説明

電極材料のロールプレス設備

【課題】帯状の電極材料の基材の薄箔化、ひいては電極材料のロールプレス速度の高速化に対応できる電極材料の皺発生防止機構を備えるロールプレス設備を提供する。
【解決手段】基材表面に活物質を塗工した電極材料2を搬送、圧縮加工、巻取りするロールプレス設備において、電極材料を所定の厚さに圧縮加工するプレスロール7a,7bと、圧縮加工された電極材料を巻取りコイル2bとして巻取る装置4とを備える。プレスロールの出側と巻取り装置との間に設けたガイドロールのうち巻取り装置4に直近のガイドロール7aの位置が、電極材料の巻取り初期において巻取りコイル2bが最終的に達するコイル最大外径の内側に設定されている。且つこの直近のガイドロール7aと巻取りコイル2bとの間隔G1を巻取りの進行過程で所定の間隔を保つように直近のガイドロール7aを移動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アルミ箔、銅箔などの基材の両面に活物質を塗工してなる電極材料を、製造ラインにて搬送、巻取りと共にロールにて連続的に圧縮加工するロールプレス設備に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池、キャパシタ等の正極や負極の電極材料は、アルミ箔、銅箔などの帯状の基材の両面に活物質を塗工したものであり、製造工程にて、ロールプレス設備を通して、活物質の密度を上げ且つ均一の厚みとなるようにロールプレス(圧縮加工)される。このロールプレス後に、電極材料は巻取り軸にコイル状に巻取られ、巻取りコイルが電極材料製品として出荷または次工程に移送される。
【0003】
近年では、電池の低コスト・高電池容量化のために、基材の薄箔化が進み、それによりロールプレス設備でプレスされた電極材料の搬送、巻取り過程で、電極材料に皺が発生し易くなっている。そのため、従来にはない皺対策が必要となってきている。特に基材が薄箔化することで、帯状の電極材料のロールプレス工程では、ロールにより基材が圧延され薄くなる為、基材の腰が弱まり易くなり、プレスされた電極材をコイル状に巻取る工程では、皺が残り製品として不良となる確率が高くなる。さらに、皺の発生は、プレス速度の高速化による電極材のコイル巻取りに際してのエア巻き込み量の増加を招き、それが原因で電極材の巻取りコイルに巻取りずれを生じる。
【0004】
特に、電極材の場合には、基材となる箔の幅方向の両側部分は、電力を入出力するためのタブを溶接するための部分を確保するために活物質の塗工されておらず、箔がプレスされる部分は、活物質の塗工された領域である。この塗工領域での箔に伸びが生じ、一方、活物資の塗工されない領域(箔の幅方向両側部分)には伸びがほとんど生じないので、これらのアンバランスが要因となって、薄箔化につれて電極材料に皺が発生し易くなっている。すなわち、プレス工程により箔が伸びた塗工領域と箔が伸びない未塗工領域が存在する場合には、未塗工領域にのみ搬送張力がかかり塗工領域に張力がかからないため、両者の張力のアンバランスにより皺が発生する。したがって、搬送張力を上げられないために、巻取り張力をあげられない問題がある。
【0005】
以上の理由により、電極材料の基材の薄箔化、電極材料の高速プレス化の要望に伴う皺対策が望まれている。
【0006】
ちなみに、シートに塗被物を塗布後に、該シートをプレスロールでプレスしその後に巻取り軸に巻き取る従来技術としては、例えば特許文献1に示すように、ガイドロールを経由するシートをプレスロールと巻取り軸とでプレスを行いながら巻取る技術が知られている。しかしながら、上記したような電極材料の薄箔化に伴う特有の皺対策に関する技術は、近年の電極材料の基材薄箔化、高速プレス化の要望に伴い生じた課題であるため、従来、有効な手段が提案されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−77982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記課題に着目してなされたものであり、帯状の電極材料の基材の薄箔化、ひいては電極材料のロールプレス速度の高速化に対応できる電極材料の皺発生防止機構を備えるロールプレス設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、基材表面に活物質を塗工した電極材料を搬送、圧縮加工、巻取りするロールプレス設備において、基本的には、電極材料を所定の厚さに圧縮加工するプレスロールと、圧縮加工された電極材料を巻取りコイルとして巻取る巻取り装置とを備え、
