説明

電極セパレーター

多官能性バッテリーセパレーターは、異なるポリマー溶液から析出された2以上の活性セパレーター層を含み、自立型フィルム、多孔質基板の一方のサイドに設けられた多層フィルム、多孔質基板の反対サイドに設けられた分離フィルム若しくは多層フィルムを含む多層化された単一構造体が形成される。好ましい実施の形態では、カスケードコーティング法を用いて、湿潤下同時に活性セパレーター層を積層し、ポリマー乾燥プロセスに関連する物理的、電気的、形態的変化を防止若しくは最小化する。当該多官能性セパレーターは、製造費用が高価でなく、イオン伝導性が向上し、イオンバッテリー特性が向上し、バッテリー故障に繋がる、セパレータースタックにおける各層間のギャップを排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT特許出願は、米国仮特許出願第61/040,021に基づく優先権を主張する。当該出願は、2008年3月27日に出願され、全体として、ここに引用して援用する。
【0002】
(本発明の技術分野)
本発明は、アルカリ電池に関し、特に、アルカリバッテリーのためのセパレーター及びこれを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
蓄電バッテリーは、一の電気化学セル若しくは同じタイプの複数の電気化学セルを含み、後者は、典型的には、より高い電圧を提供するため直列に接続され、若しくは単一のセルにより与えられるより高い電荷キャパシティーを提供するため並列に接続される。電気化学セルは電解質を含み、当該電解質はアノードとカソードとに接触するようにこれらの間に延在する。一の蓄電バッテリーについて、アノードは、容易に酸化される活性材料を含み、そして、カソードは、容易に還元される活性材料を含む。バッテリーの放電の間、当該アノードの活性材料は酸化され、カソードの活性材料は還元され、それにより、外部負荷を介して、アノードからカソードへ電子が流れ、電極間の電解質を介してイオンが流れる。
【0004】
蓄電分野において使用される多くの電気化学セルは、また、当該アノードとカソードとの間にセパレーターを含み、当該セパレーターは、一の電極に存在する反応物質及び反応生成物が反応することを防止し、及び/又は他の電極において反応を妨げることを防止することが要求される。効果あらしめるためには、バッテリーセパレーターは、電気的に絶縁するものでなければならず、電極間の内部短絡によるバッテリーの自己放電を防止するため、バッテリーの耐用期間に亘って電気的に絶縁するものでなければならない。さらに、バッテリーセパレーターは、効率的に電解質の移動を防止するものであるとともに、放電圧を実質的に低下させる過剰のセパレーター抵抗を防止するため、十分にイオンを伝導するものでなければならない。
【0005】
蓄電バッテリーは、”1次”若しくは”2次”のいずれかに分類される。1次バッテリーは、少なくとも一つの不可逆的電極反応を含み、逆電圧を加えても有効な充電効率で再充電することができない。2次バッテリーは、相対的に可逆的な電極反応を含み、数多くの充電−放電サイクルに亘って、充電キャパシティーの損失が許容できる範囲で再充電することができる。2次バッテリーのためのセパレーター要求は、より厳しい傾向にある。これは、当該セパレーターは、繰り返される充電−放電サイクルにおいて耐えなければならないからである。
【0006】
高い酸化力のあるカソード、高い還元力のあるアノード、及びアルカリ電解質を含む2次バッテリーについては、セパレーター要求は特に厳しい。当該セパレーターは、強いアルカリ溶液において化学的に安定であり、高い酸化力を有するカソードとの接触による酸化に対抗しなければならず、また高い還元力を有するアノードとの接触による還元に対抗しなければならない。カソードからのイオン、特に金属酸化物イオンは、アルカリ溶液中において可溶性を示し、セパレーター表面上において化学的に還元され金属となる傾向にある。当該セパレーターは、また、金属イオンの移動及び/又は化学的還元を抑制しなければならない。他方、セパレーターの孔内への金属析出物の析出により、短期間にセパレーター抵抗が増加し、最終的には、当該セパレーターを介した連続的な金属パスが形成されるために短絡故障に陥る。加えて、充電中、アノードがデンドライドを形成する傾向が強いために、当該セパレーターは、デンドライト成長を抑制し、及び/又は、デンドライトの進行に対抗して、電極間のデンドライト短絡の発生による故障を防止する。アノードに関連する問題は形状が変化してしまうことであり、電極の中央部分が、充電−放電サイクルの間に厚くなる傾向がある。形状変化の原因は、複雑であり良くは知られていないけれども、電極表面に沿った電流分布及び溶液の質量輸送の差異に明らかに関連している。当該セパレーターは、好ましくは、均一で安定なイオン伝導性及びイオン移動特性を示すことにより、亜鉛電極の形状変化を軽減する。
【0007】
亜鉛−酸化銀バッテリーについての数多くのそして通常対立するセパレーター要求を満足させるため、特定の機能を発揮する複数のセパレーターからなるセパレータースタックが必要とされる。要求される機能としては、電気化学的酸化及びカソードからの銀イオン移動に対する抵抗、及び、電気化学的還元及びアノードからのデンドライト進行に対する抵抗がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のセパレーターは、アルカリ電解質において化学的に分解され、バッテリーの有益な耐用年数を制限する。従来のセパレーターは、また、可溶性銀イオンによる化学的酸化及び銀電極に接触することによる電気化学的酸化に供される。さらに、いくつかの従来のセパレーターは、機械的強度が低く、デンドライトによる進行に対する抵抗が低い。
【0009】
従来のセパレーターにより引き起こされるいくつかの問題を解決するため、新規なセパレーター材料を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自立型のフィルムと、多孔性基板の一方のサイドに設けられた多層フィルムと、多孔性基板の他方のサイドに設けられた分離フィルム若しくは多層フィルムとを含む多層化された単一の構造体を形成するため、異なるポリマー溶液から析出された2以上の活性セパレーター層を含む多官能性バッテリーセパレーターを提供する。一の実施の形態では、カスケードコーティング法を用いて、湿潤な活性セパレーター層を同時に積層し、ポリマー乾燥プロセスに関連する物理的、化学的、形態的変化が防止され若しくは最小化される。本発明の多官能性バッテリーセパレーターの活性セパレーター層は、また、従来の方法を用いて析出させることができる。本発明は、また、多官能性バッテリーセパレーターを製造するためのプロセスを提供する。
【0011】
本発明のセパレーターの多層化された単一の構造体は、セパレーター活性材料を良好に使用することを提供し、セパレーターイオン伝導性及びイオン輸送バッテリーとしての効率を改善すると考えられる。当該多層化された単一の構造体は、また、バッテリーの製造コストを低減し、バッテリー故障の原因となる、セパレータースタックにおける各層間のギャップを排除する。多官能性バッテリーセパレーターは、デンドライト形成が問題となる亜鉛アノード、及び、高い酸化力を有する酸化銀カソードを有するバッテリーに特に有用である。当該ケースにおける多官能性セパレーターは、アノードに面するデンドライト抵抗セパレーター層、及び、カソードに面する酸化抵抗セパレーター層を含む。
【0012】
一の側面では、本発明は、
電解質と、
アノードと、
カソードと、
多官能性セパレーターと、を含んでなり、
上記電解質がアルカリ電解質であり、上記アノードが、亜鉛金属を含み、上記多官能性セパレーターが、直鎖状であってもよく若しくは分岐されていてもよい未置換若しくは置換のポリエーテルポリマーを含むPE溶液から析出された酸化抵抗セパレーター層と、
架橋剤、及び、直鎖状であってもよく若しくは分岐されていてもよい未置換若しくは置換のポリビニルアルコール前駆ポリマーを含有するPVA溶液から析出されたデンドライト抵抗セパレーター層と、を含む、電気化学セルに関する。
【0013】
当該側面の実施の形態には、次の一以上の特徴を含んでいても良い。上記アルカリ電解質は、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されたアルカリ金属の水酸化物の水溶液を含む。上記カソードは、酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガンからなる群から選択された活性材料を含む。上記ポリエーテルポリマーは、ポリエチレン酸化物、若しくはポリプロピレン酸化物、若しくはこれらのコポリマー若しくは混合物を含む。上記架橋剤はホウ酸である。PE溶液及びPVA溶液の一方若しくは両方は、酸化ジルコニウム、酸化チタン及び酸化アルミニウムからなる群から選択された金属酸化物の粉末をさらに含む。PE溶液及びPVA溶液の一方若しくは両方は、さらに、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、これらの混合物からなる群から選択されたアルカリ金属のチタン酸塩を含む。PE溶液及びPVA溶液の一方若しくは両方は、さらに、界面活性剤を含む。PVAは、さらに可塑剤を含む。PVA溶液は、さらに、ポリビニルアルコールと、ポリアクリレート、ポリラクトン、ポリスルホネート、ポリカルボキシレート、ポリ硫酸塩、ポリサルコネート、ポリアミド、ポリアミドスルホネートからなる群から選択された水酸化物伝導ポリマーとのコポリマーからなる導電性エンハンサーを含む。
【0014】
他の側面では、本発明は、少なくとも3つの活性セパレーター層を含む多官能性セパレーターであって、上記多官能性セパレーターは、<10Ω/cmのイオン抵抗、>10kΩ/cmの電気抵抗、>0.1lbfの湿潤引張強度を有する多官能性セパレーターを特徴とする。
【0015】
当該側面の実施の形態は、以下の一以上の特徴を含んでいてもよい。当該セパレーターのイオン抵抗は、<0.5Ω/cmである。3つのセパレーター層の少なくとも2つは、PVA及びPSA若しくはこれらの組み合わせからそれぞれ選択されたポリマー材料を含む。PSAはPSSを含む。多官能性セパレーターは、PVA/V6/PSS層;PVA/V6/(PSS+PAA)層;V6/PVA/(PSS+PAA)層;PVA/(PSS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%))層;(PSS+PAA(35%))/PVA/(PSS+PAA(35%))層;(PSS+PAA(35%))/(PVA(10%)+PSS(PVAに対して20%))/(PSS+PAA(35%))層を含む。多官能性セパレーターは、PVA/V6/(PSS+PAA)層;V6/PVA/(PSS+PAA)層;(PSS+PAA(35%))/PVA/(PSS+PAA(35%))層を含む。セパレーター膜厚は、<100μmである。セパレーター膜厚は、<30μmである。当該セパレーターは、PVAから、同じ厚さのセパレーターに対してデンドライト形成を妨げる。当該セパレーターの少なくとも2層は、それぞれ、PVA、第4級アンモニウムポリマー、若しくはこれらの組み合わせから選択されたポリマー材料を含む。
【0016】
さらに別の側面において、本発明は、セパレーターを製造する方法であって、PSAポリマー混合物を提供する工程と、PVAポリマー混合物を提供する工程と、を備え、PSAポリマー層及びPVAポリマー層を含む単一セパレーターを形成するため、上記PSAポリマー混合物及びPVAポリマー混合物が提供され、上記PSAポリマー層は、酸化を抑制し、PVAポリマー層はデンドライト形成を抑制する方法を提供する。
【0017】
当該セパレーターは、100μm未満の全膜厚を有する。当該方法は、さらに、1〜10の付加的なポリマー混合物を提供する工程を含む。当該ポリマー混合物は、PSAポリマー層、PVAポリマー層、1〜10の付加的なポリマー層を含むセパレーターを形成するために提供される。当該セパレーターは、<10Ω/cmのイオン抵抗、>10kΩ/cmの電気抵抗、>0.1lbfの湿潤引張強度を有する。当該セパレーターのイオン抵抗は、<0.5Ω/cmである。
【0018】
本発明の別の特徴及び利点は、添付の図面とともに、以下の詳細な説明から、当業者にとって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係る不活性多孔質基板フィルムの反対側に析出された2つの活性セパレーター層を有する二官能性セパレーターの断面図を示す。
【図2】図2は、湿潤層を含む自立型多層化フィルムを製造するための従来のカスケードコーティング装置の断面図を示す。
【図3】図3は、任意の基板フィルムの両サイドに活性セパレーター層を提供するように適用されたカスケードコーティング装置の断面図を示す。
【図4】図4は、本発明に係る二官能性セパレーター、若しくは同様の各セパレーター層を組み込んでいる試験セルに使用される電極−セパレーターの構成を例示する。
【図5】図5は、2つの亜鉛−酸化銀セルについての放電キャパシティー対サイクル回数をプロットしたものであり(AとB)、当該セパレーターは、ZrO−PEOセパレーター層及び2つのPVAセパレーター層(全厚70μm)を含む。
