説明

電子音楽装置及びプログラム

【課題】 自動伴奏中にドラムキットに規定されている複数のドラム音色のいずれかを個別に差し替えることのできる電子音楽装置の提供。
【解決手段】 複数のドラム音色の組み合わせを規定してなるドラムキットに対応付けられた演奏パターンデータを少なくとも有する自動伴奏スタイルデータに基づいて、前記複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音再生中に、前記ドラムキットに規定された複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を差し替えるドラムキット編集手段を備える。これにより、自動伴奏中であってもドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えできることから、ユーザは差し替えられたドラム音色が反映された自動伴奏をすぐに確認しながらドラム音色の差し替えを行うことが容易にできるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動伴奏スタイルデータに基づいて自動的に伴奏演奏を行う電子音楽装置及びプログラムに関する。特に、ドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を、自動伴奏中に個別に差し替えることのできるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動伴奏スタイルデータ(単にスタイルデータとも呼ぶ)に基づいて、複数チャンネル(各々が演奏パートに対応する)毎に予め決められた演奏パターンに従う伴奏演奏を自動的に再生することが可能な電子楽器等の電子音楽装置が知られている。こうした電子音楽装置におけるドラムパート(又はリズムパートとも呼ばれる)の自動伴奏に関しては、複数のドラム音色の組み合わせが予め規定されているドラムキットのいずれかが選択的にドラムパート(チャンネル)に割り当てられるようになっており、これにより自動伴奏の実行中か否かに関わらず(つまりはスタイルデータの再生如何に関わらず)、複数のドラム音色を一括して差し替えることのできるようにしている。こうした装置に関連するものとしては、例えば下記に示す非特許文献1に記載されている装置がその一例である。
【0003】
また、従来の装置は、ドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えることのできる所謂ドラムキット編集機能を備えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“DIGITAL WORKSTATION Tyros3 Owner's Manual",2008年,ヤマハ株式会社,インターネット〈http://www2.yamaha.co.jp/manual/pdf/emi/english/port/tyros3_en_om_c0.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなドラムキット編集機能においては、自動伴奏の開始前(再生停止中)にしかドラムキットの編集つまりは個別のドラム音色の差し替えを行うことができなかった。そのために、従来では前記ドラム編集機能に従って任意の1以上のドラム音色を差し替えたドラムキットを自動伴奏の開始前に予め作成しておいた上で、自動伴奏中に前記作成済みのドラムキットを選択することによって前記差し替えたドラム音色を自動伴奏に反映させるようにしていた。
【0006】
しかし、これはあくまでもドラムキット編集に従って自動伴奏開始前に作成されたドラムキット単位での一括的なドラム音色の差し替えでしかないことから、差し替えられたドラム音色が反映された自動伴奏をすぐに確認することができずに使い勝手が悪い。そこで、自動伴奏中であってもドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えできて、該差し替えられたドラム音色を反映した自動伴奏をすぐにユーザが確認できるものが望まれていたが未だそうしたものは提案されていない。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、自動伴奏中にドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えることのできるようにした電子音楽装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子音楽装置は、複数のドラム音色の組み合わせを規定してなるドラムキットを記憶する記憶手段と、前記ドラムキットに対応付けられた演奏パターンデータを少なくとも有する自動伴奏スタイルデータに基づいて、前記複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音を再生する楽音再生手段と、前記ドラムパートの楽音再生中に、前記ドラムキットに規定された複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を差し替えるドラムキット編集手段とを備える。
【0009】
この発明によると、複数のドラム音色の組み合わせを規定してなるドラムキットに対応付けられた演奏パターンデータを少なくとも有する自動伴奏スタイルデータに基づいて、前記複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音再生中に、前記ドラムキットに規定された複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を差し替えるドラムキット編集手段を備える。これにより、自動伴奏中にドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えできることから、ユーザは差し替えられたドラム音色が反映された自動伴奏をすぐに確認しながらドラム音色の差し替えを行うことが容易にできるようになり非常に便利である。
【0010】
