電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法
【課題】設計および製造期間を短縮でき、中継基板などの表面上に接着剤の濡れ拡がりを抑え且つ水平姿勢で確実に実装できる電子部品検査装置用配線基板と、これを得るための製造方法とを提供する。
【解決手段】セラミックsからなり、平面視が矩形の表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の表面3における中心側3aに形成され且つプローブ19が実装される複数のプローブ用パッド6と、基板本体2の表面3における周辺側3bで且つ複数のプローブ用パッド6の外側に形成された複数の外部接続端子7と、プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続し、且つ少なくとも基板本体2の表面3に形成された複数の表面配線8と、を含み、中継基板20に実装される電子部品検査装置用配線基板1aであって、基板本体2の裏面4における四辺に沿った段部9を有し、該段部9は、中継基板20に本配線基板1aを実装するための接着剤29を溜める樹脂溜まり部である、電子部品検査装置用配線基板1a。
【解決手段】セラミックsからなり、平面視が矩形の表面3および裏面4を有する基板本体2と、該基板本体2の表面3における中心側3aに形成され且つプローブ19が実装される複数のプローブ用パッド6と、基板本体2の表面3における周辺側3bで且つ複数のプローブ用パッド6の外側に形成された複数の外部接続端子7と、プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続し、且つ少なくとも基板本体2の表面3に形成された複数の表面配線8と、を含み、中継基板20に実装される電子部品検査装置用配線基板1aであって、基板本体2の裏面4における四辺に沿った段部9を有し、該段部9は、中継基板20に本配線基板1aを実装するための接着剤29を溜める樹脂溜まり部である、電子部品検査装置用配線基板1a。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の導通性や動作の可否などを検査するために用いられる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLSIなどの被検査電子部品の導通性や動作の可否などを検査するため、セラミックなどの非導電材からなる基板の表面における中央付近にフローブを取り付けるための複数の信号パッドを形成し、該信号パッドから上記基板の裏面全体にほぼ均一に設けた複数の端子に向かって、表面側から裏面側の厚み方向に沿って外側面方向に拡大する複数の内部配線(信号バイア)が個別に配線されたプローブ・カードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記プローブ・カードのような複数の内部配線を有する場合、多層セラミック基板の層間に検査すべき電子部品ごとに対応した内部配線を設計する必要があるので、設計に要する時間が長くなると共に、セラミック層ごとに所定位置にビア導体や内部配線を形成するための治具が必要となる。そのため、短期間での製造および納入がしにくくなる、という問題があった。
【0003】
前記問題を解決するため、プローブを実装するためのプローブ用パッドと、外部接続用パッド(端子)と、これらのパッド間を導通するための信号、電源、および接地用の配線を、絶縁材からなる基板本体の同じ表面に位置する表面配線として形成する電子部品検査装置用配線基板も検討されている。しかし、かかる配線基板の場合、該基板を実装するための中継基板や母基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤を介して実装する際に、該接着剤の不均一な分布に基づき上記配線基板が傾斜するため、例えば、上記配線基板と被実装配線基板との外部接続端子同士の間におけるワイヤボンディングがし難くなる場合があった。更に、上記配線基板の裏面と被実装配線基板の表面との間から、上記接着剤が前者の裏面の外側に濡れ拡がることにより、上記ワイヤボンディングと接続すべき被実装配線基板における外部接続端子の位置が周辺側に不用意に拡がる場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197118号公報(第1〜39頁、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、設計および製造期間を短縮でき、中継基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤の濡れ拡がりを抑え且つ水平姿勢で確実に実装できる電子部品検査装置用配線基板と、これを確実に得るための製造方法とを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を同じ表面に有する基板本体の裏面に、接着剤を溜める樹脂溜まり部を形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1の電子部品検査装置用配線基板(請求項1)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の裏面における四辺に沿った段部を有し、該段部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による第2の電子部品検査装置用配線基板(請求項2)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の裏面における四辺に沿った面取り部を有し、該面取り部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0008】
前記第1、第2の電子部品検査装置用配線基板によれば、これらの前記基板本体の表面の中心側に複数のプローブ用パッドが形成され、且つ同じ表面の周辺側に複数の外部接続端子が形成されているため、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するための配線を主に基板本体の表面に形成できる。そのため、本配線基板では、主に表面配線で対応でき且つ内部配線を最小限にできるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造時間を短縮できる。
しかも、前記基板本体の裏面には、その四辺に沿った段部あるいは面取り部を有しているので、中継基板などの被実装配線基板の表面上に実装する際に、本基板の裏面と被実装配線基板の表面との間に充填する接着剤が本配線基板の裏面の外側に濡れ拡がりにくくなる。従って、本配線基板を被実装配線基板の表面上に水平の姿勢で確実に実装できると共に、両基板の外部接続端子同士間にワイヤボンディングなども比較的短い距離で容易に行うことが可能となる。
【0009】
尚、前記段部は、垂直視の断面において、前記基板本体の裏面および側面に対しそれぞれ直角に交差する天井面と縦面とからなる形態のほか、少なくとも一方の面が傾斜あるいは湾曲して交差する形態も含む。
また、前記面取り部は、垂直視の断面において、前記基板本体の裏面と側面との間を1つまたは2つ以上の傾斜面で交差する形態や、上記裏面と側面との間を1つの湾曲面で交差する形態も含む。
【0010】
更に、本発明による第3の電子部品検査装置用配線基板(請求項3)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の少なくとも裏面に窪み部を有し、該窪み部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0011】
前記第3の電子部品検査装置用配線基板によれば、前記同様の設計および製造時間を短縮できる効果に加え、中継基板などの被実装配線基板の表面上に実装する際に、本配線基板の裏面と被実装配線基板の表面との間に充填する接着剤が本基板の裏面に設けた窪み部にも進入するため、本配線基板における裏面の外側に一層濡れ拡がりにくくなる。従って、本配線基板を被実装配線基板の表面上に水平の姿勢で確実に実装できると共に、両基板の外部接続端子同士間にワイヤボンディングなども比較的短い距離で容易に施すことが可能となる。
【0012】
尚、前記セラミックは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなる。
また、前記基板本体は、単層のセラミック層からなる形態のほか、複数のセラミック層を積層し、前記表面配線が形成できないプローブ用パッドと外部接続端子との間を接続する内部配線を上記セラミック層間に配設する形態としても良い。
更に、前記被実装基板は、例えば、中継基板あるいは母基板である。
加えて、前記窪み部は、次述する溝のほか、周囲を基板本体の裏面に囲まれた凹陥部も含む。該凹陥部は、例えば、底面視が円形、長円形、四角形、長方形、平行四辺形などを呈し、複数個が裏面に格子状または市松模様に形成される。
【0013】
また、本発明には、前記窪み部が溝である、電子部品検査装置用配線基板(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記接着剤が本基板の裏面に設けた溝に進入するため、本配線基板における裏面の外側に濡れ拡がりにくくなる。
