説明

電極カテーテル

【課題】カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極の表面全域に対して後端側から液体を灌注できる電極カテーテルを提供すること。
【解決手段】液体の流路となるルーメン11を有するカテーテルシャフト10と、このシャフト10の先端側に接続され、シャフト10の外径以上の直径の球状部分21を有する先端電極20とを備えてなり、シャフト10は、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部10Aを有し、この先端縮径部10Aには、先端電極20の表面に液体を灌注するための複数の灌注用開口112が配置され、シャフト10の先端縮径部10Aの内部には、シャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口112の各々に至る複数の傾斜ルーメン111が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極カテーテルに関し、更に詳しくは、カテーテルの先端に電極が装着されるとともに、この電極に生理食塩水などの液体を灌注する機構を備えた電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルであるアブレーションカテーテルにおいて、焼灼時に高温となった先端電極を冷却するとともに、先端電極の周辺の血液を攪拌・希釈して先端電極の表面に血栓が形成されることを防止するために、灌注機構を備えているものが使用されている。
【0003】
灌注機構を備えた従来のカテーテルとしては、カテーテルシャフトを通って先端電極の内部に供給された生理食塩水を当該先端電極の表面に形成された複数の開口から噴射するタイプのものが紹介されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2562861号公報
【特許文献2】特開2006−239414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先端電極の表面に灌注用の開口が形成されてなる従来公知のカテーテルには、下記(1)〜(4)のような問題がある。
【0006】
(1)先端電極の表面に開口を設けると、開口縁などに不可避的にエッジが形成される。そして、このようなエッジが形成されている先端電極によって焼灼を行うと、エッジ部分の電流密度がきわめて高くなり、この部分で異常な温度上昇が起きて、血栓が急速に形成される虞がある。
(2)先端電極の表面に形成された開口から生理食塩水を噴射しても、先端電極の表面に対して十分な灌注を行うこと(表面を液体で覆うこと)ができないため、先端電極の表面を十分に冷却することができず、また、表面における血栓の形成を十分に防止・抑制することができない。特に、先端電極の軸に対して垂直方向に生理食塩水を噴射する上記特許文献1および特許文献2に記載のカテーテルにおいては、先端電極の表面に対して生理食塩水を十分に接触させることができないため、電極表面の冷却効果および血栓の形成抑制効果はきわめて低いものである。
(3)複数の開口を電極表面に形成することにより、先端電極の表面積を十分に確保することができなくなり、効率的な焼灼治療を行うことができない。
(4)アブレーションカテーテルを構成する先端電極の内部には、通常、焼灼温度の制御のために、熱電対などの温度センサが装着されている。然るに、先端電極の表面に灌注用の開口が形成されている(先端電極の内部に生理食塩水の流路が形成されている)場合には、流路を流れる生理食塩水により温度センサが過度に冷却される結果、先端電極の周囲にある組織の温度を正確に測定することができずに低く検出してしまい、この結果、焼灼温度を必要以上に上昇させてしまうことがある。
【0007】
上記(1)〜(4)のような問題を解決するために、先端電極の表面に対して外側(後端側)から液体を灌注することが考えられる。
しかしながら、先端電極の表面に液体を灌注するための開口を、カテーテルシャフトの先端面(シャフト軸に垂直な先端面)に形成する場合には、液体を灌注可能な先端電極はきわめて小さいもの(例えば、複数の開口が円周上に配置されている場合に、当該円周の内側に納まるサイズ)となり、そのような先端電極を備えたアブレーションカテーテルによっては、効率的な焼灼治療を行うことはできない。
一方、灌注用開口をカテーテルシャフトの外周面に形成する場合には、開口からの液体はシャフト軸に垂直な方向に噴射され、先端電極に向けて噴射することはできない。
【0008】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極の表面に対して後端側から液体を灌注することができる電極カテーテルを提供することにある。
本発明の第2の目的は、カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極の表面全域に対して液体を灌注することができる電極カテーテルを提供することにある。
本発明の第3の目的は、焼灼時において先端電極の一部に異常な温度上昇(高温部)を生じることがなく、先端電極表面の冷却効果および先端電極表面における血栓の形成抑制効果に優れ、しかも、効率的な焼灼治療を行うことができる、灌注機構を備えた電極カテーテルを提供することにある。
本発明の第4の目的は、先端電極の周囲にある組織の温度を正確に測定することができ、焼灼温度の制御を適正に行うことができる、灌注機構を備えた電極カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の電極カテーテルは、液体の流路となるルーメンを有するカテーテルシャフトと、
