説明

電気かみそり

【課題】切断刃ユニットをより小さな肌反力で傾動変位させて肌面の変化に追随でき、しかも、傾動する切断刃ユニットで肌面を伸ばしてひげを起毛でき、全体としてひげ切断を軽快に行なえる電気かみそりを提供する。
【解決手段】かみそりヘッド2の前後に、第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1切断刃ユニット11は外刃23と、内刃24と、傾動フレーム25を含んで構成する。モーター15の回転動力は、ギヤ伝動構造を介して内刃24に伝動する。内刃24は、太陽ギヤ60の上半部の前後いずれかに配置して、太陽ギヤ60で回転駆動する。傾動フレーム25は太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに軸支して傾動可能とする。切断刃ユニット11は、復帰ばね26で待機位置へ向かって移動付勢する。第1切断刃ユニット11の傾動動作で、両切断刃ユニット11・12の間の肌面を引っ張って起毛する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1軸回りに揺動しながら傾動変位できる切断刃を備えているロータリー式の電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー式の電気かみそりにおいて、切断刃を1軸回りに揺動しながら傾動変位させることは、例えば特許文献1に公知である。そこでは、モーターの回転動力を、かみそりヘッドに設けた前後一対の内刃に対して、ギヤ伝動構造を介して伝動している。かみそりヘッドは、ギヤ伝動構造の終段ギヤの中心軸を揺動中心にして前後に首振り可能に支持してあり、肌面の変化に追随して前後の切断刃を傾動変位させることができる。さらに、モーターおよびかみそりヘッドの全体を、弾性変形可能な浮動枠と圧縮コイル形のばねで上下に浮動変位できるように支持している。
【0003】
特許文献2のロータリー式の電気かみそりにおいては、内刃の一側端を上下動自在な軸受で支持し、他側端に設けた摩擦ローラーを2個の摩擦ローラーで支持して、内刃を沈み込み変位可能に支持している。詳しくは、モーター動力を伝動するギヤ伝動構造の終段に、太陽ギヤと遊星ギヤとを設け、遊星ギヤの回転動力を摩擦ローラーを介して内刃に伝動している。遊星ギヤ軸には駆動側の摩擦ローラーが固定してあり、内刃軸には従動側の摩擦ローラーが固定してある。これらの摩擦ローラーとは別に、従動側の摩擦ローラーに外接する補助摩擦ローラーが設けてあり、そのローラー軸は、従動側の摩擦ローラーに対して接離スライドできるようケース壁で案内されて、ばねで接近付勢してある。内刃側の摩擦ローラーは、駆動側の摩擦ローラーと補助摩擦ローラーの間隔を押し拡げながら沈み込み変位する。この場合の内刃の変位は、正確には1軸回りに揺動する傾動変位ではないが、近似する変位動作ではある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−038351号公報(段落番号0031、図11)
【特許文献2】特開平07−112080号公報(段落番号0016、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電気かみそりにおいては、肌面の変化に追随して前後の切断刃を傾動変位させることができる。しかし、かみそりヘッドの全体を前後に首振り揺動させるので、切断刃に一定以上の肌面からの反力(以下、単に肌反力という。)が加わる状況でないとかみそりヘッドを傾動変位できず、ひげ切断時の肌当りが重たく、肌面の変化に追随するときの切断刃の傾動動作が鈍重になりやすい。
【0006】
また、特許文献2の電気かみそりでは、内刃の一側端を上下動自在に弾性支持した軸受で支持し、他側端を2個の摩擦ローラーで支持するので、軸受と2個の摩擦ローラーとを均等に沈み込ませるのが難しく、外刃を内刃に密着できないことがある。そのため、傾動しながらひげ切断を行なう場合に切断刃の切れ味が低下しやすい。
【0007】
本発明の目的は、切断刃ユニットをより小さな肌反力で傾動変位させながら、肌面の変化に追随させることができ、したがってひげ切断を軽快に行なえる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、傾動する切断刃ユニットで肌面を伸ばしてひげを起毛でき、したがってひげ切断を効果的に行なえる電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気かみそりは、かみそりヘッド2に設けた切断刃ユニット11が、外刃23と、ロータリー式の内刃24と、これら両者23・24を支持する傾動フレーム25を備えている。モーター15と内刃24との間に、モーター15の回転動力を内刃に伝動する伝動構造を設ける。内刃24は、伝動構造の終段に設けた太陽ギヤ60の上半部の前後いずれか一側に配置して、太陽ギヤ60で回転駆動する。傾動フレーム25は、上方の待機位置と、待機位置より下方の傾動位置との間で傾動できるよう太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心を有する。切断刃ユニット11は、復帰ばね26で待機位置へ向かって移動付勢する。
