説明

電子部品のリペア方法、電子部品のリペア装置及び伝熱プレート

【課題】伝熱プレートを使用するリペア装置においても、リペア対象の電子部品の加熱領域ごとに加熱量を変えることができるリペア装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
除去対象の電子部品108に、複数の伝熱材107a〜dを、断熱材107eを介して接合することにより形成された伝熱プレート107を載置し、該伝熱プレート107の各伝熱材107a〜d毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニット106により、電子部品108に載置した伝熱プレート107を加熱し、この加熱後に電子部品108を基板103から除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電子部品のリペア方法、装置、及び、伝熱プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、BGA(Ball Grid Array)パッケージなど、基板上に表面実装を行った電子部品の除去を行なうリペア装置が開発されている。
【0003】
以下に、従来のリペア装置について図1を用いて説明する。
【0004】
図1は、従来のリペア装置1の構成図である。
【0005】
図1において、台座2は、基板3を設置する基板載置ユニット4、可動式カメラ5、可動式加熱ヒータ6を有する。また、台座2は、伝熱プレート7をリペア対象の電子部品8の上面に載置するとともに加熱後の電子部品8を載置された伝熱プレート7ごと搬送・除去する搬送部9、及び、コンピュータ10に接続された制御ユニット11を搭載する。
【0006】
なお、制御ユニット11は、少なくとも可動式カメラ5、可動式加熱ヒータ6、及び、搬送部9に対し、コンピュータ10からの指示に応じた、各種制御信号を送信すると共に、可動式カメラ5で撮影された撮像画像情報をコンピュータ10へ送信する機能を有する。
【0007】
また、リペア対象の電子部品8は、下面に電極を有するBGAパッケージであり、下面の電極は、各々基板3にハンダ付けされている事とする。
【0008】
このようなリペア装置1において、コンピュータ10は、まず、可動式カメラ5に、リペア対象の電子部品8を可動式カメラ5に撮像させ、その撮像画像を元にリペア対象の位置を決定する。そして、コンピュータ10は、搬送部9に対し、伝熱プレート7を電子部品の上部に載置させる。その後、コンピュータ10は、可動式加熱ヒータ6によって、電子部品8上部に載置された伝熱プレート7を加熱させる。これにより、電子部品8が加熱され、電子部品8の下部のハンダが融解する。その状態において、コンピュータ10は、搬送部9により、伝熱プレート7ごと吸着して持ち上げることにより、リペア対象の電子部品8を除去する。
【0009】
しかしながら、図2に示されるように、基板3にリペア対象の電子部品8の近傍に放熱板付の電子部品12が搭載されていた場合、電子部品8の熱が、電子部品12側に逃げてしまう。
【0010】
加えて、BGAパッケージの電子部品8は、電子部品の下面全体にわたって端子があり、電子部品12に近い端子ほど熱が逃げやすい。このため、電子部品8の端子は、電子部品12に近い端子より、遠い端子の方が、温度上昇が激しくなる。その結果、電子部品8の端子のうち、電子部品12から遠い端子を接続しているハンダは融解しているのに、電子部品12に近い端子を接続しているハンダは融解しないことがある。電子部品8のリペアを行うためには、電子部品8のすべての端子のハンダが融解する必要があるので、電子部品12に近い端子のハンダが融解するまで加熱し続ける必要がある。
【0011】
このため、電子部品8の電子部品12から遠い端子側は、過度に加熱されてしまい、基板3や、電子部品8の周縁にあるリペア対象ではない領域・電子部品まで必要以上に加熱されることになり、他の電子部品にダメージを与えてしまう。
【0012】
