送信する電子装置が1台で、データを受信する電子装置が1台であるが、これに限らず、データを送信する電子装置が1台で、データを受信する電子装置が1台以上あればよい。
【0094】
図12は、第2の実施形態の変形例における情報交換システム2bの構成図である。情報交換システム2bは、第1の電子装置10b_1、第2の電子装置10b_2、第3の電子装置10b_3、…、第Mの電子装置10_Mから構成されるM個の第jの電子装置10_j(jは1からMまでの整数)を有する。同図において、衝突目標位置71bが示されている。
【0095】
ここでは、第1の電子装置10b_1から他の全ての電子装置に所定のデータ(例えば、画像データ)を送信する例について説明する。なお、所定のデータを送信する電子装置は、第1の電子装置10b_1に限定されるものではなく、情報交換システム2bが有する電子装置のうちの1つの電子装置であればよい。
【0096】
情報交換システム2bが有する電子装置のうちの1つの電子装置である第1の電子装置10b_1が所定の閾値を超える振動を検出した場合、当該第1の電子装置10b_1は、
自装置により算出した衝突目標直線L_1と、他のM−1個の電子装置(10b_2〜10b_M)により算出された衝突目標直線(L_2〜L_M)とが交わるか否か、順に判定する。
【0097】
第1の電子装置10b_1は、自装置により推定した衝突目標直線L_1と衝突目標直線L_k(kは2からMまでの整数)とが所定の位置範囲で交わる場合、第kの電子装置10b_kをデータ送信対象であると判定する。第1の電子装置10b_1は、この処理を衝突目標直線L_2から衝突目標直線L_MまでM−1回繰り返す。そして、第1の電子装置10b_1は、データ送信対象と判定した電子装置に対して、上記所定のデータを一斉に送信する。
【0098】
<第2の実施形態の変形例の効果>
以上、本実施形態の送信側の電子装置は、自装置が推定した衝突目標位置と、他の電子装置により推定された衝突目標位置とを比較することにより、複数の送信先を特定し、その送信先に所望のデータを一斉に送信することができる。
【0099】
これによれば、本実施形態の送信側の電子装置は、予めデータの送信先を設定する必要なく複数のデータの送信先を特定ことができるので、データの送信にかかる手間と時間を削減することができる。また、本実施形態の受信側の電子装置は、赤外線通信のように事前に受信待機状態に切り替える必要がないので、データの受信にかかる手間と時間を削減することができる。
【0100】
なお、本発明のすべての実施形態において、所望のデータを送信する送信側の電子装置が受信側の電子端末に、振動の波形を示す情報および音の波形を示す情報または衝突目標直線を示す情報を要求したが、これに限らず、受信側の電子端末が所定の閾値Th1を超える振動を検知した場合に、振動の波形を示す情報および音の波形を示す情報または衝突目標直線を示す情報を送信側の電子装置に送信してもよい。
【0101】
なお、全ての実施形態に共通して、送信側の電子装置は、他の電子装置が通信相手であるか否かを判定するために振動量および音量を比較したが、これに限らず、送信側の電子装置の比較部(47、47b)は、検出部(20、20b)により検出された振動の周波数特性または音の周波数特性を予め記憶部31に記憶されている電子装置同士が接触したときのそれぞれの周波数情報と比較する。そして、送信側の電子装置の判定部(48、48b)は、その比較結果に基づいて他の電子装置が通信相手であるか否か判定してもよい。
【0102】
具体的には、記憶部31には、自装置と他の電子装置とが接触したときの振動の周波数特性を示す情報と音の周波数特性を示す情報のうち少なくとも1つが記憶されている。
制御部(40、40b)は、更に周波数特性算出部を備え、その周波数特性算出部は、検出部(20、20b)により検出された振動の周波数特性または音の周波数特性を算出する。
【0103】
比較部(47、47b)は、記憶部31から振動の周波数特性を示す情報または音の周波数特性を示す情報を読み出し、読み出した振動の周波数特性を示す情報または音の周波数特性を示す情報と、周波数特性算出部により算出された振動の周波数特性または音の周波数特性との間で、同一の物理量の周波数特性同士を少なくとも1つ比較する。
そして、判定部(48、48b)は、その比較部(47、47b)による比較結果に基づいて、他の電子装置が通信相手であるか否か判定する。
【0104】
詳細には、例えば、比較部(47、47b)は、所定の周波数間隔毎に、検出した振動のある周波数における振幅と、読み出した振動のその周波数における振幅との差分の絶対値を算出する。そして、比較部(47、47b)は、所定の周波数間隔毎に算出した差分の絶対値の総和を算出する。
【0105】
判定部(48、48b)は、その総和が所定の閾値よりも小さい場合、自装置が他の電子装置と接触したとみなし、他の電子装置が通信相手であると判定する。一方、その総和が所定の閾値以上の場合、判定部(48、48b)は、自装置が他の電子装置と接触しなかったとみなし、他の電子装置が通信相手でないと判定する。
【0106】
これにより、送信側の電子装置は、自装置が他の物と接触したのではなく、本実施形態の情報交換システムが有する他の電子装置と接触したか否かをより正確に判定することができる。その結果、送信側の電子装置は、他の電子装置が通信相手であるか否かをより正確に判定することができる。
【0107】
また、全ての実施形態に共通して、送信側の電子装置の比較部(47、47b)は、振動の波形、音の波形、振動の周波数特性または音の周波数特性の信号のいずれか1つだけを、他の電子装置により検出された同種の信号と比較し、判定部(48、48b)はその比較結果に基づいて自装置が他の電子装置と接触したか否か判定してもよい。
【0108】
また、全ての実施形態に共通して、送信側の電子装置の比較部(47、47b)は、振動の波形、音の波形、振動の周波数特性または音の周波数特性のうち少なくとも2つ以上の信号を他の電子装置により検出された同種の信号とそれぞれ比較し、判定部(48、48b)はその比較結果に基づいて自装置が他の電子装置と接触したか否か判定してもよい。
【0109】
また、本実施形態の第iの電子装置10_iまたは第jの電子装置10b_jの各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、第iの電子装置10_iまたは第jの電子装置10b_jに係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0110】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、SDカード、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0111】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0112】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0113】
1、1b、2、2b 情報交換システム
10_1 第1の電子装置
10_2 第2の電子装置
10_3 第3の電子装置
10_M 第Mの電子装置
10_N 第Nの電子装置
