説明

電文収録装置

【課題】 実際の配信間隔と同じタイミングで再送を行って、障害発生の再現テストを実施できると共に、忠実に再現する必要がない部分については短い電文間隔で高速再送して、効率的にシミュレーションを行うことができる電文収録装置を提供する。
【解決手段】 制御部21が、RTC24に基づいて、受信データにタイムスタンプを付して記憶部23に時系列に記憶しておき、システム時刻の起点時刻を任意に設定可能とし、起点時刻が設定されると、定期的にRTC24に基づいてシステム時刻を更新して保持し、シミュレーション送信の指示があると、システム時刻に一致するタイムスタンプが付されたデータを順次下位システムに送信すると共に、システム時刻が進められる方向で新たな起点時刻が設定された場合には、新たな起点時刻よりも古い時刻のタイムスタンプが付された未送信データを抽出して、短い電文間隔で高速送信する電文収録装置としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信システムにおいて、データのシミュレーション送信を行う電文収録装置に係り、特に、下位システムにおいて発生した障害の再現テストを実施でき、また、効率的にシミュレーションを行うことができる電文収録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明]
一般的な情報配信システムについて図7を用いて説明する。図7は、一般的な情報配信システムの概略構成ブロック図である。
図7に示すように、一般的な情報配信システムは、データ配信元装置1と、電文収録装置2と、データ処理システム3と、下位システム4とを備え、それぞれネットワークを介して接続されている。
データ配信元装置1は、入力されたデータを下位システム宛に配信し、データ処理システム3は、データを適切な形式に編集処理し、下位システムに送信する。
下位システム4は、データ処理システム3からデータを受信して、表示する。
【0003】
そして、電文収録装置2は、下位システム4における入出力データが正常か否かを監視するものであり、データ配信元装置1からの受信データを収録する。また、電文収録装置2は、テストツールとして、収録しているデータを下位システム4に再送する。
例えば、下位システム4において受信時に障害が発生して、正常にデータを受信できなかった場合に、オペレータの操作により、電文収録装置2が、収録しているデータを用いて下位システム4にデータを再送して運用シミュレーションを行い(シミュレーション送信)、障害の原因究明を図るものである。
【0004】
[先行技術文献]
尚、情報配信システムに関する従来技術として、平成16年11月18日公開の特開2004−326395号「情報配信システム」(出願人:株式会社日立国際電気、発明者:三井裕之)がある。
この従来技術は、各クライアント装置において現在表示している表示データが、更新されたか否かを、表示データの管理コードに付与された通番により判断し、通番が更新された最新である場合に、サーバ装置が、該当するクライアント宛に更新された表示データを送信するものであり、トラフィックを軽減し、リアルタイムの更新を可能とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−326395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電文収録装置では、収録された電文を下位システムに再送する場合、データ配信元装置からのデータ配信間隔に関わらず、予め設定された一定間隔でしか送信することができないため、実際の受信環境に合わせた受信タイミングによる障害発生の再現テストを実施できず、また、送信間隔の変更ができないため効率的なシミュレーションができないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたもので、実際の配信間隔と同じタイミングで再送を行って、障害発生の再現テストを実施できると共に、配信間隔を忠実に再現する必要がない部分については短い電文間隔で高速再送して、効率的にシミュレーションを行うことができる電文収録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、データ配信元装置から下位システムにデータを配信する情報配信システムにおいて用いられ、データ配信元装置から受信したデータを収録する記憶部と、指示に基づいて収録されたデータを下位システムへシミュレーション送信する制御部とを備えた電文収録装置であって、リアルタイムクロックを備え、制御部が、受信したデータにリアルタイムクロックに基づいてタイムスタンプを付して記憶部に時系列に記憶しておき、シミュレーション送信の際に参照するシステム時刻の起点となる起点時刻を任意に設定可能とし、起点時刻が設定されると、定期的にリアルタイムクロックに基づいてシステム時刻を更新して保持し、シミュレーション送信の指示があると、保持しているシステム時刻とタイムスタンプとを比較して、一致した場合に対応するデータを下位システムに送信すると共に、シミュレーション送信の処理中にシステム時刻を進める方向で新たな起点時刻が設定された場合には、新たな起点時刻よりも古いタイムスタンプが付された未送信のデータを抽出して、抽出されたデータを予め設定された短い間隔で高速送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リアルタイムクロックを備え、制御部が、受信したデータにリアルタイムクロックに基づいてタイムスタンプを付して記憶部に時系列に記憶しておき、シミュレーション送信の際に参照するシステム時刻の起点となる起点時刻を任意に設定可能とし、起点時刻が設定されると、定期的にリアルタイムクロックに基づいてシステム時刻を更新して保持し、シミュレーション送信の指示があると、保持しているシステム時刻とタイムスタンプとを比較して、一致した場合に対応するデータを下位システムに送信するものであり、更に、シミュレーション送信の処理中にシステム時刻を進める方向で新たな起点時刻が設定された場合には、新たな起点時刻よりも古いタイムスタンプが付された未送信のデータを抽出して、抽出されたデータを予め設定された短い間隔で高速送信する電文収録装置としているので、下位システムで受信エラーが発生した場合等には、実際の送信間隔と同じ間隔でシミュレーション送信を行って、障害発生時の受信状況を再現するテストを実施することができ、また、実際の送信間隔を忠実に再現する必要がない時間帯については、データをまとめて高速送信することによりシミュレーション送信に要する時間を短縮して、テストを効率的に行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[発明の概要]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る電文収録装置は、受信したデータにリアルタイムクロックに基づいてタイムスタンプを付して時系列に記憶しておき、データ再送(シミュレーション送信)の指示があると、シミュレーション送信における送信タイミングの基準となるシステム時刻とタイムスタンプとを比較して、システム時刻に一致するタイムスタンプが付されたデータを順次送信するものであり、実際の送信間隔と同じ間隔でシミュレーション送信を行って、実際の受信タイミングに合わせた再現テストを行うことができるものである。
【0011】
また、本発明の実施の形態に係る電文収録装置は、シミュレーション送信処理中であっても、システム時刻を任意に設定可能とし、時刻が進められた場合には、新たに設定されたシステム時刻の起点時刻よりも古い時刻のタイムスタンプが付されたデータを短い電文間隔で高速送信するものであり、シミュレーション送信を短時間で効率的に行うことができるものである。
【0012】
[システム構成]
本発明の実施の形態に係る電文収録装置(本装置)は、図7に示した情報配信システムにおいて用いられるものである。
【0013】
[実施の形態の構成:図1]
本装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る電文収録装置(本装置)の構成ブロック図である。
図1に示すように、本装置2は、パーソナルコンピュータ等で構成されており、基本的に、制御部21と、主メモリ22と、記憶部23と、RTC(Real Time Clock)24と、インタフェース部25とを備えている。更に、通常、入力部や表示部を備えているがここでは図示を省略する。
【0014】
各構成部分について説明する。
インタフェース部25は、データ配信元1や下位システム4に接続するネットワークや、入力部、表示部に接続するための接続部である。
RTC24は、現在日時を計時するリアルタイムクロックである。
記憶部23は、ハードディスク等によって構成され、制御部21における処理プログラム、収録データ、ユーザによって入力されたシステム時刻の起点時刻のデータ等を記憶している。また、図示は省略するが、シミュレーション送信処理中にシステム時刻が変更になった場合に行うハイトラフィック送信における送信間隔のデータも記憶されている。
主メモリ22は、制御部21のワークメモリであり、処理に必要なプログラムを展開し、データを保持する。
【0015】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、本装置の特徴部分であるシミュレーション送信の処理を行う。
制御部21は、処理手段として、受信手段、収録手段、時刻設定手段、送信手段を備えている。各処理手段は、記憶部23に記憶されているプログラムを制御部21が主メモリ22に展開して起動することによって実現されるものである。
【0016】
また、本装置の特徴として、制御部21は、RTC24と、ユーザによって設定されたシステム時刻起点データに基づいて、シミュレーション送信を行う際に参照するシステム時刻を算出して保持し、シミュレーション送信の指示があると、システム時刻に基づいて収録データをシミュレーション送信する。
制御部21の動作については後で説明する。
【0017】
[制御部の機能構成及び本装置の概略動作:図2]