このカテーテルシャフトの先端側に接続され、前記カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極とを備えてなり、
前記カテーテルシャフトは、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部を有し、この先端縮径部には、前記先端電極の表面に液体を灌注するための複数の灌注用開口が配置され、
前記カテーテルシャフトの先端縮径部の内部には、当該カテーテルシャフトの半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて前記灌注用開口の各々に至る複数の傾斜ルーメンが形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成の電極カテーテルによれば、カテーテルシャフトの先端縮径部に複数の灌注用開口が配置されていることにより、複数の灌注用開口の各々から噴射される液体を先端方向に向かわせることができるので、先端電極の表面に対して後端側から液体を噴射することができる。
複数の灌注用開口の各々から先端電極に噴射された液体は、先端電極の表面に沿うようにして先端方向に流れるので、灌注機構を備えた従来のカテーテルと比較して先端電極の表面の冷却効果に優れるとともに、先端電極の表面付近の血液が十分に攪拌・希釈されることによっても優れた血栓形成抑制効果が奏される。
【0011】
さらに、カテーテルシャフトの先端縮径部の内部には、カテーテルシャフトの半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口の各々に至る複数の傾斜ルーメンが形成されているので、先端電極の球状部分の直径(先端電極の最大径)がカテーテルシャフトの外径以上であっても、この傾斜ルーメンを通って灌注用開口から噴射される液体を、先端電極の最大径部における電極表面に到達させ、最大径部およびその先端側を含む先端電極の表面全域に対して灌注することができる。
【0012】
また、このような構成の電極カテーテルによれば、灌注用開口がカテーテルシャフトに形成されているので、先端電極には開口を形成する必要がない。これにより、先端電極には、開口の形成に伴うエッジが存在しないので、焼灼時において先端電極の一部に異常な温度上昇を生じることはなく、これにより、血栓の形成が抑制される。
従って、本発明の電極カテーテルは、灌注機構を備えた従来公知のカテーテルと比較して、先端電極表面における血栓形成抑制効果が格段に優れている。
【0013】
また、先端電極の球状部分の直径がカテーテルシャフトの外径以上であるとともに、先端電極には開口を形成する必要がないので、十分な表面積を確保することができ、アブレーションカテーテルとして効率的な焼灼治療を行うことができる。
【0014】
(2)本発明の電極カテーテルにおいて、前記カテーテルシャフトの外径(D1 )に対する前記先端電極の球状部分の直径(D2 )の比率(D2 /D1 )が1.0〜1.2であり、
前記カテーテルシャフトの先端縮径部の後端から前記灌注用開口の先端縁までのシャフト軸方向の距離を(L1 )、前記灌注用開口の先端縁から前記先端電極の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、前記カテーテルシャフトの先端縮径部における傾斜角度を(β)、前記傾斜ルーメンの傾斜角度を(α)とするとき、
式:0.8D2 ≦D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)≦1.2D2
が成立することが好ましい。
【0015】
このような構成の電極カテーテルによれば、傾斜ルーメンを通って灌注用開口から噴射される液体を、先端電極の最大径部における電極表面に到達させて、先端電極の表面全域に対して確実に灌注することができる。
なお、「灌注用開口」は、カテーテルシャフトの先端縮径部および先端電極の後端部にまたがって形成されていてもよく、かかる場合における灌注用開口の先端縁は、先端電極の後端部に存在することとなる。
【0016】
(3)上記(2)の電極カテーテルにおいて、前記カテーテルシャフトの直径(D1 )が1.0〜3.0mm、
前記距離(L1 )が0.5〜5.0mm、
前記距離(L2 )が1.5〜7.0mm、
前記傾斜角度(β)が5.0〜30.0°、
前記傾斜角度(α)が5.0〜30.0°であることが好ましい。
【0017】
(4)本発明の電極カテーテルにおいて、前記カテーテルシャフトの外径(D1 )に対する前記先端電極の球状部分の直径(D2 )の比率(D2 /D1 )が1.0〜1.2であり、
前記灌注用開口の先端縁における前記先端縮径部または前記先端電極(非球状部分)の外径を(D3 )、前記灌注用開口の先端縁から前記先端電極の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、前記傾斜ルーメンの傾斜角度を(α)とするとき、
式:0.8D2 ≦D3 +2(L2 ・tanα)≦1.2D2
が成立することが好ましい。
【0018】
このような構成の電極カテーテルによれば、傾斜ルーメンを通って灌注用開口から噴射される液体を、先端電極の最大径部における電極表面に到達させて、先端電極の表面全域に対して確実に灌注することができる。
【0019】
(5)本発明の電極カテーテルにおいて、前記灌注用開口より先端側に温度センサが装着されていること、具体的には、前記先端電極の内部に温度センサが装着されていることが好ましい。
