説明

電極式レベル検出装置

【課題】低電導度の液であっても液位を確実に検出することが可能であり、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用可能な電極式レベル検出装置を提供する。
【解決手段】排水槽5の液位を検出する電極式レベル検出装置1であって、液位を検出する電極式レベル検出器11と、排水槽5内の液とは異なる排水槽5内の液に比較し電導度の高い検出液14と、排水槽5内の液とは区画し、排水槽5内の所定の場所に前記検出液14を保持する筒体13と、を備え、筒体13は底なしであり、筒体13内の検出液14は、排水槽5内の排水10と一体的に上下動し、前記電極式レベル検出器11で前記検出液14の液位を検出することで排水槽5内の液位を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水槽など槽に設置され槽内の液位を検出する電極式レベル検出装置に関する。本発明において、槽には液を貯留する容器、装置が含まれ、液には水が含まれ、排液には排水が含まれる。電気伝導度は、電導率、導電率、電気伝導率と記されることも多いが、本明細書では電導度と記す。
【背景技術】
【0002】
発電所において、ユニットの運転等に伴い発生する排水は、排水槽に一旦集められた後、排水処理装置に送られ処理される。排水槽から排水処理装置への送水は、排水ポンプを介して行われ、排水ポンプは、排水槽に設けられたレベルスイッチの信号に基づいて起動、停止する。レベルスイッチが排水槽の水位高を検知すると、排水ポンプを起動し送水を開始し、送水により排水槽の水位が所定の水位(水位低)まで低下すると排水ポンプを停止するように運転を行う。これにより排水槽を所定の水位に維持することができる。
【0003】
排水槽の水位を検知するレベルスイッチとしては、電極式レベルスイッチ、ディスプレーサ式レベルスイッチなどがある。電極式レベルスイッチは、構造が簡単で安価なことからよく使用されているレベルスイッチの1つである。電極式レベルスイッチは、電極が排水に接し、電極間に電路が形成され通電されることで水位を検知する方式ゆえ、排水に含まれる電解質が少ない場合、例えば電導度が5μS/cm以下の低電導度排水では電極が排水に接しても水位を検知することができない。大量の純水排水が排出されたような場合に発生し、他の装置でも同様の指摘がなされている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−12703号公報
【特許文献2】特開2010−8379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の考案では、ボイラーの給水に電導度の極めて低い純水を使用すると電極式水位検出器では水位の制御を行うことができないとして、電極式水位検出器のほかに非電極式水位検出器を設け、電導度に応じて2つの水位検出器を使い分けている。特許文献1に記載の考案を排水槽に適用することはできるが、排水槽の場合、非電極式水位検出器のみを使用し水位を検出することができる。
【0006】
特許文献2に記載の発明では、電極棒の先端部に断面積の広い板状の導電性部材を取付け、該導電性部材が水に浸かると電極棒が深く水に浸かったと同じ状態が作り出されることを利用して液面の検知精度を高めている。特許文献2に記載の発明の場合、導電性部材が他の電極棒に接触しないようにする必要があり、このためには隣の電極棒との間隔を大きくする必要がある。既設の電極式レベルスイッチでは、電極棒の位置が固定されているのでこの方法を適用することは容易ではない。また排水の性状によっては、導電性部材の面積(底面積)を非常に大きくする必要があり、大きな設置スペースが必要となる。
【0007】
本発明の目的は、低電導度の液であっても液位を確実に検出することが可能であり、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用可能な電極式レベル検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、槽内の液位を検出する電極式レベル検出装置であって、液位を検出する電極式レベル検出器と、槽内の液とは異なる槽内の液に比較し電導度の高い検出液と、槽内の液とは区画し、槽内の所定の場所に前記検出液を保持する保持手段と、を備え、前記検出液は、槽内の液と一体的に上下動し、前記電極式レベル検出器で前記検出液の液位を検出し槽内の液位を検出することを特徴とする電極式レベル検出装置である。