前記プレスロールの出側と前記巻取り装置との間に設けたガイドロールのうち前記巻取り装置に直近のガイドロールの位置が、電極材料の巻取り初期において巻取りコイルが最終的に達するコイル最大外径の内側に設定されており、且つこの直近のガイドロールと前記巻取りコイルとの間隔を巻取りの進行過程で所定の間隔を保つように前記直近のガイドロールを移動制御するガイドロール移動制御機構を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の構成によれば、直近のガイドロールと前記巻取りコイルとの間隔を巻取りコイルの進行過程で、常に接近した所定間隔(本発明者の知見によれば、例えば0〜50mm)に保つことができる。それにより、電極材料をロールプレスする工程で、巻取り直前の電極ガイド位置で基材の塗工領域に対して内部張力(搬送張力)を確保し、ひいては巻取り張力を確保でき、この張力が弱まることなく直ぐに電極材料を巻取り位置に導くことになる。さらに適正な巻取り張力を確保できる結果、電極材料巻取り時のエアをカットできる。これらの相乗作用により、電極材料の巻取りコイルでの皺発生や巻きずれを防止することができる。したがって、電極材料巻取りコイルを製品として出荷する場合の搬送時に巻きくずれも防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記述べた理由により、電極材料の薄箔化や電極材料のプレス速度の高速化に対応できる電極材皺発生防止機構を備えるロールプレス設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例に係る電極材料用のロールプレス設備の全体概要を示すシステム構成図。
【図2】(a)は本発明の一実施例に用いる電極材料の幅方向断面図、(b)は前記電極材料の一部を示す平面図。
【図3】(a)上記実施例のロールプレス設備における電極材料巻取り機構を示す側面図、(b)はその一部のガイドロールと電極材料とをそれらの幅において示す図。
【図4】本発明の第2実施例の電極材料用のロールプレス設備における電極材料巻取り機構を示す側面図。
【図5】図4の実施例の電極材料巻取り機構の平面図。
【図6】本発明の基本的な概念を示す説明図。
【図7】本発明の第3実施例の電極材料用のロールプレス設備における電極材料巻取り機構を示す側面図。
【図8】図7の実施例の電極材料巻取り機構の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づき説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の第1実施例に係る電極材料用のロールプレス設備の全体概要を示すシステム構成図である。本実施例のロールプレス設備は、概略的には、電極材料2の巻出しコイル2aを巻いた巻出し軸(巻出し装置)1と、巻出しコイル2aから送り出される帯状の電極材料2を圧縮加工する一対の主ロール(上プレスロール3a,下プレスロール3b)と、圧縮加工された電極材料2を巻取って、巻取りコイル2bを生成する巻取り軸(巻取り装置)4とを備える。巻出し装置1(巻出しコイル2a)と主ロール3a,3b間には、電極材料2に対する張力制御機構5が設けられる。主ロール3a,3bと巻出し装置4(巻取りコイル2b)間には、張力制御機構6と巻取り側のガイドロール機構7(ガイドロール7a,7b)とが設けられている。
【0014】
ガイドロール7a,7bは、凸クラウン形状または真円柱形状をしているロールよりなる。
【0015】
ニップロール8は、巻取りコイル2bに接して押付け荷重(押付け力)を与えるように配置されている。電極材料の巻取り機構及びニップロールの機能の詳細については、後述する。
【0016】