【図6】図6は、2つの亜鉛−酸化銀セルについての放電キャパシティー対サイクル回数をプロットしたものであり(AとB)、2つの二官能性PVA/ZrO−PEOセパレーター層(全厚60μm)を用いている。これらの図面は、正確な縮尺で描写されていないけれども、本発明の特徴及びオペレーションをより良好に表現するためにいくつかの特徴を拡張している。さらに、これらの図面は例示であり、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、自立型のフィルムと、多孔性基板の一方のサイドに設けられた多層フィルムと、多孔性基板の他方のサイドに設けられた分離フィルム若しくは多層フィルムとを含む多層化された単一の構造体を形成するため、異なるポリマー溶液から析出された2以上の活性セパレーター層を含む多官能性バッテリーセパレーターを提供する。好ましい実施の形態においては、カソードコーティング法を用いて、同時に、湿潤した活性なセパレーター層を析出させ、ポリマー乾燥プロセスに関連する物理的、電気的、及び形態的変化を抑制し若しくは最小化する。本発明に係る多官能性バッテリーセパレーターの活性なセパレーター層は、また、従来の方法により積層させてもよい。本発明は、また、多官能性バッテリーセパレーターを製造するプロセスを提供する。
【0021】
I.定義
”バッテリー”なる用語は、1の電気化学セル若しくは複数の電気化学セルを含む蓄電装置を包含する。”2次バッテリー”は、充電可能であり、一方、”1次バッテリー”は充電可能ではない。本発明の2次バッテリーについて、バッテリーアノードは、放電の間、正の電極として表され、充電の間、負極として表される。
【0022】
”アルカリバッテリー”なる用語は、アルカリ電解質を含む1次若しくは2次バッテリーを意味する。
【0023】
ここで使用されるように、”ドーパント”若しくは”ドーピング剤”は、半導体の光学的/電気的特性を変更するため、物質に低濃度で加えられた化学的化合物を意味する。例えば、その電気的特性を改善するため(具体的には、そのインピーダンス及び/又は抵抗率を減少させるため)、ドーパントをカソードの粉末状活性材料に加えてもよい。
【0024】
ここで使用されるように、”電解質”は、電気伝導性媒体として機能する物質を意味する。例えば、電解質は、セルにおいて、電子及びカチオンの移動を容易にする。電解質は、アルカリの試薬の水溶液等の材料の混合物を含む。いくつかの電解質は、また緩衝液等の添加物を含む。例えば、電解質は、ホウ酸塩若しくはリン酸塩を含む緩衝液を含む。具体的な電解質には、水溶性のKOH、水溶性のNaOH、若しくはポリマーにおけるKOHの液体混合物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0025】
ここで使用されるように、”アルカリ試薬”は、塩基若しくはアルカリ金属のイオン塩(具体的には、アルカリ金属の水溶性水酸化物)を意味する。さらに、アルカリ試薬は、水若しくは他の極性溶媒に溶解されるとき水酸化物イオンが形成される。具体的なアルカリ電解質には、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH若しくはこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定される訳ではない。
【0026】
”サイクル”は、バッテリーの一回の充電及び放電を意味する。
【0027】
簡略のため、ポリマーの名称”ポリビニリデンフルオライド”及びそれに対応するイニシャル”PVDF”は、ポリマー及びポリマーコーティングを調製するためのポリマー、溶液を区別するための形容詞として相互交換可能に使用される。これらの名称及びイニシャルを使用することは、全く、他の成分が存在しないことを意味するものではない。これらの形容詞は、また、置換されたポリマー及び共重合されたポリマーを包含する。置換されたポリマーは、置換基、例えばメチル基が、ポリマー骨格において水素と置換されたものを示す。
【0028】
簡略のため、ポリマー名称”ポリテトラフルオロエチレン”及びこれに対応するイニシャル”PTFT”は、ポリマー及びポリマーコーティングを調製するためのポリマー、溶液を区別するための形容詞として相互交換可能に使用される。これらの名称及びイニシャルを使用することは、全く、他の成分が存在しないことを意味するものではない。これらの形容詞は、また、置換されたポリマー及び共重合されたポリマーを包含する。置換されたポリマーは、置換基、具体的にはメチル基が、ポリマー骨格において水素と置換されたものを示す。
【0029】
ここで使用されるように、”Ah”は、アンペア(Amp)時間を意味し、バッテリー若しくは電気化学セルのキャパシティーについての科学的単位である。派生的な単位”mAh”は、ミリアンペア時間を表し、Ahの1000分の1である。
【0030】
ここで使用されるように、”最大電圧”若しくは”定格電圧”は、セルの意図された利用を妨げることなく電気化学セルが充電される最大電圧を意味する。例えば、持ち運び可能な電子デバイスに有用ないくつかの亜鉛−銀電気化学セルにおいて、最大電圧は、約3.0V未満(具体的には、約2.8V未満、約2.5V未満、約2.3V以下若しくは約2.0V)である。持ち運び可能な電子デバイスにおいて有用なリチウムイオンバッテリー等の他のバッテリーにおいて、最大電圧は、約15.0V未満(具体的には、13.0V未満若しくは約12.6V以下)である。バッテリーの最大電圧は、バッテリーの有効耐用年数、バッテリー寿命、バッテリーの電力需要、バッテリーにおける電極の構成、及びバッテリーに使用される活性材料の量を構成する充電サイクルの回数に依存して、変動しうる。
【0031】
ここで使用されるように、”アノード”は、極性を有する電気デバイスに(正の)電流が流れる電極である。バッテリー若しくはガルバニックセルにおいて、アノードは放電フェーズの間、電子をバッテリーに流す負極である。アノードは、また、放電フェーズの間化学的酸化を引き起こす電極である。しかしながら、2次の若しくは充電可能なセルにおいて、アノードは、セルの放電フェーズの間、化学的な還元を引き起こす電極である。アノードは、電気的に導電性の若しくは半導体の材料、具体的には金属、金属酸化物、金属合金、金属析出物、若しくは半導体等から形成される。共通のアノード材料には、Si、Sn、Al、Ti、Mg、Fe、Bi、Zn、Sb、Ni、Pb、Li、Zr、Hg、Cd、Cu、LiC、ミッシュメタル、その合金、その酸化物、それらの複合物が含まれる。
【0032】
アノードは多くの構成を有していてもよい。例えば、アノードは、1以上のアノード材料により被覆されている導電性メッシュ若しくはグリッドから構成されていても良い。他の具体例において、アノードは、アノード材料からなる固体シート若しくはバーであってもよい。
【0033】
ここで使用されるように、”カソード”は、ここから極性の電気デバイスの外へ(正の)電流が流れる電極である。バッテリー若しくはガルバニックセルにおいて、カソードは、バッテリーにおいて、放電フェーズの間電子がそこに流れる正の電極である。カソードはまた放電フェーズの間化学的還元を受ける電極である。しかしながら、2次の若しくは充電可能なセルにおいて、カソードは、セルの放電フェーズの間、化学的酸化を受ける電極である。カソードは、電気伝導性材料若しくは半導体材料、具体的には、金属、金属酸化物、金属合金、金属析出物、半導体等から形成される。共通のカソード材料には、AgO、AgO、HgO、HgO、CuO、CdO、NiOOH、Pb、PbO、LiFePO、Li(PO、V13、V、Fe、Fe、MnO、LiCoO、LiNiO、LiMn若しくはこれらの複合物が含まれる。
【0034】
カソードはまた多くの構成を有していてもよい。例えば、カソードは、1以上のカソード材料により被覆されている導電性メッシュから構成されていてもよい。他の具体例において、カソードは、カソード材料の固体シート若しくはバーであってもよい。
【0035】
ここで使用されているように、”電子デバイス”は、電気によって作動するあらゆるデバイスである。例えば、電子デバイスには、持ち運び可能なコンピューター、持ち運び可能な音楽プレイヤー、携帯電話、持ち運び可能なビデオプレイヤー、若しくはそれらの動作特徴を組み合わせたあらゆるデバイスが含まれうる。
【0036】
ここで使用されているように、”サイクル寿命”は、2次バッテリーが充電及び放電される最大回数である。
【0037】
記号”M”はモル濃度を示す。
【0038】
バッテリー及びバッテリー電極は、完全に充電された状態における活性材料について示される。例えば、亜鉛−酸化銀バッテリーは、亜鉛を含有するアノードと、酸化銀を含有するカソードと、を含む。大抵の状況において1種以上がバッテリー電極に存在する。例えば、亜鉛電極は、概して、亜鉛金属及び亜鉛酸化物を含み(完全に充電されている場合を除く)、そして酸化銀電極は通常酸化銀(AgO及び/又はAgO)及び銀金属(完全に放電されている場合を除く)を含む。
【0039】
アルカリバッテリー及びアルカリバッテリー電極に適用される”酸化物”なる用語は、対応する”水酸化物”種を包含する。これは、少なくともいくつかの条件下において典型的に存在する。
【0040】
ここで使用されるように、”実質的に安定な”若しくは”実質的に不活性な”とは、アルカリ電解質(具体的には、水酸化カリウム)の存在下において、及び/又は酸化剤(具体的には、カソードに存在する若しくは電解質に溶解した銀イオン)の存在下において、実質的に化学的に不変のままである化合物若しくは成分を意味する。
【0041】
ここで使用されるように、”充電プロファイル”は、電気化学セルの電圧若しくはキャパシティー対時間のグラフを意味する。充電プロファイルは、充電サイクル等のデータポイントを含むもの等他のグラフに重ね合わされうる。
【0042】
ここで使用されるように、”抵抗率”若しくは”インピーダンス”は、電気化学セルにおけるカソードの内部抵抗を意味する。当該特性は、典型的には、オーム若しくはマイクロオームの単位で表される。
【0043】
ここで使用されるように、”第1”及び/又は”第2”なる用語は、次数を意味するものではなく、空間若しくは時間における相対的なポジションを示す。しかしながら、これらの用語は、2つの異なる要素若しくは成分間を区別するために使用される。例えば、第1セパレーターは、必ずしも、時間若しくは空間において第2セパレーターを超えるものではないが、しかしながら、第1セパレーターは、第2セパレーターと同一ではなく逆もそうである。第1セパレーターは、空間若しくは時間において第2セパレーターを超える可能性があるけれども、同様に、第2セパレーターが、空間若しくは時間において第1セパレーターを超える可能性がある。
【0044】
簡略のため、全ポリマー名称”ポリエーテル”、”ポリエチレン酸化物”、”ポリプロピレン酸化物”、及び”ポリビニルアルコール”及びそれらの対応するそれぞれのイニシャル”PE”、”PEO”、”PPO”及び”PVA”は、ポリマー及びポリマーコーティングを調製するためのポリマー、溶液を区別するための形容詞として相互に交換可能に使用される。これらの名称及びイニシャルは、全く、他の成分が存在しないことを意味するものではない。これらの形容詞は、置換されたポリマー及び共重合されたポリマーを包含する。置換されたポリマーは、置換基、例えばメチル基がポリマー骨格において水素と置換されたものを示す。
【0045】
ここで使用されているように、”酸化−抵抗性”は、アルカリバッテリーの電気化学セルにおいて酸化を抑制し、及び/又はアルカリ電解質及び/又は酸化剤(具体的には銀イオン)の存在下で実質的に安定なセパレーターを意味する。
【0046】
ここで使用されているように、”チタン酸塩”は、化学式TiOを含む化学的塩を意味する。チタン酸塩の具体例には、カリウムチタン酸塩、ナトリウムチタン酸塩、リチウムチタン酸塩、ルビジウムチタン酸塩、セシウムチタン酸塩が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0047】
ここで使用されているように、”近接する”は、少なくとも2つの異なる要素(具体的には、少なくとも一つのセパレーター及び少なくとも一つの電極(具体的には、アノード及び/又はカソード))の位置を意味する。セパレーター等の要素が、電極若しくは別の第2セパレーター等の他の要素に近接するときは、一の要素は、他の要素に接触するように、若しくはほぼ接触するように配置される。セパレーターと電極とが電気化学セル内の環境等の電解質環境にある場合において、例えば、セパレーターが電極と近接するとき、当該セパレーターは、電気的に電極と接触する。当該セパレーターは、物理的に接触していても良く、若しくは、セパレーターが、当該セパレーターと電極との間の如何なるスペースが、他の如何なるセパレーター若しくは電極を欠くように電極に殆ど接触していても良い。電解質は、電極に近接するセパレーターと若しくは他のセパレーターの間のスペースに存在しうることに留意すべきである。
【0048】