【0009】
本発明の電極式レベル検出装置において、前記保持手段は、前記電極式レベル検出器の電極を囲みかつ一部が槽内の液に浸かるように設置された底無しの筒体であり、該筒体内には所定の高さに塩が充填された透水性の容器が設置されており、前記検出液は、槽内の液が所定の高さ以上に上昇し前記塩と接触し、前記塩が液に溶解することで形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の電極式レベル検出装置において、前記検出液は、前記塩に代え、前記筒体内に電導度の高い液を供給し形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の電極式レベル検出装置において、前記槽は、排液処理装置で処理する排液を貯留する槽であり、前記検出液は、排液といっしょに前記排液処理装置で処理可能なことを特徴とする。
【0012】
本発明の電極式レベル検出装置において、前記保持手段は、フロートが装着された上部が開口した容器であり、前記検出液は、前記容器内に充填され、前記容器は、前記槽内に浮かび槽内の液と一体的に上下動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電極式レベル検出装置は、槽内の液と一体的に上下動する槽内の液に比較し電導度の高い検出液の液位を検出することで槽内の液位を検出するので、槽内の液の電導度が低くても槽内の液位を確実に検出することができる。検出液は、保持手段を介して槽内の液とは区画し、槽内の所定の場所に保持され、本発明の電極式レベル検出装置を導入するに際して電極式レベル検出器を改造する必要がないので、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用することができる。
【0014】
また本発明の電極式レベル検出装置によれば、槽内に底無しの筒体を設置し、さらに筒体内の所定の高さに塩を充填した透水性の容器を設置し、槽内の液が所定の高さ以上に上昇し塩と接触することで検出液が形成されるようにしてもよいので、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用することができる。塩は液と常時接触していないので、塩の消費量は少なく、ランニングコストも小さい。
【0015】
また本発明の電極式レベル検出装置によれば、検出液は、筒体内に電導度の高い液、例えば電解質溶液を供給することで形成させてもよいので、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用することができる。筒体の大きさは、電極を囲むことができる大きさがあればよいので、容積も小さく添加すべき電導度の高い液も少量で済む。このためランニングコストも小さい。
【0016】
また本発明の電極式レベル検出装置において、検出液は、底無しの筒体で液と区画されているだけであるから液位の上下動に伴い一部が筒体の外に排出され液といっしょになるが、検出液を排液といっしょに排液処理装置で処理可能な液とすれば特別の処置は必要ない。このため本発明の電極式レベル検出装置を排液を貯留する槽の液位検出装置として好適に使用することができる。
【0017】
また本発明の電極式レベル検出装置によれば、フロート付きの容器に検出液を充填し、これを槽内に浮かべ槽内の液と一体的に上下動させ、電極式レベル検出器で検出液の液位を検出することで槽内の液位を検出するようにしてもよいので、槽内の液の電導度が低くても槽内の液位を確実に検出することができる。また本発明の電極式レベル検出装置は、電極式レベル検出器を改造する必要がなく、既設の電極式レベル検出装置にも容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態としての電極式レベル検出装置1の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態としての電極式レベル検出装置2の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態としての電極式レベル検出装置3の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態としての電極式レベル検出装置1の概略構成を示す図である。以下、電極式レベル検出装置1の構成、作用を、低電導度の排水を受け入れ貯留し、排水ポンプ(図示省略)を介して排水を排水処理装置(図示省略)に送水することで所定の水位に保持される排水槽5に設置し使用する場合を例として説明する。なお低電導度の排水は、電導度が低く、電極式レベル検出器の電極が浸漬しても電極間に電路が形成されない排水である。