【0009】
かみそりヘッド2の少なくとも前後に、第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1切断刃ユニット11は、外刃23と、ロータリー式の内刃24と、これら両者23・24を支持する傾動フレーム25を含んで構成する。第1・第2の切断刃ユニット11・12の内刃24・40は、太陽ギヤ60の上半部の前後に配置して、太陽ギヤ60で回転駆動する。図7に示すように、第1切断刃ユニット11の傾動動作で、両切断刃ユニット11・12の間隔を拡げて肌面を引っ張るようにする。
【0010】
図5に示すように、太陽ギヤ60の回転モーメントと、復帰ばね26の付勢方向とを一致させて、太陽ギヤ60の回転モーメントで、復帰ばね26による第1切断刃ユニット11の復帰動作を補助する。
【0011】
かみそりヘッド2の少なくとも前後に第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1・第2の切断刃ユニット11・12の内刃24・40の直径を、大小に異ならせる。
【0012】
直径が小さな内刃24の周速度を、直径が大きな内刃40の周速度と同じか、これより小さく設定する。直径が大きな内刃40の駆動回転数を、直径が小さな内刃24の駆動回転数より小さく設定する。
【0013】
かみそりヘッド2の少なくとも前後に第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1・第2の切断刃ユニット11・12の内刃24・40の直径を大小に異ならせる。直径の小さな内刃24を備えた第1切断刃ユニット11を、太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに傾動できるように支持する。この場合の、第2切断刃ユニット12は、上下フロートできない構造と、上下フロートできる構造のいずれであってもよいが、後者の場合には、フロートばね21のばね圧を復帰ばね71のばね圧より大きく設定しておく。
【0014】
第1・第2の切断刃ユニット11・12の間に、スリット刃構造の外刃46と、ロータリー式の内刃47とを備えた第3切断刃ユニット13を設ける。第3切断刃ユニット13の内刃47を、太陽ギヤ60と同行回転する小ギヤ60b、および内刃ギヤ63を介して回転駆動する。
【0015】
図3に示すように、かみそりヘッド2を、グリップを兼ねる本体部1で浮動構造を介して上下フロート可能に支持する。これにより、第1切断刃ユニット11はかみそりヘッド2に対して傾動変位でき、かみそりヘッド2は本体部1に対して上下フロートできる。
【0016】
浮動構造が、かみそりヘッド2を押し上げ付勢するフロートばね21を備えている。第1切断刃ユニット11の復帰ばね26の付勢力を、浮動構造のフロートばね21の付勢力より小さく設定する。
【0017】
待機位置における第1切断刃ユニット11の頂部を、第2切断刃ユニット12の頂部より上方に位置させる。これにより、ひげ切断時に、第1切断刃ユニット11を他の切断刃ユニット12・13に先行して傾動できるようにする。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、外刃23および内刃24を傾動フレーム25で支持して切断刃ユニット11を構成し、傾動フレーム25を太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに軸支して、傾動変位する内刃24を太陽ギヤ60で回転駆動できるようにした。また、切断刃ユニット11を復帰ばね26で待機位置へ自動的に復帰できるようにした。このように、かみそりヘッド2に、独立して傾動できる切断刃ユニット11を設けると、かみそりヘッドの全体を傾動させる従来の電気かみそりに比べて、切断刃ユニット11をより小さな肌反力で傾動変位させながら、肌面の変化に円滑に追随させることができる。したがって、ひげ切断を軽快に行なえることとなる。
【0019】
第1・第2の切断刃ユニット11・12を太陽ギヤ60の上半部の前後に配置すると、傾動可能に支持した第1切断刃ユニット11に対して、自重による太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りの傾動モーメントを常に作用させることができる。待機位置における第1切断刃ユニット11は、復帰ばね26のばね力で、先の傾動モーメントに抗して位置保持されているが、肌反力が作用すると、復帰ばね26のばね力に抗して傾動変位する。このときの第1切断刃ユニット11の傾動モーメントは、待機位置から傾動する角度が増加するのに伴なって増加する。これは、傾動角度が増加するほど、第1切断刃ユニット11のモーメントアームが大きくなるからである。したがって、第1切断刃ユニット11が傾動するときの復帰ばね26のばね力の増加を、傾動モーメントの増加で減殺できることとなり、第1切断刃ユニット11が傾動する過程における肌反力を小さくして、切断刃ユニット11をさらに小さな肌反力で傾動変位できる。また、ひげ切断時の肌反力が小さい分だけ、肌面への刺激を減少してひげ切断をさらに軽快に行なえる。
【0020】
