説明

電子部品の冷却構造

【課題】 本発明は電子部品の冷却構造に係り、冷却ファンを用いた強制空冷に改良を加え、通信装置等の筐体内に実装した電子部品の効率的な冷却を可能とした電子部品の冷却構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 内部に電子部品を実装した通信装置等の筐体の前面に通気穴を形成し、筐体の背面側内部に、前記通気穴から筐体内に冷却風を取り込む冷却ファンを装着した電子部品の冷却構造に於て、前記筐体内に、前記通気穴から取り込まれた冷却風が流下するダクトを設け、該ダクトを流下した冷却風を、冷却対象たる電子部品に当てることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品の冷却構造に係り、詳しくは通信装置等の筐体内に実装した電子部品の効率のよい冷却を可能とした電子部品の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、通信装置は消費電力が増加する傾向にあり、筐体内に実装している電子部品を効率よく冷却する必要があるが、電子部品にあっては小型化/高消費電力化に伴い、部品自体の発熱が増える一方で、部品の小型化に起因して表面積が小さくなっている。
【0003】
このため、部品自体の小型化に伴い放熱能力は低下し、この結果、部品自体の温度が高くなる傾向にある。
【0004】
そこで、従来、筐体内部の電子部品を冷却する様々な手段が用いられており、図8以下に示すように昨今では、筐体内に冷却ファンを装着した強制空冷が広く採用されている。
【0005】
図8乃至図10に示す冷却構造は、通信装置の筐体1の前面3に複数の小穴からなる通気穴5を設け、筐体1の背面7側内部に冷却ファン9を装着して、図10に示すように冷却ファン9により取り込まれた冷却風Wが、筐体1内部を前面3側から背面7側に亘って流下するようにしたものである。尚、図10中、11は筐体1内に実装されたプリント基板、13は該プリント基板11上に実装された電子部品で、冷却ファン9に対応して背面7に排気穴15が設けられている。
【0006】
そして、図11に示す冷却構造は、図10の構造に加え、特許文献1に開示されるように電子部品13にヒートシンク17を介して冷却ファン19を直接装着したものである。
【0007】
また、図12に示す冷却構造は、筐体1の前面3側に冷却ファン9を装着して、冷却ファン9からの冷却風Wを直接電子部品13に当てるようにしたもので、冷却ファン9に対応して正面3に通気穴21が設けられ、背面7に排気穴23が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−223816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし乍ら、図8乃至図10の従来例にあっては、冷却ファン9により取り込まれた冷却風Wの風速は筐体1の断面積に依存して通気穴5を通って直ぐに下がってしまい、風速の規定を満足することが難しい課題があった。
【0010】
また、図11の従来例は、電子部品13に必要な風速の規定を満足させることができるものの、個々の電子部品毎に冷却ファン19を必要とするため、コストが高くなってしまう欠点がある。
【0011】
そして、図12の従来例は、冷却ファン9の風向きにより筐体1内の他の電子部品の冷却には不十分な場合があり、また、場所により風速がバラツクため、風向きにより冷却できない場所が発生して、筐体1の内部全体を効率的に冷却することができない欠点があった。
【0012】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、冷却ファンを用いた強制空冷に改良を加え、通信装置等の筐体内に実装した電子部品の効率的な冷却を可能とした電子部品の冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、内部に電子部品を実装した通信装置等の筐体の前面に通気穴を形成し、筐体の背面側内部に、前記通気穴から筐体内に冷却風を取り込む冷却ファンを装着した電子部品の冷却構造に於て、前記筐体内に、前記通気穴から取り込まれた冷却風が流下するダクトを設け、該ダクトを流下した冷却風を、冷却対象たる電子部品に当てることを特徴とする。