【0020】
このような構成の電極カテーテルによれば、温度センサが装着される先端電極の内部に、液体の流路が形成されていないので、温度センサが過度に冷却されることはなく、先端電極の周囲における組織の温度を正確に測定することができ、焼灼温度についての適正な制御を行うことができる。
【0021】
(6)本発明の電極カテーテルにおいて、前記カテーテルシャフトは、中央ルーメンと、この中央ルーメンの周囲に等角度間隔で配置された複数のサブルーメンとを有するマルチルーメン構造体であり、
前記複数のサブルーメンのうち、対向配置された2本のサブルーメンには、シャフトの先端偏向操作用の引張ワイヤが挿通され、それ以外のサブルーメンにより、液体の流路となるルーメンが構成され、
前記傾斜ルーメンは、前記液体の流路となるルーメンの各々と連通するように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電極カテーテルによれば、カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極の表面全域に対して後端側から液体を灌注することができる。
本発明の電極カテーテルによれば、焼灼時において先端電極の一部に異常な温度上昇が生じることがなく、先端電極の表面の冷却効果および先端電極の表面における血栓の形成抑制効果に優れ、しかも、効率的な焼灼治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の電極カテーテルの一実施形態に係るアブレーションカテーテルの正面図である。
【図2】図1に示したアブレーションカテーテルを構成するカテーテルシャフトの横断面図(図1のII−II断面図)である。
【図3】図1に示したアブレーションカテーテルの先端部分の内部を示す縦断面図(図2の III−III 断面図)である。
【図4A】図1に示したアブレーションカテーテルの先端部分の内部を示す縦断面図(図2の III−III 断面図)である。
【図4B】本発明の電極カテーテルの他の実施形態に係るアブレーションカテーテルの先端部分の内部を示す縦断面図である。
【図4C】本発明の電極カテーテルの更に他の実施形態に係るアブレーションカテーテルの先端部分の内部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下、本発明の電極カテーテルの一実施形態について図面を用いて説明する。
図1乃至図4Aに示す電極カテーテルは、心臓における不整脈の治療に用いられるアブレーションカテーテルである。
【0025】
この実施形態のアブレーションカテーテル100は、リード線などが引き通される中央ルーメン13およびその周りに等角度間隔(36°間隔)で配置された10本のサブルーメン(液体の流路となる8本のルーメン11、および引張ワイヤ31,32の挿通路となる2本のルーメン12)を有するカテーテルシャフト10と、カテーテルシャフト10の先端側に接続され、カテーテルシャフト10の外径(D1 )以上の直径(D2 )の球状部分21を有する先端電極20と、カテーテルシャフト10の先端部分に装着されたリング状電極40と、カテーテルシャフト10の後端側に接続された制御ハンドル70と、液体の注入管80と、先端電極20の内部に装着された温度センサ(熱電対)90とを備えてなり、カテーテルシャフト10は、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部10Aを有し、この先端縮径部10Aには、先端電極20の表面に液体を灌注するための8つの灌注用開口112が配置され、カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aの内部には、後端側において8本のルーメン11の各々に連通し、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口112の各々に至る8本の傾斜ルーメン111が形成されている。
【0026】
ここに、図3および図4Aは、図2に示す中央ルーメン13および2本のルーメン11の中心軸を含む平面で切断した縦断面を示している。
従って、図3および図4Aでは、「液体の流路となる8本のルーメン11」のうちの2本のルーメン11、「8本の傾斜ルーメン111」のうちの2本の傾斜ルーメン111、「8つの灌注用開口112」のうちの2つ灌注用開口112のみが示されている。
【0027】
図1に示した注入管80は、制御ハンドル70の内部を通ってカテーテルシャフト10に接続されており、この注入管80を通って、カテーテルシャフト10のルーメン11に液体が供給される。ここに、「液体」としては、生理食塩水を例示することができる。
【0028】
図1に示した制御ハンドル70は、カテーテルチューブ10の後端側に接続されており、カテーテルの先端偏向操作を行うための回転板75を備えている。
【0029】
図2に示すように、アブレーションカテーテル100を構成するカテーテルシャフト10には、先端電極20やリング状電極40に接続された導線等(図示省略)が引き通される中央ルーメン13と、この中央ルーメン13の周りに等角度(36°=360°/10)の間隔で配置された10本のサブルーメンが形成されている。
【0030】
中央ルーメン13の周りに等間隔で形成された10本のサブルーメンは、互いに同一の外径を有している。10本のサブルーメンのうちの2本のルーメン12には、カテーテルの先端偏向操作を行うための引張ワイヤ31,32がそれぞれ挿通されている。
そして、引張ワイヤ31,32が挿通されていない8本のルーメン11によって液体の流路が構成されている。