本発明は装置の発明として構成し実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、自動伴奏中にドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えできるようにしたことから、ユーザは差し替えられたドラム音色が反映された自動伴奏をすぐに確認しながらドラム音色を差し替えることが容易にできるようになり非常に便利である、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】メイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】自動伴奏開始処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】自動伴奏停止処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】自動伴奏スタイル選択処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】チャンネルオン/オフ処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】音色選択処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図8】ドラムキット編集処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】波形選択処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図10】自動伴奏スタイルデータ選択画面の一実施例を示す概念図である。
【図11】リボイス画面の一実施例を示す概念図である。
【図12】音色選択画面の一実施例を示す概念図である。
【図13】ドラムキット編集画面の一実施例を示す概念図である。
【図14】波形選択画面の一実施例を示す概念図である。
【図15】カテゴリリスト画面の一実施例を示す概念図である。
【図16】ドラムキットと演奏パターンデータとの対応付け関係を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0014】
図1は、この発明に係る電子音楽装置の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子音楽装置は少なくとも予め用意された自動伴奏スタイルデータに基づいて自動伴奏を行うことの可能な例えば自動伴奏機能つきの電子楽器であって、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子音楽装置全体の動作を制御するものである。このCPU1に対して、データ及びアドレスバス1Dを介してROM2、RAM3、検出回路4,5、表示回路6、音源・効果回路7、記憶装置8、通信インタフェース(I/F)9がそれぞれ接続されている。
【0015】
ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、テンポラリメモリなどとして利用される。
【0016】
演奏操作子4Aは楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子4A(鍵盤等)はユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏のために使用できるのは勿論のこと、スタイルデータやドラムキットさらには波形データの選択、あるいは自動伴奏の再生開始/再生停止指示などにも使用することができる。検出回路4は、演奏操作子4Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。
【0017】
設定操作子(スイッチ等)5Aは、例えば自動伴奏の再生開始又は再生停止を指示する再生開始/再生停止ボタン、ディスプレイ6Aの周囲に配置されており該ディスプレイ6Aに表示された各種画面上における所定の対応位置に表示されている表示内容に従って実現可能な制御機能が変更される1乃至複数の汎用ボタン(詳しくは後述する図10〜図15参照)、楽音制御に関する各種設定(パラメータ)を行うスイッチ類などの各種の操作子を含んで構成される。なお、設定操作子5Aは上記した以外にも音高、音色、効果等を選択・設定・制御するための数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボード等の各種操作子を含んでいてもよい。検出回路5は、上記設定操作子5Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報等をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
【0018】
表示回路6は例えば液晶表示パネル(LCD)やCRT等から構成されるディスプレイ6Aに、後述するような各種画面(図10〜図15参照)、楽音制御に関わる各種設定(パラメータ)の設定状況、さらにROM2や記憶装置8に記憶されている各種データあるいはCPU1の制御状態などを表示する。なお、ディスプレイ6Aは、画面上において行われたユーザタッチ操作を検出(認識)する検知機能を有するタッチパネルであってもよい。その場合には、上記した汎用ボタンを備えていなくてよい。
【0019】
音源・効果回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、データ及びアドレスバス1Dを経由して与えられた、ユーザによる演奏操作子4Aのマニュアル操作に応じて発生される演奏情報、スタイルデータに含まれるパート毎の演奏パターンデータに基づき発生される演奏情報、さらには予め記憶されている各種音色毎の波形データを入力し、これらに基づいて楽音信号を発生する。さらには、該発生した楽音信号に対して適宜に各種の音響効果を付与する。従来知られているように、前記演奏パターンデータは、発音や消音などの楽音を再生するための各種イベントデータを処理すべき時間を表わすタイミングデータと、発音や消音などの楽音を再生するためのキーオン、キーオフなどの各種イベントの内容を表わすイベントデータとの組みからなる。音源・効果回路7から発生される楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム7Aから発音される。なお、こうした音源・効果回路7とサウンドシステム7Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源・効果回路7はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、DSP(Digital Signal Processor)やCPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0020】