更に、本発明には、前記窪み部を構成する溝は、底面視で前記裏面に格子状に複数が形成されている、電子部品検査装置用配線基板(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記接着剤が本配線基板の裏面に格子状に設けた複数の溝に進入し易くなるため、上記接着剤が本配線基板における裏面の外側に濡れ拡がる事態を一層確実に防止できる。
尚、前記溝は、断面が矩形(正方形または長方形)のほか、断面がV字形状やU字形状や半円形状を呈する形態であっても良い。
【0014】
一方、本発明による電子部品検査装置用配線基板の製造方法(請求項6)は、表面および裏面を有し且つ追って基板本体となる複数の基板領域を含むグリーンシートを焼成する工程と、かかる焼成により得られたセラミック製の多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの表面において、該表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を含む電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、上記グリーンシートあるいは多数個取り用セラミックシートにおける複数の基板領域の裏面ごとに、実装用の接着剤を受け入れる樹脂溜まり部を形成する工程を備えている、ことを特徴とする。
【0015】
これによれば、基板本体の裏面に実装用の接着剤を受け入れる前記溝などの樹脂溜まり部が形成され、且つ焼成されたセラミックシートの表面における基板領域ごとにプローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線が形成されるので、複数の電子部品検査装置用配線基板を確実に製造することができる。
尚、前記セラミックシートは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックや、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるシートである。
また、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を前記セラミックシートの表面に形成する工程は、平坦に研磨された該表面に対しスパッタリングによる金属薄膜層の形成、フォトリソグラフィ技術による金属メッキ層の形成、およびこれらの表面への金属メッキ膜の被覆によって行われる。
【0016】
更に、本発明には、前記樹脂溜まり部を形成する工程は、前記グリーンシートにおける複数の基板領域ごとの裏面に対し、溝入れ加工、レーザ加工、またはプレス加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するか、あるいは、前記多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの裏面にレーザ加工、または切削加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するものである、電子部品検査装置用配線基板(請求項7)も含まれる。
これによれば、形成すべき複数の溝などの前記樹脂溜まり部の形態に応じて、且つグリーンシートまたはセラミックシートの特性に応じて、溝入れ加工、レーザ加工、プレス加工、または切削加工の何れかを選択することで、形状および寸法精度良く確実に前記溝などを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願による第1の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図2】図1中のX−X先の矢視に沿った模式的な垂直断面図。
【図3】上記電子部品検査装置用配線基板の裏面側を示す斜視図。
【図4】第2の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図5】上記第2の電子部品検査装置用配線基板の裏面側を示す斜視図。
【図6】第1の配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図7】第2の配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図8】第3の電子部品検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図9】上記第3の電子部品検査装置用配線基板の裏面側の一部を示す底面図。
【図10】前記配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図11】応用形態の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図12】上記電子部品検査装置用配線基板の裏面側の一部を示す部分底面図。
【図13】上記配線基板を母基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図14】別の応用形態の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図15】前記第1の電子部品検査装置用配線基板の一製造工程を概略図。
【図16】図15に続く製造工程を概略図。
【図17】図16に続く製造工程を概略図。
【図18】図17に続く製造工程を概略図。
【図19】図18に続く製造工程を概略図。
【図20】以上により得られた多数個取り用のセラミックシートを示す概略図。
【図21】異なる形態の多数個取り用のセラミックシートを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の電子部品検査装置用配線基板(以下、単に配線基板と称する)1aを示す平面図、図2は、図1中のX−X先の矢視に沿った模式的な垂直断面図、図3は、上記配線基板1aの裏面4側を示す斜視図である。
上記配線基板1aは、図1〜図3に示すように、セラミックsからなり、平面視がほぼ正方形(矩形)の表面3および裏面4と四辺の側面5とを有する基板本体2と、前記表面3の中心側3aに形成された複数のプローブ用パッド6と、上記表面3における周辺側3bで且つ上記パッド6の外側に形成された複数の外部接続端子7と、上記パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続し、上記表面3にほぼ放射状にして形成された複数の表面配線8とを備えている。
【0019】
前記セラミックsは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなる。また、前記基板本体2は、単層のセラミック層sからなる形態のほか、複数のセラミック層sを積層し、前記表面配線8により接続できないプローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための最小限の内部配線を複数のセラミック層s間に配設する形態としても良い。更に、前記プローブ用パッド6は、追ってその上面に被検査電子部品に電気的に接続するためのプローブ(図示せず)が取り付けられる。
前記基板本体2の表面3における中心側3aと周辺側3bとは、互いに重複せず且つ両者間に表面配線7が配線可能な間隔を置いた相対的な位置を指している。
図2,図3に示すように、基板本体2の裏面4における四辺に沿って、幅および深さが一定で且つ断面が長方形(矩形)の段部9が形成されている。該段部9は、本配線基板1aを被実装基板の表面に実装する際に用いられる接着剤を溜めるための樹脂溜まり部を構成するものである。上記被実装基板は、例えば、後述する中継基板あるいは母基板である。
【0020】
図4は、第2の配線基板1bを示す前記同様の垂直断面図、図5は、該配線基板1bの裏面4側を示す斜視図である。
上記配線基板1bも、図4,図5に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1bは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って、幅および傾斜角度が一定の面取り部10が形成されている。かかる面取り部10は、水平線に対して約30〜70度の傾斜角度であり、前記同様の樹脂溜まり部を構成するものである。
【0021】
図6は、第1の配線基板1aを中継基板(被実装基板)20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。中継基板20は、図6に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックからなり、且つ平面視が矩形の表面23と裏面24とを有する基板本体22、該基板本体22の表面23と裏面24との間をほぼ等間隔で貫通する複数のビアホール内ごとに形成された複数のビア導体25、該ビア導体25ごとの表面23側の端部に接続された複数の第1接続端子26、および上記ビア導体25ごとの裏面24側の端部に接続され且つ外部との導通に用いる複数の第2接続端子27を備えている。