電極材料2は、一例としてリチウムイオン電池のものを例示するが、帯状基材の両面に活物質を塗工したものであれば、その種類を問わず、その他の電池やキャパシタ等の電極材料であってもよい。図2(a),(b)に示すように、基材(例えば、アルミ箔、銅箔等)23と、基材23の両面に設けた活物質(塗工部)21,22とで構成される。電極材料自体は、正極用、負極用いずれも周知であるので、説明を省略する。
【0017】
主ロール3a,3bは、主ロール間の間隙を制御して圧延荷重を調整する圧下装置(図示省略)と、主ロールを巻取り軸4と同期して回転速度制御可能に駆動する駆動機構(図示省略)とを備える。
【0018】
巻取りコイル近傍に配置されるガイドロール機構7は、巻取りコイル2bに直近のガイドロール(以下、ニアガイドロール)7aとその上流側(電極材搬送におけるニアガイド上流)に配置したガイドロール7bとを備える。
【0019】
図3に上記ロールプレス設備における電極材巻取り機構の詳細を示す。図3(a)に示すように、ニアガイドロール7aと巻取りコイル2bとの間隔G1とは、ガイドロール移動制御機構の一部をなす移動アクチュエータ40を介して調整可能である。移動アクチュエータ40は、例えばモータ41とその回転運動を直進運動に変換する直進運動機構(例えば、ボールスクリュー、プランジャ機構など)42とで構成され、直進運動機構42にニアガイドロール7aが支持されている。ニアガイドロール7aとその直ぐ上流のガイドロール7bとの間隔G2も調整可能である。本実施例では、直進運動機構42によりニアガイドロール7aとガイドロール7bとが一体に移動可能に設定してあるが、独立した移動アクチュエータにより移動可能にしてもよい。
【0020】
移動アクチュエータ41は、制御機構を構成するコントローラ43により制御可能である。
【0021】
ここで、電極材巻取り機構7のガイドロール制御に先立ち、図6により本発明の基本的な概念を説明する。
【0022】
本実施例では、ロールプレス装置(主プレスロール3a,3b)の出側と巻取り装置(巻取り軸4)との間に設けたニアガイドロール7aの位置が、図6に示すように、電極材料2の巻取り初期においては、巻取りコイルが最終的に達するコイル最大外径D(仮想線で示す)よりも内側に設定されている。このニアガイドロール7aの位置設定は、図3に示すように移動アクチュエータ(ロール移動制御機構)40により実行される。また、移動アクチュエータ40は、ニアガイドロール7aと巻取りコイル2bとの間隔を巻取りの進行過程で所定間隔G1を保つようにニアガイドロール7aを移動制御する。
【0023】
コントローラ43は、巻取りコイル2aの巻取り外径を演算する。この外径Dの演算は、巻取り軸4の回転速度R1、主ロール3a,3bの回転速度から決定される電極材の搬送速度Vとから、πD・R1=Vの関係式から求められる。コントローラ43は、コイル外径演算値D、及びニアガイドロール7aと巻取りコイル2bとの間の設定距離(間隔G1)とに基づき、間隔G1を保つためのニアガイドロール7aの位置の移動距離を演算する。この移動距離は、コイル外径演算値Dの増径分に相当する。コントローラ43は、この移動距離に基づき、ニアガイドロール7aの移動指令(間隔G1を保つための移動指令)をアクチュエータ41に出す。
【0024】
本実施例は、次のような電極材料の圧縮加工に伴う課題を解決する機構を備える。
【0025】
一例をあげると、例えばリチウム電池の電極材料における箔20の厚みは、従前は10〜30μm(平均18〜20μm)であったが、最近では、10μm以下(例えば8〜9μm)の要求があり、しかもプレス速度の高速化が望まれている。プレスロールにより電極材料2に与えられる荷重は、100〜2,000kg/cm程度である。
【0026】
このような薄箔化した基材20を有する電極材料2を、プレスロール3a,3bにより圧縮加工した場合には、背景技術でも既述したように基材2における活物質21,22の塗工領域に集中的に圧縮荷重がかかり、基材20における塗工領域のある箔が伸長して皺が生じやすい。特に、ロールプレス後の電極材料2は、プレスロール・巻取りコイル間で未塗工領域23にのみ搬送張力がかかり、塗工領域21,22には伸びが生じるため内部張力がほとんどかからないため、両者のアンバランスにより皺が発生し易いと。したがって、何らの対処も無い場合には、電極材料の搬送張力を上げられず、巻取り張力も上げられず、巻きが進むにつれて電極材料の巻きずれが生じ易く、歩留まりを低下させる原因となっていた。また、搬送張力が上げられないために、巻取り時に電極材料の巻取りコイルにエアを巻き込み易く、これも、巻きが進むにつれての電極材料の巻きずれの原因となっていた。
