説明

電気ケトル

【課題】より正確に所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことができる電気ケトルを提供する。
【解決手段】樹脂製の筒状の胴体と、胴体の下部開口を塞ぐように取り付けられた底体と、胴体内に収容され液体が入れられる内容器と、胴体の上部開口を塞ぐように着脱自在に取り付けられた蓋体とを備える電気ケトルであって、胴体は、内容器内の液体を外部に注ぎ出すための注出口を備え、注出口の先端側の部分を形成する壁の厚みが注出口の先端に向かうに従い小さくなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルに関し、特に、内容器内の水などの液体を外部に注ぎ出すための注出口の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気ケトルの注出口は、樹脂製のケトル胴体の上端部の一部を外方に突出させて形成されている(例えば、特開2009−172172号公報参照)。すなわち、注出口を形成する壁は、樹脂によりケトル胴体と一体成形されている。このため、図22に示すように、注出口101は、ケトル胴体の外観に沿うように略円弧状に形成され、且つ、注出口101を形成する壁102の厚みは均一に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−172172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、注出口101が略円弧状に形成されている場合には、所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことが困難である。すなわち、内容器内の液体を注出口101から注ぎ出すときには、ケトル胴体に取り付けられた把手を持って電気ケトル自体を傾ける必要があるため、使用者の手振れなどにより、図23及び図24に示すように液体W1の液面が波打ち、液体W1の流れ方向が変わり易くなる。
【0005】
前記課題を改善するものとして、図25に示すように、注出口101を形成する壁102の内面に2つのリブ103,103を設けたものが知られている。しかしながら、リブ103を設けたとしても、注出口101が略円弧状であることには変わりがないため、液体W1の流れ方向が変わることを十分に抑えることはできない。また、リブ103を設けた場合には、お手入れがしにくくなるというデメリットもある。
【0006】
従って、本発明の目的は、前記課題を改善することにあって、より正確に所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことができる電気ケトルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、樹脂製の筒状の胴体と、
前記胴体の下部開口を塞ぐように取り付けられた底体と、
前記胴体内に収容され、液体が入れられる内容器と、
前記胴体の上部開口を塞ぐように着脱自在に取り付けられた蓋体と、
を備える電気ケトルであって、
前記胴体は、前記内容器内の前記液体を外部に注ぎ出すための注出口を備え、
前記注出口の先端側の部分を形成する壁の厚みが、前記注出口の先端に向かうに従い小さくなっている、電気ケトルを提供する。
【0008】
本発明の第2態様によれば、前記注出口は、略二等辺三角形の形状に形成され、
前記壁の外縁は、略円弧状に形成されている、
第1態様に記載の電気ケトルを提供する。
【0009】
本発明の第3態様によれば、前記注出口は、二等辺三角形の2つの等辺が互いに近づく方向に湾曲した形状に形成され、
前記壁の外縁は、略円弧状に形成されている、
第1態様に記載の電気ケトルを提供する。
【0010】
本発明の第4態様によれば、前記注出口を形成する壁の下部を覆うように前記胴体に取り付けられるカバー部材を備える、第1〜3態様のいずれか1つに記載の電気ケトルを提供する。
【0011】
本発明の第5態様によれば、前記胴体は、前記カバー部材をスライド移動により取り付けるためのレール部を有する、第4態様に記載の電気ケトルを提供する。
【0012】
本発明の第6態様によれば、前記注出口を形成する壁の先端側には、鍔部が設けられている、第1〜5態様のいずれか1つに記載の電気ケトルを提供する。
【0013】
本発明の第7態様によれば、前記注出口に対して平行である前記鍔部の表面の幅は、前記鍔部の水平方向の突出幅の半分の幅よりも小さい、第6態様に記載の電気ケトルを提供する。
【0014】
本発明の第8態様によれば、前記注出口を形成する壁の先端側には、前記注出口から注ぎ出される前記液体の量を調整するための堰が設けられている、第1〜7態様のいずれか1つに記載の電気ケトルを提供する。
【0015】