記憶装置8は、自動伴奏に用いられるスタイルデータ、複数のドラム音色の組み合わせを予め規定したドラムキット、あるいは各種音色の波形データ(図示せず)などの各種データの他、CPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶装置8(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1に実行させることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、記憶装置8はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の様々な形態の記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
【0021】
通信インタフェース(I/F)9は、当該装置と図示しない外部機器との間で制御プログラムや各種データなどを送受信するためのインタフェースである。この通信インタフェース9は、例えばMIDIインタフェース,LAN,インターネット,電話回線等であってよく、また有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0022】
なお、上述した実施例において、演奏操作子4Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、電子音楽装置は演奏操作子4Aやディスプレイ6Aあるいは音源・効果回路7などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、MIDIインタフェースや各種ネットワーク等の通信インタフェース9を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。
また、本発明に係る電子音楽装置は電子楽器に限らず、自動演奏装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯通信端末、あるいはカラオケ装置やゲーム装置などのどのような装置・機器の形態であってもよい。携帯通信端末の場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
【0023】
図1に示す電子音楽装置は特にドラムパートの自動伴奏に関し、ドラムパート(チャンネル)に割り当てるドラムキットの選択に応じての複数のドラム音色の一括差し替えを行うことができるだけでなく、ドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えることが、自動伴奏の開始前(再生停止中)は勿論のこと自動伴奏の開始後(再生中)においても行うことのできるようになっている。以下、説明する。
【0024】
図2は、当該電子音楽装置における楽音再生に関連した各種制御を行う「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、本電子音楽装置の電源オンに応じて開始されて、電源オフに応じて終了されるまで繰り返し実行される。
【0025】
ステップS1は、例えば楽音制御に関する各種設定(パラメータ)をクリアする、予め決められているデフォルトのスタイルデータを各チャンネルに割り当てるなどの初期化を実行する。ステップS2は、音色関連処理を実行する。音色関連処理としては、例えばピアノ音色、ギター音色、ドラム音色といった各種の楽器音色に対応した波形データ(音色データ)を新規に作成する、既存の音色データを選択(特定)し編集する等の処理があるが、公知であることからここでの説明は省略する。ステップS3は、自動伴奏関連処理を実行する。自動伴奏関連処理としては、自動伴奏スタイルデータを選択、作成、編集、再生(自動伴奏)する等の処理があり、この実施形態では特に再生処理に並列してその他の処理を実行することができるようになっている。これらの処理の詳細については後述する(図3〜図9参照)。ステップS4は、上記以外のその他の処理を実行する。ここでのその他の処理としては、例えば装置全体にかかわる設定、演奏操作子4Aの操作に基づく楽音再生処理(マニュアル演奏)などがある。
【0026】
上記「自動伴奏関連処理」(図2のステップS3参照)に含まれる各種処理について、詳細を説明する。まず、自動伴奏スタイルデータを再生する自動伴奏の開始処理及び停止処理(つまりは再生処理)について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、「自動伴奏開始処理」の一実施例を示すフローチャートである。図4は、「自動伴奏停止処理」の一実施例を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示す自動伴奏開始処理では、図示しない「再生開始」ボタンの操作に応じて選択されているスタイルデータに基づく楽音再生を開始する(ステップS11)。この際には、ユーザによるスタイルデータの選択がなされていれば該選択されているスタイルデータに基づいて楽音を再生し、ユーザによるスタイルデータの選択がなされていなければ予め決められているデフォルトのスタイルデータに基づいて楽音を再生する。他方、図4に示す自動伴奏停止処理では、図示しない「再生停止」ボタンの操作に応じて選択されているスタイルデータに基づく楽音再生を停止する(ステップS21)。こうした自動伴奏開始処理及び自動伴奏停止処理は、自動伴奏関連処理に含まれる他の処理(後述する)と並列的に実行可能であるため、ドラムキットの選択中やドラムキットの編集中などであっても、「再生開始」ボタンを操作すればいつでも自動伴奏の楽音再生を開始することが可能であり、「再生停止」ボタンを操作すればすぐに自動伴奏の楽音再生を停止することが可能である。
