説明

電子装置

【課題】製造コストを低く抑えることができる電子装置を提供する。
【解決手段】端子4a〜4dを有する半導体モジュール2と、半導体モジュール2を複数の設置位置に選択的に装着できる部品装着部11と部品装着部11に装着された半導体モジュール2の端子4a〜4dが配置され、相手コネクタ20が嵌合されるコネクタ嵌合部12とを有するコネクタカバー10とを備え、相手コネクタ20の端子と半導体モジュール2の端子4a〜4dの接続対応パターンが、半導体モジュール2の設置位置に応じて異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク等にコネクタ接続される電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両のネットワークに、ノードとして機能する電子装置を複数接続してシステムを構築する場合がある(特許文献1〜特許文献3)。各電子装置は、ネットワークに接続するためのコネクタ嵌合部を有する。又、各電子装置は、ID(identefication)コードが設定される。IDコードを設定することによって、各電子装置に特有の命令を与えるためである。かかる電子装置の一従来例を用いて構築されたネットワークシステムが図5に示されている。
【0003】
図5において、ネットワークシステム50は、電子制御ユニット51とノードとして機能する3つの電子装置60〜62とを備えている。各電子装置60〜62は、電子部品である半導体モジュール63A〜63Cと、半導体モジュール63A〜63Cを収容するコネクタカバー64とを備えている。
【0004】
各半導体モジュール63A〜63Cは、端子65を有する。各半導体モジュール63A〜63Cには固有のIDコード(ID01、ID02、ID03)が設定されている。
【0005】
コネクタカバー64は、半導体モジュール63A〜63Cを装着する部品装着部64aと部品装着部64aに装着された半導体モジュール63A〜63Cの端子65が配置されるコネクタ嵌合部64bとを有する。各電子装置60〜62のコネクタ嵌合部64bにネットワークのケーブル側の相手コネクタ(図示せず)がそれぞれ嵌合される。相手コネクタ(図示せず)の各端子と半導体モジュール63A〜63Cの各端子65が電気的に接続される。
【0006】
上記従来例の構成によれば、電子制御ユニット51は、所定の電子装置60〜62にIDコードによって特有の命令を与えることができる。そして、半導体モジュール63A〜63Cの端子65をコネクタ端子として利用することにより、構成の簡略化、部品点数の削減などを図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−324712号公報
【特許文献2】特開2005−327622号公報
【特許文献3】特開2004−299534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の電子装置60〜62では、半導体モジュール63A〜63CにIDコードを設定しているので、IDコードの個数だけの品番の半導体モジュール63A〜63Cが必要である。つまり、IDコードが3種類必要であると、半導体モジュール63A〜63Cが3種類(品番)必要である。上記ネットワークシステム50を例えば車両に搭載する場合、半導体モジュール63A〜63Cの3品番×製造車両の台数分を製造する必要がある。従って、半導体モジュール63A〜63C、ひいては電子装置60〜62の製造コストがアップするという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、製造コストを低く抑えることができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、端子を有する電子部品と、前記電子部品を複数の設置位置に選択的に装着できる部品装着部と前記部品装着部に装着された前記電子部品の前記端子が配置され、相手コネクタが嵌合されるコネクタ嵌合部とを有するコネクタカバーとを備え、前記相手コネクタの端子と前記電子部品の前記端子の接続対応パターンが、前記電子部品の設置位置に応じて異なることを特徴とする。
【0011】
前記コネクタカバーの前記部品装着部と前記電子部品は、前記電子部品を端子間ピッチ毎にシフトして選択的に装着できるようにすることが好ましい。
【0012】
前記コネクタカバーの前記部品装着部と前記電子部品は、前記電子部品を上下逆向き位置で選択的に装着できるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、相手コネクタの端子と電子部品の端子の接続対応パターンは、電子部品の設置位置に応じて異ならせることができるため、この端子接続パターンをIDコードとして設定できる。従って、電子部品にIDコードを設定する必要がなく、且つ、電子部品の設置位置を可変するだけで所望のIDコードを設定できる。以上より、電子部品の種類(品番)を少なくでき、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示し、(a)は半導体モジュールの装着途中の電子装置の斜視図、(b)は半導体モジュールを装着した電子装置の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、電子装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、(a)は半導体モジュールをその幅方向にシフトさせて装着した電子装置の正面図、(b)は半導体モジュールを上下反転させて装着した電子装置の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、ネットワークシステムの概略構成図である。
【図5】従来の電子装置を用いたネットワークシステムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2に示すように、電子装置1は、電子部品である半導体モジュール2と、半導体モジュール2を収容するコネクタカバー10とを備えている。
【0017】
半導体モジュール2は、半導体本体3と4本の端子4a〜4dとを有する。半導体本体3の上下面の外周には、端子間ピッチ間隔で、且つ、下記する部品装着部11への装着方向に沿って延びるガイド溝3aが形成されている。4本の端子4a〜4dの端子間ピッチは、コネクタ嵌合部12及び相手コネクタ20の端子間ピッチに設定されている。