【0031】
図2に示す引張ワイヤ31,32は、それぞれの後端が、制御ハンドル70の回転板75(図1参照)に連結され、引張ワイヤ31,32の先端は、例えば、カテーテルシャフト10の先端部に接続固定されている。
これにより、例えば、図1に示すA1方向に回転板75を回転させると、引張ワイヤ31が引っ張られ、アブレーションカテーテル100の先端部分が矢印A方向に偏向動作し、図1に示すB1方向に回転板75を回転させると、引張ワイヤ32が引っ張られ、アブレーションカテーテル100の先端部分が矢印B方向に偏向動作する。
【0032】
15は、引張ワイヤ31,32による偏向操作を確実に行わせるためにカテーテルシャフト10内に埋め込まれた剛性体である。
剛性体15は、Ni−Ti合金などの金属製の棒ばねからなり、曲げ方向(引張ワイヤ31,32の配列方向)に対して垂直方向に配列された剛性体15,15により曲げ方向の異方性を担保することができる。
【0033】
カテーテルシャフト10は、軸方向に沿って同じ特性の材料で構成してもよいが、軸方向に沿って剛性(硬度)の異なる材料を用いて一体的に形成することが好ましい。具体的には、近位端側の構成材料が相対的に高い剛性を有し、遠位端側の構成材料が相対的に低い剛性を有するものであることが好ましい。
【0034】
カテーテルシャフト10は、例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタン、ナイロン、PEBAX(ポリエーテルブロックアミド)などの合成樹脂で構成される。また、カテーテルシャフト10の近位端側は、これらの合成樹脂からなるチューブをステンレス素線で編組したブレードチューブであってもよい。
【0035】
カテーテルシャフト10の外径(D1 )(先端縮径部10A以外の部分の外径)は1.0〜3.0mmであることが好ましく、更に好ましくは1.3〜3.0mm、特に好ましくは1.6〜2.7mmとされる。
カテーテルシャフト10の長さは600〜1500mmであることが好ましく、更に好ましくは900〜1200mmとされる。
【0036】
図3および図4Aに示すように、カテーテルシャフト10は、先端方向に向かって縮径する先端縮径部10Aを有しており、この先端縮径部10Aの内部には傾斜ルーメン111が形成されている。
傾斜ルーメン111は、その後端側において液体の流路であるルーメン11と連通しているとともに、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延び、先端縮径部10Aの外周面において開口している。この開口が灌注用開口112であり、先端縮径部10Aの外周に沿って8つの灌注用開口112が形成されている。
【0037】
傾斜ルーメン111の各々は、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びている。これにより、傾斜ルーメン111を通って灌注用開口112から噴射される液体は、カテーテルシャフト10の軸方向における先端側で、かつ半径方向における外側に向けて噴射される。このため、ある程度サイズの大きな先端電極(カテーテルシャフト10の外径以上の直径の球状部分を有する先端電極20)の表面に対しても灌注することが可能になる。
【0038】
アブレーションカテーテル100を構成する先端電極20は、球状部分21と、頸部22と、円筒状部分23とを有する。
図3および図4Aに示すように、先端電極20は、その円筒状部分23が、先端縮径部10Aの内部に挿入固着されることにより、カテーテルシャフト10の先端側に接続される。
【0039】
先端電極20の最大径に相当する球状部分21の直径(D2 )は1.0〜3.6mmであることが好ましく、更に好ましくは1.3〜3.0mm、特に好ましくは2.2〜2.6mmとされる。
【0040】
カテーテルシャフト10の外径(D1 )に対する先端電極20の球状部分21の直径(D2 )の比率(D2 /D1 )としては、通常1.0以上とされ、好ましくは1.0〜1.2とされる。
比率(D2 /D1 )が1.0以上であることにより、アブレーションカテーテル100は括れ形状を有するものとなる(カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aおよび先端電極20の頸部22が括れ部分となる)。
【0041】
(D2 /D1 )の値が過小である場合には、そのような先端電極を備えたカテーテルによっては効率的な焼灼治療を行うことが困難となる。
他方、(D2 /D1 )の値が過大である場合には、そのような先端電極の表面に対して十分な量の液体を灌注すること(十分に冷却効果・血栓の形成抑制効果を発現させること)が困難となる。
【0042】
図3および図4Aに示すように、先端電極20の内部には、焼灼温度を制御するための熱電対等からなる温度センサ90が装着されている。また、温度センサ90に接続された導線95は、中央ルーメン13に引き通されている。
アブレーションカテーテル100の使用時(焼灼治療時)に、温度センサ90によって、先端電極20の周辺組織の温度が測定され、この測定温度がフィードバックされて焼灼温度の制御(高周波エネルギーの調整)が行われる。
【0043】
この実施形態のアブレーションカテーテル100において、カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aの後端から、灌注用開口112の先端縁(開口縁のうち、最も先端側にある部分)までのシャフト軸方向の距離を(L1 )、灌注用開口112の先端縁から先端電極20の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aにおける傾斜角度を(β)、傾斜ルーメン111の傾斜角度を(α)とするとき、下記の式が成立する。