太陽ギヤ60の前後に第1・第2の切断刃ユニット11・12を配置したうえで、第1切断刃ユニット11を太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに傾動させるので、第1切断刃ユニット11が傾動するとき、両切断刃ユニット11・12の間隔を拡げて、肌面を引っ張って伸ばすことができる。詳しくは、ひげ切断時の第1切断刃ユニット11は、第2切断刃ユニット12から遠ざかる向きへ傾動するが、このとき、両切断刃ユニット11・12の間の肌面を引っ張って、肌面に倒れこんだくせ毛や長毛を起毛させることができる。したがって、起毛した状態のひげを、両切断刃ユニット11・12のいずれかで効果的に切断できる。
【0021】
太陽ギヤ60の回転モーメントの向きを、復帰ばね26による傾動フレーム25の付勢方向に一致させると、復帰ばね26による第1切断刃ユニット11の復帰動作を、先の回転モーメントで補助することができる。これにより、太陽ギヤ60の回転モーメントによって発生する復帰力の分だけ、復帰ばね26のばね圧を小さくできることとなり、したがって、第1切断刃ユニット11をより小さな力でさらに軽快に傾動させることができる。
【0022】
かみそりヘッド2の前後に設けた第1・第2の切断刃ユニット11・12の内刃24・40の直径を大小に異ならせると、直径が大きな内刃40を備えた切断刃ユニット12の肌面との接触面積を大きくでき、その分だけ短い時間で効果的にひげ剃りできる。また、直径が小さな内刃24を備えた切断刃ユニット11は、肌面との接触面積が小さくなる分だけ肌反力が大きくなる傾向があり、短毛を仕上げ剃りできる。したがって、第1・第2の両切断刃ユニット11・12で、粗剃りと仕上げ剃りとを協同して行なって、ひげ切断をより短い時間で効果的に行なうことができる。
【0023】
直径が小さな内刃24の周速度を、直径が大きな内刃40の周速度と同じか、これより小さく設定すると、直径が小さな内刃24の小刃が肌面に当接する回数、およびこする量を減少して肌面への負担を緩和できる。また、直径が大きな内刃40においては、肌面に対する接触面積が大きいので、より大量のひげを同時に切断できる反面、より大きな駆動トルクが必要となる。この駆動トルクを確保するために、直径が大きな内刃40の駆動回転数を直径が小さな内刃24の駆動回転数より小さく大きく設定している。さらに、内刃40の駆動トルクが大きい分だけパワフルにひげ切断を行なって、肌面への負担を緩和できる。
【0024】
先に説明したように、直径の小さな内刃24を備えた第1切断刃ユニット11においては、他の切断刃ユニット12に比べて肌反力が強く作用し、皮膚が外刃23の内部に垂れ込みやすい。そのため、皮膚への刺激が大きくなり、ひりひり感を与えやすい傾向がある。しかし、第1切断刃ユニット11を太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに傾動できるように支持すると、肌反力のごく僅かな変化に対応して、敏感に第1切断刃ユニット11を傾動させることができるので、肌面が過剰に押圧されるのを避けることができる。
【0025】
第1・第2の切断刃ユニット11・12の間に第3切断刃ユニット13を設け、その内刃47を太陽ギヤ60や内刃ギヤ63を介して回転駆動すると、各切断刃ユニット11〜13の駆動を、かみそりヘッド2の一側に設けたギヤ伝動構造でまとめて行なえる。そのため、各切断刃ユニット11〜13の下方空間を完全に開放して、毛屑の除去をより簡便に行なえる。例えば、第3切断刃ユニット13が往復動式の内刃47を含んで構成してある場合には、少なくとも第3切断刃ユニット13の下方空間が内刃駆動構造で占められ、その表面に毛屑が付着するのを避けられず、清掃に多くの手間が掛かる。また前述のように、傾動する第1切断刃ユニット11は肌面を引っ張って、肌面に倒れこんだくせ毛や長毛を起毛させることができるので、起毛したひげを両切断刃ユニット11・12の間に設けた第3切断刃ユニット13で効果的に切断できる。
【0026】
かみそりヘッド2を、グリップを兼ねる本体部1で上下フロート可能に支持すると、第1切断刃ユニット11を傾動変位できるのはもちろんのこと、同時に、かみそりヘッド2を本体部1に対して上下フロートできる。したがって、使用者は、第1切断刃ユニット11を傾動させた状態でひげを切断し、あるいは、第1切断刃ユニット11を傾動させ、さらにかみそりヘッド2を上下にフロートさせながらひげを切断でき、ひげ切断時の肌面に対する押圧力を多様に選択できる。
【0027】
第1切断刃ユニット11の復帰ばね26の付勢力を、浮動構造のフロートばね21の付勢力より小さく設定すると、第1切断刃ユニット11の傾動によって復帰ばね26のばね圧が一定値を越えるまで、かみそりヘッド2が上下フロートするのを規制できる。したがってひげ切断時に、かみそりヘッド2が不必要に上下フロートするのを防ぎながら、第1切断刃ユニット11を傾動させた状態で、ひげ切断を的確に行なえる。また、第2切断刃ユニット12が肌面に強く押し付けられる状況では、かみそりヘッド2を上下フロートさせて、肌面が過剰に刺激されることを防止し、肌面への負担を緩和できる。
【0028】