【0014】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子部品の冷却構造に於て、前記通気穴を、筐体の前面部品を避けた位置に形成し、前記ダクトを、冷却対象たる電子部品まで延設したことを特徴とし、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の電子部品の冷却構造に於て、前記ダクトの一部に、前記電子部品が実装されたプリント基板を用いたことを特徴とする。
【0015】
更に、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子部品の冷却構造に於て、前記ダクトの下流側吐出端を狭めたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、内部に電子部品を実装した通信装置等の筐体の前面に通気穴を形成し、筐体の背面側内部に、前記通気穴から筐体内に冷却風を取り込む冷却ファンを装着した電子部品の冷却構造に於て、前記通気穴を筐体の前面の上部に形成し、下流側端部が閉塞され、前記通気穴から取り込まれた冷却風が流下するダクトを筐体の蓋体に沿って設けると共に、該ダクトから延長ダクトを、冷却対象たる電子部品方向へ延設したことを特徴とする。
【0017】
そして、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の電子部品の冷却構造に於て、前記延長ダクトの下流側吐出端を狭めたことを特徴とし、請求項7に係る発明は、請求項5または請求項6に記載の電子部品の冷却構造に於て、前記ダクトに、冷却風吐出穴を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
各請求項に係る発明によれば、冷却ファンを駆動すると通気穴から冷却風がダクト内に取り込まれて下流側に流下するが、ダクトを設けたことで、筐体内での冷却風の通風路(流下路)が狭まるため、ダクト内を流下する冷却風の風速が上がる。そして、斯様に風速の上がった冷却風が、その風速を維持した状態でダクトの下流側吐出端から筐体内に吐出して冷却対象たる電子部品に当たって該電子部品を冷却するため、従来に比し電子部品の効率的な冷却が可能となった。
【0019】
そして、冷却風の風速は風量とダクトの断面により決まるため、ダクトの適切な断面を設定することで、冷却対象たる電子部品の風速規定を満足することができる。
【0020】
また、請求項2に係る発明によれば、筐体の前面に設けられた前面部材を避けた位置にダクトを設けることで、請求項1に係る発明と同様、電子部品の効率的な冷却が可能となった。
【0021】
更に、請求項3に係る発明によれば、ダクトの一部に電子部品が実装されたプリント基板を用いることで、ダクト内のプリント基板上に実装された電子部品を冷却風で冷却することができ、請求項4及び請求項6に係る発明によれば、ダクトや延長ダクトの下流側吐出端から筐体内に吐出する冷却風の風速を更に高めて、電子部品の良好な冷却が可能となる。
【0022】
そして、請求項5に係る発明によれば、請求項1に係る発明と同様、電子部品の効率的な冷却が可能になると共に、ダクトを蓋体に沿って筐体の上部に設けたため、ダクト内を流下する冷却風が、発熱体たる電子部品からの熱の影響を受けることがない利点を有する。
【0023】
更に、請求項7に係る発明によれば、実装された電子部品に応じてダクトに冷却風吐出穴を設けることで、ダクトを流下する冷却風の一部を電子部品方向に吐出させることができるため、電子部品の良好な冷却が図れる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る電子部品の冷却構造を備えた通信装置の前面側斜視図である。
【図2】通信装置の背面側斜視図である。
【図3】通信装置の筐体の断面図である。
【図4】請求項1乃至請求項4の第一実施形態に係る電子部品の冷却構造を備えた通信装置の筐体の断面図である。
【図5】請求項1乃至請求項4の第二実施形態に係る電子部品の冷却構造を備えた通信装置の前面側斜視図である。
【図6】通信装置の筐体の断面図である。
【図7】請求項5及び請求項7の一実施形態に係る電子部品の冷却構造を備えた通信装置の筐体の断面図である。
【図8】通信装置の筐体の前面側斜視図である。
【図9】筐体の背面側斜視図である。