【0028】
次に、自動伴奏スタイルデータを選択する「自動伴奏スタイル選択処理」について図5を用いて説明する。図5は、「自動伴奏スタイル選択処理」の一実施例を示すフローチャートである。ステップS31は、スタイルカテゴリボタンの操作に応じて対応するカテゴリのスタイルデータリストを提示した「自動伴奏スタイルデータ選択画面」をディスプレイ6A上に表示する。
【0029】
ここで、前記「自動伴奏スタイルデータ選択画面」について図10を用いて説明する。図10は、「自動伴奏スタイルデータ選択画面」の一実施例を示す概念図である。当該画面は、例えばロックやポップスなどといった音楽カテゴリごとに設けられた複数の「スタイルカテゴリ」ボタン(図示せず)のうちのいずれかが操作されることによって表示される。
【0030】
図10に示す「自動伴奏スタイルデータ選択画面」は、自動伴奏に用いることが可能なスタイルデータの候補を音楽カテゴリ単位に提示して、その中から自動伴奏に使用するスタイルデータをユーザに選択(特定)させるための画面である。すなわち、ディスプレイ6Aの周囲に配置されている「A」〜「J」の各汎用ボタンHAに対応する画面位置(表示領域Ga)に、自動伴奏に用いることが可能なスタイルデータの候補を1乃至複数羅列したスタイルデータリストをアイコン表示しておき、「A」〜「J」のいずれかのボタンHAが操作されると対応する画面位置に羅列表示されているスタイルデータリスト内のいずれかのスタイルデータ(スタイルA〜スタイルJ)を選択(特定)するようになっている。図示の例で例えば「A」ボタンHAが操作された場合には、「スタイルA」(具体的には音楽カテゴリが「ロック」の場合、例えばハードロックスタイルやクラシックエイトビートスタイルなどが該当する)が選択されることになる。
【0031】
なお、ディスプレイ6Aの下方に配置されている「1」〜「8」の上下に設けられた各汎用スイッチHBに対応する画面位置(表示領域Gb)に所定の機能アイコンを表示しておき、これらの「1」〜「8」のいずれかのスイッチHBが操作されることに応じて各機能アイコンに応じた所定の機能を実行するようになっていてよい。
【0032】
上記した「自動伴奏スタイルデータ選択画面」上での操作に応じた各種処理を実現する図5に示したフローチャートの説明に戻って、ステップS32は、「A」〜「J」の各ボタンHAの操作に応じて前記スタイルデータリスト内のいずれかのスタイルデータを選択(特定)する。ステップS33は、現時点において自動伴奏再生中であるか否かを判定する。自動伴奏再生中でないと判定した場合には(ステップS33のNO)、ステップS35の処理へジャンプする。この場合、後の自動伴奏の再生開始に備えて使用するスタイルデータの選択を行っておく。一方、自動伴奏再生中であると判定した場合には(ステップS33のYES)、再生中のスタイルデータを選択されたスタイルデータに切り換える(ステップS34)。この場合、スタイルデータ選択に応じて直ちに選択したスタイルデータへの切り換えを行うことに限らず、所望のタイミング(例えば、ドラムパートの演奏パターンデータに基づき再生中の小節に後続する次の小節線タイミングなど)まで待ってから選択したスタイルデータへの切り換えを行うようにしてもよい。ステップS35は、その他の処理を実行する。その他の処理としては、「1」〜「8」スイッチHBに対応表示される各機能アイコンに応じた所定の機能を実行する処理などがあるが、ここでの説明を省略する。
【0033】
次に、チャンネル(パート)毎にリボイス(音色の差し替え)等の所定機能を実行可能にする「チャンネルオン/オフ処理」について、図6を用いて説明する。図6は、「チャンネルオン/オフ処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、スタイルデータの再生中であるか否かに関わらず実行可能である。ステップS41は、図10に示す「自動伴奏スタイルデータ選択画面」の表示中に図示しないチャンネルオン/オフボタンが操作されることに応じて、自動伴奏中であるか否かに関わらずにチャンネル(パート)ごとの発音オン/オフの設定及び音色の差し替えといった所定機能を実現するためのチャンネルオン/オフ機能アイコンを「自動伴奏スタイルデータ選択画面」上に表示する(区別するためにリボイス画面と呼ぶ)。
【0034】
上記「リボイス画面」について図11を用いて説明する。図11は、「リボイス画面」の一実施例を示す概念図である。この図から理解できるように、「リボイス画面」は図10に示した「自動伴奏スタイルデータ選択画面」の表示領域Gbにおける表示内容のみが異なることから、当該部分についてのみ説明する。
【0035】
図11に示す「リボイス画面」の表示領域Gbにおいて「1」〜「8」の各スイッチHBに対応表示されるチャンネルオン/オフ機能アイコンは、前記各スイッチHBに対して「リズム1」や「リズム2」などの各チャンネル(演奏パートに対応)毎の発音オン/オフの設定機能及びリボイス(音色の差し替え)機能を割り当てることを示すものである。本実施例では、「1」〜「8」の上スイッチHBに対して、リズム伴奏1、リズム伴奏2、ベース伴奏、コード伴奏1、コード伴奏2、パッド伴奏、フレーズ伴奏1、フレーズ伴奏2の各チャンネル(1〜8チャンネル)のリボイス機能を、「1」〜「8」の下スイッチHBに対して前記各チャンネルの発音オン/オフの設定機能をそれぞれ割り当てている。上スイッチHBのうちのいずれかが操作された場合には、そのスイッチHBに対応付けられているチャンネルの音色として差し替え可能な音色の候補を示し、その中から差し替えるべき音色を選択することのできる「音色選択画面」(図12参照)に画面を遷移する。なお、チャンネルオン/オフ機能アイコンが対応表示されないスイッチHBがあってもよく、その場合に該当チャンネルは空きチャンネルである。
【0036】