【0020】
電極式レベル検出装置1は、排水槽5の水位を検出する装置であり、水位を検出する電極式レベル検出器11と、排水槽5内に排水10とは区画し、排水槽5内の所定の場所に検出液を保持する筒体13と、筒体13内を排水10に比較し電導度の高い検出液14とするための透水性の袋15に充填された塩17を含む。
【0021】
電極式レベル検出器11は、排水槽5内の水位、直接的には筒体13内の水位を検出するレベル計であり、本体部21に長さの異なる3本の電極23、25、27が取付けられている。右の電極23は、先端部29が排水槽5の水位低(L)のレベルよりもさらに低い位置にあり、常時、検出液14に漬かっている。中央の電極25は、排水槽5の水位低(L)を検出するための電極であり、先端部31が、排水槽5の水位低(L)の位置にセットされている。左の電極27は、排水槽の水位高(H)を検出するための電極であり、先端部33が、排水槽5の水位高(L)の位置にセットされている。
【0022】
電極式レベル検出器11は、電極23と電極25とが共に検出液14に浸漬すると、電路が形成され排水槽5の水位低(L)を検出する。さらに電極27が検出液14に浸漬すると、電極23と電極27との間に電路が形成され排水槽5の水位高(H)を検出する。検出された水位は、排水ポンプを制御する制御装置(図示を省略)へ送られる。このような電極式レベル検出器11は、従来から使用されている公知の電極式レベル検出器と同じである。
【0023】
筒体13は、排水槽5内に排水10とは区画し、筒体13内に排水10に比較し電導度の高い液、検出液14を保持するための部材である。筒体13は、底面及び天井面が開口した円筒状の筒であり筒体13の内外は連通し、3本の電極23、25、27を取り囲むように設置されている。さらに筒体13の内側には、塩17が充填された透水性の袋15がぶら下げられる。筒体13の下端35は、電極23の先端部29よりも低い位置であり、上端37は、排水槽5の水位高(H)よりも高い位置である。排水槽5の場合、流入する排水10により水面が波立つこともあるが、筒体13を設けることで波の影響を排除した状態で水位を検出することができる。
【0024】
筒体13の直径は、3本の電極23、25、27を取り囲み、かつ塩17が充填された透水性の袋15が電極23、25、27に接触しない大きさであれば特に限定されないが、可能な限り小さい方が好ましい。筒体13の直径を小さくすることで設置スペースが小さくなり、さらに筒体13内の容積が小さくなることで、筒体13内の排水の電導度を高めるに必要な塩の量が少なくなる。ここでは筒体13を利用して塩17が充填された透水性の袋15をぶら下げているが、袋15をぶら下げなければ筒体13には基本的に力が加わらないので厚さは薄くてもよい。材質も排水10、検出液14で腐食しない材質ならば特定の材質に限定されるものではなく、プラスチック、金属材料を使用することができる。透明なプラスチック材を使用すれば筒体13内の様子、特に塩17を充填した袋15の様子が外部から視認できるので、残量の確認等が容易となり好ましい。
【0025】
検出液14は、排水槽5の水位を検出するために使用する液であり、電極式レベル検出器11は、この液位(水位)を検出する。検出液14は、筒体13内の排水10が塩17に接触し、塩17が筒体13内の排水10に溶解することで形成され、排水10に比較し電導度は高い。
【0026】
塩17は、排水10と接触することで排水10に溶解し、筒体13内の排水の電導度を高めるために使用されるものであり、透水性の袋15に充填され、袋15は、先端部39が排水槽5の水位低(L)と水位高(H)との間になるように取付けられている。筒体13内の排水の電導度は、電極23、25、27が排水(検出液14)に接触したとき電極間に確実に電路を形成できる電導度を有していればよく、極端に電導度を高くする必要はない。塩17を充填した袋15を上記のように設置することで、塩が筒体13内の排水と常時接触することを防ぎ、塩17の使用量を抑制することができる。