【図10】従来の電子部品の冷却構造を示す筐体の断面図である。
【図11】従来の他の電子部品の冷却構造を示す筐体の断面図である。
【図12】従来の更に他の電子部品の冷却構造を示す筐体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、図8以下の従来例と同一のものには同一符号を以って表示する。
【0026】
図1乃至図3は請求項1乃至請求項3の一実施形態に係る電子部品の冷却構造を示し、図中、31は通信装置の筐体で、図3に示すように筐体31内のプリント基板12に電子部品13が実装されている。そして、図1に示すように筐体31の前面33の下部の左側にコネクタ35等の前面部品が装着され、斯かるコネクタ35等を避けて前面33の下部の右側に複数の小穴からなる通気穴37が横方向に設けられている。
【0027】
一方、図2及び図3に示すように筐体31内の背面39側には冷却ファン9が装着され、該冷却ファン9に対応して排気穴15が背面39に設けられている。
【0028】
そして、本実施形態は、前記構成に加え、通気穴37から取り込まれた冷却風Wが流下するダクト41を設けて、該ダクト41を流下した冷却風Wを冷却対象たる電子部品13に当てることを特徴とする。
【0029】
図1及び図3に示すようにダクト41は、底面をプリント基板12、側面を筐体31の左右の壁面43、45、そして、上面を一枚の板金等の平板47を用いて構成されており、前記通気穴37は総てダクト41内に開口している。
【0030】
そして、プリント基板12と平板47は、筐体31の左右の壁面43、45に達する長さ寸法に形成され、平板47は、その一端側に設けた断面L字状の取付フランジ49が筐体31の前面37の内側に固着されて、プリント基板12と平行に配置されている。そして、図3に示すように平板47は、冷却対象たる前記電子部品13の近傍までの長さ寸法とされて、ダクト41が前面33から該電子部品13近傍まで延設された構造となっている。
【0031】
本実施形態はこのように構成されているから、冷却ファン9を駆動すると、通気穴37から冷却風Wが取り込まれるが、通気穴37は総てダクト41内に開口しているため、冷却風Wはダクト41内に取り込まれて下流側に流下する。
【0032】
そして、ダクト41を設けたことで、図8以下の従来例に比し筐体31内での冷却風Wの通風路(流下路)が狭まるため、ダクト41内を流下する冷却風Wの風速が上がり、風速の上がった冷却風Wがその風速を維持した状態でダクト41の下流側吐出端51から筐体31内に吐出して、冷却対象たる電子部品13に当たって該電子部品13を冷却する。
【0033】
而して、冷却風Wの風速は、風量とダクト41の断面により決まるため、ダクト41の適切な断面を設定することで、冷却対象たる電子部品の風速規定を満足することができる。
【0034】
また、本実施形態は、ダクト41の底面をプリント基板12で形成しているため、前記電子部品13よりも冷却風Wの上流側のプリント基板12上に実装されている電子部品(図示せず)も、ダクト41内を流下する風速の上がった冷却風Wによって冷却されることとなる。
【0035】
そして、冷却風Wは、風速の上がった状態のままダクト41の下流側吐出端51から筐体31内に吐出するため、筐体31内全体に冷却風Wが広がって、プリント基板12上に実装されたその他の電子部品全体も併せて冷却されることとなる。
【0036】
このように本実施形態によれば、従来に比し冷却対象たる電子部品13の効率的な冷却が可能となった。
【0037】
而も、既述したように本実施形態は、ダクト41の底面をプリント基板12で形成しているため、電子部品13よりも冷却風Wの上流側のプリント基板12上に実装されている電子部品も、ダクト41内を流下する風速の上がった冷却風Wによって冷却することができると共に、冷却風Wは、風速の上がった状態のままダクト41の下流側吐出端51から筐体31内に吐出するため、筐体31内全体に冷却風Wが広がって、プリント基板12上のその他の電子部品全体も併せて冷却することができる利点を有する。
【0038】
図4は請求項1乃至請求項4の第一実施形態に係る電子部品の冷却構造を示し、図示するように本実施形態は、前記平板47を筐体31の後方へ斜め下方に配置して、ダクト41-1の下流側吐出端51-1側を順次狭めたことを特徴とする。
【0039】
