説明

電子計算機及び画像検索方法

【課題】蓄積された画像データの中から類似する画像データを検索すること。
【解決手段】電子計算機1において、データベース2は、複数の物体のそれぞれについて、物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを蓄積している。データベース2は、第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、第1の特徴量及び第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積している。取得部3は、画像データを取得する。検索部4は、データベース2を検索する。アプリケーション部5は、取得部3で取得した第1の画像データから第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせを抽出する。アプリケーション部5は、第1の画像データから抽出した、第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに基づいて検索部4に対してデータベース2の検索を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子計算機及び画像検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の注目しやすい色、例えば、鮮やかな色、明るい色、画像に含まれる物体の色に対して類似度を計算し、それらの色の類似度にさらに重みをつけて最終的な類似度を計算して画像を検索する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また、画像データに対して、画像の中心を通過する複数の方向に走査し、一定幅の帯状領域内の画素に対して濃度共起行列を求め、この濃度共起行列に基づいて画像の周期性を求めテクスチャ特徴量として抽出する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
また、入力された画像データにおける複数種類の特徴量と、蓄積された画像データにおける複数種類の特徴量とを各々比較して、入力された画像データと類似する画像データを、蓄積された画像データから検索する方法がある(例えば、特許文献3参照)。また、保存された画像のそれぞれが異なるタイプのメタデータと関連付けられている複数の保存された画像の中から、各異なるタイプのメタデータと見本画像との類似性に基づいて、各異なるメタデータ・タイプごとに画像の組を検索する方法がある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
また、複数の画像のそれぞれについて取得した複数の特徴量を用いて、複数の画像が属する複数のクラスタを作成し、各クラスタの属性を決定し、各クラスタにそれぞれ対応づけてインデックスを作成する方法がある(例えば、特許文献5参照)。また、複数の画像のそれぞれについて取得した複数の特徴量を用いて、画像検索時における計算負荷によって定まる所定画像数以下の画像が属するクラスタを複数作成し、各クラスタの属性を決定し、クラスタにそれぞれ対応づけてインデックスを作成する方法がある(例えば、特許文献6参照)。
【0005】
また、第二の画像における主題または背景に対する第一の画像における主題または背景の知覚的に顕著な特徴、例えば二よりも大きい事前確信度レベルによって提供される特徴を比較して画像の類似性を決定する方法がある(例えば、特許文献7参照)。また、入力された画像データおよび予め登録された画像データのそれぞれについて、グレイ画像データの濃淡度に基づいて、注目画素を中心とする局所的なテクスチャの特徴を示す回転不変の特徴量を、各画素に対して算出し、算出した特徴量に基づいて類似した画像データを検索する方法がある(例えば、特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−212993号公報
【特許文献2】特開平11−66310号公報
【特許文献3】特開2001−319232号公報
【特許文献4】特表2010−519659号公報
【特許文献5】特開2010−250634号公報
【特許文献6】特開2010−250633号公報
【特許文献7】特開2008−262581号公報
【特許文献8】特開2009−169925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の方法では、データベースに物体の画像データが無作為に蓄積されている。従って、データベースに蓄積されている画像データを、画像の特徴量を表す色味とテクスチャとの組み合わせに基づいて、色味とテクスチャを変数とする2次元のマップにマッピングすると、画像データが密にマッピングされる領域と粗にマッピングされる領域とができてしまう。そのため、ある画像に類似した画像を、データベースに蓄積された画像データの中から検索する際に、ある画像の色味とテクスチャとの組み合わせがマップの粗な領域に該当すると、類似する画像を高い精度で検索することができないという問題点がある。
【0008】
蓄積された画像データの中から類似する画像データを検索することができる電子計算機及び画像検索方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この電子計算機は、データベース、取得部、検索部及びアプリケーション部を備えている。データベースは、複数の物体のそれぞれについて、物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを蓄積している。データベースは、第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、第1の特徴量及び第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積している。取得部は、画像データを取得する。検索部は、データベースを検索する。アプリケーション部は、取得部で取得した第1の画像データから第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせを抽出する。アプリケーション部は、第1の画像データから抽出した、第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに基づいて検索部に対してデータベースの検索を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