【0018】
コネクタカバー10は、部品装着部11とこの部品装着部11の前方に一体に設けられたコネクタ嵌合部12とを有する。
【0019】
部品装着部11は、半導体モジュール2の幅寸法より大きく設定されている。詳細には、6端子の半導体モジュールを装着できる幅寸法に設定されている。部品装着部11の上下面の内周には、端子間ピッチ間隔で、且つ、半導体モジュール2の装着方向に沿って延びるガイド突部11aが設けられている。これにより、部品装着部11は、図3(a)に示すように、半導体モジュール2をその幅方向に端子間ピッチ間隔でシフトする設置位置に選択的に装着できるようになっている。又、図3(b)に示すように、半導体モジュール2を上下反転して装着できるようになっている。この実施形態では、計6パターンの設置位置に装着できる。このように部品装着部11に装着された半導体モジュール2は、その4本の端子4a〜4dがコネクタ嵌合部12内に配置される。つまり、端子4a〜4dは、コネクタ用端子とされる。この実施形態では、コネクタ嵌合部12と半導体モジュール2の端子4a〜4dによって雄コネクタ構造が構成されている。
【0020】
コネクタ嵌合部12には、ネットワークのケーブル側の相手コネクタ20が嵌合される。相手コネクタ20は、4本のケーブルにそれぞれ接続された4つの端子(図示せず)を有する。相手コネクタ20の端子(図示せず)は雌端子である。各相手コネクタ20の4つの端子(図示せず)は、各半導体モジュール2の端子4a〜4dに対応する位置にそれぞれ配置されている。相手コネクタ20と半導体モジュール2の双方の端子(図示せず),4a〜4dは、対応するもの同士がそれぞれ電気的に接続される。相手コネクタ20の端子(図示せず)と半導体モジュール2の端子4a〜4dの接続対応パターンは、半導体モジュール2の設置位置(シフト位置、反転位置)に応じて異なる。この端子間の接続対応パターンをIDコードとして設定する。
【0021】
次に、上記電子装置1を用いて構築するネットワークシステム30の一例を説明する。図4に示すように、ネットワークシステム30は、電子制御ユニット(ECU)31とノードとして機能する3つの電子装置1とから構成するものとする。3つの電子装置1は、各半導体モジュール2のコネクタカバー10内への設置位置を全て異ならせて装着する。これにより、3つの電子装置1をそれぞれの異なるIDコード(ID01、ID02、ID03)に設定できる。
【0022】
電子制御ユニット31は、3つの電子装置1にIDコードによって個々に特有の命令を与えることができる。
【0023】
以上説明したように、相手コネクタ20の端子(図示せず)と半導体モジュール2の端子4a〜4dの接続対応パターンは、半導体モジュール2の設置位置に応じて異ならせることができるため、前記実施形態に示す如く、端子対応パターンによって各電子装置1のIDコードを設定できる。従って、半導体モジュール2にIDコードを設定する必要がなく、且つ、半導体モジュール2の設置位置を可変するだけで所望のIDコードを設定できる。コネクタカバー10のみならず半導体モジュール2の種類(品番)も1種類で済み、製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
前記ネットワークシステム30を例えば車両に搭載する場合、半導体モジュール2の1品番×製造車両の台数分を製造すれば良い。
【0025】
コネクタカバー10の部品装着部11と半導体モジュール2は、半導体モジュール2を端子間ピッチ毎にシフトして選択的に装着できるよう構成されている。従って、半導体モジュール2の設置作業を容易に、且つ、正確に行うことができる。
【0026】
コネクタカバー10の部品装着部11と半導体モジュール2は、半導体モジュール2を上下逆向き位置で選択的に装着できるよう構成されている。従って、半導体モジュール2を装着できる設置位置を増やすことができるため、IDコードの数を多くできる。多数のIDコードが必要な場合に有効であり、製造コストを抑制できる。
【0027】
前記実施形態では、部品装着部11に半導体モジュール2を上下逆向きに装着した場合には、端子4a〜4dが上下方向でシフトした位置に位置するため、誤挿入を防止できる。ここで、半導体モジュール2を上下逆向きで装着した場合、端子4a〜4dが上下方向の同じ位置に位置するよう構成しても良い。
【0028】
前記実施形態では、部品装着部11側の端子選択位置が6つで、且つ、半導体モジュール2の端子数が4つの場合を示したが、これに限定されるものではなく、種々のパターンが考えられる。
【符号の説明】
【0029】
1 電子装置
2 半導体モジュール(電子部品)
4a〜4d 端子
10 コネクタカバー
11 部品装着部
12 コネクタ嵌合部
20 相手コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を有する電子部品と、
前記電子部品を複数の設置位置に選択的に装着できる部品装着部と前記部品装着部に装着された前記電子部品の前記端子が配置され、相手コネクタが嵌合されるコネクタ嵌合部とを有するコネクタカバーとを備え、
前記相手コネクタの端子と前記電子部品の前記端子の接続対応パターンが、前記電子部品の設置位置に応じて異なることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置であって、
前記コネクタカバーの前記部品装着部と前記電子部品は、前記電子部品を端子間ピッチ毎にシフトして選択的に装着できることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電子装置であって、
前記コネクタカバーの前記部品装着部と前記電子部品は、前記電子部品を上下逆向き位置で選択的に装着できることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−151065(P2012−151065A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10702(P2011−10702)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】