【0027】
本実施例では、ニアガイドロール7aを巻取りコイル2bに対して常に接近した所定間隔G1に保つことができる。それにより、電極材料2をロールプレスする工程で、巻取り直前の電極ガイド位置で基材20の活物質塗工領域に対して内部張力(搬送張力)を確保し、ひいては巻取り張力を確保でき、この張力が弱まることなく直ぐに電極材料2を巻取り位置に導くことになる。さらに適正な巻取り張力を確保できる結果、電極材料巻取り時のエアをカットできる。これらの相乗作用により、電極材料の巻取りコイルでの皺発生や巻きずれを防止することができる。したがって、電極材料巻取りコイルを製品として出荷する場合の搬送時に巻きくずれも防止できる。
【0028】
本発明者の知見によれば、例えばニアガイドロール7aと巻取りコイル2bとの間の間隔G1が0〜50mmであれば、上記した基材の内部張力の保持効果を達成するために有効であった。最適範囲はG1=0〜30mm程度である。このようなG1は、図6で示したニアガイドロール配置構造により達成できる。
【0029】
本実施例では、ニアガイドロール7aの直径を50〜150mmφとした。ニアガイドロールの材質の一例をあげれば、ニアガイドロール7aが巻取りコイル2bから離した場合(G1>0)には、通常の材質、例えば母材が鉄、アルミニウム、カーボン等であってその表面にハードクロムメッキを施したものである。勿論、材質はこれに限定されるものではなく、適宜の材質のものを用いればよい。さらに、ニアガイドロール7aとその上流側のガイドロール7bとの間隔G2についても間隔G1同様に設定すれば、より好ましい。
【0030】
また、ニアガイドロール7aとして、凸クラウン形状をしているロールを用いることで基材2の活物質塗工された領域における内部張力付与に有効であった。
【0031】
ニップロール8は、ガイドロール同様の直径の直円筒形であって、シリコーンゴム、EPDNなどのゴムロールよりなる。勿論、ニップロールの材質はこれに限定されず、適宜の材質を用いれば良い。
【0032】
ニップロール8の押付け荷重をFとし、巻取りコイル2bと電極材料2との間の摩擦力をμとすると、それにより電極材料2に誘導される張力(ここでは、ニップ誘導張力と称する)Tgは、Tg=F・μにより表される。
【0033】
電極材料2の巻取り張力Tは、搬送ラインの張力制御機構5,6で与えられる張力T´とニップ誘導張力Tgとの和(T=T´+Tg)で表わされる。例えば、張力T´が5kgであり、μが0.3であるときにニップロール8による押付け荷重Fを30kg/巾に設定するとT=5+30×0.3、すなわち約15kgの張力を得ることができる。
【0034】
ニップロール8は、図3に示すように、巻取りコイル2bの巻取り端Eと巻取り軸4とを結ぶ線に対して巻取り回転方向の90度以内の角度θの位置に設定すれば、皺を低減するのに好ましい。
【0035】
ニップロール8は、巻取りコイル2bのコイル径Dの変化に伴い巻取りコイル2bへの押付け力を変更できる機構(図示省略)を有し、コイル径Dが大きくなるにつれて押付け力を低下させるように設定してある。巻取りコイル2bには、巻取りが進行するにつれて巻締りが生じやすくなるが、コイル径Dが大きくなるにつれて押付け力ひいてはニップ誘導張力を低下させれば、過度の巻締りを防止でき、巻締りによる巻取りコイルの巻きずれを防止できる。
【0036】
なお、ニアガイドロール7bと巻取りコイル2b間の間隔G1を零(G1=0)とした場合には、ニアガイドロール7bに巻取りコイルへの押付け力を付与する機構を与えれば、ニップロールとしての機能も兼用できるので、この場合には、専用のニップロール8を省略することができる。この場合のニアガイドロールの材質はニップロール8の材質、例えばゴムロールであることが好ましい。