20 検出部
21 振動検出部
22 音検出部
23 方位検出部
24 位置検出部
31 記憶部
32、32_2 通信部
33 電源部
34 表示部
35 入力部
40、40b 制御部
41 接触判定部
42 通信制御部
42_1 受信制御部
42_2 送信制御部
45 振動波形抽出部
46 音波形抽出部
47、47b 比較部
47_1 振動波形比較部
47_2 音波形比較部
48、48b 判定部
93 位置抽出部
94 衝突目標位置推定部
95 直線交差判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出部と、
前記検出された振動または音と前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士を少なくとも1つ比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記他の電子装置が通信相手か否か判定する判定部と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
自装置と前記他の電子装置とが接触したときの振動の周波数特性を示す情報と音の周波数特性を示す情報のうち少なくとも1つが記憶されている記憶部と、
前記検出部により検出された振動の周波数特性または音の周波数特性を算出する周波数特性算出部と、
前記比較部は、前記記憶部から振動の周波数特性を示す情報または音の周波数特性を示す情報を読み出し、前記読み出した振動の周波数特性を示す情報または音の周波数特性を示す情報と、前記周波数特性算出部により算出された振動の周波数特性または音の周波数特性との間で、同一の物理量の周波数特性同士を少なくとも1つ比較し、
前記判定部は、前記比較部による比較結果に基づいて、前記他の電子装置が通信相手か否か判定することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記判定部により自装置が前記他の電子装置と接触したと判定された場合、前記他の電子装置との通信を開始するよう制御する送信制御部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、前記判定部により自装置が前記他の電子装置と接触したと判定された場合、前記他の電子装置に所定のデータを送信するよう制御することを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記検出部により検出された振動または音の少なくとも1つに基づいて、前記他の電子装置と接触したか否か判定する接触判定部と、
前記他の電子装置から該他の電子装置により検出された振動、音または方位を示す情報のうち少なくとも1つを受信する通信部と、
前記接触判定部により前記他の電子装置に接触されたと判定された場合、前記通信部が前記他の電子装置から該他の電子装置により検出された振動を示す情報または音を示す情報のうち少なくとも1つを受信するよう制御する受信制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接触判定部は、前記他の電子装置と接触したと判定した場合、前記検出部により検出された振動または音のうち少なくとも1つに基づいて、振動開始時刻を抽出することを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記接触判定部により抽出された振動開始時刻から所定期間の振動の波形を抽出する振動波形抽出部と、
前記接触判定部により抽出された振動開始時刻から所定期間の音の波形を抽出する音波形抽出部と、
を備え、
前記比較部は、前記抽出された振動の波形および前記抽出された音の波形をそれぞれ前記他の電子装置により検出された振動の波形および音の波形と比較することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子装置。
【請求項8】
前記比較部は、
前記検出部により検出された振動の波形と前記他の電子装置により検出された振動の波形とを比較する振動波形比較部と、
前記検出部により検出された音の波形と前記他の電子装置により検出された音の波形とを比較する音波形比較部と、
を備え、
前記判定部は、前記振動波形比較部による比較結果と前記音波形比較部の比較結果に基づいて、前記他の電子装置がデータ送信対象であるか否か判定することを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記検出部が、自装置が向いている方位を検出する方位検出部と、自装置の位置を検出する位置検出部とを備える電子装置であって、
前記接触判定部により抽出された振動開始時刻において、前記方位検出部により検出された自端末の方位と、前記位置検出部により検出された自装置の位置とに基づいて、自装置と他の電子装置が衝突する目標となる衝突目標位置が存在する衝突目標直線を算出する衝突目標直線算出部を備え、
前記比較部は、前記算出された衝突目標直線と、前記他の電子装置により算出された衝突目標直線とが所定の位置範囲で交わるか否か判定し、
前記判定部は、前記比較部により前記衝突目標直線同士が所定の位置範囲で交わると判定された場合、前記他の電子装置がデータ送信対象であると判定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子装置。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電子装置を複数備え、
前記電子装置のうちの1つの電子装置が所定の閾値を超える振動または音を検出した場合、該電子装置は、自装置以外の他の前記電子装置がデータ送信対象であるか否か判定することを特徴とする情報交換システム。
【請求項11】
他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出手順と、
前記検出された振動または音と、前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士で少なくとも1つ比較する比較手順と、
前記比較手順による比較結果に基づいて、前記他の電子装置が通信相手か否か判定する判定手順と、
を有することを特徴とする通信相手特定方法。
【請求項12】
他の電子装置と接触させたときの振動または音のうち少なくとも1つを検出する検出部を備える電子装置のコンピュータに
前記検出された振動または音と、前記他の電子装置により検出された振動または音との間で、同一の物理量同士で少なくとも1つ比較する比較ステップと、
前記比較ステップによる比較結果に基づいて、前記他の電子装置が通信相手か否か判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させるための通信相手特定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−249228(P2012−249228A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121470(P2011−121470)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】