説明

電子装置

【課題】回路基板の一表面に一対のランドを設けてなる電子装置において、回路基板の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド間の静電気伝導を防止できる構成を実現する。
【解決手段】回路基板10と、回路基板10の一表面に電気的に独立して隣り合うように設けられた第1のランド21および第2のランド22と、を備える電子装置において、第1のランド21および第2のランド22の外側には、これら両ランド21、22間の距離Lよりも近い位置に、当該両ランド21、22とは離れつつ電気的に独立した表面配線としての露出したダミー配線パターン32が設けられ、このダミー配線パターン32と、当該両ランド21、22のいずれか一方との間で発生する静電気は、ダミー配線パターン32を介して逃がされるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の一表面に一対のランドを設けてなる電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電子装置は、プリント基板などの回路基板と、この回路基板の一表面に電気的に独立して隣り合うように設けられた一対のランド、すなわち第1のランドおよび第2のランドと、を備えて構成されている。
【0003】
このような電子装置では、当該一対の両ランドに対して両ランド間をつなぐように電気素子が実装されていない状態、すなわち未実装状態の場合に、当該両ランド間に静電気が印加され、両ランド間に静電気が伝導することがある。
【0004】
特に近年、回路基板の小型化、高密度化が要望されることから、第1および第2の両ランド間の距離も縮小され、当該両ランド間で静電気の伝導が発生しやすくなり、ランドに接続されたマイコンやICなどの部品にダメージを与える恐れがある。
【0005】
このような問題に対して、従来では、回路基板において上記一対のランドの外側の位置に静電気吸収部材としてのビアを配置することで、当該ランドに発生する静電気をビアに吸収しようとすることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−156955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このビアは、一般に回路基板の一表面に形成されている銅箔などよりなる表面配線に比べて、大きな面積を要するので、小型化、高密度化する回路基板において、当該ビアを設けるスペースの確保が困難になってくる。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、回路基板の一表面に一対のランドを設けてなる電子装置において、回路基板の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド間の静電気伝導を防止できる構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回路基板(10)と、回路基板(10)の一表面に電気的に独立して隣り合うように設けられた第1のランド(21)および第2のランド(22)と、を備える電子装置において、
回路基板(10)の一表面のうち第1のランド(21)および第2のランド(22)の外側には、第1のランド(21)と第2のランド(22)との間の距離よりも近い位置に、第1のランド(21)および第2のランド(22)とは離れつつ電気的に独立した表面配線としての露出したダミー配線パターン(32)が設けられ、このダミー配線パターン(32)と、第1のランド(21)および第2のランド(22)のいずれか一方との間で発生する静電気は、ダミー配線パターン(32)を介して逃がされるようになっていることを特徴とする。
【0010】
それによれば、両ランド(21、22)間をつなぐように電気素子が実装されていない状態、すなわち未実装状態で、両ランド(21、22)のどちらか一方に静電気が発生しても、その静電気は他方のランドに飛ぶことなく、一方のランドからその近くに露出しているダミー配線パターン(32)に伝導する。それにより、当該静電気はダミー配線パターン(32)を介して逃がすことができる。
【0011】
また、ダミー配線パターン(32)は、ビアではなくエッチングなどにより形成される層状の表面配線として構成されているから、ビアに比べて配置面積が少なくて済む。よって、本発明によれば、回路基板(10)の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド(21、22)間の静電気伝導を防止できる構成を実現することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置において、ダミー配線パターン(32)は、回路基板(10)の一表面にて第1のランド(21)と第2のランド(22)との間に設けられていることを特徴とする。
