説明

電柱支線用蔓巻防止装置の取付方法

【課題】電柱の支線に対し蔓巻防止装置を少ない労力で簡単に取り付けられるようにする。
【解決手段】半筒状体1a,1bが蝶番部2を介して開閉可能に設けられているとともに内面に凹溝4a,4bが形成された防止具本体1と、固定体20とからなり、該固定体には支線40を挟着固定する挟着機構30が設けられ、一方の半筒状体1aに支線40に引っ掛け得るフック11aを設け、該半筒状体1aと固定体20との互いの分離を不能にする仮係止手段41を設け、フック11aを支線に引っ掛けた状態で挟着機構30を操作することにより固定体20を支線40に固定し、その状態で半筒状体1aに他方の半筒状体1bを合着させるとともに仮係止状態を解除する。これにより防止具本体1が固定体20に支持された状態にて支線40の外周に回転自在に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱を支持している支線にツタ等の蔓性の植物が巻き上がるのを防ぐ蔓巻防止装置に関し、該蔓巻防止装置を支線に対し簡単に取り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ツタ等の蔓性植物が生い茂る場所では、電柱を支持するために地上から斜めに張られた支線にその蔓性植物が巻き上がり電柱の上部まで達することがあり、これが原因で地絡事故を発生させるおそれがあった。
このように蔓性植物が支線に巻き上がるのを防止するための蔓巻防止装置が下記特許文献1、2に示されており、特許文献1に示された蔓巻防止装置は、筒状の防止具本体内に支線を挟着する爪部材を備えることにより支線に対し強い挟着力が得られるものである。また、特許文献2に示された蔓巻防止装置は、支線に取り付けられた固定体を防止具本体が包み込み、内包後に固定体と防止具本体が一体化する構造である。しかしこれらの蔓巻防止装置は、支線が通常は複数本の鋼線を螺旋状に撚り合わせた索条からなるものであったので、風によって該防止具本体に回転トルクが掛かるとその鋼線に沿って該防止具本体が回転し、ずり落ちるおそれがあった。
【0003】
また、下記特許文献3に示された蔓巻防止装置は、支線にUボルトを固定し、該Uボルトの上部に円筒状の防止具本体が支持されるように構成されたものであり、特許文献4に示された蔓巻防止装置は、板状の防止具本体を支持してなるものであり、これらの特許文献に示された構成では、防止具本体が自由に回転し得るので、防止具本体の回転トルクがUボルト等の固定体に伝わらず、固定体が回転しないために上記のようなずり落ちが防止される。
また、下記特許文献5に示された蔓巻防止装置は、支線に取り付けられた固定体を防止具本体が包み込み、内包後に固定体に対して防止具本体が回転自在に取り付けられ、風によって該防止具本体が回転しても固定体に回転トルクが掛かることなく、ずり落ちが防止されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−38585号公報
【特許文献2】実開平3−20663号公報
【特許文献3】実開昭57−198252号公報
【特許文献4】実用新案登録第3123795号公報
【特許文献5】特開2009−118751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これらの蔓巻防止具のように、防止具本体と固定体とからなるものは、固定体を支線に取り付ける作業と、防止具本体を支線に取り付ける作業とが必要であるので少なくとも2回の取付作業が必要であって面倒であるとともに、雑草が多く生えた足場が悪い環境でこのような作業をしなければならないので危険であった。
また、防止具本体は、蔓巻を防ぐために太くて長く形成されたものであるので、これを一方の手で支えながら爪部材やボルトを操作し支線に固定するといった取付作業は、特に一人の作業者によって行うことは容易でなかった。
本発明は、蔓巻防止具の風などによるずり落ちを防止するという効果を維持しつつ、かつ蔓巻防止具の上記のような取付作業上の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の取付方法は、一対の半筒状体が一側縁の蝶番部を介して開閉可能に設けられているとともに両半筒状体の相対する内面に支線を通す凹溝が形成された防止具本体と、該防止具本体を支持する固定体とからなり、該固定体には支線を挟着固定する挟着機構が設けられ、前記防止具本体の少なくとも一方の半筒状体の前記凹溝付近に支線に引っ掛け得るフックを設け、該半筒状体と前記固定体との互いの分離を不能にする仮係止手段を設けて該仮係止手段により該半割体を該固定体とを仮係止し、前記フックを支線に引っ掛けた状態で前記挟着機構を操作することにより該固定体を該支線に固定し、その状態で該半筒状体に他方の半筒状体を合着させるとともに仮係止状態を解除することにより、該防止具本体が該固定体に支持された状態にて支線の外周に回転自在に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支線への蔓巻防止装置の取付が容易になり、取付作業者の労力・負担が軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の防止具本体の開状態の斜視図。