上記した「リボイス画面」上での操作に応じた各種処理を実現する図6に示したフローチャートの説明に戻って、ステップS42は、「1」〜「8」の下スイッチHBの操作に応じて、対応するチャンネルの発音をオン又はオフに設定する。ステップS43は、「1」〜「8」の上スイッチHBの操作に応じて、「音色選択画面」(図12参照)に画面を遷移させると共に対応するチャンネルの音色をユーザに選択させる音色選択処理(後述する図7参照)を実行する。ステップS44は、例えば「A」〜「F」ボタンHAの操作に応じたスタイルデータ選択などの上記音色選択処理以外のその他の処理を実行する。ステップS45は、図示しない「Exit」ボタンの操作に応じて当該処理が終了されたか否かを判定する。「Exit」ボタンが操作されておらず当該処理が終了されていないと判定した場合には(ステップS45のNO)、ステップS42の処理に戻って上記ステップS42〜S45までの処理を繰り返し実行する。「Exit」ボタンが操作され当該処理が終了されたと判定した場合には(ステップS45のYES)、チャンネルオン/オフ状態を確定させて当該処理を終了する。当該処理の終了後は、自動伴奏スタイル選択処理(図5参照)に戻って「自動伴奏スタイルデータ選択画面」(図10参照)に画面を遷移させる。
【0037】
選択されたチャンネルの音色をユーザに選択させる上記「音色選択処理」(図6のステップS43参照)について、図7を用いて説明する。図7は、「音色選択処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理も、スタイルデータの再生中であるか否かに関わらず実行可能である。ステップS51は、音色選択画面をディスプレイ6A上に表示する。
【0038】
上記「音色選択画面」について図12を用いて説明する。図12は、「音色選択画面」の一実施例を示す概念図である。ただし、ここでは図11に示した「リボイス画面」における「1」の上スイッチHBが操作された場合を例に説明する。
【0039】
図12に示す「音色選択画面」は、チャンネル「リズム1」(リズムパート)に割り当て可能なドラムキット(音色)の候補を音色グループ単位に提示して、その中からチャンネル「リズム1」に割り当てるドラムキットをユーザに選択(特定)させるための画面である。すなわち、ディスプレイ6Aの周囲に配置されている「A」〜「J」の各汎用ボタンHAに対応する画面位置(表示領域Ga)に、割り当て可能なドラムキットの候補を1乃至複数羅列したドラムキットリストをアイコン表示しておき、「A」〜「J」のいずれかのボタンHAが操作されると対応する画面位置に羅列表示されているドラムキットリスト内のいずれかのドラムキット(ドラムキットA〜ドラムキットJ)を、前記チャンネル「リズム1」に割り当てるドラムキットとして選択(特定)するようになっている。図示の例で例えば「A」ボタンHAが操作された場合には、「ドラムキットA」(具体的には、例えばアコースティックキットやロックキットあるいはブルースキットなど)が選択されることになる。
【0040】
また、上述したように本実施形態においては自動伴奏中であっても、単に上記した「A」〜「J」のいずれかのボタンHAの操作によるドラムキットの割り当て変更に従って複数のドラム音色を一括差し替えできるだけでなく、割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色の中から任意に選択した1乃至複数のドラム音色を他のドラム音色に適宜に差し替えできるようになっている。具体的には、例えば「5」の上スイッチHBに対してドラムキットの「編集」機能を割り当てておき(図12に示す「音色選択画面」において画面上の対応位置に該当の機能アイコン(編集アイコン)を表示する)、該スイッチHBの操作に応じて「ドラムキット編集画面」(図13参照)に画面を遷移させることによって個々のドラム音色の差し替えを行うことのできるようにしている。詳しくは後述する。
【0041】
上記した「音色選択画面」上での操作に応じた各種処理を実現する図7に示したフローチャートの説明に戻って、ステップS52は、「A」〜「J」ボタンHAの操作に応じていずれかの音色(リズムパートの場合にはドラムキット)を選択する。ただし、リズムパートの場合に、既に割り当て済みとなっているドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうちのいずれかの差し替えを行いたいときは、必ずしも「A」〜「J」ボタンHAの操作を行う必要がない。つまり、ドラムキット自体を差し替えたい(言い換えるならば複数のドラム音色を一括差し替えしたい)ときにだけ「A」〜「J」ボタンHAを操作すればよい。ステップS53は、「5」の上スイッチ操作に応じて「ドラムキット編集画面」(図13参照)に画面表示を遷移させると共に差し替えたいドラム音色をユーザに選択させるドラムキット編集処理(後述する図13参照)を実行する。ただし、ドラムキット以外の音色差し替えのときは、当然のことながらドラムキット編集処理を実行せずに画面表示を「ドラムキット編集画面」に遷移させることなく、「A」〜「J」ボタンHAの操作により選択された各音色に応じた処理を実行する。ステップS54は、例えば「5」の上スイッチHB以外の上下スイッチHBの操作に応じた処理などのその他の処理を実行する。
【0042】
ステップS55は、図示しない「Exit」ボタンの操作に応じて当該処理が終了されたか否かを判定する。「Exit」ボタンが操作されておらず当該処理が終了されていないと判定した場合には(ステップS55のNO)、ステップS52の処理に戻って上記ステップS52〜S55までの処理を繰り返し実行する。「Exit」ボタンが操作されており当該処理が終了されたと判定した場合には(ステップS55のYES)、音色選択状態を確定して当該処理を終了する。当該処理の終了後は、チャンネルオン/オフ処理(図6参照)に戻って「リボイス画面」(図11参照)に画面を遷移させる。
【0043】
