説明

電極活物質スラリの製造方法及びこれを用いる電極を含む電気化学キャパシタ

【課題】本発明は、粒子大きさの異なる活物質と導電材とを均一に分散させることができる活物質スラリの製造方法と、該電極活物質スラリを用いる電極を含む電気化学キャパシタを提供する。
【解決手段】本発明による電極活物質スラリの製造方法は、導電材60と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、該1次分散物に、活物質50と第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質スラリの製造方法及びこれを用いる電極を含む電気化学キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層キャパシタ(Electric double Layer capacitor:EDLCは、コンデンサまたは電解液キャパシタに比べて遥かに多い容量を有するエネルギ貯蔵デバイスであって、スーパーキャパシタまたはウルトラキャパシタと呼ばれる。電気二重層キャパシタは、多量のエネルギを貯蔵して数十秒または数分間に高いエネルギを発散する動力源であって、既存のコンデンサや二次電池が収容不可能な性能特性領域を満たすことができる有用な部品である。
【0003】
図1は、電気二重層キャパシタの動作原理及び基本構造を示す。図1を参照して、両側から、集電体10、電極20、電解液30及び分離膜40で構成されている。
【0004】
電極20は、活性炭素粉末または活性炭素繊維のように有効非表面積の大きい活物質、伝導性を付与するための導電材、及び各成分間の結着力のためのバインダで構成される。また、電極20は、分離膜40を介して陽極21及び陰極22で構成される。
【0005】
また、電解液30としては、収容液系の電解液と非水溶液系(有機系)の電解液とが使われる。
【0006】
分離膜40は、ポリプロピレンまたはテフロン(登録商標)などが使われ、陽極21と陰極22との間の接触による短絡を防止する役割をする。
【0007】
EDLCは、充電時に電圧をかければ、陽極21及び陰極22の各電極の表面に解離された電解質イオン31a、31bが物理的に反対電極に吸着して電気を蓄積し、放電時には、陽極21及び陰極22の各イオンが電極から脱着して中和状態にリターンする原理を用いる。
【0008】
一般に、EDLCに用いられる電極は、活物質、導電性の向上のための導電材、バインダなどを含む。活物質は、図2の走査電子顕微鏡による粒子形態で確認されるように、その粒子の大きさが10μm以上の塊状よりなり、パッキンが難しく、導電性が非常に落ちる。
【0009】
そのため、導電性の向上のために導電材を添加する。用いられる導電材は、図3の走査電子顕微鏡を通じる粒子形態で確認されるように、その粒子大きさが数十nmに過ぎない。すなわち、活物質と導電材との粒子大きさが非常に大きい相違を見せるため、電極形成のための活物質のスラリの製造時、均一に分散しないという問題が生じる。
【0010】
EDLC製品中、特に、高出力特性が求められる製品の場合、多量の導電材を追加で添加して伝導性を改善することが通常である。しかし、適宜レベル以上の導電材を添加する場合は、同じ抵抗特性のレベルに過ぎず、むしろ容量特性が減少する場合もある。
【0011】
一般に、EDLC電極は、活物質、導電材、活物質接合用バインダ、集電体との接合用バインダで構成される。
【0012】
また、電極の製造は、(1)各構成要素の乾食混合工程、(2)塊粒化工程、(3)混錬工程、(4)スラリ化工程、(5)コーティング工程によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−348713号公報
【特許文献2】特開2010−050414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、電極を構成する活物質、導電材粒子間の大きさが数百倍の差があるため、前記のような工程では、粒子の均一な分散を得ることができない。
結果として、図4のようなレベルの活物質スラリを作るしかない。すなわち、粒子の大きい活物質50同士互いに凝集されるか、粒子大きさが相対的に小さな導電材60同士互いに凝集されるか、または添加されたバインダ70によって導電材60同士2次凝集されるなど、均一な分散ができない。
【0015】
このような理由で、導電性の向上のために導電材の添加量を増やしても、抵抗特性の改善にも限界がある。
【0016】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、粒子大きさの異なる活物質と導電材とを均一に分散させることができる活物質スラリの製造方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、電極活物質スラリを用いる電極を含む電気化学キャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を解決するために、本発明による電極活物質スラリの製造方法は、導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、該1次分散物に活物質と前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させるステップとを含むことを特徴にする。