本発明の第9態様によれば、前記堰は、前記注出口を形成する壁の内表面の先端側の部分を屈曲させることにより形成されている、第8態様に記載の電気ケトルを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる電気ケトルによれば、注出口の先端側の部分を形成する壁の厚みが、注出口の先端に向かうに従い小さくなるように構成されているので、当該壁の厚みを均一に形成する従来の構成に比べて、内容器内の液体を注出口の先端側に集めることができる。従って、より正確に所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態にかかる電気ケトルの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる電気ケトルの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる電気ケトルを上方から見た平面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる電気ケトルが備える蓋体の底部の構造を示す斜視図である。
【図5】図3のA1−A1線断面図である。
【図6】図1の電気ケトルの注水口近傍の構造を示す平面図である。
【図7】図1の電気ケトルの注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図である。
【図8】図1の電気ケトルの注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図である。
【図9】カバー部材の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図10】カバー部材の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図11】図6の注出口近傍の構造の第1変形例を示す平面図である。
【図12】図6の注出口近傍の構造の第2変形例を示す平面図である。
【図13】図12の注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図である。
【図14】図12の注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図である。
【図15】図9とは異なるカバー部材の取り付け構造を示す分解斜視図である。
【図16】図15に示すカバー部材をケトル胴体に仮固定した状態を示す説明図である。
【図17】図16の一部拡大図である。
【図18A】注出口を形成する壁の先端側に鍔部を設けた本発明の第1変形例にかかる電気ケトルから液体を注ぎ出す様子を模式的に示す断面図である。
【図18B】図18Aに示す電気ケトルにおいて、液体の注ぎ出しを止めた直後の状態を模式的に示す断面図である。
【図18C】図18Bに示す電気ケトルを垂直にした状態を模式的に示す断面図である。
【図19A】図18Aに示す電気ケトルよりも鍔部の水平方向の突出幅を大きくした本発明の第2変形例にかかる電気ケトルから液体を注ぎ出す様子を模式的に示す断面図である。
【図19B】図19Aに示す電気ケトルにおいて、液体の注ぎ出しを止めた直後の状態を模式的に示す断面図である。
【図19C】図19Bに示す電気ケトルを垂直にした状態を模式的に示す断面図である。
【図20A】図19Aに示す電気ケトルの注出口を形成する壁の先端側に堰を設けた本発明の第3変形例にかかる電気ケトルから液体を注ぎ出す様子を模式的に示す断面図である。
【図20B】図20Aに示す電気ケトルを垂直にした状態を模式的に示す断面図である。
【図21】図20Aに示す電気ケトルの注出口近傍の構造を示す平面図である。
【図22】従来の電気ケトルの注出口近傍の構造を示す平面図である。
【図23】従来の電気ケトルの注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図である。
【図24】従来の電気ケトルの注出口から注ぎ出される液体の流れ方向を示す模式説明図でる。
【図25】従来の電気ケトルの注出口近傍の構造の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態にかかる電気ケトルの斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態にかかる電気ケトルは、給電台1と、当該給電台1に載置されるケトル本体2とを備えている。
【0021】
図2に示すように、給電台1は、概ね円盤状の給電台本体11と、給電台本体11の上面中央部から上方に突出する略円柱状の電気接続端子部12と、給電台本体11の内部に引き出し可能に収容された電源コード13とを備えている。給電台本体11から電源コード13を引き出し、電源コード13を商用電源などに接続することで、電気接続端子部12が給電可能な状態となる。
【0022】
ケトル本体2は、樹脂製の筒状のケトル胴体3と、ケトル胴体3の下方開口を塞ぐように取り付けられた樹脂製の底体4と、ケトル胴体3の上方開口を塞ぐように着脱自在に取り付けられた樹脂製の蓋体5とを備えている。
【0023】
ケトル胴体3の内部には、水などの液体が入れられる有底筒状の内容器6が収容されている。ケトル胴体3の上端部の一部は外方に突出するように形成され、当該部分に内容器6内の液体を外部に注ぎ出すための注出口7が設けられている。注出口7の形状等については、後で詳しく説明する。ケトル胴体3の中心軸を挟んで注出口7とは反対側のケトル胴体3の側部には、断面U字状の把手8が取り付けられている。把手8を持って注出口7を下に向けるようにケトル本体2を傾けることにより、注出口7から内容器6内の液体を外部に注ぎ出すことができる。
【0024】
