説明

電気コネクタ組立体

【課題】EMIを効果的に制御すると共に比較的低コストで製造できる電気コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】電気コネクタ組立体はケージ(36)を具備し、ケージは、内部室(42)に開放する前端(38)を有する。内部室は、ケージの前端を通って内部にプラグ脱着可能なモジュール(12)を受容するよう構成される。EMIガスケット(46)は、ケージに係合しケージに電気接続されるように、ケージの前端に実装される。EMIガスケットは、モジュールが内部室内に受容される際に、モジュールと係合すると共にモジュールに電気接続するよう構成された導電性ばね(112)を具備する。ブラケット(48)は、ブラケットがEMIガスケットの周囲を少なくとも部分的に延びるように、ケージの前端に実装される。ブラケットは、ケージの前端にEMIガスケットを保持するためにEMIガスケットと係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁干渉(EMI)ガスケットを有する電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスト機器及び外部デバイス間の通信を可能にする様々なタイプの光ファイバ及び銅線ベースのトランシーバ組立体が公知である。これらのトランシーバ組立体は、リセプタクル組立体内に受容されるプラグ脱着可能なモジュールを有するのが代表的である。リセプタクル組立体は、プラグ脱着可能なモジュールに接続するリセプタクルコネクタを有する。プラグ脱着可能なモジュールは寸法及び互換性のための種々の規格に従って構成され、そのうち一つの規格はクワッド・スモール・フォームファクタ・プラガブル(QSFP)モジュール規格である。従来のQSFPモジュール及びリセプタクル組立体は、毎秒10ギガビット(Gbps)までの速度でデータ信号を問題なく伝送する。別のプラグ脱着可能なモジュール規格、XFP規格は、10Gbpsまでの速度でデータ信号を伝送するトランシーバモジュールを提唱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6816376号明細書
【特許文献2】米国特許第7001217号明細書
【特許文献3】米国特許第7438596号明細書
【特許文献4】米国特許第7539018号明細書
【特許文献5】米国特許第7625223号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リセプタクル組立体は、内部にプラグ脱着可能なモジュールを受容するポートを有する金属ケージを有するのが代表的である。リセプタクルコネクタは、プラグ脱着可能なモジュールがケージに挿入されると、プラグ脱着可能なモジュールと接続するためにケージ内に保持される。ポートを有するケージの一端は、ケージの内面の周辺に延びる複数のばねを有するのが代表的である。ばねは、モジュールがケージ内に取り付けられる際にプラグ脱着可能なモジュールと係合し、プラグ脱着可能なモジュールをケージに接地する複数の接点を提供することにより、EMI放出の阻止を容易にする。ばねは、ケージと異なる材料から製造されることがあり、その後、ケーブルに機械的に取り付けられる。ケージにばねを取り付ける公知の方法は、ばねをケージに半田付け又は溶接することが含まれる。しかし、ばねをケージに半田付け又は溶接することにより、製造コストが増加し、品質管理の問題が生ずるおそれがある。
【0005】
従って、EMIを効果的に制御すると共に比較的低コストで製造できる電気コネクタ組立体に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、請求項1に係る電気コネクタ組立体により解決される。
【0007】
本発明によれば、電気コネクタ組立体はケージを具備し、ケージは、その内部室に開放する前端を有する。内部室は、ケージの前端を通って内部にプラグ脱着可能なモジュールを受容するよう構成される。EMIガスケットは、ケージに係合しケージに電気接続されるように、ケージの前端に実装される。EMIガスケットは、プラグ脱着可能なモジュールが内部室内に受容される際に、プラグ脱着可能なモジュールと係合すると共にプラグ脱着可能なモジュールに電気接続するよう構成された導電性ばねを具備する。ブラケットは、ブラケットがEMIガスケットの周囲を少なくとも部分的に延びるように、ケージの前端に実装される。ブラケットは、ケージの前端にEMIガスケットを保持するために、EMIガスケットと係合する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】トランシーバ組立体の典型的な一実施形態の分解斜視図である。
