説明

電極式水位検出器

【課題】被取付部材(モータケーシング3)に取り付けられる本体部11と、本体部11の表面に設けられた電極12と、電極12に接続された導線14とを備えた電極式水位検出器10において、電極12や導線14の腐食等による故障が生じるのを防止する。
【解決手段】電極12を導電性ゴムで構成し、導線14が、電極12の内部にて電極12に接続された電極接続部14aと、電極接続部14aに続き本体部11の内部に配設された本体部内配設部14bとを有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ポンプ等に取り付けられる電極式水位検出器に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、合併浄化槽や排水処理槽等の槽内に設置されかつ該槽内に貯留される汚水等の水を槽外へ排出する水中ポンプはよく知られており、この水中ポンプは、槽内の水位を検出する水位センサを備えていて、該水位センサにより検出される水位の増減に応じて水中ポンプを自動的に起動及び停止させるようになっている。
【0003】
上記水位センサとしては、フロートスイッチの他に、例えば特許文献1及び2に示されているように、水中ポンプのケーシング等のような被取付部材に取り付けられる本体部と、この本体部の表面に設けられた電極と、この電極に接続された導線とを備えた電極式水位検出器があり、この電極式水位検出器は、上記電極が液体に浸かっているか否かに応じて液体の水位を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−57571号公報
【特許文献2】特開2007−46489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記電極式水位検出器の電極の材料としては、通常、ステンレス等のような腐食し難い金属が用いられるが、このような金属製の電極は、腐食の進行速度を低下させることはできても、種々の成分が混入した汚水等の液体に接していると、やがて腐食し始める。電極が腐食すると、電極と本体部との間のシール性が低下して、その間から液体が本体部内に浸入する可能性があり、液体が本体部内に浸入すると、本体部内を通る導線が腐食して故障の要因となる可能性が高くなる。また、上記電極式水位検出器が例えば水中ポンプに取り付けられている場合、その電極は、通常、水中ポンプのケーシングの外側に突出するように設けられるため、水中ポンプの運搬中等において、電極を何かの部材にぶつけたり水中ポンプを落としたりしたときに電極に衝撃力が作用する場合があり、この場合、衝撃力を受けた電極が損傷して電極と本体部との間のシール性が低下する可能性があり、この状態で水中ポンプを槽内に設置した場合には、導線がより一層腐食し易くなる。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電極式水位検出器において、電極や導線の腐食等による故障が生じるのを出来る限り防止しようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、被取付部材に取り付けられる本体部と、該本体部の表面に設けられた電極と、該電極に接続された導線とを備え、上記電極が液体に浸かっているか否かに応じて液体の水位を検出するように構成された電極式水位検出器を対象として、上記電極は、導電性ゴムで構成され、上記導線は、上記電極の内部にて該電極に接続された電極接続部と、該電極接続部に続き上記本体部の内部に配設された本体部内配設部とを有する、という構成とした。
【0008】
上記の構成により、導電性ゴムを、例えば、液体に対して腐食し難いゴム材料に導電性フィラーを添加したもので構成することで、電極式水位検出器の故障が生じ難くなる。すなわち、電極表面に位置する導電性フィラーや上記ゴム材料の一部が腐食したとしても、その腐食した部分から液体が電極内部や本体部内部にまで浸入することはない。また、本体部と電極とを一体成形する等して本体部と電極とを一体化することができ、本体部と電極との間に液体が浸入するのを防止することができる。この結果、電極内及び本体部内に配設された導線の腐食を防止することができる。しかも、電極における液体に接する表面の面積を容易に大きくすることができ、こうすることで、電極表面に位置する導電性フィラーの一部が腐食したとしても、残りの導電性フィラーで電極の導電性を確保することができる。さらに、電極に衝撃力が作用したとしても、導電性ゴムがその衝撃力を吸収するので、電極が損傷することは殆どなく、本体部と電極とを一体化した状態を維持することができる。したがって、電極や導線の腐食等による電極式水位検出器の故障が生じ難くなる。また、導線の電極接続部に対して、電極を構成する導線性ゴムを、圧縮した状態で接触させることができ、電極と電極接続部との導通を容易に確保することができる。