この電子計算機及び画像検索方法によれば、蓄積された画像データの中から類似する画像データを検索することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1にかかる電子計算機を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施例1にかかる画像検索方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施例2にかかる携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施例2にかかるデータベースを説明する図表である。
【図6】図6は、実施例2にかかるデータベースの画像データをマッピングした2次元のマップを説明する図である。
【図7】図7は、実施例2にかかる重み付けデータを説明する図表である。
【図8】図8は、実施例2にかかる画像検索方法を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例2にかかるデータベースの作成方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この電子計算機及び画像検索方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
(実施例1)
・電子計算機の説明
図1は、実施例1にかかる電子計算機を示すブロック図である。図1に示すように、電子計算機1は、データベース2、取得部3、検索部4及びアプリケーション部5を備えている。
【0014】
データベース2は、複数の物体のそれぞれについて、物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを蓄積している。データベース2は、第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、第1の特徴量及び第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積している。
【0015】
取得部3は、画像データを取得する。検索部4は、データベース2を検索する。アプリケーション部5は、取得部3で取得した第1の画像データから第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせを抽出する。アプリケーション部5は、第1の画像データから抽出した、第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに基づいて検索部4に対してデータベース2の検索を実行させる。
【0016】
・画像検索方法の説明
図2は、実施例1にかかる画像検索方法を示すフローチャートである。図2に示すように、画像検索方法が開始されると、まず、電子計算機1は、取得部3により、物体の第1の画像を取得する(ステップS1)。次いで、電子計算機1は、アプリケーション部5により、第1の画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量との重み付けの割合を第1の重み付けの割合に設定する。そして、電子計算機1は、検索部4により、第1の重み付けの割合でデータベース2を検索する(ステップS2)。
【0017】
次いで、電子計算機1は、アプリケーション部5により、ステップS2での検索結果に基づいて第1の画像データの主たる色味を決定する(ステップS3)。次いで、電子計算機1は、アプリケーション部5により、ステップS3で決定した主たる色味に対する第1の特徴量と第2の特徴量との第2の重み付けの割合を重み付けデータから取得する(ステップS4)。重み付けデータには、第1の特徴量と第2の特徴量との重み付けの割合が色味に応じて決められている。
【0018】
次いで、電子計算機1は、検索部4により、第2の重み付けの割合でデータベース2を検索する(ステップS5)。次いで、電子計算機1は、アプリケーション部5により、ステップS5での検索結果に基づいて、第1の画像データの第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに対応するデータベース2内の第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせを取得する(ステップS6)。
【0019】
実施例1によれば、データベースに蓄積されている画像データを、当該画像データの第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに基づいて、第1の特徴量と第2の特徴量を変数とする2次元のマップにマッピングすると、画像データが均一にマッピングされたマップが得られる。従って、当該マップには、取得した第1の画像の第1の特徴量と第2の特徴量との組み合わせに近い画像データが存在するので、第1の画像データに類似する画像データを、データベース2に蓄積された画像データの中から検索することができる。
【0020】
(実施例2)
実施例2は、電子計算機1として例えば携帯電話機などの携帯端末を使用し、例えば単品の料理の画像データに類似する画像データをデータベース2から検索するシステムに適用したものである。
【0021】
取得部3の一例として例えばカメラやスキャナーが挙げられる。あるいは、メモリに記憶されている画像データをメモリから読み出す場合には、取得部3の一例としてファイルシステムが挙げられる。また、インターネットなどのネットワークから画像データを取得する場合には、取得部3の一例として通信インタフェースが挙げられる。ここでは、取得部3は、携帯端末に備えられたカメラであるとする。
【0022】
また、検索部4として、例えばカメラで撮影した画像データに類似する画像データをデータベース2に蓄積されている画像データの中から検索する検索エンジンが挙げられる。検索エンジンは、例えば画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とに基づいてデータベース2を検索するものであればよい。