【図2】リセプタクル組立体の典型的な一実施形態と嵌合するプラグ脱着可能なモジュールの典型的な一実施形態を示す、図1に示されたトランシーバ組立体の断面図である。
【図3】図1及び図2に示されたトランシーバ組立体のケージの典型的な一実施形態の一部を示す斜視図である。
【図4】図1及び図2に示されたトランシーバ組立体のEMIガスケットの典型的な一実施形態の一部を示す斜視図である。
【図5】図3のケージに実装された図4のEMIガスケットを示す斜視図である。
【図6】図3ないし図5に示されたケージに実装されたブラケットの典型的な一実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6とは異なる角度から見た、ケージに実装されたブラケットを示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明を例示により説明する。
【0010】
図1は、トランシーバ組立体10の典型的な一実施形態の一部の斜視図である。この典型的な実施形態において、トランシーバ組立体10は、とりわけ、SFP+規格で要求される少なくとも10Gbpsのデータ伝送速度等の高速でデータ信号を伝送することに対処するよう構成される。例えば、いくつかの実施形態では、トランシーバ組立体10は、少なくとも28Gbpsのデータ伝送速度でデータ信号を伝送するよう構成される。また、例えば、いくつかの実施形態では、トランシーバ組立体10は、約20〜30Gbpsのデータ伝送速度でデータ信号を伝送するよう構成される。しかし、本明細書で説明され図示された本発明の便益及び利点は、他のデータ伝送速度にも多様なシステム及び規格にわたって等しく生ずる。換言すると、本明細書で説明され図示された本発明は、10Gbps以上のデータ伝送速度、規格、本明細書に図示され説明された典型的なタイプのトランシーバ組立体に限定されない。
【0011】
トランシーバ組立体10は、ホスト回路基板16に実装されたリセプタクル組立体14内にプラグ脱着可能な挿入をするよう構成されたプラグ脱着可能なモジュール12を具備する。ホスト回路基板16は、例えばルータ、サーバ、コンピュータ等(但し、これらに限定されない)のホストシステム(図示せず)に実装される。ホストシステムは、パネル18を有する導電性筐体17を具備するのが代表的である。パネル18は、リセプタクル組立体14とほぼ整合しパネル18を貫通する開口20を有する。任意であるが、リセプタクル組立体14はパネル18に電気接続される。
【0012】
プラグ脱着可能なモジュール12は、リセプタクル組立体14内に挿入されるよう構成される。具体的には、プラグ脱着可能なモジュール12は、プラグ脱着可能なモジュール12の前端22がリセプタクル組立体14から外方へ延びるように、パネル開口20を通ってリセプタクル組立体14内に挿入される。プラグ脱着可能なモジュール12はハウジング24を具備する。ハウジング24は、その内部に配置された回路基板26用の保護シェルを形成する。回路基板26は、公知の方法でトランシーバの機能を果たす回路、トレース、経路、デバイス等を有する。回路基板26の縁28は、ハウジング24の後端30で露出する。典型的な一実施形態において、ストラドルマウントコネクタ32(図2参照)が、回路基板26に実装されると共に、リセプタクル組立体14のリセプタクルコネクタ34にプラグ接続するためにハウジング24の後端30を通って露出する。コネクタ32は図1には図示されていない。コネクタ32の代替として、プラグ脱着可能なモジュール12の回路基板26は、リセプタクルコネクタ34に直接嵌合してもよい。換言すると、いくつかの代替実施形態において、プラグ脱着可能なモジュール12の回路基板26の縁28は、リセプタクルコネクタ34のリセプタクル54内に受容され、プラグ脱着可能なモジュール12をリセプタクルコネクタ34に電気接続する。
【0013】