【0044】
式:D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)≒D2
【0045】
ここに、灌注用開口112の先端縁上での先端縮径部10Aの外径(複数の先端縁の各々を結ぶ円の直径)は、D1 −2・L1 ・tanβで表すことができる。
一方、傾斜ルーメン111の傾斜角度(α)と等しい噴射角度で、灌注用開口112の先端縁から先端方向に噴射された液体は、シャフト軸方向に距離(L2 )移動する間に、シャフト軸方向とは垂直な方向(シャフトの半径方向)に、L2 ・tanαの距離を移動する。
これにより、灌注用開口112の先端縁から噴射された液体が、シャフト軸方向に距離(L2 )移動したときに、当該液体が到達する位置を結ぶ仮想円の直径はD1 −2・L1 ・tanβ+2・L2 ・tanα=D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)となる。
従って、上記の式が成立する(上記の仮想円の直径が、球状部分の直径(D2 )とほぼ一致する)この実施形態のアブレーションカテーテル100によれば、灌注用開口112の先端縁から噴射された液体を、先端電極20の最大径部における電極表面に到達させることができる。
ここに、図4Aにおいて、傾斜ルーメン111を区画する内側の直線を外挿(延長)した外挿線EXが、灌注用開口112の先端縁から噴射される液体の行路を模式的に示している。
なお、実際には、血液中にて液体が噴射されるため、噴射された液体は拡散しながら進行する。
【0046】
カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aの後端から灌注用開口112の先端縁までのシャフト軸方向の距離(カテーテルシャフト10の中心軸への投影距離)(L1 )は0.5〜5.0mmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜3.0mmとされる。 この距離(L1 )が過小である場合には、傾斜ルーメン111の傾斜角度を小さく設計することができなくなり、噴射される液体が広がり過ぎることになって、先端電極20に十分に液体が到達しなくなる虞がある。
他方、この距離(L1 )が過大である場合には、傾斜ルーメン111の距離が長くなり過ぎて、加工が困難となる。また、リング状電極40は傾斜ルーメン111の上に設けることができないため、リング状電極40と先端電極20との間隔が過大となり、これらの電極間隔を小さくする要請に従う設計が困難となるという問題も生じる。
【0047】
カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aにおける傾斜角度(β)は5.0〜30.0°であることが好ましく、更に好ましくは7.0〜20.0°とされる。
【0048】
この傾斜角度(β)が過小である場合には、傾斜ルーメン111の傾斜角度を得るために、距離(L1 )を過大に設計する必要が生じるため、上記と同様の問題を招く。
他方、この傾斜角度(β)が過大である場合には、傾斜ルーメン111の距離、特に、灌注用開口112の後端縁までの距離(図4Aにおいて、傾斜ルーメン111を区画する外側の直線距離)が小さくなり、噴射される液体を先端方向に向けて押し出すガイド機能が損なわれる虞がある。そして、この場合には、噴射される液体がすぐに外径方向に拡がり過ぎることになり、拡散が過剰になってしまう。
【0049】
上記の式に係る−2・L1 ・tanβは、灌注用開口112の先端縁に至るまでの先端縮径部10Aの縮径量に相当する。
2・L1 ・tanβが過大となる場合には、カテーテルシャフトの径が過大となるため、カテーテル全体の設計が困難となる。
【0050】
灌注用開口112の先端縁から先端電極20の最大径部までのシャフト軸方向の距離(カテーテルシャフト10の中心軸への投影距離)(L2 )は1.5〜7.0mmであることが好ましく、更に好ましくは3.0〜5.0mmとされる。
【0051】
この距離(L2 )が過小である場合には、灌注用開口から噴射される液体が、球状部分の後端部分に遮られて最大径部に到達することが困難となる。
他方、この距離(L2 )が過大である場合には、灌注用開口から噴射される液体が最大径部に到達することが困難となる。
【0052】
傾斜ルーメン111の傾斜角度(α)は5.0〜30.0°であることが好ましく、更に好ましくは9.0〜15.0°とされる。
この傾斜角度(α)が過小である場合には、灌注用開口から噴射される液体が、球状部分の後端部分に遮られて最大径部に到達することが困難となる。
他方、この傾斜角度(α)が過大である場合には、灌注用開口から噴射される液体を、先端方向に向かわせることが困難となり、最大径部の電極表面に効率的に到達させることができなくなる。
【0053】
上記の式に係る2・L2 ・tanαは、噴射される液体の拡がりの程度を示す。
2・L2 ・tanαが過大となる場合には、灌注用開口から噴射される液体を、先端方向に向かわせることが困難となり、最大径部の電極表面に効率的に到達させることができなくなる。
【0054】
この実施形態のアブレーションカテーテル100の好適な一例を示せば、外径(D1 )が2.3mm、直径(D2 )が2.6mm、(D2 /D1 )の値が1.1、距離(L1 )が1.0mm、傾斜角度(β)が12.0°、距離(L2 )が2.8mm、傾斜角度(α)が7.0°であり、D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)=2.6mmとなって直径(D2 )とほぼ等しくなる。