ここで使用されているように、”単一の構造体”は、当該構造体を形成するために同時に若しくは殆ど同時に処理された1以上の要素を含む構造体を意味する。多くの単一構造体の一の顕著な特徴は、2つの要素間の界面において2つのドメインが存在することである。例えば、単一の構造体である電気化学セルセパレーターは、セパレーターの構成要素若しくは開始材料の全てが、セパレーターの構成要素若しくは開始材料を組み合わせ単一のセパレーターを形成するプロセス(機械的組み合わせ以外のプロセス)を同時に受けて形成されたものである。例えば、複数のソースから開始材料を同時押出しすることにより形成された複数の層を含むセパレーターは、単一の構造体を生成し、層間の界面は、当該界面において終端する各層のドメインを含む。当該単一の構造体は個々に形成され機械的に積層され多層化されたセパレーターが形成される複数の層を含むセパレーターと同等ではない。
【0049】
単一の構造体における層間の界面は、当該界面において接合された各層のドメインを含み、当該界面は、同時に両層を含む。当該特性は、単一の構造体に特徴的である。
【0050】
ここで使用されているように、”デンドライト−抵抗性”は、通常のオペレーティング条件下において、すなわち、バッテリーが蓄電され、約−20℃〜約70℃の温度において使用されるとき、アルカリバッテリーの電気化学セルにおいてデンドライトを形成することを抑制し、定格キャパシティーを超えて過剰充電若しくは充電されず、及び/又は、アルカリ電解質の存在下実質的に安定であり、及び/又は、還元剤(具体的には亜鉛含有アノード)の存在下実質的に安定なセパレーターを意味する。いくつかの実施例において、デンドライト−抵抗性セパレーターは、金属イオンの輸送及び/又は化学的還元を抑制する。
【0051】
II.セパレーター
本発明のセパレーターは、少なくとも2つの階層若しくは層から構成された単一の構造体を含む。当該セパレーターは、各層が同じ材料を含み、若しくは他の層が異なる材料を有する複数の層を含んでいても良いし、若しくは少なくとも他の材料の層上に同じ材料の層を提供するために積層される。いくつかの実施の形態において、一の階層は、酸化抵抗材料を含み、残りの階層がデンドライト抵抗材料を含む。他の実施の形態においては、少なくとも一つの層が、酸化抵抗材料を含み、若しくは少なくとも一つの層が、デンドライト抵抗材料を含む。一つの層(具体的には、酸化抵抗材料)を含む材料が、他の層(デンドライト抵抗材料若しくは酸化抵抗材料)を含む材料とともに同時押出されるとき、単一の構造体が形成される。いくつかの実施の形態において、単一のセパレーターは、デンドライト抵抗材料とともに酸化抵抗材料の同時押出により形成される。
【0052】
いくつかの実施の形態において、酸化抵抗材料は、ポリエーテルポリマー混合物を含み、そして、デンドライト抵抗材料は、PVAポリマー混合物を含む。他の具体例においては、アルカリ亜鉛−酸化銀バッテリーのための多官能性セパレーターにおいて使用されるデンドライト抵抗セパレーター層は、架橋剤及び直鎖状であってもよく若しくは分岐した未置換若しくは置換のポリビニルアルコール前駆ポリマーを含むPVA溶液から析出される架橋ポリビニルアルコール(PVA)フィルムを含む。いくつかの具体例において、PVA前駆ポリマーは、少なくとも80%加水分解され、そして、150,000〜190,000の範囲の平均モル重量を有する。
【0053】
電気化学セルにおいて有用なセパレーターは、当該セパレーターが電気化学セルのアノード、カソード、及び電解質の存在下において実質的に不活性であるような適切な方法で構成されることに留意すべきである。例えば、矩形のバッテリー電極についてのセパレーターは、当該電極と同じ大きさであり、これより僅かに大きいシート若しくはフィルムの形態であっても良く、単に電極上に配置され、外周において密閉されても良い。セパレーターのエッジは、接着性シーラント、ガスケット、若しくはセパレーター若しくは他の材料の溶接(熱シーリング)を介して、電極、電極集電体、バッテリーケース、若しくは他のセパレーターシート若しくはフィルムに対してシールしてもよい。当該セパレーターは、単一の層(前及び後)、オーバーラッピング層、多重層を形成するため、電極の周りで包装され折り曲げられたシート若しくはフィルムの形態であってもよい。円柱状バッテリーについては、当該セパレーターは、ゼリーロール形状となるように電極が螺旋状に巻きつけられていても良い。典型的には、当該セパレーターは、複数のセパレーターを含む電極スタックに含まれる。本発明の酸化抵抗セパレーターは、あらゆる適切な構成のバッテリーに組み込んでも良い。
【0054】
多くの実施の形態において、本発明のセパレーターは、イオン伝導性ポリマー材料(例えば、ポリビニルアルコール若しくはポリエチレン酸化物)から合成された活性なセパレーター層を含み、金属酸化物フィラー材料(例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、若しくは酸化アルミニウム)を含んでいても良い。理論によって限定されることは望まれないけれども、フィラー材料が、有害なイオン(亜鉛−酸化銀バッテリーにおける銀イオン及び亜鉛イオン)の輸送を防止することが理論付けられる。活性なセパレーター層は、また、伝導性エンハンサー(無機若しくは有機)、界面活性剤、及び/又は可塑剤を含んでいても良い。
【0055】
本発明は、多層化された単一の構造体を形成する複数の活性なセパレーター層を含む多官能性バッテリーセパレーターを提供する。各活性セパレーター層は、分離された溶液若しくは混合物から積層される。いくつかの実施の形態においては、各溶液若しくは混合物は、異なる成分を有する。他の実施の形態では、分離された混合物若しくは溶液の少なくとも2つが略同じ組成を有する。
【0056】
ある実施の形態では、活性なセパレーター層の少なくとも2つが、カスケードコーティング法により、自立型多官能性セパレーター若しくは多孔質基板フィルム上の多官能性コーティングとして同時に湿潤して析出される。この場合において、ポリマー乾燥プロセスに関連する物理的、電気的、形態的変化は抑制され若しくは最小化される。他の実施の形態において、活性セパレーター層の少なくとも1つは、自立型フィルムとして積層され、他の活性セパレーター層の少なくとも1つはその上に積層される。
【0057】
本発明の多官能性セパレーターは、さらに、多孔質の若しくは非多孔質の基板フィルムを含んでいてもよく、その上に活性セパレーター層の少なくとも一つが積層される。この場合において、多官能性セパレーターは、多孔質基板の一方のサイドに多重フィルムを含み、多孔質基板の他方のサイドに分離フィルム若しくは多重フィルムを含んでいても良い。本発明は、また、多官能性バッテリーセパレーターを製造するためのプロセスを提供する。
【0058】
図1は、本発明に係る二官能性セパレーター100であって、不活性の多孔質基板フィルム105の反対側に積層された2つの活性なセパレーターコーティング101及び102を含む二官能性セパレーター100の断面図を示す。各コーティング101、102の活性材料103、104は、基板フィルム105の孔内に完全に進行する。基板フィルム105の孔内へ少なくともいくつかの活性材料103及び104が進行することは好ましいが、しかしながら、当該進行は完全でなくても良い。
【0059】
本発明の多官能性セパレーターのための活性セパレーター層は、適切なあらゆる方法により適用されても良い。自立型の多官能性セパレーターを形成するための方法若しくは、多孔質基板に対してセパレーター層コーティングを提供するための方法には、注入、スプレッディング、鋳造、プレス、バックフィル、ディッピング、噴霧、ローリング、ラミネーティング、押出形成、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたものが含まれる。
【0060】
ある実施の形態においては、本発明の多官能性セパレーターを形成する方法は、カスケードコーティング法であり、これは、自立型の多官能性セパレーターを形成するため、又は、多孔質の基板フィルムに対して複数の活性なセパレーター層を適用するため使用されうる。当該カスケードコーティング法においては、それぞれ所定の層の成分を含む液体若しくはゲル化された溶液が、シート状に同時押出され、多層化された構造物を同時に形成するため一体として流動する。
【0061】
図2は、2つの湿潤層を含む自立型多層化フィルムを製造するためのある具体的なカスケードコーティング装置200の断面図である。容器203に含まれる溶液201は、スロット205を介して流下しフィルム207が形成され、一方、容器204に含まれる溶液202は、スロット206を介して流下しフィルム207の上に配置されたフィルム208を形成する。溶液201及び202は、重力(図示)、ガス圧、若しくはポンプ(不図示)を含むあらゆる適切な手段により流下させてもよい。押出速度(溶液粘性及びフロー圧力を介して調整される)及び溶媒蒸発速度(溶液組成、温度および湿度を介して調整される)が最適化され、所望の濃度及び湿潤度の固体若しくは半固体フィルムを提供する。当該技術分野の当業者にとって明らかなように、当該装置は、2以上の層を有する多官能性セパレーターを形成することに容易に拡張することができる。
【0062】
フィルム207及び208の成分の相互拡散、相互混合は、溶液の粘性、押出速度及び溶媒の揮発速度を調整することにより、そして、放射加熱若しくは強制対流加熱により、押出された多層化フィルムに対して熱を加えることによって最小化してもよい。溶液201及び202のための別の溶媒及び界面活性添加物を用いて、一方の近接するセパレーター層に疎水性を付与し、他方の近接するセパレーター層に親水性を付与してもよい。疎水性の頭部と親水性のテール部を有する極性を有する界面活性剤は特に有効である。
【0063】
図3は、多孔質の基板フィルムの両サイドに活性なセパレーター層を提供するため適用されるカソードコーティング装置300の断面図である。容器303に含まれる溶液301は、スロット305を介して流下し、活性なセパレーターフィルム307を形成する。一方、容器304に含まれる溶液302は、スロット306を介して流下し、活性なセパレーターフィルム308を形成する。ここで、活性なセパレーターフィルム307及び活性なセパレーターフィルム308の両方は、スロット305及び306における開口間を通るため、多孔質の基板フィルム309上に配置される。多孔性基板フィルム309は、コンベアーのローラー310a−dを介して搬送されうる。活性なセパレーターフィルム307及び308は、多孔性基板フィルムにおいて、部分的に(図示)若しくは完全に孔内に進行しうる。
【0064】
本発明のある具体的なセパレーターは3層含む。例えば、第1層は、親水性ポリマー濃縮フィルム系である。当該系は、第2層状に水溶性のポリマー溶液を同時押出することにより調製することができる。水溶性のポリマー溶液は、ポリマーを水中に5〜20wt%で溶解させることにより調製することができる。具体的なポリマーには、ポリエチレン酸化物、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、若しくはポリビニルアルコールコポリマーが含まれる。ポリマー配合液には、任意ではあるが、不活性フィラー、イオン交換フィラー、可溶性フィラー、可塑剤、抽出可能な(非混合性の)相偏析液体及び疎水性及び親水性サブユニットの両方を含むコポリマー、すなわちPEO−PMMAコポリマーが含まれていても良い。
【0065】
当該具体的なセパレーターの第2層は、親水性複合フィルム系であってもよい。当該系は、第1層と第3層との間に水溶性複合混合物を同時押出することにより調製することができる。当該水溶性複合混合物は、水溶性ポリマー溶液中において金属酸化物粒子を分散させることにより調製することができる。ある実施例では、金属酸化物粒子は、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、及びこれらの組み合わせである。当該第2層に有用な具体的なポリマーには、ポリエチレン酸化物、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、若しくはポリビニルアルコールコポリマーが含まれる。水溶性の複合混合物の固体濃度は、10〜40wt%である。ポリマーに対する金属酸化物粒子の質量比は、0.5〜5である。配合液には、不活性フィラー、イオン交換フィラー、可溶性フィラー、可塑剤、抽出可能な(非混合性の)相偏析液体及び疎水性及び親水性サブユニットの両方を含むコポリマー、すなわちPEO−PMMAコポリマーが含まれていても良い。
また、当該具体的なセパレーターにおいて、第3層は、親水性ポリマー濃縮フィルム系であってもよい。ある具体的な系は、第2層と任意の基板との間に水溶性のポリマー溶液を同時押出することにより調製される。水溶性のポリマー溶液は、ポリマーを水中において5〜20質量パーセントで溶解させることにより調製することができる。ポリマーは、ポリエチレン酸化物、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール若しくはポリビニルアルコールコポリマーからなる。当該配合液には、不活性フィラー、イオン交換フィラー、可溶性フィラー、可塑剤、抽出可能な(非混合性の)相偏析液体及び疎水性及び親水性サブユニットの両方を含むコポリマー、すなわちPEO−PMMAコポリマーが含まれていても良い。
【0066】