一般に、プラグ脱着可能なモジュール12及びリセプタクル組立体14は、ホストシステムと電気信号や光信号と間のインタフェースを要求する用途で使用できる。プラグ脱着可能なモジュール12は、リセプタクル組立体14のリセプタクルコネクタ34を介し、リセプタクル組立体14を通ってホストシステムに接続される。リセプタクルコネクタ34は、(「リセプタクル案内フレーム」又は「案内フレーム」とも称されることがある)導電性ケージ36内に配置される。図1に示されるように、ケージ36は前端38を有し、前端38は、ケージ36の内部室42に開放する前開口すなわちポート40を有する。リセプタクルコネクタ34は、ケージ36の後部44の内部室42内に位置する。ケージ36は、リセプタクルコネクタ34が内部室42内からホスト回路基板16(図1及び図2参照)に電気接続できるようにするために、ケージ36の下壁78を貫通する開口88を有する。ケージ36の内部室42は、プラグ脱着可能なモジュール12を内部に受容しリセプタクルコネクタ34と電気接続するよう構成される。ケージ36は、プラグ脱着可能なモジュール12がケージ36の内部室42内に過剰に挿入されないように、ケージ36の長さに沿ってプラグ脱着可能なモジュール12の行程量(挿入量)の制限を容易にする1個以上の過挿入停止部(over-travel stops)102を任意で有する。
【0014】
ケージ36の前端38は、パネル18の開口20内に実装され、すなわち受容されるよう構成される。ケージ36の前端38には、EMIガスケット46が実装される。EMIガスケット46は、電磁干渉(EMI)放出の低減や阻止を容易にする。以下に詳細に説明するように、ブラケット48は、ケージ36の前端38にEMIガスケット46を保持するために、EMIガスケット46と任意に係合する。ケージ36及びEMIガスケット46の組合せは、本明細書では「電気コネクタ組立体」と称されることがある。ケージ36、EMIガスケット46及びブラケット48の組合せは、本明細書では「電気コネクタ組立体」と称されることがある。
【0015】
プラグ脱着可能なモジュール12は、その前端22のコネクタインタフェース50を通って1本以上の光ケーブル(図示せず)や1本以上の電気ケーブル(図示せず)に接続する。任意であるが、コネクタインタフェース50は、ファイバ組立体又はケーブル組立体(図示せず)と協働してファイバ組立体又はケーブル組立体をプラグ脱着可能なモジュール12に固定する機構を具備する。適当なコネクタインタフェース50は公知であり、LC型ファイバコネクタ用及び本出願人が提供するMTP/MPO型ファイバコネクタ用のアダプタが含まれる。
【0016】
図2は、リセプタクル組立体14と嵌合するプラグ脱着可能なモジュール12を示す、トランシーバ組立体10の断面図である。リセプタクルコネクタ34はホスト回路基板16上に実装される。リセプタクルコネクタ34は、リセプタクル54を有する誘電性コネクタ本体52を有する。任意であるが、ストラドルマウントコネクタ32は回路基板26の縁28に実装され、回路基板26に電気接続される。
【0017】
リセプタクルコネクタ34のリセプタクル54は、その内部にストラドルマウントコネクタ32のプラグ56を受容する。リセプタクルコネクタ34は、電気コンタクト58及び電気コンタクト60を具備する。電気コンタクト58は、リセプタクル54内に延びると共にストラドルマウントコネクタ32のプラグ56の一面62上の対応する電気コンタクト(図示せず)と係合する。電気コンタクト60もリセプタクル54内に延びるが、電気コンタクト60は、一面62とは反対側のプラグ56の面64上の対応する電気コンタクト(図示せず)と係合する。ストラドルマウントコネクタ32の電気コンタクトは、回路基板26の互いに逆の面66,68上の対応する導電コンタクトパッド66,68(図示せず)にそれぞれ電気接続され、回路基板26及びホスト回路基板16を電気接続する。
【0018】
図1及び図2を参照すると、リセプタクル組立体14は、ブラケット48及び圧縮ガスケット70をさらに具備する。ブラケット48は図2に最もよく見える。圧縮ガスケット70は、ケージ36の前端38の周囲に延び、EMI放出の低減や阻止を容易にする。ケージ36の前端38がパネル開口20内に実装されると、圧縮ガスケット70はブラケット48及びパネル18間に挟まれる。圧縮ガスケット70は、ブラケット48及びパネル18間で少なくとも部分的に圧縮されるよう構成される。より具体的には、プラスチック48及びパネル18の側面72,74は、圧縮ガスケット70がそれら側面間で少なくとも部分的に圧縮されるように、圧縮ガスケット70とそれぞれ係合する。
【0019】
図3は、ケージ36の一部を示す斜視図である。図3は、ケージ36の前端38を示す。ケージ36は、前端38から後端44(図1参照)まで所定長さで延びる。ケージ36は、上壁76、下壁78及び両側壁80,82を有する。これらの壁76,78,80,82は、内面84と、内面84とは逆向きの外面86とを有する。ケージ36の内部室42は壁76,78,80,82間を延びる。より具体的には、壁76,78,80,82の内面84は、内部室42の境界を区画する。