次に、選択されたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうちいずれかのドラム音色の差し替えを実現する「ドラムキット編集処理」について、図8を用いて説明する。図8は、「ドラムキット編集処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理も、スタイルデータの再生中であるか否かに関わらず実行可能である。ステップS61は、ドラムキット編集画面をディスプレイ6A上に表示する。
【0044】
上記「ドラムキット編集画面」について図13を用いて説明する。図13は、「ドラムキット編集画面」の一実施例を示す概念図である。従来知られているように、ドラムキットには複数のドラム音色の波形データが含まれており、また各波形データはそれぞれ異なる音高に割り当てられている。そこで、図13に示すように、表示領域Gaには指定された音高(図示の例では音高「F#1」)に現在割り当てられているドラム音色の波形データの名称(ドラム音色名)をドラムキット名と共に表示する。そして、この音高「F#1」に現在割り当てられているドラム音色(波形データ)を他のドラム音色に差し替えたい場合には、「波形選択」機能(波形選択アイコン)が割り当てられている「F」ボタンHAを操作する。該「F」ボタンHAの操作に応じて、音高「F#1」に現在割り当てられているドラム音色として差し替え可能なドラム音色の候補を示した「波形選択画面」(図14参照)に画面が遷移されて、ユーザはその中から差し替えるべきドラム音色を選択することができるようになっている(詳しくは後述する)。
【0045】
上記波形データの表示対象(ターゲット)とする音高の指定は、「1」または「2」の上下スイッチHBを操作することによる。すなわち、音高「F#1」以外に現在割り当てられているドラム音色の波形データを他のドラム音色に差し替えたい場合には、「1」または「2」の上下スイッチHBを操作してドラム音色(波形データ)の差し替え対象(ターゲット)とする音高を選び直せばよい。ところで、ユーザによってはドラム音色を差し替えるべき対象音高が何なのかが明確にわからないような場合がある。例えば、ドラム音色の差し替え対象として選択済みのチャンネル(ドラムパート)の演奏パターンデータに従って発音されている特定のドラム音色を他のドラム音色に差し替えたいような場合に、該特定のドラム音色(例えばバスドラム)が割り当てられている音高が何なのかは、自動伴奏されるドラム演奏を実際に聴いただけでは判別つかない。そこで、対象音高を順番に変更しながら画面上に表示されるドラム音色の波形データの名称(ドラム音色名)を見れば、いつかはバスドラム音色に辿り着けることになるが、「1」または「2」の上下スイッチHBを繰り返し操作しなければならず大変手間がかかり面倒である。
【0046】
本実施形態においては上記不都合を解決するために、「音高表示」機能(音高表示アイコン)が割り当てられた「C」ボタンHAを操作することで、自動伴奏にあわせて発音される各ドラム音色が割り当てられている音高を鍵盤図として表示領域Gaに表示させるようにした。例えばバスドラムが音高「E1」に割り当てられている場合、自動伴奏によりバスドラムが発音されるのにあわせて鍵盤図上の「E1」の位置の鍵盤の表示態様を変更する(図中では黒丸表示しているが、例えば一部を白黒反転する、表示色を変更するなど他の表示態様であってよい)とともに、該当の音高「E1」を文字表示する。これにより、バスドラムが鳴っている瞬間に表示されている音高をユーザが読み取ることで、バスドラムが割り当てられている音高を「E1」に特定することができる。なお、バスドラムと同時に他のドラム音色も発音されている場合には、複数の音高が同時に表示されることになるが、これら表示された複数の音高をユーザが読み取り、順番に対象音高として設定してみれば何回目かにはバスドラムに辿り着くことになるので、バスドラムのみが単音で発音される場合よりは操作が煩雑であるがそれでも比較的簡単にバスドラムの音高を特定することができるので有利である。
【0047】
なお、ドラム音色は差し替えしないが、ボリューム、パン、リバーブ等の自動伴奏に関わる各種パラメータを変更したいような場合には、それぞれ「3」、「4」、「5」の各スイッチHBを操作すればよい。そのために、表示領域Gbには各機能にあわせた機能アイコンが各スイッチHBに対応表示されている。これらの機能アイコンでは、設定値等も表示する。
【0048】
上記した「ドラムキット編集画面」上での操作に応じた各種処理を実現する図8に示したフローチャートの説明に戻って、ステップS62は、「C」ボタンHAの操作に応じて再生中のスタイルデータにおける編集対象のチャンネルの音高に対応する鍵盤図の表示態様を変更すると共に、音高を表示する。なお、スタイルデータが再生中でない場合には前記処理は行なわなくてよい。ステップS63は、「1」又は「2」スイッチ操作に応じて対象(ターゲット)音高を変更する。ステップS64は、「F」ボタンHAの操作に応じて、「波形選択画面」(図14参照)に画面を遷移させると共に差し替えるドラム音色の波形データを選択する波形選択処理(後述する図9参照)を実行する。ステップS65は、例えば「3」〜「7」スイッチHBの操作によるパラメータ変更や「J」ボタンHAの操作による保存/割り当て処理などのその他の処理を実行する。詳しくは後述するが(後述する図16参照)、保存/割り当て処理では1乃至複数のドラム音色が差し替えられたドラムキットを差し替え前のドラムキットとは別に保存しておき、該保存したドラムキットを参照するようにスタイルデータの演奏パターンデータ(ドラムパート)と前記ドラムキットとの対応付けを行う。
【0049】
ステップS66は、図示しない「Exit」ボタンの操作に応じて当該処理が終了されたか否かを判定する。「Exit」ボタンが操作されておらず当該処理が終了されていないと判定した場合には(ステップS66のNO)、ステップS62の処理に戻って上記ステップS62〜S66までの処理を繰り返し実行する。「Exit」ボタンが操作されており当該処理が終了されたと判定した場合には(ステップS66のYES)、ドラムキットの編集状態を確定させて当該処理を終了する。当該処理の終了後は、音色選択処理(図7参照)に戻って「音色選択画面」(図12参照)に画面を遷移させる。
【0050】