【0055】
この実施形態のアブレーションカテーテル100によれば、8つの灌注用開口112がテーパ状の先端縮径部10Aに配置されていることにより、灌注用開口112の各々から噴射される液体を先端方向に向かわせることができるので、先端電極20の表面に対して、後端側から液体を噴射することができる。
そして、先端電極20に対して後端側(カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aに配置されている灌注用開口112の各々)から噴射された液体は、先端電極20の後端部(頸部22)から先端部(球状部分21)に向かって、先端電極20の表面に沿うように先端方向に流れ、先端電極20の周辺の血液は十分に攪拌・希釈されるので、灌注機構を備えた従来のカテーテルと比較して先端電極20の表面の冷却効果に優れるとともに、先端電極20の表面付近の血液が十分に攪拌・希釈されることによっても優れた血栓形成抑制効果が奏される。
【0056】
また、カテーテルシャフト10の先端縮径部10Aの内部には、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口112の各々に至る8本の傾斜ルーメン111が形成されているので、灌注用開口112の各々から噴射される液体は、先端方向外側(カテーテルシャフト10の軸方向における先端側で、かつ半径方向における外側)に向けて噴射される。ここに、液体の噴射角度は、傾斜ルーメン111の傾斜角度(α)と一致する。
【0057】
また、式:D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)≒D2 が成立することにより、先端電極20の球状部分21がカテーテルシャフト10の外径以上(特に、外径(D1 )の1.0〜1.2倍)の直径(D2 )を有するものであっても、傾斜ルーメン111を通って灌注用開口112から噴射される液体を、先端電極20の最大径部における電極表面に到達させることができ、最大径部およびその先端側を含む先端電極20の表面全域に対して確実に灌注することができる。
【0058】
また、灌注用開口112が絶縁性のカテーテルシャフト10(先端縮径部10A)に形成されていて、導電性の先端電極20にはエッジが存在しないので、アブレーションカテーテル100の使用時(焼灼時)において先端電極20の一部に異常な温度上昇(高温部)を生じることはなく、そのような高温部に血液が接触して形成される血栓の形成が抑制される。
【0059】
また、先端電極20の球状部分21の直径(D2 )がカテーテルシャフト10の外径(D1 )以上、特に、外径(D1 )の1.0〜1.2倍であるとともに、先端電極20には灌注用の開口を形成する必要がないので、十分な表面積を確保することができ、アブレーションカテーテルとして効率的な焼灼治療を行うことができる。
【0060】
また、灌注用開口112よりも先端側に温度センサ90が装着されていることにより、温度センサ90が装着されている先端電極20の内部に液体の流路を形成する必要はないので、温度センサ90が過度に冷却されることはなく、先端電極20の周囲にある組織の温度を正確に測定することができる。
【0061】
図4Aに示したアブレーションカテーテル100においては、D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)の値が、D2 にほぼ等しいものであったが、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)の値が0.8D2 〜1.2D2 の範囲にあれば、灌注用開口から噴射される液体を、先端電極の最大径部における電極表面に到達させることができ、先端電極の表面全域に対して確実に灌注することができることが確認された。
【0062】
1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)の値が0.8D2 未満であると、灌注用開口から噴射される液体が、球状部分の後端部分に遮られて最大径部に到達することが困難となる場合がある。
他方、D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)の値が1.2D2 を超える場合には、灌注用開口から噴射される液体を、先端方向に向かわせることが困難となり、最大径部の電極表面に効率的に到達させることができなくなる場合がある。
【0063】
<第2実施形態>
図4Bに示すアブレーションカテーテル101は、10本のサブルーメン(液体の流路となる8本のルーメン11、および引張ワイヤの挿通路となる2本のルーメン)を有するカテーテルシャフト50を備えてなり、このカテーテルシャフト50は、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部50Aを有し、この先端縮径部50Aには、先端電極20の表面に液体を灌注するための8つの灌注用開口114が配置され、カテーテルシャフト50の先端縮径部50Aの内部には、後端側において8本のルーメン11の各々に連通し、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口114の各々に至る8本の傾斜ルーメン113が形成されている。
【0064】
なお、図4Bにおいて、図4Aに示したアブレーションカテーテル100と同一の構成要素には、同一の符号を用いている。