【0009】
上記電極式水位検出器において、上記本体部は、絶縁ゴムで構成されている、ことが好ましい。
【0010】
このことにより、本体部と電極とをより一層強固に接合することができるとともに、電極に衝撃力が作用したときの該衝撃力を電極及び本体部の両方で吸収することができるようになる。この結果、電極式水位検出器の故障をより効果的に防止することができる。
【0011】
上記本体部が絶縁ゴムで構成される場合、上記導電性ゴムは、上記本体部と同じ絶縁ゴムに導電性フィラーを添加したものである、ことが好ましい。
【0012】
このことで、本体部と電極とを一体化し易くなるとともに、その接合強度を最大限に高めることができ、導線の腐食による電極式水位検出器の故障をより一層確実に防止することができる。
【0013】
上記導電性フィラーは、ステンレスマイクロファイバーである、ことが好ましい。
【0014】
これにより、電極の導電性を高レベルに維持しつつ、電極表面に位置する導電性フィラーの腐食の進行速度を極力低下させることができる。
【0015】
上記電極式水位検出器において、上記本体部の表面における互いに所定距離以内の離れた2箇所に上記電極がそれぞれ設けられている場合には、上記本体部の表面における上記2つの電極の間の部分に、該両電極が上記液体に浸っていないときに該液体が該液体の表面張力により該両電極間に亘って付着するのを規制するリブが突出形成されている、ことが好ましい。
【0016】
このことにより、2つの電極間の距離を小さくして電極式水位検出器を小型にすることができる。また、2つの電極間の距離が所定距離以内である場合、両電極が液体に浸っていないときに、その液体(液滴)が、該液体の表面張力により、本体部の表面における該両電極間の部分において該両電極に亘って付着する可能性が高くなるが、リブの形成により、そのような液体の付着を規制することができ、液体の水位の誤検出を防止することができる。
【0017】
上記電極式水位検出器において、上記導線の電極接続部における本体部内配設部とは反対側の端が、上記電極における上記液体に接する表面に露出していてもよい。
【0018】
こうすることで、電極が液体に浸っているときに、導線と接続された電極が液体に接触することに加えて、導線が液体に直接接触するので、電極を構成する導電性ゴムの導電性フィラーの腐食により電極の導電性がなくなったとしても、導線が液体に直接接触することで、液体の水位を検出することができるようになる。逆に、導線における電極表面への露出部分が腐食しても、電極を介して液体の水位を検出することができる。この結果、電極式水位検出器の故障がより一層生じ難くくなる。ここで、導線における上記露出部分から液体が電極内部に浸入する可能性はあるが、導線を撚り線ではなくて単線にし、電極を構成する導電性ゴムを圧縮した状態で導線の電極接続部に接触させることで、液体の電極内への浸入を抑制することができる。また、本体部と導線の本体部内配設部とを接着剤を介して接着しておけば、電極内に浸入した水が本体部内にまで浸入するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によると、電極を導電性ゴムで構成したことにより、電極や導線の腐食等による電極式水位検出器の故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係る電極式水位検出器が設けられた水中ポンプを貯留槽内に設置した状態を示す、貯留槽の断面図である。
【図2】実施形態1に係る電極式水位検出器の正面図である。
【図3】実施形態1に係る電極式水位検出器の平面図である。
【図4】実施形態1に係る電極式水位検出器の右側面図である。
【図5】実施形態1に係る電極式水位検出器を水中ポンプのモータケーシングに取り付けた状態を示す、図3のV−V線に相当する断面図である。
【図6】実施形態2に係る電極式水位検出器の正面図である。
【図7】実施形態2に係る電極式水位検出器の平面図である。
【図8】実施形態3に係る電極式水位検出器を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電極式水位検出器10が設けられた水中ポンプ1を貯留槽21内に設置した状態を示す。本実施形態では、貯留槽21は、内部に液体(本実施形態では、水(特に汚水))が流入して貯留される合併浄化槽や排水処理槽であるが、これに限らず、液体が貯留されかつ該液体を排出することが必要な槽であれば、どのようなものであってもよい。そして、後述の如く、貯留槽21内の水位に応じて、水中ポンプ1が貯留槽21内の水を貯留槽21外へ排出する。
【0023】