【0023】
第1の特徴量として例えば色味に関する値が挙げられる。第2の特徴量として、例えばテクスチャに関する値が挙げられる。色味に関する値やテクスチャに関する値は、アプリケーション部5が後述する画像検索処理を実行したり、後述するデータベース2の作成時に画像加工アプリケーションを実行することなどによって得られる。
【0024】
一例として、データベース2には、料理の主たる色の明暗のパラメータを複数階調、特に限定しないが、例えば±20/256階調の間で例えば1/256階調ごとに変化させたデータが蓄積されていてもよい。また、一例として、データベース2には、料理の主たる色の領域とそれ以外の色の領域との割合を複数段階、特に限定しないが、例えば100:1、50:1、10:1、7:1、5:1、3:1、2:1及び1:1の8段階で変化させたデータが蓄積されていてもよい。
【0025】
・携帯端末のハードウェア構成の説明
図3は、実施例2にかかる携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末11は、アンテナ12、無線送受信処理を行うRF(Radio Frequency、無線周波数)部13、及びベースバンド処理を行うベースバンド部14を備えている。RF部13及びベースバンド部14は、それぞれ別々のIC(Integrated Circuit、集積回路)チップに設けられていてもよいし、同じICチップに設けられていてもよい。
【0026】
携帯端末11は、アプリケーションを実行するアプリケーションプロセッサ部15を備えている。アプリケーションプロセッサ部15は、独立したICチップに設けられていてもよい。アプリケーションプロセッサ部15には、メモリ16、ディスプレイ17などの出力装置、及びカメラ18やキーパッド19などの入力装置が接続されていてもよい。
【0027】
図4は、実施例2にかかる携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すように、携帯端末11は、実施例1にかかる電子計算機1と同様に、データベース2、取得部3、検索部4及びアプリケーション部5を備えている。携帯端末11は、取得部3として例えばカメラ18及びカメラ用のミドルウェア20を備えている。データベース2は、メモリ16に格納されている。データベース2の詳細については後述する。
【0028】
アプリケーション部5は、色味に応じて色味に関する値とテクスチャに関する値との重み付けの割合を決める重み付けデータを有する。重み付けデータの詳細については後述する。アプリケーション部5は、検索部4からデータベース2の検索結果として返された画像データのファイル名に対して、例えば類似度の高い順にスコアを付けてもよい。
【0029】
ミドルウェア20は、カメラ18から例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の画像データを取得する。取得する画像データのサイズは、例えばVGA(Video Graphics Array)サイズ、すなわち640×480ドット以上のサイズであってもよい。
【0030】
検索部4の検索エンジンは、色味に関する値とテクスチャに関する値との重み付けの割合に基づいてデータベース2を検索し、ミドルウェア20から渡されたJPEG形式の画像データと類似した画像データをデータベース2から抽出する。検索エンジンは、データベース2から、類似度の高い順に例えば20位までの画像データを抽出してアプリケーション部5に返す。
【0031】
アプリケーション部5、検索部4の検索エンジン及びミドルウェア20は、それぞれの機能を実現するソフトウェアをアプリケーションプロセッサ部15が実行することにより実現される。これらのソフトウェアは、メモリ16に格納されていてもよい。
【0032】
・データベースの説明
図5は、実施例2にかかるデータベースを説明する図表である。図5に示すように、データベース2には、種々の料理、例えばカレーライスやかつ丼や牛丼などの画像データが格納されている。例えば、料理としては、文部科学省で規定されている食品成分表に掲載されている食事や、日常よく目にする食事などが挙げられる。各画像データには、例えば「物体名(料理名)+物体の主たる色+追番」というファイル名が付されていてもよい。各画像データのファイル名に対して、色味特徴量(色味に関する値)とテクスチャ特徴量(テクスチャに関する値)とが対応付けられている。
【0033】
同一の料理については、主たる色の明暗のパラメータを例えば±20/256階調の間で例えば1/256階調ごとに変化させたデータが蓄積されている。例えばカレーライスの場合、色味特徴量を例えば112から152までの41階調、変化させた場合の画像データが蓄積されている。
【0034】
また、同一の料理については、主たる色の領域とそれ以外の色の領域との割合を例えば100:1、50:1、10:1、7:1、5:1、3:1、2:1及び1:1の8段階で変化させたデータが蓄積されている。従って、データベース2には、料理ごとに328個の画像データが蓄積されていることになる。図5に示すデータベース2において、テクスチャ特徴量の「100」、「50」、・・・は、それぞれ上述した割合を100:1、50:1、・・・とした場合の値であることを表している。各割合における具体的な数値は省略されている。
【0035】
・色味とテクスチャを変数とする2次元のマップの説明
図6は、実施例2にかかるデータベースの画像データをマッピングした2次元のマップを説明する図である。図6に示すように、マップ31には、料理ごとに複数の画像データがプロットされる。例えば一料理あたり、テクスチャについて8段階、色味について41階調の計328個の画像データがプロットされる。ただし、図6では、図が繁雑になるのを避けるため、一料理あたりの画像データの数を、テクスチャについて4段階、色味について5階調の計20個に減らしている。
【0036】
マップ31において、黒色で塗りつぶされた星印(★)のプロット32が、カメラ18で撮影された画像データであるとする。この場合、カメラ18で撮影された画像データのプロット32は、カレーライスやハヤシライスの画像データのプロット群の中に位置する。従って、カメラ18で撮影された料理に類似する料理は、カレーライスやハヤシライスであると判定される。