また、図4Bでは、「液体の流路となる8本のルーメン11」のうちの2本のルーメン11、「8本の傾斜ルーメン113」のうちの2本の傾斜ルーメン113、「8つの灌注用開口114」のうちの2つ灌注用開口114が示されている。
【0065】
このアブレーションカテーテル101は、カテーテルシャフト50の先端縮径部50Aの内部に形成されている傾斜ルーメン113の傾斜角度(α)が、図4Aに示したアブレーションカテーテル100における傾斜ルーメン111の傾斜角度(α)とは異なる。
ここに、アブレーションカテーテル101の好適な一例を示せば、外径(D1 )が2.3mm、外径(D2 )が2.6mm、(D2 /D1 )の値が1.1、距離(L1 )が1.0mm、傾斜角度(β)が7.0°、距離(L2 )が2.8mm、傾斜角度(α)が10.5°であり、D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)=3.1mmとなって、直径(D2 )のほぼ1.2倍となる。
【0066】
この実施形態のアブレーションカテーテル101によれば、灌注用開口114の先端縁から噴射された液体を、先端電極20の最大径部における電極表面に到達させることができ、先端電極20の表面全域に対して確実に灌注することができる。
【0067】
<第3実施形態>
図4Cに示すアブレーションカテーテル102は、10本のサブルーメン(液体の流路となる8本のルーメン11、および引張ワイヤの挿通路となる2本のルーメン)を有するカテーテルシャフト60を備えてなり、このカテーテルシャフト60は、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部60Aを有し、この先端縮径部60Aには、先端電極20の表面に液体を灌注するための8つの灌注用開口116が配置され、カテーテルシャフト60の先端縮径部60Aの内部には、後端側において8本のルーメン11の各々に連通し、カテーテルシャフト10の半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて灌注用開口116の各々に至る8本の傾斜ルーメン115が形成されている。
【0068】
なお、図4Cにおいて、図4Aに示したアブレーションカテーテル100と同一の構成要素には、同一の符号を用いている。
また、図4Cでは、「液体の流路となる8本のルーメン11」のうちの2本のルーメン11、「8本の傾斜ルーメン115」のうちの2本の傾斜ルーメン115、「8つの灌注用開口116」のうちの2つ灌注用開口116が示されている。
【0069】
アブレーションカテーテル102を構成する先端電極20の後端部(頸部22)には、傾斜ルーメン115の各々に連続し、傾斜ルーメン115の傾斜角度(α)と同じ角度で傾斜する液体の案内溝26が形成されている。
これにより、灌注用開口116は、カテーテルシャフト60の先端縮径部60Aと、先端電極20の頸部22とにまたがって形成され、そのような灌注用開口116の先端縁は、先端電極20の頸部22に存在することとなる。
この案内溝26が形成されていることにより、先端電極20の頸部22に位置する灌注用開口116の先端縁から噴射される液体の噴射角度を、傾斜ルーメン115の傾斜角度(α)と一致させることができる。
【0070】
図4Cに示したアブレーションカテーテル102において、灌注用開口116の先端縁における先端電極20(頸部22)の外径を(D3 )、灌注用開口116の先端縁から先端電極20の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、傾斜ルーメン115の傾斜角度を(α)とするとき、D3 +2(L2 ・tanα)の値はほぼ0.8D2 である。
【0071】
このアブレーションカテーテル102は、カテーテルシャフト60の先端縮径部60Aの内部に形成されている傾斜ルーメン115の傾斜角度(α)が、図4Aに示したアブレーションカテーテル100における傾斜ルーメン111、および、図4Bに示したアブレーションカテーテル101における傾斜ルーメン113の何れの傾斜角度(α)とも異なる。
【0072】
アブレーションカテーテル102の好適な一例を示せば、外径(D1 )が2.3mm、外径(D2 )が2.8mm、(D2 /D1 )の値が1.2、灌注用開口116の先端縁における先端電極20の外径(D3 )が1.7mm、距離(L1 )が2.4mm、傾斜角度(β)が7.0°、距離(L2 )が1.4mm、傾斜角度(α)が12.0°であり、D3 +2(L2 ・tanα)=2.3mmとなって、直径(D2 )のほぼ0.8倍となる。
【0073】
この実施形態のアブレーションカテーテル102によれば、灌注用開口116の先端縁から噴射された液体を、先端電極20の最大径部における電極表面に到達させることができ、先端電極20の表面全域に対して確実に灌注することができる。
【0074】
図4Cに示したアブレーションカテーテル102においては、D3 +2(L2 ・tanα)の値が0.8D2 にほぼ等しいものであったが、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、D3 +2(L2 ・tanα)の値が0.8D2 〜1.2D2 の範囲にあれば、灌注用開口から噴射される液体を、先端電極の最大径部における電極表面に到達させることができ、先端電極の表面全域に対して灌注することができることが確認された。
【0075】
3 +2(L2 ・tanα)の値が0.8D2 未満であると、灌注用開口から噴射される液体が、球状部分の後端部分に遮られて最大径部に到達することが困難となる場合がある。