次に、制御部21における機能構成と、本装置の概略動作について図2を用いて説明する。図2は、本装置の制御部21における機能構成及び概略動作を示す模式説明図である。
図2に示すように、制御部21は、処理手段として、受信手段、収録手段、時刻設定手段、送信手段を備えている。
【0018】
各処理手段の動作について説明する。
受信手段は、図7に示したデータ配信元装置1からデータを受信する(S11)。
収録手段は、RTC24を参照して、受信したデータに受信日時を示すタイムスタンプを付加し(S21)、記憶部23に収録データとして記憶する(S22)。図2では、RTC24からのリアルタイムデータを「PC日付・時刻」と表している。
【0019】
また、時刻設定手段は、シミュレーション送信の処理を行うアプリケーション上の時刻であるシステム時刻を管理するものであり、ユーザによって設定された時刻のデータ(システム時刻起点データ)とRTC24との差分を保持しておき、定期的にシステム時刻を算出して保持する。
【0020】
システム時刻起点データは、ユーザによって入力部からシステム時刻変更(設定)の指示があった際に記憶されるデータであり、特定のRTC時刻とそれに対応するシステム時刻の起点時刻とからなる。そして、システム時刻起点データは、RTC24の特定時刻を、システム時刻上の所望の時刻に設定することを指定するものである。
【0021】
例えば、RTC時刻9:00とシステム時刻9:15が対応付けられているシステム時刻起点データは、RTC24の9:00をシステム時刻では9:15に設定する、という意味である。ユーザからの指示が、今のシステム時刻の特定時刻を新たに別の時刻に設定するものであってもよく、その場合には、時刻設定手段が新たなシステム時刻をRTC24の時刻と対応付けて記憶部に記憶しておく。
ここで、「システム時刻起点データ」における「システム時刻の起点時刻」は、請求項における「起点時刻」に相当するものである。
【0022】
尚、システム時刻起点データの入力時に、システム時刻の起点時刻のみが指定され、RTC時刻の指定がなければ、制御部21の時刻設定手段はデフォルトとしてその時点のRTC24の時刻をそのままシステム時刻起点データのRTC時刻として保持することが考えられる。
【0023】
そして、時刻設定手段は、システム時刻起点データで指定されたRTC24の時刻と所望のシステム時刻との差分を保持しておき、定期的、例えば1秒毎に、RTC24の時刻に一定時間を加算又は減算してシステム時刻を更新し、保持している。
【0024】
また、本装置の時刻設定手段は、シミュレーション送信の処理中であっても、新たなシステム時刻起点データが設定された場合には、それに基づいて新たな起点時刻からシステム時刻の更新を行う。
上述した例では、時刻設定手段は、RTC24が9:00になった時点でシステム時刻を9:15として、そこからシステム時刻の更新を行う。本装置において電文をシミュレーション送信する際には、このシステム時刻に従って送信を行うようになっている。
【0025】
送信手段は、シミュレーション送信の指示が入力された場合に、収録データに付されたタイムスタンプとシステム時刻とを比較して、送信すべきデータを特定し(S41)、下位システムにデータを送信する(S42)。
ここで、送信手段は、通常は、タイムスタンプがシステム時刻に一致するデータを順次読み取って送信するが、本装置の特徴として、シミュレーション送信の処理中にシステム時刻が変更されて進められた場合(「時刻進め」があった場合)には、新たに設定されたシステム時刻の起点時刻よりも古い時刻のタイムスタンプが付された未送信のデータを、まとめて、予め設定された短い電文間隔(ハイトラフィック電文間隔)で高速送信する。これにより、電文の受信がなかった時間帯や、実際の送信間隔を忠実に再現する必要がない時間帯をスキップさせてシミュレーション送信を効率的に実行できるものである。
【0026】
[収録データの例:図3]
次に、記憶部23に記憶されている収録データについて図3を用いて説明する。図3は、記憶部23に記憶されている収録データの構成を示す模式説明図である。
図3に示すように、収録データは、制御部21の受信手段によって受信日時を示すタイムスタンプとして、リアルタイムの日付と日時が付され、受信順に記憶されている。
図3の例では、例えば、データ1のタイムスタンプ(日付20080201、時刻131000)は、2008年2月1日13:10:00に受信されたデータであることを示している。
【0027】
[シミュレーション送信の例:図4]
本装置のシミュレーション送信(データ再送)の例について、従来の再送方法と比較しながら図4を用いて説明する。図4は、本装置と従来の装置のシミュレーション送信を示す模式説明図である。
図4(a)は、受信データに付されたタイムスタンプを示している。尚、ここでは、具体例として、図3に示したデータ1〜データ6についてシミュレーション送信を行う場合について示しており、左から順にデータ1〜データ6を表している。
【0028】