【0019】
また、本発明の他の実施形態によれば、活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、前記1次分散物に導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して2次分散させるステップを含む電極活物質スラリの製造方法を提供することができる。
【0020】
また、本発明のさらに他の実施形態によれば、導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させる第1のステップと、活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させる第2のステップと、前記第1のステップ及び前記第2のステップでの分散物を混合して3次分散させるステップとを含む電極活物質スラリの製造方法を提供する。
【0021】
前記分子量の小さい第1の増粘剤は、重合度(degree of polymerization)100〜250、重量平均分子量20,000〜55,000である。
【0022】
また、前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤は、重合度251〜1,200、重量平均分子量56,000〜250,000である。
【0023】
前記分子量の小さい第1の増粘剤と分子量の大きい第2の増粘剤とは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂、及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれるいずれか一つである。
【0024】
また、本発明は、前述の各製造方法によって製造された電極活物質スラリを用いる電極を含む電気化学キャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、重合度及び分子量が異なる2種以上の増粘剤を選択的に使うことによって、活物質及び導電材の分散性を大きく向上させて低抵抗/高容量電気化学キャパシタの製造が可能である。特に、同じ容量の電気化学キャパシタの基準で抵抗特性の減少が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】通常の電気二重層キャパシタの基本構造及び動作原理を示す摸式図である。
【図2】活物質粒子の走査電子顕微鏡写真である。
【図3】導電材粒子の走査電子顕微鏡写真である。
【図4】従来方法による活物質スラリ製造時、活物質と導電材との間の凝集現象を示す摸式図である。
【図5】本発明の方法による活物質スラリ製造時、活物質と導電材とが均一に分散する現象を示す摸式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0028】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0029】
本発明は、電極活物質スラリの製造方法及びそれを用いる電極を含む電気化学キャパシタに関する。
【0030】
本発明による電極活物質スラリの製造方法は、粒子大きさの異なる活物質と導電材とを効果的に分散させる。よって、前記活物質及び導電材の粒子大きさに対応する異なる分子量を有する2種以上の増粘剤を使うこと、及び該増粘剤の投入時点を特定化させて分散性の優れる活物質スラリを製造することができる。
【0031】
本発明の第1の実施形態による電極活物質スラリの製造方法は、導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、前記1次分散物に活物質と前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させるステップを含む。
【0032】
まず、1次分散ステップは、導電材に分子量が相対的に小さな第1の増粘剤を混合して該導電材を完全に分散させるステップである。前記導電材は、第1の増粘剤を混合する前に、機械的撹拌機などを用いて剪断応力(Shear stress)を加えた状態で維持されるのが望ましい。よって、撹拌中の導電材に分子量の小さい第1の増粘剤を添加すれば、分散状態を維持することができるようになり、導電材を完全に分散させることができる。
【0033】
前記導電材だけの1次分散のために、低重合度/低分子量の増粘剤を用いるのが望ましく、この時用いられる分子量の小さい第1の増粘剤は、重合度(degree of polymerization:DP)が100〜250で、重量平均分子量20,000〜55,000であることが望ましい。
【0034】
前記第1の増粘剤の重合度が100未満の場合、貼度が非常に低く、増粘剤としての役割に問題がある。また、250を超過する場合、貼度が高く分散に問題があって望ましくない。