本発明のいくつかの多層化セパレーターにおいて、当該層は同じ組成を有していてもよいし、若しくは異なる組成を有していてもよい。例えば、上述の3つの多層化セパレーターにおいて、当該層の2つが同じ組成を有し、3つの層のいずれかが異なる組成を有していてもよい。当該層のオーダーに関する唯一の制限は、同時押出の後それらは混合しないが、乾燥後は混合するということである。
【0067】
典型的な3層セパレーターシステムのための典型的なプロセス条件は、3層スロットダイを使用して、キャリアー基板上において3つの各水溶性混合物を同時に共押出することにより調製される。キャストされた3層フィルムは、約1フィート/分のラインスピードで、18フィートの対流式オーブンにおいて約180℃で乾燥させた。当該ダイギャップは、様々な組み合わせで設定し、約50〜150μmの乾燥全膜厚に達する。
【0068】
当該基板のための典型的な材料には、ポリプロピレン、親水性不織ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、パーフルオロポリマー、若しくはポリスルホンが含まれる。
【0069】
上述された3層化されたセパレーターは相対的に環境に優しい。他の溶媒を使用することも可能であるが、位相反転により層を形成したい場合には好ましい。水溶性の層により同時押出される場合の具体例はアセトン中のPVDF:HFPであり、当該PVDF:HFPは、当該溶液を高多孔性ネットワークに排出させる。
【0070】
本発明に係る多官能性セパレーターは、電解質、アノード、カソードを有するバッテリーとともに使用することができる。本発明は、亜鉛アノードと酸化銀カソードとを含むアルカリ蓄電池において使用することに特に適するけれども、しかしながら、他のアノード及び他のカソードとともに使用しても良い。本発明は、亜鉛、カドミウム、若しくは水銀、若しくはそれらの混合物を含むアノード、並びに、例えば、酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化マンガン若しくはそれらの混合物を含むカソードとともに使用することができる。
【0071】
A.ポリエーテルポリマー材料
【0072】
本発明のいくつかの実施の形態において、セパレーターの酸化抵抗層はポリエーテルポリマー材料を含み、これはデンドライト抵抗材料とともに同時押出される。当該ポリエーテル材料には、ポリエチレン酸化物(PEO)若しくはポリプロピレン酸化物(PPO)若しくはこれらのコポリマー若しくは混合物を含んでいても良い。当該ポリエーテル材料は、また、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の1以上の他のポリマー材料とともに共重合されていてもよいし若しくは混合されていても良い。いくつかの実施の形態において、PE材料は、単独で押し出される場合、自立型ポリエーテルフィルムを形成することができ、若しくはデンドライト抵抗材料とともに同時押出された場合、自立型フィルムを形成しうる。さらに、ポリエーテル材料は、アルカリバッテリー電解質、及び銀イオンの存在下において実質的に不活性である。
【0073】
別の実施の形態では、酸化抵抗材料には、任意に酸化ジルコニウム粉末を含有するPE混合物が含まれる。理論に制限されることを意図したものではないが、銀イオンとともに表面複合物を形成することにより酸化ジルコニウム粉末は、銀イオンが輸送することを抑制すると理論付けられる。”酸化ジルコニウム”なる用語は、二酸化ジルコニウム、イットリア安定酸化ジルコニウムを含めジルコニウムのあらゆる酸化物を包含する。酸化ジルコニウム粉末は、実質的に均一な銀複合体化、及び銀イオンの移動に対して均一な障壁を提供するようにPE材料中に分散されている。いくつかの実施の形態において、酸化ジルコニウム粉末の平均粒子サイズは、約1nm〜約5000nm、具体的には約5nm〜約100nmの範囲にある。
【0074】
他の実施の形態において、酸化抵抗材料は、さらに、任意の伝導性エンハンサーを含む。当該伝導性エンハンサーは、例えばチタン酸カリウム等の無機化合物、若しくは有機材料を含みうる。カリウム以外の他のアルカリ金属のチタン酸塩を用いても良い。適切な有機伝導性エンハンサーには、有機系スルホン酸塩及びカルボン酸塩が含まれる。単独で若しくは組み合わせて使用されうるスルホン酸及びカルボン酸のそのような有機系化合物には、数多くの種類の陽性カチオン、K、Na、Li、Pb+2、Ag、NH、Ba+2、Sr+2、Mg+2、Ca+2、若しくはアニリニウムとともに形成された塩を含みうる数多くの種類のポリマー材料を含む。これらの化合物には、また、例えば、市販のパーフルオロスルホン酸ポリマー材料、ナフィオン(登録商標)及びフレミオン(登録商標)が含まれうる。当該伝導性エンハンサーには、例えば、ポリビニルアルコールを有するスルホン酸塩若しくはカルボン酸塩コポリマー若しくは官能基として2-アクリルアミド-2-メチルプロパニルを含有するポリマーが含まれうる。1以上の伝導性エンハンサー材料を組み合わせたものを使用しても良い。
【0075】
本発明のセパレーターを形成するため、同時押出された酸化抵抗材料には、約5wt%〜約95wt%(具体的には、約20wt%〜約60wt%、若しくは約30wt%〜約50wt%)の酸化ジルコニウム及び/又は伝導性エンハンサーが含まれていても良い。
【0076】
酸化抵抗材料は、また、小さい粒子の凝集を防止することにより、酸化ジルコニウム粉末の分散を改良する界面活性剤等の添加物を含んでいても良い。1以上のアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、両性、双性界面活性剤及びそれらの混合物を含むあらゆる適切な界面活性剤を使用しても良い。ある実施の形態では、当該セパレーターは、アニオン性界面活性剤を含む。例えば、当該セパレーターは、アニオン性界面活性剤を含み、当該アニオン性界面活性剤は、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、サルコシネート塩が含まれる。他の有用な界面活性剤には、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテルが含まれる。これは、トリトンX-100の商標名でロームアンドハアスから市販されている。
【0077】
いくつかの実施の形態において、酸化抵抗材料は、約0.01wt%〜約1wt%の界面活性剤を含む。
【0078】
他の実施の形態では、当該酸化抵抗セパレーター層は、直鎖状の若しくは分岐した非置換若しくは置換のポリエーテルポリマーを含むPE溶液から析出されたポリエーテル(PE)フィルムを含む。例えば、当該ポリエーテルポリマーは、直鎖状の若しくは分岐したポリエチレン酸化物(PEO)若しくはポリプロピレン酸化物(PPO)もしくはこれらのコポリマー若しくは混合物を含む。当該ポリエーテル材料は、ポリエーテル以外の1以上のポリマー材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレン酸化物、ポリスルホン、アクリロニトリル、ブタジエンスチレン(ABS)若しくはポリテトラフルオロエチレンを含むポリエーテルポリマーのコポリマー若しくは混合物を含んでいても良い。主要な要件は、ポリエーテルフィルムが、アルカリバッテリー電解質において、及び銀イオンの存在下において実質的に不活性であるということである。他の典型的なポリエーテルポリマーは、0.5〜5.0μmの範囲の平均モル重量を有するポリエチレン酸化物である。
【0079】
PE溶液は、また、より効果的に銀イオンの輸送を抑制するため、フィラーとして、例えば、金属酸化物、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン若しくは酸化アルミニウムの粉末を含みうる。ある典型的な金属酸化物フィラーは、酸化ジルコニウムであり、これは、銀イオンと表面複合物を形成することにより、銀イオンの輸送を抑制すると考えられている。いくつかの具体例において、酸化ジルコニウム(若しくは他の金属酸化物)の粉末は、銀イオンの輸送に対する均一な障壁を提供するように、PEフィルムによく拡散させる。酸化ジルコニウム(若しくは他の金属酸化物)の粉末は、1〜5000nm、好ましくは5〜200nmの範囲にあるべきである。酸化ジルコニウムフィラーは、酸化抵抗セパレーター層のイオン伝導性を向上させる傾向にある。
【0080】
ある実施の形態において、PE溶液における成分の濃度(質量パーセント)は、以下の範囲にある:87〜95%の水;2〜6%のポリエチレン酸化物(PEポリマー);2〜6%のイットリア安定酸化ジルコニウム(フィラー);0.2〜1.5%のチタン酸カリウム(伝導性エンハンサー);及び0.08〜0.2%のトリトンX-100(界面活性剤)。これらの範囲は、異なるPEポリマー、フィラー、伝導性エンハンサー、及び界面活性剤毎に調整することができる。
【0081】
B.ポリビニルポリマー材料
【0082】
本発明のいくつかの実施の形態において、セパレーターのデンドライト抵抗層は、酸化抵抗材料と同時押出されたポリビニルポリマー材料を含む。いくつかの実施の形態において、PVA材料は、架橋されたポリビニルアルコール及び架橋剤を含む。
【0083】
いくつかの実施の形態において、架橋されたポリビニルアルコールポリマーは、コポリマーである。例えば、架橋されたPVAポリマーは、第1モノマー、PVA及び第2モノマーを含むコポリマーである。いくつかの例において、PVAポリマーは、少なくとも60モルパーセントのPVA及び第2モノマーを含むコポリマーである。他の例において、第2モノマーには、ビニルアセテート、エチレン、ビニルブチラール若しくはこれらの組み合わせが含まれる。
【0084】
本発明のセパレーターにおいて有用なPVA材料は、セパレーターを水中において実質的に溶解しなくなるような充分な量で架橋剤を含む。いくつかの実施の形態において、本発明のセパレーターにおいて使用される架橋剤には、モノアルデヒド(具体的には、ホルムアルデヒド若しくはグリオキシル酸);脂肪族ジアルデヒド、フリルジアルデヒド、若しくはアリールジアルデヒド(具体的には、グルタルアルデヒド、2,6フリルジアルデヒド若しくはテレフタルデヒド);ジカルボキシル酸(具体的には、シュウ酸若しくはコハク酸);ポリイソシアネート;メチロールメラミン;スチレン及び無水マレイン酸のコポリマー;ゲルマイック酸及びその塩;ホウ酸化合物(具体的には、酸化ホウ素、ホウ酸若しくはその塩;若しくはメタホウ酸若しくはその塩);若しくは銅、亜鉛、アルミニウム、若しくはチタンの塩が含まれる。例えば、当該架橋剤にはホウ酸が含まれる。
【0085】
他の実施の形態においては、PVA材料は、任意に酸化ジルコニウム粉末を含む。いくつかの実施の形態において、PVA材料は、約1wt%〜約99wt%(具体的には、2wt%〜約98wt%、約20wt%〜約60wt%若しくは約30wt%〜約50wt%)含む。
【0086】
多くの実施の形態において、本発明のセパレーターのデンドライト抵抗層においては、イオン伝導性は減少する。例えば、いくつかの実施の形態において、当該セパレーターは、約20mΩ/cm未満(具体的には、約10mΩ/cm未満、約5mΩ/cm未満若しくは約4mΩ/cm未満)のイオン抵抗を有する。
【0087】
本発明のセパレーターのデンドライト抵抗層を形成するPVA材料は、任意であるが、伝導性エンハンサー、界面活性剤、可塑剤等の適切な添加物を含んでいてもよい。
【0088】
いくつかの実施の形態において、PVA材料は、さらに、伝導性エンハンサーを含む。例えば、PVA材料は、架橋されたポリビニルアルコールポリマー、酸化ジルコニウム粉末、及び伝導性エンハンサーを含む。伝導性エンハンサーには、ポリビニルアルコールと水酸基伝導性ポリマーとのコポリマーが含まれる。適当な水酸基伝導性ポリマーには、水酸基イオンの移動を容易にする機能性官能基が含まれる。いくつかの具体例において、水酸基伝導性ポリマーには、ポリアミド、ポリアミドスルホネート、若しくはこれらの組み合わせが含まれる。ポリビニルアルコールとポリラクトンとのコポリマーを含む溶液は、ビテック(登録商標)ポリマーの商標名でセラネーゼ社により市販されている。いくつかの具体例において、当該セパレーターは、約1wt%〜約10wt%の伝導性エンハンサーを含む。
【0089】
他の実施の形態では、PVA材料はさらに界面活性剤を含む。例えば、当該セパレーターは、架橋されたポリビニルアルコールポリマー、酸化ジルコニウム粉末、及び界面活性剤を含む。当該界面活性剤には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤から選択された1以上の界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤は市販されている。いくつかの具体例において、PVA材料は、約0.01wt%〜約1wt%の界面活性剤を含む。
【0090】