図4(b)に示すように、従来の電文収録装置におけるシミュレーション送信では、2分おきにデータを送信することが決められており、この間隔を変更することができなかった。そのため、実際には(a)に示した間隔で送信されたにもかかわらず、データ1〜データ6は全て2分間隔でシミュレーション送信されていた。
【0029】
そして、本装置では、図4(c)に示すように、タイムスタンプがシステム時刻に一致したデータを送信するようにしているので、再送電文をタイムスタンプ通りの間隔、つまり実際の送信時の間隔で送信することができるものである。
これにより、運用シミュレーションにおいて実環境と差異のないテストを実施することができ、データの受信タイミングが原因で発生する障害の再現テストを実施できるものである。
【0030】
[時刻進めを行ったシミュレーション送信の例:図5]
次に、時刻進めを行った場合のシミュレーション送信の例について図5を用いて説明する。図5は、時刻進めを行ったシミュレーション送信の例を示す模式説明図である。
図5(a)は、時刻進めなしの場合を示しており、図4(c)と同様に、システム時刻に従ってタイムスタンプ通りに送信を行う。
【0031】
図5(b)は、現在のシステム時刻が13:10よりやや前の時点において、システム時刻の13:12を新たなシステム時刻の13:18とする時刻進めを行った場合の送信例である。
現在のシステム時刻が13:10よりやや前の時点で13:12を新たなシステム時刻の13:18とする時刻進めの指示が入力されると、制御部21の時刻設定手段は、システム時刻の13:12をRTCの時刻に変換して、当該RTC時刻と新たなシステム時刻の13:18とを対応付けるシステム時刻起点データを記憶部23に記憶し、システム時刻変更の処理として、今のシステム時刻が13:12になるまで更新を続けて監視し、13:12になった時点で保持しているシステム時刻を13:18に設定変更する。そして、その後はRTC24に基づいてそれまでと同様に定期的にシステム時刻を更新する。
【0032】
それと共に、制御部21の送信手段は、13:10よりやや前に時刻進めが発生すると、新しく設定されたシステム時刻の起点時刻である13:18よりも古い時刻のタイムスタンプが付されたデータを全て抽出し、記憶部23に予め設定されているハイトラフィック電文間隔で、抽出されたデータを全て送信する。ここでは、データ1,2,3,4がまとめて高速再送される。そして、システム時刻が13:18に設定されてから後は、通常通りにシステム時刻にタイムスタンプが合致するデータを送信する。
これにより、例えば、障害発生とは無関係の部分などはまとめて高速再送することができ、シミュレーション送信を効率的に行うことができるものである。上述した例では、6分間の時間短縮になる。
【0033】
[シミュレーション送信処理:図6]
次に、本装置におけるシミュレーション送信処理について図6を用いて説明する。図6は本装置におけるシミュレーション送信処理のフローチャート図である。
図6に示すように、シミュレーション送信開始の指示が入力されると、制御部21はシミュレーション送信の処理を開始する。
【0034】
尚、通常、シミュレーション送信を行う際には、まず、システム時刻設定変更の処理を行う。つまり、ユーザは、再送したいデータのタイムスタンプを参照して、それより少し前の時刻にシステム時刻を設定する。
【0035】
例えば、図3に示したデータ1〜データ6を再送する場合には、システム時刻の起点時刻を20080201の130950に設定してシミュレーション送信の処理を開始すれば、その時点のRTC時刻をシステム時刻の20080201の130950とするシステム時刻起点データが記憶され、制御部21にRTC時刻との差分が保持される。そして、RTC24に基づいてシステム時刻が定期的(例えば1秒毎)に更新され、システム時刻が20080201の131000になったときにデータ1が送信される。そして、所望のデータの送信が終了したら、シミュレーション送信処理が終了する。
または、シミュレーション送信開始の指示に、タイムスタンプの時間の条件を付して、当該条件に合致するデータの送信のみを行うようにしてもよい。
【0036】
処理が開始されると、本装置の制御部21は、処理開始時以降のタイムスタンプが付されているデータを送信対象データとして認識する。上述した例では、タイムスタンプが20080201の130950以降のデータを送信対象とする。
そして、制御部21は、時刻進めの指示があったかどうかを判断し(100)、時刻進めがなかった場合には(Noの場合)、記憶部23に時系列に記憶されている収録データの内、送信対象データの先頭に記憶されているデータのタイムスタンプを読み取って(102)、システム時刻と比較し(104)、一致するまで待機して(Noの場合)、一致した場合(YESの場合)に当該データを下位システムに送信し(106)、処理108に移行する。
【0037】
また、処理100で時刻進めがあった場合(YESの場合)には、制御部21は、送信対象のデータの内、未送信のデータについて、時刻進めにより設定されたシステム時刻起点データに基づいて、新たなシステム時刻の起点となる時刻(図5の例では13:18)よりも古いタイムスタンプが付されたデータを抽出する。