【0027】
塩17は、排水10に溶解し電導度を高めることができれば、特定の塩に限定されることなく使用することができるが、後処理が容易なものが好ましい。筒体13の内外は連通しているため、排水槽5の水位の上下動に伴い、筒体13内に排水10が入り込み、また逆に筒体13内の検出液14が筒体13の外に排出される。筒体13の外に排出された検出液14は、排水10といっしょになり最終的には排水処理装置で処理されるため、検出液14は、塩17が含まれていない排水10と同様の処理方法で処理出来ることが好ましい。さらに塩17は、安全で入手容易であり安価であればより好ましい。このような塩として、塩化ナトリウムが例示される。
【0028】
袋15は、透水性の袋であり、充填される塩17を保持し、水位が上昇すると充填された塩17と排水10とを接触させる機能を備える。透水性能は、塩17の溶解量に影響し検出液14の電導度に影響を与えるため、この点を考慮し適宜決定する。袋15は内部に塩17が充填され、さらに排水10に接すると塩17の他、塩17に付着する排水10の重量が加わるためこれに耐え得る強度が必要である。このような袋15としては、排水10及び塩17に対して耐性を有する織物、不織布など布性の袋を使用することができる。袋に代え、透水性を有する容器、例えば底に網目部を有する容器、全体が網で形成された容器などを使用してもよい。塩17を充填した袋15は、筒体13に引っ掛けられたフック41に吊り下げられている。なお、袋15の取付け方法は、先端部39を排水槽5の水位低(L)と水位高(H)との間になるように取付けることができれば他の方法であってもよく、取付け取り外しが容易なことが好ましい。
【0029】
電極式レベル検出装置1の動作を説明する。立ち上げ時であり、現状の水位が水位低(L)と水位高(H)との間でかつ、袋17が排水10に接していない状態とする。この場合、筒体13内の液と筒体13外の液とは同じ低電導度の排水であり、水位低(L)を検出するための電極25は排水10に浸かっているが、排水10の電導度が低いため電極25と電極23との間に電路が形成されず、電極式レベル検出器11は、水位が水位低(L)以上の水位であることを検出できていない。このため排水槽5内には、排水10が流れこみ水位が上昇する。水位が上昇し、排水10が袋15に接すると塩17が溶解し、筒体13内の排水10の電導度が上昇する。この時点で検出液14が形成される。筒体13内の排水10の電導度が上昇すると、電極25と電極23との間に電路が形成され、電極式レベル検出器11は、水位が水位低(L)以上の水位であることを検出し、排水ポンプ制御装置へ信号を送る。
【0030】
排水ポンプは水位高(H)の信号が入力されないと起動されないように制御されているので、排水槽5内の水位は引き続き上昇する。排水槽5内の水位が上昇すると、筒体13内に底部から新たな排水10が流入するが、筒体13内では引き続き検出液14を含む排水10が塩17と接触するため筒体内13は電導度が高いままである。水位がさらに上昇し、検出液14が電極27と接触すると電極27と電極23との間に電路が形成され、電極式レベル検出器11は、水位高(H)を検出し、信号を排水ポンプ制御装置へ送る。これにより排水ポンプが起動し、排水槽5内の排水10を排水処理装置へ送る。
【0031】
排水ポンプにより送水が開始されると、排水槽5内の水位が低下し同時に筒体13内の水位も低下する。水位が電極27の先端部33以下の水位となると電極27と電極23との間の電路は開放されるが、電極式レベル検出器11が水位低(L)を検出するまで排水ポンプは排水を継続する。水位が袋15以下の水位になると、塩17の溶解は停止し、さらに水位が電極25の先端部31以下になると、電極25と電極23との間の電路が開放され、電極式レベル検出器11は、水位低(L)を検出し、信号を排水ポンプ制御装置へ送る。これにより排水ポンプが停止する。
【0032】