尚、前記ビア導体25、第1接続端子26、および第2接続端子27は、前記基板本体22がアルミナなどの場合には、主にWあるいはMoなどからなり、基板本体22が低温焼成セラミックの一種のガラス−セラミックの場合には、CuあるいはAgなどからなる。
【0022】
図6に示すように、配線基板1aのプローブ用パッド6ごとの上方には、例えば、Siウェハに併設された複数の被検査電子部品(何れも図示せず)と電気的に接触するためのプローブ19が立設して取り付けられる。また、中継基板20の表面23における中央部に、接着剤29を介して配線基板1aの裏面4側を接着している。この際、接着剤29の一部は、配線基板1aの裏面4側から四辺の段部9に押し出されるため、該段部9には、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、段部9の外側に濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1aが中継基板20の表面23上において水平の姿勢で実装される。
更に、中継基板20の表面23における周辺に位置する第1接続端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短くして個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第1の配線基板1aと中継基板20との組み合わせによれば、複数の被検査電子部品の検査が正確且つ連続的に実施可能となる。
【0023】
図7は、第2の配線基板1bを中継基板20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。
図7に示すように、前記同様の中継基板20における表面23の中央部に接着剤29を介して第2の配線基板1bの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、配線基板1bの裏面4側から四辺の面取り部10に押し出されるため、該面取り部10には、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、面取り部10の外側に濡れ拡がりにくくなるので、配線基板1bが中継基板20の表面23上において水平の姿勢で確実に実装される。
更に、前記同様に、プローブ用パッド6ごとの上にプローブ19を取り付けた配線基板1bの表面3における複数の外部接続端子7と、中継基板20の表面23における第1接続端子26との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短く個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第2の配線基板1bおよび中継基板20の組み合わせによっても、複数の被検査電子部品の検査を正確且つ連続的に実施可能となる。
尚、前記中継基板20は、一般的な形態のため、既存のものを流用しても良い。
【0024】
以上のような第1、第2の配線基板1a,1bによれば、前記基板本体2の表面3の中心側3aに複数のプローブ用パッド6が形成され、且つ同じ表面3の周辺側3bに複数の外部接続端子7が形成されているため、プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための表面配線8を基板本体2の表面3だけで形成することが可能となる。そのため、基板本体2の表面3に形成した表面配線8で対応でき且つ内部配線を最小限にできるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造時間を短縮できる。
しかも、基板本体2の裏面4には、その四辺に沿った段部9あるいは面取り部10を有するので、中継基板(被実装配線基板)20の表面23上に実装する際に、配線基板1a,1bの裏面4と中継基板20の表面23との間に充填する接着剤29が配線基板1a,1bの外側に濡れ拡がりにくくなる。その結果、配線基板1a,1bを中継基板20の表面23上に水平の姿勢で確実に実装でき、且つ配線基板1a,1bの外部接続端子7と中継基板20の第1接続端子26との間をワイヤボンディングwにより比較的短い距離で導通することも可能となる。
【0025】
図8は、第3の配線基板1cを示す前記同様の垂直断面図、図9は、該配線基板1cの裏面4の一部を示す部分底面図である。
第3の配線基板1cも、図8,図9に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1cは、基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。個々の溝12の断面サイズは、縦横が約1:1〜1:2の比である。
【0026】
図10は、第3の配線基板1cを中継基板20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。
図10に示すように、前記同様の中継基板20における表面23の中央部に接着剤29を介して第3の配線基板1cの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、配線基板1cの裏面4側に開口した複数の溝12内に進入して溜まる。即ち、個々の溝12は、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、裏面4の四辺から外側に濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1cは、中継基板20の表面23上に水平姿勢で一層確実に実装される。
更に、前記同様に、プローブ用パッド6ごとの上にプローブ19を取り付けた配線基板1cの表面3における複数の外部接続端子7と、中継基板20の表面23における第1接続端子26との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短く個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第3の配線基板1cおよび中継基板20の組み合わせによっても、複数の被検査電子部品の検査を正確且つ連続的に実施可能となる。
【0027】
以上のような第3の配線基板1cによれば、前記第1、第2の配線基板1a,1bによる効果に加え、中継基板(被実装配線基板)20の表面23上に実装する際に、本配線基板1cの裏面と中継基板20の表面23との間に充填する接着剤29が本基板1cの裏面4に設けた複数の溝12にも進入して溜まるため、本基板1cの外側に一層濡れ拡がりにくくなる。従って、本基板1cを中継基板20の表面23上に水平の姿勢で確実に実装でき、且つ両基板1c,20の接続端子7,26間でのワイヤボンディングも比較的短い距離で確実に実施可能となる。
【0028】
図11は、前記第1および第3の配線基板1a,1cの応用形態である配線基板1dを示す垂直断面図、図12は、該配線基板1dの部分底面図である。
該配線基板1dも、図11,図12に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1dは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って前記同様の段部9を有すると共に、当該段部9の内側で且つ基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。
【0029】
図13は、前記配線基板1dを母基板30の表面33に実装した状態を示す垂直断面図である。該母基板30は、前記同様の基板本体32の表面33と図示ない裏面とを有する基板本体32、該基板本体32の表面33と裏面との間を貫通して形成された複数のビア導体35、および、該ビア導体35ごとの上端部で且つ表面33の周辺側に位置に形成された複数の接続端子36を含んでいる。
図13に示すように、上記母基板30における表面33の中央側に接着剤29を介して配線基板1dの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、基板本体2の裏面4に開口する複数の溝12と、四辺の段部9とに個別に進入して溜まる。即ち、複数の溝12と四辺の段部9とは、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、上記接着剤29が、裏面4の四辺から外側に一層濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1dは、母基板30の表面33上において水平姿勢で確実に実装される。もちろん、前記中継基板20への実装も同様に行える。
【0030】
図14は、前記第2、第3の配線基板1b,1cの応用形態である配線基板1eを示す前記同様の垂直断面図である。
該配線基板1eも、図14に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1eは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って前記同様の面取り部10を有すると共に、該面取り部10の内側で且つ基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。