【図2】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の固定体の開状態の斜視図。
【図3】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置を支線に取り付ける途中の斜視図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置を支線に取り付けた状態の側面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】図5のC−C線断面図。
【図8】図5のD−D線断面図。
【図9】図5のE−E線断面図。
【図10】図5のF−F線断面図。
【図11】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の仮係止手段の他の実施形態を示した断面図。
【図12】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の仮係止手段の他の実施形態を示した断面図。
【図13】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の防止具本体の開状態の斜視図。
【図14】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の固定体の斜視図。
【図15】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の要部の縦断面図。
【図16】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の要部の横断面図。
【図17】本発明に係る電柱支線用蔓巻防止装置の仮係止手段の他の実施形態を示した断面図。
【図18】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の固定体の他の実施形態を示した斜視図。
【図19】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の他の実施形態を示した要部の横断面図。
【図20】本発明の他の実施例を示した電柱支線用蔓巻防止装置の他の実施形態を示した要部の縦断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
【実施例1】
【0010】
図1に防止具本体1を開状態として示す。この防止具本体1は、耐候性を有する合成樹脂をブロー成形することにより、半筒状体1aと半筒状体1bとが一側縁の肉薄状の蝶番部2を介して一体に形成される。該半筒状体1a,1bの内面3a,3bのほぼ中心線上に後述する支線をガイドするための横断面半円状の凹溝4a,4bがそれぞれ形成され、また、該半筒状体1aの蝶番部2と反対側側縁に係合部5aが凹設され、該半筒状体1bの蝶番部2と反対側側縁に係合爪5bが突設される。また、半筒状体1aの内面3aの周囲に突条6aが形成され、半筒状体1bの内面3bの周囲には該突条6aが嵌合する凹条6bが形成される。7a,7bは前記凹溝4a,4bの一部に内設されたゴム等の弾性材からなる回転制動部材で、該回転制動部材は支線に接する複数のフィンを内周縁に一体に形成してなる。8aは凹溝4aの一側縁に突設されたガイド片、8bは該ガイド片が収まるように凹溝4bの一部を拡張して形成された凹部である。また、該半筒状体1a,1bの一端部に先端が膨んだ半裁キノコ状の突出部9a,9bが一体に形成される。そして、一方の半筒状体1aの突出部9aの外周部に後述する仮係止手段となるネジ孔状の係合部10が形成される。また、一方の半筒状体1aの凹溝4a付近で突出部9aと反対側寄りに鉤状のフック11aがビス11cにより固着される。11bは該フック11aが収まるように他方の半筒状体1bの凹溝4bの一部を拡張して形成した凹部である。
【0011】
この防止具本体1は、蝶番部2を屈曲させて半筒状体1a,1bの相対する内面3a,3bを合着し、突条6aを凹条6bに嵌合し、係合爪5aを係合部5bに係合することにより円筒形になる。円筒形にしたときのこの防止具本体1の直径Wおよび長さLは、蔓性植物が巻き付かない寸法(例えば、直径180mm、長さ1200mm程度)にする。
【0012】
