説明

電子記録用のドライトナー組成物及びその製造方法

【課題】 優秀な耐久性及び耐除電性を有する画像を低い定着温度で形成することが可能な電子記録用のドライトナー組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の電子記録用のドライトナー組成物は,ドライトナー粒子と会合されたワックスを含み,ワックスの実質的な部分は,両親媒性の共重合体に同伴され,ワックスの実質的な部分は,トナー粒子の表面でトナー粒子と会合される。その製造方法は,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダー粒子を形成する工程,及び液体キャリアでワックスと共にトナー粒子をトナー粒子の調製前または後にミリングした後で乾燥してドライトナー組成物を製造する工程を含む。トナー組成物は,優秀な耐久性及び耐除電性を有する画像を低い定着温度で形成でき,オフセットもほとんど発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子記録法に利用されるドライトナー組成物及びその製造方法に係り,特に,両親媒性の共重合体バインダーを含む電子記録用のドライトナー組成物としてワックスをさらに含む電子記録用のドライトナー組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真工程及び静電プリンティング工程で(通称的に電子記録工程という),静電画像は,それぞれ感光要素または誘電要素の表面に形成される。感光要素または誘電要素は,非特許文献1及び特許文献1〜3に記述されたように,中間転写ドラムまたはベルト,または最終のトーン画像自体の基材でありうる。
【0003】
電子写真法は,複写及び幾つかの形態のレーザープリンティングを含む公知の多様な画像形成方法の技術的基礎を形成する。他の画像形成方法は,静電またはイオノグラフィックプリンティングを利用する。静電プリンティングは,帯電されたスタイラスにより誘電受容体または基材に画像通りにライティングされ,上記誘電受容体の表面に静電潜像が残留するプリンティングである。上記誘電受容体は,非感光性であり,一般的にリサイクルが不能である。上記画像パターンが(+)または(−)の静電電荷パターン形状に上記誘電受容体にライティングされた後,逆極性に帯電されたトナー粒子が上記潜像を現像するために上記誘電受容体に塗布される。さらに詳しい静電画像の形成方法は,特許文献4に記載されている。
【0004】
逆に,電子写真法は,通常的に最終の永久画像受容体上に電子写真画像を形成する工程で,感光体として周知の再使用可能であり,かつ感光性の一時的な画像受容体を使用するものを含む。代表的な電子写真工程は,帯電,露光,現像,転写,定着,クリーニング及び除電を含む受容体上に画像を形成するための一連の工程を含む。
【0005】
帯電工程で,感光体は,通常的にコロナまたは帯電ローラにより(−)極性または(+)極性である所望の極性の電荷に塗布される。露光工程では,光学システム,通常的にレーザースキャナーまたはダイオード配列は,感光体に電磁気照射を選択的に露光させることによって潜像を選択して,最終の画像受容体上に形成される目的画像に対応する画像方式で感光体の帯電表面を選択的に放電させる。“光”という電磁気照射は,例えば赤外線,可視光線及び紫外線を含むことができる。
【0006】
現像工程では,適当な極性のトナー粒子が一般的に上記感光体上の潜像と接触するが,このとき,トナー極性と同一な極性を有する電位に電気的にバイアスされた現像器を使用する。トナー粒子は感光体に移動し,静電気力により潜像に選択的に付着して,感光体上にトーン画像を形成する。
【0007】
転写工程では,トーン画像が感光体から目的とする最終の画像受容体に転写されるが,このとき,感光体から転写されたトーン画像に続いて,最終の画像受容体に転写するための中間転写要素が使われることもある。
【0008】
定着工程では,最終の画像受容体上のトーン画像を加熱してトナー粒子を軟化または溶融させて,上記トーン画像を最終の受容体に定着させる。他の定着方法は,加熱するか,または加熱せずに高圧下でトナーを最終の受容体に固定させることを含む。クリーニング工程では,感光体上に残存する残留トナーが除去される。最後に,除電工程では,感光体を特定の波長バンドに露光させることによって,感光体電荷を実質的に均一な低い数値に減少させ,残りの本来の潜像を除去し,次の画像形成サイクルに使用するために感光体を準備する。
【0009】
電子写真画像の形成方法は,また,マルチカラー工程または単色プリンティング工程であるかによって区別されうる。マルチカラープリンティング工程は,一般的にプリンティンググラフィックアートまたは写真画像プリンティング用に使われる一方,単色プリンティング工程は,主にテキストプリンティング用に使われる。幾つかのマルチカラー電子写真プリンティング工程は,必要なマルチカラーを感光体上に適用するマルチパス工程を利用して複合画像を形成し,これは,中間転写部材を通じるか,または直接的に最終の画像受容体に転写されうる。かかる工程の例は,特許文献5に記載されている。
【0010】
マルチカラー画像を現像するための単一パス電子写真工程も公知されているが,これをタンデム工程ともいう。タンデムカラー画像の形成方法は,例えば特許文献6,7に記載されている。タンデム工程で,感光体は,互いに離隔されている現像剤ステーションからカラーを受容して,感光体の単一パスのみに目的とするあらゆるカラーを塗布する。
【0011】
一方,電子写真画像の形成方法は,完全に単色化である。上記システムで,通常的にページ当たり一つのパスのみが存在するが,これは,感光体にカラーをオーバーレイする必要がないためである。しかし,単色化方法は,例えばさらに高い画像密度またはさらに乾燥された画像を最終の画像受容体に具現するのに必要な多重パスを含む。
【0012】
液体トナー及びドライトナー二つのトナーが商業的に広く使われている。“ドライ”という用語は,いかなる液体構成成分も完全に存在していないということを意味するものではなく,トナー粒子が相当量の溶媒を含まないので,摩擦電気電荷を運搬できるということを意味するが,例えば一般的に10重量%未満の溶媒を含むということを意味する(一般的に,ドライトナーは,溶媒含量において実質的に乾燥である)。これが,液体トナー粒子とドライトナー粒子との差異点である。
【0013】
ドライトナーで電子記録プリンティングする場合,紙のような最終の画像受容体のトーン画像の耐久性(例えば,耐除電性及び耐ブロッキング性)及び記録保全性は,大抵エンドユーザーにとって非常に重要である。最終の画像受容体の特性(例えば,組成,厚さ,極性,表面エネルギー及び表面粗度),定着工程の特性(例えば,熱源を伴う非接触定着または熱源と組み合わせられる圧力を伴う接触定着)及びトナー粒子の特性(例えば,単位面積当たり現像された質量,粒径及び形態,トナー粒子の組成及びガラス転移温度T,トナー粒子の製造に使われた重合体バインダーの分子量及び溶融レオロジー)は,いずれも定着器アセンブリを適した定着温度で加熱するのに必要なエネルギーは言うまでもなく,最終のトーン画像の耐久性に影響を及ぼす。上記適した定着温度とは,定着トーン画像が磨耗またはクラッキングにより除去されないように,最終の画像受容体に十分に接着させるT以上の最小温度と定義される(非特許文献2,3参照)。適した定着温度を最小化することが望ましい。これは,定着器アセンブリを適した温度に加熱するのに必要な時間を短縮させ,定着器アセンブリを適した温度に維持するのに消費される電力を減少させ,最小定着温度が減少する場合,定着器ロール材料の熱的要求を減少させるためである。当業界では,高品質かつ耐久性を備えた画像を最終の画像受容体で低い定着温度で形成できる改善されたドライトナー組成物について研究し続けている。
【0014】
【非特許文献1】Schmidt,S.P.及びLarson,J.R.のHandbook of Imaging Materials,Diamond,A.S.,Ed:Marcel Dekker:New York;Chapter6,pp 227〜252
【非特許文献2】L.DeMejo,et al.,SPIE Hard Copyand Printing Materials,Media,and Process,1253,85(1990)
【非特許文献3】T.Satoh,et al.,Journal of Imaging Science,35(6),373(1991)
【特許文献1】米国特許第4,728,983号明細書
【特許文献2】米国特許第4,321,404号明細書
【特許文献3】米国特許第4,268,598号明細書
【特許文献4】米国特許第5,176,974号明細書
【特許文献5】米国特許第5,432,591号明細書
【特許文献6】米国特許第5,916,718号明細書
【特許文献7】米国特許第5,420,676号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は,高品質かつ耐久性を備えた画像を最終の画像受容体で低い定着温度で形成することが可能な新規かつ改良された電子記録用のドライトナー組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数のドライトナー粒子と,少なくとも一つの画質を向上させる添加剤と,上記ドライトナー粒子と会合されたワックスと,を含み,上記トナー粒子は,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを含み,上記ワックスの実質的な部分は,上記トナー粒子に同伴され(entrain),上記ワックスの実質的な部分は,上記トナー粒子の表面で上記トナー粒子と会合された(associate)ことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物が提供される。
【0017】
また,上記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差が,約2.8MPa1/2以上であってもよい。
【0018】
また,上記ワックスの含量は,上記トナー粒子の含量を基準として約1重量%〜約20重量%であってもよい。
【0019】
また,上記ワックスの含量は,上記トナー粒子の含量を基準として約4重量%〜約10重量%であってもよい。
【0020】
また,上記ワックスは,約60℃〜約150℃の融点を有してもよい。
【0021】
また,上記ワックスは,ポリプロピレンワックスであってもよい。
【0022】
また,上記ワックスは,シリコンワックスであってもよい。
【0023】
また,上記ワックスは,脂肪酸エステルワックスであってもよい。
【0024】
また,上記ワックスは,メタロセンワックスであってもよい。
【0025】
また,上記ワックスは,酸性作用基を含んでもよい。
【0026】
また,上記両親媒性の共重合体は,塩基性作用基を含んでもよい。
【0027】
また,上記ワックスは,塩基性作用基を含んでもよい。
【0028】
また,上記両親媒性の共重合体は,酸性作用基を含んでもよい。
【0029】
また,上記ワックスは,約10,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有してもよい。
【0030】
また,上記ワックスは,約50,000〜500,000ダルトンの分子量を有してもよい。
【0031】
また,上記ワックスは,上記トナー粒子の全体に実質的に均一に分布されることによって,上記トナー粒子と会合されてもよい。
【0032】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,(a)約30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程と,(b)重合可能性の化合物を上記液体キャリアで重合して,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを形成する工程と,(c)上記(b)工程の重合体バインダーと少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む上記液体キャリアでトナー粒子を調製する工程と,(d)上記(c)工程のトナー粒子をワックス存在下でミリングする工程と,(e)上記(d)工程で得た複数のトナー粒子を乾燥させ,上記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する工程と,を含むことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物の製造方法が提供される。
【0033】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,上記に記載の方法で製造された生成物が提供される。
【0034】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,(a)約30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程と,(b)重合可能性の化合物を上記液体キャリアで重合して,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダー粒子を形成する工程と,(c)上記(b)工程のバインダー粒子をワックス存在下でミリングする工程と,(d)上記(c)工程の重合体バインダー粒子と少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む上記液体キャリアでトナー粒子を調製する工程と,(e)上記(d)工程で得た複数のトナー粒子を乾燥させ,上記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する工程と,を含むことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物の製造方法が提供される。
【0035】
また,上記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約2.8MPa1/2以上であってもよい。
【0036】
また,上記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約3.0MPa1/2以上であってもよい。
【0037】
また,上記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約3.2MPa1/2以上であってもよい。
【0038】
また,上記ワックスは,上記液体キャリア中に上記ワックスの溶解度限界以上の濃度で存在する溶解性ワックスであってもよい。
【0039】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,上記に記載の方法で製造された生成物が提供される。
【0040】
複数のドライトナー粒子を含んだ電子記録用のドライトナー組成物が提供される。トナー粒子は,一つ以上のS材料部分及び一つ以上のD材料部分を有する一つ以上の両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを含む。ワックスは,上記ドライトナー粒子と会合されており,上記ワックスの実質的な部分は,上記両親媒性の共重合体に同伴され,上記ワックスの実質的な部分は,上記トナー粒子の表面で上記トナー粒子と会合される。本明細書において,“会合された”という用語は,ワックス成分がトナー粒子と物理的に接触するが,トナー粒子と共有会合していないということを意味する。また“ワックスの実質的な部分がトナー粒子に同伴される”ということは,ワックスの大部分はトナー内部に包含されるのではなく、トナー粒子の表面に存在するということである。特定理論に限定されるものではないが,本発明のトナー組成物に提供されたワックス成分は,上記ワックス成分をバインダー共重合体の材料と混合するか,または上記バインダー粒子を上記ワックスに部分的にまたは完全にカプセル化させることによって,近接会合環境を提供して,ワックスがトナー粒子に会合されるように促進する物理及び/または物理化学的な相互作用(共有結合を形成していない)を提供すると考えられる。望ましい実施形態において,ワックスは,キャリア液体で両親媒性の共重合体及び画質を向上させる添加剤と分散される。他の望ましい実施形態において,上記ワックスは,キャリア液体に不溶性である。他の実施形態において,ワックスは,酸性作用基または塩基性作用基含有のワックスである。望ましい実施形態において,酸性作用基含有のワックスは,塩基性作用基含有の両親媒性の共重合体または画質を向上させる添加剤と共に使われ,塩基性作用基含有のワックスは,酸性作用基含有の両親媒性の共重合体または画質を向上させる添加剤と共に使われる。
【0041】
電子記録用のドライトナー組成物の製造方法も提供されるが,上記方法は,約30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程,及び重合可能性の化合物を上記液体キャリアで重合させ,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダー粒子を形成する工程を含む。次いで,上記粒子は,上記液体キャリア中のワックス成分の存在下でミリングされる。次いで,上記トナー粒子は,重合体バインダーと少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む上記液体キャリアで調製される。次いで,上記トナー粒子を乾燥させ,上記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する。