以上のような該配線基板1eも、前記中継基板20の表面23上や母基板30の表面33上に、接着剤29を介して、水平姿勢で確実に実装することができ、その際、基板本体2の裏面4に設けた複数の溝12と該裏面4の四辺の面取り部10とは、それぞれ前記接着剤29の一部を溜めるための樹脂溜まり部となる。
【0031】
以下において、前記第1の配線基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図15の断面図で示すように、表面3および裏面4を有する単層のグリーンシートgを製作した。尚、図15中で示す一点鎖線は、平面視が格子状である仮想の切断予定面(境界)fであり、これらの間に追って前記基板本体2となる複数の基板領域2xが位置し、これらの外側には耳部mが枠状に位置している。
次に、図16に示すように、上記グリーンシートgの裏面4における切断予定面fに沿って、押型によるプレス加工を行うことにより、複数の凹部9aを底面視で格子状にして成形した。次いで、裏面4に該凹部9aが形成されたグリーンシートgを所定温度において焼成することにより、セラミックシートssとした。
尚、上記凹部9aは、グリーンシートgの裏面4に対するレーザ加工によって形成しても良く、あるいは断面の幅が狭い場合には、かかる断面に倣った薄肉の金型による溝入れ工によって形成しても良い。
【0032】
更に、図17(a)に示すように、前記基板領域2xごとの表面3を平滑化し、かかる表面3の全面に対しスパッタリングを施すことによって、Ti薄膜層13とCu薄膜層14とを順次被覆した。次に、図17(b)に示すように、Cu薄膜層14上の全面に感光性樹脂からなるレジスト層rを形成した後、該レジスト層rに対してフォトリソグラフィー技術を施し、平面視が細長い長円形を呈する貫通孔hを複数形成した。
引き続いて、図18(a)に示すように、上記貫通孔hの底面に露出するCu薄膜層14の上に2種類の電解金属メッキを順次施して、Cuメッキ層15とNiメッキ層16とを順次被覆した。次いで、図18(b)に示すように、上記レジスト層rを現像液に接触させて剥離して除去した。更に、図19(a)に示すように、Cuメッキ層15とNiメッキ層16とに覆われていない部分のTi薄膜層13とCu薄膜層14とを、エッチング液に接触させて除去した。
【0033】
次いで、平面視が全体が細長い長円形を呈する上記Ti薄膜層13、Cu薄膜層14、Cuメッキ層15、およびNiメッキ層16の4層の全表面に対し2種類の無電解金属メッキを順次施し、図19(b)に示すように、厚みが約1〜数μmのNiメッキ層17と厚みが約0.03〜0.1μmのAuメッキ層18とを順次被覆した。その結果、互いに一体で且つ全体が細長い長円形を呈する1組の前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8が形成された。
そして、図20に示すように、多数個取り用のセラミックシートssの基板領域2x(配線基板1a)ごとの表面3において、その中心側3aに位置する複数のプローブ用パッド6、周辺側3bに位置する複数の外部接続端子7、およびこれらの間を個別に接続する表面配線8が形成された。
最後に、図20中の切断予定面fに沿って、前記セラミックシートssを分割して個々の配線基板1aに個片化にすることで、基板本体2ごとの裏面4の四辺に沿って前記段部9を有する複数の配線基板1aを得ることができた。
【0034】
図21は、前記凹部9aをプレス加工などする際に、これらに囲まれた基板領域2xの裏面4に複数の溝12を格子状に併せて形成した後、前記各工程を施した多数個取り用のセラミックシートssの断面を示す。そして、前記同様の分割工程を施すことにより、複数の前記配線基板1dを提供することができた。
以上の配線基板1a,1dの製造方法によれば、グリーンシートgにおける基板本体部2xごとの裏面4に実装用の前記接着剤29を受け入れる段部9や溝12の樹脂溜まり部が形成され、且つ焼成されたセラミックシートssの表面3における基板領域2xごとにプローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を形成したので、複数の配線基板1a,1dを確実に製造することができた。
【0035】
尚、前記グリーンシートgの裏面4における切断予定面fに沿って、断面山形の凹部を底面視で格子状にプレス成形した後、前記各工程を施すことで、基板本体2の裏面における四辺に沿って面取り部10が形成された複数の前記配線基板1bを製造することができる。また、前記グリーンシートgの裏面4において、切断予定面に囲まれた裏面4ごとに複数の溝12を格子状にプレス成形した後、前記各工程を施すことで、複数の前記配線基板1cを製造することもできる。
更に、前記山形の凹部に囲まれた裏面4に対し、更に溝12を格子状に併せて形成することで、複数の前記配線基板1eを製造することもできる。
加えて、前記凹部9aや溝12などは、焼成後の前記セラミックシートssの裏面4をレーザ加工あるいは切削加工することで形成するようにしても良い。
【0036】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板本体2は、複数のセラミック層を積層したものとし、これらの間に表面3の表面配線8として形成できない最小限の内部配線を迂回用の回路として形成しても良い。これに応じて、製造方法では、複数のグリーンシートgを用い、内部配線や上層側のグリーンシートgを貫通するビア導体を形成する工程を更に追加するものとする。
また、基板本体2の裏面4に形成する窪み部は、前記溝12のほか、四方を該裏面4に囲まれた凹陥部も含む。かかる凹陥部は、例えば、円柱形、円錐形、立方体、直方体、あるいは底面視が5角形以上の正多角柱、変形多角形、更には、これらに準じた形状(平行四辺形、菱形、十字形など)を有する。
更に、前記配線基板1a〜1eの各外部接続端子7と、中継基板20や母基板30の各接続端子26,36との導通には、前記ボンディングワイヤwに替えて、コネクタなどを用いて行うようにしても良い。
加えて、本発明の配線基板1a〜1eは、1個ずつを個別に製造するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、中継基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤の濡れ拡がりを抑え且つ水平姿勢にして確実に実装できる電子部品検査装置用配線基板を、効率良く提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1a〜1e…配線基板(電子部品検査装置用配線基板)
2……………基板本体
2x…………基板領域
3……………表面
3a…………中心側
3b…………周辺側
4……………裏面
6……………プローブ用パッド
7……………外部接続端子
8……………表面配線
9……………段部
10…………面取り部
12…………溝(窪み部)
19…………プローブ
20…………中継基板(被実装基板)
29…………接着剤
30…………母基板(被実装基板)
g……………グリーンシート
s……………セラミック
ss…………セラミックシート
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の導通性や動作の可否などを検査するために用いられる電子部品検査装置用配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICチップやLSIなどの被検査電子部品の導通性や動作の可否などを検査するため、セラミックなどの非導電材からなる基板の表面における中央付近にフローブを取り付けるための複数の信号パッドを形成し、該信号パッドから上記基板の裏面全体にほぼ均一に設けた複数の端子に向かって、表面側から裏面側の厚み方向に沿って外側面方向に拡大する複数の内部配線(信号バイア)が個別に配線されたプローブ・カードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記プローブ・カードのような複数の内部配線を有する場合、多層セラミック基板の層間に検査すべき電子部品ごとに対応した内部配線を設計する必要があるので、設計に要する時間が長くなると共に、セラミック層ごとに所定位置にビア導体や内部配線を形成するための治具が必要となる。そのため、短期間での製造および納入がしにくくなる、という問題があった。
【0003】