【0035】
また、前記第1の増粘剤の重量平均分子量が20,000未満の場合、貼度が非常に低く増粘剤としての役割に問題があり、55,000を超過する場合、貼度が高くて分散に問題があって望ましくない。
【0036】
前記分子量の小さい第1の増粘剤は、具体的に、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂(例えば、Acrylicacid)、及びフッ素系樹脂(例えば、PTFE、PVDF)からなる群より選ばれるいずれか一つであり、これに限定されるのではない。
【0037】
このうち、CMCの場合は、分子鎖間が互いに絡み合っている構造(entangled structure)を有し、剪断速度の低い場合は、貼度が高く、剪断速度の高い場合には、比例して低くなるShear thinning傾向を有する。よって、前記CMC増粘剤の絡み合い(entanglement)レベルを低めるかまたは低貼度のCMCを用いて、前記導電材を1次分散させるのにより望ましく利用されることができる。
【0038】
続いて、2次分散ステップは、前記1次分散した導電材と第1の増粘剤とが混合した分散物に、相対的に粒子大きさの大きい活物質と前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させる。
【0039】
前記導電材の分散に使った分子量の小さい低貼度の増粘剤の場合、粒径が相対的に大きい活物質の分散には適合でない。そのため、2次活物質分散時には、導電材の分散に使った第1の増粘剤に比べて重合度及び分子量の大きい第2の増粘剤が必要となる。
【0040】
前記第1の増粘剤に比べて分子量の大きい第2の増粘剤は、重合度(DP)が251〜1,200であり、重量平均分子量が56,000〜250,000であることが望ましい。
【0041】
前記第2の増粘剤の重合度が251未満の場合、貼度が非常に低く増粘剤としての役割に問題がある。また、1,200を超過する場合、貼度が高く分散に問題があって、望ましくない。
【0042】
また、前記第2の増粘剤の重量平均分子量が56,000未満の場合、貼度が非常に低く増粘剤としての役割に問題があっても、250,000を超過する場合、貼度が高くなり分散に問題があって、望ましくない。
【0043】
前記分子量の大きい第2の増粘剤も前記第1の増粘剤と同じ材料を用いてもよく、重合度及び重量平均分子量が異なるものを選択して用いてもよい。
【0044】
前述の方法によれば、1次分散させた導電材に、活物質と分子量の大きい増粘剤とを混合して2次分散させることによって、従来の方法のように導電材同士凝集されるか、活物質同士凝集されるという問題が発生しない。
【0045】
すなわち、図5に示すように、分子量の小さい第1の増粘剤を用いて1次分散させ、これに活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを添加して2次分散させることによって、活物質150及び導電材160の粒子大きさに数百倍差があるにもかかわらず、均一な分散効果が奏する。
【0046】
したがって、粒子大きさが相対的に小さな導電材160同士凝集されていたものが、第1の増粘剤によってよく分散するだけでなく、分子量の大きい第2の増粘剤170が活物質150と導電材160との間に均一に分布されて分散効果がより一層奏することができる。
【0047】
本発明による電極活物質スラリに含まれる電極活物質としては、活性炭が望ましいが、これに限定されるのではない。また、該活性炭は、比表面積1500〜2500m/gの多孔性構造を有する粒径5〜20μmであるのが望ましいが、これに限定されるのではない。
【0048】
また、本発明による電極活物質スラリに含まれる導電材は、アセチレンブラック(acetylene black)、カーボンブラック、ケチェンブラック(Ketjen Black)、カーボンナノチューブ、及びカーボンナノファイバからなる群より選ばれるいずれか一つでありうるが、これに限定されるのではない。
【0049】
一方、本発明の他の好適な第2の実施形態による電極活物質スラリの製造方法は、活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、該1次分散物に導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して2次分散させるステップとを含む。
【0050】
本発明の電極活物質スラリ製造において重要な点は、活物質及び導電材の粒子大きさに合わせて貼度及び分子量が異なる増粘剤を使うという点である。
【0051】
したがって、本発明の好適な第2の実施形態による方法は、粒子大きさが相対的に大きい活物質に分子量の大きい第2の増粘剤を混合してから分散させ、その後、それに該活物質より粒子大きさが相対的に小さな導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して分散させる。
【0052】