【0013】
このようにダミー配線パターン(32)を、第1のランド(21)と第2のランド(22)との間に設ければ、ダミー配線パターン(32)を当該両ランド(21、22)間の距離よりも近い位置に容易に配置でき、また、ダミー配線パターン(32)への静電気伝導を容易に実現しやすい。
【0014】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の電子装置において、第1のランド(21)および第2のランド(22)の当該両ランド(21、22)の組が複数設けられており、単一のダミー配線パターン(32)が各組の当該両ランド(21、22)間を通るように設けられていることを特徴とする。
【0015】
表面配線としてのダミー配線パターン(32)は、エッチングなどによりパターン形状は任意に制御できるから、このように、両ランド(21、22)の組が複数設けられている場合、単一のダミー配線パターン(32)を、各組の両ランド(21、22)間を通るように設ければ、スペースを効率よく利用できるなどの利点がある。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の電子装置において、回路基板(10)には、外部と接続されるコネクタ部(23)が設けられており、第2のランド(22)はコネクタ部(23)と導通しており、ダミー配線パターン(32)は、第2のランド(22)側に片寄って設けられていることを特徴とする。
【0017】
コネクタ部(23)は電子装置における露出部分となるため、人手や外部の部材に接触しやすく、結果、静電気が加えられやすいため、一対のランド(21、22)のうち、このコネクタ部(23)と導通する第2のランド(22)の方にて、静電気が印加されやすい。
【0018】
そこで、本発明のように、ダミー配線パターン(32)を第2のランド(22)側に片寄って配置すれば、第2のランド(22)とダミー配線パターン(32)との間で静電気が飛びやすくなり、好ましい。
【0019】
さらに、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の電子装置において、ダミー配線パターン(32)は、第2のランド(22)をコの字状に取り囲む形状とされていることを特徴とする。
【0020】
それによれば、第2のランド(22)とダミー配線パターン(32)との対向面積が増加して、これら両者間で静電気が飛びやすくなり、好ましい。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置において、回路基板(10)の一表面には、電子部品が搭載される部品搭載ランド(25)が設けられており、ダミー配線パターン(32)は、部品搭載ランド(25)から第1のランド(21)および第2のランド(22)側に延びて設けられているものであり、ダミー配線パターン(32)から、静電気は、部品搭載ランド(25)を介して逃がされるようになっていることを特徴とする。
【0022】
それによれば、部品搭載ランド(25)を静電気の逃がし部として兼用できるから、回路基板(10)の省スペース化の点で好ましい。
【0023】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図2】第1実施形態における一対のランドおよびダミー配線パターンの拡大概略平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図であり、回路基板10の一表面側の構成を示している。この電子装置は、電気的に独立して隣り合うように設けられた第1のランド21および第2のランド22等を一表面に有する回路基板10を備えている。
【0027】
ここで、回路基板10は、一般的なプリント基板の構成に準じたものであり、エポキシ樹脂などの樹脂よりなるベースの表面に、エッチングされた銅箔等により、各種のランド21、22、23、24や表面配線31、32、33を形成したものである。このようなプリント基板としては、単層でも、多層でもかまわない。
【0028】
ここで、回路基板10の一表面は、ソルダーレジスト40で被覆されており、また、表面配線31〜33の一部は、必要に応じて、ソルダーレジスト40によりマスクされている。
【0029】
また、図1においては、回路基板10の一表面においてソルダーレジスト40から露出している各ランド21〜24(後述する第1のランド21、第2のランド22、コネクタランド23、他のランド24)、表面配線31〜33のうちソルダーレジスト40から露出している表面配線32(後述するダミー配線パターン32)、およびソルダーレジスト40から露出している後述の逃がし部34には、識別の容易化の点から、便宜上、斜線ハッチングを施してある。つまり、図1中の斜線ハッチング部分は、回路基板10の一表面にて銅が露出している部分である。
【0030】