内容器6の底部外面には、シーズヒータなどのヒータ(図示せず)が配設されている。ヒータには、給電台1の電気接続端子部12と電気的に接続可能な電気接続端子部(図示せず)が接続されている。底体4には、給電台1の電気接続端子12が貫通可能な貫通穴が形成されている。電源コード13が商用電源などに接続された状態で給電台1にケトル本体2が載置され、電気接続端子部12が底体4の貫通穴を通じてヒータの電気接続端子部(図示せず)に接続されることで、ヒータへの給電が行われる。これにより、ヒータが内容器6内の液体を加熱可能となる。ヒータの加熱開始及び加熱停止の指示は、図2に示すように把手8に設けられた操作ボタン10を押すことにより切り換えることができる。
【0025】
図3は、ケトル本体2を蓋体5の上方から見た平面図であり、図4は、蓋体5の底部側の構造を示す斜視図である。
【0026】
図3に示すように、蓋体5は、平面視において注出口7と把手8とを結ぶ直線が延在するY方向に対して直交するX方向に移動可能に構成された一対の操作片21a,21bを備えている。操作片21a,21bは、図4に示すように、コイルバネ22により連結され、当該コイルバネ22の弾性力によりX方向において互いに遠ざかるように付勢されている。蓋体5の周壁23側に位置する操作片21a,21bの端部には、図2又は図4に示すように、蓋体5の周壁23に設けられた貫通孔23aを通じて外方へ突出可能な係合片24が設けられている。係合片24は、図2に示すように、ケトル胴体3の内周面の上端部に設けられた係止凹部25と係合可能に構成されている。
【0027】
蓋体5のケトル胴体3への取り付けは、次のようにして行うことができる。まず、コイルバネ22の弾性力に抗して操作片21a,21bを互いに近づけるように押圧し、それぞれの係合片24を貫通孔23aから退避させる。この状態で、蓋体5をケトル胴体3の上端開口に挿入し、貫通孔23aと係止凹部25とが一致するように位置合わせする。その後、操作片21a,21bへの押圧を解除する。これにより、係合片24が、コイルバネ22の弾性力によって貫通孔23aを通じて外方へ突出した初期位置に復帰し、係止凹部25と係合する。以上のようにして、蓋体5をケトル胴体3に取り付けることができる。
【0028】
また、蓋体5には、内容器6内で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気排出口26と、内容器6の内部と蒸気排出口26とを連通する蒸気通路27とが設けられている。蒸気排出口26と蒸気通路27とは、蓋体5がケトル胴体3に取り付けられた際に、把手8側に位置する部分に設けられている。蒸気通路27には、ケトル本体2が転倒したときに内容器6内の液体が蒸気排出口26から排出するのを抑制するため、転倒時流出防止部として従来公知の転倒時止水弁(図示せず)や溜め置き空間(図示せず)が設けられている。
【0029】
図5は、図3のA1−A1線断面図である。図5に示すように、蓋体5には、内容器6の内部と注出口7とを連通する注出路28と、注出路28を開閉可能な弁体29と、注出路28を塞ぐ閉塞位置と注出路28を開放する開放位置とに弁体29を移動させることが可能な開閉レバー30とが設けられている。注出路28と弁体29と開閉レバー30とは、蓋体5がケトル胴体3に取り付けられた際に、注出口7側に位置する部分に設けられている。なお、図5において、弁体29は開放位置に位置している。
【0030】
また、弁体29は、図5に示すように、円盤状の弁本体29aと、弁本体29aの上面から立設された軸体29bとを備えている。軸体29bは、蓋体5の底壁を厚み方向に貫通する筒状部5a内に挿入され、当該筒状部5aにより蓋体5の厚み方向に移動するように案内される。軸体29b又は筒状部5aの周囲には、コイルバネ31が取り付けられている。コイルバネ31は、軸体29bの先端部が開閉レバー30に当接するように軸体29bの一部を付勢している。
【0031】
開閉レバー30は、図3に示すように、蓋体5の天板に設けられた長円形の案内穴5bに沿って、弁体29の移動方向と交差(直交又は略直交)するX方向に移動可能に設けられている。図3において、開閉レバー30が案内穴5bの右端部に位置するとき、弁体29は開放位置に位置している。このとき、内容器6内の液体を注出路28を通じて注出口7から注ぎ出すことが可能である。この状態で、開閉レバー30を案内穴5bの左端部へ移動させると、弁体29は閉塞位置へ移動することになる。
【0032】
次に、注出口7の形状及び注出口7の近傍の構造について説明する。
【0033】
図6は、注出口7の近傍の構造を示す拡大平面図である。図6に示すように、注出口7を形成する壁40は、X方向の厚みD1が注出口7の先端7aに向かうに従い小さくなるように形成されている。具体的には、注出口7は、壁40の内縁40b,40bを2つの等辺とする略二等辺三角形の形状に形成され、注出口7を形成する壁40の外縁40aは、略円弧状に形成されている。
【0034】
注出口7が略二等辺三角形の形状に形成されることにより、次のような効果がある。
図7及び図8は、注出口7から注ぎ出される液体Wの流れ方向を示す模式説明図である。図7及び図8に示すように、注出口7から注ぎ出される液体Wは、使用者の手振れなどにより液面が波打ったとしても、注出口7の先端7aに向かって集束され、一定の方向に流れるようになる。従って、より正確に所望の位置に内容器6内の液体Wを注ぎ出すことが可能になる。
【0035】
また、注出口7を形成する壁40の外縁40aが略円弧状に形成されることにより、次のような効果ある。
