説明

電気ヒーター及びヒーター端子コネクタ

【課題】 電気ヒーター組み付けの作業性を改善すること、複数の発熱体を近接配置する場合などに、発熱体を所望の状態で近接配置できること、複数の発熱体から発せられる熱の干渉を受けることなく、複数の発熱体を有する電気ヒーターの過熱状態を個別に管理することができること。
【解決手段】 温度ヒューズ12を取り付け部材13を介してヒーター端子11に装着する。また、温度ヒューズ12を遮熱性の被覆部材16に内蔵し、複数の発熱体から発せられる熱の干渉を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電により発熱する電気ヒーター及び電気ヒーターのヒーター端子を電源側の端子に接続するためのヒーター端子コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気ヒーターは、空調設備や加熱装置の熱源として広く用いられている。電気ヒーターは、一般に、過加熱が生じた場合の対策として温度ヒューズを介した電気供給が行われており、温度ヒューズが電気ヒーターによる過加熱を感知して溶断することで、電源と電気ヒーターとの接続を遮断している。
【0003】
下記特許文献1に記載の従来技術では、温度ヒューズがリード線を介してシーズヒーターの通電回路に接続されており、温度ヒューズは、設定温度に達すると溶断する感温素子を有し、ケーシングの内部に収納される感温素子の長手方向がヒーターアッシーのボディ表面に面接触して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−281062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来技術によると、電気ヒーターの発熱体に温度ヒューズを接触させることで、温度ヒューズの感温特性を改善することができる。しかしながら、温度ヒューズのケーシングを発熱体のボディ表面に取り付ける際の取り付け作業が煩雑になり、電気ヒーターを組み付ける際の作業性が悪くなる問題が生じる。
【0006】
また、複数のシーズヒーターを近接配置する場合などには、温度ヒューズを発熱体に接触するように設けると、発熱体の配置が温度ヒューズの存在によって制限され、発熱体を所望の状態で近接配置できない問題が生じる。この際、複数のシーズヒーターに対して一つの温度ヒューズを設けて、複数のシーズヒーターの通電回路に並列的に温度ヒューズを接続することが考えられるが、これによると個々の発熱体の過熱状態を個別に管理できない問題が生じる。
【0007】
また、複数のシーズヒーターを近接配置する場合に、それぞれの発熱体に対して直列的に温度ヒューズを設けたとしても、一つの温度ヒューズが感知する温度に複数の発熱体から発せられる熱が干渉することになるので、これによっても個々の発熱体の過加熱状態を個別に管理できない問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、電気ヒーターに対して簡易に温度ヒューズを接続することで、電気ヒーター組み付けの作業性を改善すること、複数の発熱体を近接配置する場合などに、発熱体を所望の状態で近接配置できること、複数の発熱体から発せられる熱の干渉を受けることなく、複数の発熱体を有する電気ヒーターの過熱状態を個別に管理することができること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明に係る電気ヒーター及びヒーター端子コネクタは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0010】
通電により発熱する電気ヒーターであって、該電気ヒーターのヒーター端子に取り付け部材を介して温度ヒューズを装着したことを特徴とする電気ヒーター。
【0011】
電気ヒーターのヒーター端子に取り付けられる取り付け部材と、電源側に接続される電源側接続端子と、前記取り付け部材と前記電源側接続端子との間に設けられ、一端側が前記取り付け部材に接続され、他端側が前記電源側接続端子に接続される温度ヒューズとを備え、前記温度ヒューズが遮熱性の被覆部材に内蔵されていることを特徴とするヒーター端子コネクタ。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、電気ヒーターのヒーター端子に取り付け部材を介して温度ヒューズを装着したので、電気ヒーターに対して簡易に温度ヒューズを接続することができ、電気ヒーター組み付けの作業性を改善することができる。電気ヒーターの発熱体に温度ヒューズを接触させることなく、ヒーター端子に温度ヒューズを装着するようにしたので、複数の発熱体を近接配置する場合などに、発熱体を所望の状態で近接配置させることができる。電気ヒーターのヒーター端子に温度ヒューズを接続し、温度ヒューズを遮熱性の被覆部材に内蔵したので、複数の発熱体から発せられる熱の干渉を受けることなく、複数の発熱体を有する電気ヒーターの過熱状態を個別に管理することができる。ここでの遮熱性は、熱を完全に遮断することを意味するものではなく、電気ヒーターから発せられる熱の影響を直接受けないものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電気ヒーターの実施の一例を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る電気ヒーターの実施の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態は図示の内容を含むがこれのみに限定されるものではない。