いくつかの実施の形態において、デンドライト抵抗層はさらに可塑剤を含む。例えば、デンドライト抵抗層は、架橋されたポリビニルアルコールポリマー、酸化ジルコニウム粉末及び可塑剤を含む。当該可塑剤は、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、アミノアルコール、ポリプロピレングリコール、1,3ペンタンジオール分岐類似体、1,3ペンタンジオール、及び/又は水から選択された1以上の可塑剤を含む。例えば、当該可塑剤は、約1wt%より多いグリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、アミノアルコール、ポリプロピレングリコール、1,3ペンタンジオール分岐類似体、1,3ペンタンジオール若しくはこれらの組み合わせ、及び、99wt%未満の水を含む。他の具体例において、当該可塑剤は、約1wt%〜約10wt%のグリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、アミノアルコール、ポリプロピレングリコール、1,3ペンタンジオール分岐類似体、1,3ペンタンジオール若しくはこれらの組み合わせ、及び、99wt%〜約90wt%の水を含む。
【0091】
いくつかの実施の形態において、本発明のセパレーターは、さらに可塑剤を含む。他の具体例において、当該可塑剤は、グリセリン、低分子量ポリエチレングリコール、アミノアルコール、ポリプロピレングリコール、1,3ペンタンジオール分岐類似体、1,3ペンタンジオール若しくはこれらの組み合わせ、及び/又は、水を含む。
【0092】
架橋されたポリビニルアルコールポリマーは、共重合されたポリマー及び60モルパーセントポリビニルアルコールを含むコポリマーであってもよい。当該コポリマーは、PVA溶液中に、共重合されるポリマーのモノマーを含めることにより形成される。PVAコポリマーを形成するに適したモノマーには、ビニルアセテート、エチレン、ビニルブチラール、及びこれらの混合物が含まれる。
【0093】
架橋は、水中においてポリビニルアルコールポリマーを溶解しないようにするために必要とされる。ポリビニルアルコール前駆物質ポリマーの架橋を効果あらしめるためPVA溶液に加えられうる適当な架橋剤には、モノアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド及びグリオキシル酸);脂肪族ジアルデヒド、フリルジアルデヒド、若しくはアリールジアルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド、2,6フリルジアルデヒド若しくはテレフタルデヒド);ジカルボキシル酸(例えば、シュウ酸若しくはコハク酸);ポリイソシアネート;メチロールメラミン;スチレン及び無水マレイン酸のコポリマー;ゲルマイック酸及びその塩;ホウ素化合物(例えば、酸化ホウ素、ホウ酸若しくはその塩;若しくはメタホウ酸若しくはその塩);若しくは銅、亜鉛、アルミニウム、若しくはチタンの塩が含まれる。好ましい架橋剤はホウ酸である。
【0094】
好ましい実施の形態において、PVA溶液は、さらに、例えば不溶性の金属酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、若しくは酸化アルミニウムの粉末をフィラー材料として含み、銀イオン及び亜鉛イオンの移動をより効果的に防止し、亜鉛デンドライトの成長を抑制する。好ましいフィラー材料は、段落(0034)において酸化抵抗セパレーター層について記載したように、酸化ジルコニウム粉末である。
【0095】
ある実施の形態において、PVA溶液中の成分の濃度(質量パーセント)は、95%の水、3.1%のポリビニルアルコール(平均モル重量150,000)、1.9%酸化ジルコニウム(0.6μmの平均粒子サイズのZrO)、及び0.06%のホウ酸である。
【0096】
C.ポリスルホン酸(PSA)ポリマー材料
【0097】
他の側面において、本発明は、アルカリ電気化学セルにおいて使用される多層バッテリーセパレーターを提供する。当該セパレーターは、PSAポリマー材料を含む。
【0098】
本発明の多層化セパレーターにおいて、当該層は、如何なる順序で積層してもよいことに留意すべきである。
【0099】
PSAポリマー材料には、PSAが含まれる。当該PSAは、PSAホモポリマー、PSAコポリマー(具体的には、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互共重合体等)、若しくはPSAホモポリマー若しくはPSAコポリマーの混合物、及び他のポリマー若しくはコポリマーとして表されてもよい。
【0100】
いくつかの実施の形態において、PSAポリマー材料には、PSA(具体的には、ポリスチレンスルホン酸(PSS)若しくは式Iの他のポリスルホン酸)ホモポリマー若しくはPSAコポリマー及び他のポリマー若しくはコポリマーの混合物が含まれる。例えば、PSAポリマー材料には、PSA(具体的には、ポリスチレンスルホン酸若しくは式Iの他のポリスルホン酸)と、ポリアクリル酸(具体的には、ポリメチルアクリル酸、アクリル酸グラフトフッ素化ポリマー等)、アクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドコポリマー、ポリビニルアミン、ビニルアミンコポリマー、マレイン酸コポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルエーテル、ビニルエーテルコポリマー、ポリエチレングリコール、エチレングリコールコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールコポリマー、ポリアリルエーテル(具体的には、ポリビニルエーテル)、ポリジビニルベンゼン、若しくはトリアリルトリアジンとの混合物が含まれる。
【0101】
他の実施の形態において、PSAポリマー材料は、ポリスチレンスルホン酸ホモポリマーを含む。
【0102】
PSAポリマー材料は、また、上述の界面活性剤、可塑剤、フィラー、これらを組み合わせたもの等の1以上の任意の添加剤を含んでいてもよい。
【0103】
D.第4級アンモニウムポリマー
【0104】
多層化セパレーターは、また、第4級アンモニウムポリマーを含んでいても良い。第4級アンモニウムポリマーには、第4級窒素を含むあらゆるポリマーが含まれる。第4級アンモニウムポリマーの具体例には、ポリ[(2-エチルジメチルアンモニオエチル メタクリレート エチル 硫酸塩)-co-(1-ビニルピロリドン)]、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)メチル クロリド第4級塩のホモポリマー、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリマー3:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ジメチルアミン-co-エピクロルヒドリン-co-エチレンジアミン)のホモポリマー若しくはこれらの混合物が含まれるがこれらに限定される訳ではない。
【0105】
E.任意の基板
【0106】
別の態様では、本発明のバッテリーのセパレーターは、さらに、ポリマー材料(具体的には、酸化抵抗材料及び/又はデンドライト抵抗材料)が同時押出された基板を含む。いくつかの具体例において、セパレーターポリマー材料は、当該基板の一方の面に同時押出される。他の具体例において、ポリマー材料は、セパレーターを形成する少なくとも2つの層が当該基板により分離されるように、当該基板の他方の面上に同時押出される。
【0107】
これらの新規なセパレーターにおいて有用な基板は、アルカリ電気化学セルにおいて実質的に不活性な適当な材料を含みうる。いくつかの実施の形態において、当該基板は、織布若しくは不織布シートである。他の実施の形態において、当該基板は不織布シートである。
【0108】
当該基板フィルムは、電気的に絶縁され、十分な機械的強度を付与することができ、濃縮されたアルカリ溶液中において化学的及び電気化学的に安定な適切な有機ポリマー若しくは無機材料を含んでいても良い。いくつかの適当な有機ポリマー材料には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン若しくはポリプロピレン)、ポリエーテル(例えば、ポリエチレン酸化物及びポリプロピレン酸化物)、ポリフルオロカーボン(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリスルホン(例えば、ソルベイにより市販されているウデル(登録商標))、ポリエーテルスルホン(例えば、ソルベイにより市販されているラデル(登録商標))、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、及びそれらの混合物、コポリマー、置換されたポリマーが含まれる。市販のブレンドされたポリマー、例えばABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)若しくはEPDM(エチレン-プロピレン-ジエン ターポリマー)の多孔質フィルムを使用しても良い。適当な無機材料には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、イットリア安定化酸化ジルコニウム、若しくはこれらの混合物を含む金属酸化物、及び窒化チタニウム、窒化アルミニウム、窒化ジルコニウム、及びこれらの混合物を含む金属窒化物が含まれる。
【0109】
上述のように、本発明のセパレーターは、いくつかの層を含んでいても良く、そして、如何なる厚さを有していても良い。しかしながら、電気化学セルのハウジングの空間的考慮により、セパレーターの層の数を最大とし、セパレーターの全膜厚を最小にすることが望まれる。
【0110】
多くの実施の形態において、セパレーターは、200μm未満(具体的には、150μm未満若しくは100μm未満)の全膜厚を有する。他の実施の形態において、当該セパレーターは、2〜20層(具体的には2〜15層、2〜10層、若しくは2〜5層)含む。他の具体例において、当該セパレーターは、200μm未満の全膜厚を有し、約2〜約20層含む。
【0111】
III. 同時押出されたセパレーターの特性
【0112】
ここで述べられているように、本発明は、異なるポリマー溶液から析出された2以上の活性セパレーター層を含み、自立型フィルム、多孔質基板の一方の面上のマルチプレックスフィルム、多孔質基板の他方の面上の分離フィルム若しくはマルチプレックスフィルムを含む多層化された単一構造を形成する多官能性バッテリーセパレーターを提供する。当該セパレーターは、酸化及びデンドライト形成の両方を抑制するように作製されている。
【0113】
他の実施の形態において、酸化及びデンドライト形成の両方に対する抵抗を示すセパレーターは、3つの基本的な特性(3つの主要特性)を有する:アプリケーションにおいて許されるイオン抵抗(高い放電率のアプリケーションでは<0.5Ω/cm、若しくは低い放電率のアプリケーションでは<10Ω/cmである)、高い電気抵抗(>10kΩ/cm)、及び湿潤引張強度(>0.1lbf)。他の実施の形態においては、セパレーターの別の特性(第2の特性)、例えば化学的耐性、セルに存在する異なるイオンについての異なる親和性、より適合した若しくはゲル状の層若しくは表面、若しくは電解質に存在するある化学種の金属イオン封鎖(sequestration)等は有益である。しかしながら、これらの特性を付与する多くの材料は、3つの主要な特性の1以上を通常減殺する。例えば、高いイオン抵抗を有する特定の化学的耐性を有する多くの材料、若しくは低い引張強度を示す非常に低いイオン抵抗を有する材料が存在する。本発明は、低いイオン抵抗を提供する薄い層に化学的耐性が組み合わされた材料、より低い化学的耐性を示すより厚い層に高いイオン抵抗が組み合わされた材料を可能にし、それにより、3つの主要なセパレーター要求及び第2の化学的耐性要求の両方を満たす多層化された複合材を製造することができる。同様に、良好な引張強度を提供する厚い層に非常に低いイオン耐性が組み合わされた材料、より高いイオン抵抗を提供する薄い層に低い引張強度が組み合わされた材料を可能にし、それにより、3つの主要なセパレーター要求、及び、第2化学的耐性要求の両方を満たす多層化された複合材料を製造することができる。
【0114】
主要な特性を満足するため、本発明の多層化されたセパレーターの設計の際、複合多層化膜により満足されることが必要な3つの数式が存在する。
【0115】
イオン抵抗について、以下の等式
【数1】


を満たさなければならない。ここで、Rは、フィルムについてのイオン抵抗のスペックであり、以下の式R=V/Ia(ここで、VはアプリケーションIの最大ドレインレートにおける、当該アプリケーションに適した最大電圧降下であり、”a”は、セルの面積である)を用いてアプリケーション要求により決定される。”A”は、もしRがΩ/cmの単位で表現される場合、テストサンプルの全面積は典型的には1cmである。”n”は、2より大きい若しくは2と同じ層数であり、ρは、当該複合材におけるi番目の層のイオン抵抗(単位 オームcm)であり、tは、i番目の層の厚さである。
【0116】
電気抵抗について、以下の等式
【数2】


を満たさなければならない。ここで、R電気は、当該フィルムについての電気抵抗のスペックであり、以下の式R電気=Vセル/Iセルフa(ここで、Vセルは、セルオープン回路電圧であり、Iセルフは、当該アプリケーションに適した最大セルフ放出率であり、”a”は、セルの面積である)を用いてアプリケーション要求により決定される。”A”は、もしRがΩ/cmの単位で表現される場合、テストサンプルの全面積は典型的には1cmである。”n”は、2より大きい若しくは2と同じ層数であり、rは、当該複合材におけるi番目の層の電気抵抗(単位 オームcm)であり、tは、i番目の層の厚さである。