再び水位が上昇すると筒体13内に新たな排水10が流入するが、筒体13の電導度は排水10に比較して高い。筒体13は、下端35が電極23の先端部29よりも低い位置になるように設置されているので、筒体13内の排水(検出液14)は、排水槽5内の水位が水位低(L)となっても全て筒体13外に排出されることなく一部がそのまま残るためである。このため立ち上げ時を除き、筒体13内に一度、検出液14が形成された後は、筒体13内の電導度は排水10の電導度に比較して高い状態が保持される。上記動作により排水槽5内の水位は、水位低(L)と水位高(H)との間に制御される。
【0033】
図2は、本発明の第2実施形態としての電極式レベル検出装置2の概略構成を示す図である。図1に示す電極式レベル検出装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。電極式レベル検出装置2は、第1実施形態に示す電極式レベル検出装置1と同様に、電極式レベル検出器11が筒体13内の電導度を高めた排水(検出液14)の水位を検出することで排水槽5の水位を検出する。第1実施形態では、排水10が所定の水位以上まで上昇すると、排水10が塩17と接触することで、筒体13内の排水の電導度が高まるが、電極式レベル検出装置2では、電解質溶液を用いて排水10の電導度を高める。
【0034】
電極式レベル検出装置2は、筒体13内に電解質溶液を添加する電解質添加装置51を備える。電解質添加装置51は、電解質溶液53を貯留するタンク55とタンク55内に貯留する電解質溶液53を筒体13内に供給する供給管57を備え、ヘッド差によりタンク55内の電解質溶液53を筒体13内に滴下する。供給管57の途中にはバルブ59が設けられており、これにより滴下量を調整することができる。
【0035】
電解質溶液53の滴下量は、筒体13内の排水の電導度が電極式レベル検出器11で水位を確実に検出することができる電導度となるような量とする必要があり、筒体13の大きさ、水位の変化、電解質溶液の濃度などを勘案して適宜設定すればよい。筒体13内の排水(検出液14)は、水位が上下動しても部分的に排水が入れ替わるだけであるから電解液の使用量も少量で済む。基本的には電解質溶液53の滴下量は、筒体13の直径及び水位の変化が大きいほど多くし、電解質溶液53の濃度が高いほど少なくする。筒体13内の排水の電導度は、電極式レベル検出器11で水位を確実に検出することができる電導度であればよく、薬品の浪費を抑制する点からも必要以上に高くする必要はない。
【0036】
本実施形態では、ヘッド差を利用して電解質溶液53を滴下しているため、電解質溶液53は連続的に供給される。供給量を少量にすれば、液滴61が所定の間隔で供給されるが、この場合も長いスパンで見れば連続供給である。ヘッド差を利用した供給に代え、定量供給ポンプを使用して電解質溶液53を供給してもよい。定量供給ポンプを使用すれば、断続的な供給も可能となる。
【0037】
電解質溶液53は、排水10に溶解し電導度を高め、かつ電極23、25、27等を腐食させないものであれば、特定の電解質溶液に限定されることなく使用することができるが、第1実施形態の検出液14と同様に後処理が容易なものが好ましい。電解質溶液53が溶解した排水は、最終的に排水処理装置で処理されるため、電解質溶液53が含まれていない排水と同様の処理方法で処理することができることが好ましい。さらに安全で入手容易であり安価であればより好ましい。特に排水処理装置で使用される薬品であれば、処理及び入手の点においてより好ましい。電解質溶液53としては、水酸化ナトリウム水溶液、硫酸、塩酸が例示される。なお、水酸化ナトリウム水溶液などを使用する場合は、劇物毒物に指定される濃度以下のものを使用することが望ましい。
【0038】
電解質溶液53は、排水10の電導度を高めるために添加するものであるから、電解質溶液53に代え、電導度の高い排水、排液を使用してもよい。この電導度の高い排水、排液は、排水槽5が設置されているプラントから排出される排水、排液であれば入手が容易であり好ましい。また電解質溶液53の場合と同様に、最終的に排水処理装置で処理されるため、電導度の高い排水、排液が含まれていない排水と同様の処理方法で処理することができることが好ましい。このような電導度の高い排水、排液を使用すれば薬品代が不要となる。
【0039】