水中ポンプ1のポンプ本体1aは、モータや該モータを駆動するための回路基板等を収容するモータケーシング3と、このケーシング3の下側に設けられ、上記モータにより回転する羽根車を収容するポンプケーシング6とを備えている。
【0024】
ポンプケーシング6の下面には、ポンプケーシング6内に水を吸い込むための吸込み口6aが設けられており、ポンプケーシング6の上面には、吐出管18が接続される吐出口6bが設けられている。また、ポンプケーシング6の下面における吸込み口6aを除く部分には、水中ポンプ1を貯留槽21の底面に設置するための複数の脚6cが設けられており、これら脚6cにより、吸込み口6aは貯留槽21の底面から僅かに離れた高さ位置に位置することになる。
【0025】
水中ポンプ1が起動(運転)される、つまり、上記モータが駆動されると、上記羽根車が回転し、これにより、貯留槽21内の水が吸込み口6aからポンプケーシング6内に吸い込まれ、この吸い込まれた水が吐出口6bからポンプケーシング6の外側へ吐出される。吐出口6bには、貯留槽21の外側へ延びる吐出管18が接続されるので、この吐出管18を介して、貯留槽21内の水が貯留槽21外へ排出されることになる。
【0026】
ポンプ本体1a(本実施形態では、モータケーシング3の上端部)には、貯留槽21内の水位が所定水位以上であることを検出する電極式水位検出器10が設けられている。この電極式水位検出器10は、後に詳細に説明するように、所定水位に対応する同じ高さ位置に位置する2つの電極12を備えていて、これら2つの電極12が貯留槽21内の水に浸かっているか否かに応じて水位を検出するものである。すなわち、2つの電極12が貯留槽21内の水に同時に浸かると、電極式水位検出器10によって貯留槽21内の水位が所定水位以上であることが検出されることになる。こうして貯留槽21内の水位が所定水位以上であることが検出されると、水中ポンプ1が起動されるようになっており、この起動により、貯留槽21内の水が貯留槽21外へ排出されて、貯留槽21から水が溢れないようになされている。そして、電極式水位検出器10の起動後において、水中ポンプ1による水の排出により水位が低下することで、電極式水位検出器10によって貯留槽21内の水位が所定水位以上であることが検出されなくなり、このときから、予め設定された設定時間が経過したときに、水中ポンプ1が停止するようになされている。上記設定時間は、水中ポンプ1が停止したときに、貯留槽21内の水位が、吸込み口6aよりも高い水位であって水中ポンプ1の起動及び停止が頻繁に行われない水位(上記所定水位との差が出来る限り大きい水位)になるような時間である。
【0027】
尚、貯留槽21内の水位が上記所定水位よりも低い停止水位以上であることを検出する停止用水位センサを電極式水位検出器10とは別途に設けて、この停止用水位センサにより上記停止水位以上であることの検出がなされなくなったときに、水中ポンプ1を停止するようにしてもよい。この場合の停止用水位センサとして、電極式水位検出器10と同様の構成の電極式水位検出器とすることができる。
【0028】
図2〜図5に示すように、上記電極式水位検出器10は、被取付部材(本実施形態では、モータケーシング3)に取り付けられる本体部11と、この本体部11の表面に設けられた2つの電極12と、これら両電極12にそれぞれ接続された2本の導線14とを備えている。尚、本実施形態では、図2を電極式水位検出器10の正面とし、正面から見て左側(図2の左側)を左側といい、正面から見て右側(図2の右側)を右側という。
【0029】
上記本体部11は、軸心が上下方向に延びる軸状に形成されており、その軸方向中間部(上下方向中間部)に、他の部分よりも大径とされた鍔部11aが形成されている。この鍔部11aには、本体部11をモータケーシング3に取付固定するための2つのねじ挿通孔11bが形成されている。そして、本体部11をモータケーシング3に取付固定する際には、図5に示すように、鍔部11aの上側に固定用部材23を被せる。この固定用部材23にも、上記ねじ挿通孔11bに対応する位置にねじ挿通孔が形成されており、ねじを、固定用部材23のねじ挿通孔及び鍔部11aのねじ挿通孔11bに通して、モータケーシング3の雌ねじ部に螺合させることで、本体部11をモータケーシング3に取付固定する。本体部11における鍔部11aよりも下側部分には、本体部11のモータケーシング3への取付状態で、モータケーシング3に形成された貫通孔3aに嵌合する嵌合部11cが形成されている。
【0030】
本体部11の上部の側周面における径方向に互いに対向する左右両側の2箇所は、本体部軸方向から見て半月状に切り欠かれてなる切欠き部11dとされており、これら両切欠き部11dに上記電極12がそれぞれ設けられている。電極12は、切欠き部11dと同様に、本体部軸方向から見て半月状をなし、電極12を含めた本体部11の上部は、断面円形状をなしている。
【0031】