【0020】
ケージ36は、以下に詳細に説明するように、ケージ36の前端38にブラケット48(図1、図2、図6及び図7参照)を保持するための1個以上の停止部90,92を有する。各停止部90は、ケージ36の後端44へ向く後面94を有する。各停止部92は、ケージ36の前端38へ向く前面96を有する。より具体的には、後面94は図3の矢印Aの向きを向くのに対し、前面96は図3の矢印Bの向きを向く。
【0021】
任意であるが、ケージ36は、以下に詳細に説明するように、EMIガスケット46と協働する1個以上の方向性タブ98を有する。ケージ36の上壁76上に配置されて図示されているが、各壁78,80,82は、追加で又は代わりに1個以上の方向性タブ98を有してもよい。各壁76,78,80,82は任意の数の方向性タブ98を有してもよい。さらに、ケージ36は、任意の全体数の方向性タブ98を有してもよい。
【0022】
典型的な一実施形態において、ケージ36は、全体で2個の停止部90及び全体で2個の停止部92を有する。しかし、ケージ36は、任意の全体数の停止部90,92を有してもよい。さらに、典型的な一実施形態において、側壁80,82は各々1個の停止部90を有し、各壁76,78,80,82は少なくとも1個の停止部92を有する。しかし、各壁76,78,80,82は、任意の数の停止部90や停止部92を有してもよい。
【0023】
ケージ36は、ケージ36をホスト回路基板16、パネル18や導電性筐体に接地する構造を有する。例えば、ケージ36は、ケージ36をホスト回路基板16に機械的に保持すると共に接地する複数の回路基板タイン部100を有する。追加して又は代わりに、ケージ36は、下壁78から延びてケージ36をホスト回路基板16に接地する1個以上の弾性舌片(図示せず)を有してもよい。
【0024】
ケージ36は、1個のプラグ脱着可能なモジュール12をホスト回路基板16に電気接続するために1個のみの内部室42及び1個のみのポート40を有するように図示されているが、任意の数のプラグ脱着可能なモジュール12をホスト回路基板16に電気接続するために任意のパターン、構成、配置等(任意の数の行及び列等であるが、これに限定されない)で配列された任意の数の内部室42及びポート40を有してもよい。典型的な一実施形態において、ケージ36は、平行六面体の形状を有するように、壁76,78,80,82により区画されるほぼ矩形断面形状を有する。しかし、ケージ36は任意の他の形状を有してもよい。
【0025】
図4は、EMIガスケット46の斜視図である。典型的な一実施形態において、EMIガスケット46は、4個の部分、すなわち部分104a,104b,104c,104dを有する。各部分104a,104b,104c,104dは、ケージ36(図1ないし図3、及び図5ないし図7参照)の前端38(図1ないし図3、及び図5ないし図7参照)に実装されるよう構成される。より具体的には、部分104a,104b,104c,104dは、ケージ36の前端38で壁76,78,80,82(図3及び図5参照)に実装されるよう構成される。ケージ36に実装される際に、EMIガスケット46の部分104a,104b,104c,104dは、ケージ36の平行六面体とほぼ合致するほぼ平行六面体形状を形成する。しかし、EMIガスケット46は、EMIガスケット46の形状がケージ36の形状と合致するかどうかに関わらず、任意の他の形状を有してもよい。また、EMIガスケット46は、ケージ36の形状に任意に依存する4以外の任意の他の数の部分104を有してもよい。
【0026】
典型的な一実施形態において、部分104a,104b,104c,104dは、互いに分離し独立している。本明細書で使用されているように、「分離し独立」の用語は、部分104a,104b,104c,104dがケージ36に実装される前に機械的に共に連結されていないことを意味する。しかし、ケージ36に実装される際に、分離し独立した部分104a,104b,104c,104dは、隣接する部分104に機械的に係合し連結されてもよい。いくつかの代替の実施形態において、2個以上の部分104a,104b,104c,104dは、互いに分離し独立してない。換言すると、いくつかの代替の実施形態において、2個以上の部分104a,104b,104c,104d(例えば、隣接する部分)は、ケージ36に実装される前に機械的に共に連結される。例えば、いくつかの代替の実施形態において、全ての部分104a,104b,104c,104dは、ケージ36に実装される前に連続した構造を形成するように、ケージ36に実装される前に隣接する部分に機械的に連結される。換言すると、いくつかの代替の実施形態において、隣接する部分104から分離し独立するものとしての部分104a,104b,104c,104dが設けられていない。隣接する部分104が互いに分離し独立していない場合、部分104は、一体的に形成されるか、又は個別に形成されてケージ36に実装される前に機械的に共に連結されてもよい。
