説明

電子部品の基板取付構造

【課題】外形に丸みを有する電子部品を、基板に所定の姿勢で取り付けできるとともに、リードの出代を所定値に保持できる電子部品の基板取付構造を提供する。
【解決手段】電子部品11のリード12を、基板30のリード孔31に挿入することにより、電子部品11を基板30に取付ける。リード12は、電子部品本体13から延出される基部16と、基部16から折り曲げられ、基板30の電子部品取付面30Aに所定の長さをもって当接し、電子部品本体13を支持する支持部17と、支持部17から折り曲げられ、基板30におけるリード孔31に挿入される挿入部18と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の基板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図8に示すように、背の高い電子部品100を基板110に実装する際に、電子部品本体101をその長手方向が基板110と平行になるように配置し、電子部品本体101から側方に延出するリード102を折り曲げて、基板110のリード孔111に挿入することにより、全体の高さが低くなるようにした基板取付構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−163493号公報(請求項1、2頁右欄、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特開平11−163493号公報の電子部品の基板取付構造においては、図9に示すように、電解コンデンサやフィルムコンデンサ等のように、外形に丸みを有する電子部品100を、基板110に丸み部分を対向させて取付ける場合、電子部品本体101の外形における丸み部分が基板110に当接し、電子部品本体101が傾いた姿勢になる等、所定の姿勢を保持できない虞があった。
【0005】
また、図10(A)および図10(B)に示すように、電子部品本体101の仕上がり寸法が変化する等の理由により、電子部品本体101の幅方向の厚みが異なる場合がある。この場合、図10(B)に示すように、リード102における基板110の裏側に突出する出代の寸法Lが過大となる虞があった。
【0006】
リード102の出代が過大となった場合には、リード102の出代がはんだ槽のノズルに引っかかったり、電子部品100を収容するケース(図示せず)との絶縁距離が不足する等の問題が発生する虞があった。
【0007】
本発明は、電子部品の丸み部分を基板に対向させて取り付ける場合であっても、電子部品本体を所定の姿勢に支持できるとともに、リードの出代が過大になるのを抑制できる電子部品の基板取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子部品のリードを、基板のリード孔に挿入することにより、前記電子部品を前記基板に取付ける電子部品の基板取付構造であって、前記リードは、前記電子部品本体から延出される基部と、前記基部から折り曲げられ、前記基板の電子部品取付面に所定の長さをもって当接し、前記電子部品本体を支持する支持部と、前記支持部から折り曲げられ、前記基板におけるリード孔に挿入される挿入部と、を有する。
【0009】
本発明は、前記電子部品本体には、2本以上のリードが設けられている。
【0010】
本発明は、前記リードの折り曲げ回数は、3〜6回である。
【0011】
本発明は、前記リードにおける前記挿入部の先端に、前記基板における前記電子部品取付面の反対面から突出する出代が設けられ、前記出代は、前記リードにおける前記基部の反対側に向かって折り曲げられている。
【0012】
本発明は、前記リードにおける前記挿入部の長さは、前記基板の板厚に応じて設定されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品の丸み部分を基板に対抗させて取り付ける場合でも、リードにおける支持部によって、電子部品本体を基板に対して所定の姿勢をもって支持できる。また、リードの出代が過大になるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施形態の電子部品の基板取付構造を示す一部断面正面図
【図2】(A)、(B)は実施形態の別のリードを示す斜視図
【図3】実施形態の変形例を示す一部断面正面図
【図4】実施形態の別の変形例を示す一部断面正面図
【図5】4回折り曲げることにより支持部等を設けた2本のリードを示す斜視図
【図6】5回折り曲げることにより支持部等を設けた2本のリードを示す斜視図
【図7】6回折り曲げることにより支持部等を設けた2本のリードを示す斜視図
【図8】従来例に係る電子部品の基板取付構造を示す一部断面正面図
【図9】従来例に係る電子部品が所定の姿勢から傾いた状態を示す一部断面正面図
【図10】(A)は、従来例に係る電子部品が正規の仕上がり寸法である場合の取付状態を示す図、(B)は従来例に係る電子部品が過小な仕上がり寸法である場合の取付状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態の電子部品の基板取付構造について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電子部品の基板取付構造10を示す。この電子部品の基板取付構造10は、電子部品11のリード12を、基板30のリード孔31に挿入してはんだ付けすることにより、電子部品11を基板30に取付けるように構成されている。
【0016】
電子部品11の電子部品本体13は、例えば電解コンデンサやフィルムコンデンサ等のように、外形に丸みを有しているものを例示できるが、外形に丸みがないものであってもよい。本実施形態では、電子部品本体13は、長円形に形成され、その長手方向が基板30に対して平行になるように取り付けられている。これにより、電子部品本体13の丸み部分が、基板30に対向して配置されている。