他方、D3 +2(L2 ・tanα)の値が1.2D2 を超える場合には、灌注用開口から噴射される液体を、先端方向に向かわせることが困難となり、最大径部の電極表面に効率的に到達させることができなくなる場合がある。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、先端縮径部の内部に形成された傾斜ルーメンの本数は8に限定されるものではなく、例えば4〜12の範囲で適宜選択することができる。
また、先端縮径部と、先端縮径部以外の部分との間に中間部材(液体を合流および/または分流する手段を内部に有する中間部材)を介在させることにより、先端縮径部の内部に形成された傾斜ルーメンの本数と、先端縮径部以外の部分の内部に形成されたルーメン(液体の流路となるルーメン)の本数とが異なるものとなっていてもよい。
また、傾斜ルーメンが形成されている先端縮径部の構成材料として、先端縮径部以外の部分を構成材料と異なるもの(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの芳香族ポリエーテルケトン、セラミック材料など)を採用してもよい。
【符号の説明】
【0077】
100 アブレーションカテーテル
10 カテーテルシャフト
10A 先端縮径部
11 ルーメン(液体の流路)
12 ルーメン(引張ワイヤの挿通路)
13 中央ルーメン
15 剛性体(針金)
111 傾斜ルーメン
112 灌注用開口
20 先端電極
21 先端膨出部
22 頸部
23 円筒状部分
26 液体の案内溝
31 引張ワイヤ
32 引張ワイヤ
40 リング状電極
50 カテーテルシャフト
50A 先端縮径部
113 傾斜ルーメン
114 灌注用開口
60 カテーテルシャフト
60A 先端縮径部
115 傾斜ルーメン
116 灌注用開口
70 制御ハンドル
75 回転板
80 液体の注入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流路となるルーメンを有するカテーテルシャフトと、
このカテーテルシャフトの先端側に接続され、前記カテーテルシャフトの外径以上の直径の球状部分を有する先端電極とを備えてなり、
前記カテーテルシャフトは、先端方向に向かってテーパ状に縮径する先端縮径部を有し、この先端縮径部には、前記先端電極の表面に液体を灌注するための複数の灌注用開口が配置され、
前記カテーテルシャフトの先端縮径部の内部には、当該カテーテルシャフトの半径方向外側に傾斜しながら先端方向に延びて前記灌注用開口の各々に至る複数の傾斜ルーメンが形成されていることを特徴とする電極カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルシャフトの外径(D1 )に対する前記先端電極の球状部分の直径(D2 )の比率(D2 /D1 )が1.0〜1.2であり、
前記カテーテルシャフトの先端縮径部の後端から前記灌注用開口の先端縁までのシャフト軸方向の距離を(L1 )、前記灌注用開口の先端縁から前記先端電極の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、前記カテーテルシャフトの先端縮径部における傾斜角度を(β)、前記傾斜ルーメンの傾斜角度を(α)とするとき、
式:0.8D2 ≦D1 +2(L2 ・tanα−L1 ・tanβ)≦1.2D2
が成立することを特徴とする請求項1に記載の電極カテーテル。
【請求項3】
前記カテーテルシャフトの直径(D1 )が1.0〜3.0mm、
前記距離(L1 )が0.5〜5.0mm、
前記距離(L2 )が1.5〜7.0mm、
前記傾斜角度(β)が5.0〜30.0°、
前記傾斜角度(α)が5.0〜30.0°であることを特徴とする請求項2に記載の電極カテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトの外径(D1 )に対する前記先端電極の球状部分の直径(D2 )の比率(D2 /D1 )が1.0〜1.2であり、
前記灌注用開口の先端縁における前記先端縮径部または前記先端電極の外径を(D3 )、前記灌注用開口の先端縁から前記先端電極の最大径部までのシャフト軸方向の距離を(L2 )、前記傾斜ルーメンの傾斜角度を(α)とするとき、
式:0.8D2 ≦D3 +2(L2 ・tanα)≦1.2D2
が成立することを特徴とする請求項1に記載の電極カテーテル。
【請求項5】
前記灌注用開口より先端側に温度センサが装着されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電極カテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトは、中央ルーメンと、この中央ルーメンの周囲に等角度間隔で配置された複数のサブルーメンとを有するマルチルーメン構造体であり、
前記複数のサブルーメンのうち、対向配置された2本のサブルーメンには、シャフトの先端偏向操作用の引張ワイヤが挿通され、それ以外のサブルーメンにより、液体の流路となるルーメンが構成され、
前記傾斜ルーメンは、前記液体の流路となるルーメンの各々と連通するように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電極カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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