【0117】
引張強度については、以下の等式
【数3】


を満たさなければならない。Sは、休止中における、力(L)に対して垂直なフィルム長当たりの力の全ニュートンである。”n”は、2より大きい若しくは2と同じ層数である。σは、当該複合材におけるi番目の層の引張強度(単位 ニュートン/cm)であり、tは、i番目の層の厚さである。
【0118】
他の実施の形態において、本発明の多層化セパレーターは、また、電極形状変化について利点を提供する。多くの電極は、当該電極に対して近位にないセルの部分において移動及び沈殿しうる可溶性の化学種を生成する。これは、例えば、亜鉛電極において平常変化をもたらす一つのファクターである。銀電極は、また、可溶性の中間物質を有する。当該中間物質は、もし銀電極から自由に移動することが許される場合、セルのサイクルライフを厳しく制限する。特定の輸送特性をさらに満足する3つの主要なセパレーター要求を満たす多層化セパレーターは、可溶性電極化学種の移動を著しく減少させることができる。多層化されたセパレーターの各層の相対的輸送特性は、時間依存性、過渡電流、拡散の問題として起こる。当該問題について、2つの層間の界面における濃度拡散イオンにより、濃度において不連続なステップを形成する。2つの層の間の濃度ステップは、拡散のフィックの第2法則に明らかに反する。しかしながら、フィック第2法則は、濃度が拡散のための主な駆動力であるという一般原則である(A.N.マラクホフ及びA.L.Mladentsev, ”多相溶媒における非定常拡散”、ラジオフィジックスアンド量子エレクトロニクス、Vol.35、p38−46、1995)。より一般的な数式において、電気化学ポテンシャルにおけるグラジエントは、拡散のための駆動力である。当該式の一般化された形式は、
【数4】


である。
【0119】
ここで、C(x、t)は、位置x、時間tにおける拡散化学種の濃度であり、Dは、実効的な拡散(若しくは拡散/移動)定数であり、μ(x、t)は、拡散化学種の電気化学的ポテンシャルである。電気化学ポテンシャルの定義は、以下の式
【数5】


により与えられる。μは参照条件における化学ポテンシャルであり、Rは理論ガス定数であり、Tは絶対温度、”a”は拡散化学種の活性、zはイオンについての電荷、Fはファラデー定数、Φは静電ポテンシャルである。以下の一般式
【数6】


は、活性についての表現を概算する。ここで、γは活性の係数であり、Cは拡散化学種の濃度である。セパレーターの2つの層について、界面に亘る電気化学的ポテンシャル及び活性(電界を無視する)は連続的であるべきである。2層間の電界差が小さい場合、界面に亘って活性を同様に設定することによって、当該等式が与えられる。ここで、1及び2は、セパレーターの第1層及び第2層を意味する。
【数7】

【0120】
当該最後の等式は、界面に亘って、濃度に10%の不連続を生じさせるため、拡散化学種の活性係数は、10%異なることが必要である。10%より大きい若しくはこれと同じ活性差により、濃度において有益な不連続を生じさせることが要求される。いくつかのデンドライト形成材料は、10%未満の不連続により利益を享受しうる。ここで、他のものは10%より大きい不連続を要求しうる。
【0121】
多層セパレーターは、また、デンドライト陥入に対抗するという利点を提供することができる。金属デンドライトを形成する材料の具体例には、亜鉛、銀、銅、リチウム及びビスマスが含まれる。
【0122】
デンドライト陥入は、電気化学セルの多くの化学物質について、早期のサイクルライフ故障の主な原因となる。
【0123】
本発明の同時押出された多層セパレーターは、デンドライト陥入を減少させることを助力する。成長するデンドライトの最大速度の概算は、
【数8】


である。ここで、Fはファラデー定数、Rは理想ガス定数、tは絶対温度、ηはオーバーポテンシャルである。γはデンドライト材料の表面エネルギーであり、Dはデンドライトを形成するためのイオンメッキの実効拡散(若しくは拡散/移動)定数であり、Cは、デンドライト先端の周りのイオン濃度である。当該式は、等方性溶媒におけるデンドライト成長を拘束する。デンドライトがセパレーターの2つの層間の界面(ここでは、第2層は、メッキ種についてより低い実効拡散(若しくは拡散/移動)定数を有し、及び/又は、メッキ種のより低い濃度を有する)に近づくとき、デンドライト成長方向(z方向)におけるメッキ速度は比例して減少する。これにより、デンドライトは、成長の前述の方向に対して垂直な方向(x、y−方向)により速く成長させ、デンドライト成長を鈍らせ、層の界面に平行に成長させる。いくつかの実施の形態において、デンドライト成長を制限する本発明の多層セパレーターは、以下の特性を有する:第1層におけるDC∞の製品が、近接する第2層におけるDC∞の製品と少なくとも20%異なる。より低いオーバーポテンシャルにおいて、より高い表面エネルギーを有する材料について、製品DC∞におけるステップは、デンドライト陥入を遅らせるため2つの層間において20%未満である。
【0124】
IV.電気化学セル
【0125】
本発明の他の側面は、上述のカソード、アノード、電解質、セパレーターを含む電気化学セルを提供する。本発明の電気化学セルにおいて、如何なる適切なカソード、アノード、及び電解質を使用しても良い。
【0126】
A.電極
【0127】
本発明の他の側面は、アルカリ電解質、カソード、及びアノードを含む電気化学セルであって、当該カソードは、第1活性材料及び第1バインダー材料を含み、アノードは、第2活性材料及び第2バインダー材料を含む電気化学セルを提供する。いくつかの具体例において、第1バインダー材料、第2バインダー材料、若しくはその両に方は、PVDF若しくはPVDFコポリマーが含まれる。
【0128】
いくつかの実施の形態において、カソードは、少なくとも90wt%の第1活性材料を含む。例えば、カソードは、AgO、AgO、HgO、HgO、CuO、CdO、NiOOH、Pb、PbO、Li(PO、V13、V、Fe、Fe、MnO、LiCoO、LiNiO、若しくはLiMnから選択された少なくとも90wt%の活性材料を含む。
【0129】
いくつかの具体例において、カソードの活性材料にはAgOが含まれる。他の具体例において、AgOは、10wt%以下のPbでドープされている。いくつかの具体例において、AgOは、5wt%以下のPbでドープされ、若しくはAgOは5wt%以下のPbでドープされ且つ5wt%以下のPbで被覆されている。他の適切な酸化銀タイプ活性材料には、AgO若しくはAgが含まれる。これは、AgOとともに、及び/又は互いに組み合わせて使用してもよい。
【0130】
いくつかの実施の形態において、カソードは、約10wt%以下(具体的には、約6wt%以下)のバインダー材料を含む。例えば、当該カソードは、PVDF若しくはPVDFコポリマーを含む、約10wt%以下のバインダーを含む。他の具体例において、バインダー材料には、PVDF-co-HFPコポリマー等のPVDFコポリマーが含まれる。いくつかの実施の形態において、当該PVDF-co-HFPコポリマーは、約600,000amu(具体的には、約500,000amu、約400,000amu)未満の平均モル重量を有する。
【0131】
別の実施の形態においては、本電気化学セルに有用なアノードは、少なくとも90wt%の第2活性材料を含む。例えば、アノードは、Si、Sn、Al、Ti、Mg、Fe、Bi、Zn、Sb、Ni、Pb、Li、Zr、Hg、Cd、Cu、LiC、ミッシュウメタル、若しくはそれらの酸化物から選択された少なくとも約90wt%の活性材料を含む。いくつかの具体例においては、アノードは、Zn若しくはZnOを含む活性材料を含有する。
【0132】
いくつかの実施の形態において、当該アノードは、10wt%以下のバインダー材料を含む。例えば、アノードは、6wt%以下のバインダー材料を含む。いくつかの具体例においては、当該アノードは、PVDF若しくはPVDFコポリマーを含む10wt%以下のバインダー材料を含有するバインダー材料を有する。例えば、当該バインダー材料は、PVDF-co-HFPコポリマー等のPVDFコポリマーを含む。他の具体例においては、当該PVDF-co-HFPコポリマーは、約600,000amu(具体的には、約500,000amu、約400,000amu)未満の平均モル重量を有する。
【0133】
B.電解質
【0134】
本発明の電気化学セルは、アルカリ電解質を含む。いくつかの実施の形態において、当該電解質には、NaOH若しくはKOHが含まれる。例えば、当該電解質には、水溶性のNaOH、若しくはKOH、液体ポリマー等の実質的に水を有しない液体を含むNaOH、若しくはKOH混合物が含まれうる。典型的なアルカリポリマー電解質には、90wt%のPEG-200及び10wt%のKOH、50wt%のPEG-200及び50wt%のKOH;KOHで飽和されたPEG-ジメチルエーテル;PEG-ジメチルエーテル及び33wt%KOH;PEG-ジメチルエーテル及び11wt%KOH;平均モル重量200amuを有するPEG-ジメチルエーテルで11wt%KOHまでさらに希釈されたPEG-ジメチルエーテル(平均モル重量500amu)及び33wt%KOHが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0135】
典型的な電解質には、NaOH及び/又はKOH等の水溶性金属水酸化物が含まれる。他の典型的な電解質には、金属水酸化物と、ポリマーが使用される電気化学セルのためのオペレーション範囲及び/又は保持温度の範囲において液体であるようなポリマーとの混合物が含まれる。
【0136】
他の実施の形態において、当該電解質は、少なくとも8Mの濃度を有するNaOH若しくはKOHの水溶性の混合物である。
【0137】
本発明の電解質を生成するに有用なポリマーは、また、アルカリ剤と少なくとも実質的に混和性を有する。他の実施の形態において、当該ポリマーは、混合物が使用される電気化学デバイスのオペレーション及び保持温度を少なくとも含む温度範囲を超えると、少なくとも実質的にアルカリ剤と混和性を有することになる。例えば、当該ポリマーは、少なくとも実質的に混和性を有し、具体的には、少なくとも−40℃の温度において、アルカリ剤と実質的に混和性を有する。他の具体例において、当該ポリマーは、少なくとも−30℃(具体的には、少なくとも−20℃、少なくとも−10℃、若しくは約−40℃〜約70℃)の温度において液体である。他の実施の形態において、ポリマーは、約−20℃〜約60℃の温度においてアルカリ剤と少なくとも実質的に混和性を有する。例えば、当該ポリマーは、約−10℃〜約60℃の温度においてアルカリ剤と少なくとも実質的に混和性を有する。
【0138】
いくつかの実施の形態において、当該ポリマーは、溶液を生成するためにポリマーが保存される電気化学デバイスのオペレーション温度範囲の温度においてアルカリ剤と結合しうる。
【0139】
ある実施の形態では、当該電解質は、式(I)のポリマーを含有する:
【化1】


ここで、R、R、R及びRのそれぞれは、独立的に(V-Q-V-Q-V-Qである。V、V、Vのそれぞれは、独立的に、結合若しくは-O-であり、Q、Q、Qのそれぞれは、独立的に、結合、水素、若しくはC1−4直鎖不飽和アルキルである。nは1-5であり、pは式(I)のポリマーが10,000amu未満(具体的には、約5000amu未満、約3000amu未満、約50amu〜約2000amu、若しくは約100amu〜約1000amu)の全モル重量を有し、そしてアルカリ剤を有するような十分な値の正の整数である。
【0140】
いくつかの実施の形態において、当該ポリマーは、直鎖状若しくは分岐状である。例えば、当該ポリマーは直鎖状である。他の実施の形態において、Rは、独立的に(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q、Vのそれぞれは、結合であり、Qは水素である。いくつかの実施の形態において、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q、Vのそれぞれは、結合であり、Qは水素である。他の実施の形態においては、R及びRの両方が、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、それぞれのnは1であり、それぞれのV、Q、V、Q、Vは、結合であり、それぞれのQは水素である。
【0141】
しかしながら、他の実施の形態において、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q、及びVのそれぞれは結合であり、Qは-CH、-CHCH、-CHCHCH若しくはHである。例えば、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q、及びVのそれぞれは結合であり、Qは-CH若しくはHである。
【0142】
他の具体例では、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、QとQの一方は、-CH-、-CHCH-、若しくは-CHCHCH-であり;V及びVは、それぞれ結合であり;Vは、-O-であり、QはHである。