本体部11は、絶縁ゴムで構成されている。この絶縁ゴムとしては、本実施形態では、汚水に混合される塩素化合物に対して特に腐食し難いネオプレンゴム(クロロプレンゴム)を用いる。
【0032】
各電極12は、導電性ゴムで構成されている。この導電性ゴムは、上記本体部11と同じ絶縁ゴムに導電性フィラーを添加したものであり、本体部11と両電極12とは、一体成形により一体化されている。上記導電性フィラーとしては、カーボンブラックや金属等のように、絶縁ゴムに対し導電性を付与できるものであればどのようなものであってもよく、粉末状、繊維状、フレーク状等の形状も問わないが、特にステンレスマイクロファイバーが好ましい。これにより、各電極12の導電性を高レベルに維持しつつ、各電極12の表面に位置する導電性フィラーの腐食の進行速度を極力低下させることができる。尚、上記導電性ゴムは、上記本体部11とは別のゴムに導電性フィラーを添加したものであってもよい。
【0033】
上記2つの電極12は、本体部11の表面における互いに所定距離以内の離れた2箇所に設けられている。すなわち、本体部11の表面における両切欠き部11d間の部分の左右方向の長さが上記所定距離以下とされている。このように2つの電極12を互いに接近させることで、両電極12を含めた本体部11の径を小さくすることができる。
【0034】
上記所定距離は、両電極12が貯留槽21内の水に浸っていないときに、その水(水滴)が、水の表面張力により、本体部11の表面における両電極12間の部分において両電極12に亘って付着する可能性が高い距離の最大値である。このため、本体部11の表面における両切欠き部11d間の部分が電極12の表面と同一面であるとすると、貯留槽21内の水位が両電極12の高さ位置よりも低くなっても、両電極12に亘って付着する水滴により、貯留槽21内の水位が所定水位以上であると誤検出してしまう。そこで、本実施形態では、本体部11の表面(側周面の正面側及び背面側並びに上端面)における両電極12間の部分に、両電極12が貯留槽21内の水に浸っていないときに、その水が、水の表面張力により、両電極12間に亘って付着するのを規制するリブ11eが突出形成されている。このようなリブ11eの形成により、水滴が両電極12間に亘って付着することがなく、誤検出を防止することができる。尚、2つの電極12が、本体部11の表面における互いに上記所定距離よりも大きく離れた2箇所に設けられている場合には、上記のようなリブ11eは不要である。
【0035】
上記各導線14は、ステンレスからなる単線で構成されていて、各電極12の内部にて該電極12に接続された電極接続部14aと、該電極接続部14aに続き本体部11の内部に配設された本体部内配設部14bとを有する。各導線14において本体部内配設部14bを挟んで電極接続部14aとは反対側の部分は、本体部11の外側に位置する本体部外配設部14cとされている。本体部外配設部14cは、本体部11の下端面から本体部11の外側(下側)に延びている。本体部11の下端面は、本体部11のモータケーシング3への取付状態で、モータケーシング3内に位置しているため、本体部外配設部14cも、モータケーシング3内に位置することになる。本体部外配設部14cにおける本体部内配設部14bとは反対側の端部は、上記回路基板に接続される。
【0036】
各導線14の電極接続部14a及び本体部内配設部14bは、本体部軸方向(上下方向)に連続的に延びている。各導線14の電極接続部14aにおける本体部内配設部14bとは反対側の端は、電極12の上端近傍に位置している。左側の電極12に接続される導線14の本体部内配設部14bは、本体部11内の左側部分を通り、右側の電極12に接続される導線14の本体部内配設部14bは、本体部11内の右側部分を通る。
【0037】
各導線14の電極接続部14aに対して、電極12を構成する導線性ゴムが、圧縮された状態で接触しており、これにより、電極12(導電性フィラー)と電極接続部14aとの導通が確保される。また、本体部11と本体部内配設部14bとは、ゴムの焼き付け処理によって、接着剤を介して接着された状態となっている。ここで、電極12と電極接続部14aとを接着剤を介して接着すると、電極12と電極接続部14aとの間の電気抵抗が増大するので、本実施形態では、接着剤を介さずに直接接触させるようにしている。尚、導電性の接着剤を介して電極12と電極接続部14aとを接着してもよい。
【0038】