【0027】
各部分104は、内側部106と、内側部106から延びる外側部108を有する。より具体的には、部分104a,104b,104c,104dは、内側部106a,106b,106c,106d及び外側部108a,108b,108c,108dをそれぞれ有する。以下に説明されるように、EMIガスケット46がケージ36に実装される際に、内側部106は、ケージ36の前端38で内面84(図3及び図5参照)の少なくとも一部上の内部室42(図1ないし図3及び図5参照)内に延びる。外側部108は、EMIガスケット46がケージ36に実装される際に、ケージ36の前端38で外面86の少なくとも一部上を延びる。
【0028】
各内側部106は、基部110と、基部110から外方へ延びる複数の個別の導電性ばね112とを有する。個別のばね112は、対応する基部110と一体に形成されてもよいし、対応する基部110とは別に製造され、その後、溶接、半田付け、接着剤、機械的固定具等(但し、これらに限定されない)の任意の適当な方法、構造、手段を用いて基部110に連結されてもよい。各ばね112は、プラグ脱着可能なモジュール12(図1及び図2参照)のハウジング24(図1参照)と係合してばね112、従って、基部110及びEMIガスケット46全体をプラグ脱着可能なモジュール12に電気接続するよう構成される。各部分104は任意の数のばね112を有してもよい。
【0029】
外側部108は、対応する内側部106から端114まで外方へ所定長さで延びる。EMIガスケット46は、1個以上の外側部108に1個以上のフランジ116を有する。典型的な一実施形態において、各外側部108は、その端114から外方へ延びる複数のフランジ116と有する。部分104cの外側部108c上のフランジ116は図示されていない。以下に詳細に説明されるように、フランジ116は、ケージ36の前端38上にEMIガスケット46を保持するためにブラケット48(図1、図2及び図7参照)と係合する。
【0030】
典型的な一実施形態において、各フランジ116は、対応する外側部108に対してほぼ90°の角度で対応する外側部108から外方へ延びる。しかし、各フランジ116は、対応する外側部から外側部108に対して非平行な任意の他の角度で外方へ延びてもよい。さらに、フランジ116は、対応する外側部108の端114から延びることに限定されない。むしろ、各フランジ116は、対応する外側部108の長さに沿った任意の他の位置を有してもよい。各外側部108は任意の数のフランジ116を有してもよい。例えば、いくつかの代替の実施形態において、1個以上の外側部108はフランジ116を有していない。EMIガスケット46は全体数が任意であるフランジ116を有してもよい。
【0031】
各部分104の内側部106及び外側部108間に、ポケット118が区画される。より具体的には、EMIガスケット46は、部分104aの内側部106a及び外側部108aの間に区画されたポケット118aと、部分104bの内側部106b及び外側部108bの間に区画されたポケット118bとを有する。ポケット118cは、部分104cの内側部106c及び外側部108cの間に区画される。EMIガスケット46はまた、部分104dの内側部106d及び外側部108dの間に区画されたポケット118dを有する。以下に詳細に説明されるように、これらのポケット118は、ケージ36の前端38でケージ36の壁76,78,80,82(図3及び図5参照)を受容するよう構成される。典型的な一実施形態において、各ポケット118はU形状をなす。しかし、各ポケット118は、追加で又は代わりに任意の他の形状を有してもよい。
【0032】
任意であるが、EMIガスケット46は、以下に詳細に説明されるように、ケージ36の方向性タブ98(図3及び図5参照)と協働する1個以上の方向性開口120を有する。各部分104b,104c,104dは、部分104aの外側部108aに位置するものとして図示されているが、追加で又は代わりに内側部106又は外側部108に位置する1個以上の方向性開口120を有する。部分104aの外側部108a内に示される方向性開口120に追加して又は代わりに、部分104aは、内側部106aに方向性開口を有してもよい。各部分104は、任意の数の方向性開口120を有してもよい。さらに、EMIガスケット46は、全体数が任意である方向性開口120を有してもよい。