【0042】
電子記録用のドライトナー組成物の他の製造方法も提供されるが,上記方法は,約30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程,及び重合可能性の化合物を上記液体キャリアで重合させ,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダー粒子を形成する工程を含む。次いで,上記トナー粒子を上記重合体バインダーと少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む液体キャリアで調製する。次いで,上記粒子を液体キャリア中のワックス成分の存在下でミリングする。次いで,上記複数のトナー粒子を乾燥させ,上記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する。
【0043】
前述したようなトナー粒子は,優秀な最終の画像耐久性及び耐除電性を表すドライトナーを提供し,最終の画像受容体で低い定着温度で優秀な画像を提供できるトナー組成物を提供する。かかる特性の組み合わせは,本発明のトナー組成物に対してさらに広い範囲の適した定着温度を有利に提供できる。理論に制約されてはいないが,上記ワックスは,トナー粒子に共有結合されておらず,十分に移動可能であるため,画像形成工程の間にトーン画像が最終の画像受容体から定着器の表面に望ましくなく部分転写されること(オフセット)を防止可能である。上記ワックスは移動可能ではあるが,トナー粒子の摩擦電気帯電に悪影響を及ぼす使用条件,または電子写真形成工程において非常に重要な感光体,中間転写要素,定着器要素,または他の表面を汚染させる使用条件下でトナー粒子と分離されない。
【0044】
また,電子記録用のトナー組成物でワックスを使用することによって,定着温度が高くて上記組成物の使用に適していない,重合体バインダーに組み込まれる代替モノマーのような広範囲の出発物質でも使用してトナー粒子を製造できる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように,本発明のドライトナー組成物は,ワックスを含むことにより,オフセットが防止できるので高品質、耐久性のある最終画像が提供でき、また低い定着温度で画像形成が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する発明特定事項については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0047】
ドライトナー組成物のトナー粒子は,両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを含む。本発明で使われる“両親媒性”という用語は,オルガノゾルの製造に使われるか,及び/またはドライトナー粒子の製造中に使われる望ましい溶媒キャリアで,明確に区別される溶解度及び分散性を有する部分の組み合わせを有する共重合体を意味する。望ましくは,上記液体キャリアは,上記共重合体の少なくとも一部分(本願で,S材料または部分という)が上記キャリアによりさらに溶媒化される一方,共重合体の少なくとも一つの他の部分(本願で,D材料または部分という)は,上記キャリアで分散された相を構成するように選択される。
【0048】
望ましくは,上記オルガノゾルの非水性の液体キャリアは,両親媒性の共重合体の少なくとも一部分(本願で,S材料またはS部分という)がキャリアにより溶媒化される一方,上記共重合体の少なくとも一つの他の部分(本願で,D材料またはD部分という)は,キャリア内に分散された相を構成するように選択される。すなわち,本発明の望ましい共重合体は,望ましい液体キャリアで十分に相異なる溶解度を有するS及びD材料を含み,Sブロックは,キャリアによりさらに溶媒化される一方,Dブロックは,キャリアによりさらに分散される。さらに望ましくは,Sブロックは,液体キャリアに可溶性である一方,Dブロックは不溶性である。特に望ましい実施形態において,D材料相は,液体キャリアから分離されて,分散された粒子を形成する。
【0049】
一つの観点で,上記液体キャリア中に分散された重合体粒子は,D材料がコア内にある一方,S材料はシェルにあるコア/シェル構造を有する。したがって,S材料は,分散補助剤,立体安定化剤またはグラフト共重合体の安定化剤として作用して,液体キャリアでの共重合体粒子の分散を安定化させる。したがって,S材料は,本願で“グラフト安定化剤”ともいう。上記バインダー粒子のコア/シェル構造は,ドライトナー組成物に統合されるとき及び上記粒子が乾燥されるときにも維持されうる。
【0050】
トナー組成物に統合されるワックスは,望ましくは,ワックスを含まない同一なドライトナー組成物に比べて定着温度を下降させる有効な含量で提供される。望ましくは,ワックス成分は,トナー粒子の含量を基準として約1重量%〜約20重量%,さらに望ましくは,約4重量%〜約10重量%の含量で存在する。
【0051】
ドライトナー組成物に統合されるワックスは,最終のトナー組成物の望ましい性能特性を提供可能な本実施形態に適したワックスのうちから選択されうる。使用可能なワックスの例は,ポリプロピレンワックス,シリコンワックス,脂肪酸エステルワックス及びメタロセンワックスを含む。選択的に,上記ワックスは,酸性作用基または塩基性作用基を含む。望ましくは,上記ワックスは,約60℃〜約150℃の融点を有し,望ましくは,約10,000〜約1,000,000,さらに望ましくは,約50,000〜約500,000ダルトンの分子量を有する。選択的に,上記ワックスは,トナー粒子が形成された液体キャリアに不溶性でありうる。上記実施形態において,上記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,望ましくは,約2.8MPa1/2以上,より望ましくは,約3.0MPa1/2以上,さらに望ましくは,約3.2MPa1/2以上である。
【0052】
材料,または共重合体部分のような材料の一部分の溶解度は,ヒルデブランド溶解度パラメータで定性及び定量的に特徴づけられる。ヒルデブランド溶解度パラメータは,(圧力)1/2の単位を有した,材料の凝集エネルギー密度の自乗根で表す溶解度パラメータを意味し,(ΔH/RT)1/2/V1/2と同一である。ここで,ΔHは材料のモル蒸発エンタルピを表し,Rは一般気体定数であり,Tは絶対温度であり,Vは溶媒のモル体積である。ヒルデブランド溶解度パラメータは,溶媒については,Barton,A.F.M.,Handbook of Solubility and Other Cohesion Parameters,2d Ed.CRC Press,Boca Raton,Fla.,(1991)に,モノマー及び代表的な重合体については,Polymer Handbook,3rd Ed.,J.Brandrup&E.H.Immergut,Eds.John Wiley,N.Y.,pp.519−557(1989)に,複数の商業的に入手可能な重合体については,Barton,A.F.M.,Handbook of Polymer−Liquid Interaction Parameters and Solubility Parameters,CRC Press,Boca Raton,Fla.,(1990)に表で作られている。
【0053】
液体キャリアでの材料またはその一部分の溶解度は,上記材料またはその一部分と上記液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差から予想されうる。材料またはその一部分は,上記材料またはその一部分と液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差が約1.5MPa1/2未満である場合,十分に可溶性であるか,または少なくとも非常に溶媒化された状態である。一方,ヒルデブランド溶解度パラメータ間の絶対差が約3.0MPa1/2を超える場合,上記材料またはその一部分は,液体キャリアから相分離されて分散液を形成する傾向を示す。ヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差が1.5MPa1/2〜3.0MPa1/2である場合,上記材料またはその一部分は,液体キャリアに若干溶媒化されるか,または若干不溶性であると考えられる。
【0054】
結果的に,望ましい実施形態において,共重合体のS材料部分と液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約3.0MPa1/2未満である。本発明の特に望ましい実施形態において,共重合体のS材料部分と液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約2〜約3.0MPa1/2である。本発明の特に望ましい実施形態において,共重合体のS材料部分と液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約2.5〜約3.0MPa1/2である。また,共重合体のD材料部分と液体キャリアとのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約2.3MPa1/2以上,望ましくは,約2.5MPa1/2以上,さらに望ましくは,約3.0MPa1/2以上である。このとき,S材料部分とD材料部分とのヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,約0.4MPa1/2以上,さらに望ましくは,約1.0MPa1/2以上である。材料の溶解度は,温度によって変わるので,上記溶解度パラメータは,望ましくは,25℃のような望ましい標準温度で測定される。
【0055】
当業者は,共重合体またはその一部分のヒルデブランド溶解度パラメータが,Barton A.F.M.,Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,CRC Press,Boca Raton,p12(1990)に二成分の共重合体について記載されているように,共重合体またはその一部を構成する各モノマーに対するそれぞれのヒルデブランド溶解度パラメータの体積分率重量係数を使用して計算可能であるということが分かる。重合体材料のヒルデブランド溶解度パラメータの大きさは,Barton pp.446−448に記載されているように,重合体の重量平均分子量により若干左右されると周知されている。したがって,望ましい溶媒化または分散特性を得るためには,与えられた重合体またはその一部分について望ましい分子量範囲がある。同様に,混合物についてのヒルデブランド溶解度パラメータは,混合物の各成分に対するそれぞれのヒルデブランド溶解度パラメータについての体積分率重量係数を使用して計算されうる。
【0056】
また,ポリマーハンドブック(Polymer Handbook,3rd Ed.,J.Brandrup&E.H.Immergut,Eds.John Wiley,NewYork,(1989))のVII/525ページの表2.2に列挙されたスモールグループ寄与値を利用して,スモールが開発したグループ寄与法を利用して(Small,P.A.,J.Appl.Chem.,3,71(1953))得たモノマー及び溶媒の計算された溶解度パラメータにより本発明を定義した。本発明者は,他の実験方法で得た溶解度パラメータ値を使用することによって引き起こされる曖昧さを避けるために,本発明を定義するのに上記方法を使用した。また,スモールグループ寄与値は,蒸発エンタルピを測定して得るデータと一致する溶解度パラメータを得るようにするので,ヒルデブランド溶解度パラメータを定義する表現と完全に一致する。重合体の蒸発熱を測定することが実用的でないので,モノマーに代替するのが合理的である。
【0057】
説明のために,表1に電子記録用のトナーに使われた幾つかの通常的な溶媒についてのヒルデブランド溶解度パラメータ,オルガノゾルを合成するのに使われる幾つかの通常的なモノマーについてのヒルデブランド溶解度パラメータ及びガラス転移温度(高分子量のホモポリマー基準)を列挙する。
【0058】
【表1】



【0059】
上記液体キャリアは,実質的に非水性の溶媒または溶媒混合物である。すなわち,液体キャリアの単に少量成分(一般的に25重量%未満)のみが水を含む。望ましくは,上記実質的に非水性の液体キャリアは,20重量%未満,より望ましくは,10重量%未満,さらに望ましくは,3重量%未満,最も望ましくは,1重量%未満の水を含む。
【0060】
上記実質的に非水性のキャリア液体は,当該技術分野で公知されている多様な材料,またはそれらの組み合わせから選択されうるが,30ml未満のカウリブタノールナンバーを有することが望ましい。上記液体は,望ましくは,親油性であり,多様な条件下で化学的に安定しており,電気絶縁性である。電気絶縁性は,誘電定数が低く,電気的比抵抗が大きい分散剤液体を意味する。望ましくは,上記液体分散剤は,誘電定数が5未満,さらに望ましくは,3未満である。キャリア液体の電気的比抵抗は,通常的に10Ohm−cmより大きく,さらに望ましくは,1010Ohm−cmより大きい。また,液体キャリアは,トナー粒子を配合するのに使われる成分に対してほとんどの実施形態で化学的に不活性である。
【0061】
適当な液体キャリアの例としては,脂肪族の炭化水素類(n−ペンタン,へキサン,ヘプタン等),環状脂肪族の炭化水素類(シクロペンタン,シクロへキサン等),芳香族の炭化水素類(ベンゼン,トルエン,キシレン等),ハロゲン化の炭化水素溶媒(塩素化アルカン類,フッ素化アルカン類,クロロフルオロカーボン等),シリコンオイル及びそれら溶媒の混合物を含む。望ましいキャリア液体は,Isopar(登録商標)G,Isopar(登録商標)H,Isopar(登録商標)K,Isopar(登録商標)L,Isopar(登録商標)M及びIsopar(登録商標)V(米国,NJ所在,Exxon Corporation社製)のような分枝型のパラフィン系の溶媒混合物を含み,最も望ましいキャリアは,Norpar(登録商標)12,Norpar(登録商標)13及びNorpar(登録商標)15(米国,NJ所在,Exxon Corporation社製)のような脂肪族の炭化水素溶媒ブレンドである。特に望ましいキャリア液体は,約13〜約15MPa1/2のヒルデブランド溶解度パラメータを有する。望ましい液体キャリアは,相対的に低沸点溶媒(すなわち,望ましくは,約200℃,さらに望ましくは,約150℃,最も望ましくは,約100℃以下の沸点を有する)であって,これは,トナー粒子の乾燥において特に望ましい。望ましい液体キャリアの例は,n−ペンタン,へキサン,ヘプタン,シクロペンタン,シクロへキサン及びそれらの混合物を含む。
【0062】
本願で使われる“共重合体”という用語は,オリゴマー材料及び重合体材料をいずれも含み,二つ以上のモノマーを含む重合体を含む。本願で使われるように,“モノマー”という用語は,一つ以上の重合可能な基を有した比較的低分子量の材料(すなわち,一般的に約500ダルトン未満の分子量を有する)を意味する。“オリゴマー”とは,二つ以上のモノマーを含み,一般的に約500〜約10,000ダルトンの分子量を有した比較的中間サイズの分子を意味する。“重合体”とは,二つ以上のモノマー,オリゴマー及び/または重合体成分からなる構造を含み,一般的に約10,000ダルトンより大きい分子量を有した比較的大きい材料を意味する。
【0063】
本発明の両親媒性の共重合体の重量平均分子量は,非常に多様であり,画像形成性能に影響を与えることもある。共重合体の多分散性も,これから生成されたドライトナー材料の画像形成性能及び転写性能に影響を及ぼすこともある。両親媒性の共重合体の分子量を測定し難いので,代わりに分散された共重合体(オルガノゾル)の粒径を,これから生成されたドライトナー材料の画像形成性能及び転写性能に連関させることができる。一般的に,レーザー回折粒径測定法で測定されたトナー粒子の体積平均粒径Dは,約0.1〜約100ミクロン,さらに望ましくは,約1〜約20ミクロン,最も望ましくは,約5〜約10ミクロンでなければならない。
【0064】
また,上記グラフト共重合体の溶媒化性または溶解性のS材料部分の分子量と,これから生成されたトナーの画像形成及び転写性能との間には相互関係が存在する。一般的に,上記共重合体のS材料部分は,重量平均分子量が1000〜1,000,000ダルトン,望ましくは,5000〜400,000ダルトン,さらに望ましくは,50,000〜300,000ダルトンである。また,上記共重合体のS材料部分の多分散性(数平均分子量に対する重量平均分子量の比)は,15未満,さらに望ましくは,5未満,最も望ましくは,2.5未満である。本発明の明確な利点は,かかるS部分の多分散性の低い共重合体粒子は,本願に記載された実施方法によって,特に共重合体が液体キャリア内でそのままの状態で(in situ)形成される実施形態で容易に製造されるという点である。
【0065】
共重合体でS,D材料部分の相対的な含量は,それらの部分の溶媒化特性及び分散性に影響を与える。例えば,S材料部分が少なすぎれば,共重合体は,立体安定化効果が過度に小さいので,凝集に対して必要なほどオルガノゾルを立体的に安定化できない。D材料部分が少なすぎれば,この少量のD材料が液体キャリアに過度に可溶性であるので,液体キャリアで明確に区分される分散された相を形成するための駆動力が不十分である。溶媒化されて分散された相がいずれも存在することによって,粒子の成分は,分離された粒子間で非常に均一にインシチュ自家組み立てられる。かかる関係に均衡を合せるために,D材料対S材料の望ましい重量比は,1/20〜20/1,より望ましくは,1/1〜15/1,さらに望ましくは,2/1〜10/1,最も望ましくは,4/1〜8/1である。