この課題に対し、従来のリペア装置1は、図3に示すように、可動式加熱ヒータ6の加熱部13の放熱口13aに、大きさが異なる複数の放熱孔14a〜dを有する熱遮蔽板14(アパーチャ)を用いている。即ち、従来のリペア装置1は、放熱量が多い電子部品12に近いほど受熱量が大きくなる事を目的として、放熱孔14a〜dの大きさを設定した熱遮蔽板14の放熱口13aを利用し、電子部品8の電子部品12から遠い端子側のほど、加熱量が小さくなるよう加熱を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−332727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記したように、リペア装置は、リペア対象となる電子部品の上に伝熱プレートを載置して、リペア対象の電子部品を加熱する方式の装置が対象である。この伝熱プレートは、リペア対象の電子部品を効率的に加熱するために用いるもので、基本的には銅などの熱伝導効率が良い材料が好ましい。しかしながら、伝熱プレート内部の熱移動量も大きくなってしまう。このため、放熱量が多い電子部品から遠い端子側ほど、加熱量が小さくなる様に伝熱プレート7を加熱しても、リペア対象の電子部品8は、全体が均一に加熱されてしまい、開口量の異なる熱遮蔽板のみではその効果は小さいものとなってしまう。
【0015】
本実施の形態に開示の技術は、この課題に鑑みてなされたもので、伝熱プレートを使用するリペア装置においても、リペア対象の電子部品の加熱領域ごとに加熱量を変えることができるリペア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示の技術は、基板上にハンダ付けされた電子部品を除去する電子部品のリペア方法であって、除去対象の電子部品に、複数の伝熱材を、断熱材を介して接合することにより形成された伝熱プレートを載置し、該伝熱プレートの各伝熱材毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、電子部品に載置した伝熱プレートを加熱し、この加熱後に前記電子部品を前記基板から除去するものである。
【発明の効果】
【0017】
本開示の技術は、上記した構成により、伝熱プレートを使用するリペア装置においても、リペア対象の電子部品の加熱領域ごとに加熱量を変えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のリペア装置の構成図である。
【図2】従来の伝熱プレートをリペア対象の部品に載置した状態を示す図である。
【図3】従来の加熱ユニットの説明図である。
【図4】本実施の形態のリペア装置の構成図である。
【図5】基板載置ユニットの上面にある遮蔽板を外した状態を示した斜視図である。
【図6】遮蔽板をスペーサにネジ止めしたときの斜視図である。
【図7】可動式カメラの斜視図である。
【図8】搬送部の斜視図である。
【図9】伝熱プレートの斜視図である。
【図10】可動式加熱ヒータの斜視図である。
【図11】加熱ユニットの蓋部を開けた状態を示した図である。
【図12】加熱ユニットの説明図である。
【図13】熱遮蔽板の上面図である。
【図14】リペア装置の制御フローチャートである。
【図15】撮像カメラの動作説明図である。
【図16】搬送部の伝熱プレートの載置動作を説明する図である。
【図17】リペア対象の電子部品に伝熱プレートが載置された状態を示下図である。
【図18】加熱ユニットの動作説明図である。
【図19】搬送部の部品の除去動作を説明する図である。
【図20】加熱ユニットの斜視図である。
【図21】加熱ユニットの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図4は、本実施の形態のリペア装置101の構成図である。
【0020】
図4において、台座102は、基板103を設置する基板載置ユニット104、可動式カメラ105、可動式加熱ヒータ106を有する。また、台座102は、伝熱プレート107をリペア対象の電子部品108の上面に載置するとともに加熱後の電子部品108を載置された伝熱ギャップ107ごと搬送・除去する搬送部109、及び、コンピュータ110に接続された制御ユニット111を搭載する。
【0021】
なお、制御ユニット111は、少なくとも可動式カメラ105、可動式加熱ヒータ106、及び、搬送部109に対し、コンピュータ110からの指示に応じた、各種制御信号を送信すると共に、可動式カメラ105で撮影された撮像画像情報をコンピュータ110へ送信する機能を有する。
【0022】
また、リペア対象の電子部品108は、下面に電極を有するBGAパッケージであり、下面の電極は、各々基板103にハンダ付けされている事とする。
【0023】
図5は、基板載置ユニット104の上面にある遮蔽板112を外した状態を示した斜視図である。なお、この基板103にはリペア対象のBGAパッケージ型の電子部品108が表面実装されているものとする。
【0024】