【0033】
任意であるが、EMIガスケット46全体又はその一部は、ケージ36とは異なる1以上の材料から製造される。例えば、いくつかの実施形態において、ばね112は、ケージ36とは異なる1以上の材料から製造される。
【0034】
図5は、ケージ36の前端38に実装されたEMIガスケット46を示す斜視図である。各部分104の内側部106は、ケージ36の前端38で内面84の少なくとも一部上の内部室42内に延びる。より具体的には、内側部106a,106b,106c,106dは、ケージ36の前端38で壁76,78,80,82の少なくとも一部上の内部室42内に延びる。各部分104の外側部108は、ケージ36の前端38で外面86の少なくとも一部上に延びる。より具体的には、外側部108a,108b,108c,108dは、ケージ36の前端38で壁76,78,80,82の外面86の少なくとも一部上に延びる。外側部108のフランジ116は、ケージ36の前端38にほぼ向かって、より具体的には図5の矢印Bの向きに面する前面130を有する。
【0035】
典型的な一実施形態において、内側部106a,106b,106c,106dの基部110は、EMIガスケット46がケージ36に電気接続されるように、各壁76,78,80,82の内面84と係合する。内側部106a,106b,106c,106dと内面84との係合に加えて又は代わって、外側部108a,108b,108c,108dは、各壁76,78,80,82の外面86と係合し、EMIガスケット46をケージ36に電気接続する。さらに、いくつかの実施形態において、内側部106a,106b,106c,106dのばね112は、例えばプラグ脱着可能なモジュール12(図1及び図2参照)と係合した後、各壁76,78,80,82の内側面84と係合するよう構成される。
【0036】
ばね112は、ばね112がプラグ脱着可能なモジュール12と係合するよう構成されるように、ケージ36の内部室42内に延びる。ばね112は、ばね112がプラグ脱着可能なモジュール12のハウジング24(図1参照)と係合してEMIガスケット46をプラグ脱着可能なモジュール12に電気接続するインタフェース122を有する。図5に見られるように、インタフェース122は、プラグ脱着可能なモジュール12がケージ36の内部室42内に受容される際にインタフェース122がプラグ脱着可能なモジュール12のハウジング24と係合するよう構成されるように、ケージ36の内部室42内に延びる。
【0037】
図5に見られるように、EMIガスケット46がケージ36の前端38に実装される際に、ケージ36の前端38は、EMIガスケット46のポケット118内に受容される。壁76,78,80,82は、EMIガスケット46の各部分104a,104b,104c,104dのポケット118a,118b,118c,118d内にそれぞれ受容される。
【0038】
EMIガスケット46がケージ36に実装される際に、ケージ36の方向性タブ98は、EMIガスケット46の方向性開口120と協働する。具体的には、方向性タブ98は方向性開口120内に受容される。方向性タブ98及び方向性開口120の協働により、EMIガスケット46がケージ36の前端38に対して意図しない方向のケージ36の前端38に実装されることを防止する。換言すると、方向性タブ98及び方向性開口120の協働により、EMIガスケット46がケージ36の前端38に対して意図した方向のケージ36の前端に実装されることを確保することを容易にする。典型的な一実施形態において、方向性タブ98は、スナップ嵌合型の接続で方向性開口120内に受容される。しかし、方向性タブ98及び方向性開口120の間に、他のタイプの接続を追加して又は代わりに設けてもよい。さらに、典型的な実施形態に追加して又は代わりに、ケージ36は、EMIガスケット46の1個以上の方向性タブ(図示せず)と協働する1個以上の方向性開口(図示せず)を有してもよい。
【0039】