【0143】
いくつかの他の具体例においては、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Qのそれぞれは、結合であり、Vは、-O-若しくは結合であり、Qは、水素、-CH、-CHCH、-CHCHCHである。具体的には、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q及びVのそれぞれは、結合であり、Qは、-H、-CH、-CHCH、-CHCHCHである。
【0144】
他の実施の形態では、Rは、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q及びVのそれぞれは、結合であり、Qは、-CHであり、Rは、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Qは結合であり、Vは、-O-であり、Qは、-Hである。
【0145】
いくつかの実施の形態では、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q及びVのそれぞれは、結合であり、Qは、-CH、-CHCH、-CHCHCH、若しくは水素である。他の実施の形態では、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q、及びVの一つは、-O-であり、Qは-Hである。
【0146】
いくつかの実施の形態において、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q及びVのそれぞれは、結合であり、Qは、-CH、-CHCH、-CHCHCH若しくはHである。他の実施の形態では、Rは、独立的に、(V-Q-V-Q-V-Qである。ここで、nは1であり、V、Q、V、Q及びVのそれぞれは、-O-であり、Qは、-Hである。
【0147】
いくつかの実施の形態において、ポリマーは、ポリエチレン酸化物を含む。他の具体例では、当該ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、アルキル-ポリエチレングリコール、アルキル-ポリプロピレングリコール、アルキル-ポリブチレングリコール、及びこれらの組み合わせから選択されたポリエチレン酸化物を含む。
【0148】
他の実施の形態においては、当該ポリマーは、10,000amu未満(具体的には、約5000amu未満、若しくは約100amu〜約1000amu)のモル重量若しくは平均モル重量を有するポリエチレン酸化物である。他の実施の形態では、当該ポリマーは、ポリエチレングリコールを含む。
【0149】
本発明に係る電解質中において有用なアルカリ剤は、水等の水溶性若しくは非極性溶媒、及び/又は液体ポリマーが混合されたとき、水酸化物イオンを生成することができる。
【0150】
いくつかの実施の形態において、アルカリ剤には、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH若しくはこれらの組み合わせが含まれる。例えば、アルカリ剤は、LiOH、NaOH、KOH、若しくはこれらの組み合わせが含まれる。他の具体例においては、当該アルカリ剤には、KOHが含まれる。
【0151】
いくつかの典型的な実施の形態において、本発明の電解質は、式(I)の液体ポリマーと、LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH若しくはこれらの組み合わせが含まれるアルカリ剤とを含有する。他の典型的な実施の形態において、当該電解質は、ポリエチレン酸化物を含む液体ポリマー;LiOH、NaOH、KOH、CsOH、RbOH若しくはこれらの組み合わせが含まれるアルカリ剤とを含有する。例えば、電解質は、ポリエチレン酸化物が含まれるポリマーと、KOHが含まれるアルカリ剤とを含む。
【0152】
いくつかの典型的な実施の形態において、本発明の電解質は、約1wt%より高いアルカリ剤(具体的には、約5wt%より高いアルカリ剤、若しくは約5wt%〜約76wt%のアルカリ剤)を含む。ある具体例においては、当該電解質は、ポリエチレン酸化物が含まれる液体ポリマーと、3wt%以上(具体的には、4wt%以上、約4wt%〜約33wt%、若しくは約5wt%〜約15wt%)のアルカリ剤とを含む。例えば、電解質は、ポリエチレン酸化物と、5wt%以上のKOHとを含む。他の具体例では、当該電解質は、基本的に、約100amu〜約1000amuのモル重量若しくは平均モル重量を有するポリエチレン酸化物と、5wt%以上のKOHとからなる。
【0153】
本発明の電解質は、実質的に水を含まなくても良い。いくつかの実施の形態において、電解質は、アルカリ剤の約60wt%以下(アルカリ剤の約50wt%以下、アルカリ剤の約40wt%以下、アルカリ剤の約30wt%以下、アルカリ剤の約25wt%以下、アルカリ剤の約20wt%以下、若しくはアルカリ剤の約10wt%以下)の量で水を含む。
【0154】
典型的なアルカリポリマー電解質には、90wt%のPEG-200及び10wt%のKOH、50wt%のPEG-200及び50wt%のKOH;KOHで飽和されたPEG-ジメチルエーテル;PEG-ジメチルエーテル及び33wt%KOH;PEG-ジメチルエーテル及び11wt%KOH;平均モル重量200amuを有するPEG-ジメチルエーテルで11wt%KOHまでさらに希釈されたPEG-ジメチルエーテル(平均モル重量500amu)及び33wt%KOHが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0155】
他の実施の形態では、電解質は、約10M〜約18Mの濃度を有するKOH水溶液である。
【0156】
他の実施の形態において、アルカリ電解質は、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されたアルカリ金属の水酸化物を含む水溶性の溶液である。水酸化物濃度は、4M〜16M(具体的には、約8M〜約16M若しくは約10M〜約16M)のモル濃度範囲にある。電気化学セルが亜鉛-酸化銀バッテリーである、ある具体例において、電解質は、15Mの水酸化カリウムである。当該電解質は、さらに、ゲル化剤、例えば、ポリエチレン酸化物、ポリビニルアルコール、カルボキシアルキルセルロース、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリオクサゾリン、ポリビニルピロリジン、ポリアクリレート、若しくはポリメタクリレートを含んでいても良い。
【0157】
IV.方法
【0158】
本発明は、また、本発明に係るセパレーターを製造する方法であって、上述のPEポリマー混合物を提供する工程と、上述のPVAポリマー混合物を提供する工程と、を有し、上記PEポリマー混合物及び上記PVAポリマー混合物は、上述のPEポリマー層及び上述のPVAポリマー層を含む単一のセパレーターを形成するため提供されることを特徴とする方法を提供する。
【0159】
V.実施例
【0160】
実施例1:具体的なセルA及びB
【0161】
本発明の効果は、ポリビニルアルコール(PVA)層及び酸化ジルコニア-ポリエチレン酸化物(ZrO-PEO)層を含む二官能性セパレーターについて示された。比較のため、二官能性セパレーター(セルB)を組み込んだ亜鉛-酸化銀テストセル及び二官能性セパレーター層(セルA)と同じ組成を有する各セパレーター層を組み込んだものを充電-放電サイクルテストにより評価した。
【0162】
実質的に同等な組成を有する溶液を使用して、二官能性セパレーター及び個々のセパレーター層を作製した。ポリビニルアルコール層は、10wt%PVA溶液から析出させた。当該PEO溶液は、87〜97wt%の水、2〜6wt%のポリエチレン酸化物、2〜6wt%イットリア安定酸化ジルコニウム(フィラー)、0.2〜1.5wt%チタン酸カリウム(伝導性エンハンサー)、及び0.08〜0.2wt%のトリトンX-100(界面活性剤)から構成された。従来の分散技術を使用して、均一分散のフィラーを提供した。
【0163】
二官能性セパレーターは、二層スロットダイユニットからPVA及びPEO溶液の同時押出により調製し、280℃で乾燥させた。各セパレーター層は、従来のフィルムキャスティング技術を用いて調製した。
【0164】
図4は、3つのカソード(111、113及び115)及び2つのアノード(112及び114)を含むテストセルについて使用された電極セパレーター構造を示す。カソード113は両面を有し、アノード112と114との間に挟まれ、結合された2つの片側面を有するカソード(111及び115)と同じキャパシティーを有する。当該アノードは、全部で14グラムの亜鉛を含み、当該カソードは、全部で22グラムの銀を含む。電極111、112、113、114及び115は、各ソリューパーセパレーターフィルム(DSMソリューテック)121、122、123、124及び125にそれぞれ包まれ、セルに組み込まれる前に、減少した圧力チャンバーの下40wt%水溶性水酸化カリウムで充填された。当該溶液摂取は、アノードについては10〜20wt%に亘り、カソードについては15〜25%に亘る。ソリューパーフィルムは、それらが主として電解質容器として機能する点でパッシブセパレーターであることに留意すべきである。
【0165】
図4に図示されているように、活性セパレータースタック131は、電極間を前後に蛇行した。活性セパレータースタックは、本発明に係る2つの二官能性PVA/ZrO-PEO、若しくはZrO-PEO層及び2つのPVA層のいずれかを含む。両方の場合において、酸化抵抗ZrO-PEO層は、カソードに対向し、デンドライト抵抗PVA層は、アノードに対向する。2つの二官能基層は、3つの各層の場合における70μmと比較して、60μmの全膜厚を有した。組み立て後、各セルは、さらに、40wt%のKOH溶液0.25mLで充填し、サイクルテストのためのポリエチレンバックにおいて真空密閉された。サイクルテストには、950mAでの放電、690mAでの充電が含まれる。
【0166】
図5は、ZrO2-PEOセパレーター層及び2つのPVAセパレーター層を用いる2つの亜鉛-酸化銀セルについて、サイクル数に対して放電キャパシティーをプロットしたものを示す。両方のセルは、約50サイクル後のキャパシティーにおいて相当の損失を示し、100サイクル未満において故障した。
【0167】
図6は、2つの二官能性PVA/ZrO-PEOセパレーター層を用いる2つの亜鉛-酸化銀セル(A及びB)について、サイクル数に対して放電キャパシティーをプロットしたものを示す。これらのセルの両方についてのキャパシティー損失は、125サイクル以上経過後実際無視しうる程度となった。
【0168】
実施例2:多層セパレーター
【0169】
次のセパレーター材料は、本発明のセパレーターを組み立てるのに有用である。
【0170】
サンプルコードT1は、PVA/V6/PSSである。ここで、PVAは、約10wt%PVAであり;V6は約〜10wt%PVA及びZrO(PVAに対して〜35wt%)であり;PSSは、ポリスチレン硫酸25wt%市販PSS溶液(Mw=1M)である。セパレーターフィルムはキャストされ、大気条件下で一晩乾燥させた。
【0171】
サンプルコードT2は、PVA/V6/(PSS+PAA)である。ここで、PVAは、約10wt%PVAであり;V6は上述の通りであり;PSS+PAA(PSSに対して35wt%PAA)溶液は、PSS樹脂(Mw=1M)及び25wt%市販PAA溶液(192058アルドリッヒポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液平均Mw〜240,000、GPC、水において25wt%)を用いて調製され;フィルムは低いドライヤー温度でキャストし乾燥させた。
【0172】
サンプルコードT3は、V6/PVA/PSS+PAAである。ここで、V6は、上述の通りである。PVAは、10wt%PVAである。そして、PSS+PAA(PSSに対して10wt%のPAA)溶液は、25wt%PSS溶液(Mw=1M)を12.5wt%まで希釈することにより調製し、PSS:PAA固体濃度が10:1を達成するため、25wt%の市販のPAA溶液(192058アルドリッヒポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液平均Mw〜240,000、GPC、水において25wt%)がそれに加えられ;フィルムは低いドライヤー温度でキャストされ乾燥させた。
【0173】
サンプルコードT4は、PSS+PAA(10%)である。6.5wt%PSSは樹脂(Mw=1M)から調製した;当該PSS溶液に対して、溶液の形態の10wt%PAA(PSS樹脂に対して)を加えた(192058アルドリッヒポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液平均Mw〜240,000、GPC、水において25wt%)。フィルムはキャストし大気条件下で一晩乾燥させた。
【0174】
サンプルコードT5は、PSS+PAA(20%)である。6.5wt%PSSは樹脂(Mw=1M)から調製した;当該PSS溶液に対して、溶液の形態の20wt%PAA(PSS樹脂に対して)を加えた(192058アルドリッヒポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液平均Mw〜240,000、GPC、水において25wt%)。フィルムをキャストし大気条件下で一晩乾燥させた。