また、図5に示されるように、基板103のリペア対象の電子部品108の近傍には、放熱板を有する電子部品135が取り付けられている。
【0025】
更に、図5に示されるように、基板載置ユニット104は、基板103を載置する載置台113を有している。スペーサ114A〜Dは、それぞれ載置台113上の、基板103が搭載されたときに、干渉しない位置に固定される。またスペーサ114A〜Dは、基板103が載置台113に載置されたときに、基板103に実装されている各電子部品の高さより高くなるものが用いられる。
【0026】
遮蔽板112は、それらのスペーサ114A〜Dの上面にネジ止めされる。この構造により、基板103の各電子部品が、遮蔽板112に干渉しない状態で遮蔽板を基板103の上側に設置する事が可能となる。
【0027】
また、遮蔽板112は、リペア対象の電子部品108に上方に、窓112Aが設けられている。図6は、遮蔽板112をスペーサ114にネジ止めしたときの斜視図である。この状態では、基板103は、上方向から見た場合、リペア対象の電子部品108が実装されている領域以外の領域は、全て、遮蔽板112によって遮蔽された状態となっている。これにより、リペア対象以外の電子部品は、可動式加熱ヒータ106によって直接加熱されてしまうことが防止される。
【0028】
図7は、図4における可動式カメラ105の斜視図である。
【0029】
可動式カメラ5は、台座102に固定された柱部116に、基板載置ユニット104の方向(矢印A方向)へ移動可能な可動台117が設けられており、この可動台117にカメラユニット118が設置されている。カメラユニット118は、図4で説明した制御ユニット111からの制御信号に基づき、下方向を撮像する撮像部119を有する。また、可動台117は、制御ユニット111からの制御信号に基づき、可動台117を矢印A方向に任意の移動量だけ移動させるステッピングモータ120を備えている。
【0030】
この可動式カメラ105は、基板搭載ユニット104上に載置された基板103に実装されるリペア対象の電子部品108を撮像する事を目的として設置されている。
【0031】
図8は、図4における搬送部109の斜視図である。
【0032】
図8に開示されるように、搬送部109は、台座102に取り付けられた柱部121を有する。柱部121には、一端が矢印C方向に回動可能に支持された第1腕部122が設けられており、ステッピングモータ123によって、制御ユニット111からの制御信号に応じて、第1腕部122を矢印C方向に回動する。
【0033】
また、第1腕部122の他端からは、矢印E方向へ伸縮可能な第2腕部124を有する。また、ステッピングモータ125は、制御ユニット111からの制御信号に応じて、この第2腕部124を伸縮させる。
【0034】
更に、第2腕部124の先端には、矢印D方向、即ち、上下に移動可能な吸着ヘッド126aを有するヘッド部126が、矢印B方向に回動可能に取り付けられている。
【0035】
また、搬送部109は、ヘッド部126の下方向に、伝熱プレート107を載置する伝熱プレート載置台127が設けられている。
【0036】
この伝熱プレート107について図9を用いて補足する。本実施の形態の伝熱プレート107は、銅やアルミニウムなどの伝熱性の高い材料で形成された4つの伝熱材107a〜dを、熱抵抗率の高い断熱材107eで仕切ることで形成されている。この断熱材107eは、ガラス繊維、ガラスエポキシ、シリカやアルミナなどを原料とした耐熱正の材料にて形成することができる。
【0037】
このように、本実施の形態のように、各伝熱材107a〜dを断熱材107eで仕切ることにより、伝熱プレート107は、各伝熱材間の熱移動を抑制することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態では、伝熱プレート107の伝熱材は、4つとしたが、これに限らずとも良い。
【0039】
次に、図10は、図4における可動式加熱ヒータ106の斜視図である。
【0040】
図10において、柱部128は、図示しない台座102に取り付けられており、矢印F方向に移動可能に支持された移動台座129が取り付けられている。この移動台座129は、制御部111からの制御信号に応じて、ステッピングモータ130が回転することにより、矢印F方向への移動を行う。また、移動台座129には、リペア対象の電子部品を加熱するための加熱ユニット131が矢印G方向に移動可能に取り付けられている。
【0041】