電極式レベル検出装置2の使用方法は、第1実施形態の電極式レベル検出装置1と同様であり、排水10の電導度が低くても排水10の水位を確実に検出することができる点など作用効果も基本的に電極式レベル検出装置1と同じである。装置構成も非常に簡便であり、電極式レベル検出器11を改造する必要がないので、既設の電極式レベル検出器11を用いた電極式レベル検出装置にも簡単に適用することができる。また電極式レベル検出装置1と同様に筒体13内のみを検出液14とするので、電解質溶液53の添加量も少量で済み、運転費も安価である。
【0040】
図3は、本発明の第3実施形態としての電極式レベル検出装置3の概略構成を示す図である。図1に示す電極式レベル検出装置1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。電極式レベル検出装置3も電極式レベル検出装置1、2と同様に、排水槽5内の排水10の水位を直接、電極式レベル検出器11で検出するのではなく、電導度の高い液を用いて排水槽5内の水位を検出する。電極式レベル検出装置1、2では、排水槽5内に筒体13を設置し、筒体13内の排水の電導度を高めこの排水の水位を検出することで排水槽5内の水位を検出するが、電極式レベル検出装置3は、高電導度液(検出液14)の入った容器71を排水槽5に浮かべ、この検出液14の液位を検出することで、排水槽5内の水位を検出する。
【0041】
電極式レベル検出装置3は、電極式レベル検出器11の他、検出液14が充填された容器71、容器71を同じ位置で上下動させるためのガイド73を含む。容器71は底有りで上部が開口した円筒容器であり、電極式レベル検出器11の3本の電極23、25、27が入る大きさを有している。容器71の深さは、排水槽5の水位が一番上昇した状態でも電極23の先端部29が底に接触しない深さを有している。容器71の大きさは、上記条件を満たせば必要以上に大きくする必要はなく、形状も円筒容器に限定されるものではない。
【0042】
容器71の上部外周部には、浮き75が取付けられており、検出液14を充填した容器71を排水10に浮かべることができる。浮き75は、容器71内に充填した検出液14の液面18が排水10の液面12と同一の高さになるように取付けられている。浮き75のみでは、容器71内に充填した検出液14の液面18が排水10の液面12と同一の高さにならない場合には、容器71にバランスウエイト(図示省略)を取付け、容器71内に充填した検出液14の液面18が排水10の液面12と同一の高さになるようにすることが好ましい。容器71の材質は、排水10、検出液14で腐食しない材質ならば特定の材質に限定されるものではなく、プラスチック、金属材料を使用することができる。透明なプラスチック材を使用すれば検出液14の液面18が外部から視認できるので好ましい。
【0043】
検出液14の電導度は、電極23、25、27を浸漬させたとき電路が確実に形成される電導度を有する。このような電導度を有し、電極23、25、27等を腐食させないものであれば、特定の液体に限定されることなく使用することができる。検出液14は、安全で入手容易であり安価であることが好ましく、特に排水処理装置で使用される薬品を使用して調製することができれば、処理及び入手の点からより好ましい。また排水処理装置で処理可能であれば後処理が容易でありより好ましい。検出液14としては、塩化ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、塩酸水溶液、硫酸水溶液が例示される。またプラントから排出される電導度の高い排水、排液を使用してもよい。
【0044】
ガイド73は、電極23、25、27が検出液14に確実に浸かるように、検出液14を充填した容器71を電極23、25、27の真下で安定的に上下動させるためのものであり、排水槽5内に固定されている。ガイド73は、上面及び底面が開口した円筒パイプからなり、容器71を囲ったとき容器71の周囲に取付けられた浮き75との間にわずかな隙間ができる大きさである。ガイドは73、容器71を電極23、25、27の真下で安定的に上下動させるためのものであるから、このような機能を備えていれば必要以上に大きくしても不経済である。
【0045】
