説明

電子部品搬送用トレー

【課題】端子の回転および感電を防止した電子部品搬送用トレーを提供する。
【解決手段】複数の引出端子を有する電子部品の本体を横置きにして収納する本体収納部と、電子部品本体から引出され、L字加工された端子を収納する端子収納部とを備え、かつ、端子の回転を防止する突起を有することを特徴とし、
上記突起の形状は、四角柱、三角柱、または円柱等の柱状であり、
さらに、端子収納部の側面に端子間を導通状態とする導電シートを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の引出端子を有する電子部品の搬送に用いられる電子部品搬送用トレーに関し、特に、搬送時の電子部品の端子の回転、および部品取り出し時の感電を防止した電子部品搬送用トレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の引出端子を有する電子部品の搬送用トレーは、図9に示すような製品形状に合わせた形状を有しており、端子の変形や部品同士の接触による損傷を防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、電解コンデンサ等の電子部品は一度放電しても、残留電荷が蓄積されて再起電圧を生じることがある。このため、電子部品搬送用トレー等の収納ケースから作業者が製品を取り出す時に端子間を触れた際、残留電荷が放電され感電したり、また、他の部品を破損させる原因になる。特に、人が感電することは、安全面で重大な問題を生じることがある。
よって、一般に複数の引出端子を有する電子部品の搬送用トレーには、蓄積電荷の放電対策として、導電層を設けて端子間を放電させている(例えば、特許文献2、3参照)。
さらに、他の電子部品搬送用トレーは、図10に示すように、第1および第2のトレーを用い、部品本体を載置する挿入ポケットと、リード線を支持する第1および第2の支持部と、リード挿入部とを備えたものがあり、部品を取り出す際は、図11に示すように、上下逆さにして、第1のトレーを外して行っていた(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平11−263387号公報
【特許文献2】特開平7−240352号公報
【特許文献3】特開2003−20095号公報
【特許文献4】特開2005−138873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1、3の方法では、L字状等の複雑な端子形状を有する電子部品では、収容ができないという問題がある。
また、上記特許文献2の方法では、引出端子の形状と包装形態によっては、放電対策を講じることが難しく、さらに、複数の引出端子を有する電子部品では、搬送中の振動や衝撃で、電子部品に回転等の移動が生じ、端子と電子部品搬送用トレーとの接触、または、電子部品同士の接触により、端子曲がりが発生する問題がある。
さらに、上記特許文献4の方法では、2つのトレーを使用し、かつリード挿入部の高さが必要となるため、電子部品搬送用トレー全体の高さが増加する問題がある。
上記のような問題があったため、L字状等の複雑な端子形状を有する電子部品においても収納可能で、高さが低く、搬送中の振動や衝撃による電子部品の回転等の移動を抑制するための構造を有し、かつ、放電対策を講じた電子部品搬送用トレーが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するもので、複数の引出端子を有する電子部品の本体を横置きにして収納する本体収納部と、電子部品本体から引出され、L字加工された端子を収納する端子収納部とを備え、かつ、端子の回転を防止する突起を有することを特徴とする電子部品搬送用トレーである。
【0006】
また、上記突起の形状が、四角柱、三角柱、または円柱等の柱状であることを特徴とする電子部品搬送用トレーである。
【0007】
さらに、上記端子収納部の側面に、端子間を導通状態とする導電シートを備えたことを特徴とする電子部品搬送用トレーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子部品搬送用トレーは、複数の引出端子を有する電子部品において、L字状等複雑に加工された引出端子を横向きにして収納する端子収納部を備え、かつ、電子部品搬送用トレーの端子収納部に端子回転防止の突起を設けることで、搬送時の振動や衝撃による製品の回転移動が阻止され、常に端子を同一方向に維持できる。よって、電子部品搬送用トレー梱包時、作業者が、製品の回転による端子の上向きを修正する必要がなくなるため、作業効率が向上する。
さらに、端子が接する面に導電性材料を塗布してなる導電部を構成し、該導電部に端子間を接触させ、短絡させておくことにより、感電を防止することができ、かつ搬送時に製品に加わる振動や衝撃を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づき、詳細に説明する。
[実施例1]
図1は、実施例の電子部品搬送用トレーに電子部品である電解コンデンサを収納した状態の平面図、図2は図1のA−A′線による断面図を示し、図3は、図1のB−B′線による断面図である。
図1および図3のように、複数の引出端子を有する電子部品の本体を横置きに収納する本体収納部と、本体から引出し、L字に加工された端子を収納する端子収納部と端子間に回転を防止するための四角柱の形状を呈した突起と、上記引出端子が接するトレー側面部に端子間を導通状態にし、放電させるための導電シートを設けた電子部品搬送用トレーに、L字状の引出端子を有する電子部品を30個収納した。
【0010】
[実施例2]
図4に示すように、突起の形状を三角柱としたこと以外は実施例1と同様の方法とした。
【0011】
[実施例3]
図5に示すように、突起の形状を円柱としたこと以外は実施例1と同様の方法とした。
【0012】
(従来例)
突起を設けないこと以外は、実施例1と同様の方法とした。
【0013】
上記実施例1〜3、従来例の電子部品搬送用トレーについて、製品搬送後の端子回転発生率と端子曲がり発生率を調査した。その結果を表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】
表1から明らかなように、実施例1〜3は、突起がそれぞれ違う形状であっても、従来例と比較して、搬送後の端子回転発生率、端子曲がり発生率とも皆無であり、改善効果が見られた。
また、端子が接する面に導電シートを配置することで、端子間を短絡させて残留電荷を放電させることができるため、再起電圧の消失を図ることもできる。
【0016】
また、実施例では、突起の形状を四角柱、三角柱、円柱としたが、その他多角柱であっても同様の効果が得られる。
【0017】
さらに、実施例で四角柱とした突起は、図8に示すように、斜めにすることで電子部品の出し入れがより容易になり、また本願と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例による電子部品搬送用トレーに電子部品である電解コンデンサを収納した状態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A′線による断面図である。
【図3】図1のB−B′線による断面図である。
【図4】実施例2の要部断面図である。
【図5】実施例3の要部断面図である。
【図6】図1のC−C′線による断面図である。
【図7】実施例の電子部品搬送用トレーを示す平面図である。
【図8】他の実施例の要部断面図である。
【図9】従来の電子部品搬送用トレーに電子部品である電解コンデンサを収納した状態を示す平面図である。
【図10】他の従来例の電子部品搬送用トレーに電子部品である電解コンデンサを収納した状態を示す断面図である。
【図11】図10の電子部品搬送用トレーを上下逆さにした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 電子部品
2 端子
3 電子部品搬送用トレー
4 突起部
4a 突起部(四角形)
4b 突起部(三角形)
4c 突起部(円形)
5 導電シート
6 本体収納部
7 トップテープ
8 第1のトレー
9 第2のトレー
10 第1の支持部
11 第2の支持部
12 挿入ポケット
13 リード挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の引出端子を有する電子部品の本体を横置きにして収納する本体収納部と、電子部品本体から引出され、L字加工された端子を収納する端子収納部とを備え、かつ、端子の回転を防止する突起を有することを特徴とする電子部品搬送用トレー。
【請求項2】
請求項1記載の突起の形状が、四角柱、三角柱、または円柱等の柱状であることを特徴とする電子部品搬送用トレー。
【請求項3】
請求項1記載の端子収納部の側面に端子間を導通状態とする導電シートを備えたことを特徴とする電子部品搬送用トレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−119025(P2007−119025A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316004(P2005−316004)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】