【0066】
ガラス転移温度Tとは,(共)重合体またはその一部分が硬質のガラス材料からゴム状または粘性材料に変化する温度を意味し,(共)重合体が加熱されるにつれて自由体積が非常に増加する温度に該当する。Tは,高分子量のホモポリマー(例えば,表1参照)に対する既知のT値と以下のフォックス方程式とを利用して,(共)重合体またはその一部分に対して計算できる:
【0067】
【数1】

【0068】
上記数式1で,各wは,モノマー“n”の重量分率であり,各Tgnは,Wicks,A.W.,F.N.Jones&S.P.Pappas,Organic Coatings 1,John Wiley,NY,pp 54−55(1992)に記載されたように,モノマー“n”の高分子量ホモポリマーの絶対ガラス転移温度(K:Kelvin)である。
【0069】
本発明の実施において,上記共重合体のTは,全体的に例えば示差走査熱量計を使用して実験的に測定できるが,共重合体または溶解性の重合体のDまたはS部分のT値は,上記フォックス方程式を利用してまたは実験的に測定した。S,D部分のガラス転移温度Tは,非常に広く変化し,これから生成されたドライトナー粒子の生産性及び/または性能を向上させるために独立的に選択されうる。S,D材料部分のTは,上記部分を構成するモノマータイプにより大きく左右される。したがって,さらに高いTを有した共重合体材料を提供するために,モノマーが使われる共重合体部分(DまたはS)のタイプに対して適当な溶解度特性を有し,さらに高いTを有する一つ以上のモノマーを選択できる。逆に,さらに低いTを有した共重合体材料を提供するために,モノマーが使われる共重合体部分のタイプに対して適当な溶解度特性を有し,さらに低いTを有するモノマーを選択できる。
【0070】
通常的に,ドライトナー粒子用に適した重合体バインダーは,定着後に優秀な耐ブロッキング性を得るために,少なくとも約50〜65℃の高いガラス転移温度Tを有し,トナー粒子を軟化及び溶融させて最終の画像受容体に適切に定着させるために,約200〜250℃の高い定着温度を要求する。高い定着温度は,ドライトナーには望ましくない。その理由は,高い定着温度により長い加温時間及びさらに多くのエネルギー消費が要求され,紙の自動発火点(233℃)に近接した温度でトナーを紙に定着させるので,火災危険があるためである。
【0071】
また,高いTの重合体バインダーを使用する幾つかのドライトナーは,最適の定着温度近辺でトナー画像が最終の画像受容体から定着器の表面に望ましくなく部分転写(オフセット)すると周知されているので,表面エネルギーの低い材料を定着器の表面で使用するか,またはオフセットを防止できる定着器オイルを利用することが要求される。
【0072】
多様な一つ以上の異なるモノマー,オリゴマー及び/または重合体材料が,独立的にS及びD材料部分に必要に応じて統合されうる。適当な材料の代表的な例としては,自由ラジカルメカニズムで重合された材料(幾つかの実施形態では,ビニル共重合体または(メタ)アクリル共重合体ともいう),ポリウレタン類,ポリエステル類,エポキシ類,ポリアミド類,ポリイミド類,ポリシロキサン類,フルオロポリマー類,ポリスルホン類,それらの組み合わせなどを含む。望ましいS及びD材料部分は,自由ラジカル重合性材料から誘導される。本発明の実施において,“自由ラジカル重合性”という用語は,自由ラジカルメカニズムを通じて重合反応に参加するモノマー,オリゴマーまたは重合体バックボーンに直接または間接的に(実情によって異なる)結合された作用基を有するモノマー,オリゴマーまたは重合体を意味する。かかる作用基の代表的な例は,(メタ)アクリレート基,オレフィン系の炭素−炭素二重結合,アリルオキシ基,アルファ−メチルスチレン基,(メタ)アクリルアミド基,シアネートエステル基,ビニルエーテル基,それらの組み合わせなどを含む。“(メタ)アクリル”という用語は,本願に記載されたようにアクリル及び/またはメタクリルを含む。
【0073】
自由ラジカル重合性モノマー,オリゴマー及び/または重合体を利用して,商業的に入手可能な非常に多様な共重合体を形成でき,一つ以上の所望の性能を提供するように色々な望ましい特性を有するように選択できる。本発明の実施に適当な自由ラジカル重合性モノマー,オリゴマー及び/または重合体は,一つ以上の自由ラジカル重合性のモイェティを含むことができる。
【0074】
単一作用基の自由ラジカル重合性モノマーの代表的な例は,スチレン,アルファ−メチルスチレン,置換されたスチレン類,ビニルエステル類,ビニルエーテル類,N−ビニル−2−ピロリドン,(メタ)アクリルアミド,ビニルナフタレン,アルキル化されたビニルナフタレン類,アルコキシビニルナフタレン類,N−置換(メタ)アクリルアミド,オクチル(メタ)アクリレート,ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート,N−ビニルピロリドン,イソノ二ル(メタ)アクリレート,イソボル二ル(メタ)アクリレート,2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,ベタ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート,イソブチル(メタ)アクリレート,シクロ脂肪族のエポキシド類,アルファ−エポキシド,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,(メタ)アクリロニトリル,無水マレイン酸,イタコン酸,イソデシル(メタ)アクリレート,ラウリル(ドデシル)(メタ)アクリレート,ステアリル(オクタデシル)(メタ)アクリレート,ベヘ二ル(メタ)アクリレート,n−ブチル(メタ)アクリレート,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ヘキシル(メタ)アクリレート,(メタ)アクリル酸,N−ビニルカプロラクタム,ステアリル(メタ)アクリレート,ヒドロキシ作用基を有するカプロラクトンエステル(メタ)アクリレート,イソオクチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート,ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート,ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート,テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート,イソボル二ル(メタ)アクリレート,グリシジル(メタ)アクリレートビニルアセテート及びそれらの組み合わせなどを含む。
【0075】
本発明の一実施形態において,反応後にS材料部分を形成するモノマー成分は,溶解度パラメータ特性に合せて所定範囲のTを有するモノマーを選択することによって,S材料部分の望ましいTを提供するように選択される。望ましくは,トナー及びこれから形成された画像の定着特性及び耐久性は,両親媒性の共重合体のS材料部分の成分のTを選択することによって向上する。かかる方法で,トナー組成物の性能特性を望ましい画像形成システムに使用可能に調節及び/または最適化できる。
【0076】
S材料部分は,望ましくは,(メタ)アクリレート系モノマーで形成され,トリメチルシクロヘキシルメタクリレート;t−ブチルメタクリレート;n−ブチルメタクリレート;イソボル二ル(メタ)アクリレート;1,6−へキサンジオルジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート;ラウリルメタクリレート;及びそれらの組み合わせからなる群から選択された溶解性モノマーの反応生成物を含む。
【0077】
本発明の望ましい共重合体は,一つ以上の照射硬化性モノマーまたはそれらの組み合わせが含まれるように形成されうる。それらは,自由ラジカル重合可能な組成物及び/またはその硬化された組成物が一つ以上である望ましい性能基準を満足させるようにする。
【0078】
相対的に高いT特性を有して高いT成分に統合され,本実施形態に適した照射硬化性モノマーの例示的な種類は,一般的に一つ以上の照射硬化性の(メタ)アクリレートモノマー及び一つ以上の非芳香族のアリサイクル及び/または非芳香族のヘテロサイクルモノマーを含む。イソボル二ル(メタ)アクリレートが上記モノマーの具体例である。例えば,イソボル二ルアクリレートから形成された硬化単一重合体は,110℃のTを有する。モノマー自体は222g/moleの分子量を有し,室温で透明な液体として存在し,25℃で9センチポアーズの粘性を有し,25℃で31.7dynes/cmの表面張力を有する。また,1,6−へキサンジオルジ(メタ)アクリレートも,高いT特性を有するモノマーの他の具体例である。高いT成分の望ましい他の例は,トリメチルシクロヘキシルメタクリレート,t−ブチルメタクリレート,n−ブチルメタクリレートを含む。S材料部分及び溶解性重合体にいずれも使用可能な高いT成分の組み合わせは,特にHEMA(後続工程でTMIと反応する)の使用により提供されるような固定グラフティンググループと共に考慮できる。
【0079】
本発明のバインダー粒子に使用可能なグラフト両親媒性の共重合体の例は,発明者がQianらであり,“ORGANOSOL INCLUDING AMPHIPATHIC COPOLYMERIC BINDER AND USE OF THE ORGANOSOL TO MAKE DRY TONERS FOR ELECTROPHOTOGRAPHIC APPLICATIONS(両親媒性の共重合体バインダーを含むオルガノゾル及び電子写真用のドライトナー製造のための上記オルガノゾルの用途)”という名称で2003年6月30日付で出願された米国特許第10/612,243号明細書,及び発明者がQianらであり,“ORGANOSOL INCLUDING AMPHIPATHIC COPOLYMERIC BINDER HAVING CRYSTALLINE MATERIAL AND USE OF THE ORGANOSOL TO MAKE DRY TONER FOR ELECTROPHOTOGRAPHIC APPLICATIONS(結晶質材料を有する両親媒性の共重合体バインダーを含むオルガノゾル及び電子記録用の液体トナー製造のための上記オルガノゾルの用途)”という名称で2003年6月30日付で出願された米国特許第10/612,533号明細書(いずれも本出願人の共同係留中の出願である)に記載されており,上記特許文献は引用されて本明細書に統合されている。
【0080】
本発明の共重合体は,制限されていないが,バルク,溶液及び分散重合法を含んで当業界で公知された自由ラジカル重合法で製造されうる。生成された共重合体は,直線型,分枝型,3次元の網状構造,グラフト構造,それらの組み合わせなどを含んで多様な構造を有する。望ましい実施形態は,オリゴマーまたは重合体のバックボーン(backbone)に付着された一つ以上のオリゴマー及び/または重合体アーム(arm)を含むグラフト共重合体である。グラフト共重合体の実施形態において,S材料部分またはD材料部分の材料は,場合によってアーム及び/またはバックボーンに統合されうる。
【0081】
当業者に公知されている任意の数の反応を使用して,グラフト構造を有する自由ラジカル重合された共重合体を製造できる。通常的なグラフティング方法は,多官能性の自由ラジカルのランダムグラフティング;モノマーとマクロモノマーとの共重合;環状エーテル類,エステル類,アミド類またはアセタル類の開環重合;エポキシ化;ヒドロキシまたはアミノ鎖伝達剤と不飽和された末端基との反応;エステル化反応(すなわち,グリシジルメタクリレートは,メタクリル酸と3次アミン触媒とによりエステル化される);縮重合を含む。
【0082】
代表的なグラフト共重合体の製造方法は,米国特許第6,255,363号明細書,米国特許第6,136,490号明細書,米国特許第5,384,226号明細書,及び特開平5−119529号公報に記載されており,それらの文献は引用されて本明細書に統合されている。代表的なグラフティング方法の例は,本願に引用により統合されたDispersion Polymerization in Organic Media,K.E.J.Barrett,ed.,(John Wiley;New York,1975)pp.79−106のセクション3.7,3.8に記載されている。
【0083】
望ましい実施形態において,上記共重合体は,望ましい有機液体キャリアでインシチュ重合されるが,これは,トナー組成物に使用し本実施形態に適した実質的に単分散性の共重合体粒子を形成できるためである。次いで,これから生成されたオルガノゾルを,望ましくは一つ以上の画質を向上させる添加剤及び選択的には一つ以上の望ましい成分と混合またはミリングして,望ましいトナー粒子を形成する。このように混合する間に,画質を向上させる粒子を含む成分及び共重合体は,溶媒化されたS部分と分散されたD部分とを有する複合粒子で自己集合される。具体的には,共重合体のD材料は,物理的及び/または化学的に画質を向上させる添加剤の表面と相互作用する傾向がある一方,S材料は,キャリアでの分散を促進させると考えられる。
【0084】
グラフティング方法の代表的な例は,固定基を使用できる。固定基の機能は,共重合体のコア部(D材料)と可溶性のシェル成分(S材料)との間に共有結合された連結を提供するものである。望ましい両親媒性の共重合体は,まず,重合工程により反応基を含む中間S材料部分を製造した後,上記入手可能な反応基をグラフト固定化合物と反応させて製造できる。上記グラフト固定化合物は,上記中間S材料部分上の反応基と反応できる第1作用基,及び重合反応を起こす重合可能性の反応基である第2作用基を含む。中間S材料部分をグラフト固定化合物と反応させた後,選択されたモノマーとの重合反応をS材料部分の存在下で行って,一つ以上のS材料部分がグラフティングされたD材料部分を形成できる。
【0085】
固定基を含有し,本実施形態に適したモノマーは,アルケ二ルアズラクトンコモノマーと,2−ヒドロキシエチルメタクリレート,3−ヒドロキシプロピルメタクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,ペンタエリスリトールトリアクリレート,4−ヒドロキシブチルビニルエーテル,9−オクタデセン−1−オール,シナミルアルコール,アリルメルカプタン及びメタリルアミンのようなヒドロキシ,アミノまたはメルカプタン基を含有した不飽和のヌクレオファイル化合物との添加生成物,及び2−アルケ二ル−4,4−ジアルキルアズラクトンのようなアズラクトン類を含む。
【0086】
上記の望ましい方法は,自由ラジカル反応性の固定基を提供するために,ヒドロキシル基にエチレン系の不飽和イソシアネート(例えば,ジメチル−m−イソプロフェ二ルベンジルイソシアネート,TMI,米国,NJ,West Paterso所在,CYTEC Industriesから入手可能,またはイソシアナートエチルメタクリレート,IEM)を付着させてグラフティングを達成する。
【0087】
本発明のグラフト共重合体を製造する望ましい方法は,生成されたS材料は可溶性であるが,D材料は分散されるか,または不溶性である実質的に非水性の液体キャリアで行われる3つの反応ステップを含む。
【0088】
本実施形態の望ましい第1ステップで,ヒドロキシ作用基を有する自由ラジカル重合されたオリゴマーまたは重合体は,一つ以上のモノマーから製造されるが,ここで,少なくとも一つの上記モノマーは,ペンダントヒドロキシ作用基を有する。望ましくは,ヒドロキシ作用基含有のモノマーは,上記第1ステップのオリゴマーまたは重合体を製造するのに使われるモノマーの約1〜約30重量%,望ましくは,約2〜約10重量%,最も望ましくは,約3〜約5重量%をなす。上記第1ステップは,モノマーとこれから生成された重合体とは,溶解される実質的に非水性の溶媒で溶液重合を通じて行われることが望ましい。例えば,表1にあるヒルデブランド溶解度データを使用すれば,ヘプタンのような親油性溶媒を使用する場合,オクタデシルメタクリレート,オクタデシルアクリレート,ラウリルアクリレート及びラウリルメタクリレートのようなモノマーが上記第1反応に適当である。
【0089】
第2反応ステップで,上記可溶性の重合体のヒドロキシ基の全部または一部は,エチレン性の不飽和脂肪族のイソシアネート(例えば,TMIと知られたメタ−イソプロフェ二ルジメチルベンジルイソシアネート,またはIEMと通常的に知られたイソシアネートエチルメタクリレート)と接触反応して,ポリウレタンリンケージを通じてオリゴマーまたは重合体に付着されるペンダントの自由ラジカル重合可能性の作用基を形成する。上記反応は,同一な溶媒で行われうるので,第1ステップと同一な反応容器で行われうる。これから生成された二重結合作用基を有する重合体は,一般的に反応溶媒で可溶性のままであり,生成された共重合体のS材料部分の材料を構成するが,これは,最終的にこれから生成された摩擦帯電された粒子の溶媒化部分の少なくとも一部を構成する。
【0090】
これから生成された自由ラジカル反応性の作用基は,D材料及び選択的に付加的なS材料を重合体に付着させるためのグラフティング位置を提供する。第3ステップで,上記グラフティング位置は,初めには溶媒に可溶性であるが,グラフト共重合体の分子量が増加するにつれて不溶性となる一つ以上の自由ラジカル反応性モノマー,オリゴマー及び/または重合体との反応を通じて,上記材料を重合体に共有してグラフティングさせるのに使われる。例えば,表1のヒルデブランド溶解度パラメータを参考にすれば,ヘプタンなどの親油性溶媒を使用する場合,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,t−ブチルメタクリレート及びスチレンのようなモノマーが上記第3反応ステップに適当である。