尚、その他の構成は前記実施形態と同様であるので、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
【0040】
本実施形態はこのように構成されており、斯様にダクト41-1の下流側吐出端51-1側を順次狭めることで、ダクト41-1内を流下する冷却風Wの風速を更に増すことができるため、更に電子部品13の効率のよい冷却が可能となると共に、筐体31内全体に冷却風Wが速やかに広がって、その他の電子部品全体も併せて効率よく冷却することができる利点を有する。
【0041】
図5及び図6は請求項1乃至請求項4の第二実施形態に係る電子部品の冷却構造を示し、図中、53は通信装置の筐体で、図6に示すように筐体53内のプリント基板12に電子部品13が実装されている。
【0042】
そして、図5に示すように筐体53の前面55の下部に複数のコネクタ57,59等の前面部品が横方向に装着され、斯かるコネクタ57,59等を避けて前面55の上部に複数の小穴からなる通気穴61が横方向に設けられている。そして、図1の実施形態と同様、筐体53内の背面63側に冷却ファン9が装着され、該冷却ファン9に対応して排気穴15が背面63に設けられている。
【0043】
而して、本実施形態も、前記構成に加え、通気穴61から取り込まれた冷却風Wが流下するダクト65を筐体53内に設けて、該ダクト65を流下した冷却風Wを電子部品13に当てることを特徴とする。
【0044】
図5及び図6に示すようにダクト65は、底面を断面く字状に折曲した一枚の板金等の平板67とプリント基板12、側面を筐体53の左右の壁面69、71、上面を筐体53の蓋体73と断面く字状に折曲した一枚の板金等の平板75を用いて、全体形状が蓋体73側から斜め後方へ傾斜した断面く字状に構成されており、前記通気穴61は総てダクト65内に開口している。
【0045】
そして、プリント基板12と平板67、75は、筐体53の左右の壁面69、71に達する長さ寸法に形成され、また、平板67、75は、夫々の一端側に形成された取付フランジ77,79が筐体53の前面55と蓋体73とに固着されて、平板67は蓋体73及び他方の平板75と平行に配置されている。そして、図6に示すように平板75の他端側は、冷却対象たる電子部品13の近傍までの長さ寸法とされて、ダクト65が前面55から該電子部品13近傍まで延設された構造となっている。
【0046】
更に、前記平板75とプリント基板12とで形成されるダクト65の下流側吐出端81は、ダクト65の他の部位に比し上下方向に狭められた構造となっている。
【0047】
本実施形態はこのように構成されているから、冷却ファン9を駆動すると、通気穴61から冷却風Wが取り込まれるが、通気穴61は総てダクト65内に開口しているため、冷却風Wはダクト65内に取り込まれて下流側に流下する。
【0048】
そして、ダクト65を設けたことで、図8以下の従来例に比し筐体53内での冷却風Wの通風路(流下路)が狭まるため、ダクト65内を流下する冷却風Wの風速が上がり、更に、上下方向に狭められたダクト65の下流側吐出端81で更に風速の上がった冷却風Wが、風速の上がった状態のまま筐体53内に吐出して、冷却対象たる電子部品13に当たって電子部品13を冷却する。
【0049】
而して、既述したように冷却風Wの風速は、風量とダクト65の断面により決まるため、ダクト65の適切な断面を設定することで、冷却対象たる電子部品の風速規定を満足することができる。
【0050】
また、本実施形態も、ダクト65の底面の一部にプリント基板12を利用しているため、前記電子部品13よりも冷却風Wの上流側のダクト65内のプリント基板12上に実装されている電子部品(図示せず)も、ダクト65内を流下する風速の上がった冷却風Wによって冷却されることとなる。
【0051】
そして、冷却風Wは、下流側吐出端81から更に風速を高めて筐体53内に吐出するため、筐体53内全体に冷却風Wが速やかに広がって、プリント基板12上に実装されたその他の電子部品全体も併せて冷却されることとなる。
【0052】
従って、本実施形態によっても、前記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能で、従来に比し冷却対象たる電子部品13の効率的な冷却が可能となる。
【0053】