この加熱ユニット131は、制御ユニット111からの制御信号に基づき、ステッピングモータ132が回転することによって、矢印G方向への移動を行う。
【0042】
図11は、この加熱ユニット131の蓋部131aを開けた状態を示した図である。
【0043】
図11に示されるように、加熱ユニット131は、その内部に、下方向への加熱を行う加熱ヒータ133をする。また、この加熱ユニット130の下部には、熱遮蔽板134(アパーチャ)を設置するための溝131a,bが設けられている。
【0044】
更に、熱遮蔽板134は、各々、大きさが異なる複数の放熱孔134a〜dを有している。図12に示されるように、この放熱孔134a〜dは、それぞれ、伝熱プレート124の伝熱材107a〜dを加熱できうる位置に設けられている。
【0045】
即ち、各々の開口部131aを介して加熱ヒータ133から放熱された熱は、各放熱孔134a〜dを介して、各伝熱材107a〜dに伝わることにより、各伝熱材107a〜dは加熱される。この際、図12に示されるように、放熱性の高い電子部品135に近い方の伝熱材107bに対応する放熱孔134bを、他の放熱孔134a,c,dより大きくすることで、伝熱材107bは、他の伝熱材131a,c,dより加熱量が大きくなる。
【0046】
また、上記したように、各伝熱材131a〜dは、断熱材107eによって、熱移動が抑制されているので、従来のように、伝熱プレート107の一部を加熱してもリペア対象の電子部品108全体が加熱されることを抑制できるようになる。
【0047】
その結果、本実施の形態では、リペア対象の電子部品108の伝熱材107bの下部の領域を、該電子部品108の他の領域より加熱量が大きくさせることが可能となる。
【0048】
なお、上記してきた実施の形態では、各伝熱材107a〜dと各放熱孔134a〜dとを同じ数としたが、各伝熱材107a〜dの加熱ヒータ133からの受熱量が、所望の受熱量になるように形成されていれば、これに限る必要はない。
【0049】
例えば、図13の熱遮蔽板1351の放熱孔群1351a〜dのように、各伝熱材107a〜dに対応する、複数の小径の放熱孔を設け、各々の放熱孔郡内の放熱孔の数を、加熱量に合わせて変更するようにすることも考えられる。
【0050】
なお、上記してきたリペア装置101の動作について、図14のフローチャートを元に説明する。なお、本実施の形態のリペア装置101は、図4で説明した、コンピュータ110の制御信号を、制御ユニット111を介して各部へ送信、もしくは、各部が、制御ユニット111を介して、コンピュータ110へ各種データを送信することによって、各処理が実行される。このため、以下の説明では、コンピュータ110と各部の通信は、特に記載がない限り制御ユニット111を経由して行われているものとする。
【0051】
まず、コンピュータ110は、可動式カメラ105を制御して、リペア対象の電子部品108の撮像を行う。(S1001)
具体的には、以下の手順で処理が行われる。
【0052】
まず、図15に示されるように、コンピュータ110からの指示に基づき、撮像カメラ105のステッピングモータ120は、カメラユニット118の撮像部119が、リペア対象の電子部品108のほぼ真上となる規定位置まで、可動台117を矢印A1方向へ移動させる。(なお、説明の都合上、図15では、遮蔽板112を明記していない。)
移動完了後、撮像部119は、撮像を行う。上記したように撮像部119は、下方向の撮像を行うので、上記規定位置では、上方向から見たリペア対象の電子部品108の撮像を行うこととなる。そして、撮像部119は、撮像した撮像画像を、コンピュータ110へ送信する。
【0053】
なお、この撮像処理の完了後、コンピュータ110は、撮像部119を矢印A1とは反対の方向に移動させ、元の位置へ戻す制御を行う。
【0054】
S1001の処理の後、コンピュータ110は、この撮像画像を受信すると、この撮像画像の画像認識を行い、画像上のリペア対象の電子部品108の位置を検出する。(S1002)上記したように、撮像部119は規定位置での撮像を行うので、撮像画像上での位置を検出すれば、リペア対象の電子部品108の位置を特定できる。
【0055】
なお、この位置特定は、リペア毎に、基板103をセットしなおす関係上、リペア対象の電子部品の位置が、リペア毎にずれてしまうため、正確にリペア対象の電子部品108の位置を特定するために行われる。
【0056】
次に、コンピュータ110は、S1002の処理で特定したリペア対象の電子部品108の位置を元に、搬送部109を制御して、伝熱プレート107を、リペア対象の電子部品108の上に載置する制御を行う(S1003)。