したがって、本実施形態では、電極12が導電性ゴムで構成されているので、電極式水位検出器10の故障が生じ難くなる。すなわち、電極12の表面に位置する導電性フィラーや絶縁ゴムの一部が腐食したとしても、その腐食した部分から水が電極12内部や本体部11内部にまで浸入することは殆どない。また、本体部11と電極12とが一体化されているので、本体部11と電極12との間に水が浸入するのを防止することができる。この結果、電極12内及び本体部11内に配設された導線14が水に晒されることはなく、導線14の腐食を防止することができる。しかも、導電性ゴムで構成された電極12における水に接する表面の面積を容易に大きくすることができ、こうすることで、電極12の表面に位置する導電性フィラーの一部が腐食したとしても、残りの導電性フィラーで電極12の導電性を確保することができる。さらに、電極12に衝撃力が作用したとしても、電極12の導電性ゴムが、本体部11の絶縁ゴムと共に、その衝撃力を吸収するので、電極12が損傷することは殆どなく、本体部11と電極12とを一体化した状態を維持することができる。よって、電極式水位検出器10の故障を防止することができる。
【0039】
尚、上記実施形態1では、導線14を、ステンレスからなる単線で構成したが、複数の素線を撚り合わせた撚り線で構成してもよく、導線14の材料もステンレスに限らず、ステンレスよりも腐食し易いが電気抵抗が低い材料(例えば銅線)であってもよい(後述の実施形態2においても同様)。このようにしても、導線14が水に晒されることはないので、導線14の腐食を防止することができる。
【0040】
(実施形態2)
図6及び図7は、本発明の実施形態2を示し(尚、図2及び図3と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、人(水中ポンプ1を貯留槽21内に設置する作業者等)が2つの電極12に同時に触れるのを規制するガード部材25を設けるようにしたものであり、その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0041】
すなわち、人(特に指)が2つの電極12に同時に触れると、微弱ではあるが人を介して電流が流れ、これにより、人がその感電により驚いて、水中ポンプ1を落とす等のトラブルを招く可能性がある。そこで、本実施形態では、ガード部材25を設ける。
【0042】
具体的には、本体部11のリブ11eにおける正面側の部分及び背面側の部分に、一方(右側)の電極12を挟んで対向する2つのガード部材25が当該一方の電極12側(右側)に向けて突出形成されている。2つのガード部材25の対向方向から見て(電極式水位検出器10の正面から見て)、上記一方の電極12の全体がガード部材25によって覆われている。2つのガード部材25の対向方向の間隔は、その間に人の指が入り込めない長さに設定されている。これにより、人が他方(左側)の電極12に触れても、一方の電極12に触ることはできず、2つの電極12に同時に触れることはできない。尚、ガード部材25はこのような形態に限らず、電極12がその機能を果たすことができかつ人が2つの電極12に同時に触れるのを規制することができれば、どのような形態であってもよい。
【0043】
したがって、本実施形態では、上記実施形態1と同様の作用効果に加えて、水中ポンプ1を貯留槽21内に設置する作業者等が2つの電極12に同時に触れるのを規制することができ、作業中の感電によるトラブルの発生を防止することができる。
【0044】
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3を示し(尚、図5と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、2つの導線14の電極接続部14aにおける本体部内配設部14bとは反対側の端14dを、電極12における水に接する表面に露出させるようにしたものであり、その他の構成は上記実施形態1と同様である。
【0045】
すなわち、本実施形態では、上下方向に延びる電極接続部14aが、本体部内配設部14bとは反対側の端14dの近傍にて水平に折り曲げられて、その端14dが、電極12における水に接する表面の上下方向中間部に露出している。
【0046】
本実施形態では、導線14は、撚り線ではなく単線とし、導線14の材料は、ステンレス等のような、汚水等の液体に対して腐食し難い材料とする。
【0047】
電極12が貯留槽21内の水に浸っているときに、導線14と接続された電極12が水に接触することに加えて、導線14が水に直接接触するので、電極12を構成する導電性ゴムの導電性フィラーの腐食により電極12の導電性がなくなったとしても、導線14が水に直接接触することで、水位を検出することができるようになる。逆に、導線14における電極12表面への露出部分が腐食しても、電極12を介して水位を検出することができる。この結果、電極式水位検出器10の故障がより一層生じ難くくなる。
【0048】
ここで、導線14における上記露出部分から水が電極12内部に浸入する可能性はあるが、導線14を撚り線ではなくて単線にし、電極12を構成する導電性ゴムを、圧縮した状態で電極接続部14aに接触させているので、水が電極12内へ浸入するのを抑制することができる。また、本体部11と導線14の本体部内配設部14bとを接着剤を介して接着しているので、電極12内に浸入した水が本体部11内にまで浸入するのを防止することができる。