また、ダクト65の底面の一部にプリント基板12を利用しているため、電子部品13よりも冷却風Wの上流側のダクト65内のプリント基板12上に実装されている電子部品も、ダクト65内を流下する風速の上がった冷却風Wによって冷却することができると共に、冷却風Wは、風速が増した状態のままダクト65の下流側吐出端81から筐体53内に吐出するため、筐体53内全体に冷却風Wが速やかに広がって、プリント基板12上のその他の電子部品全体も併せて効率よく冷却することができる利点を有する。
【0054】
図7は請求項5及び請求項7の一実施形態に係る電子部品の冷却構造を示し、図中、83は通信装置の筐体で、筐体83内のプリント基板11に電子部品13が実装されている。 尚、本実施形態に用いたプリント基板11は、図8以下の従来例で使用されるプリント基板11と同一で、筐体83の左右の壁面85に達する長さ寸法とする必要はない。
【0055】
そして、筐体83の前面87の上部に複数の小穴からなる通気穴89が横方向に形成されると共に、筐体83内の背面91側に冷却ファン9が装着され、該冷却ファン9に対応して排気穴15が背面91に設けられている。
【0056】
而して、本実施形態は、前記構成に加え、下流側端部が閉塞され、前記通気穴89から取り込まれた冷却風Wが流下するダクト93を筐体83の蓋体95に沿って設けると共に、該ダクト93から延長ダクト97を冷却対象たる電子部品13方向へ延設して該電子部品13の冷却を図り、併せてダクト91に冷却風吐出穴99を設けて、プリント基板11に実装された他の電子部品101等の冷却を図ったものである。
【0057】
即ち、図中、103は一枚の板金等の平板で、その一端側(筐体83の前面87側)に形成された断面L字状の取付フランジ105を介して平板103の一端側が前面87の内側に固着され、他端側は断面クランク状に形成されて、筐体83の背面91側上部に形成された固定フランジ107に固着されており、平板103は蓋体93と平行に配置されている。
【0058】
そして、筐体83の上部に蓋体95を取り付けると、該蓋体95と前記平板103とで下流側端部が閉塞されたダクト93が蓋体95に沿って形成され、前記通気穴89がダクト93内に開口するようになっている。
【0059】
また、前記平板103には、プリント基板11に実装された電子部品13に向かって筒状のパイプからなる延長ダクト97が取り付けられており、ダクト93内に取り込まれた冷却風Wが、前記延長ダクト97を介して電子部品13に直接当たるようになっている。
【0060】
更に、図示するようにプリント基板11には、前面87側に他の電子部品101が実装されているが、該電子部品101の上方の平板103に小穴の冷却風吐出穴99が設けられており、ダクト93内に取り込まれた冷却風Wの一部が前記冷却風吐出穴99から電子部品101方向へ吐出して、該電子部品101の冷却を図るようになっている。
【0061】
尚、本実施形態では、電子部品13,101に対応してダクト93(平板103)に1個の延長ダクト97と冷却風吐出穴99を設けたが、延長ダクトと冷却風吐出穴はプリント基板11上に実装さけれた電子部品に応じて適宜設ければよい。また、延長ダクト97の通風路と冷却風吐出穴99の径は、夫々、ダクト93よりも狭く設定されている。
【0062】
本実施形態はこのように構成されているから、冷却ファン9を駆動すると、通気穴89から冷却風Wが取り込まれるが、通気穴89は総てダクト93内に開口しているため、冷却風Wはダクト93内に取り込まれて下流側に流下する。
【0063】
そして、ダクト93を設けたことで、図8以下の従来例に比し筐体83内での冷却風Wの通風路(流下路)が狭まるため、ダクト93内を流下する冷却風Wの風速が上がり、更に、通風路が狭まい延長ダクト97や冷却風吐出穴99を通過して更に風速の上がった冷却風Wが、風速の上がった状態のまま筐体83内に吐出して冷却対象たる電子部品13、101に当たり、これらを冷却する。
【0064】
而して、冷却風Wの風速は、風量とダクト93の断面により決まるため、ダクト93の適切な断面を設定することで、冷却対象たる電子部品の風速規定を満足することができる。
【0065】
また、蓋体95に沿ってダクト93を筐体83の上方に設けたため、冷却風Wは、プリント基板11に実装された発熱体たる電子部品13、101等からの熱の影響を受けることなくダクト93内を流下する。
【0066】