図6は、ケージ36に実装されたブラケット48を示す斜視図である。ブラケット48は、ブラケット48がEMIガスケット46の周囲に少なくとも部分的にのビルように、ケージ36の前端38に実装される。ブラケット48は複数の壁124を有する。典型的な一実施形態において、ブラケット48は4個の壁124a,124b,124c,124dを有する。図6に見られるように、ブラケット48の壁124a,124b,124c,124dは、EMIガスケット46の部分壁104a,104b,104c,104d上をそれぞれ延びる。ブラケット48の壁124は前面72を有する。ブラケット48の壁124はまた、反対側の後面126を有する。前面72は、ケージ36の前端38にほぼ向かって、より具体的には図6の矢印Bの向きを向く。後面126は、ケージ36の後端44(図1及び図2参照)にほぼ向かって、より具体的には図6の矢印Aの向きを向く。
【0040】
ケージ36の停止部90は、ブラケット48と係合してケージ36の前端38にブラケット48を保持する。各停止部90の後面94は、ブラケット48の前面72と係合して、矢印Bの向きにケージ36の長さに沿ってブラケット48が移動することを防止する。このため、停止部90は、矢印Bの向きにケージ36の前端38からブラケット48が移動することを防止する。任意であるが、図6に見られるように、停止部90は、EMIガスケット48の対応する切欠128を貫通する。
【0041】
典型的な一実施形態において、ブラケット48の4個の壁124a,124b,124c,124dは、ケージ36及びEMIガスケット46の矩形断面形状とほぼ一致するほぼ矩形形状を形成する。しかし、ブラケット48は、ブラケット48の形状がケージ36やEMIガスケット46の形状と一致するかどうかに関わらず、任意の他の形状をなしてもよい。さらに、ブラケット48は、ケージ36やEMIガスケット46の形状に任意で依存する、4個以外の任意の他の数の壁124を有してもよい。
【0042】
図7は、図6とは異なる角度から見た、ケージ36に実装されたブラケット48を示す別の斜視図である。ブラケット48は、EMIガスケット46と係合して、ケージ36の前端38にEMIガスケット46を保持する。より具体的には、ブラケット48は、EMIガスケット46の外側部108と係合して、ケージ36にEMIガスケット46を保持する。ブラケット48は、フランジ116で外側部108と係合する。ブラケット48の後面126は、フランジ116の前面130と係合し、矢印Bの向きにケージ36の長さに沿ってEMIガスケット46が移動することを防止する。このため、フランジ116及びブラケット48の係合は、矢印Bの向きにケージ36の前端38からEMIガスケット46が移動することを防止する。
【0043】
ケージ36の停止部92は、ブラケット48と係合して、ケージ36の前端38にブラケット48を保持する。より具体的には、各停止部92の前面96は、ブラケット48の後面126と係合し、矢印Aの向きにケージ36の長さに沿ってブラケット48が移動することを防止する。このため、停止部92は、ケージ36の後端44(図1ないし図2参照)の方へ矢印Aの向きにブラケット48が移動することを防止する。図2及び図7の比較から明白であるように、ブラケット48の壁124は、ケージ36の前端38がパネル開口20内に実装される際に、EMIガスケット46のフランジ116及びパネル18間を延びる。
【0044】
本明細書に記載され図示された実施形態は、ケージ上にEMIガスケットを保持すると共にケージ上の所定位置に圧縮ガスケットを保持するブラケットを提供する。本明細書に記載され図示された実施形態は、より信頼性が高く、品質問題がより少なく、製造コストが安価なケージやトランシーバ組立体を提供する。
【符号の説明】
【0045】
12 プラグ脱着可能なモジュール
18 パネル
20 開口
36 ケージ
38 前端
42 内部室
46 EMIガスケット
48 ブラケット
70 圧縮ガスケット
76 壁
78 壁
80 壁
82 壁
84 内面
86 外面
90 停止部
92 停止部
96 前面
106 内側部
108 外側部
112 導電性ばね
116 フランジ
118 ポケット
124 壁
126 後面
130 前面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージ(36)を具備する電気コネクタ組立体であって、前記ケージは、該ケージの内部室(42)に開放する前端(38)を有し、前記内部室は、前記前端を通って内部にプラグ脱着可能なモジュール(12)を受容するよう構成される電気コネクタ組立体において、
前記ケージに係合し該ケージに電気接続されるように、EMIガスケット(46)が前記ケージの前記前端に実装され、
前記EMIガスケットは、前記プラグ脱着可能なモジュールが前記内部室内に受容される際に、前記プラグ脱着可能なモジュールと係合すると共に前記プラグ脱着可能なモジュールに電気接続するよう構成された導電性ばね(112)を具備し、