上記「波形選択処理」(図8のステップS64参照)について、図9を用いて説明する。図9は、「波形選択処理」の一実施例を示すフローチャートである。ステップS71は、波形選択画面をディスプレイ6A上に表示する。
【0051】
上記「波形選択画面」について図14を用いて説明する。図14は、「波形選択画面」の一実施例を示す概念図である。図14に示すように、「波形選択画面」においては選択(差し替え)可能なドラム音色の波形データを、音色波形(データ)名、割り当て済みの音高、分類されるドラムキットなどを提示する波形リストとして表示領域Gaに表示すると共に、「1」、「2」の上下スイッチHBを操作することでページ単位に波形リストの表示を変更したり、「3」、「4」、「5」のいずれかの上下スイッチHBを操作することで波形リスト内に記載された中から所望のドラム音色の波形データを上下スクロールにより選択することができるように、それらの機能にあわせた機能アイコンを表示領域Gbに対応表示する。また、「6」の上下スイッチHBの操作に応じて選択されているドラム音色の波形データのみを単独で発音させることができるように該当の機能アイコン(発音アイコン)が表示領域Gbに対応表示されており、ユーザは「6」の上下スイッチHBを操作すれば所望のドラム音色か否かを確認することができるようになっている。
【0052】
ここに示す例では、「G」ボタンHAに対して「カテゴリ順」又は「ドラムキット順」(ドラムキット内では波形データが割り当てられている音名順)に波形リスト内における波形データの表示順を変更する機能(ソート順アイコン)が割り当てられている。すなわち、この「G」ボタンHAを操作することで「カテゴリ順」又は「ドラムキット順」にソートの仕方を変更することができるので、これによりユーザはドラム音色のカテゴリを頼りに波形データの選択を行いたいような場合には前者の順でソートした波形リストを表示させる一方で、「あのドラムキットに含まれていたドラム音色」といったようなユーザ自身の記憶を頼りに波形データの選択を行いたいような場合には後者の順でソートした波形リストを表示させることによって、効率的に所望の波形データを選択することができるようになる、という利点がある。
【0053】
また、上記「カテゴリ順」が選ばれている場合、「F」ボタンHAに対してどのカテゴリに含まれている波形データを波形リストに表示させるかを選択するためのカテゴリリスト画面を表示する機能(カテゴリアイコン)が割り当てられる。この「F」ボタンHAの操作に従って画面上に表示されるカテゴリリスト画面の一実施例を図15に示す。カテゴリリスト画面PGは「波形選択画面」上に重ねあわされるようにしてポップアップ表示される画面であって、カテゴリ名(図中におけるアイテム表示)を羅列表示する。また、カテゴリ名のリスト表示横には上下ボタンの機能アイコンが表示されており、これらが対応表示されている「G」又は「H」ボタンHAの操作に従ってリスト内のいずれかのカテゴリが選択されるようになっている。カテゴリが選択されるとカテゴリリスト画面PGが消去されて、選ばれたカテゴリに分類されている1乃至複数の波形データが「波形選択画面」の波形リストに表示される。このようにして、ユーザが「カテゴリ」機能を割り当てた「F」ボタンHAを操作するだけで、簡単に所望のカテゴリに辿り着けるようにしている。
【0054】
一方、上記「ドラムキット順」が選ばれている場合には、「F」ボタンHAに対してどのドラムキットに含まれている波形データを波形リストに表示するかを選択するためのドラムキットリスト画面(図示せず)を表示する機能が割り当てられる。すなわち、この場合には「F」ボタンHAの操作に従って、図15に示したカテゴリリスト画面PGと同様の構成であってドラムキット名を羅列表示したドラムキットリスト画面が画面上にポップアップ表示され、ユーザが簡単に所望のドラムキットに辿り着けるようにしている。なお、この場合に「F」ボタンHAに対応表示させる機能アイコンの名称を「カテゴリ」から「ドラムキット」などのように変更した方が、ユーザがポップアップ表示された画面のリスト内容を誤解しないので望ましい。
【0055】
上記した「波形選択画面」上での操作に応じた各種処理を実現する図9に示したフローチャートの説明に戻って、ステップS72は、「1」〜「5」スイッチHBの操作に応じて波形リストのページ切り換えや上下スクロールに従って波形データを選択する。ステップS63は、「6」スイッチHBの操作に応じて選択中の波形データに基づき楽音を発音させる。ステップS64は、「G」ボタンHAの操作に応じて波形データのソート順をドラムキット順とカテゴリ順との間で適宜に切り換える。ステップS65は、「F」ボタンHAの操作に応じてドラムキットリスト画面あるいはカテゴリリスト画面をポップアップ表示し(図15参照)、所定操作子の操作で前記リスト画面内のいずれかのアイテム(ドラムキット又はカテゴリ)を選択する。当該選択に応じてポップアップ表示されていたドラムキットリスト画面あるいはカテゴリリスト画面が消去されると共に、選ばれたドラムキット又はカテゴリに分類されている1乃至複数の波形データが「波形選択画面」の波形リストに表示される。
【0056】
ステップS76は、図示しない「Exit」ボタンの操作に応じて当該処理が終了されたか否かを判定する。「Exit」ボタンが操作されておらず当該処理が終了されていないと判定した場合には(ステップS76のNO)、ステップS72の処理に戻って上記ステップS72〜S76までの処理を繰り返し実行する。「Exit」ボタンが操作され当該処理が終了されたと判定した場合には(ステップS76のYES)、波形データの選択状態を確定させて当該処理を終了する。当該処理の終了後は、ドラムキット編集処理(図8参照)に戻って「ドラムキット編集画面」(図13参照)に画面を遷移させる。
【0057】