待機位置における第1切断刃ユニット11の頂部を、第2切断刃ユニット12の頂部より上方に位置させると、ひげ切断時には、まず第1切断刃ユニット11を他の切断刃ユニット12・13に先行して肌面に押し付けて、肌面を伸ばした状態でひげ切断を行なえる。したがって、第1切断刃ユニット11で伸ばされた肌面のひげを、複数の切断刃ユニット11・12・13で同時に切断して、ひげ剃り作業を短時間で能率よく行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る切断刃ユニットの縦断側面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】かみそりヘッドの浮動支持構造を示す縦断正面図である。
【図4】切断刃ユニットの平面図である。
【図5】ギヤ伝動構造を示す縦断側面図である。
【図6】スリット刃で構成した内刃の分解斜視図である。
【図7】ひげ切断時における切断刃ユニットの状態を示す作動説明図である。
【図8】切断刃ユニットの別の実施例を示す縦断側面図である。
【図9】図8の切断刃ユニットのギヤ伝動構造を示す側面図である。
【図10】切断刃ユニットのさらに別の実施例を示す縦断側面図である。
【図11】切断刃ユニットのさらに別の実施例を示す縦断側面図である。
【図12】伝動構造の別の実施例を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例) 図1ないし図7は本発明に係るロータリー式の電気かみそりの実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、矢印の近傍に表示した前後、左右、上下の表記に従う。図2においてロータリー式の電気かみそりは、グリップを兼ねる本体部1と、本体部1で浮動構造を介して上下フロート可能に支持されるかみそりヘッド2とを備えている。本体部1の前面にはモーター起動用のスイッチボタン3と、モーターの運転状態を切り替えるセレクトボタン4と、LED表示部5とが設けてある。本体部1の内部には、2次電池6や、制御回路を構成する部品が実装された回路基板などが収容してある。
【0031】
かみそりヘッド2は、ヘッドベース8と、その上面に固定されるギヤカバー9、および切刃台10と、ヘッドベース8の下面に固定されるモーターホルダー14などを構造体にして構成してある。切刃台10の上部には、第1〜第3の切断刃ユニット11・12・13が配置してあり、これらの切断刃ユニット11・12・13と、モーターホルダー14の内部に設けたモーター15との間に、ギヤ伝動構造(伝動構造)が配置してある。図5に示すように、第1・第2の切断刃ユニット11・12は、太陽ギヤ60の上半部の前後に配置され、これら両ユニット11・12の間に第3切断刃ユニット13が配置してある。切刃台10は、台本体10aと、台本体10aの右側端に固定される側枠10bとで構成してある(図3参照)。
【0032】
図3に示すように、モーターホルダー14と本体部1の内部の内ケース18との間には、かみそりヘッド2を浮動支持する浮動構造が設けてある。浮動構造は、内ケース18の対向壁に設けた上下に長いスライド溝19と、スライド溝19でスライド案内されるモーターホルダー14の突起20と、内ケース18とモーターホルダー14との間に配置したフロートばね21などで構成する。このように、かみそりヘッド2を浮動構造で上下フロート自在に支持することにより、ひげ切断を行なうとき、各切断刃ユニット11〜13に作用する肌反力に応じて、かみそりヘッド2を上下にフロート変位させることができる。
【0033】
第1切断刃ユニット(切断刃ユニット)11は、網刃からなる外刃23と、ロータリー式の内刃24と、これら両者を支持する傾動フレーム25と、復帰ばね26などで構成してあり、かみそりヘッド2の前部に配置してある(図1参照)。傾動フレーム25は、左右一対の側壁28と、これら両者を繋ぐ一対の前後壁29と、底壁30を一体に備えており、両側壁28には軸受部31が後ろ向きに張り出してある。
【0034】
軸受部31を後述する太陽ギヤ軸65と傾動軸66とで軸支することにより、第1切断刃ユニット11は、図1に実線で示す待機位置と、想像線で示す傾動位置との間を傾動できる。傾動フレーム25をより安定した状態で傾動させるために、側壁28の外面に突設した揺動ピン32と、側壁28で軸支した内刃軸37とを、切刃台10の左右側壁に設けたガイド溝33で案内している。傾動フレーム25の傾動限界は、揺動ピン32および内刃軸37とガイド溝33とで規定している。傾動軸66は、太陽ギヤ軸65の中心軸線上に設けられて、切刃台10の左側壁に固定してある(図3参照)。復帰ばね26はねじりコイルばねからなり、その一端が切刃台10のばね受凹部16で受け止められ、他端が傾動フレーム25の底壁30のばね受凹部34で受け止められている。復帰ばね26の付勢力は、先の浮動構造のフロートばね21の付勢力より小さく設定してある。
【0035】
図6に示すように内刃24は、円盤状の3個のホルダー枠35と、ホルダー枠35の周囲に固定される3個の刃本体36とで円筒状に形成してあり、その中心に内刃軸37が固定してある。スリット刃構造の刃本体36は電鋳法で形成する。図3に示すように、内刃軸37の両端は、傾動フレーム25の左右の側壁28で回転自在に軸支してある。外刃23の前後面の下端は、傾動フレーム25の前後壁29で支持されて、図示省略した緊張構造で引っ張り付勢してあり(図1参照)、これによりアーチ形状に保形された外刃23を、内刃24に対して常に密着状態に保持できる。第1切断刃ユニット11は、第2切断刃ユニット12で切断されたのちの短毛をさらに切断して仕上げ剃りを行なう。