すなわち、第1の実施形態による方法において、第1のステップ及び第2のステップを変更して電極活物質スラリを製造する。
【0053】
したがって、第2の実施形態の方法で用いられる活物質、導電材、第1の増粘剤及び第2の増粘剤は、第1の実施形態で使われたものと同じである。しかし、粒子大きさの大きい活物質を先に分散させ、それに相対的に粒子大きさの小さい導電材を添加して分散させる方法なので、第1の実施形態に比べて、その分散性がやや落ちることがあるが、これは無視する程度と言える。
【0054】
また、本発明のさらに他の好適な第3の実施形態による電極活物質スラリの製造方法は、導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させる第1のステップと、活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させる第2のステップと、前記第1のステップ及び前記第2のステップでの分散物を混合して3次分散させるステップとを含む。
【0055】
第3の実施形態の方法によれば、導電材及び活物質を各々第1の増粘剤及び第2の増粘剤を投入して、別の容器内で分散させ、その後、各分散物を混合して分散させる方法である。
【0056】
第3の実施形態の方法によれば、導電材と第1の増粘剤とを先に混合して分散させてもよく、活物質と第2の増粘剤とを先に混合して分散させてもよく、その順序は特別に限定されない。ただ、活物質及び導電材の粒子大きさに合わせて貼度及び分子量が異なる増粘剤を用いることが重要である。
【0057】
したがって、第3の実施形態の方法で用いられる活物質、導電材、第1の増粘剤及び第2の増粘剤は、第1の実施形態で使われたものと同じである。
【0058】
また、本発明の電極活物質スラリには、その分散性を低下させない条件下で適切な溶媒及び添加剤が挙げられるが、その種類が特別に限定されるのではない。
【0059】
また、本発明は、第1〜第3の実施形態の方法によって製造された電極活物質スラリを用いる電極を含む電気化学キャパシタを提供する。
【0060】
本発明による電極は、陽極及び陰極として使うことができる。
【0061】
また、電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタに好適に使われてもよく、ここに限定されるのではない。
【0062】
また、本発明の電気化学キャパシタを構成する集電体、電解液、分離膜などは、特別に限定されるのではなく、一般的な電気二重層キャパシタのような電気化学キャパシタにおいて用いられるものであってもよく、その詳細は略することにする。
<実施例1>
【0063】
電極活物質スラリの製造
機械的撹拌機によって撹拌されている粒子大きさが数十nmのアセチレンブラック100gに、第1の増粘剤としてCMC(重合度100〜250、重量平均分子量20,000〜35,000)20gを投入して60分間撹拌させて1次分散させた。
【0064】
該1次分散物に、活性炭(比表面積2000m/g、粒径10μm)及び第2の増粘剤としてCMC(重合度400〜500、重量平均分子量100,000〜110,000)10g及び水系溶媒を投入して60分間撹拌させて2次分散させて電極活物質スラリを製造した。
<実施例2>
【0065】
電極活物質スラリの製造
活性炭(比表面積2000m/g、粒径10μm)及び第2の増粘剤としてPVB(重合度1000、重量平均分子量80,000〜150,000)10g及び水系溶媒を投入して60分間撹拌させて1次分散させた。
【0066】
該1次分散物を機械的撹拌機によって撹拌しながら粒子大きさが数十nmのアセチレンブラック100g、第1の増粘剤としてCMC(重合度100〜250、重量平均分子量20,000〜35,000)20gを投入して60分間撹拌させて2次分散させて電極活物質スラリを製造した。
<実施例3>
【0067】
電極活物質スラリの製造
機械的撹拌機によって撹拌されている粒子大きさが数十nmのアセチレンブラック100gに、第1の増粘剤としてCMC(重合度100〜250、重量平均分子量20,000〜35,000)20gを投入して60分間撹拌させて1次分散させた。
【0068】
活性炭(比表面積2000m/g、粒径10μm)及び第2の増粘剤としてPVB(重合度700、重量平均分子量50,000〜80,000)10g及び水系溶媒を投入して60分間撹拌させて2次分散させた。
【0069】
前記1次分散物と前記2次分散物とを混合・分散させて電極活物質スラリを製造した。
<比較例1>
【0070】
活性炭(比表面積2000m/g、粒径10μm)、導電材としてアセチレンブラック50nm)、増粘剤としてCMC(重合度400〜500、重量平均分子量100,000〜110,000)10g及び水系溶媒を投入して60分間間混合・分散させて電極活物質スラリを製造した。
<実施例4〜6、比較例2>
【0071】
電気化学キャパシタ製造
1)電極の製造
【0072】
実施例1〜3及び比較例1による電極活物質スラリを、厚さ10μmの銅箔上にドクターブレード法で塗布し、臨時乾燥の後、電極サイズが100mm×100mmになるように切断した。電極の厚さは、約20〜40μmであった。セルの組立前に、120℃の真空状態で5時間間乾燥させた。