【0091】
第3反応ステップの生成物は,一般的に反応溶媒に分散された生成共重合体を含むオルガノゾルであるが,上記反応溶媒は,実質的にオルガノゾルに対して非水性の液体キャリアを構成する。このステップで,共重合体は,分散された(例えば,実質的に不溶性であり,相分離された)部分及び溶媒化された(例えば,実質的に溶解性の)部分を有して分離される単分散性粒子として液体キャリア内に存在できると考えられる。したがって,上記溶媒化された部分は,液体キャリア内に上記粒子の分散を立体的に安定化させる。したがって,上記共重合体は,液体キャリア内でそのままの状態で(in situ)製造されることが有利であるということが分かる。
【0092】
今後のステップを行う前に,上記共重合体粒子が反応溶媒内に残留しうる。または,上記粒子は,上記共重合体が新たな溶媒で溶媒化された相と分散された相を有する限り,適当な方法で上記溶媒と同一であるか,または異なる新たな溶媒に転写されることもある。
【0093】
一実施形態において,ワックスは,上記ステップで,従来のミリング装置で使われる液体キャリアで上記共重合体粒子と共にミリングされる。ボールミリング,摩擦ミリング,高エネルギービード(サンド)ミリング,バスケットミリングまたは当業界で公知された他の技術のような本実施形態に適したミリング技術が使われうる。上記実施形態の他の態様において,分散されたワックスは,酸性作用基または塩基性作用基含有の両親媒性の共重合体または画質を向上させる添加剤と化学的に相互作用(例えば,水素結合または酸/塩基カップリングのような非共有結合性の化学結合)できる酸性作用基または塩基性作用基含有のワックスである。酸性作用基含有のワックスとドライミリングするための塩基性作用基含有の両親媒性の共重合体または画質を向上させる添加剤を含むトナーを製造する方法,または塩基性作用基含有のワックスとドライミリングするための酸性作用基含有の両親媒性の共重合体または画質を向上させる添加剤を含むトナーを製造する方法は,“LIQUID ELECTROPHOTOGRAPHIC TONERS COMPRISING AMPHIPATHIC COPOLYMERS HAVING ACIDIC OR BASIC FUNCTIONALITY AND WAX HAVINGBASIC OR ACIDIC FUNCTIONALITY(酸性または塩基性作用基を有する両親媒性の共重合体及び塩基性または酸性作用基を有するワックスを含む液体電子写真用トナー)[Docket No.SAM0047US]”という名称で本発明と共同係留中の特許文献に記載されている。上記特許文献は引用されて本明細書に統合される。
【0094】
次いで,これから得たオルガノゾルを少なくとも一つの画質を向上させる添加剤と混合することによって,トナー粒子に転換させる。選択的に,一つ以上の他の望ましい成分も,画質を向上させる添加剤粒子と混合する前及び/または後にオルガノゾルに混合またはミリングされることもある。このように混合する間に,画質を向上させる添加剤と共重合体とを含む成分は,分散された相部分が一般的に画質を向上させる添加剤粒子と会合する一方(例えば,粒子表面と物理的及び/または化学的な相互作用を行うことによって),溶媒化された相部分は,キャリアでの分散を促進させる構造を有する複合粒子で自家組み立てられると考えられる。
【0095】
画質を向上させる添加剤は,一般的にトナー粒子が受容体にプリンティングされる場合,望ましい視覚効果を提供できる一つ以上の流体及び/または特定材料を含む。その例は,一つ以上の着色剤,蛍光物質,真珠色の物質,にじ色の物質,金属性物質,フリップフロップ物質,シリカ,重合体ビード,反射及び非反射型のガラスビード,マイカ,それらの組み合わせを含む。バインダー粒子にコーティングされた上記画質を向上させる添加剤の含量は非常に多様である。代表的な実施形態において,共重合体と画質を向上させる添加剤との本実施形態に適した重量比は,1/1〜20/1,望ましくは,2/1〜10/1,最も望ましくは,4/1〜8/1である。
【0096】
有用な着色剤は,当業界で広く公知されており,染料,ステイン及び顔料を含み,Society of Dyers and Colourists(Bradford,England)で発行されたColour Indexに羅列されている物質を含む。望ましい着色剤は,バインダー重合体を含む成分と組み合わせて,前述したような構造を有するドライトナー粒子を形成できる粒子である。それらは,少なくとも一部以上が不溶性であり,キャリア液体と非反応性であり,静電潜像を視覚化するのに有効であるので効果的である。また,画質を向上させる添加剤は,互いに物理的及び/または化学的に相互作用して,画質を向上させる添加剤の凝集体及び/または凝固体を形成するが,それらは,バインダー重合体とも相互作用できる。本実施形態に適した着色剤の例は,プタロシアニンブルー(C.I.Pigment Blue 15:1,15:2,15:3,15:4),モノアリライドイエロー(C.I.Pigment Yellow 1,3,65,73,74),ジアリライドイエロー(C.I.Pigment Yellow 12,13,14,17,83),アリールアミド(Hansa)イエロー(C.I.Pigment Yellow 10,97,105,111),イソインドリンイエロー(C.I.Pigment Yellow 138),アゾレッド(C.I.Pigment Red 3,17,22,23,38,48:1,48:2,52:1,52:179),キナクリドンマゼンタ(C.I.Pigment Red 122,202,209),レーキローダミンマゼンタ(C.I.Pigment Red 81:1,81:2,81:3,81:4)及び微粉されたカーボン(Cabot Monarch 120,Cabot Regal 300R,Cabot Regal 350R,Vulcan X72,Aztech EK 8200)のようなブラック顔料などを含む。
【0097】
本実施形態のトナー粒子は,一つ以上の望ましい添加剤をさらに含む。他の添加剤は,例えばUV安定化剤,防カビ剤,殺細菌剤,殺真菌剤,帯電防止剤,光沢改質剤,他の重合体またはオリゴマー材料,酸化防止剤などを含む。
【0098】
添加剤は,本実施形態に適した方法でバインダー粒子に統合されうる。例えば,バインダー粒子を望ましい添加剤と統合させ,これから得た組成物に対して一つ以上の混合工程を行える。上記混合工程の例は,均質化,マイクロ流動化,ボールミリング,摩擦ミリング,高エネルギービード(サンド)ミリング,バスケットミリングまたは分散物中に粒径を減少させる技術として当業界で公知された技術を含む。混合工程は,凝集された添加剤粒子が存在する場合,それを粒子(望ましくは,約0.05〜約100.0ミクロン,さらに望ましくは,約0.1〜約30ミクロン,最も望ましくは,約0.5〜約10ミクロンの粒径を有する)に粉砕する役割を行い,部分的に上記バインダーを添加剤と会合できる破片に切断することもある。上記実施形態によれば,共重合体または共重合体から由来した破片は,以後に添加剤と会合する。選択的に,一つ以上の画質を向上させる添加剤は,バインダー粒子の外部にコーティングされるだけでなく,バインダー粒子に統合されることもある。
【0099】
一つ以上の帯電制御剤は,望ましくは,混合工程前または後に添加されうる。帯電制御剤は,他の成分自体が望ましい摩擦電気帯電特性または電荷保有特性を提供できない場合,ドライトナーに使われうる。帯電制御剤の含量は,一般的に,トナー固形分100重量部を基準として0.01〜10重量部,望ましくは,0.1〜5重量部である。
【0100】
上記トナーに使われる(+)帯電制御剤の例は,二グロシン;脂肪酸金属塩系の改質された生成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸またはテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩;セチルピリジニウムクロライド及び米国特許第4,298,672号明細書に開示されている他の物質を含むアルキルピリジニウムハロゲン化類;米国特許第4,560,635号明細書に開示されているジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェートを含む硫酸塩類及び重硫酸塩類;米国特許第4,937,157号明細書,米国特許第4,560,635号明細書に開示されているジステアリルジメチルアンモニウム重硫酸塩;ホスホニウム塩類及びそれらのレーキ顔料のような4級アンモニウム塩のオニウム塩類の同種体;トリフェ二ルメタン染料及びそれらのレーキ顔料;高分子量脂肪酸の金属塩類;酸化ジブチルスズ,酸化ジオクチルスズ及び酸化ジシクロヘキシルスズのような酸化ジオルガノスズ;ホウ酸塩ジブチルスズ,ホウ酸塩ジオクチルスズ及びホウ酸塩ジシクロヘキシルスズのようなホウ酸塩ジオルガノスズを含む。
【0101】
また,下記の化学式1を有するモノマーの単一重合体またはスチレン,アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のような重合可能性のモノマーとの共重合体が(+)帯電制御剤として使われうる。この場合,上記帯電制御剤(一部または全体)は,バインダー樹脂としての役割も行う。
【0102】
【化1】

【0103】
上記化学式1のうち,Rは,HまたはCHである。
【0104】
Xは,−(CH−基のような連結基であり,上記mは,1及び20を含む1〜20の整数であり,上記メチレン基のうち一つ以上は,−O−,−(O)C−,−O−C(O)−,−(O)C−O−に選択的に置換される。望ましくは,Xはアルキル,



及びアルキル−O−アルキルから選択される。上記アルキル基は,1〜4個の炭素を有する。
【0105】
及びRは,独立的に置換または非置換アルキル基(望ましくは,1〜4個の炭素を有する)である。
【0106】
市販されている(+)帯電制御剤の例は,BONTRON N−01,N−04,N−21のようなアジン化合物;オリエント化学工業株式会社から入手可能なBONTRON P−51及びEsprix Technologies社から入手可能なP−12のような4級アンモニウム塩類;Clariant社から入手可能な“Copy Charge PSY”のようなアンモニウム塩類を含む。
【0107】
トナー用の(−)帯電制御剤の例は,有機金属錯物及びキレート化合物を含む。代表的な錯物は,モノアゾ金属錯物類,アセチルアセトン金属錯物類及び芳香族のヒドロキシカルボン酸と芳香族のジカルボン酸との金属錯物類を含む。他の(−)帯電制御剤は,芳香族のヒドロキシルカルボン酸類,芳香族のモノ及びポリカルボン酸類及びそれらの金属塩類,無水物類,エステル類及びビスフェノールのようなフェノール誘導体類を含む。他の(−)帯電制御剤は,米国特許第4,656,112号明細書に開示されたような亜鉛化合物及び米国特許第4,845,003号明細書に開示されたようなアルミニウム化合物を含む。
【0108】
商業的に入手可能な(−)帯電制御剤は,BONTRON E−84(オリエント化学工業株式会社製)のような亜鉛3,5−ジ−tert−サリチル酸ブチル化合物;N−24及びN−24HD(Esprix Technologies社製)のようなサリチル酸亜鉛化合物;BONTRON E−88(オリエント化学工業株式会社製)のようなアルミニウム3,5−ジ−tert−サリチル酸ブチル化合物;N−23(Esprix Technologies社製)として入手可能なサリチル酸アルミニウム化合物;N−25(Esprix Technologies社製)として入手可能なサリチル酸カルシウム化合物;N−28(Esprix Technologies社製)として入手可能なサリチル酸ジルコニウム化合物;N−29(Esprix Technologies社製)として入手可能なサリチル酸ボロン化合物;N−31(Esprix Technologies社製)として入手可能なボロンアセチル化合物;BONTRON E−89(オリエント化学工業株式会社製)のようなカリックスアレーン類;BONTRON S−34(オリエント化学工業株式会社製)のようなアゾ−金属錯物Cr(III),N−32A,N−32B,N32−C(Esprix Technologies社製)として入手可能なクロムアゾ錯物類;N−22(Esprix Technologies社製)として入手可能なクロム化合物及びPRO−TONER CCA 7(Avecia Limited社製);Copy Charge N4P(Clariant社製)のような改質された無機重合体化合物;N−33(Esprix Technologies社製)として入手可能な鉄アゾ錯物を含む。
【0109】
帯電制御剤は,望ましくは,トナーの望ましいカラー発色を妨害しないように無色である。他の実施形態において,帯電制御剤は,顔料のように個別的に提供された着色剤に対して補助剤として作用できるカラーを表す。一方,帯電制御剤は,トナーのうち単一カラーでありうる。または,上記顔料が(+)電荷を提供するように処理されうる。
【0110】
カラーを有する(+)帯電制御剤または(+)帯電された顔料の例は,Copy Blue PRであって,Clariant社から入手可能なトリフェ二ルメタンを含む。カラーを有する(−)帯電制御剤または(−)帯電された顔料の例は,Copy Charge NY VP 2351であって,Clariant社から入手可能なAlアゾ化合物;Hostacoply N4P−N101 VP 2624及びHostacoply N4P−N203 VP 2655であって,Clariant社から入手可能な改質された無機高分子化合物を含む。
【0111】
所定のトナー調製物において,帯電制御剤の望ましい含量は,重合体バインダーの成分を含んだ多様な因子によって異なりうる。帯電制御剤の望ましい含量は,グラフト共重合体のS材料部分の成分,オルガノゾルの成分,オルガノゾルの分子量,オルガノゾルの粒径,グラフト共重合体のコア/シェル比,トナー製造に使われた顔料及びオルガノゾルと顔料との比により左右される。また,望ましい帯電制御剤または電荷調節添加剤の含量は,電子写真画像の形成工程,特に現像ハードウェア及び感光要素のデザインによって左右される。しかし,帯電制御剤または電荷調節添加剤のレベルは,特定の用途に望ましい結果を達成するために多様なパラメータに基づいて調節されうる。
【0112】
本実施形態の電子記録用のドライトナー組成物は,両親媒性の共重合体を製造する工程及びこれから得た両親媒性の共重合体をドライ電子写真用のトナー組成物に調製する工程を含む,前述したような工程により製造されうる。前述したように,両親媒性の共重合体は,上記溶解度特性を有する部分を含む共重合体を提供する液体キャリアで提供される。
【0113】
最終のトナー組成物に帯電制御剤または画質を向上させる添加剤のような成分を添加するのは,選択的に両親媒性の共重合体の製造工程時に行われうる。これから得た両親媒性の共重合体を電子記録用のドライトナー組成物に調製する工程は,上記組成物がドライトナー組成物として挙動できるレベルにキャリア液体を除去する工程,及び選択的に帯電制御剤,画質を向上させる添加剤または他の望ましいトナー組成物を提供するのに本発明に記載されたような望ましい添加剤のような他の添加剤を統合させる工程を含む。
【0114】
その以前にワックスが統合されていない場合,上記工程で,従来のミリング装置を使用して液体キャリアで上記トナー粒子と共にワックスをミリングする。このとき,任意の適したボールミリング,摩擦ミリング,高エネルギービード(サンド)ミリング,バスケットミリングまたは他の公知の技術のようなミリング技術を使用できる。
【0115】
トナー粒子は,例えば,濾過及びこれから得た濾過物を蒸発させて乾燥(選択的に,熱を加える)させる任意の望ましい方法を利用して乾燥されうる。望ましくは,上記工程は,トナー粒子を一つ以上の大きい塊りに凝集及び/または凝固させることを最小化させる方法で行われる。上記塊りが生成される場合,本実施形態に適したサイズのドライトナー粒子を得るために,それらを選択的に粉砕できる。
【0116】
反応溶媒に分散されたトナー粒子を,ムービングウェブ(moving web)のような乾燥基材(drying substrate)でコーティングする他の乾燥方法が使われうる。望ましい実施形態において,コーティング装置は,液体トナーがムービングウェブの表面でコーティングされるコーティングステーションを含むが,帯電されたトナー粒子は,上記ウェブ上で電気的にバイアスされた塗布ローラによりコーティングされる。上記コーティング工程を行う望ましいシステムは,“DRYING
PROCESS FOR TONER PARTICLES USEFUL IN ELECTROGRAPHY(電子記録法に有用なドライトナーの乾燥方法)”という名称で2004年6月30日付で出願されて現在係留中の米国特許出願第10/881,637号に記載されている。他の望ましいシステムは,反応溶媒から基材の表面へのトナー粒子の転写を補助する圧出技術の利用を含む。このとき,上記トナー粒子は,上記工程で帯電されることもあり,帯電されないこともある。その結果,圧出された粒子の薄いコーティングが上記表面に形成される。これから得たコーティングは,コーティング物に統合された粒子1g当たり比較的広いドライ表面を有するので,乾燥工程は,温和な温度及び圧力条件下でも非常に速かに行われうる。上記乾燥工程を行う望ましいシステムは,“EXTRUSION DRYING PROCESS FOR TONER PARTICLES USEFUL IN ELECTROGRAPHY(電子記録法に有用なトナー粒子の圧出乾燥方法)”という名称で2004年6月30日付で出願されて現在係留中の米国特許出願第10/880,799号に記載されている。