【0036】
第2切断刃ユニット(切断刃ユニット)12は、網刃からなる外刃39と、スリット刃状の内刃40と、その中央に配置される内刃軸41などで構成してあり、全体が、かみそりヘッド2の後部に第1切断刃ユニット11と平行になる状態で配置してある。内刃40は、第1切断刃ユニット11の内刃24と同様に構成するが、その内刃軸41の両端が、切刃台10の台本体10aと側枠10bとで回転自在に軸支してある点が、第1切断刃ユニット11の内刃24と異なる。第1・第2の両切断刃ユニット11・12は、主として短毛を切断するための切断刃ユニットとして構成してある。
【0037】
つまり、第2切断刃ユニット12は、かみそりヘッド2とともに上下フロートできるが、単独で傾動し、あるいは単独で上下フロートすることはできない。また、第2切断刃ユニット12の内刃40の直径寸法は、第1切断刃ユニット11の内刃24の直径より大きく設定してある。外刃39の前後面の下端は、切刃台10の台本体10aに設けた中央壁43と後壁44で支持されて、図示省略した緊張構造で引っ張り付勢してあり、これによりアーチ形状に保形された外刃39を内刃40に対して常に密着状態に保持できる。第2切断刃ユニット12は、主に短毛を粗剃りする。
【0038】
上記のように、第1切断刃ユニット11の内刃24の直径を、第2切断刃ユニット12の内刃40の直径より小さくすると、表面積が大きな第2切断刃ユニット12に大量のひげを導入して、ひげ剃りを短時間で効果的に行なえる。第1切断刃ユニット11は第2切断刃ユニット12に比べて内刃24の直径が小さいので、その分だけ肌面に圧力が掛かりやすい。そのため、他の切断刃ユニット12・13に比べて肌反力が強く作用し、皮膚が外刃23の内部に垂れ込みやすく、皮膚への刺激が大きくなる傾向がある。ひりひり感を生じやすいのである。このような、肌面への刺激を緩和するために、第1切断刃ユニット11を傾動可能に支持して、肌面に過剰な圧力が作用するのを解消している。
【0039】
図1に示すように、待機位置における第1切断刃ユニット11の頂部は、第2切断刃ユニット12の頂部より寸法Hの分だけ上方に突出させてある。しかも、第1切断刃ユニット11の内刃24を太陽ギヤ軸65の斜め前方の上方に位置させるので、第1切断刃ユニット11に対して重力による傾動モーメントを常に作用させることができる。したがって、ひげ切断時には第1切断刃ユニット11を他の切断刃ユニット12・13に先行して肌面に接触させ、傾動モーメントの分だけ軽快に傾動させることができる。
【0040】
因みに、第1切断刃ユニット11が待機位置から傾動する場合には、傾動角度が増加するのに伴なってモーメントアームが大きくなるため、その分だけ傾動モーメントが増加する。したがって、第1切断刃ユニット11が傾動するときの復帰ばね26のばね力の増加を、傾動モーメントの増加で減殺できることとなり、第1切断刃ユニット11が傾動する過程における肌反力を小さくして、切断刃ユニット11をさらに小さな肌反力で傾動変位できる。また、図7に示すように、第2切断刃ユニット12が肌面を押圧したのちには、第1切断刃ユニット11が傾動することで、両切断刃ユニット11・12の間隔を拡げて肌面を引っ張ることができる。したがって、肌面に倒れこんでいるくせ毛や長毛を起毛でき、起毛したひげを第3切断刃ユニット13で効果的に切断できる。
【0041】
第3切断刃ユニット13(切断刃ユニット)は、第1・第2の両切断刃ユニット11・12の間に、両切断刃ユニット11・12と平行に配置してある。第3切断刃ユニット13の頂部は、第2切断刃ユニット12の頂部より下方に位置させてある。第3切断刃ユニット13は、外刃46と、スリット刃状の内刃47と、その中央に配置される内刃軸48などで構成してあり、スリット刃構造の外刃46を使用する点が、先の切断刃ユニット11・12と異なる。第3切断刃ユニット13は、主に長毛やくせ毛を切断するための切断刃ユニットとして構成してある。
【0042】
内刃47の直径は、先の第1切断刃ユニット11の内刃24の直径よりさらに小さく設定してある。内刃40は、第1切断刃ユニット11の内刃24と同様に構成するが、その内刃軸41が、切刃台10の台本体10aと側枠10bとで回転自在に軸支してある点が、第1切断刃ユニット11の内刃24と異なる。外刃46の前後面の下端は、台本体10aに設けた補助壁49と、先に説明した中央壁43とで支持されて、図示省略した緊張構造で引っ張り付勢してあり、これによりアーチ形状に保形された外刃46を内刃47に対して常に密着状態に保持できる。第3切断刃ユニット13は、主に長毛・くせ毛を切断する。
【0043】