そして、冷却風Wは、通風路が狭まい延長ダクト97や冷却風吐出穴99を通過して更に風速の上がった状態のまま電子部品13、101等を冷却し乍ら筐体83内に吐出するため、筐体83内全体に冷却風Wが速やかに広がって、プリント基板11上に実装されたその他の電子部品全体も併せて速やかに冷却されることとなる。
【0067】
従って、本実施形態によっても、前記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能で、従来に比し冷却対象たる電子部品13の効率的な冷却が可能となった。
【0068】
而も、本実施形態では、ダクト93を蓋体95に沿って筐体83の上部に設けたため、ダクト93内を流下する冷却風Wが発熱体たる電子部品13、101等からの熱の影響を受けることがなく、この結果、風速の増した冷却風Wで効率よく電子部品13,101等を冷却することができる。
【0069】
更に本実施形態は、冷却風Wが通風路が狭まい延長ダクト97や冷却風吐出穴99を通過して更に風速の上がった状態のまま電子部品13、101等を冷却し乍ら筐体83内に吐出するため、筐体83内全体に冷却風Wが速やかに広がって、電子部品13,101以外の電子部品等も併せて効率よく冷却することができる利点を有する。
【0070】
また、図示しないが請求項6の一実施形態の如く、前記延長ダクト97の下流側吐出端を狭めることで、筐体83内に吐出する冷却風Wの風速を更に上げることが可能となって、更に良好な筐体83内全体の電子部品の冷却が図れる利点を有する。
【0071】
尚、既述した各実施形態は、本発明を通信装置に適用したが、その他の装置に於ける筐体内の電子部品の冷却にも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
9 冷却ファン
11,12 プリント基板
13、101 電子部品
15 排気穴
31、53、83 筐体
33、55、87 前面
35、57、59 コネクタ
37、61、89 通気穴
39、63、91 背面
41、41-1、65、93 ダクト
47、67、75、103 平板
51、51-1、81 下流側吐出端
73、95 蓋体
97 延長ダクト
99 冷却風吐出穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電子部品を実装した通信装置等の筐体の前面に通気穴を形成し、筐体の背面側内部に、前記通気穴から筐体内に冷却風を取り込む冷却ファンを装着した電子部品の冷却構造に於て、
前記筐体内に、前記通気穴から取り込まれた冷却風が流下するダクトを設け、該ダクトを流下した冷却風を、冷却対象たる電子部品に当てることを特徴とする電子部品の冷却構造。
【請求項2】
前記通気穴を、筐体の前面部品を避けた位置に形成し、前記ダクトを、冷却対象たる電子部品まで延設したことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の冷却構造。
【請求項3】
前記ダクトの一部に、前記電子部品が実装されたプリント基板を用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品の冷却構造。
【請求項4】
前記ダクトの下流側吐出端を狭めたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子部品の冷却構造。
【請求項5】
内部に電子部品を実装した通信装置等の筐体の前面に通気穴を形成し、筐体の背面側内部に、前記通気穴から筐体内に冷却風を取り込む冷却ファンを装着した電子部品の冷却構造に於て、
前記通気穴を筐体の前面の上部に形成し、下流側端部が閉塞され、前記通気穴から取り込まれた冷却風が流下するダクトを筐体の蓋体に沿って設けると共に、該ダクトから延長ダクトを、冷却対象たる電子部品方向へ延設したことを特徴とする電子部品の冷却構造。
【請求項6】
前記延長ダクトの下流側吐出端を狭めたことを特徴とする請求項5に記載の電子部品の冷却構造。
【請求項7】
前記ダクトに、冷却風吐出穴を設けたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電子部品の冷却構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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