前記ケージの前記前端にブラケット(48)が実装され、
前記ブラケットは、前記EMIガスケットの周囲を少なくとも部分的に延び、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端に前記EMIガスケットを保持するために、前記EMIガスケットと係合することを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
前記EMIガスケットはフランジ(116)を具備し、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端に前記EMIガスケットを保持するために、前記フランジと係合する壁(124)を有することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
前記ケージは停止部(90,92)を具備し、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端に前記ブラケットを保持するために、前記停止部と係合する壁(124)を有することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
前記ケージは、パネル(18)の開口(20)内に実装されるよう構成され、
前記ブラケットは、前記ケージが前記パネルの前記開口内に実装される際に、前記EMIガスケットのフランジ及び前記パネル間を延びるよう構成された壁(124)を具備することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
前記ケージは、外面(86)及び内面(84)を具備し、
前記内面は、前記外面と逆向きであると共に前記内部室の境界を区画し、
前記EMIガスケットは、前記ケージの前記前端で前記内面の少なくとも一部上の前記内部室内に延びる内側部(106)を具備し、
前記EMIガスケットは、前記内側部から延びる外側部(108)をさらに具備し、
前記外側部は、前記ケージの前記前端で前記外面の少なくとも一部上に延び、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端に前記EMIガスケットを保持するために、前記EMIガスケットの前記外側部と係合することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項6】
前記ケージは壁(76,78,80,82)を具備し、
前記EMIガスケットは、前記ケージの前記前端に前記壁を受容するよう構成されたポケット(118)を具備することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項7】
前記EMIガスケットは、前記ケージの前記前端を向く前面(130)を有するフランジ(116)を具備し、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端から離れる方向を向く後面(126)を有する壁を具備し、
前記EMIガスケットの前記フランジの前記前面は、前記ケージの前記前端に前記EMIガスケットを保持するために、前記ブラケットの前記壁の前記後面と係合することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項8】
前記ケージは、該ケージの前記前端を向く前面(96)を有する停止部(92)を具備し、
前記ブラケットは、前記ケージの前記前端から離れる方向を向く後面を有する壁を具備し、
前記停止部の前記前面は、前記ケージの前記前端に前記ブラケットを保持するために、前記壁の前記後面と係合することを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。
【請求項9】
前記電気コネクタ組立体は、圧縮ガスケット(70)をさらに具備し、
前記ケージは、パネルの開口内に実装されるよう構成され、
前記ブラケットは壁を具備し、
前記圧縮ガスケットは、前記ケージが前記パネルの前記開口内に実装される際に、前記ブラケットの前記壁及び前記パネル間に挟まれることを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38075(P2013−38075A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172666(P2012−172666)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】