【0175】
サンプルコードT6は、PSS+PSS-co-MA(1:1)(20%)である。MAは、PSSを含む無水マレイン酸である。
【0176】
サンプルコードT7は、PSS+PAA(35%)である。6.5wt%PSSは樹脂(Mw=1M)から調製した;当該PSS溶液に対して、溶液の形態の35wt%PAA(PSS樹脂に対して)を加えた(192058アルドリッヒポリ(アクリル酸)部分ナトリウム塩溶液平均Mw〜240,000、GPC、水において25wt%)。フィルムはキャストし大気条件下で一晩乾燥させた。
【0177】
サンプルコードT8は、PVA/T7/T7である。PVAは、2つのT7層を有する10%PVA下層である。ここで、T7は上述の通りである。
【0178】
サンプルコードP1は、PVA+PSS(PVAに対して10wt%)である。PVAは、10wt%PSSを提供するため、PSS溶液(20%ストック)により混合された(10%ストック)溶液である。
【0179】
サンプルコードP2は、PVA+PSS(PVAに対して20wt%)である。PVAは、20wt%PSSを提供するため、PSS溶液(20%ストック)により混合された(10%ストック)溶液である。
【0180】
サンプルコードP3は、PVA+PSS(PVAに対して20wt%)である。PVAは、20wt%PSSを提供するため、PSS溶液(20%ストック)により混合された(9%ストック)溶液である。
【0181】
サンプルコードT9aは、P2/T7/T7である。P2及びT7は上述の通りである。
【0182】
サンプルコードT9bは、P3/T7/T7である。P3は、9%PVAストック溶液により調製した(PVA:PSS=8:2)。T7は、上述の通りである。
【0183】
サンプルコードT10(1012-59)は、T7/PVA/T7である。ここで、10%PVA層は2つのT7間に挟まれている。
【0184】
サンプルコードP4は、PVA(10%)+PSS(PVAに対して20%)である。PSSは、市販の25wt%溶液から得た。
【0185】
サンプルコードT11は、T7/P4/T7である。T7及びP4は上述の通りである。
【0186】
サンプルコードT10F3は、T10の構成と同じである。各層は8μmである。
【0187】
他の実施の形態
本発明の好ましい実施の形態は、上述のように説明され記載されている。しかしながら、当該技術分野における当業者にとっては、修正及び更なる実施の形態は疑いなく明らかであろう。さらに、同等の構成要素は、ここで例示され記載されているものと置換することができ、部品若しくは接続部は逆に設置することができ、若しくは相互に置換することができる。本発明のある特徴は、他の特徴を独立的に用いても良い。典型的な実施の形態は、包括的ではなく例示と解すべきであり、一方、添付の特許請求の範囲は、本発明の全技術範囲を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレーターを製造する方法であって、
PEポリマー混合物を提供する工程と、
PVAポリマー混合物を提供する工程と、を有し、
上記PEポリマー混合物及び上記PVAポリマー混合物は、上記PEポリマー層及び上記PVAポリマー層を含む単一のセパレーターを形成するため提供され、
上記PEポリマー層は酸化を抑制し、上記PVAポリマー層はデンドライト形成を抑制することを特徴とするセパレーターの製造方法。
【請求項2】
上記セパレーターは、200μm未満の全膜厚を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、1〜10の付加的なポリマー混合物を提供する工程を含み、
上記ポリマー混合物は、PEポリマー層、PVAポリマー層、及び1〜10の付加的なポリマー層を含むセパレーターを形成するため提供される請求項2記載の方法。
【請求項4】
さらに、多孔質基板を提供する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記PEポリマー混合物及び上記PVAポリマー混合物は、単一のセパレーターを形成するため、多孔質基板上に塗布される請求項2記載に方法。
【請求項6】
上記PEポリマー混合物及び上記PVAポリマー混合物は、単一のセパレーターを形成するため、多孔質基板の反対側に塗布される請求項3記載の方法。
【請求項7】
上記多孔質基板は、ポリオレフィン材料を含む請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
上記多孔質基板は、ポリエチレン若しくはポリプロピレンを含む請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
上記PEポリマー混合物及び上記PVAポリマー混合物は、単一のセパレーターを形成するため、それぞれ、同時押出により塗布される請求項1記載の方法。
【請求項10】
上記PEポリマー混合物は、PVAポリマー混合物が与えられる前に少なくとも部分的に硬化されるか、若しくは、上記PVAポリマー混合物は、PEポリマー混合物が与えられる前に少なくとも部分的に硬化される請求項9記載の方法。
【請求項11】
多孔質基板フィルムと、
複数の活性セパレーター層と、を含み、
上記活性セパレーター層の少なくとも一つが上記多孔質基板フィルムの上に積層された多官能性セパレーター。
【請求項12】
上記多孔質基板フィルムの反対側に第1活性セパレーター層及び第2活性セパレーター層が積層された請求項11記載の多官能性セパレーター。
【請求項13】
電解質と、
アノードと、
カソードと、
多官能性セパレーターと、を備え、
上記電解質はアルカリ電解質であり、上記アノードは亜鉛金属を含み、上記多官能性セパレーターは、
直鎖状であってもよく若しくは分岐されていてもよい未置換若しくは置換のポリエーテルポリマーを含むPE溶液から析出された酸化抵抗セパレーター層と、
架橋剤、及び、直鎖状であってもよく若しくは分岐されていてもよい未置換若しくは置換のポリビニルアルコール前駆ポリマーを含有するPVA溶液から析出されたデンドライト抵抗セパレーター層と、を含む、電気化学セル。
【請求項14】
上記アルカリ電解液が、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されたアルカリ金属の水酸化物の水溶液を含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項15】
上記カソードは、酸化銀、酸化ニッケル、酸化コバルト、及び酸化マンガンからなる群から選択された活性材料を含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項16】
上記ポリエーテルポリマーは、ポリエチレン酸化物若しくはポリプロピレン酸化物若しくはこれらのコポリマー若しくはこれらの混合物を含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項17】
上記架橋剤がホウ酸である請求項13記載の電気化学セル。
【請求項18】
上記PE溶液及び上記PVA溶液の一方若しくは両方が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化アルミニウムからなる群から選択された金属酸化物の粉末をさらに含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項19】
上記PE溶液及び上記PVA溶液の一方若しくは両方が、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されたアルカリ金属のチタン酸塩をさらに含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項20】
上記PE溶液及び上記PVA溶液の一方若しくは両方が、さらに界面活性剤を含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項21】
上記PVA溶液が、さらに可塑剤を含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項22】
上記PVA溶液が、さらに、ポリビニルアルコールと、ポリアクリレート、ポリラクトン、ポリスルホン、ポリカルボキシレート、ポリサルフェート、ポリサルコネート、ポリアミド、及びポリアミドサルホネートからなる群から選択された水酸基伝導性ポリマーと、のコポリマーからなる伝導性エンハンサーを含む請求項13記載の電気化学セル。
【請求項23】
少なくとも3つの活性セパレーター層を含む多官能性セパレーターであって、
上記多官能性セパレーターは、<10Ω/cmのイオン抵抗、>10kΩ/cmの電気抵抗、>0.1lbfの湿潤引張強度を有する多官能性セパレーター。
【請求項24】
上記イオン抵抗が<0.5Ω/cmである請求項23記載の多官能性セパレーター。
【請求項25】
上記3つのセパレーター層の少なくとも2つは、PVA及びPSA若しくはこれらの組み合わせからそれぞれ選択されたポリマー材料を含む請求項23又は24に記載の多官能性セパレーター。
【請求項26】
上記PSAは、PSSを含む請求項23〜25のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項27】
PVA/V6/PSS層;PVA/V6/(PSS+PAA)層;V6/PVA/(PSS+PAA)層;PVA/(PSS+PAA(35%))/(PSS+PAA(35%))層;(PSS+PAA(35%))/PVA/(PSS+PAA(35%))層;(PSS+PAA(35%))/(PVA(10%)+PSS(PVAに対して20%))/(PSS+PAA(35%))層を含む請求項23〜26のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項28】
PVA/V6/(PSS+PAA)層;V6/PVA/(PSS+PAA)層;(PSS+PAA(35%))/PVA/(PSS+PAA(35%))層を含む請求項23〜27のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項29】
上記セパレーター膜厚は、<100μmである請求項23〜28のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項30】
上記セパレーター膜厚は、<30μmである請求項23〜29のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項31】
上記セパレーターにおける各層は、<10μmである請求項27又は28記載の多官能性セパレーター。
【請求項32】
同じ膜厚を有するPVAセパレーターに対してデンドライト形成を遅延させる請求項23〜31のいずれかに記載の多官能性セパレーター。
【請求項33】
セパレーターの少なくとも2層は、それぞれ、PVA、第4級アンモニウムポリマー、若しくはこれらの組み合わせから選択されたポリマー材料を含む請求項23又は24記載の多官能性セパレーター。
【請求項34】
セパレーターを製造する方法であって、
PSAポリマー混合物を提供する工程と、
PVAポリマー混合物を提供する工程と、を備え、
上記PSAポリマー混合物及びPVAポリマー混合物は、上記PSAポリマー層及びPVAポリマー層を含む単一セパレーターを形成するため提供され、
上記PSAポリマー層は酸化を抑制し、上記PVAポリマー層はデンドライト形成を抑制することを特徴とするセパレーターの製造方法。
【請求項35】
上記セパレーターは、100μm未満の全膜厚を有する請求項34記載の方法。
【請求項36】
さらに、1〜10の付加的なポリマー混合物を提供する工程を含み、当該ポリマー混合物は、PSAポリマー層、PVAポリマー層、1〜10の付加的なポリマー層を含むセパレーターを形成するために提供される請求項34記載の方法。
【請求項37】
上記セパレーターは、<10Ω/cmのイオン抵抗、>10kΩ/cmの電気抵抗、>0.1lbfの湿潤引張強度を有する請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
上記セパレーターのイオン抵抗は、<0.5Ω/cmである請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−515821(P2011−515821A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501842(P2011−501842)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/001946
【国際公開番号】WO2009/120382
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510108135)ゼットパワー・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ZPower, Inc.
【Fターム(参考)】