前記問題を解決するため、プローブを実装するためのプローブ用パッドと、外部接続用パッド(端子)と、これらのパッド間を導通するための信号、電源、および接地用の配線を、絶縁材からなる基板本体の同じ表面に位置する表面配線として形成する電子部品検査装置用配線基板も検討されている。しかし、かかる配線基板の場合、該基板を実装するための中継基板や母基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤を介して実装する際に、該接着剤の不均一な分布に基づき上記配線基板が傾斜するため、例えば、上記配線基板と被実装配線基板との外部接続端子同士の間におけるワイヤボンディングがし難くなる場合があった。更に、上記配線基板の裏面と被実装配線基板の表面との間から、上記接着剤が前者の裏面の外側に濡れ拡がることにより、上記ワイヤボンディングと接続すべき被実装配線基板における外部接続端子の位置が周辺側に不用意に拡がる場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197118号公報(第1〜39頁、図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、設計および製造期間を短縮でき、中継基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤の濡れ拡がりを抑え且つ水平姿勢で確実に実装できる電子部品検査装置用配線基板と、これを確実に得るための製造方法とを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を同じ表面に有する基板本体の裏面に、接着剤を溜める樹脂溜まり部を形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による第1の電子部品検査装置用配線基板(請求項1)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の裏面における四辺に沿った段部を有し、該段部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による第2の電子部品検査装置用配線基板(請求項2)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の裏面における四辺に沿った面取り部を有し、該面取り部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0008】
前記第1、第2の電子部品検査装置用配線基板によれば、これらの前記基板本体の表面の中心側に複数のプローブ用パッドが形成され、且つ同じ表面の周辺側に複数の外部接続端子が形成されているため、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を接続するための配線を主に基板本体の表面に形成できる。そのため、本配線基板では、主に表面配線で対応でき且つ内部配線を最小限にできるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造時間を短縮できる。
しかも、前記基板本体の裏面には、その四辺に沿った段部あるいは面取り部を有しているので、中継基板などの被実装配線基板の表面上に実装する際に、本基板の裏面と被実装配線基板の表面との間に充填する接着剤が本配線基板の裏面の外側に濡れ拡がりにくくなる。従って、本配線基板を被実装配線基板の表面上に水平の姿勢で確実に実装できると共に、両基板の外部接続端子同士間にワイヤボンディングなども比較的短い距離で容易に行うことが可能となる。
【0009】
尚、前記段部は、垂直視の断面において、前記基板本体の裏面および側面に対しそれぞれ直角に交差する天井面と縦面とからなる形態のほか、少なくとも一方の面が傾斜あるいは湾曲して交差する形態も含む。
また、前記面取り部は、垂直視の断面において、前記基板本体の裏面と側面との間を1つまたは2つ以上の傾斜面で交差する形態や、上記裏面と側面との間を1つの湾曲面で交差する形態も含む。
【0010】
更に、本発明による第3の電子部品検査装置用配線基板(請求項3)は、セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、該基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、上記基板本体の少なくとも裏面に窪み部を有し、該窪み部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、ことを特徴とする。
【0011】
前記第3の電子部品検査装置用配線基板によれば、前記同様の設計および製造時間を短縮できる効果に加え、中継基板などの被実装配線基板の表面上に実装する際に、本配線基板の裏面と被実装配線基板の表面との間に充填する接着剤が本基板の裏面に設けた窪み部にも進入するため、本配線基板における裏面の外側に一層濡れ拡がりにくくなる。従って、本配線基板を被実装配線基板の表面上に水平の姿勢で確実に実装できると共に、両基板の外部接続端子同士間にワイヤボンディングなども比較的短い距離で容易に施すことが可能となる。
【0012】
尚、前記セラミックは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなる。
また、前記基板本体は、単層のセラミック層からなる形態のほか、複数のセラミック層を積層し、前記表面配線が形成できないプローブ用パッドと外部接続端子との間を接続する内部配線を上記セラミック層間に配設する形態としても良い。
更に、前記被実装基板は、例えば、中継基板あるいは母基板である。
加えて、前記窪み部は、次述する溝のほか、周囲を基板本体の裏面に囲まれた凹陥部も含む。該凹陥部は、例えば、底面視が円形、長円形、四角形、長方形、平行四辺形などを呈し、複数個が裏面に格子状または市松模様に形成される。
【0013】
また、本発明には、前記窪み部が溝である、電子部品検査装置用配線基板(請求項4)も含まれる。
これによれば、前記接着剤が本基板の裏面に設けた溝に進入するため、本配線基板における裏面の外側に濡れ拡がりにくくなる。
更に、本発明には、前記窪み部を構成する溝は、底面視で前記裏面に格子状に複数が形成されている、電子部品検査装置用配線基板(請求項5)も含まれる。
これによれば、前記接着剤が本配線基板の裏面に格子状に設けた複数の溝に進入し易くなるため、上記接着剤が本配線基板における裏面の外側に濡れ拡がる事態を一層確実に防止できる。
尚、前記溝は、断面が矩形(正方形または長方形)のほか、断面がV字形状やU字形状や半円形状を呈する形態であっても良い。
【0014】
一方、本発明による電子部品検査装置用配線基板の製造方法(請求項6)は、表面および裏面を有し且つ追って基板本体となる複数の基板領域を含むグリーンシートを焼成する工程と、かかる焼成により得られたセラミック製の多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの表面において、該表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を含む電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、上記グリーンシートあるいは多数個取り用セラミックシートにおける複数の基板領域の裏面ごとに、実装用の接着剤を受け入れる樹脂溜まり部を形成する工程を備えている、ことを特徴とする。
【0015】
これによれば、基板本体の裏面に実装用の接着剤を受け入れる前記溝などの樹脂溜まり部が形成され、且つ焼成されたセラミックシートの表面における基板領域ごとにプローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線が形成されるので、複数の電子部品検査装置用配線基板を確実に製造することができる。
尚、前記セラミックシートは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックや、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなるシートである。
また、前記プローブ用パッド、外部接続端子、および表面配線を前記セラミックシートの表面に形成する工程は、平坦に研磨された該表面に対しスパッタリングによる金属薄膜層の形成、フォトリソグラフィ技術による金属メッキ層の形成、およびこれらの表面への金属メッキ膜の被覆によって行われる。
【0016】
更に、本発明には、前記樹脂溜まり部を形成する工程は、前記グリーンシートにおける複数の基板領域ごとの裏面に対し、溝入れ加工、レーザ加工、またはプレス加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するか、あるいは、前記多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの裏面にレーザ加工、または切削加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するものである、電子部品検査装置用配線基板(請求項7)も含まれる。
これによれば、形成すべき複数の溝などの前記樹脂溜まり部の形態に応じて、且つグリーンシートまたはセラミックシートの特性に応じて、溝入れ加工、レーザ加工、プレス加工、または切削加工の何れかを選択することで、形状および寸法精度良く確実に前記溝などを形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願による第1の電子部品検査装置用配線基板を示す平面図。
【図2】図1中のX−X先の矢視に沿った模式的な垂直断面図。
【図3】上記電子部品検査装置用配線基板の裏面側を示す斜視図。
【図4】第2の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図5】上記第2の電子部品検査装置用配線基板の裏面側を示す斜視図。
【図6】第1の配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図7】第2の配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図8】第3の電子部品検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図9】上記第3の電子部品検査装置用配線基板の裏面側の一部を示す底面図。
【図10】前記配線基板を中継基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図11】応用形態の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図12】上記電子部品検査装置用配線基板の裏面側の一部を示す部分底面図。
【図13】上記配線基板を母基板の表面に実装した状態を示す垂直断面図。
【図14】別の応用形態の検査装置用配線基板を示す図2と同様な垂直断面図。
【図15】前記第1の電子部品検査装置用配線基板の一製造工程を概略図。
【図16】図15に続く製造工程を概略図。
【図17】図16に続く製造工程を概略図。
【図18】図17に続く製造工程を概略図。
【図19】図18に続く製造工程を概略図。
【図20】以上により得られた多数個取り用のセラミックシートを示す概略図。
【図21】異なる形態の多数個取り用のセラミックシートを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による第1の電子部品検査装置用配線基板(以下、単に配線基板と称する)1aを示す平面図、図2は、図1中のX−X先の矢視に沿った模式的な垂直断面図、図3は、上記配線基板1aの裏面4側を示す斜視図である。
上記配線基板1aは、図1〜図3に示すように、セラミックsからなり、平面視がほぼ正方形(矩形)の表面3および裏面4と四辺の側面5とを有する基板本体2と、前記表面3の中心側3aに形成された複数のプローブ用パッド6と、上記表面3における周辺側3bで且つ上記パッド6の外側に形成された複数の外部接続端子7と、上記パッド6と外部接続端子7との間を個別に接続し、上記表面3にほぼ放射状にして形成された複数の表面配線8とを備えている。
【0019】
前記セラミックsは、アルミナやムライトなどの高温焼成セラミックのほか、低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックからなる。また、前記基板本体2は、単層のセラミック層sからなる形態のほか、複数のセラミック層sを積層し、前記表面配線8により接続できないプローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための最小限の内部配線を複数のセラミック層s間に配設する形態としても良い。更に、前記プローブ用パッド6は、追ってその上面に被検査電子部品に電気的に接続するためのプローブ(図示せず)が取り付けられる。
前記基板本体2の表面3における中心側3aと周辺側3bとは、互いに重複せず且つ両者間に表面配線7が配線可能な間隔を置いた相対的な位置を指している。
図2,図3に示すように、基板本体2の裏面4における四辺に沿って、幅および深さが一定で且つ断面が長方形(矩形)の段部9が形成されている。該段部9は、本配線基板1aを被実装基板の表面に実装する際に用いられる接着剤を溜めるための樹脂溜まり部を構成するものである。上記被実装基板は、例えば、後述する中継基板あるいは母基板である。
【0020】
図4は、第2の配線基板1bを示す前記同様の垂直断面図、図5は、該配線基板1bの裏面4側を示す斜視図である。
上記配線基板1bも、図4,図5に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1bは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って、幅および傾斜角度が一定の面取り部10が形成されている。かかる面取り部10は、水平線に対して約30〜70度の傾斜角度であり、前記同様の樹脂溜まり部を構成するものである。
【0021】
図6は、第1の配線基板1aを中継基板(被実装基板)20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。中継基板20は、図6に示すように、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックからなり、且つ平面視が矩形の表面23と裏面24とを有する基板本体22、該基板本体22の表面23と裏面24との間をほぼ等間隔で貫通する複数のビアホール内ごとに形成された複数のビア導体25、該ビア導体25ごとの表面23側の端部に接続された複数の第1接続端子26、および上記ビア導体25ごとの裏面24側の端部に接続され且つ外部との導通に用いる複数の第2接続端子27を備えている。
尚、前記ビア導体25、第1接続端子26、および第2接続端子27は、前記基板本体22がアルミナなどの場合には、主にWあるいはMoなどからなり、基板本体22が低温焼成セラミックの一種のガラス−セラミックの場合には、CuあるいはAgなどからなる。
【0022】
図6に示すように、配線基板1aのプローブ用パッド6ごとの上方には、例えば、Siウェハに併設された複数の被検査電子部品(何れも図示せず)と電気的に接触するためのプローブ19が立設して取り付けられる。また、中継基板20の表面23における中央部に、接着剤29を介して配線基板1aの裏面4側を接着している。この際、接着剤29の一部は、配線基板1aの裏面4側から四辺の段部9に押し出されるため、該段部9には、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、段部9の外側に濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1aが中継基板20の表面23上において水平の姿勢で実装される。
更に、中継基板20の表面23における周辺に位置する第1接続端子26と、配線基板1aの外部接続端子7との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短くして個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第1の配線基板1aと中継基板20との組み合わせによれば、複数の被検査電子部品の検査が正確且つ連続的に実施可能となる。
【0023】
図7は、第2の配線基板1bを中継基板20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。
図7に示すように、前記同様の中継基板20における表面23の中央部に接着剤29を介して第2の配線基板1bの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、配線基板1bの裏面4側から四辺の面取り部10に押し出されるため、該面取り部10には、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、面取り部10の外側に濡れ拡がりにくくなるので、配線基板1bが中継基板20の表面23上において水平の姿勢で確実に実装される。
更に、前記同様に、プローブ用パッド6ごとの上にプローブ19を取り付けた配線基板1bの表面3における複数の外部接続端子7と、中継基板20の表面23における第1接続端子26との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短く個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第2の配線基板1bおよび中継基板20の組み合わせによっても、複数の被検査電子部品の検査を正確且つ連続的に実施可能となる。
尚、前記中継基板20は、一般的な形態のため、既存のものを流用しても良い。
【0024】
以上のような第1、第2の配線基板1a,1bによれば、前記基板本体2の表面3の中心側3aに複数のプローブ用パッド6が形成され、且つ同じ表面3の周辺側3bに複数の外部接続端子7が形成されているため、プローブ用パッド6と外部接続端子7との間を接続するための表面配線8を基板本体2の表面3だけで形成することが可能となる。そのため、基板本体2の表面3に形成した表面配線8で対応でき且つ内部配線を最小限にできるので、検査すべき電子部品ごとに応じた検査回路の設計および製造時間を短縮できる。
しかも、基板本体2の裏面4には、その四辺に沿った段部9あるいは面取り部10を有するので、中継基板(被実装配線基板)20の表面23上に実装する際に、配線基板1a,1bの裏面4と中継基板20の表面23との間に充填する接着剤29が配線基板1a,1bの外側に濡れ拡がりにくくなる。その結果、配線基板1a,1bを中継基板20の表面23上に水平の姿勢で確実に実装でき、且つ配線基板1a,1bの外部接続端子7と中継基板20の第1接続端子26との間をワイヤボンディングwにより比較的短い距離で導通することも可能となる。
【0025】
図8は、第3の配線基板1cを示す前記同様の垂直断面図、図9は、該配線基板1cの裏面4の一部を示す部分底面図である。