また、この防止具本体1を支持するための固定体20を図2に開状態にて示す。該固定体20は、耐候性を有する合成樹脂を射出成形することにより半円筒状の一対の半割体20aと半割体20bとが形成され、該半割体20aおよび半割体20bの一側縁に形成された蝶番部21a,21bに支軸22を貫挿することにより、該半割体20aと半割体20bとが開閉可能なるように連結される。該半割体20a,20bの内面中心線上に支線を通すための凹溝23a,23bが形成され、また、該半割体20aの蝶番部21aと反対側側縁に係合部24aが凹設され、該半割体20bの蝶番部21bと反対側側縁には係合爪24bが突設される。また、図3にも示したように、該半割体20aおよび半割体20bの一端部に前記防止具本体1の突出部9a,9bを外側から抱持し得る内径を有した筒状連結部25a,25bが一体に形成される。また、該半割体20aおよび半割体20bの他端部には、スカート部26a,26bが一体に形成される。27は半割体20a内および半割体20b内に形成された補強用リブである。
【0013】
30は一方の半割体20aに設けた挟着機構で、該挟着機構30は、半割体20aの中心線の一側から起立し表面に滑止用ゴム等の弾性材31が張設された起立壁32と、該中心線を間に挟むように該起立壁32の反対側にボルト33によって回転可能に軸支されたカム形の爪部材34とからなり、該爪部材34の表面に滑止用ゴム等の弾性材35を張設すると共に、該爪部材34を図10にも示したようにボルト33を中心とする矢印の方向に付勢し、該爪部材34を起立壁32表面に圧接させる巻きバネ(図示されず)を該爪部材34内に設けている。37は該爪部材34の一側面に突設された指掛用の摘子部である。なお、この一方の半割体20aの筒状連結部25aには、後述するように仮止のための係合孔28が貫通状に形成される。
【0014】
この蔓巻防止装置は、図3、図4に示したように、一方の半筒状体1aの突出部9aを一方の半割体20aの筒状連結部25aによって抱持させ、該筒状連結部25aに形成された係合孔28に仮係止手段となる摘子ネジ41を貫挿し該摘子ネジ41を突出部9aに形成された係合部10に螺合することにより、該半筒状体1aと半割体20aとが互いに分離しないように連結し、この連結状態にて工場から出荷される。
【0015】
この蔓巻防止装置を取付現場にて電柱(図示せず)の支線40に取り付けるに際しては、図3に示したように、半筒状体1a,1bが上側で半割体20a,20bが下側となるように支線40に前記フック11aを引っ掛け、一方の手で半割体20aを支えて凹溝4aに該支線40を合致させるとともに、他方の手で爪部材34の摘子部37に指を掛けて該爪部材34が起立壁32の表面から離間するように回転させ、該起立壁32と該爪部材34との間隔に支線40を通して摘子部37から指を離すことにより図10に示したように巻きバネの弾性により該爪部材34を該支線40に圧接させ、該起立壁32と該爪部材34とで支線40を挟着させる。なお、爪部材34はカム形に形成されていて矢印の方向に回転すればするほど該爪部材34の外周と起立壁32との間隔が狭くなるので、支線40が強固に狭着され、固定体20がずり落ちるのが防がれる。そして、係合爪5bを係合部5aに係合することにより、防止具本体1を該支線40の周囲に取り付ける。なお、このとき、突条6aが凹条6bに嵌合することにより半筒状体1aと半筒状体1bとが隙間なく閉じられる。また、ガイド片8aが支線40に近接することにより支線40のズレが防止される。また、半筒状体1aと半筒状体1bとを閉じたとき、回転制動部材7a,7bに形成されたフィンが支線40の外周に摺接することにより、強風時によって防止具本体1が回転するのがある程度抑制される。
【0016】
そして、筒状連結部25bを突出部9bの外周に被せると共に、係合爪24bを係合部24aに係合し、半割体20a,20bを合着させる。これにより、図5、図8に示されるように突出部9a,9bが筒状連結部25a,25bによって外側から抱持された状態にて固定体20および防止具本体1が支線40に取り付けられる。その後、前記摘子ネジ41を前記係合部10、係合孔28から抜脱し、該仮係止手段による固定体20と防止具本体1との係止状態を解除する。これにより防止具本体1は固定体20に対して回転自在となり防止具本体1が強風を受けて回転してもその回転トルクが該固定体20に伝わらないようになる。
【0017】
このように本発明の取付方法では、一方の半筒状体1aにフック11aが設けられているとともに、仮係止手段により半筒状体1aと半割体20aとが予め係止されていることから、該フック11aを支線40に引っ掛けた状態で挟着機構30を操作すれば、半割体20aが分離することなく、一人の作業者によっても一度の操作で簡単かつ迅速に蔓巻防止装置が取り付けられる。
【0018】