【0049】
尚、上記実施形態3においても、上記実施形態2のようなガード部材25を設けることが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態3において、各電極12毎に複数本の導線14を設け、これら複数本の導線14の一部を、上記実施形態1のように、電極12における水に接する表面に露出しない構成とし、残りを、上記実施形態3のように、電極12における水に接する表面に露出する構成としてもよい。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0052】
例えば、上記各実施形態では、本体部11を絶縁ゴムで構成したが、これに限らず、本体部11を、ゴム以外の絶縁性の材料(例えば樹脂)で構成してもよい。
【0053】
また、上記各実施形態では、本体部11に2つの電極12を設けたが、本体部11に設ける電極12の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。そして、各電極12毎に、1本又は複数本の導線14を設ければよい。
【0054】
電極12が1つである電極式水位検出器10の場合には、2つの電極式水位検出器10を用いて、貯留槽21内の水位が所定水位以上であることを検出してもよく、モータケーシング3等を電極の代わりに使用することもできるので、1つの電極式水位検出器10でも、貯留槽21内の水位が所定水位以上であることを検出することができる。
【0055】
本体部11に3つ以上の電極12を設ける場合には、これら電極12の本体部軸方向の位置を互いに異ならせて、互いに異なる水位を検出するようにすることができる。
【0056】
上記実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、水中ポンプ等に取り付けられる電極式水位検出器に有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 水中ポンプ
3 モータケーシング(被取付部材)
11 本体部
11e リブ
12 電極
14 導線
14a 電極接続部
14b 本体部内配設部
14c 本体部外配設部
14d 導線の電極接続部における本体部内配設部とは反対側の端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に取り付けられる本体部と、該本体部の表面に設けられた電極と、該電極に接続された導線とを備え、上記電極が液体に浸かっているか否かに応じて液体の水位を検出するように構成された電極式水位検出器であって、
上記電極は、導電性ゴムで構成され、
上記導線は、上記電極の内部にて該電極に接続された電極接続部と、該電極接続部に続き上記本体部の内部に配設された本体部内配設部とを有することを特徴とする電極式水位検出器。
【請求項2】
請求項1記載の電極式水位検出器において、
上記本体部は、絶縁ゴムで構成されていることを特徴とする電極式水位検出器。
【請求項3】
請求項2記載の電極式水位検出器において、
上記導電性ゴムは、上記本体部と同じ絶縁ゴムに導電性フィラーを添加したものであることを特徴とする電極式水位検出器。
【請求項4】
請求項3記載の電極式水位検出器において、
上記導電性フィラーは、ステンレスマイクロファイバーであることを特徴とする電極式水位検出器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電極式水位検出器において、
上記本体部の表面における互いに所定距離以内の離れた2箇所に上記電極がそれぞれ設けられており、
上記本体部の表面における上記2つの電極の間の部分に、該両電極が上記液体に浸っていないときに該液体が該液体の表面張力により該両電極間に亘って付着するのを規制するリブが突出形成されていることを特徴とする電極式水位検出器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の電極式水位検出器において、
上記導線の電極接続部における本体部内配設部とは反対側の端が、上記電極における上記液体に接する表面に露出していることを特徴とする電極式水位検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−225809(P2012−225809A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94432(P2011−94432)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】