2)電解液の製造
【0073】
ポリカーボネート系溶媒及びアクリロニトリル系の混合溶媒に、スパイロ系塩1.2モル/リットルの濃度になるように溶解して電解液を調剤した。
3)キャパシタセルの組立
【0074】
該製造された正極と負極との間に、セパレータ(ポリプロピレン系不織布)を挿入し、電解液を含浸させ、ラミネートフィルムケースに入れて封止した。こうして完成されたセルは、測定まで約1日そのまま維持した。
<実験例>
【0075】
電気化学キャパシタセルの容量評価
25℃の恒温条件下で、定電流−定電圧で900秒間2.5Vまで充電してから、定電流で放電させて容量を測定した。その結果を下記表1に示した。また、各セルの抵抗特性は、交流抵抗測定器で測定し、その結果を表1に示した。
【表1】

【0076】
上記<表1>の結果のように、通常の方法のように電極活物質、導電材及び増粘剤を一括投入して活物質スラリを製造し、これを用いる電極を含む電気化学キャパシタ(EDLCセル)である比較例2の容量は、約1100Fを示し、抵抗値は、0.611であった。
【0077】
また、本発明のように貼度及び分子量が調節された増粘剤を、その投入時点を異にして添加して電極活物質スラリを製造し、これを電極として用いるEDLCセル(実施例4〜6)の場合、容量が増加されるだけでなく、抵抗値を効果よく低めることができることを分かる。
【0078】
このような結果から、貼度及び分子量が調節された2種以上の増粘剤を別に添加することによって、分散性が向上した電極活物質スラリを製造することができることが認められた。また、電極活物質の分散性の向上に伴って、電気二重層キャパシタのような電気化学キャパシタの電極として使用されると、容量が優秀で、電気抵抗特性を効果よく低めることができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10 集電体
21 陽極
22 陰極
20 電極
30 電解液
31a、31b 電解質イオン
40 分離膜
50、150 活物質
60、160 導電材
70、170 増粘剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、
前記1次分散物に、活物質と前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させるステップと
を含む電極活物質スラリの製造方法。
【請求項2】
活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して1次分散させるステップと、
前記1次分散物に、導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して2次分散させるステップと
を含む電極活物質スラリの製造方法。
【請求項3】
導電材と分子量の小さい第1の増粘剤とを混合して1次分散させる第1のステップと、
活物質と分子量の大きい第2の増粘剤とを混合して2次分散させる第2のステップと、
前記第1及び第2のステップでの分散物を混合して3次分散させるステップと
を含む電極活物質スラリの製造方法。
【請求項4】
前記分子量の小さい第1の増粘剤は、重合度が100〜250で、重量平均分子量が20,000〜55,000である請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の電極活物質スラリの製造方法。
【請求項5】
前記第1の増粘剤より分子量の大きい第2の増粘剤は、重合度が251〜1,200で、重量平均分子量が56,000〜250,000である請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の電極活物質スラリの製造方法。
【請求項6】
前記分子量の小さい第1の増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれか一つである請求項4に記載の電極活物質スラリの製造方法。
【請求項7】
前記分子量の大きい第2の増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル系樹脂及びフッ素系樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれか一つである請求項5に記載の電極活物質スラリの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のうちのいずれか一つによる電極活物質スラリを用いる電極を含む電気化学キャパシタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−62505(P2013−62505A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199237(P2012−199237)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】