[実施例2]
図4は、本発明の第2実施例の電極材料用のロールプレス設備における電極材料巻取り機構を示す側面図であり、図5は、図4の実施例の電極材料巻取り機構の平面図を示す。
【0037】
本実施例において、ロールプレス設備の主な構成は、第1実施例と同様であり、ここでは、第1実施例と相違する点のみを説明する。第1実施例と同一符号は、同一或いは共通する要素を示す。
【0038】
第1実施例では、ニアガイドロール移動制御を、コントローラ43が巻取りロール2bの外径Dを演算することで行っていたが、本実施例では、これに代わり、次のようにして行っている。すなわち、ガイドロール移動制御機構は、ニアガイドロール7aと一体に移動制御される巻取りコイル外径検知センサ71を有する。72は、センサ71とニアガイドロール7aとを一体に支持する支持機構であって、図4では、図示省略してあるが、図3同様のアクチュエータ41及び直進運動機構42を用いて移動可能である。コイル外径検知センサ71は、電極材料2の巻取り途中で巻取りコイル2bの外径Dを検出するように設定されている。また、センサ71が電極材料巻取り途中の巻取り外径を検出すると、コントローラ(図示省略)は、この検出位置から所定間隔G1だけ離れるようにコイル外径検知センサ71及びニアガイドロール7aを移動制御する指示をアクチュエータ41に与える。
【0039】
本実施例では、センサ71として光センサ(発光素子71a,受光素子71b)を用いるが、その他、巻取りローラに接触することで巻取りロールの外径を検知する接触センサを使用ことも可能である。
【0040】
本実施例においても、第1実施例同様の効果を奏することができる。
[実施例3]
図7は、本発明の第3実施例の電極材料用のロールプレス設備における電極材料巻取り機構を示す側面図であり、図8は、図7の実施例の電極材料巻取り機構の平面図を示す。
【0041】
本実施例において、ロールプレス設備の主な構成は、第1実施例と同様であり、ここでは、第1実施例と相違する点のみを説明する。第1実施例と同一符号は、同一或いは共通する要素を示す。
【0042】
本実施例のガイドロール移動制御機構は、ニアガイドロール7aと支持機構82を介して一体に移動制御される巻取りコイル接触ロール81を有する。この巻取りコイル接触ロール81は、電極材料2の巻取りに支障のない位置で巻取りコイル2b外径に常時接触している。接触ロール81は、巻取りコイル2bの外径Dの増径に伴い巻取りコイル2b外径からの押し力を受け、この押し力によりニアガイドロール7aと一体に、ばね等の付勢機構83に抗して所定方向(矢印方向)に後退移動する機構により構成されている。本実施例によれば、コントローラやセンサを有することなく、機械的構成で間隔G1を保つためのニアガイドロール移動制御機構を構成することが可能である。本実施例においても、第1実施例同様の効果を奏することができる。
【0043】
また、ニアガイドロール7aを巻取りコイル2bに接触させて上記したコイル接触ロール81を兼用させることも可能である。この場合には、専用のコイル接触ロール81を省略することができる。また、本実施例のニアガイドロール7aにおいても、ニップロールの機能を与えることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…巻出し軸、2…電極材料、2a…巻出しコイル、2b…巻取りコイル、3a,3b…プレスロール,4…巻取り軸、5,6…張力制御機構、7…ガイドロール機構、7a…直近ガイドロール(ニアガイドロール)、8…ニップロール、20…電極材料基材、21,22…活物質(塗工領域)、40…ガイドロール移動制御機構、71(71a,71b)…巻き取りコイル外径検知センサ、81…巻取りコイル接触ロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に活物質を塗工した電極材料を搬送、圧縮加工、巻取りするロールプレス設備において、電極材料を所定の厚さに圧縮加工するプレスロールと、圧縮加工された電極材料を巻取りコイルとして巻取る巻取り装置とを備え、