【0057】
詳しくは、コンピュータ110は、搬送部109のステッピングモータ123、125や、ヘッド部126を制御し、伝熱プレート載置台127上の伝熱プレート107に吸熱吸着ヘッド126aを接触させる。吸着ヘッド106aは、この接触状態において、伝熱プレート載置台127上の伝熱プレート107を吸着する。
【0058】
この吸着が完了すると、コンピュータ110は、図16に示される様に、S1002の処理で特定したリペア対象の電子部品108の情報位置に吸着ヘッド126に吸着している伝熱プレート107が、リペア対象の電子部品108の真上になる様に、制御を行う(S1003)。なお、図16の、説明の都合上、遮蔽板112の記載を省略している。
【0059】
この制御は、コンピュータがステッピングモータ123、125や、ヘッド部126を制御することで、ヘッド部126、第1腕部、及び、第2腕部を矢印B,C,E1方向へ移動させることにより行われる。
【0060】
その後、コンピュータ110は、ヘッド部126を制御して、吸着ヘッド126aを矢印a方向へ移動させることにより、吸着ヘッド126aに吸着している伝熱プレート107をリペア対象の電子部品108の上に載置する。
【0061】
そして、コンピュータ110は、ヘッド部126が初期位置へ戻るようにステッピングモータ123、125や、ヘッド部126を制御する。
【0062】
図17は、S1003の処理によって、リペア対象の電子部品108に伝熱プレート107が載置された状態を示している。
【0063】
S1003の処理が完了すると、コンピュータ110は、可動式加熱ヒータ106を制御して、リペア対象の電子部品108の加熱処理を行う(S1004)。
【0064】
具体的には、コンピュータ110は、加熱ユニット131が、S1002で求めたリペア対象の電子部品108の真上となる位置となるように、ステッピングモータ130を制御して、移動台座129を移動させる。
【0065】
次にコンピュータ110は、ステッピングモータ132を制御して、図17に示すように、加熱ユニット131を矢印G1方向へ降下させる。
【0066】
そして、コンピュータ110は、加熱ユニット131に加熱の指示を出す。
【0067】
加熱ユニット131は、これに応じて、加熱を開始する。加熱のプロセスについては、既に、図10、11などを使用した可動式ヒータ106の説明にて明記したのでその詳細については省略する。
【0068】
この加熱時間は、リペア対象の電子部品の下部にある端子を接続しているハンダが溶解する温度になると想定される時間分だけ加熱が行われる。
【0069】
図12にも示した様に、リペア対象の電子部品108に載置された伝熱プレート107の各伝熱材107a〜dは、加熱ユニット131の熱遮蔽板134の放熱孔134a〜dによって、それぞれ独立して加熱される。また、伝熱材107a〜dは、断熱材107eによって区切られており、各伝熱材107a〜dは、領域間を跨いで熱が伝わることが抑制されている。このため、各伝熱材107a〜dに対応するリペア対象の電子部品108の各伝熱材107a〜dに対応する各領域は、各々放熱孔134a〜dに対応した加熱量にて加熱されることとなる。
【0070】
加えて、上記したように本実施の形態の場合、放熱孔134bを他の放熱孔a,c,dより大きい孔としているため、放熱性が高い電子部品135に近い伝熱材107bは、他の伝熱材107a,c,dより受熱量が多くなる。これにより、放熱性の高い電子部品135に熱が移動分だけ、伝熱材107bの受熱量が大きくなっているので、各伝熱材に対応する電子部品ごとの温度上昇具合を均一化することが可能となる。
【0071】
加熱時間経過後、コンピュータ110は、ヘッド部126の加熱を停止させるとともに、矢印G1とは反対の方向へ移動させる。
【0072】
この後、コンピュータ110は、図19に示されるように、再び搬送部109を制御して、リペア対象の電子部品108をリペア対象の伝熱プレート107毎吸着して、基板3から取り除く制御を行う(S1005)。
【0073】
以上のように動作を行うことにより、リペア対象の電子部品108を基板103から取り除くことが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態では、伝熱プレート107を、複数の伝熱材107a〜dにて形成し、かつ、該伝熱材107a〜dを断熱材107eにて区切ったものを使用している。