【0017】
電子部品11のリード12には、リードフォーミングが施されている。この例では、リード12は、略90度の角度で3回折り曲げられている。これにより、リード12は、電子部品本体13における長手方向の一端から長手方向に延出される基部16と、基部16の先端から略90度の角度で2回折り曲げられ、その先端側の直線部分が、基板30の電子部品取付面30Aに所定の長さWをもって当接することにより、電子部品本体13を支持する支持部17と、支持部17の先端から略90度の角度で1回折り曲げられ、基板30のリード孔31に挿入されてはんだ付けされる挿入部18と、を有している。
【0018】
この例では、挿入部18の先端側に、基板30の裏側に突出する出代19が設けられている。この例では、挿入部18と出代19とは、ほぼ直線状に形成されている。
【0019】
この電子部品の基板取付構造10によれば、リード12の支持部17が、所定の長さWをもって基板30の電子部品取付面30Aに当接するので、電子部品本体13を基板30から所定の間隔に、かつ所定の姿勢、本実施形態では、長手方向を基板30と平行にした状態で支持できる。このため、例えば、電子部品本体13の背が高い場合でも、全体の高さを低くできる。
【0020】
また、支持部17と挿入部18とは、互いに90度に折り曲げられているので、電子部品本体13が所定の姿勢から傾いたとしても、支持部17が基板30のリード孔31に挿入されることがない。従って、電子部品本体13の仕上がり寸法が変化する等の理由によって、電子部品本体13の長手方向と直交する方向の幅が変わったとしても、リード12の出代19が過大になるのを抑制できる。
【0021】
本発明は、図2(A)および図2(B)に示すように、電子部品本体21、23から、例えば2本のリード12が延出する電子部品20、22にも適用できる。この場合には、電子部品20、22をより安定よく支持できる。
【0022】
(変形例1)
図3は、実施形態に係る電子部品の基板取付構造の変形例を示す。
なお、図1と同一の部分には、同一の符号を付けてその説明を省略する。この電子部品の基板取付構造40においては、リード12における挿入部18の先端から略45度に折り曲げられ、電子部品本体13の反対面から突出し、電子部品本体13の反対側に向かって延出する出代41が設けられている。挿入部18の長さは、基板30の厚さTに応じて設定されている。この例では、挿入部18の長さは、基板30の厚さTとほぼ同一に設定されている。
【0023】
この電子部品の基板取付構造40によれば、電子部品本体13に、基板30から離間する方向の力が作用したときに、リード12の出代19が基板30に引っかかるため、リード12がリード孔31から抜け出るのを抑制できる。
【0024】
また、挿入部18の長さが、基板30の厚さTに応じて、この例では厚さTと略同一に設定されているので、電子部品11を基板30に安定よく取り付けできる。
【0025】
なお、図4に示すように、電子部品本体13を基板30の電子部品取付面30Aから離間させた状態で、電子部品11を基板30に取り付けできる。また、電子部品本体13を電子部品取付面30Aに当接させた状態で取り付けることもできる。
【0026】
また、図5〜図7に示すように、電子部品25のリード12を、4〜6回折り曲げることにより、基部16、支持部17、挿入部18、および出代19を設けることができる。これにより、加工工数をそれ程増やすことなく、電子部品25の取付状態等に好適なリード12を形成できる。
なお、リード12を、7回以上折り曲げることにより、基部16〜出代19を設けてもよい。
【符号の説明】
【0027】
10 基板取付構造
11 電子部品
12 リード
13 電子部品本体
16 基部
17 支持部
18 挿入部
19 出代
20 電子部品
21 電子部品本体
25 電子部品
30 基板
30A 電子部品取付面
31 リード孔
40 電子部品の基板取付構造
41 出代
100 電子部品
101 電子部品本体
102 リード
110 基板
111 リード孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品のリードを、基板のリード孔に挿入することにより、前記電子部品を前記基板に取付ける電子部品の基板取付構造であって、
前記リードは、前記電子部品本体から延出される基部と、前記基部から折り曲げられ、前記基板における電子部品取付面に所定の長さをもって当接することにより、前記電子部品を支持する支持部と、前記支持部から折り曲げられ、前記基板におけるリード孔に挿入される挿入部と、を有する電子部品の基板取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品の基板取付構造において、
前記電子部品本体には、2本以上のリードが設けられている電子部品の基板取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品の基板取付構造において、
前記リードの折り曲げ回数は、3〜6回である電子部品の基板取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電子部品の基板取付構造において、
前記リードにおける前記挿入部に、前記基板における前記電子部品取付面の反対側の面に突出する出代が設けられ、前記出代は、前記リードにおける前記基部の反対側に向かって折り曲げられている電子部品の基板取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電子部品の基板取付構造において、
前記リードにおける前記挿入部の長さは、前記基板の板厚に応じて設定されている電子部品の基板取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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