前記プレスロールの出側と前記巻取り装置との間に設けたガイドロールのうち前記巻取り装置に直近のガイドロールの位置が、電極材料の巻取り初期において巻取りコイルが最終的に達するコイル最大外径の内側に設定されており、且つこの直近のガイドロールと前記巻取りコイルとの間隔を巻取りの進行過程で所定の間隔を保つように前記直近のガイドロールを移動制御するガイドロール移動制御機構を備えることを特徴とする電極材料のロールプレス設備。
【請求項2】
請求項1記載のロールプレス設備において、
前記直近のガイドロールは、凸クラウン形状をしているロールよりなる電極材料のロールプレス設備。
【請求項3】
請求項1又は2記載のロールプレス設備において、
前記直近のガイドロールと前記巻取りコイルとの間隔は、0〜50mmの間で設定されている電極材料のロールプレス設備。
【請求項4】
請求項1又は2記載のロールプレス設備において、
前記直近のガイドロールと前記巻取りコイル2間の間隔を零とし、この直近のガイドロールに前記巻取りコイルへの押付け力を付与する機構を有する電極材料のロールプレス設備。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
ガイドロール機構として、複数のガイドロールを備え、そのうち前記直近のガイドロールとその直ぐ上流のガイドロールとの距離が前記直近のガイドロールが移動制御されても一定の距離を保つための移動機構を有する電極材料のロールプレス設備。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
前記直近のガイドロールのほかに、前記巻取りコイルに押し付け力を与えるニップロールを備え、前記ニップロールは、前記巻取りコイルの巻取り端と巻取り軸とを結ぶ線に対して巻取り回転方向の90度以内の位置に設けてある電極材料のロールプレス設備。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
前記直近のガイドロールのほかに、前記巻取りコイルに押し付け力を与えるニップロールを備え、前記ニップロールは、前記巻取りコイルのコイル径の変化に伴い該巻取りコイルへの押付け力を変更できる機構を有する電極材料のロールプレス設備。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
前記ガイドロール移動制御機構は、前記巻取りコイルの巻取り外径を演算し、このコイル外径演算値、及び前記直近のガイドロールと前記巻取りコイルとの間の設定間隔に基づき前記直近のガイドロールの位置の移動距離を演算して、前記直近のガイドロールに移動指令を出すコントローラを有する電極材料のロールプレス設備。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
前記ガイドロール移動制御機構は、前記直近のガイドロールと一体に移動制御される巻取りコイル外径検知センサを有し、このコイル外径検知センサは、前記電極材料の巻取り途中で前記巻取りコイルの外径を検出するように設定され、且つ前記巻取り途中の巻取り外径を検出するとこの検出位置から所定間隔だけ離れるように前記コイル外径検知センサ及び前記直近のガイドロールを移動制御するコントローラを有する電極材料のロールプレス設備。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のロールプレス設備において、
前記ガイドロール移動制御機構は、前記直近のガイドロールと一体に移動制御される巻取りコイル接触ロールを有し、この巻取りコイル接触ロールが前記電極材料の巻取りコイル外径に常時接触して、前記巻取りコイルの外径の増径に伴い該巻取りコイル外径からの押し力を受け、この押し力により前記直近のガイドロールと一体に所定方向に移動する機構により構成されている電極材料のロールプレス設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−129147(P2012−129147A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281709(P2010−281709)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】