これにより、本実施の形態では、伝熱プレート107を使用した場合でも、領域ごとに区切ってリペア対象の電子部品108への加熱を行うことが可能となり、電子部品108の周囲に配置された電子部品などの影響に応じて、効果的に電子部品108の加熱を行うことが可能となる。
【0075】
なお、上記してきた実施の形態では、加熱ユニット134に、放熱孔134a〜dを有する熱遮蔽板134を設けることにより、放熱量の調整を行っている。
【0076】
しかしながら、基板103は、種別ごとに載置する電子部品の種類も、配置位置も異なるため、その基板103の種類に応じて放熱孔107a〜dの穴の大きさを変更する必要がある。その結果、上記実施の形態では、基板103の種類を変えることに、熱遮蔽板134を取り替える必要がある。
【0077】
これに対応するために、上記加熱ユニット131の代わりに、図20に示すような、加熱ユニット1311を用いても良い。
【0078】
図20に示す加熱ユニット1311は、熱遮蔽板134を有しない。
代わりに、加熱ユニット1311の筐体の四隅には、小型のステッピングモータ1341a〜dが取り付けられている。各々のステッピングモータ1341a〜dは、それぞれ、制御ユニット110からの制御信号により、熱遮蔽片1361a〜dを加熱ユニット1311の放熱口1311bと平行に回転させることができる。
【0079】
熱遮蔽片1361a〜dは、また、各々の回転によって、他の熱遮蔽片1361a〜dと鑑賞しない程度の大きさに形成されている。
【0080】
このように、加熱ユニット1311を形成すれば、図21の影領域107aa〜ddに示されるように、伝熱プレート107の各伝熱材107a〜d毎に、各熱遮蔽片1361a〜dに対応した分だけ、加熱ヒータ1331からの熱が遮蔽される。
【0081】
よって、コンピュータ110から、ステッピングモータを適宜回転させる制御を行う事により、各熱遮蔽片1361a〜dが加熱ヒータ1331から遮蔽する量を調整することが可能となる。
【0082】
即ち、この加熱ユニット1311を用いれば、基板103の種別が変わるごとに、遮蔽板134を差し替える事なく、各伝熱材107a〜dの加熱量を調整することが可能となる。
【0083】
なお、本装置にてBGAを除去後別途BGAマウンタを用いて除去した基板にBGAを再実装し、本装置にて再実装させることで、BGAの再実装を行なうこともできる。
また、本装置にマウンタ装置を設けることで、上記機能を実現させることも可能となる
(付記1) 基板上にハンダ付けされた電子部品を除去する電子部品のリペア方法であって、
前記除去対象の電子部品に、複数の伝熱材を、断熱材を介して接合することにより形成された伝熱プレートを載置し、
該伝熱プレートの各伝熱材毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱し、
前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する
事を特徴とする電子部品のリペア方法。
【0084】
(付記2) 前記電子部品は、基板との対向面側に複数の端子を有する表面実装型の電子部品であり、該端子が、各々前記基板にハンダ付けされていることにより固定されているもので、
前記伝熱プレートへの加熱は、各端子のハンダの融解がほぼ同じになるように、各伝熱部への加熱を行うことを特徴とする
付記1に記載の電子部品のリペア方法。
【0085】
(付記3) 前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に前記加熱ヒータと前記電子部品との間となる位置に設置され、前記伝熱プレートの加熱時に、前記加熱ヒータからの熱を通過させる複数の開口を有する遮蔽板とを有し、
各々の前記開口は、前記伝熱プレートの加熱時に、前記伝熱材の各々に対向する位置に配置されている
ことを特徴とする付記2に記載の電子部品のリペア方法。
【0086】
(付記4) 前記各開口は、各伝熱材を加熱する量に合わせた大きさに形成されていることを特徴とする付記3に記載の電子部品のリペア方法。
【0087】
(付記5) 前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に、一部が、前記伝熱プレートと前記加熱ヒータとの間となる位置に配置されることで、前記加熱ヒータから前記伝熱プレートへの熱の一部を遮蔽する遮蔽片を複数設けるとともに、
前記遮蔽片を移動可能に設置しておき、各伝熱材が所定の加熱量となるように、各々の前記遮蔽片を移動させて、前記加熱ヒータの遮蔽量を調整する