上記したようにして図示しない「Exit」ボタンが操作されて「波形選択画面」(図14参照)から「ドラムキット編集画面」(図13参照)へと画面が遷移された後に、「ドラムキット編集画面」において「ストア」機能アイコンが対応表示されている「J」ボタンHAが操作されると、ドラムキット内の任意の1乃至複数のドラム音色が差し替えられたドラムキット(これをカスタムドラムキットと呼ぶ)が保存される(別名または上書き)。また、この際には、当該カスタムドラムキットが自動伴奏スタイルデータに規定されているドラムパートの演奏パターンデータに対応付けられる。これにより、ユーザによって任意の1乃至複数のドラム音色が差し替えられたドラムキットを参照するようにスタイルデータが変更されて、これに基づき差し替え後のドラム音色を反映した自動伴奏が行われるようになる。図16を用いて説明する。図16は、ドラムキットと演奏パターンデータとの対応付け関係を説明するための概念図である。
【0058】
スタイルデータの演奏パターンデータST(ドラムパート)には、記憶装置8に記憶されている所定のプリセットドラムキットDPが予め対応付けられている。上述した「音色選択画面」(図12参照)上での操作に従って、他のプリセットドラムキットDPのいずれかに対応付けるよう一時的に変更する。そのために、対応付けるプリセットドラムキットDPを記憶手段8等からエディットバッファEBにコピーし、該エディットバッファEBにコピーされたドラムキットを一時的に参照するよう対応付けが行われる。「ドラムキット編集画面」(図13参照)への遷移に従い、エディットバッファEBにコピーされたドラムキットの任意の1乃至複数のドラム音色を一時的に差し替えることが可能となる。勿論、「音色選択画面」において他のプリセットドラムキットDPのいずれかに対応付けを変更しない場合には、予め対応付けられていた元のプリセットドラムキットDPをエディットバッファEBにコピーして1又は複数のドラム音色の差し替えを行うことのできるようにすればよい。
【0059】
「ドラムキット編集画面」(図13参照)及び「波形選択画面」(図14参照)上での操作に従って行われたドラム音色差し替え後のドラムキットを、ストア機能の実行に応じてカスタムドラムキットDCとしてエディットバッファEBから記憶装置8等にコピーして保存した後、該記憶装置8に保存されたカスタムドラムキットDCを正式にスタイルデータの演奏パターンデータST(ドラムパート)に対応付けることにより、任意の1乃至複数のドラム音色の差し替えを一時的なものでなく恒久的なものとする。なお、こうしたカスタムドラムキットDCとの恒久的な対応付け後に、更に前記対応付けたカスタムドラムキットDCの一部のドラム音色の差し替えを行うことも可能である。
【0060】
以上のように、本発明に係る電子音楽装置では、図12に示す「音色選択画面」において「5」の上スイッチHBに対しドラムキットの「編集」機能を割り当てておき、自動伴奏スタイルデータに基づいて複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音(ドラム演奏)の再生中であっても、該スイッチHBの操作に応じて「ドラムキット編集画面」(図13参照)に画面を遷移させて、ドラムパートに割り当てられたドラムキットに規定されている複数のドラム音色のうち任意の1乃至複数のドラム音色を個別に差し替えできるようにした。こうすることによって、ユーザは差し替えられたドラム音色が反映された自動伴奏をすぐに確認しながらドラム音色の差し替えを行うことが容易にできるようになる。
【0061】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4,5…検出回路、4A…演奏操作子、5A…設定操作子、6…表示回路、6A…ディスプレイ、7…音源・効果回路、7A…サウンドシステム、8…記憶装置、9…通信インタフェース、1D…データ及びアドレスバス、EB…エディットバッファ、Ga(Gb)…表示領域、HA…「A」〜「J」の各汎用ボタン、HB…「1」〜「8」の各汎用スイッチ、ST…スタイルデータの演奏パターンデータ(ドラムパート)、DP…プリセットドラムキット、DC…カスタムドラムキット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドラム音色の組み合わせを規定してなるドラムキットを記憶する記憶手段と、
前記ドラムキットに対応付けられた演奏パターンデータを少なくとも有する自動伴奏スタイルデータに基づいて、前記複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音を再生する楽音再生手段と、
前記ドラムパートの楽音再生中に、前記ドラムキットに規定された複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を差し替えるドラムキット編集手段と
を備える電子音楽装置。
【請求項2】
前記任意の1乃至複数のドラム音色を差し替えた後のドラムキットを差し替え前のドラムキットとは別の新たなドラムキットとして前記記憶手段に記憶すると共に、前記ドラム音色を差し替えた後のドラムキットを前記演奏パターンデータに対応付ける制御手段を更に備える請求項1に記載の電子音楽装置。
【請求項3】
前記ドラムキットに規定されている複数のドラム音色は予めそれぞれが異なる音高に割り当て済みであって、前記ドラムキット編集手段は前記ドラムパートの楽音再生にあわせて再生中のドラム音色の音高を視覚的に表示することによって、差し替え対象のドラム音色を音高の指定に従って特定できるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子音楽装置。
【請求項4】
コンピュータに、
複数のドラム音色の組み合わせを規定してなるドラムキットを記憶する手順と、
前記ドラムキットに対応付けられた演奏パターンデータを少なくとも有する自動伴奏スタイルデータに基づいて、前記複数のドラム音色を組み合わせた所定の演奏パターンからなるドラムパートの楽音を再生する手順と、
前記ドラムパートの楽音再生中に、前記ドラムキットに規定された複数のドラム音色のうちの任意の1乃至複数のドラム音色を差し替える手順と
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−18358(P2012−18358A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156996(P2010−156996)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】