【0038】
そして、制御部21は、抽出された全てのデータを、間隔の短いハイトラフィック電文間隔で、まとめて高速送信し(122)、処理108に移行する。
【0039】
そして、処理106,122の後、制御部21は、全てのデータを送信し終わったかを判断し(108)、全てのデータを送信し終わっていない場合(Noの場合)には、処理100に移行して、再び時刻進めがあったかどうかを判断し、なければ時系列に記憶された次のデータについてタイムスタンプに従って送信する。
処理108において、送信終了の指示が入力された場合(YESの場合)には、制御部21は、シミュレーション送信の処理を終了する。
このようにして、本装置のシミュレーション送信の処理が行われるものである。
【0040】
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態に係る電文収録装置によれば、制御部21が、RTC24に基づいて、受信したデータにタイムスタンプを付して記憶部23に時系列に記憶しておき、任意に設定された起点時刻から、RTC24に基づいてシステム時刻を定期的に更新して保持し、データ再送(シミュレーション送信)の指示があると、保持しているシステム時刻とタイムスタンプとを比較して、システム時刻に一致するタイムスタンプが付されたデータを順次下位システムに送信する電文収録装置としており、実際の送信間隔と同じ間隔で電文のシミュレーション送信を行うことができ、実際の受信タイミングに合わせた障害発生の再現テストを行うことができる効果がある。
【0041】
また、本電文収録装置によれば、シミュレーション送信処理中であっても、システム時刻の起点時刻を設定可能とし、システム時刻を進める方向で新たな起点時刻が設定された場合には、制御部21は、送信対象のデータの内、新たに設定されたシステム時刻の起点時刻よりも古い時刻のタイムスタンプが付された未送信のデータを全て抽出して、短い電文間隔で高速送信するものであり、障害発生等の再現テストにおいてあまり重要ではない部分をスキップして、シミュレーション送信を短時間で効率的に行うことができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、実際の配信間隔と同じタイミングで再送を行って、障害発生の再現テストを実施できると共に、配信間隔を忠実に再現する必要がない部分については短い電文間隔で高速再送して、効率的にシミュレーションを行うことができる電文収録装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る電文収録装置(本装置)の構成ブロック図である。
【図2】本装置の制御部21における機能構成及び概略動作を示す模式説明図である。
【図3】記憶部23に記憶されている収録データの構成を示す模式説明図である。
【図4】本装置と従来の装置のシミュレーション送信を示す模式説明図である。
【図5】時刻進めを行ったシミュレーション送信の例を示す模式説明図である。
【図6】本装置におけるシミュレーション送信処理のフローチャート図である。
【図7】一般的な情報配信システムの概略構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1…データ配信元装置、 2…電文収録装置、 3…データ処理システム、 4…下位システム、 21…制御部、 22…主メモリ、 23…記憶部、 24…RTC、 25…インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ配信元装置から下位システムにデータを配信する情報配信システムにおいて用いられ、前記データ配信元装置から受信したデータを収録する記憶部と、指示に基づいて前記収録されたデータを前記下位システムへシミュレーション送信する制御部とを備えた電文収録装置であって、
リアルタイムクロックを備え、
前記制御部が、前記受信したデータにリアルタイムクロックに基づいてタイムスタンプを付して前記記憶部に時系列に記憶しておき、シミュレーション送信の際に参照するシステム時刻の起点となる起点時刻を任意に設定可能とし、起点時刻が設定されると、定期的に前記リアルタイムクロックに基づいてシステム時刻を更新して保持し、シミュレーション送信の指示があると、前記保持しているシステム時刻と前記タイムスタンプとを比較して、一致した場合に対応するデータを下位システムに送信すると共に、前記シミュレーション送信の処理中に前記システム時刻を進める方向で新たな起点時刻が設定された場合には、前記新たな起点時刻よりも古いタイムスタンプが付された未送信のデータを抽出して、前記抽出されたデータを予め設定された短い間隔で高速送信することを特徴とする電文収録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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