第3の配線基板1cも、図8,図9に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1cは、基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。個々の溝12の断面サイズは、縦横が約1:1〜1:2の比である。
【0026】
図10は、第3の配線基板1cを中継基板20の表面23に実装した状態を示す垂直断面図である。
図10に示すように、前記同様の中継基板20における表面23の中央部に接着剤29を介して第3の配線基板1cの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、配線基板1cの裏面4側に開口した複数の溝12内に進入して溜まる。即ち、個々の溝12は、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、接着剤29は、裏面4の四辺から外側に濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1cは、中継基板20の表面23上に水平姿勢で一層確実に実装される。
更に、前記同様に、プローブ用パッド6ごとの上にプローブ19を取り付けた配線基板1cの表面3における複数の外部接続端子7と、中継基板20の表面23における第1接続端子26との間を、ボンディングワイヤwにより比較的短く個別に接続することで、第2接続端子27とプローブ19とを個別に導通可能にできる。その結果、第3の配線基板1cおよび中継基板20の組み合わせによっても、複数の被検査電子部品の検査を正確且つ連続的に実施可能となる。
【0027】
以上のような第3の配線基板1cによれば、前記第1、第2の配線基板1a,1bによる効果に加え、中継基板(被実装配線基板)20の表面23上に実装する際に、本配線基板1cの裏面と中継基板20の表面23との間に充填する接着剤29が本基板1cの裏面4に設けた複数の溝12にも進入して溜まるため、本基板1cの外側に一層濡れ拡がりにくくなる。従って、本基板1cを中継基板20の表面23上に水平の姿勢で確実に実装でき、且つ両基板1c,20の接続端子7,26間でのワイヤボンディングも比較的短い距離で確実に実施可能となる。
【0028】
図11は、前記第1および第3の配線基板1a,1cの応用形態である配線基板1dを示す垂直断面図、図12は、該配線基板1dの部分底面図である。
該配線基板1dも、図11,図12に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1dは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って前記同様の段部9を有すると共に、当該段部9の内側で且つ基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。
【0029】
図13は、前記配線基板1dを母基板30の表面33に実装した状態を示す垂直断面図である。該母基板30は、前記同様の基板本体32の表面33と図示ない裏面とを有する基板本体32、該基板本体32の表面33と裏面との間を貫通して形成された複数のビア導体35、および、該ビア導体35ごとの上端部で且つ表面33の周辺側に位置に形成された複数の接続端子36を含んでいる。
図13に示すように、上記母基板30における表面33の中央側に接着剤29を介して配線基板1dの裏面4側を接着する。この際、接着剤29の一部は、基板本体2の裏面4に開口する複数の溝12と、四辺の段部9とに個別に進入して溜まる。即ち、複数の溝12と四辺の段部9とは、接着剤29の一部を溜める樹脂溜まり部となる。その結果、上記接着剤29が、裏面4の四辺から外側に一層濡れ拡がりにくくなるため、配線基板1dは、母基板30の表面33上において水平姿勢で確実に実装される。もちろん、前記中継基板20への実装も同様に行える。
【0030】
図14は、前記第2、第3の配線基板1b,1cの応用形態である配線基板1eを示す前記同様の垂直断面図である。
該配線基板1eも、図14に示すように、前記同様の基板本体2、プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を備えている。該配線基板1eは、基板本体2の裏面4における四辺に沿って前記同様の面取り部10を有すると共に、該面取り部10の内側で且つ基板本体2の裏面4に複数の溝(窪み部)12を縦横に格子状に形成している。
以上のような該配線基板1eも、前記中継基板20の表面23上や母基板30の表面33上に、接着剤29を介して、水平姿勢で確実に実装することができ、その際、基板本体2の裏面4に設けた複数の溝12と該裏面4の四辺の面取り部10とは、それぞれ前記接着剤29の一部を溜めるための樹脂溜まり部となる。
【0031】
以下において、前記第1の配線基板1aの製造方法について説明する。
予め、アルミナ粉末に樹脂バインダおよび溶剤などを適量ずつ配合してセラミックスラリとし、該セラミックスラリをドクターブレード法によってシート化して、図15の断面図で示すように、表面3および裏面4を有する単層のグリーンシートgを製作した。尚、図15中で示す一点鎖線は、平面視が格子状である仮想の切断予定面(境界)fであり、これらの間に追って前記基板本体2となる複数の基板領域2xが位置し、これらの外側には耳部mが枠状に位置している。
次に、図16に示すように、上記グリーンシートgの裏面4における切断予定面fに沿って、押型によるプレス加工を行うことにより、複数の凹部9aを底面視で格子状にして成形した。次いで、裏面4に該凹部9aが形成されたグリーンシートgを所定温度において焼成することにより、セラミックシートssとした。
尚、上記凹部9aは、グリーンシートgの裏面4に対するレーザ加工によって形成しても良く、あるいは断面の幅が狭い場合には、かかる断面に倣った薄肉の金型による溝入れ工によって形成しても良い。
【0032】
更に、図17(a)に示すように、前記基板領域2xごとの表面3を平滑化し、かかる表面3の全面に対しスパッタリングを施すことによって、Ti薄膜層13とCu薄膜層14とを順次被覆した。次に、図17(b)に示すように、Cu薄膜層14上の全面に感光性樹脂からなるレジスト層rを形成した後、該レジスト層rに対してフォトリソグラフィー技術を施し、平面視が細長い長円形を呈する貫通孔hを複数形成した。
引き続いて、図18(a)に示すように、上記貫通孔hの底面に露出するCu薄膜層14の上に2種類の電解金属メッキを順次施して、Cuメッキ層15とNiメッキ層16とを順次被覆した。次いで、図18(b)に示すように、上記レジスト層rを現像液に接触させて剥離して除去した。更に、図19(a)に示すように、Cuメッキ層15とNiメッキ層16とに覆われていない部分のTi薄膜層13とCu薄膜層14とを、エッチング液に接触させて除去した。
【0033】
次いで、平面視が全体が細長い長円形を呈する上記Ti薄膜層13、Cu薄膜層14、Cuメッキ層15、およびNiメッキ層16の4層の全表面に対し2種類の無電解金属メッキを順次施し、図19(b)に示すように、厚みが約1〜数μmのNiメッキ層17と厚みが約0.03〜0.1μmのAuメッキ層18とを順次被覆した。その結果、互いに一体で且つ全体が細長い長円形を呈する1組の前記プローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8が形成された。
そして、図20に示すように、多数個取り用のセラミックシートssの基板領域2x(配線基板1a)ごとの表面3において、その中心側3aに位置する複数のプローブ用パッド6、周辺側3bに位置する複数の外部接続端子7、およびこれらの間を個別に接続する表面配線8が形成された。
最後に、図20中の切断予定面fに沿って、前記セラミックシートssを分割して個々の配線基板1aに個片化にすることで、基板本体2ごとの裏面4の四辺に沿って前記段部9を有する複数の配線基板1aを得ることができた。
【0034】
図21は、前記凹部9aをプレス加工などする際に、これらに囲まれた基板領域2xの裏面4に複数の溝12を格子状に併せて形成した後、前記各工程を施した多数個取り用のセラミックシートssの断面を示す。そして、前記同様の分割工程を施すことにより、複数の前記配線基板1dを提供することができた。
以上の配線基板1a,1dの製造方法によれば、グリーンシートgにおける基板本体部2xごとの裏面4に実装用の前記接着剤29を受け入れる段部9や溝12の樹脂溜まり部が形成され、且つ焼成されたセラミックシートssの表面3における基板領域2xごとにプローブ用パッド6、外部接続端子7、および表面配線8を形成したので、複数の配線基板1a,1dを確実に製造することができた。
【0035】
尚、前記グリーンシートgの裏面4における切断予定面fに沿って、断面山形の凹部を底面視で格子状にプレス成形した後、前記各工程を施すことで、基板本体2の裏面における四辺に沿って面取り部10が形成された複数の前記配線基板1bを製造することができる。また、前記グリーンシートgの裏面4において、切断予定面に囲まれた裏面4ごとに複数の溝12を格子状にプレス成形した後、前記各工程を施すことで、複数の前記配線基板1cを製造することもできる。
更に、前記山形の凹部に囲まれた裏面4に対し、更に溝12を格子状に併せて形成することで、複数の前記配線基板1eを製造することもできる。