ことを特徴とする付記2に記載の電子部品のリペア方法。
【0088】
(付記6) 基板上にハンダ付けされた電子部品を除去する電子部品のリペア装置であって、
複数の伝熱材を、断熱材を介して接合することにより形成された伝熱プレートを前記除去対象の電子部品に載置する載置手段と、
前記除去対象の電子部品に載置された伝熱プレートの各伝熱材毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱する加熱手段と、
前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する除去手段と
を有する事を特徴とする電子部品のリペア装置。
【0089】
(付記7) 前記電子部品は、基板との対向面側に複数の端子を有する表面実装型の電子部品であり、該端子が、各々前記基板にハンダ付けされていることにより固定されているもので、
前記加熱手段は、各端子のハンダの融解がほぼ同じになるように、各伝熱部への加熱を行うことを特徴とする
付記6に記載の電子部品のリペア装置。
【0090】
(付記8) 前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に前記加熱ヒータと前記電子部品との間となる位置に設置され、前記伝熱プレートの加熱時に、前記加熱ヒータからの熱を通過させる複数の開口を有する遮蔽板とを有し、
各々の前記開口は、前記伝熱プレートの加熱時に、前記伝熱材の各々に対向する位置に配置されている
ことを特徴とする付記7に記載の電子部品のリペア装置。
【0091】
(付記9) 前記各開口は、各伝熱材を加熱する量に合わせた大きさに形成されていることを特徴とする付記8に記載の電子部品のリペア装置。
【0092】
(付記10) 前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に、一部が、前記伝熱プレートと前記加熱ヒータとの間となる位置に配置されることで、前記加熱ヒータから前記伝熱プレートへの熱の一部を遮蔽する遮蔽片を複数設けるとともに、
前記遮蔽片を移動可能に設置しておき、各伝熱材が所定の加熱量となるように、各々の前記遮蔽片を移動させて、前記加熱ヒータの遮蔽量を調整する
ことを特徴とする付記7に記載の電子部品のリペア装置。
【0093】
(付記11) 基板上の除去対象の電子部品に、伝熱プレートを載置し、該伝熱プレートの領域毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱し、前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する電子部品のリペア装置に使用される伝熱プレートであって、
複数の伝熱材と、
前記各伝熱材の間に設けられた断熱材と
を有する事を特徴とする伝熱プレート。
【符号の説明】
【0094】
1 リペア装置
2 台座
3 基板
4 基板載置ユニット
5 可動式カメラ
6 可動式加熱ヒータ
7 伝熱プレート
8 電子部品(リペア対象)
9 搬送部
10 コンピュータ
11 制御ユニット
12 電子部品(放熱板付)
13 加熱部
13a 放熱口
14 熱遮蔽板
14a〜d 放熱孔
101 リペア装置
102 台座
103 基板
104 基板載置ユニット
105 可動式カメラ
106 可動式加熱ヒータ
107 伝熱プレート
107a〜d 伝熱材
107e 断熱材
108 電子部品(リペア対象)
109 搬送部
110 コンピュータ
111 制御ユニット
112 遮蔽板
112A 窓
113 載置台113
114A〜D スペーサ
116 柱部
117 可動台
118 カメラユニット
119 撮像部
120 ステッピングモータ
121 柱部
122 第1腕部
123 ステッピングモータ
124 第2腕部
125 ステッピングモータ
126 ヘッド部
126a 吸着ヘッド
127 伝熱プレート載置台
128 柱部
129 移動台座
130 ステッピングモータ
131 加熱ユニット
131a 蓋部
131b、c 溝部
132 ステッピングモータ
133 加熱ヒータ
134 熱遮蔽板
134a〜d 放熱孔
135 電子部品(放熱板付)
1311 加熱ユニット
1331 加熱ヒータ
1341a〜d ステッピングモータ
1351 熱遮蔽板
1351a〜d 放熱孔群
1361a〜d 熱遮蔽片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にハンダ付けされた電子部品を除去する電子部品のリペア方法であって、