すなわち、壁40の外縁40aが略円弧状に形成されることにより、ケトル本体2が転倒したときでも壁40が破壊されにくくすることができる。従って、電気ケトルの安全性を高めることができる。電気ケトルは、家庭用として使用されることが多いため、安全性の確保は特に重要である。なお、「略円弧状」には、完全な円弧状も含まれる。
【0036】
なお、注出口7を形成する壁40の厚みD1を注出口7の先端7aに向かうに従い小さくなるように形成する場合、樹脂によりケトル胴体3と一体成形することは困難である。このため、例えば、図9に示すように、壁40の外縁40aを形成する部分41と、壁40の内縁40bを形成する部分42とを、別々に成形することが求められる。この場合、電気ケトルとしての外観が悪くなりやすい。
【0037】
そこで、本実施形態では、注出口7を形成する壁40の下部を覆うように、ケトル胴体3にカバー部材43を取り付けている。このカバー部材43により、電気ケトルの外観を向上させることができると共に、お手入れをし易くすることができる。
【0038】
また、カバー部材43は、図10に示すように、壁40の下部からケトル胴体3の下端まで延在するレール部3Aをケトル胴体3に設け、該レール部3Aにカバー部材43の裏面に設けた突起片43Aをスライド移動させることにより取り付けるよう構成することが好ましい。カバー部材43をスライド移動させた後、底体4を取り付け、当該底体4でカバー部材43を抜け止めするようにすれば、接着剤又はねじなどを用いることなくカバー部材43を取り付けることができる。また、この場合、カバー部材43はレール部3Aに接触して支持されることになるので、カバー部材43の強度を強くしなくても、カバー部材43の凹みなどの外観不良を抑えることができる。
【0039】
以上、本実施形態にかかる電気ケトルによれば、注出口7を略二等辺三角形の形状に形成しているので、液体Wの液面が波打った場合でも液体Wを注出口7の先端側に集めることができる。従って、より正確に所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことができる。また、お手入れも容易にすることができる。
【0040】
また、本実施形態にかかる電気ケトルによれば、注出口7を形成する壁40の外縁40aを略円弧状に形成しているので、ケトル本体2が転倒したときでも壁40が破壊され難くすることができ、安全性を高めることができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、図6では、注出口7の先端7aの近傍部分を丸めたものを示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、注出口7の先端7aの近傍部分を尖らせてもよい。この場合でも、液体Wを注出口7の先端側に集めることができ、より正確に所望の位置に内容器6内の液体を注ぎ出すことができる。
【0042】
また、注出口7は、図12に示すように、二等辺三角形の2つの等辺(壁40の内縁)40c,40cが互いに近づくように湾曲した形状に形成されてもよい。この場合でも、図13及び図14に示すように、注出口7から注ぎ出される液体Wは、使用者の手振れなどにより液面が波打ったとしても、注出口7の先端7aに向かって集束され、一定の方向に流れるようになる。従って、より正確に所望の位置に内容器6内の液体Wを注ぎ出すことが可能になる。
【0043】
要するに、注出口7を形成する壁40の先端7a側の部分(図12では線L1よりも先端7a側の部分)のX方向の厚みD1が、注出口7の先端7aに向かうに従い小さくなるように形成されていればよい。この場合、注出口を形成する壁の厚みを均一に形成する従来の構成に比べて、液体Wを注出口7の先端7a側に集めることができる。従って、より正確に所望の位置に内容器6内の液体Wを注ぎ出すことができる。
【0044】
また、前記では、注出口7を形成する壁40の下部を覆うのに、図10に示すような4つの突起片43Aを有するカバー部材43を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図15に示すようなカバー部材44を用いてもよい。カバー部材44の上部には、突起片43Aと同様の形状の2つの突起片44Aが設けられ、カバー部材44の下部には、環状突起44Bが幅方向に延在するように設けられている。カバー部材44は、レール部3Aに2つの突起片44Aをスライド移動させ、図16及び図17に示すように環状突起44Bの穴にケトル胴体3に別途設けた挿入片3Bを差し込むことで、ケトル胴体3に仮固定される。その後、ケトル胴体3に底体4を取り付けることで、接着剤又はねじなどを用いることなくカバー部材44を抜け止め固定することができる。このような構成によれば、突起片43Aに比べて環状突起44Bの高さ(内容器6側に突出する高さ)を低くすることができ、ケトル胴体3内のスペースを有効に活用することができる。
【0045】
また、本発明の実施形態にかかる電気ケトルには、図15〜図17に示すように、注出口7を形成する壁40の先端側の部分に鍔部45が設けられることが好ましい。鍔部45を設けることにより、液体Wが壁40の外表面及びその下方に配置されるカバー部材43(44)に沿って滴下することを抑えることができる。すなわち、鍔部45を設けることにより、水切れを良くすることができる。