【0037】
・重み付けデータの説明
図7は、実施例2にかかる重み付けデータを説明する図表である。図7に示すように、重み付けデータ36には、色味ごとに、テクスチャパラメータ値とカラーパラメータ値とが規定されている。テクスチャパラメータ値によって、テクスチャに関する値の重み付けの割合が決まる。カラーパラメータ値によって、色味に関する値の重み付けの割合が決まる。
【0038】
図7において、a〜fは0から100までの値であり、色味ごとに異なる値である。図示例では、テクスチャパラメータ値とカラーパラメータ値との合計は100になっているが、合計が100でなくてもよい。各色味に対するテクスチャパラメータ値及びカラーパラメータ値は、検索部4の検索エンジンや、例えば物体が料理であるか花であるかなど、物体によって変わることがある。
【0039】
・画像検索方法の説明
図8は、実施例2にかかる画像検索方法を示すフローチャートである。図8に示すように、画像検索処理が開始されると、まず、携帯端末11は、画像検索のアプリケーションを起動する(ステップS11)。それによって、携帯端末11にアプリケーション部5、検索部4及びカメラ用のミドルウェア20が実現される。そして、カメラ18のシャッターとなるボタンをユーザが押下するか、またはディスプレイ17に表示されたボタンの画像にユーザが触れることを契機として、カメラ18は、単品の料理を撮影する(ステップS12)。
【0040】
次いで、検索部4は、ミドルウェア20を経由して、カメラ18で撮影した例えばJPEG形式の画像データを取得する(ステップS13)。次いで、アプリケーション部5は、検索部4に、第1の重み付けの割合としてデフォルトのテクスチャパラメータ値及びカラーパラメータ値を設定する。デフォルトのテクスチャパラメータ値及びカラーパラメータ値は、例えば色味の重みとテクスチャの重みとが50%:50%となるような値であってもよい。
【0041】
また、アプリケーション部5は、ステップS12の撮影によって得られた画像データから色味に関する値とテクスチャに関する値を抽出して検索部4に渡す。画像データから色味に関する値とテクスチャに関する値を抽出する手法として、例えば公知技術を用いることができる。検索部4は、取得した色味に関する値とテクスチャに関する値との組み合わせに基づいて、デフォルトのテクスチャパラメータ値及びカラーパラメータ値で、データベース2を検索する(ステップS14)。そして、検索部4は、データベース2から、類似度の高い順に例えば上位20位までの画像データを抽出してアプリケーション部5に返す。
【0042】
次いで、アプリケーション部5は、ステップS14で検索部4から返された例えば上位20位までの画像データのファイル名に、順位に応じたスコアを付与する(ステップS15)。スコアの値は、特に限定しないが、例えば上位5位までに20点ずつ、6位から10位までに15点ずつ、11位から20位までに5点ずつとしてもよい。従って、検索部4で検索された21位以降の画像データのファイルの名スコアは、全て0点となる。アプリケーション部5は、各画像データのファイル名のスコアを保持する。
【0043】
次いで、アプリケーション部5は、ステップS14で検索部4から返された例えば上位20位までの画像データのうち、例えば上位5位までの画像データの色味で一番多い色味を主たる色味に決定する(ステップS16)。次いで、アプリケーション部5は、第2の重み付けの割合として、ステップS16で決定した主たる色味に対応するテクスチャパラメータ値を重み付けデータ36から取得する。そして、アプリケーション部5は、検索部4に、重み付けデータ36から取得したテクスチャパラメータ値を設定する。
【0044】
検索部4は、テクスチャパラメータ値を、アプリケーション部5により設定されたパラメータ値に変更してデータベース2を再検索する(ステップS17)。そして、検索部4は、データベース2から、類似度の高い順に例えば上位20位までの画像データを抽出してアプリケーション部5に返す。
【0045】
次いで、アプリケーション部5は、ステップS17で検索部4から返された例えば上位20位までの画像データのファイル名に、順位に応じたスコアを付与する(ステップS18)。スコアの値は、特に限定しないが、ステップS15で付与した値と同じであってもよい。次いで、アプリケーション部5は、ステップS15で各画像データのファイル名に付与したスコアと、ステップS18で各画像データのファイル名に付与したスコアとの合計値を算出する(ステップS19)。
【0046】
そして、アプリケーション部5は、ディスプレイ17に、ステップS19で算出したスコアの合計値が上位1位から5位までのファイルの物体名と画像を表示する(ステップS20)。そして、一連の画像検索処理を終了する。
【0047】
・データベースの作成方法の一例
図9は、実施例2にかかるデータベースの作成方法の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、データベースの作成者がデータベース作成処理を開始すると、まず、データベースの作成者は、デジタルカメラやカメラ付き携帯端末のカメラを用いて料理を撮影する(ステップS31)。データベースの作成者は、料理を撮影する代わりに、料理の画像を撮影したり、料理の画像をスキャナで読み取ったりしてもよい。
【0048】
次いで、データベースの作成者は、画像加工アプリケーションを起動し、ステップS31で取得した画像データを画像加工アプリケーションで開く(ステップS32)。次いで、データベースの作成者は、画像加工アプリケーションを操作して、ステップS31で取得した画像データの色味の明暗パラメータ値を、デフォルト値から20/256階調を減算した値に設定する(ステップS33)。
【0049】
次いで、データベースの作成者は、現在の色味の明暗パラメータ値が、デフォルト値に20/256階調を加算した値であるか否かを判断する(ステップS34)。現在の色味の明暗パラメータ値が、デフォルト値に20/256階調を加算した値に達するまでは(ステップS34:No)、データベースの作成者は、現在の色味の明暗パラメータ値での画像データにおいて、一番多い色味を主たる色味に決定する(ステップS35)。