こうして取り付けられた蔓巻防止装置は、固定体20が支線40にしっかりと固定され、防止具本体1が回転してもその回転トルクが該固定体20に伝わらないので、固定体20が回転してずり落ちるようなことがない。また、強風によって防止具本体1に浮力が掛かっても、該防止具本体1は突出部9a,9bによって固定体20と連結されているので、該防止具本体1だけが支線40に沿って上昇するようなこともなく、防止具本体1が常に適切な高さに保持され、支線40を蔓性植物が巻き上がるのを防止することができる。
【0019】
また、図9に示されるように、係合部24aの外側に空隙28が形成され、指もしくはドライバーなどの工具で係合爪24bを弾性限度内にて湾曲させることで、係合爪24bと係合部24aとはこのように一旦は係合させてもこの係合を解除(リリース)できるようにしている。このため所要メンテナンス時には、係合爪24bと係合部24aとの係合を解除して半割体20a,20bを開くことで、該固定体20内の挟着機構30を容易に点検することができる。即ち、該固定体20の筒状連結部25a,25bは突出部9a,9bを外側から抱持しているので、いちいち防止具本体1を開かなくても該防止具本体1を閉じたままの状態で固定体20だけを開いて内部の挟着機構30を簡単に点検し、必要に応じて修理、或いは部品交換をすることができる。なお、挟着機構30は、摘子部37に指を掛けて爪部材34を回転させるだけで支線40に簡単に取り付けられると共に、取り外す際にも摘子部37に指を掛けて爪部材34を回転させるだけで簡単にその挟着状態を解除できる。
【0020】
なお、この実施形態で示した仮係止手段は、係合部10、係合孔28に摘子ネジ41を差し込んだものであったが、仮係止手段はこのような摘子ネジに限らず、係合ピン、或いは、結束バンド等、公知の種々の手段を用い得る。図11に示した実施形態は、先端部に係合用突起が形成されたキー42を筒状連結部25aに形成された係合孔28から半筒状体1aの突出部9aに形成された係合部10に着脱自在に差し込むことにより該半筒状体1aと半割体20aとが分離不能に連結されるようにしたものであり、該キー42を抜き差しすることにより仮係止またはその解除を簡単にすることができる。また、図12に示した実施形態は、プラスチック製の結束バンド43を突出部9aに形成された透孔44と筒状連結部25aに形成された透孔45に挿通することにより仮係止できるようにしたもので、該結束バンド43は、結止部43aに結束解除用の突起43bが形成されており、該突起を指先で摘むことにより結束を解除できる構造であるので、該突起43bを摘んで該結束バンド43を引っ張り出すことで取付現場においてこの仮係止状態を簡単に解除することができる。
【実施例2】
【0021】
次に図13〜図16に従い本発明の実施例2を説明する。この実施例2は防止具本体内に固定体が内蔵されるものである。図13に開状態としたものを示すように、防止具本体1は、図14に示した固定体20を収容するための半円筒形空隙からなる収納部15a,15bが半筒状体1a,1bにそれぞれ形成される。そして、一方の収納部15aの底壁に仮止のための係合孔28が貫通状に形成される。なお、実施例1で示したような突出部9a,9bはこの防止具本体1には形成されない。その他の構造は実施例1と同様であるので同一部分または相当部分に同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0022】
図14に示すように、固定体20は、耐候性を有する合成樹脂を射出成形することにより半円筒状であって両端部に切欠円板状の端板50が一体に形成され、該端板50に支線40を中心部まで導入し得るように切込51を形成したものであり、実施例1と同様の挟着機構30が設けられる。該挟着機構30の起立壁32の表面に設けられた弾性材31には挟着時に支線40がずれ難いようにするために凹欠32aを形成している。なお、このようなずれ止めのための凹欠は爪部材34表面の弾性材35に形成してもよい。そして、図15、図16に示されるように該固定体20の底部に仮止のためのネジ孔状の係合部10が形成される。なおこの固定体20は、実施例1のように一対の半割体からなるものではない。実施例2のその他の構造は実施例1と同様である。
【0023】
この蔓巻防止装置は、上記収納部15aに固定体20を収容し、係合孔28に仮係止手段となる摘子ネジ41を貫挿し該摘子ネジ41を係合部10に螺合することにより、半筒状体1aと固定体20とを互いの分離を不能に連結した仮係止状態にて工場から出荷される。
【0024】