【0046】
また、図18A〜図18Cに示すように、注出口7に対して平行である鍔部45の表面の幅A1が鍔部45の水平方向の突出幅B1よりも大きい場合には、液体Wが壁40の外表面及びカバー部材43(44)に沿って滴下することを十分に抑えられないおそれがある。このため、図19A〜図19Cに示すように、幅A1は、突出幅B1の半分の幅よりも小さいことが好ましい。これにより、液体Wが壁40の外表面及びカバー部材43(44)に沿って滴下することをより一層抑えることができる。なお、突出幅B1は、1mm以上であればよい。なお、鍔部45を樹脂成形する場合、突出幅B1を1mm未満にすることは困難である。
【0047】
また、本発明の実施形態にかかる電気ケトルには、図20A、図20B、及び図21に示すように、注出口7を形成する壁40の内表面の先端7a側に、注出口7から注ぎ出される液体Wの量を調整するための堰46が設けられることが好ましい。堰46は、注出口7を形成する壁40(より詳しくは壁40の内縁40bを形成する部分42)の内表面の先端7a側の部分を屈曲させることにより形成することができる。これにより、注出口7を形成する壁40の内表面は、図21では点線で示す変曲線(屈曲部)を有することになる。このような堰46は、例えば、図18Cに示すような一様な勾配を有する壁40の内表面を形成した後、当該内表面の先端側の部分を削り取ることで形成することができる。鍔部45を設けるとともに、堰46によって注出口7から注ぎ出される液体Wの量を調整することにより、液体Wが壁40の外表面及びカバー部材43(44)に沿って滴下することをほぼ確実に抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明にかかる電気ケトルは、より正確に所望の位置に内容器内の液体を注ぎ出すことができるので、全ての電気ケトルに有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 給電台
2 ケトル本体
3 ケトル胴体(胴体)
3A レール部
4 底体
5 蓋体
5a 筒状部
5b 案内穴
6 内容器
7 注出口
7a 先端
8 把手
10 操作ボタン
11 給電体本体
12 電気接続端子部
21a,21b 操作片
22 コイルバネ
23 周壁
23a 貫通孔
24 係合片
25 係止凹部
26 蒸気排出口
27 蒸気通路
28 注出路
29 弁体
29a 弁本体
29b 軸体
30 開閉レバー
31 コイルバネ
40 壁(注出口を形成する壁)
40a 外縁
40b,40c 内縁
43,44 カバー部材
45 鍔部
46 堰

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の筒状の胴体と、
前記胴体の下部開口を塞ぐように取り付けられた底体と、
前記胴体内に収容され、液体が入れられる内容器と、
前記胴体の上部開口を塞ぐように着脱自在に取り付けられた蓋体と、
を備える電気ケトルであって、
前記胴体は、前記内容器内の前記液体を外部に注ぎ出すための注出口を備え、
前記注出口の先端側の部分を形成する壁の厚みが、前記注出口の先端に向かうに従い小さくなっている、電気ケトル。
【請求項2】
前記注出口は、略二等辺三角形の形状に形成されている、
前記壁の外縁は、略円弧状に形成されている、
請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記注出口は、二等辺三角形の2つの等辺が互いに近づく方向に湾曲した形状に形成され、
前記壁の外縁は、略円弧状に形成されている、
請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項4】
前記注出口を形成する壁の下部を覆うように前記胴体に取り付けられるカバー部材を備える、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気ケトル。
【請求項5】
前記胴体は、前記カバー部材をスライド移動により取り付けるためのレール部を有する、請求項4に記載の電気ケトル。
【請求項6】
前記注出口を形成する壁の先端側には、鍔部が設けられている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の電気ケトル。
【請求項7】
前記注出口に対して平行である前記鍔部の表面の幅は、前記鍔部の水平方向の突出幅の半分の幅よりも小さい、請求項6に記載の電気ケトル。
【請求項8】
前記注出口を形成する壁の先端側には、前記注出口から注ぎ出される前記液体の量を調整するための堰が設けられている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の電気ケトル。
【請求項9】
前記堰は、前記注出口を形成する壁の内表面の先端側の部分を屈曲させることにより形成されている、請求項8に記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−5813(P2012−5813A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206204(P2010−206204)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】