前記除去対象の電子部品に、複数の伝熱材を、断熱材を介して接合することにより形成された伝熱プレートを載置し、
該伝熱プレートの各伝熱材毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱し、
前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する
ことを特徴とする電子部品のリペア方法。
【請求項2】
前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に前記加熱ヒータと前記電子部品との間となる位置に設置され、前記伝熱プレートの加熱時に、前記加熱ヒータからの熱を通過させる複数の開口を有する遮蔽板とを有し、
各々の前記開口は、前記伝熱プレートの加熱時に、前記伝熱材の各々に対向する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品のリペア方法。
【請求項3】
前記各開口は、各伝熱材を加熱する量に合わせた大きさに形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子部品のリペア方法。
【請求項4】
前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に、一部が、前記伝熱プレートと前記加熱ヒータとの間となる位置に配置されることで、前記加熱ヒータから前記伝熱プレートへの熱の一部を遮蔽する遮蔽片を複数設けるとともに、
前記遮蔽片を移動可能に設置しておき、各伝熱材が所定の加熱量となるように、各々の前記遮蔽片を移動させて、前記加熱ヒータの遮蔽量を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品のリペア方法。
【請求項5】
基板上にハンダ付けされた電子部品を除去する電子部品のリペア装置であって、
複数の伝熱材を、断熱材を介して接合することにより形成された伝熱プレートを前記除去対象の電子部品に載置する載置手段と、
前記除去対象の電子部品に載置された伝熱プレートの各伝熱材毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱する加熱手段と、
前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する除去手段と
を有する事を特徴とする電子部品のリペア装置。
【請求項6】
前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に前記加熱ヒータと前記電子部品との間となる位置に設置され、前記伝熱プレートの加熱時に、前記加熱ヒータからの熱を通過させる複数の開口を有する遮蔽板とを有し、
各々の前記開口は、前記伝熱プレートの加熱時に、前記伝熱材の各々に対向する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項7】
前記各開口は、各伝熱材を加熱する量に合わせた大きさに形成されていることを特徴とする請求項6に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項8】
前記伝熱プレートの加熱に使用する前記加熱ユニットは、
加熱ヒータと、
前記伝熱プレートの加熱時に、一部が、前記伝熱プレートと前記加熱ヒータとの間となる位置に配置されることで、前記加熱ヒータから前記伝熱プレートへの熱の一部を遮蔽する遮蔽片を複数設けるとともに、
前記遮蔽片を移動可能に設置しておき、各伝熱材が所定の加熱量となるように、各々の前記遮蔽片を移動させて、前記加熱ヒータの遮蔽量を調整する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項9】
基板上の除去対象の電子部品に、伝熱プレートを載置し、該伝熱プレートの領域毎に異なる加熱量による加熱が可能な加熱ユニットにより、前記電子部品に載置した前記伝熱プレートを加熱し、前記加熱後に前記電子部品を前記基板から除去する電子部品のリペア装置に使用される伝熱プレートであって、
複数の伝熱材と、
前記各伝熱材の間に設けられた断熱材と
を有する事を特徴とする伝熱プレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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