図3および図5において、ギヤ伝動構造はヘッドベース8の上面から、切刃台10の側枠の外面に沿って配置されるギヤ群で構成してあり、モーター15の回転動力を、水平の中間軸50回りの回転に変換して各内刃24・40・47に伝動する。詳しくは、モーター15の回転動力を第1ギヤ51と、第2ギヤ52と、それぞれベベルギヤで構成した第3ギヤ53および第4ギヤ54を介して中間軸50に伝動する。また、中間軸50の側端に固定した第5ギヤ55の回転動力を、第6ギヤ56と、第7ギヤ57を経由して、ギヤ群の終段に設けた太陽ギヤ60に伝動する。さらに、太陽ギヤ60の回転動力を、各内刃軸37・41・48に固定した内刃ギヤ61・62・63に伝動して、各内刃24・40・47を同時に回転駆動する。
【0044】
第6ギヤ56と太陽ギヤ60は、それぞれ大ギヤ56a・60aと、小ギヤ56b・60bとを一体に備えており、第6ギヤ56の大ギヤ56aが第5ギヤ55と噛み合い、小ギヤ56bが第7ギヤ57と噛み合っている。太陽ギヤ60の大ギヤ60aは、第7ギヤ57、第1切断刃ユニット11の内刃ギヤ61、および第2切断刃ユニット12の内刃ギヤ62とに同時に噛み合っており、太陽ギヤ60の小ギヤ60bは、第3切断刃ユニット13の内刃ギヤ63に噛み合っている。
【0045】
太陽ギヤ60と、内刃ギヤ61・62・63の回転方向は図5に矢印で示す通りであり、太陽ギヤ60の回転モーメントと、復帰ばね26の付勢方向とが一致させてある。これにより、太陽ギヤ60の回転モーメントで、復帰ばね26による第1切断刃ユニット11の復帰動作を補助することができ、その分だけ復帰ばね26のばね圧を小さくして、第1切断刃ユニット11をより小さな力で軽快に傾動させることができる。第5ギヤ55から、各内刃ギヤ61〜63に至るギヤ群の外面は、カバー68で覆われている。同様に台本体10aの左側面もカバー68で塞いである。
【0046】
太陽ギヤ60と各内刃ギヤ61・62・63とのギヤ比を調整することにより、各内刃24・40・47の周速度、および駆動回転数を次のように設定している。第1切断刃ユニット11の内刃24の周速度を0.92m/sとし、内刃24の駆動回転数を2700rpmとするとき、第2切断刃ユニット12の内刃40の周速度を1.2m/sとし、内刃40の駆動回転数を2300rpmとしている。また、第3切断刃ユニット13の内刃47の周速度は0.63m/sとし、内刃47の駆動回転数を2400rpmとしている。
【0047】
上記のように、内刃24の周速度を、内刃40の周速度より小さくすると、直径が小さな内刃24の小刃が肌面に当接する回数、およびこする量を減少して肌面への負担を緩和できる。また、直径が大きな内刃40においては、肌面に対する接触面積が大きいので、より大量のひげを同時に切断できる反面、より大きな駆動トルクが必要となる。この駆動トルクを確保するために、直径が大きな内刃40の駆動回転数を、直径が小さな内刃24の駆動回転数より小さく設定している。
【0048】
以上のように構成した電気かみそりにおいては、第1切断刃ユニット11の内刃24の直径が、第2切断刃ユニット12の内刃40の直径より小さい分だけ、第1切断刃ユニット11の全体重量を第2切断刃ユニット12の全体重量より小さくできる。したがって、より小さなばね圧の復帰ばね26で、第1切断刃ユニット11を待機位置に保持できる。また、第1切断刃ユニット11を太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに傾動させ、第1切断刃ユニット11の内刃24を、太陽ギヤ60の上半部の前方に位置させるので、第1切断刃ユニット11に対して、重力による傾動モーメントを常に作用させることができる。したがって、使用時には、第1切断刃ユニット11をより小さな肌反力で軽快に傾動させることができる。また、肌に対する押圧力を小さくできる分だけ、肌面に対する刺激を軽減できる。
【0049】
上記のように構成した電気かみそりは、以下の形態で実施することができる。
【0050】
かみそりヘッド2に設けた切断刃ユニット11が、外刃23と、ロータリー式の内刃24と、これら両者23・24を支持する傾動フレーム25を備えている。モーター15と内刃24との間に、モーター15の回転動力を内刃に伝動するギヤ伝動構造を設ける。内刃24は、ギヤ伝動構造の終段に設けた太陽ギヤ60の上半部の前後いずれか一側に配置して、太陽ギヤ60で回転駆動する。傾動フレーム25は、上方の待機位置と、待機位置より下方の傾動位置との間で傾動できるよう太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに軸支する。切断刃ユニット11は、復帰ばね26で待機位置へ向かって移動付勢する。
【0051】
かみそりヘッド2の少なくとも前後に、第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1切断刃ユニット11は、外刃23と、ロータリー式の内刃24と、これら両者23・24を支持する傾動フレーム25を含んで構成する。傾動フレーム25は、太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに軸支する。第1切断刃ユニット11の傾動動作で、両切断刃ユニット11・12の間の肌面を引っ張って起毛する。
【0052】
太陽ギヤ60の回転モーメントと、復帰ばね26の付勢方向とを一致させて、太陽ギヤ60の回転モーメントで、復帰ばね26による第1切断刃ユニット11の復帰動作を補助する。
【0053】
かみそりヘッド2の少なくとも前後に第1・第2の切断刃ユニット11・12を設ける。第1・第2の切断刃ユニット11・12の内刃24・40の直径を大小に異ならせる。
【0054】
第1切断刃ユニット11の内刃24の周速度をV1とし、第2切断刃ユニット12の内刃40の周速度をV2とするとき、(V1≦V2)とする。さらに、第1切断刃ユニット11の刃24の駆動回転数をN1とし、第2切断刃ユニット12の刃40の駆動回転数をN2とするとき、(N1>N2)とする。
【0055】
図8および図9は、本発明に係る切断刃ユニットの別の実施例を示す。そこでは、第2切断刃ユニット12を、第1切断刃ユニット11と同様に傾動フレーム70で支持して、太陽ギヤ軸65および傾動軸66の回りに傾動できるようにし、復帰ばね71で待機位置へ向かって復帰付勢した。太陽ギヤ60の前後に第1・第2の両切断刃ユニット11・12を配置し、太陽ギヤ軸65および傾動軸66を、両ユニット11・12の共通の傾動中心軸とするので、第2切断刃ユニット12は第1切断刃ユニット11とは逆に時計回転方に傾動する。なお、第1切断刃ユニット11の復帰ばね26のばね力は、第2切断刃ユニット12の復帰ばね71のばね力より小さく設定してあり、したがって、ひげ切断時の第1切断刃ユニット11の肌当りを優しくすることができる。
【0056】
傾動フレーム70は、左右一対の側壁74と、これら両者を繋ぐ一対の前後壁75と、底壁76を一体に備えており、両側壁74には太陽ギヤ軸65で軸支される軸受部77が前向きに張り出してある。傾動フレーム70の側壁74の外面には、揺動ピン78が突設してあり、このピン78と側壁74で軸支した内刃軸41とが、切刃台10の左右側壁に設けたガイド溝79で案内してある。傾動フレーム70の傾動限界は、揺動ピン78および内刃軸41とガイド溝79とで規定している。第1切断刃ユニット11の内刃24と、第2切断刃ユニット12の内刃40の駆動構造は、基本的に先の実施例と同じであるが、図9に示すように太陽ギヤ60の回転動力を、傾動フレーム25の側壁28に設けた終ギヤ80・80を介して内刃ギヤ61・62に伝動する点が異なる。このように、太陽ギヤ60の回転動力は、1以上の終ギヤ80・80を介して内刃ギヤ61・62に伝動することができる。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0057】
図10は、本発明に係る切断刃ユニットのさらに別の実施例を示す。そこでは、かみそりヘッド2の前後に、第1切断刃ユニット11と、往復動式の第2切断刃ユニット12を設ける点が先の実施例と異なる。第2切断刃ユニット12は、スリット刃からなる外刃81と一群の小刃を備えた内刃82とで構成する。内刃82を駆動するために、第2ギヤ52と噛み合う分岐ギヤ83に偏心ピン84を設け、偏心ピン84で駆動軸85を左右に往復駆動し、変換された往復動力を内刃82に伝動するようにした。分岐ギヤ83と、偏心ピン84と、駆動軸85が動作変換構造を構成している。
【0058】
図11は、本発明に係る切断刃ユニットのさらに別の実施例を示す。そこでは、かみそりヘッド2の前後に、第1切断刃ユニット11と第2切断刃ユニット12を配置し、両ユニット11・12の間に往復動式の第3切断刃ユニット13を配置した。第3切断刃ユニット13は、スリット刃からなる外刃91と一群の小刃を備えた内刃92とで構成し、図9で説明したのと同様の動作変換構造で回転動力を往復動力に変換して、駆動軸93で内刃92を往復駆動した。第2切断刃ユニット12の内刃ギヤ62は、第7ギヤ57に噛み合う第8ギヤ58で駆動するようにした。
【0059】
伝動構造はギヤ伝動構造である必要はなく、モーター15の回転動力を巻掛伝動構造(伝動構造)で太陽ギヤ60へ伝動することができる。例えば図12に示すように、モーター15の出力軸88と、太陽ギヤ軸65のそれぞれにタイミングプーリー89・90を固定し、両者にタイミングベルト94を巻き掛けて、モーター動力を太陽ギヤ軸65に直接伝動することができる。
【0060】
図1から図7の実施例では、傾動フレーム25を太陽ギヤ軸65と傾動軸66とで軸支したが、その必要はなく、太陽ギヤ60の中心軸線上に設けた、1または2の支軸で傾動フレーム25を支持することができる。その場合の支軸は、太陽ギヤ軸65と一体であってもよいし、別体であってもよい。また、傾動フレーム25の左右の軸受部31に、先の支軸に相当する軸を一体に設けておき、これらの軸を側枠10a・10bに形成した軸受穴で支持することができる。要は、傾動フレーム25が太陽ギヤ60の軸心と一致する軸心の回りに軸支してあればよく、軸支構造の如何を問わない。
【0061】
内刃24・40・47は、円筒状のスリット刃で形成する必要はなく、プラスチック成形された丸軸状のホルダーの周面に、複数個の小刃を螺旋状に固定したスパイラル刃で構成することができる。かみそりヘッド2は本体部1で上下フロート可能に支持してある必要はなく、かみそりヘッド2が本体部1で固定支持してある電気かみそりであってもよい。また、かみそりヘッド2は、本体部1で傾動可能に支持してある電気かみそりであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 本体部
2 かみそりヘッド
8 ヘッドベース
9 ギヤカバー
10 切刃台
11 第1切断刃ユニット
12 第2切断刃ユニット
13 第3切断刃ユニット
15 モーター
23・39 外刃
24・40 内刃
25 傾動フレーム
26 復帰ばね
60 太陽ギヤ
61・62 内刃ギヤ
65 太陽ギヤ軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かみそりヘッド(2)に設けた切断刃ユニット(11)が、外刃(23)と、ロータリー式の内刃(24)と、これら両者(23・24)を支持する傾動フレーム(25)を備えており、
モーター(15)と内刃(24)との間に、モーター(15)の回転動力を内刃に伝動する伝動構造が設けられており、
内刃(24)は、伝動構造の終段に設けた太陽ギヤ(60)の上半部の前後いずれか一側に配置されて太陽ギヤ(60)で回転駆動されており、
傾動フレーム(25)は、上方の待機位置と、待機位置より下方の傾動位置との間で傾動できるよう太陽ギヤ(60)の軸心と一致する軸心を有しており、
切断刃ユニット(11)が、復帰ばね(26)で待機位置へ向かって移動付勢してある電気かみそり。
【請求項2】
かみそりヘッド(2)の少なくとも前後に、第1・第2の切断刃ユニット(11・12)が設けられており、
第1切断刃ユニット(11)は、外刃(23)と、ロータリー式の内刃(24)と、これら両者(23・24)を支持する傾動フレーム(25)を含んで構成されており、
第1・第2の切断刃ユニット(11・12)の内刃(24・40)は、太陽ギヤ(60)の上半部の前後に配置されて太陽ギヤ(60)で回転駆動されており、
第1切断刃ユニット(11)の傾動動作で、両切断刃ユニット(11・12)の間隔を拡げて肌面を引っ張ることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
太陽ギヤ(60)の回転モーメントと、復帰ばね(26)の付勢方向とを一致させて、太陽ギヤ(60)の回転モーメントで、復帰ばね(26)による第1切断刃ユニット(11)の復帰動作を補助している請求項1または2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
かみそりヘッド(2)の少なくとも前後に第1・第2の切断刃ユニット(11・12)が設けられており、
第1・第2の切断刃ユニット(11・12)の内刃(24・40)の直径が、大小に異ならせてある請求項2または3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
直径が小さな内刃(24)の周速度が、直径が大きな内刃(40)の周速度と同じか、これより小さく設定されており、
直径が大きな内刃(40)の駆動回転数が、直径が小さな内刃(24)の駆動回転数より小さく設定してある請求項4に記載の電気かみそり。
【請求項6】
かみそりヘッド(2)の少なくとも前後に第1・第2の切断刃ユニット(11・12)が設けられており、
第1・第2の切断刃ユニット(11・12)の内刃(24・40)の直径は大小に異ならせてあり、
直径の小さな内刃(24)を備えた第1切断刃ユニット(11)が、太陽ギヤ(60)の軸心と一致する軸心の回りに傾動できるように支持してある請求項4または5に記載の電気かみそり。
【請求項7】
第1・第2の切断刃ユニット(11・12)の間に、スリット刃構造の外刃(46)と、ロータリー式の内刃(47)とを備えた第3切断刃ユニット(13)が設けられており、
第3切断刃ユニット(13)の内刃(47)が、太陽ギヤ(60)と同行回転する小ギヤ(60b)、および内刃ギヤ(63)を介して回転駆動してある請求項2から6のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【請求項8】
かみそりヘッド(2)を、グリップを兼ねる本体部(1)で浮動構造を介して上下フロート可能に支持されており、
第1切断刃ユニット(11)がかみそりヘッド(2)に対して傾動変位でき、かみそりヘッド(2)が本体部(1)に対して上下フロートできる請求項2から7のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【請求項9】
浮動構造が、かみそりヘッド(2)を押し上げ付勢するフロートばね(21)を備えており、
第1切断刃ユニット(11)の復帰ばね(26)の付勢力が、浮動構造のフロートばね(21)の付勢力より小さく設定してある請求項8に記載の電気かみそり。
【請求項10】
待機位置における第1切断刃ユニット(11)の頂部が、第2切断刃ユニット(12)の頂部より上方に位置させてあり、
ひげ切断時に、第1切断刃ユニット(11)を他の切断刃ユニット(12・13)に先行して傾動できる請求項2から9のいずれかひとつに記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−234813(P2011−234813A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107043(P2010−107043)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】