【0117】
コーティングされたウェブを一対のカレンダリングローラ間に通過させることにより,コーティングされたトナー粒子は,両側から圧搾して,過量の反応溶媒を選択的に除去できる。上記カレンダリングローラには,望ましくは,帯電されたトナー粒子がムービングウェブに落ちることを防止するように,塗布ローラに印加されたバイアスより高い微細なバイアスが提供されうる。コーティングステーション部分に沿って,残留反応溶媒を望ましい程度まで除去するために,ムービングウェブを,望ましくは,オーブンのような乾燥ステーション間に通過させる。乾燥温度は,非常に多様であるが,望ましくは,約5℃以上,さらに望ましくは,約10℃以上であり,かつトナー粒子の有効T以下であるウェブ温度で乾燥する。次いで,オーブンから取り出して,ムービングウェブ上で乾燥されたトナー粒子を,望ましくは,脱イオン水に通過させて摩擦電気電荷を除去した後,ムービングウェブから分離(例えば,プラスチックブレードで除去)し,粒子分離ステーションの収去装置に入れる。
【0118】
これから得たトナー粒子に対して,選択的に球状化処理,火炎処理及びフラッシュランプ処理のような追加表面処理または追加コーティング工程を行える。必要であれば,トナー粒子をさらにプラネタリーミルを使用する従来技術によりミリングして,望ましくない粒子凝集を粉砕できる。
【0119】
次いで,トナー粒子は,直ちに使用できるトナー組成物として提供されるか,またはトナー組成物を形成する追加成分と共に混合(blend)されうる。
【0120】
望ましい実施形態において,本発明のトナーは,電子気録工程で画像を形成するように使われる。トナー粒子または感光要素の静電電荷は,(+)または(−)であるが,本発明で採用された電子記録法は,望ましくは,(+)帯電された感光要素上に電荷を消散させることによって行われる。次いで,(+)帯電されたトナーは,トナー現像技法を利用して(+)電荷が領域に塗布される。
【0121】
本発明の上記態様及び他の態様は,下記の実施例で説明される。
【0122】
(実施例)
(化学物の略字及び仕入れ先)
下記の略字を実施例で使用した:
AIBN:アゾビスイソブチロ二トリル(自由ラジカル形成開始剤,米国,DE,Wilmington所在,DuPont Chemical Co.社製であるVAZO−64)
DBTDL:ジラウリン酸ジブチルスズ(米国,WI,Milwaukee所在,Aldrich Chemical Co.社製である触媒)
EMA:エチルメタクリレート(米国,WI,Milwaukee所在,Aldrich Chemical Co.社製)
EMAAD:N−エチル−2−メチルアリルアミン(米国,WI,Milwaukee所在,Aldrich Chemical Co.社製)
EXP(登録商標)−61:アミン作用基含有のシリコンワックス(米国,MI,Flint所在,Genesee Polymer Corporation社製)
GP(登録商標)628:アミン作用基含有のシリコンワックス(米国,MI,Flint所在,Genesee Polymer Corporation社製)
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(米国,WI,Milwaukee所在,Aldrich Chemical Co.社製)
Licocene(登録商標)PP 6102:ポリプロピレンワックス(米国,N.C.Charlotte所在,Clariant Corporation社製)
Licowax(登録商標)F−Montan wax:脂肪酸エステル(米国,N.C.Charlotte所在,Clariant Corporation社製)
MAA:メチルアクリル酸;2−メチル−2−プロパン酸(米国,WI,Milwaukee所在,Aldrich Chemical Co.社製)
TCHMA:3,3,5−トリメチルシクロへキシルメタクリレート(米国,Virginia,Suffolk所在,Ciba Specialty Chemical Co.社製)
TMI:ジメチル−m−イソプロフェ二ルベンジルイソシアネート(米国,NJ,West Paterson所在,CYTEC Industries社製)
Tonerwax S−80:アミドワックス(米国,RI.Coventry所在,Clariant Inc.社製)
Unicid(登録商標)350:酸エテン脂肪単一重合体(米国,TX所在,SugarLand所在,Baker Petrolite Polymers Division社製)
V−601:ジメチル2,2´−アゾビスイソブチレート(自由ラジカル形成開始剤,米国,VA,Richmond所在,WAKO Chemicals U.S.A.社製であるV−601)
Zirconium HEX−CEM:金属石鹸,ジルコニウムテトラオクトエート(米国,OH,Cleveland所在,OMG Chemical Company社製)
【0123】
ワックスについての技術的事項は,表2に記載されたとおりである:
【0124】
【表2】

【0125】
(テスト方法)
(固形分含量)
下記のトナー組成物の実施例中,グラフト安定化剤溶液,オルガノゾル及び液体トナー分散物の固形分含量を,熱重量分析法を利用して測定した。さらに具体的に,最初の重量を測定したサンプルを乾燥させるが,グラフト安定化剤の場合に160℃で2時間,オルガノゾルの場合に3時間,液体トナー分散物の場合に2時間アルミニウム重量測定パンで乾燥させ,上記乾燥されたサンプルの重量を測定した後,上記アルミニウム重量測定パンの重量を考慮して,上記乾燥されたサンプルの重量と最初に測定されたサンプルの重量との比(%)を計算することによって,固形分含量を測定した。上記熱重量分析法を利用した固形分含量の測定方法では,それぞれ約2gのサンプルを利用した。
【0126】
(分子量)
本発明の実施例において,分子量は,重量平均分子量と通常的に表現されるが,分子量多分散性は,数平均分子量に対する重量平均分子量の比で(M/M)与えられる。分子量パラメータは,Hewlett Packard Series II 1190 Liquid Chromatograph(Agilent Industries(以前には,米国,CA,Palo Alto所在,Hewlett Packardであった)(ソフトウェアHPLC Chemstation Rev A.02.02 1991−1993 395を利用))を利用するゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定した。テトラヒドロフランをキャリア溶媒として使用した。上記LiquidChromatographyに使われた3個のカラムは,Jordi Gel Columns(DVB 1000A,DVB10000A,DVB 100000A;米国,MA,Bellingham所在,Jordi Associates,Inc.社製)であった。絶対重量の平均分子量は,Dawn DSP−F光散乱検出器(Astra V.4.73.04 1994−1999ソフトウェア)(米国,CA,Santa Babara所在,Wyatt Technology Corp社製)を使用して測定した一方,多分散性は,Optilab DSP示差屈折率検出器(米国,CA,Santa Babara所在,Wyatt Technology Corp.社製)で測定した数平均分子量値に対する重量平均分子量の比で評価した。
【0127】
(粒径)
オルガノゾル及び液体インク粒径の分布は,0.1(w/w)エアロゾルOT界面活性剤(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム,ナトリウム塩)(米国,NJ,Fairlawn所在,Scientific Fisher社製)を含有したNorpar(登録商標)12流液を利用したHoriba LA−920 レーザー回折粒径分析器(米国,CA,Irvine所在,Horiba Instruments,Inc.社製)を利用して測定した。
【0128】
ドライトナー粒径の分布は,0.1(w/w)トリトンX−100界面活性剤(米国,CT,Danbury所在,Union Carbide Chemicals and Plastics,Inc.社製)を含有した脱イオン水を利用するHoriba LA−900 レーザー回折粒径分析器(米国,CA,Irvine所在,Horiba Instruments,Inc.社製)を利用して測定した。
【0129】
処理前,サンプルをいずれも予め溶媒(例えば,Norpar(登録商標)12または水)で約1%まで希釈させた。液体トナーサンプルを6分間Probe VirSonic超音波発生器(Model−550,米国,NY,Gardiner所在,The VirTis Company,Inc.社製)で超音波処理した。ドライトナーサンプルをDirect Tip Probe VirSonic超音波発生器(Model−600,米国,NY,Gardiner所在,The VirTisCompany,Inc.社製)を利用して水で20秒間超音波処理した。あらゆる過程で,超音波処理前にサンプルを約1/500体積で希釈した。Horiba LA−920での超音波処理は,150watt及び20kHzで行われた。粒径は,基本(1次)粒径を表示するためには,数平均Dに基づいて表し,凝集された1次粒径を表示するためには,体積−平均Dに基づいて表した。
【0130】
(ガラス転移温度)
合成されたTMに対する熱転移データを,DSC(Differential Scanning Calorimeter)冷凍冷却システム(−70℃最小温度限界)及び乾燥ヘリウムと窒素交換ガスとを備えたTA Instruments Model 2929 DSC(米国,DE,New Castle所在)を利用して収集した。上記熱量測定器は,8.10Bソフトウェアバージョンを備えたThermalAnalyst 2100ワークステーションで作動される。空いているアルミニウムパンを基準に使用した。6.0mg〜12.0mgの試料をアルミニウムサンプルパンに置いた後,上部リドをクリンピングして,DSCテストのための密封されたサンプルを製造することによってサンプルを準備した。これから得た結果物を質量基準で標準化した。各サンプルを10℃/分の加熱及び冷却速度で評価した。このとき,各加熱または冷却ランプの終結時,5〜10分間等温バスに置いた。試料を5回加熱した。第1加熱ランプは,以前サンプルの熱ヒストリーを除去するものであって,10℃/minの冷却処理に代替した。次いで,後続加熱ランプを利用して安定したガラス転移温度値を得た。第3または第4ランプのガラス転移温度を記録した。
【0131】
(伝導度)
液体トナー伝導度(バルク伝導度,k)は,Scientifica Model 627伝導度測定器(米国,N.J.,Princeton所在,Scientifica Instruments,Inc.社製)を使用して約18Hzで測定した。また,トナー粒子がない状態で,自由(液体分散された)相伝導度kも測定した。トナー粒子を,Jouan MR1822遠心分離器(米国,VA,Winchester)で,6000rpm(6,100相対遠心力)で1時間10℃で遠心分離して,液体媒質と分離した。次いで,上澄液を徐々に注ぎ,上記液体の伝導度をScientifica Model 627伝導度測定器を使用して測定した。バルクトナー伝導度に対する自由相伝導度の百分率を100%(k/k)で測定した。
【0132】
(移動度)
トナー粒子電気泳動移動度(動的移動度)をMatec MBS−8000 Electrokinetic Sonic Amplitude Analyzer(米国,MA,Hopkinton所在,Applied Sciences,Inc.社製)を利用して測定した。微細電気泳動に基づいた動電気的測定とは異なり,MBS−8000装置は,移動度値を得るためにトナーサンプルを希釈する必要がないという利点がある。したがって,実際のプリンティングに望ましい固形分濃度で,トナー粒子の動的移動度を測定できた。MBS−8000は,高周波(1.2MHz)交流(AC)電場に対する帯電粒子の反応を測定する。高周波AC電場で,帯電トナー粒子と周囲の分散媒質(カウンターイオンを含む)との相対的な動きは,印加された電場と同一な周波数の超音波を発生させる。1.2MHzで上記超音波の振幅は,圧電石英変換器を使用して測定できる。この動電気的な音波振幅(Electrokinetic Sonic Amplitude:ESA)は,粒子の低電場AC電気泳動移動度に直接比例する。粒子ゼータ電位は,測定された動的移動度,既知のトナー粒径,液体分散剤の粘度及び液体誘電定数から上記装置により計算されうる。
【0133】
(液体トナーQ/M)
質量当たり電荷(Q/M)を,導電性の金属板,ITO(Indium Tin Oxide)でコーティングされたガラス板,高電圧電源,電位計及びデータを得るためのPC(Personal Computer)からなる装置を使用して測定した。1%インク溶液を,上記導電性板とITOでコーティングされたガラス板との間に置いた。既知の極性とサイズとを有する電位を,ITOでコーティングされたガラス板と金属板との間に印加し,上記板間と高電圧電源に連結されたワイヤーとを通じて電流を発生させた。電流は,20秒間1秒に100回測定し,PCを使用して記録した。印加された電位により帯電されたトナー粒子は,上記帯電されたトナー粒子と逆極性を有した板(電極)側に移動した。ITOでコーティングされたガラス板に印加される電圧の極性を調節することによって,トナー粒子を上記板に移動できる。
【0134】
上記ITOでコーティングされたガラス板を上記装置から分離して,160℃の温度で約1時間オーブンに入れておくことによって,付着されたインクを完全に乾燥させた。乾燥後,乾燥されたインクフィルムを含有したITOでコーティングされたガラス板の重量を測定した。次いで,Norpar(登録商標)12に含浸された布ワイプ(wipe)を利用して,ITOでコーティングされたガラス板からインクを除去し,きれいになったITOガラス板の重量を再び測定した。乾燥インクでコーティングされたガラス板ときれいになったガラス板との質量差を,20秒の付着時間の間に付着されたインク粒子の質量mとする。上記電流値を使用してカーブフィッティングプログラム(例えば,System Software Inc.のTableCurve 2D)で電流対時間のプロット下の面積を積分して,20秒の付着時間の間にトナー粒子により運搬される総電荷Qを得た。トナー粒子により運搬される総電荷を乾燥された付着インク質量により割って,質量当たり電荷Q/Mを測定した。
【0135】
(ドライトナー電荷(ブローオフQ/M))
ゼログラフィックトナーの重要な特徴のうち一つは,1g当たりクーロンで表示されるトナーの静電帯電性能(または,比電荷)である。各トナーの比電荷は,ブローオフ摩擦電気測定装置(テトラヒドロフランで予め洗浄された後,窒素下で乾燥されたサイズ#400メッシュステンレススチールスクリーンを有するToshiba Model TB200 Blow−Off Powder Charge測定装置,日本,東京所在,東芝化学工業株式会社製)を利用して下記の実施例で測定した。
【0136】
各トナーの比電荷を測定するために,0.5gのトナーサンプルを9.5gのMgCuZn Ferriteキャリアビードと混合して先に静電気的に帯電させることによって,プラスチックコンテナで現像物を形成した。上記現像物を,U.S.Stonewareミルミキサーを利用して5分,15分及び30分間隔でスムーズに攪拌した。次いで,0.2gのトナー/キャリア現像剤をToshiba Blow−OFF測定器で分析して,各トナーの比電荷(マイクロクーロン/g)を得た。比電荷測定を各トナーに対して3回以上反復して,平均値及び標準分布を得た。上記データの有効性,すなわち上記評価中のほとんどあらゆるトナーがキャリアからブローオフされるかを視覚的に観察した。ほとんどあらゆるトナーがキャリアビードからブローオフされる場合,テストは有効であった。質量損失の少ないテスト結果は選択しなかった。
【0137】
(製造工程)
(トナー乾燥工程)
#30ワイヤーMeyerバーを利用してアルミニウム化されたポリエステルシートの15"x48"領域に100mlの液体インクをコーティングすることによって,実施例の液体インクからドライトナーサンプルを製造した。上記サンプルを平板表面で40〜50時間室温及び湿気で乾燥させた。次いで,乾燥された粉末を,追記型の広幅木材スパチュラを利用してアルミニウム化されたポリエステルから除去することによって,ドライトナーを回収した。上記粉末を直ちにスクリューで密封された小さいガラス瓶に入れた。ドライトナー粒子の平均サイズを,前述したようなHoriba
LA−900レーザー回折法を利用して測定した。
【0138】
(ドライトナーミリング工程)
ドイツ,Idar−Oberstien所在,Fritsch GMBH社製のプラネタリーモノミルモデルLC−106Aを利用して,ドライトナー粒子をさらに小さいか,または均一なサイズに,または他の添加剤(例えば,ワックス)と共にミリングできる。シリコン窒化物(Si)材質の10mmの直径を有する35個の粉砕ボールを,やはりSi材質の80ml粉砕容器に入れた。粉砕ボールと粉砕容器は,いずれもFritsch GMBH社製であった。粉砕容器に含まれたトナー(及び他の選択的な添加剤)の重量を測定した後,粉砕容器を密封し,プラネタリーミルに置いた。プラネタリーミルを600RPMで3分20秒間のミリングサイクルで3回作動させた。第1ミリングサイクルと第2ミリングサイクルとの間及び第2ミリングサイクルと第3ミリングサイクルとの間に,上記ミルを5分間停止させて,粉砕容器内の温度上昇を最小化させた。第3ミリングサイクルを完結した後,粉砕容器をプラネタリーミルから分離し,内容物を#35篩に注いで粉砕ボールを分離した。ミリングされたトナー粉末は,上記篩を通過して回収シートに回収され,今後空気が入らないようにガラス瓶を密封した。
【0139】
(ドライトナー定着工程)
白色プリンティングシートのうち,2インチ×2インチの領域を除いた全域を覆うマスクを白色プリンティングシートの上部に置いた。上記露出された領域を完全に覆う含量のドライトナー粉末を上記四角形の上部に置き,毛ブラシ(bristle artist’s brush)で静かに広げた。約1分後,紙及びトナー粒子が摩擦電気帯電されて,トナー粒子が紙に付着された。上記工程を,トナー粒子が全体露出された領域に均一に分布されるまで続けた。
【0140】
次いで,2インチの四角形パッチトナーを含んだ紙シート(マスクを備えている)を6インチのオーディオスピーカに置き,スピーカー・コーンと直接接触させた後,120Hertzで振動させて,四角形内のトナーを非常に均一に分布させた。重力が振動中の粒子に作用するように紙を少し傾けて,超過量のトナーを除去した。静電気的に固定されていない粒子は,2インチの四角形ドライトナーパッチから分離された。上記四角形を平滑かつ均一なトナー画像に現像した後,マスクを分離した後,前述したようなテスト方法を利用して光学密度を測定した。
【0141】
四角形のトナー画像を含んだ紙の画像を上方に向けた後,二つの加熱されたゴム定着ローラ間を1.5インチ/秒の速度で二回通過させた。上部ローラを240℃まで加熱し,下部ローラを180℃まで加熱した。二つのローラに印加された空圧力は,20ポンド/inchであった。次いで,前述したようなテスト方法を利用して光学密度を再び測定した。
【0142】
(光学密度及び色純度)
光学密度及び色純度を測定するために,GRETAG SPM 50 LT計測器を利用した。上記計測器は,スイス,Regensdort CH−8105所在,Gretag Limited社製である。上記計測器は,異なる作動モードを通じた異なる機能を有するが,これは,個別ボタンとスイッチとで選択できる。機能(例えば,光学密度)を選択した後,計測器の測定オリフィスを“0”とするために,バックグラウンドまたは画像形成された基板の非画像形成部分に置く。次いで,それを表示されたカラーパッチ上に置いて測定ボタンを押す。上記カラーパッチの多様なカラー成分(本場合,シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K))の光学密度が,計測器スクリーンに表示されうる。上記特定の成分の数値を各カラーパッチのカラー成分に対する光学密度として使用する。例えば,カラーパッチがシアンのみである場合,光学密度は,スクリーン上にCの値のみで羅列される。
【0143】
(定着画像の耐除電性)
本実験で,定着後に可能な限り迅速に評価を行った。本実験は,プリンティングされた画像を他の紙,リネン布及び鉛筆消しゴムのような物質で摩擦させた場合,画像耐久性を測定するのに使われる。
【0144】
ドライトナーの定着後に耐除電性を評価するために,除電テストを定義する。除電テストは,Crockmeterという装置の利用を含む。上記装置は,制御可能な既知の力を利用して,インクにローディングされたリネン布でインキング及び定着された領域を摩耗させる。本発明者による一般的な標準テスト手順は,ASTM#F 1319−94(American Standard Test Methods)である。本実験に使われた上記Crockmeterは,米国,IL 60613,Chicago所在,Atlas Electric Devices Company社製であるAATCC Crockmeter Model CM1である。
【0145】
リネン布一片を上記Crockmeterプローブに固定させた。上記プローブを調節された力でプリンティングされた表面に載せた後,所定回数(本場合,1ターン当たり2回回転で5回フルターンする小さいクランクを10回回転させる)ほど上記プリンティングされた表面の上部で前後に回転させた。プローブの回転時,インク境界を交差するか,または上記紙の表面上に回転させることによって,上記リネンで覆われたCrockmeterプローブヘッドがプリンティングされた表面を逸脱しないように,サンプルの長さを十分にした。
【0146】
上記Crockmeterの場合,ヘッド重量は934gであったが,これは,10回転テスト時にインクに印加される重量であり,上記リネンで覆われたプローブヘッドがインクと接触する面積は1.76cmであった。摩擦前に紙にプリンティングされた領域の光学密度を測定し,摩擦後にリネン布に残留するインクの光学密度を測定することによって,前述したような標準テスト方法によって上記テスト結果を得た。上記二つの数値の差を最初の光学密度で割って100%を乗算して,耐除電性の百分率を得た。
【0147】
(命名法)
下記の実施例において,各共重合体の組成の詳細な組成比は,共重合体の製造に使われるモノマーの重量百分率比で要約される。グラフティングサイト組成は,場合によって共重合体または共重合体前駆体を構成するモノマーの重量百分率で表現される。例えば,TCHMA/HEMA−TMI(97/3−4.7%w/w)と明示されたグラフト安定化剤(共重合体のS部分の前駆体)は,相対的基準で97重量部のTCHMAと3重量部のHEMAとを共重合して作られ,上記ヒドロキシ作用基含有の重合体は,4.7重量部のTMIと反応させたということを意味する。
【0148】
同様に,TCHMA/HEMA−TMI//EMA(97/3−4.7//100%w/w)と明示されたグラフト共重合体オルガノゾルは,上記命名されたグラフト安定化剤(TCHMA/HEMA−TMI(97/3−4.7%w/w))(S部分またはシェル),モノマーEMA(D部分またはコア,100%EMA)が,下記の実施例に記載された重量により決定される特定のD/S比で共重合されることによって製造されたものである。
【0149】
(グラフト安定化剤の製造)
(実施例1)
コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた190リットル反応器をヘプタン還流で十分にクリーニングした後,100℃真空下で完全に乾燥させた。窒素ブランケットを注入し,上記反応器を室温まで冷却させた。上記反応器に88.45kgのNorpar(登録商標)12流体を真空で充填した。次いで,真空を解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入し,70RPMで攪拌し始めた。30.12kgのTCHMAを添加し,上記コンテナを1.23kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。0.95kgの98%(w/w)HEMAを添加した後,上記コンテナを0.62kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。最後に,0.39kgのV−601を添加し,上記コンテナを0.09kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。10分間完全に真空状態を維持した後,窒素ブランケットで真空状態を解除した。第2真空状態を10分間維持した後,攪拌を中止し,溶液に泡が発生しないようにした。上記真空を窒素ブランケットで解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入した。再び70RPMで攪拌した後,上記混合物を75℃まで加熱して4時間維持した。変換は定量的であった。
【0150】
上記混合物を100℃まで加熱し,上記温度で1時間維持して残留V−601を除去した後,再び70℃まで冷却させた。窒素注入チューブを除去した後,0.05kgの95%(w/w)DBTDLを添加した後,0.62kgのNorpar(登録商標)12流体を利用してコンテナをリンスし,次いで,1.47kgのTMIを添加した。上記TMIを約5分間加えつつ上記反応混合物を攪拌し,上記コンテナを0.64kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。上記混合物を70℃で2時間反応させ,このとき,変換は定量的であった。
【0151】
次いで,上記混合物を室温まで冷却させた。冷却された混合物は,粘性の透明な液体であって,観察可能な不溶性物質を含まない。上記液体混合物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,26.2%(w/w)であった。次いで,前述したようなGPC法を利用して分子量を測定した。二つの個別的な測定方法に基づいて,270,800のM及び2.8のM/Mを得た。生成物は,TMIグラフティングサイトを有するTCHMA及びHEMAの共重合体であり,上記明示したようにTCHMA/HEMA−TMI(97/3−4.7%w/w)で表示され,シェル組成物のうち塩基性作用基を含有しないオルガノゾルの製造に使われる。前述したようなDSCを利用してガラス転移温度を測定した。グラフト安定化剤は,121℃のTを有した。
【0152】
(実施例2)
コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた190リットル反応器をヘプタン還流で十分にクリーニングした後,100℃真空下で完全に乾燥させた。窒素ブランケットを注入し,上記反応器を室温まで冷却させた。上記反応器に88.45kgのNorpar(登録商標)12流体を真空で充填した。次いで,真空を解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入し,70RPMで攪拌し始めた。次いで,30.12kgのTCHMAを添加し,上記コンテナを1.23kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。0.95kgの98%(w/w)HEMAを添加した後,上記コンテナを0.62kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。最後に,0.39kgのV−601を添加し,上記コンテナを0.09kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。10分間完全に真空状態を維持した後,窒素ブランケットで真空状態を解除した。第2真空状態を10分間維持した後,攪拌を中止し,溶液に泡が発生しないようにした。上記真空を窒素ブランケットで解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入した。再び70RPMで攪拌した後,上記混合物を75℃まで加熱して4時間維持した。変換は定量的であった。
【0153】
上記混合物を100℃まで加熱し,上記温度を1時間維持して残留V−601を除去した後,再び70℃まで冷却させた。窒素注入チューブを除去した後,0.05kgの95%(w/w)DBTDLを添加した後,0.62kgのNorpar(登録商標)12流体を利用してコンテナをリンスし,次いで,1.47kgのTMIを添加した。上記TMIを約5分間加えつつ上記反応混合物を攪拌し,上記コンテナを0.64kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。上記混合物を70℃で2時間反応させ,このとき,変換は定量的であった。
【0154】
次いで,上記混合物を室温まで冷却させた。冷却された混合物は,粘性の透明な液体であって,観察可能な不溶性物質を含まない。上記液体混合物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,26.2%(w/w)であった。次いで,前述したようなGPC法を利用して分子量を測定した。二つの個別的な測定方法に基づいて,263,500のM及び2.7のM/Mを得た。生成物は,TMIグラフティングサイトを有するTCHMA及びHEMAの共重合体であり,上記明示したようにTCHMA/HEMA−TMI(97/3−4.7%w/w)で表示され,オルガノゾルの製造時に使われる。前述したようなDSCを利用してガラス転移温度を測定した。グラフト安定化剤は,120.51℃のTを有した。
【0155】
(実施例3)
コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた190リットル反応器をヘプタン還流で十分にクリーニングした後,100℃真空下で完全に乾燥させた。窒素ブランケットを注入し,上記反応器を室温まで冷却させた。上記反応器に91.6kgのNorpar(登録商標)12流体を真空で充填した。次いで,真空を解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入し,70RPMで攪拌し始めた。次いで,30.12kgのTCHMAを添加し,上記コンテナを1.23kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。0.95kgの98%(w/w)HEMAを添加した後,上記コンテナを0.62kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。最後に,0.39kgのV−601を添加し,上記コンテナを0.09kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。10分間完全に真空状態を維持した後,窒素ブランケットで真空状態を解除した。第2真空状態を10分間維持した後,攪拌を中止し,溶液に泡が発生しないようにした。上記真空を窒素ブランケットで解除し,28.32リットル/hrの流量で窒素を注入した。再び70RPMで攪拌した後,上記混合物を75℃まで加熱して4時間維持した。変換は定量的であった。
【0156】
上記混合物を100℃まで加熱し,上記温度を1時間維持して残留V−601を除去した後,再び70℃まで冷却させた。窒素注入チューブを除去した後,0.05kgの95%(w/w)DBTDLを添加した後,0.62kgのNorpar(登録商標)12流体を利用してコンテナをリンスし,次いで,1.47kgのTMIを添加した。上記TMIを約5分間加えつつ上記反応混合物を攪拌し,上記コンテナを0.64kgのNorpar(登録商標)12流体でリンスした。上記混合物を70℃で2時間反応させ,このとき,変換は定量的であった。
【0157】
次いで,上記混合物を室温まで冷却させた。冷却された混合物は,粘性の透明な液体であって,観察可能な不溶性物質を含まない。上記液体混合物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,25.4%(w/w)であった。次いで,前述したようなGPC法を利用して分子量を測定した。二つの個別的な測定方法に基づいて,299,100のM及び2.6のM/Mを得た。生成物は,TMIグラフティングサイトを有するTCHMA及びHEMAの共重合体であり,上記明示したようにTCHMA/HEMA−TMI(97/3−4.7%w/w)で表示され,オルガノゾルの製造時に使われる。前述したようなDSCを利用してガラス転移温度を測定した。グラフト安定化剤は,114.5℃のTを有した。
【0158】
下記の表3は,実施例1〜3のグラフト安定化剤の組成比を要約したものである:
【表3】

【0159】
(実施例4)
本実施例は,実施例1のグラフト安定化剤を利用して,D/S比が8/1である両親媒性の共重合体のオルガノゾルを製造することを説明する。コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた2120リットル反応器をヘプタン還流で十分にクリーニングした後,100℃真空下で完全に乾燥させた。窒素ブランケットを注入し,上記反応器を室温まで冷却させた。上記反応器に,689kgのNorpar(登録商標)12流体及び上記実施例1から得たグラフト安定化剤の混合物43.0kg(26.2%(w/w)の重合体固形分を有する)の混合物を,ポンプをリンスする4.3kgのNorpar(登録商標)12流体と共に真空で充填した。次いで,攪拌器を65RPMで作動させ,温度をチェックして室温に維持した。次いで,92kgのEMAをポンプリンス用の4.3kgのNorpar(登録商標)12流体と共に添加した。最後に,0.206kgのV−601を,コンテナをリンスする4.3kgのNorpar(登録商標)12流体と共に添加した。次いで,40torrの真空を10分間維持した後,窒素ブランケットで真空を解除した。40torrの真空状態を10分間維持した後,攪拌器を中止させて溶液中に泡が発生しないようにした。窒素ブランケットで真空を解除した後,14.2リットル/分の流量で窒素を注入した。80RPMで攪拌し,反応器の温度を75℃まで加熱して6時間維持した。変換は定量的であった。
【0160】
86.2kgのn−ヘプタン及び172.4kgのNorpar(登録商標)12流体を添加して残留モノマーを除去し,80RPMで攪拌し,配置を95℃まで加熱した。窒素流入を中止し,126torrの真空を10分間維持した。次いで,80torr,50torr,31torrに真空状態を上昇させ,各ステップごとに10分ずつ維持した。真空状態を20torrまで上昇させて30分間維持した。このとき,完全真空を維持し,371.9kgの蒸留液を回収した。前述したような工程によって2次の除去を行って,86.2kgの蒸留物を回収した。真空を解除し,除去されたオルガノゾルを室温まで冷却させ,不透明な白色分散物を得た。
【0161】
上記オルガノゾルは,TCHMA/HEMA−TMI//EMA(97/3−4.7//100%w/w)で表示される。上記オルガノゾル分散物の除去後,固形分百分率を,前述したようなドライ法を利用して測定した結果,13.2%(w/w)であった。次いで,平均粒径を,前述したような光散乱法を利用して測定した結果,上記オルガノゾルは,33.8μmの体積平均粒径を有した。ガラス転移温度を,前述したようにDSCを利用して測定した結果,68.12℃のTを有した。
【0162】
(実施例5)
本実施例は,実施例2のグラフト安定化剤を利用して,D/S比が8/1であり,かつ酸性作用基を有する両親媒性の共重合体のオルガノゾルを製造することを説明する。コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた5000ml,3口丸底フラスコに2803gのNorpar(登録商標)12,上記実施例2から得たグラフト安定化剤の混合物12223g(26.2%(w/w)重合体固形分を有する),453gのEMA及び14gのMAAを入れ,7.9gのV−601を入れた。上記混合物を攪拌する間に,反応フラスコを約2リットル/分の流量の乾燥窒素で30分間パージした。ホロウガラスストッパーを上記コンデンサの開口部に取り付けて,窒素流量を約0.5リットル/分に減少させた。上記混合物を70℃まで16時間加熱した。変換は定量的であった。
【0163】
約350gのn−ヘプタンを冷却されたオルガノゾルに添加した。これから得た混合物に対して,ドライアイス/アセトンコンデンサが装着された回転蒸発器を利用して残留モノマーを除去した。これを,約15mmHgの真空を利用して90℃の温度で行った。除去されたオルガノゾルを室温まで冷却させ,不透明な白色分散物を得た。
【0164】
上記オルガノゾルは,TCHMA/HEMA−TMI//EMA/MAA(97/3−4.7//97/3)で表示され,トナー調製物の製造に使われうる。上記オルガノゾル分散物の除去後,固形分百分率を,前述したようなドライ法を利用して測定した結果,15.4%(w/w)であった。次いで,平均粒径を,前述したようなレーザー回折法を利用して測定した結果,上記オルガノゾルは,40.0μmの体積平均粒径を有した。オルガノゾル重合体のガラス転移温度を,前述したようにDSCを利用して測定した結果,75℃であった。
【0165】
(実施例6)
本実施例は,実施例2のグラフト安定化剤を利用して,D/S比が8/1であり,かつ塩基性作用基を有する両親媒性の共重合体のオルガノゾルを製造することを説明する。コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた5000ml,3口丸底フラスコに2.8kgのNorpar(登録商標)12,上記実施例2から得たグラフト安定化剤の混合物12223g(26.2%(w/w)重合体固形分を有する),425gのEMA及び42gのEMAADを入れ,7.9gのV−601を入れた。上記混合物を攪拌する間に,反応フラスコを約2リットル/分の流量の乾燥窒素で30分間パージした。ホロウガラスストッパーを上記コンデンサの開口部に取り付けて,窒素流量を約0.5リットル/分に減少させた。上記混合物を70℃まで16時間加熱した。変換は定量的であった。
約350gのn−ヘプタンを冷却されたオルガノゾルに添加した。これから得た混合物に対して,ドライアイス/アセトンコンデンサが装着された回転蒸発器を利用して残留モノマーを除去した。これを,約15mmHgの真空を利用して90℃の温度で行った。除去されたオルガノゾルを室温まで冷却させ,不透明な白色分散物を得た。
【0166】
上記オルガノゾルは,TCHMA/HEMA−TMI//EMA/EMAAD(97/3−4.7//97/3%w/w)で表示され,トナー調製物の製造に使われうる。上記オルガノゾル分散物の除去後,固形分百分率を,前述したようなドライ法を利用して測定した結果,12.7%(w/w)であった。次いで,平均粒径を,前述したようなレーザー回折法を利用して測定した結果,上記オルガノゾルは,7μmの体積平均粒径を有した。オルガノゾル重合体のガラス転移温度を,前述したようにDSCを利用して測定した結果,76℃であった。
【0167】
(実施例7)
本実施例は,実施例1のグラフト安定化剤を利用して,D/S比が8/1であるオルガノゾルを製造することを説明する。コンデンサ,デジタル温度調節器と連結された温度計,乾燥窒素供給源と連結された窒素注入チューブ及びミキサーを備えた2120リットル反応器をヘプタン還流で十分にクリーニングした後,100℃真空下で完全に乾燥させた。窒素ブランケットを注入し,上記反応器を室温まで冷却させた。上記反応器に,690kgのNorpar(登録商標)12流体及び実施例1から得たグラフト安定化剤の混合物43.0kg(26.2%(w/w)の重合体固形分を有する)の混合物を,ポンプをリンスする4.3kgのNorpar(登録商標)12流体と共に真空で充填した。次いで,攪拌器を65RPMで作動させ,温度をチェックして室温に維持した。次いで,92kgのEMAをポンプリンス用の25.8kgのNorpar(登録商標)12流体と共に添加した。最後に,1034.2gのV−601を,コンテナをリンスする4.3kgのNorpar(登録商標)12流体と共に添加した。次いで,40torrの真空を10分間維持した後,窒素ブランケットで真空を解除した。40torrの真空状態を10分間維持した後,攪拌器を中止させて溶液中に泡が発生しないようにした。窒素ブランケットで真空を解除した後,14.2リットル/分の流量で窒素を注入した。75RPMで攪拌し,反応器の温度を75℃まで加熱して5時間維持した。変換は定量的であった。
【0168】
86.2kgのn−ヘプタン及び172.4kgのNorpar(登録商標)12流体を添加して残留モノマーを除去し,80RPMで攪拌し,配置を95℃まで加熱した。窒素流入を中止し,126torrの真空を10分間維持した。次いで,80torr,50torr,31torrに真空状態を上昇させ,各ステップごとに10分間維持した。真空状態を20torrまで上昇させて30分間維持した。このとき,完全真空を維持し,371.9kgの蒸留物を回収した。前述したような工程によって2次の除去を行って,282kgの蒸留物を回収した。真空を解除し,除去されたオルガノゾルを室温まで冷却させ,不透明な白色分散物を得た。
【0169】
上記オルガノゾルは,TCHMA/HEMA−TMI//EMA(97/3−4.7//100%w/w)で表示される。上記オルガノゾル分散物の除去後,固形分百分率を,前述したようなドライ法を利用して測定した結果,12.5%(w/w)であった。次いで,平均粒径を,前述したような光散乱法を利用して測定した結果,上記オルガノゾルは,42.3μmの体積平均粒径を有した。ガラス転移温度を,前述したようにDSCを利用して測定した結果,62.7℃のTを有した。
【0170】
表4は,実施例4〜7のオルガノゾル共重合体の組成物を要約したものである。
【0171】
【表4】

【0172】
(実施例8−16:液体トナー組成物の製造)
上記実施例で製造された液体トナー組成物の特性評価のために,サイズに関連した特性(粒径);電荷に関連した特性(バルク相及びフリー相伝導度,動的移動度及びゼータ電位);帯電/現像反射光学密度(Z/ROD),トナー電荷/質量(Q/M)に直接比例するパラメータを測定した。
【0173】
(実施例8(比較例))
本比較例は,D/S比が8/1で製造された実施例4のオルガノゾルを利用して,オルガノゾルと顔料との比が6であり,ワックスを含有しないブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,13.2%(w/w)固形分であるオルガノゾル234gを,58gのNorpar(登録商標)12,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製)及び2.72gの5.67%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを65℃で50分間2,000RPMで作動させた。
【0174】
前述したようなドライ方法でトナー濃縮液の固形分百分率を測定した結果,11.9%(w/w)であった。体積平均粒径は4.9μmであった。体積平均粒径は,前述したようなHoriba LA−920レーザー回折法を利用して測定した。
【0175】
体積平均粒径:4.9μm
Q/M:397μC/g
バルク伝導度:509 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:1.31%
動的移動度:6.39E−11(m/Vsec)
【0176】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.3であった。
【0177】
(実施例9)
本実施例は,実施例5で製造されたD/S比が8/1である酸性作用基含有の両親媒性の共重合体オルガノゾル,及びNorpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の0.52倍に分散された塩基性作用基含有のワックスを利用して,オルガノゾル/顔料比が6であるワックス含有のブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,15.4%(w/w)固形分であるオルガノゾル200gを,93gのNorpar(登録商標)12,9.5gのGP−628,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製)及び1.98gの5.2%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを65℃で50分間2,000RPMで作動させた。
【0178】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,12.4%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は4.4μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0179】
体積平均粒径:4.4μm
Q/M:29μC/g
バルク伝導度:2.7 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:5.71%
動的移動度:9.13E−12(m/Vsec)
【0180】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.1であった。
【0181】
(実施例10)
本実施例は,実施例6で製造されたD/S比が8/1である塩基性作用基含有の両親媒性の共重合体オルガノゾル,及びNorpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の0.52倍に分散された塩基性作用基含有のワックスを利用して,オルガノゾル/顔料比が6であるワックス含有のブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,12.7%(w/w)固形分であるオルガノゾル245gを,93gのNorpar(登録商標)12,9.5gのGP−628,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製)及び1.98gの5.2%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを65℃で50分間2,000RPMで作動させた。
【0182】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,12.9%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は4.1μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0183】
体積平均粒径:4.1μm
Q/M:58μC/g
バルク伝導度:0.9 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:40%
動的移動度:1.80E−12(m/Vsec)
【0184】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.0であった。
【0185】
(実施例11)
本実施例は,実施例6で製造された作用基非含有の両親媒性の共重合体オルガノゾル,及びNorpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の0.65倍に分散されたワックスを利用して,オルガノゾル/顔料比が6である作用基非含有及びワックス含有のブラック液体トナーの製造を例示したものである。Norpar(登録商標)12のうち,12.5%(w/w)固形分であるオルガノゾル1843gを,272gのNorpar(登録商標)12,41gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),1.54gの26.6%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液及び42.6gのLicocene PP6102と混合した。次いで,上記混合物を,0.8mm直径のYttrium Stabilized Ceramic Media(米国,CA,Torrance所在,Morimura Bros.(USA)Inc.社製)472.6gが充填されたHockmeyer HSD Immersion Mill(モデルHM−1/4,米国,NC,Elizabeth City所在,Hockmeyer Equipment Corp.社製)でミリングした。上記ミルを45℃のミリングチャンバージャケットを通じて循環する冷却水と共に2000RPMで行った。ミリング時間は53分であった。トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,9.7%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は5.9μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0186】
体積平均粒径:5.9μm
Q/M:95μC/g
バルク伝導度:0.34 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:25%
動的移動度:1.52E−13(m/Vsec)
【0187】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.0であった。
【0188】
(実施例12)
本実施例は,実施例4で製造されたD/S比が8/1であるオルガノゾルを利用して,Norpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の0.5倍に分散された作用基非含有のワックス添加剤を有し,オルガノゾル/顔料比が6であるブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,13.2%(w/w)固形分であるオルガノゾル234gを,28gのNorpar(登録商標)12,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),0.58gのTonerwax S−80及び2.72gの5.7%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを75℃で20分間2,000RPMで作動させた。
【0189】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,12.0%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は5.0μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0190】
体積平均粒径:5.0μm
Q/M:58μC/g
バルク伝導度:0.9 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:40%
動的移動度:8.7E−11(m/Vsec)
【0191】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.2であった。
【0192】
(実施例13)
本実施例は,実施例4で製造されたD/S比が8/1である作用基非含有の両親媒性の共重合体オルガノゾルを利用して,Norpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の2.0倍に分散された塩基性作用基含有のワックス添加剤を有し,オルガノゾル/顔料比が6であるブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,13.2%(w/w)固形分であるオルガノゾル234gを,57gのNorpar(登録商標)12,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),2.30gのTonerwax S−80及び2.72gの5.7%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを90℃で20分間2,000RPMで作動させた。
【0193】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,12.7%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は5.1μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0194】
体積平均粒径:5.1μm
Q/M:191μC/g
バルク伝導度:248 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:1.23%
動的移動度:6.36E−11(m/Vsec)
【0195】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.2であった。
【0196】
(実施例14)
本実施例は,実施例7で製造されたD/S比が8/1である作用基非含有の両親媒性の共重合体オルガノゾルを利用して,Norpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の5.2倍に分散された塩基性作用基含有のワックス添加剤を有し,オルガノゾル/顔料比が6であるワックス含有のブラック液体トナーの製造を例示したものである。 Norpar(登録商標)12のうち,12.5%(w/w)固形分であるオルガノゾル1843gを,272gのNorpar(登録商標)12,41gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),42.9gのTonerwax S−80及び2.3gの26.6%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,0.8mm直径のYttrium Stabilized Ceramic Media(米国,CA,Torrance所在,Morimura Bros.(USA)Inc.社製)472.6gが充填されたHockmeyer HSD Immersion Mill(モデルHM−1/4,米国,NC,Elizabeth City所在,Hockmeyer Equipment Corp.社製)でミリングした。上記ミルを21℃のミリングチャンバージャケットを通じて循環する冷却水と共に2000RPMで行った。ミリング時間は53分であった。トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,12.7%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は5.9μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0197】
体積平均粒径:5.9μm
Q/M:95μC/g
バルク伝導度:34 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:25%
動的移動度:1.52E−13(m/Vsec)
【0198】
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.2であった。
【0199】
(実施例15)
本実施例は,実施例4で製造されたD/S比が8/1である作用基非含有の両親媒性の共重合体オルガノゾルを利用して,Norpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の0.52倍に分散された塩基性作用基含有のワックス添加剤を有し,オルガノゾル/顔料比が6であるブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,13.2%(w/w)固形分であるオルガノゾル234gを,59gのNorpar(登録商標)12,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),9.5gのGP−628及び2.0gの5.7%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを90℃で20分間2,000RPMで作動させた。
【0200】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,13.9%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は4.9μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0201】
体積平均粒径:4.9μm
Q/M:27μC/g
バルク伝導度:34 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:5.96%
動的移動度:5.97E−12(m/Vsec)
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.0であった。
【0202】
(実施例16)
本実施例は,実施例4で製造されたD/S比が8/1である作用基非含有の両親媒性の共重合体オルガノゾルを利用して,Norpar(登録商標)12のうちワックス溶解度限界の1.0倍に分散された酸性作用基含有のワックス添加剤を有し,オルガノゾル/顔料比が6であるブラック液体トナーの製造を例示したものである。8オンスのガラス瓶でNorpar(登録商標)12のうち,13.2%(w/w)固形分であるオルガノゾル234gを,51gのNorpar(登録商標)12,5gのブラック顔料(Aztech EK8200,米国,AZ,Tucson所在,Magruder Color Company社製),7.3gのLicowax F及び2.72gの5.7%(w/w)Zirconium HEX−CEM溶液と混合した。次いで,上記混合物を,1.3mm直径のPottersガラスビード(米国,NJ,Parsippany所在,Potters Industries,Inc.社製)390gが充填された0.5リットル垂直ビードミル(モデル6TSG−1/4,日本,東京所在,アイメックス株式会社製)でミリングした。上記ミルを90℃で20分間2,000RPMで作動させた。
【0203】
トナー濃縮物の固形分百分率を,前述したようなドライ方法を利用して測定した結果,13.9%(w/w)であった。上記液体トナーの体積平均粒径は5.5μmであった。Horiba LA−920を利用して,前述したようなレーザー回折法で平均粒径を測定した。
【0204】
体積平均粒径:5.5μm
Q/M:86μC/g
バルク伝導度:138 picoMhos/cm
フリー相伝導度百分率:2.74%
動的移動度:4.4E−11(m/Vsec)
上記液体トナーを前述したプリンティング装置でテストした。反射光学密度ODは,450ボルトより大きい付着電圧で1.0であった。
【0205】
(ドライトナー組成物)
(実施例17(比較例))
上記実施例8の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0206】
体積平均粒径:20.3ミクロン
Q/M(30分):30.6μC/g
プレーティングされた光学密度:1.5
【0207】
(実施例18)
上記実施例9の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0208】
体積平均粒径:10.8ミクロン
Q/M(30分):41.3μC/g
プレーティングされた光学密度:1.5
【0209】
(実施例19)
上記実施例10の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0210】
体積平均粒径:35.3ミクロン
Q/M(30分):26.7μC/g
プレーティングされた光学密度:1.6
【0211】
(実施例20)
上記実施例11の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
体積平均粒径:9.41ミクロン
Q/M(30分):29.8μC/g
プレーティングされた光学密度:1.6
【0212】
(実施例21)
上記実施例12の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0213】
体積平均粒径:40.3ミクロン
Q/M(30分):10.2μC/g
プレーティングされた光学密度:1.4
【0214】
(実施例22)
上記実施例13の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0215】
体積平均粒径:20.4ミクロン
Q/M(30分):19.6μC/g
プレーティングされた光学密度:1.6
【0216】
(実施例23)
上記実施例14の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0217】
体積平均粒径:6.56ミクロン
Q/M(30分):23.7μC/g
プレーティングされた光学密度:1.6
【0218】
(実施例24)
上記実施例15の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
体積平均粒径:13.2ミクロン
Q/M(30分):45.5μC/g
プレーティングされた光学密度:1.3
【0219】
(実施例25)
上記実施例16の液体インク200gを,前述したようなトナー乾燥工程を利用して乾燥させた。これから得た7gのドライ粉末を,前述したような工程を利用してFritschミリングした。次いで,ドライトナーを分析し,その結果は次の通りである。次いで,上記ドライトナーに対して,前述したようなテスト工程によって定着/画像耐久性テストを行うプリンティングテストを行った。あらゆるプリンティング/定着データは,下記の表に示した。
【0220】
体積平均粒径:10.4ミクロン
Q/M(30分):16.6μC/g
プレーティングされた光学密度:1.6
上記実施例17〜25の結果を下記の表5に整理した:
【0221】
【表5】

【0222】
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明は,電子記録用のドライトナー組成物及びその製造方法の技術分野に適用可能であり,光導電体上にフィルムを形成せずに光導電体の表面から中間転写材料に画像を転写させるか,またはプリンティング媒体に直接的に画像を転写させる電子写真形成工程に特に適している。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドライトナー粒子と,
少なくとも一つの画質を向上させる添加剤と,
前記ドライトナー粒子と会合されたワックスと,
を含み,
前記トナー粒子は,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを含み,
前記ワックスの実質的な部分は,前記トナー粒子に同伴され,前記ワックスの実質的な部分は,前記トナー粒子の表面で前記トナー粒子と会合されたことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項2】
前記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差が,2.8MPa1/2以上であることを特徴とする,請求項1に記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項3】
前記ワックスの含量は,前記トナー粒子の含量を基準として1重量%〜20重量%であることを特徴とする,請求項1または2に記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項4】
前記ワックスの含量は,前記トナー粒子の含量を基準として4重量%〜10重量%であることを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項5】
前記ワックスは,60℃〜150℃の融点を有することを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項6】
前記ワックスは,ポリプロピレンワックスであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項7】
前記ワックスは,シリコンワックスであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項8】
前記ワックスは,脂肪酸エステルワックスであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項9】
前記ワックスは,メタロセンワックスであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項10】
前記ワックスは,酸性作用基を含むことを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項11】
前記両親媒性の共重合体は,塩基性作用基を含むことを特徴とする,請求項10に記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項12】
前記ワックスは,塩基性作用基を含むことを特徴とする,請求項1〜9のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項13】
前記両親媒性の共重合体は,酸性作用基を含むことを特徴とする,請求項12に記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項14】
前記ワックスは,10,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有することを特徴とする,請求項1〜13のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項15】
前記ワックスは,50,000〜500,000ダルトンの分子量を有することを特徴とする,請求項1〜14のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項16】
前記ワックスは,前記トナー粒子の全体に実質的に均一に分布されることによって,前記トナー粒子と会合されたことを特徴とする,請求項1〜15のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物。
【請求項17】
(a)30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程と,
(b)重合可能性の化合物を前記液体キャリアで重合して,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダーを形成する工程と,
(c)前記(b)工程の重合体バインダーと少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む前記液体キャリアでトナー粒子を調製する工程と,
(d)前記(c)工程のトナー粒子をワックス存在下でミリングする工程と,
(e)前記(d)工程で得た複数のトナー粒子を乾燥させ,前記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する工程と,
を含むことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法で製造された生成物。
【請求項19】
(a)30mL未満のカウリブタノールナンバーを有する液体キャリアを提供する工程と,
(b)重合可能性の化合物を前記液体キャリアで重合して,一つ以上のS材料部分と一つ以上のD材料部分とを含む少なくとも一つの両親媒性の共重合体を含む重合体バインダー粒子を形成する工程と,
(c)前記(b)工程のバインダー粒子をワックス存在下でミリングする工程と,
(d)前記(c)工程の重合体バインダー粒子と少なくとも一つの画質を向上させる添加剤とを含む前記液体キャリアでトナー粒子を調製する工程と,
(e)前記(d)工程で得た複数のトナー粒子を乾燥させ,前記トナー粒子と会合されたワックスを有するドライトナー粒子組成物を提供する工程と,
を含むことを特徴とする,電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項20】
前記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,2.8MPa1/2以上であることを特徴とする,請求項19に記載の電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項21】
前記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,3.0MPa1/2以上であることを特徴とする,請求項19または20に記載の電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項22】
前記ワックスと液体キャリアとの間のヒルデブランド溶解度パラメータの絶対差は,3.2MPa1/2以上であることを特徴とする,請求項19〜21のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項23】
前記ワックスは,前記液体キャリア中に前記ワックスの溶解度限界以上の濃度で存在する溶解性ワックスであることを特徴とする,請求項19〜22のいずれかに記載の電子記録用のドライトナー組成物の製造方法。
【請求項24】
請求項19に記載の方法で製造された生成物。


【公開番号】特開2006−126849(P2006−126849A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317276(P2005−317276)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】