また、ソルダーレジスト40でマスクされた表面配線31、33(後述のマスクされた表面配線31および逃がしパターン33)には、ハッチングを施していないが、この表面配線31、33をマスクするソルダーレジスト40は、一般にグリーンマスクと呼ばれる。ここで、ソルダーレジスト40は、一般的なものであり、熱硬化性樹脂やフォトレジストなどよりなる電気絶縁性のものである。
【0031】
図1に示されるように、回路基板10の一表面には、電気的に独立して隣り合うように設けられた一対のランド21、22すなわち第1のランド21および第2のランド22が設けられている。図1では、図中の上側から下側に向かって第1および第2のランド21、22の組が4個設けられている。
【0032】
ここで、これら4個の第1および第2のランド21、22の組うち図1の最下位に位置する組は、電気素子50が実装されているものであり、実装状態のランド21、22の組とされている。
【0033】
この一対のランド21、22に実装された電気素子50は、たとえば抵抗素子やダイオードなどであり、図示しないはんだなどを介して、一対の両ランド21、22に対して当該両ランド21、22間をつなぐように電気素子50が接続されている。
【0034】
また、当該4個の両ランド21、22の組のうち未実装状態の組を除く3組すなわち図1の上から3個の組は、電気素子が実装されていない状態、すなわち未実装状態のランド21、22の組とされている。
【0035】
ここで、図1では、第1のランド21側のマスクされた表面配線31については、一端側が第1のランド21に接続され、他端側が図1中の右側に延びている。一方、第2のランド22側のマスクされた表面配線31については、一端側が第2のランド22に接続され、他端側が図1中の左方に延びている。
【0036】
また、回路基板10には、図示しないマイコンやIC等が実装されており、第1のランド21は、第1のランド21側のマスクされた表面配線31を介して、これらマイコンなどに導通している。一方、第2のランド22は、第2のランド22側のマスクされた表面配線31を介して、コネクタランド23に導通している。
【0037】
ここで、コネクタランド23は、図示しない外部のコネクタが接続される部位であり、外部と接続されるコネクタ部に相当するものである。ここでは、外部のコネクタのピンが挿入されるべく、コネクタランド23はビアの形態をなしている。なお、コネクタ部としては、外部と接続されるものであればよく、たとえば圧着やはんだ付けなどに対応したランド形状のものであってもよい。
【0038】
ここで、図1中、上述の4個の第1および第2のランド21、22の組のうち実装状態の組では、一般の場合と同様、コネクタ部側の第2のランド22に、静電気吸収用の電気素子51が接続され、静電気対策が採られている。この静電気吸収用の電気素子51としては、たとえばコネクタランド23に加えられる静電気を吸収するコンデンサなどが挙げられる。
【0039】
しかし、一般に、未実装状態のランド21、22の組では、わざわざ静電気吸収用の電気素子を取り付けないため、静電気対策として、本実施形態では、露出した表面配線としてのダミー配線パターン32を設けている。
【0040】
このダミー配線パターン32は、回路基板10の一表面のうち第1のランド21および第2のランド22の外側にて、第1のランド21と第2のランド22との間の距離Lよりも近い位置に設けられている。
【0041】
そして、ダミー配線パターン32は、第1のランド21および第2のランド22とは離れつつ電気的に独立している。具体的には、両ランド21、22とダミー配線パターン32とは、ソルダーレジスト40により絶縁されている。
【0042】
ここでは、ダミー配線パターン32は、回路基板10の一表面にて第1のランド21と第2のランド22との間に設けられている。さらに、図1に示されるように、本実施形態では、両ランド21、22の組が複数設けられているが、単一のダミー配線パターン32が各組の両ランド21、22間を通るように設けられている。
【0043】
そして、当該両ランド21、22の各組において、このダミー配線パターン32と第1のランド21との間、およびダミー配線パターン32と第2のランド22との間のいずれか一方にて発生する静電気は、ダミー配線パターン32を介して逃がされるようになっている。
【0044】
具体的に、本実施形態では、ダミー配線パターン32は、マスクされた表面配線としての逃がしパターン33に接続されており、この逃がしパターン33は、さらに回路基板10に設けられた逃がし部34に導通している。
【0045】
ここで、逃がし部34は、GNDなど、静電気が伝導しても問題無いパターンにつながるものである。具体的には、逃がし部34は、Cuめっきなどよりなるビア、または、Cu箔等よりなる表面配線などより構成されるものである。ここでは、逃がし部34は、貫通孔と当該孔内面に形成されたCuめっきよりなるビアにより形成されている。
【0046】
ここで、4個のランド21、22の組のうち図1の上から3番目の組では、さらに、第2のランド22とコネクタランド23との間にもう1個のランド21、22の組が設けられている。このように、マイコン側とコネクタランド23との間に2個以上のランド21、22の組がある場合には、当該2組以上のうちのいずれか1組においてダミー配線パターン32を設ければよい。
【0047】
また、上記実装状態のランド21、22の組では、ランド21、22間にダミー配線パターン32が無くてもよいが、パターン形状の簡略化などの製造上の理由等により、図1に示されるように、実装状態のランド21、22間にダミー配線パターン32が設けられていてもよい。
【0048】
ただし、実装状態のランド21、22の組における電気素子50および、その他、回路基板10に実装される電気素子は、回路基板10上のランドに一括してはんだ付けされるが、このはんだ付けにおいて、露出しているダミー配線パターン32上には、はんだを載せないように、はんだマスクを構成することが望ましい。
【0049】
これは、仮にダミー配線パターン32上にはんだを配置した場合、隣り合うランド21、22とダミー配線パターン32との狭い間が、当該はんだによって、つながってしまう恐れがあるためである。
【0050】
このように、本電子装置の回路基板10は、その一表面に、上記各ランド21〜24、各表面配線31〜33、逃がし部34を有する構成とされており、この回路基板10の一表面上に、各種の電気素子が搭載されて電子装置を構成している。
【0051】
次に、図2も参照して、本実施形態の作用効果等について説明する。図2は、本実施形態の電子装置における一対のランド21、22およびダミー配線パターン32の拡大概略平面図である。
【0052】
図2に示されるように、未実装状態で、両ランド21、22のどちらか一方に静電気が発生する。ここでは、電子装置のうち外部に露出するコネクタランド23に静電気が印加され、第2のランド22にて、静電気が発生する。
【0053】
このように一方の第2のランド22にて静電気が発生しても、その静電気は他方の第1のランド21に飛ぶことなく、第2のランド22からその近くに露出しているダミー配線パターン32に伝導する。
【0054】
そして、この静電気は、ダミー配線パターン32を介して、逃がしパターン33から、逃がし部34へ逃がされる。このようにして、本実施形態の電子装置では、両ランド21、22にて発生する静電気は、当該両ランド21、22間を伝導することなく、ダミー配線パターン32を介して逃がすことができる。なお、第1のランド21側にて静電気が発生した場合も、上記同様、ダミー配線パターン32を介して静電気を逃がすことができる。
【0055】
また、ダミー配線パターン32は、ビアではなくエッチングなどにより形成される層状の表面配線として構成されているから、ビアに比べて配置面積が少なくて済む。よって、本実施形態によれば、回路基板10の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド21、22間の静電気伝導を防止できる構成を実現することができる。
【0056】
また、ランド21、22からダミー配線パターン32に静電気を飛ばすために、ダミー配線パターン32は両ランド21、22間の距離Lよりも近い位置に配置することが必要であるが、本実施形態では、ダミー配線パターン32を、両ランド21、22間に設けることで、そのような配置を容易に実現し、ダミー配線パターン32への静電気伝導を容易に実現している。
【0057】
また、表面配線としてのダミー配線パターン32は、エッチングなどによりパターン形状を任意に制御できる。そこで、本実施形態では、両ランド21、22の組が複数設けられている場合に、単一のダミー配線パターン32を、各組の両ランド21、22間を通るように設けることにより、スペースを効率よく利用できるようにしている。
【0058】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図であり、回路基板10の一表面側の構成を示している。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、ダミー配線パターン32の位置が相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0059】
図3に示されるように、本実施形態の電子装置においても、回路基板10には、外部と接続されるコネクタ部としてのコネクタランド23が設けられており、第2のランド22はコネクタ部23と導通している。ここにおいて、本実施形態では、第1および第2の両ランド21、22間に位置するダミー配線パターン32は、第2のランド22側に片寄って設けられている。
【0060】
コネクタランド23は、外部と接続するべく電子装置における露出部分となるため、人手や外部の部材に接触しやすく、結果的に、静電気が加えられやすい部位である。そのため、両ランド21、22のうち、このコネクタランド23と導通する第2のランド22の方にて、静電気が印加されやすい。
【0061】
そこで、本実施形態のように、両ランド21、22間にて、ダミー配線パターン32を、第1のランド21よりも第2のランド22に近くなるように第2のランド22側に片寄って配置させれば、第2のランド22とダミー配線パターン32との間で静電気が飛びやすくなる。
【0062】
このように、本実施形態によっても、回路基板10の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド21、22間の静電気伝導を防止できる構成を実現することができる。
【0063】
(第3実施形態)
図4は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図であり、回路基板10の一表面側の構成を示している。本実施形態は、上記第2実施形態において、さらにダミー配線パターン32の形状を異ならせたものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0064】
図4に示されるように、本実施形態の電子装置においても、第1および第2の両ランド21、22間に位置するダミー配線パターン32は、第2のランド22側に片寄って設けられている。
【0065】
本実施形態では、このような構成において、さらにダミー配線パターン32を、第2のランド22をコの字状に取り囲む形状としている。ここでは、ダミー配線パターン32は、コの字部分の連続する3辺にて、第2のランド22に対向しているから、その分、上記図3の場合に比べて、第2のランド22とダミー配線パターン32との対向面積が増加する。
【0066】
それにより、第2のランド22とダミー配線パターン32との間で静電気が飛びやすくなる。このように、本実施形態によっても、回路基板10の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド21、22間の静電気伝導を防止できる構成を実現することができる。
【0067】
(第4実施形態)
図5は、本発明の第4実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図であり、回路基板10の一表面側の構成を示している。本実施形態は、上記各実施形態において、ダミー配線パターン32と静電気の逃がし部の構成を異ならせたものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0068】
図5に示されるように、本実施形態の電子装置においては、回路基板10の一表面には、電子部品が搭載される部品搭載ランド25が設けられている。ここでは、部品搭載ランド25は矩形状のものである。
【0069】
そして、部品搭載ランド25およびその周りの各ランド21、22、24は、これらランド21、22、24、25に対して、電子部品としての図示しないICチップなどがはんだ等を介して搭載可能なパターンを構成している。
【0070】
また、このような部品搭載ランド25は、たとえば、当該電子部品におけるGND用ランドとされるものである。ここでは、部品搭載ランド25およびその周りの各ランド21、22、24は未実装状態のものとされている。
【0071】
なお、本実施形態の場合も、第2のランド22はコネクタランド23に導通しているが、第1のランド21についても上記第1実施形態と同様、第1のランド21に接続されたマスクされた表面配線31を介して図示しないマイコン等に接続されている。
【0072】
そして、本実施形態のダミー配線パターン32は、部品搭載ランド25の端部から第1のランド21および第2のランド22側に延びて設けられている。ここでは、ダミー配線パターン32は、第1のランド21と第2のランド22との間に介在するように設けられている。そして、たとえば第2のランド22側に印加される静電気は、ダミー配線パターン32から、部品搭載ランド25を介して逃がされるようになっている。
【0073】
このように本実施形態の電子装置によれば、部品搭載ランド25を、上記図1等における逃がし部34と同様の静電気の逃がし部として兼用できるから、別途逃がし部34を設けることがなく、回路基板10の省スペース化の点で好ましい。
【0074】
また、本実施形態では、複数個の両ランド21、22の組に対して、単一のダミー配線パターン32ではなく、別々のダミー配線パターン32を設けているが、この場合でも、もちろん、回路基板10の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド21、22間の静電気伝導を防止できる構成が実現されている。
【0075】
(第5実施形態)
図6は、本発明の第5実施形態に係る電子装置の要部の概略平面構成を示す図であり、回路基板10の一表面側の構成を示している。本実施形態は、上記第4実施形態において、ダミー配線パターン32の形状を異ならせたものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0076】
図6に示されるように、本実施形態の電子装置においては、ダミー配線パターン32を、第1のランド21および第2のランド22の外側にて、第1のランド21と第2のランド22との間の距離Lよりも近い位置に設けているが、両ランド21、22間には位置していない。
【0077】
しかし、この場合であっても、両ランド21、22にて発生する静電気は、両ランド21、22間を伝導することなく、ダミー配線パターン32を介して逃がすことができることは言うまでも無い。それゆえ、本実施形態によっても、回路基板10の高密度化に適した構成であって、未実装状態における一対のランド21、22間の静電気伝導を防止できる構成が実現されている。
【0078】
また、本実施形態では、単一のダミー配線パターン32を、2組の両ランド21、22の近くに位置させており、ダミー配線パターン32の本数を無用に増やすことなく、スペース効率に優れた構成とされている。
【0079】
(他の実施形態)
なお、第1および第2の両ランド21、22は、未実装状態で当該両ランド間に静電気伝導を発生させたくないものであればよく、上述のように第1のランド21がマイコン等に導通し、第2のランド22がコネクタ部に導通するものに限定されない。
【0080】
また、上記第1〜第3の各実施形態においては、一対のランド21、22の組が複数設けられている場合に、単一のダミー配線パターン32を、各組の両ランド21、22間を通るように設けているが、各組のランド21、22に対して、別々のダミー配線パターン32を設けてもよい。
【0081】
また、回路基板10としては、上記したプリント基板に限定されるものではなく、たとえば、セラミック基板などであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 回路基板
21 第1のランド
22 第2のランド
23 コネクタランド
25 部品搭載ランド
32 ダミー配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板(10)と、
前記回路基板(10)の一表面に電気的に独立して隣り合うように設けられた第1のランド(21)および第2のランド(22)と、を備える電子装置において、
前記回路基板(10)の一表面のうち前記第1のランド(21)および前記第2のランド(22)の外側には、前記第1のランド(21)と前記第2のランド(22)との間の距離よりも近い位置に、前記第1のランド(21)および前記第2のランド(22)とは離れつつ電気的に独立した表面配線としての露出したダミー配線パターン(32)が設けられ、
このダミー配線パターン(32)と、前記第1のランド(21)および前記第2のランド(22)のいずれか一方との間で発生する静電気は、前記ダミー配線パターン(32)を介して逃がされるようになっていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記ダミー配線パターン(32)は、前記回路基板(10)の一表面にて前記第1のランド(21)と前記第2のランド(22)との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1のランド(21)および前記第2のランド(22)の当該両ランド(21、22)の組が複数設けられており、
単一の前記ダミー配線パターン(32)が各組の当該両ランド(21、22)間を通るように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記回路基板(10)には、外部と接続されるコネクタ部(23)が設けられており、
前記第2のランド(22)は前記コネクタ部(23)と導通しており、
前記ダミー配線パターン(32)は、前記第2のランド(22)側に片寄って設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記ダミー配線パターン(32)は、前記第2のランド(22)をコの字状に取り囲む形状とされていることを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記回路基板(10)の一表面には、電子部品が搭載される部品搭載ランド(25)が設けられており、
前記ダミー配線パターン(32)は、前記部品搭載ランド(25)から前記第1のランド(21)および前記第2のランド(22)側に延びて設けられているものであり、
前記ダミー配線パターン(32)から、静電気は、前記部品搭載ランド(25)を介して逃がされるようになっていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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