【0050】
次いで、データベースの作成者は、現在の色味の明暗パラメータ値での画像データに対して、画像加工アプリケーションを操作して、ステップS35で決定した主たる色味の領域の画像Aとそれ以外の領域の画像Bとを切り取る(ステップS36)。次いで、データベースの作成者は、画像加工アプリケーションを操作して、ステップS36で切り取った画像Aと画像Bとの面積比が例えば100:1、50:1、10:1、7:1、5:1、3:1、2:1及び1:1となるように、画像データを作成する(ステップS37)。
【0051】
次いで、データベースの作成者は、ステップS37で作成した各画像データの特徴量ファイルを作成する(ステップS38)。次いで、データベースの作成者は、画像加工アプリケーションを操作して、ステップS31で取得した画像データの色味の明暗パラメータ値を、現在の値に1/256階調を加算した値に設定する(ステップS39)。そして、ステップS34に戻り、色味の明暗パラメータ値が、デフォルト値に20/256階調を加算した値に達するまで、ステップS34〜ステップS39を繰り返す。
【0052】
色味の明暗パラメータ値が、デフォルト値に20/256階調を加算した値に達したら(ステップS34:Yes)、データベースの作成者は、一連のデータベース作成処理を終了する。データベースの作成者は、ステップS38で作成した各画像データの特徴量ファイルを用いて、上述したデータベース2を作成する。
【0053】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、料理を携帯端末11のカメラ18で撮影すると、カメラ18で撮影した料理の候補が複数個、ディスプレイ17に表示される。ユーザは、ディスプレイ17に表示された料理の候補の中から、カメラ18で撮影した料理(実際の料理)に該当するものを、例えばキーパッド19を操作することにより選択することができる。従って、携帯端末11に、ユーザが食べた料理の記録を残すことができる。さらに、データベース2に蓄積されている料理の画像データと、当該料理を食べたときの摂取カロリーや栄養成分などの情報と、を対応付けておくことによって、ユーザの食事に関する記録を作成することができる。
【0054】
なお、検索対象の物体は、料理に限らず、花などでもよい。検索対象の物体が花である場合、検索エンジンは、バラやカーネーションなどの花の種類を大別して、大別された種類を検索してもよい。また、電子計算機1は、携帯端末11に限らず、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)などでもよい。
【0055】
上述した実施例1及び2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)複数の物体のそれぞれについて、前記物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積したデータベースと、画像データを取得する取得部と、前記データベースを検索する検索部と、前記取得部で取得した第1の画像データから前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを抽出し、抽出した前記組み合わせに基づいて前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させるアプリケーション部と、を備えることを特徴とする電子計算機。
【0057】
(付記2)前記第1の特徴量は、色味に関する値であり、前記データベースには、画像の中の主たる色味を複数階調で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする付記1に記載の電子計算機。
【0058】
(付記3)前記第2の特徴量は、テクスチャに関する値であり、前記データベースには、画像の中の主たる色味の領域とそれ以外の色味の領域との割合を複数段階で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする付記1または2に記載の電子計算機。
【0059】
(付記4)前記アプリケーション部は、色味に応じて前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を決める重み付けデータを有することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の電子計算機。
【0060】
(付記5)前記アプリケーション部は、前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を第1の割合に設定して、前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させ、該検索結果に基づいて前記第1の画像データの主たる色味を決定し、該主たる色味に対する前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との第2の重み付けの割合を前記重み付けデータから取得し、取得した前記第2の重み付けの割合で前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させ、該検索結果に基づいて前記第1の画像データの前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせに対応する前記データベース内の前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを取得することを特徴とする付記4に記載の電子計算機。
【0061】