そしてこの蔓巻防止装置を取付現場にて支線40に取り付けるに際しては、実施例1で示したように、フック11aに支線40を引っ掛け、該支線40を切込46に入れるとともに、摘子部37に指を掛けて爪部材34を回転させ、図16に示されるように、該爪部材34と起立壁32とで該支線40を挟着させる。そして、係合爪5bを係合部5aに係合し、半筒状体1aと半筒状体1bとを閉じることにより、固定体20を該防止具本体1内に収容した状態にて該固定体20および防止具本体1が支線40に取り付けられるようにする。その後、前記摘子ネジ41を前記係合部10、係合孔28から抜脱し、該仮係止手段による固定体20と防止具本体1との連結状態を解除する。これにより防止具本体1は固定体20に対して回転自在となり防止具本体1が強風を受けて回転してもその回転トルクが該固定体20に伝わらない状態としてこの蔓巻防止装置を支線40に取り付けることができる。
【0025】
この取付方法では、一方の半筒状体1aにフック11aが設けられているとともに、仮係止手段により半筒状体1aと固定体20とが予め連結されていることから、該フック11aを支線40に引っ掛けた状態で挟着機構30を操作する際に固定体20が分離することなく、一人の作業者によっても二度手間になることなく、簡単かつ迅速に取付を完了することができる。
【0026】
また、こうして取り付けられた蔓巻防止装置は、固定体20が支線40にしっかりと固定され、防止具本体1が回転してもその回転トルクが該固定体20に伝わらないので、固定体20が回転してずり落ちるようなことがない。また、防止具本体1に固定体20が内蔵されているので、強風によって該防止具本体1に浮力が掛かっても、該防止具本体1が支線40に沿って上昇するようなことなく、防止具本体1を常に適切な高さに保持し得る。
【0027】
図17は実施例2における仮係止手段の他の実施形態を示したもので、この実施形態では結束バンド43を収納部15aの底壁に形成された透孔44,45から固定体20の中心孔中に通すことにより固定体20と防止具本体1とを仮係止状態にできるようにしている。このように実施例2の場合も仮係止手段として公知の種々の手段を用い得る。
【0028】
また、図18は、固定体20の挟着機構30の他の実施形態を示したもので、外周縁にリブ35aが形成された弾性材35を爪部材34に表面に装着し、図19に示したように支線40を挟着した際に該リブ35aによって支線40が弾性材31と弾性材35との間から抜脱し難くなるように配慮したものである。
【0029】
また、実施例2で示した固定体20は、防止具本体1に内蔵したものであるので、内部の挟着機構30等が悪戯に操作されるおそれがない。このため固定体20を実施例1のように一対の半割体から構成しなくてもよく、製造コストが軽減されるとともに開閉操作が不要で取付が一層容易になる。なお、固定体20を防止具本体1に内蔵する場合であっても、図20に例示したように、該固定体20を一対の半割体20a,20bから構成してもよいことは勿論である。
【0030】
また、実施例1、2に示したフック11aは、半筒状体1aにビス11cにより固着したものであったが、半筒状体1aと一体成形されていてもよい。また、フックを半筒状体1aの上部だけでなく中間部や下部にも設け、支線に半筒状体1aを2箇所以上で引っ掛け、半筒状体1aが支線とほぼ平行に吊下されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 防止具本体
1a,1b 半筒状体
2 蝶番部
3a,3b 内面
4a,4b 凹溝
5a 係合部
5b 係合爪
9a,9b 突出部
10 係合部(仮係止手段)
11a フック
20 固定体
20a,20b 半割体
21a,21b 蝶番部
23a,23b 凹溝
24a 係合部
24b 係合爪
25a,25b 筒状連結部
28 係合孔(仮係止手段)
30 挟着機構
32 起立壁
34 爪部材
40 支線
41 摘子ネジ(仮係止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の半筒状体が一側縁の蝶番部を介して開閉可能に設けられているとともに両半筒状体の相対する内面に支線を通す凹溝が形成された防止具本体と、該防止具本体を支持する固定体とからなり、該固定体には支線を挟着固定する挟着機構が設けられ、前記防止具本体の少なくとも一方の半筒状体の前記凹溝付近に支線に引っ掛け得るフックを設け、該半筒状体と前記固定体との互いの分離を不能にする仮係止手段を設けて該仮係止手段により該半割体を該固定体とを仮係止し、前記フックを支線に引っ掛けた状態で前記挟着機構を操作することにより該固定体を該支線に固定し、その状態で該半筒状体に他方の半筒状体を合着させるとともに仮係止状態を解除することにより、該防止具本体が該固定体に支持された状態にて支線の外周に回転自在に取り付けられることを特徴とする電柱支線用蔓巻防止装置の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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