検出液14が充填された容器71が同じ位置で上下動できるのであれば、必ずしもガイド73を設ける必要はない。但し、排水槽5の場合、流入する排水10の流れ、あるいは流入する排水10により発生する波により容器71を押し流すように力が加わる場合もあるのでガイド73は設置することが好ましい。また波の影響を排除する点からガイド73は、容器71の全周を囲むように設けることが好ましい。ガイド73の材質は、排水10で腐食しない材質ならば特定の材質に限定されるものではないが、透明なプラスチック材を使用すれば容器73の動きを外部から視認できるので好ましい。
【0046】
電極式レベル検出装置3の使用例を説明する。検出液14を充填した容器71をガイド73内に入れ、排水槽5内に浮かべる。電極式レベル検出器11は、3本の電極23、25、27が容器71内に位置するように設置する。容器71内の検出液14の液位は、排水槽5の水位と同一であり、容器71は排水槽5の排水10といっしょに上下動するので、電極式レベル検出器11で容器71内の検出液14の液位を検出することで、排水槽10の水位を検出することができる。
【0047】
第3実施形態に示す電極式レベル検出装置3も、第1、第2実施形態に示す電極式レベル検出装置1、2と同様に、直接的には検出液14の液位を検出することで排水槽10の水位を検出するので、純水排水のように電導度が小さい排水であっても水位を確実に検出することができる。
【0048】
本発明に係る電極式レベル検出装置は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、排水槽5の排水10を例として説明したけれども、排水10に代え排液であってもよいことは言うまでもない。また上記実施形態では、電極レベル検出器11で水位低と水位高との2点の水位を検出する例を示したが、検出する水位は2点に限定されるものではない。また第3実施形態の電極式レベル検出装置3では、容器71内の検出液14の液位と排水10の水位とを同一としていたが、排水槽5の構造等の事情により容器71内の検出液14の液位と排水10の水位を同一にできない場合には、その差分を予め考慮し電極25、27の高さを決めることで、排水槽5の水位を検出することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、2、3 電極式レベル検出装置
5 排水槽
10 排水
11 電極式レベル検出器
12 排水の液面
13 筒体
14 検出液
15 袋
17 塩
18 検出液の液面
23、25、27 電極
51 電解質添加装置
71 容器
73 ガイド
75 浮き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽内の液位を検出する電極式レベル検出装置であって、
液位を検出する電極式レベル検出器と、
槽内の液とは異なる槽内の液に比較し電導度の高い検出液と、
槽内の液とは区画し、槽内の所定の場所に前記検出液を保持する保持手段と、
を備え、
前記検出液は、槽内の液と一体的に上下動し、前記電極式レベル検出器で前記検出液の液位を検出し槽内の液位を検出することを特徴とする電極式レベル検出装置。
【請求項2】
前記保持手段は、前記電極式レベル検出器の電極を囲みかつ一部が槽内の液に浸かるように設置された底無しの筒体であり、該筒体内には所定の高さに塩が充填された透水性の容器が設置されており、
前記検出液は、槽内の液が所定の高さ以上に上昇し前記塩と接触し、前記塩が液に溶解することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の電極式レベル検出装置。
【請求項3】
前記検出液は、前記塩に代え、前記筒体内に電導度の高い液を供給し形成することを特徴とする請求項2に記載の電極式レベル検出装置。
【請求項4】
前記槽は、排液処理装置で処理する排液を貯留する槽であり、
前記検出液は、排液といっしょに前記排液処理装置で処理可能なことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の電極式レベル検出装置。
【請求項5】
前記保持手段は、フロートが装着された上部が開口した容器であり、
前記検出液は、前記容器内に充填され、前記容器は、前記槽内に浮かび槽内の液と一体的に上下動することを特徴とする請求項1に記載の電極式レベル検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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