(付記6)複数の物体のそれぞれについて、前記物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積したデータベースの中から、第1の画像データに類似する画像データを検索するにあたって、物体の第1の画像を取得し、前記第1の画像の特徴を表す前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を第1の重み付けの割合に設定して前記データベースを検索し、前記第1の重み付けの割合での前記検索結果に基づいて前記第1の画像データの主たる色味を決定し、前記主たる色味に対する前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との第2の重み付けの割合を、色味に応じて前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を決める重み付けデータから取得し、取得した前記第2の重み付けの割合で前記データベースを検索し、前記第2の重み付けの割合での前記検索結果に基づいて、前記第1の画像データの前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせに対応する前記データベース内の前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを取得することを特徴とする画像検索方法。
【0062】
(付記7)前記第1の特徴量は、色味に関する値であり、前記データベースには、画像の中の主たる色味を複数階調で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする付記6に記載の画像検索方法。
【0063】
(付記8)前記第2の特徴量は、テクスチャに関する値であり、前記データベースには、画像の中の主たる色味の領域とそれ以外の色味の領域との割合を複数段階で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする付記6または7に記載の画像検索方法。
【符号の説明】
【0064】
1,11 電子計算機
2 データベース
3,18,20 取得部
4 検索部
5 アプリケーション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体のそれぞれについて、前記物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積したデータベースと、
画像データを取得する取得部と、
前記データベースを検索する検索部と、
前記取得部で取得した第1の画像データから前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを抽出し、抽出した前記組み合わせに基づいて前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させるアプリケーション部と、
を備えることを特徴とする電子計算機。
【請求項2】
前記第1の特徴量は、色味に関する値であり、
前記データベースには、画像の中の主たる色味を複数階調で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする請求項1に記載の電子計算機。
【請求項3】
前記第2の特徴量は、テクスチャに関する値であり、
前記データベースには、画像の中の主たる色味の領域とそれ以外の色味の領域との割合を複数段階で変化させたデータが蓄積されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子計算機。
【請求項4】
前記アプリケーション部は、色味に応じて前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を決める重み付けデータを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子計算機。
【請求項5】
前記アプリケーション部は、
前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を第1の割合に設定して、前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させ、
該検索結果に基づいて前記第1の画像データの主たる色味を決定し、
該主たる色味に対する前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との第2の重み付けの割合を前記重み付けデータから取得し、
取得した前記第2の重み付けの割合で前記検索部に対して前記データベースの検索を実行させ、該検索結果に基づいて前記第1の画像データの前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせに対応する前記データベース内の前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを取得することを特徴とする請求項4に記載の電子計算機。
【請求項6】
複数の物体のそれぞれについて、前記物体のそれぞれの画像の特徴を表す第1の特徴量と第2の特徴量とを組み合わせたデータを、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量をそれぞれ所定数ずつ変化させて蓄積したデータベースの中から、第1の画像データに類似する画像データを検索するにあたって、
物体の第1の画像を取得し、
前記第1の画像の特徴を表す前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を第1の重み付けの割合に設定して前記データベースを検索し、
前記第1の重み付けの割合での前記検索結果に基づいて前記第1の画像データの主たる色味を決定し、
前記主たる色味に対する前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との第2の重み付けの割合を、色味に応じて前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との重み付けの割合を決める重み付けデータから取得し、
取得した前記第2の重み付けの割合で前記データベースを検索し、
前記第2の重み付けの割合での前記検索結果に基づいて、前記第1の画像データの前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせに対応する前記データベース内の前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との組み合わせを取得することを特徴とする画像検索方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate