説明

電極送達システム

【課題】使用がより容易かつ簡潔であり、使用者が自動体外式除細動器をセットアップするのに要する時間を低減する電極送達システムを提供すること。
【解決手段】心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器は、電気コネクタ、電池、および高電圧回路網を支持する筐体と、該筐体上に支持されている一対の除細動電極パッドとを備え、該一対の除細動電極パッドの各々は、該筐体の該電気コネクタに事前接続され、各除細動電極パッドは、該電池および高電圧回路網と電気的に連絡しており、該除細動器は、該一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の該筐体からの分離によって自動的に起動され、各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、該ヒドロゲル層の水蒸気透過度を低減するような態様において、該筐体によって保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、「Electrode Delivery System」と題された2010年3月18日出願の米国仮出願第61/315,159号の利益と優先権を主張し、この米国仮出願の全体内容が本明細書において参照により援用されている。
【0002】
(背景)
(1.技術的な説明)
本開示は、除細動器および除細動電極に関し、より詳細には、適正に機能することができるように電極が十分な水分量を維持することを可能にしつつ、電極が患者に使用される前において除細動器への除細動電極の使用および接続を容易にするためのシステム、方法、およびパッケージに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の背景)
医療用途において一般的に使用される電極は、概して、導体およびコネクタを含む。コネクタは、一端において導体に取付けられ、除細動器または他のデバイスの中にプラグ接続されるプラグを他端において含む。導体は、しばしば、伝導性ゲルの中に被覆またはコーティングされ、このことは、患者の皮膚に粘着する、導体の能力を強化する。伝導性ゲルがあまりに乾燥すると、導体は、患者に粘着するその能力を喪失し得るか、または過度に高い接触インピーダンスを示す。伝導性ゲルが乾燥することを防止するために、電極は、使用前にパッケージ内に格納され得る。
【0004】
医療環境において、しばしば、様々な異なる除細動器および電極を医師が自由に使え、除細動器および電極のうちのいくつかが異なる製造業者によるものであることも稀ではない。異なるブランドの除細動器(または他の医療デバイス)および電極の間での互換性をしばしば欠いており、これにより、所与の除細動器でどの特定の電極を使用するかに関して混乱を来たす。したがって、医師は、電極(または電極プラグ)が除細動器と互換性があるかどうかを判断するために電極パッケージを開封する。電極(または電極プラグ)が除細動器と互換性がない場合、開封された電極は脇に置かれ、医師は、異なる包装されている電極を開封する。理解され得るように、互換性がない電極は、時宜に即して使用されなければ乾燥し過ぎることになるであろうから、この様式において電極をテストすることは無駄を招く。
【0005】
さらに、緊急事態の状況に備えて、医師は、このような緊急事態の状況が生じる前に、可能な限り多くの段取りを実施し得る。例えば、医師は、除細動器に互換性のある電極を「事前接続」することによって、除細動器を準備し得る。互換性のある電極を除細動器に事前接続することにより、伝導性ゲルからの水分の急速な拡散を防ぎ、実際の緊急事態の間に行うことが必要な段取りの数を低減する。
【0006】
多くの事例において、医療施設から遠隔の社会一般の場所で緊急事態の状況が生じる場合、自動体外式除細動器(AED)が、一般的に、医療緊急事態に直面している個人における使用のために利用可能であり得る。AEDは、患者における生命を脅かす可能性のある心室細動および心室頻拍の心不整脈を自動的に診断する可搬式の電子デバイスであり、それら心不整脈を、除細動、つまり不整脈を止める電気療法の適用を通して処置することが可能であり、心臓が実効的なリズムを回復することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
患者に電極を送達するシステムに対する必要性が存在し、このようなシステムは、使用がより容易かつ使用がより簡潔であり、AEDの使用者がAEDをセットアップするのに要する時間を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(概要)
本開示は、適正に機能することができるように電極が十分な水分量を維持することを可能にしつつ、電極が患者に使用される前において除細動器への除細動電極の使用および接続を容易にするためのシステム、方法、およびパッケージに関する。
【0009】
本開示の一局面に従って、心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器が提供され、この自動体外式除細動器は、電気コネクタを支持する筐体と、筐体上に支持される除細動器電極送達システムと、除細動器電極送達システムによって支持される一対の除細動電極パッドとを含む。一対の除細動電極パッドは、それぞれ、筐体の電気コネクタに事前接続される。各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、その水蒸気透過度を低減するような態様において、除細動器電極送達システムによって保持される。
【0010】
除細動器電極送達システムは、筐体の外表面上に規定される電極受容表面を含み得、各除細動電極パッドは、筐体の電極受容表面に付着される。
【0011】
筐体の電極受容表面は、剥離材料でコーティングされ得る。
【0012】
除細動器電極送達システムは、筐体から延びる一対の間隔の離れたブラケットと、その一対のブラケットにより規定される間隔をわたって延びるようにサイズを決められた剥離ライナーとを含み得、ブラケットは、筐体に近接して剥離ライナーを保持するように構成され、各除細動電極パッドは、剥離ライナーの表面に付着される。
【0013】
除細動器電極送達システムは、筐体に接続された側端を有するキャリアフラップを含み得、一対の除細動電極パッドのうちの電極パッドがそれぞれ、キャリアフラップの各側の表面に付着される。
【0014】
除細動器電極送達システムは、キャリアフラップの側端を筐体に接続するヒンジを含み得る。除細動器電極送達システムは、キャリアフラップの側端を筐体に接続するクランプを含み得る。
【0015】
一対の除細動電極パッドのうちのそれぞれについて、除細動器電極送達システムは、一対の除細動電極パッドのうちのそれぞれを筐体に選択的に固定する二部品ファスナ部材を含み得、二部品ファスナのうちの第1の部品は、筐体に固定され、二部品ファスナのうちの第2の部品は、各電極パッドの裏当て層に固定される。
【0016】
各除細動電極パッドは、裏当て層と、裏当て層を覆う基板と、基板を覆うヒドロゲルと、ヒドロゲルを覆うライナーとを含み得る。
【0017】
除細動器はさらに、筐体の表面内に支持される一対の接触パッドを含み得、各接触パッドは、それぞれの電気コネクタによって筐体のコネクタに電気的に接続され、一対の除細動電極パッドの各電極パッドは、それぞれの接触パッドと接触するように、筐体の表面に付着される。
【0018】
除細動器は、電極パッドが接触パッドと接触している場合に、電極パッドのインピーダンスのチェックを実施するように構成され得る。
【0019】
除細動器は、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの分離に際して、自動的に電源投入するように構成され得る。
【0020】
除細動器は、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の分離に際して、自動的に電源投入するように構成され得る。
【0021】
接触パッドによるインピーダンス読取りは、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の分離に際して変化し得、その結果として、除細動器の自動的な電源投入を生じる。
【0022】
除細動器電極送達システムは、筐体の表面上に支持される剥離ライナーを含み得、一対の除細動電極パッドは、剥離ライナーの表面に付着されるアペックス電極および胸骨電極を含み得、アペックス電極は、剥離ライナーの外周から突出するタブを含む。
【0023】
胸骨電極はタブを含み得、胸骨電極のタブは、剥離ライナーからのアペックス電極の分離に続いて露出される。
【0024】
剥離ライナーは、筐体の表面上にスライド可能に支持され得、アペックス電極のタブが剥離ライナーの面に対してほぼ平行な方向に引っ張られると、剥離ライナーは、引っ張りの方向にスライドさせられ、アペックス電極から分離される。
【0025】
使用に際して、アペックス電極が剥離ライナーから分離されるとき、胸骨電極のタブが露出され得る。
【0026】
本開示の別の局面に従って、心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器が提供され、この自動体外式除細動器は、電気コネクタ、電池、および高電圧回路網を支持する筐体と、筐体上に支持される一対の除細動電極パッドとを含み、一対の除細動電極パッドは、それぞれ、筐体の電気コネクタに事前接続され、各除細動電極パッドは、電池および高電圧回路網と電気的に連絡している。除細動器は、筐体からの一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の分離によって自動的に起動される。各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、その水蒸気透過度を低減するような態様において、筐体によって保持される。
【0027】
除細動器はさらに、筐体の表面内に支持される一対の接触パッドを含み得、各接触パッドは、それぞれの電気コネクタによって筐体のコネクタに電気的に接続され、一対の除細動電極パッドの各電極パッドは、それぞれの接触パッドと接触するように、筐体の表面上に配置される。
【0028】
除細動器は、電極パッドが接触パッドと接触している場合に、電極パッドのインピーダンスのチェックを実施するように構成され得る。
【0029】
除細動器は、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの分離に際して、自動的に電源投入するように構成され得る。
【0030】
除細動器は、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の分離に際して、自動的に電源投入するように構成され得る。
【0031】
接触パッドによるインピーダンス読取りは、接触パッドからの一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の分離に際して変化し得、その結果として、除細動器の自動的な電源投入を生じる。
【0032】
以上により、本発明は、例えば以下の項目を提供する。
【0033】
(項目1)
心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器であって、該除細動器は、
電気コネクタ、電池、および高電圧回路網を支持する筐体と、
該筐体上に支持されている一対の除細動電極パッドと
を備え、該一対の除細動電極パッドの各々は、該筐体の該電気コネクタに事前接続され、各除細動電極パッドは、該電池および高電圧回路網と電気的に連絡しており、
該除細動器は、該一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の該筐体からの分離によって自動的に起動され、
各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、該ヒドロゲル層の水蒸気透過度を低減するような態様において、該筐体によって保持される、除細動器。
【0034】
(項目2)
上記筐体の表面内に支持されている一対の接触パッドをさらに備え、各接触パッドは、該筐体のコネクタにそれぞれの電気コネクタによって電気的に接続され、上記一対の除細動電極パッドの各電極パッドは、それぞれの接触パッドと接触するように、該筐体の表面に付着される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0035】
(項目3)
上記除細動器は、上記電極パッドが上記接触パッドと接触している場合に、該電極パッドのインピーダンスのチェックを実施するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0036】
(項目4)
上記除細動器は、上記一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の上記接触パッドからの分離に際して、自動的に電源投入するように構成されている、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0037】
(項目5)
上記接触パッドによるインピーダンス読取りは、上記一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の該接触パッドからの分離に際して変化し、その結果として、上記除細動器の自動的な電源投入を生じる、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0038】
(項目6)
上記筐体の電極受容表面は、剥離材料でコーティングされている、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0039】
(項目7)
上記筐体から延びている一対の間隔の離れたブラケットと、
該一対のブラケットにより規定される間隔をわたって延びるようにサイズを決められている剥離ライナーと
をさらに備え、該ブラケットは、該筐体に近接して該剥離ライナーを保持するように構成され、各除細動電極パッドは、該剥離ライナーの表面に付着される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0040】
(項目8)
上記筐体に接続された側端を有するキャリアフラップをさらに備え、上記一対の除細動電極パッドのうちの電極パッドが、該キャリアフラップのそれぞれの側の表面に付着される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0041】
(項目9)
上記一対の除細動電極パッドのうちの各々について、上記除細動器は、
該一対の除細動電極パッドのうちの各々を上記筐体に選択的に固定する二部品ファスナ部材をさらに備え、該二部品ファスナのうちの第1の部品は、該筐体に固定され、該二部品ファスナのうちの第2の部品は、各電極パッドの裏当て層に固定される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0042】
(項目10)
各除細動電極パッドは、裏当て層と、該裏当て層を覆う基板と、該基板を覆うヒドロゲルと、該ヒドロゲルを覆うライナーとを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0043】
(項目11)
上記筐体の表面上に支持されている剥離ライナーをさらに備え、上記一対の除細動電極パッドは、該剥離ライナーの表面に付着されているアペックス電極および胸骨電極を含み、該アペックス電極は、該剥離ライナーの外周から突出しているタブを含む、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0044】
(項目12)
上記胸骨電極はタブを含み、該胸骨電極のタブは、上記剥離ライナーからの上記アペックス電極の分離に続いて露出される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0045】
(項目13)
上記剥離ライナーは、上記筐体の表面上にスライド可能に支持され、上記アペックス電極のタブが該剥離ライナーの面に対してほぼ平行な方向に引っ張られると、該剥離ライナーは、該引っ張りの方向にスライドさせられ、該アペックス電極から分離される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0046】
(項目14)
上記アペックス電極が上記剥離ライナーから分離されるとき、上記胸骨電極のタブが露出される、上記項目のうちのいずれかに記載の除細動器。
【0047】
(摘要)
本開示の一局面に従って、心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器が提供され、この自動体外式除細動器は、電気コネクタを支持する筐体と、筐体上に支持される除細動器電極送達システムと、除細動器電極送達システムによって支持される一対の除細動電極パッドとを含む。一対の除細動電極パッドは、それぞれ、筐体の電気コネクタに事前接続される。各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、その水蒸気透過度を低減するような態様において、除細動器電極送達システムによって保持される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
電極送達システムの様々な実施形態が、本明細書において図面を参照して説明される。
【図1】図1は、本開示の実施形態に従う除細動器電極送達システムの上面平面図である。
【図2】図2は、本開示の別の実施形態に従う除細動器電極送達システムの側面図である。
【図3A】図3Aは、本開示のさらなる実施形態に従う除細動器電極送達システムの側面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの指示された細部のエリアの拡大図である。
【図4】図4は、本開示のまた別の実施形態に従う、部品が分離された除細動器電極送達システムの側面図である。
【図5】図5は、本開示のなおも別の実施形態に従う除細動器電極送達システムの側面図である。
【図6】図6は、本開示の別の実施形態に従う除細動器電極送達システムの側面図である。
【図7】図7は、本開示の別の実施形態に従う除細動器電極送達システムの上面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
(詳細な説明)
本願で開示の除細動器電極送達システムの実施形態は、ここで図面を参照して詳細に説明され、図面中の同一の参照番号は、類似または同一の要素を識別する。
【0050】
図1に図示されるように、本開示の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、100として示される。除細動器電極送達システム100は、自動体外式除細動器(AED)102を含み、AED102は、一対の電極パッド10、20を格納または保持するように構成された表面140を規定する。電極パッド10、20は、コネクタ30において結合されるそれぞれのリード線12、22を介して、AED102に対して電気的に接続可能であるか、または事前接続される。
【0051】
表面140は、必要な場合に、表面140に電極パッド10、20を選択的に付着させるために、および表面140からの電極パッド10、20の除去を容易にするために、剥離材料でコーティングされる。例えば、剥離材料は、テフロン(登録商標)、シリコーン、およびその組合せであり得る。
【0052】
この構成において、各電極パッド10、20のゲル層は、乾燥する傾向が低減している。AED102の表面140への電極パッド10、20の付着に起因して、電極パッド10、20の水蒸気透過度(MVTR)を低減する特別なパッケージングは必要ではない。
【0053】
図2に図示されるように、本開示の別の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、200として示される。除細動器電極送達システム200は、自動体外式除細動器(AED)202を含み、AED202は、その表面上に支持される一対の間隔の離れたブラケット212、214を有する。除細動器電極送達システム200は、剥離ライナー250上に支持される一対の電極パッド10、20を格納または保持するように構成される。ブラケット212、214は、剥離ライナー250と係合し、剥離ライナー250を捕捉し、そして/または剥離ライナーを押さえつけるようにロックするのに十分な量だけ間隔を離され、それにより、電極パッド10、20をAED202に固定されたまま維持する。電極パッド10、20は、コネクタ(示されていない)において結合されるそれぞれのリード線(示されていない)を介して、AED202に電気的に接続される。
【0054】
この構成において、各電極パッド10、20のゲル層は、乾燥する傾向が低減している。剥離ライナー250への電極パッド10、20の付着に起因して、電極パッド10、20の水蒸気透過度(MVTR)を低減する特別なパッケージングは必要ではない。
【0055】
図3Aおよび図3Bに図示されるように、本開示のさらなる実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、300として示される。除細動器電極送達システム300は、自動体外式除細動器(AED)302を含み、AED302は、それにヒンジ部材362を介してヒンジ作用するように接続されたキャリアフラップまたはページ360を有する。除細動器電極送達システム300は、一対の電極パッド10、20を格納または保持するように構成され、一対の電極パッド10、20は、フラップ360の前面側、背面側、および/または反対両側360a、360bに支持される(図3Aおよび図3Bに示されるように)。図3Bに示されるように、各電極パッド10、20は、それぞれのプルタブ11、21を含み得、これにより、フラップ360からの電極パッド10、20の除去を容易にする。電極パッド10、20は、コネクタ30において結合されるそれぞれのリード線12、22を介して、AED302に対して電気的に接続可能であるか、または事前接続される。
【0056】
この構成において、各電極パッド10、20のゲル層は、乾燥する傾向が低減している。フラップ360への電極パッド10、20の付着に起因して、電極パッド10、20の水蒸気透過度(MVTR)を低減する特別なパッケージングは必要ではない。
【0057】
図4に図示されるように、本開示のなおも別の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、400として示される。除細動器電極送達システム400は、自動体外式除細動器(AED)402を含み、AED402は、一対の電極パッドをAED402に選択的に固定するためにAED402と関連付けられる二部品ファスナ部材470を有する。二部品ファスナ部材470は、AED402に固定される第1の部品470aと、電極パッド10の裏当て層10aに固定される第2の部品470bとを含む。電極10は、二部品ファスナ部材470の第2の部品470bとは反対側に、裏当て層10aを覆う伝導性および/または非伝導性の基板10bを含む。電極10はさらに、基板10bを覆うゲル層またはヒドロゲル層10cと、ゲル層またはヒドロゲル層10cを覆うライナー10dとを含む。
【0058】
二部品ファスナ部材470は、面型(hook and loop type)ファスナの形態であり得、ここで、第1の部品470aおよび第2の部品470bのうちの一方がフック(hook)部分であり、第1の部品470aおよび第2の部品470bのうちのもう一方がループ(loop)部分である。二部品ファスナ部材470は、両面テープ等を含み得ることが企図される。
【0059】
この構成において、電極パッド10のゲル層またはヒドロゲル層は、乾燥する傾向が低減している。AED402への電極パッド10の固定と、ゲル層またはヒドロゲル層10cを覆うライナー10dの提供とに起因して、電極パッドの水蒸気透過度(MVTR)を低減する特別なパッケージングは必要ではない。
【0060】
図5に図示されるように、本開示の別の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、500として示される。除細動器電極送達システム500は、自動体外式除細動器(AED)502を含み、AED502は、その表面にクランプ582を介して固定される剥離ライナー580を有する。除細動器電極送達システム500は、剥離ライナー580の前面側580aに少なくとも1つの電極パッド10を格納または保持するように構成される。図5に示されるように、電極パッド10はプルタブ11を含み得、これにより、剥離ライナー580からの電極パッド10の除去を容易にする。
【0061】
この構成において、電極パッド10のゲル層は、乾燥する傾向が低減している。剥離ライナー580への電極パッド10の付着に起因して、電極パッド10、20の水蒸気透過度(MVTR)を低減する特別なパッケージングは必要ではない。
【0062】
図6に図示されるように、本開示のまた別の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、600として示される。除細動器電極送達システム600は、自動体外式除細動器(AED)602を含み、AED602は、その表面内に配置される一対の電気接点または電気接触パッド690、692を含む。除細動器電極送達システム600は、一対の電極パッド10、20を含み、一対の電極パッド10、20は、コネクタ30において結合されるそれぞれのリード線12、22を介して、AED602に電気的に接続可能であるか、またはAED602に事前接続される。電極パッド10、20はまた、それぞれの接触パッド690、692と接触している。各電気接触パッド690、692は、それぞれの電気コネクタ690a、692aに電気的に接続され、電気コネクタ690a、692aは、コネクタ30によってそれぞれのリード線12、22と電気的に相互接続される。
【0063】
この態様において、第1の電気回路は、接触パッド690と、各自の電気コネクタ690aと、コネクタ30と、リード線12と、電極パッド10とを含んで規定される。また、第2の電気回路は、接触パッド692と、各自の電気コネクタ692aと、コネクタ30と、リード線22と、電極パッド20とを含んで規定される。
【0064】
図6に概略的に示されるように、AED602は、その筐体602a内に配置される電池「B」および高電圧回路網「C」を含む。電池および高電圧回路網は、コネクタ30および/または電気コネクタ690a、690bに電気的に接続される。
【0065】
電極パッド10、20がAED602から持ち上げられるか、または分離されると、電極パッド10、20は、接触パッド690、692から分離し、それらの間でインピーダンスを変化させるか、またはそれぞれの回路を遮断し、それによって、AED602が自動的に電源投入または初期化を始める(つまり、心臓の緊急事態における使用前に、準備されたAED602で自動化されたセットアップ処理を実行する)ことを生じることが企図される。さらに、AED602は、AED602の接触パッド690、692からの電極パッド10、20のいずれかの分離に際して、自動的に電源投入されることが企図される。
【0066】
あるいは、または自動化されたセットアップ処理に加えて、そのように構成された場合、インピーダンスチェックが各電極パッド10、20をわたって実施され得、これにより、各電極パッド10、20のインピーダンスをチェックし、各電極パッド10、20のゲル層の水分含有量がその使用に対して許容できるかどうかを判定する。
【0067】
図7に図示されるように、本開示のなおも別の実施形態に従う除細動器電極送達システムは、概して、700として示される。除細動器電極送達システム700は、自動体外式除細動器(AED)702を含み、AED702は、一対の電極と、アペックス電極パッド10と、胸骨電極パッド20とを含む。電極パッド10、20は、それぞれのリード線12、22を介して、AED702に対して電気的に接続可能であるか、または事前接続される。アペックス電極パッド10はプルタブ13を含み、プルタブ13は、AED702上に配置されるボックスもしくはライナー704の外周から突出するか、または外周から延び、ボックスもしくはライナー704は、電極パッド10、20を保持する。アペックス電極パッド10がボックスまたはライナー704から剥がされると、ライナー704が前方に転がって胸骨電極パッド20のプルタブ23を露出することによって、アペックス電極パッド10の設置が患者に対してなされた後に、胸骨電極パッド20がライナー704から除去される準備がなされるように、電極パッド10、20は、ボックスまたはライナー704上に配列される。
【0068】
上述された本開示の実施形態のいずれかに従って、電極パッド10、20がAEDの表面から除去されるか、またはAEDの表面から分離されると、AEDが自動的に電源投入を始め得ることが企図される。
【0069】
本明細書において開示された電極送達システムのいずれかと共に使用するように構成された電極パッドは、2007年4月27日出願の国際特許出願第PCT/US2007/010060号、2008年9月25日出願の米国特許出願第12/237,803号、および2008年3月6日出願の米国特許出願公開第2009/0227857号に示され、かつ記載され、これら出願のそれぞれの全体内容が本明細書において参照により援用される。
【0070】
本明細書で開示された電極パッドにおいて利用され得る好適なポリマーの例は、Tyco Healthcare Group d/b/a/ Covidienから商業的に利用可能なRG−63Bヒドロゲルを含む。他の好適なヒドロゲルは、2009年10月30日出願の米国特許出願公開第2009/0270709号、および2009年10月30日出願の米国特許出願公開第2009/0270710号において開示されるものを含み、これら出願のそれぞれの全体開示は、あらゆる目的で本明細書において参照により援用される。
【0071】
前述は単に特定の実施形態の開示であって、決して本開示の範囲を限定するように意図されるものではないことを理解されたい。他の可能な改変は、当業者にとって明白であり、本開示の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
10、20 電極パッド
11、13、21、23 プルタブ
12、22 リード線
30 コネクタ
100、200、300、400、500、600、700 除細動器電極送達システム
102、202、302、402、502、602、702 自動体外式除細動器(AED)
140 表面
212、214 ブラケット
250、580 剥離ライナー
360 キャリアフラップ
362 ヒンジ部材
470 二部品ファスナ部材
582 クランプ
690、692 電気接触パッド
704 ボックスまたはライナー
B 電池
C 高電圧回路網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の緊急事態の間に患者の心臓に対して電気パルスおよび/または電気ショックを送達するように構成された自動体外式除細動器であって、該除細動器は、
電気コネクタ、電池、および高電圧回路網を支持する筐体と、
該筐体上に支持されている一対の除細動電極パッドと
を備え、該一対の除細動電極パッドの各々は、該筐体の該電気コネクタに事前接続され、各除細動電極パッドは、該電池および高電圧回路網と電気的に連絡しており、
該除細動器は、該一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の該筐体からの分離によって自動的に起動され、
各除細動電極パッドのヒドロゲル層は、該ヒドロゲル層の水蒸気透過度を低減するような態様において、該筐体によって保持される、除細動器。
【請求項2】
前記筐体の表面内に支持されている一対の接触パッドをさらに備え、各接触パッドは、該筐体のコネクタにそれぞれの電気コネクタによって電気的に接続され、前記一対の除細動電極パッドの各電極パッドは、それぞれの接触パッドと接触するように、該筐体の表面に付着される、請求項1に記載の除細動器。
【請求項3】
前記除細動器は、前記電極パッドが前記接触パッドと接触している場合に、該電極パッドのインピーダンスのチェックを実施するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の除細動器。
【請求項4】
前記除細動器は、前記一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の前記接触パッドからの分離に際して、自動的に電源投入するように構成されている、請求項1〜請求項3のうちのいずれかに記載の除細動器。
【請求項5】
前記接触パッドによるインピーダンス読取りは、前記一対の除細動電極パッドの少なくとも一方の該接触パッドからの分離に際して変化し、その結果として、前記除細動器の自動的な電源投入を生じる、請求項4に記載の除細動器。
【請求項6】
前記筐体の電極受容表面は、剥離材料でコーティングされている、請求項2に記載の除細動器。
【請求項7】
前記筐体から延びている一対の間隔の離れたブラケットと、
該一対のブラケットにより規定される間隔をわたって延びるようにサイズを決められている剥離ライナーと
をさらに備え、該ブラケットは、該筐体に近接して該剥離ライナーを保持するように構成され、各除細動電極パッドは、該剥離ライナーの表面に付着される、請求項1〜請求項6のうちのいずれかに記載の除細動器。
【請求項8】
前記筐体に接続された側端を有するキャリアフラップをさらに備え、前記一対の除細動電極パッドのうちの電極パッドが、該キャリアフラップのそれぞれの側の表面に付着される、請求項1〜請求項7のうちのいずれかに記載の除細動器。
【請求項9】
前記一対の除細動電極パッドのうちの各々について、前記除細動器は、
該一対の除細動電極パッドのうちの各々を前記筐体に選択的に固定する二部品ファスナ部材をさらに備え、該二部品ファスナのうちの第1の部品は、該筐体に固定され、該二部品ファスナのうちの第2の部品は、各電極パッドの裏当て層に固定される、請求項1〜請求項8のうちのいずれかに記載の除細動器。
【請求項10】
各除細動電極パッドは、裏当て層と、該裏当て層を覆う基板と、該基板を覆うヒドロゲルと、該ヒドロゲルを覆うライナーとを含む、請求項9に記載の除細動器。
【請求項11】
前記筐体の表面上に支持されている剥離ライナーをさらに備え、前記一対の除細動電極パッドは、該剥離ライナーの表面に付着されているアペックス電極および胸骨電極を含み、該アペックス電極は、該剥離ライナーの外周から突出しているタブを含む、請求項1〜請求項10のうちのいずれかに記載の除細動器。
【請求項12】
前記胸骨電極はタブを含み、該胸骨電極のタブは、前記剥離ライナーからの前記アペックス電極の分離に続いて露出される、請求項11に記載の除細動器。
【請求項13】
前記剥離ライナーは、前記筐体の表面上にスライド可能に支持され、前記アペックス電極のタブが該剥離ライナーの面に対してほぼ平行な方向に引っ張られると、該剥離ライナーは、該引っ張りの方向にスライドさせられ、該アペックス電極から分離される、請求項11または請求項12に記載の除細動器。
【請求項14】
前記アペックス電極が前記剥離ライナーから分離されるとき、前記胸骨電極のタブが露出される、請求項13に記載の除細動器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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