加えて、前記凹部9aや溝12などは、焼成後の前記セラミックシートssの裏面4をレーザ加工あるいは切削加工することで形成するようにしても良い。
【0036】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記基板本体2は、複数のセラミック層を積層したものとし、これらの間に表面3の表面配線8として形成できない最小限の内部配線を迂回用の回路として形成しても良い。これに応じて、製造方法では、複数のグリーンシートgを用い、内部配線や上層側のグリーンシートgを貫通するビア導体を形成する工程を更に追加するものとする。
また、基板本体2の裏面4に形成する窪み部は、前記溝12のほか、四方を該裏面4に囲まれた凹陥部も含む。かかる凹陥部は、例えば、円柱形、円錐形、立方体、直方体、あるいは底面視が5角形以上の正多角柱、変形多角形、更には、これらに準じた形状(平行四辺形、菱形、十字形など)を有する。
更に、前記配線基板1a〜1eの各外部接続端子7と、中継基板20や母基板30の各接続端子26,36との導通には、前記ボンディングワイヤwに替えて、コネクタなどを用いて行うようにしても良い。
加えて、本発明の配線基板1a〜1eは、1個ずつを個別に製造するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、中継基板などの被実装配線基板の表面上に接着剤の濡れ拡がりを抑え且つ水平姿勢にして確実に実装できる電子部品検査装置用配線基板を、効率良く提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1a〜1e…配線基板(電子部品検査装置用配線基板)
2……………基板本体
2x…………基板領域
3……………表面
3a…………中心側
3b…………周辺側
4……………裏面
6……………プローブ用パッド
7……………外部接続端子
8……………表面配線
9……………段部
10…………面取り部
12…………溝(窪み部)
19…………プローブ
20…………中継基板(被実装基板)
29…………接着剤
30…………母基板(被実装基板)
g……………グリーンシート
s……………セラミック
ss…………セラミックシート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の裏面における四辺に沿った段部を有し、該段部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項2】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の裏面における四辺に沿った面取り部を有し、該面取り部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項3】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の少なくとも裏面に窪み部を有し、該窪み部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項4】
前記窪み部が溝である、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子部品検査装置用配線基板。
【請求項5】
前記窪み部を構成する溝は、底面視で前記裏面に格子状に複数が形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子部品検査装置用配線基板。
【請求項6】
表面および裏面を有し且つ追って基板本体となる複数の基板領域を含むグリーンシートを焼成する工程と、
上記焼成により得られたセラミック製の多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの表面において、該表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を含む電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、
上記グリーンシートあるいは多数個取り用セラミックシートにおける複数の基板領域の裏面ごとに、実装用の接着剤を受け入れる樹脂溜まり部を形成する工程を備えている、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂溜まり部を形成する工程は、前記グリーンシートにおける複数の基板領域ごとの裏面に対し、溝入れ加工、レーザ加工、またはプレス加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するか、あるいは、前記多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの裏面にレーザ加工、または切削加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子部品検査装置用配線基板の製造方法。
【請求項1】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の裏面における四辺に沿った段部を有し、該段部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項2】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の裏面における四辺に沿った面取り部を有し、該面取り部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項3】
セラミックからなり、平面視が矩形の表面および裏面を有する基板本体と、
上記基板本体の表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドと、
上記基板本体の表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に形成された複数の外部接続端子と、
上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続し、且つ少なくとも上記基板本体の表面に形成された複数の表面配線と、を含み、被実装基板に実装される電子部品検査装置用配線基板であって、
上記基板本体の少なくとも裏面に窪み部を有し、該窪み部は、上記被実装基板に本配線基板を実装するための接着剤を溜める樹脂溜まり部である、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板。
【請求項4】
前記窪み部が溝である、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子部品検査装置用配線基板。
【請求項5】
前記窪み部を構成する溝は、底面視で前記裏面に格子状に複数が形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子部品検査装置用配線基板。
【請求項6】
表面および裏面を有し且つ追って基板本体となる複数の基板領域を含むグリーンシートを焼成する工程と、
上記焼成により得られたセラミック製の多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの表面において、該表面における中心側に形成され且つプローブが実装される複数のプローブ用パッドを、該表面における周辺側で且つ上記複数のプローブ用パッドの外側に複数の外部接続端子を、上記プローブ用パッドと外部接続端子との間を個別に接続する複数の表面配線を、それぞれ形成する工程と、を含む電子部品検査装置用配線基板の製造方法であって、
上記グリーンシートあるいは多数個取り用セラミックシートにおける複数の基板領域の裏面ごとに、実装用の接着剤を受け入れる樹脂溜まり部を形成する工程を備えている、
ことを特徴とする電子部品検査装置用配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂溜まり部を形成する工程は、前記グリーンシートにおける複数の基板領域ごとの裏面に対し、溝入れ加工、レーザ加工、またはプレス加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するか、あるいは、前記多数個取り用セラミックシートにおける複数の上記基板領域ごとの裏面にレーザ加工、または切削加工を行って、複数の段部、複数の面取り部、または複数の溝を形成するものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子部品検査装置用配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−44591(P2013−44591A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181362(P2011−181362)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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