【0015】
図1及び図2は、通電により発熱する電気ヒーターのヒーター端子11に、ヒーター端子コネクタ部(ヒーター端子コネクタ)10を取り付けた構成の一例を示した説明図である。本発明の実施形態に係る電気ヒーターは、発熱部の構成はどのような構成であってもよく、ここでは図示を省略する。
【0016】
ヒーター端子コネクタ部10は、電気ヒーターのヒーター端子11に取り付けられる取り付け部材13と、電源側に接続される電源側接続端子15と、取り付け部材13と電源側接続端子15との間に設けられ、一端が取り付け部材13に接続され、他端が電源側接続端子15に接続される温度ヒューズ12とを備え、温度ヒューズ12が遮熱性の被覆部材16に内蔵されている。
【0017】
温度ヒューズ12に取り付け部材13を取り付けるための構造としては、例えば、温度ヒューズ12をヒーター端子11側に押圧する締め付けネジ14と、締め付けネジ14を緩まなくし、かつ、締めすぎを防止するスプリングワッシャー17と、締め付けネジ14の押圧を安定させる凸座金18と、温度ヒューズ12の円錐状の凸部に沿った凹状の絶縁リング19を備える構成がある。
【0018】
取り付け部材13は、二つの凹部を有しており、一方の凹部がヒーター端子11に螺合し、他方の凹部が温度ヒューズ12の感熱部に嵌合する。取り付け部材13は、熱伝導率の高い素材が好ましく、例えば、金属などが用いられる。これにより、ヒーター端子11の温度が、取り付け部材13を介して的確に温度ヒューズ12に伝わり、温度ヒューズ12がヒーター端子11の過加熱を迅速かつ確実に感知する。また、取り付け部材13が、温度ヒューズ12の外周に嵌合することにより、取り付け部材13と温度ヒューズ12との接着面積を大きくし、熱伝導性を向上させて、より的確にヒーター端子11の温度を温度ヒューズ12に伝え、温度ヒューズ12に電気ヒーターの過加熱を感知させることができる。
【0019】
さらに、取り付け部材13は、温度ヒューズ11を嵌合する凹部がその開放部側の内側13aで、面取りされている。これにより、作業員が、温度ヒューズ12を取り付け部材13に取り付ける際に、温度ヒューズ12が、取り付け部材13の開放部の内角に衝突して破損することを防止している。さらに、取り付け部材13のヒーター端子11と接合する凹部の内壁には、ネジ状のヒーター端子11と螺合するネジ溝が切られ、取り付け部材13がヒーター端子11にネジ締着している。これにより、取り付け部材13とヒーター端子11が強固に結合すると共に、ヒーター端子11と取り付け部材13の脱着を容易にすることができる。ヒーター端子11と取り付け部材13が容易に脱着できることで、電気ヒーター組み付けの作業性を改善し、メンテナンス性に優れると共に、温度ヒューズ12が溶断した際の復旧を迅速かつ容易に行うことができる。また、ヒーター端子11と取り付け部材13との接触面積が、ネジ締着によってより大きくなるので、熱伝導性が向上し、より迅速かつ確実にヒーター端子11の温度を取り付け部材13に伝え、ヒーター端子11の過加熱を温度ヒューズ12に的確に感知させることができる。
【0020】
絶縁リング19は、温度ヒューズ12の円錐状の凸部の形状に沿った凹状となっており、絶縁リング19の凹部が温度ヒューズ12の円錐状の凸部と接合している。また、絶縁リング19は、中心部に貫通孔19aを有しており、温度ヒューズ12の引き出し線12aが貫通孔19aを貫通している。
【0021】
凸座金18は、凸状となっており、凸座金18の平面側が絶縁リング19の平面側と面接触している。また、凸座金18は、絶縁リング19の貫通孔19aと連結する貫通孔18aを有しており、貫通孔18aに、温度ヒューズ12の引き出し線12aが貫通すると共に、凸座金18の貫通孔18aの内壁と温度ヒューズ12の引き出し線12aが内接する。これにより、締め付けネジ14の締着によって温度ヒューズ12が取り付け部材の方向に押圧される際の圧力を分散させ、押圧によって温度ヒューズ12や取り付け部材13、ヒーター端子11等が破損することを防止する。また、凸座金18の貫通孔18aの内壁が、温度ヒューズ12の引き出し線12aと内接することで、外部電源から電源側接続端子15に供給された電流を、電源側接続端子15より凸座金18に流し、凸座金18より温度ヒューズ12に伝え、取り付け部材13を通じてヒーター端子11に通電させる。
【0022】
スプリングワッシャー17は、環状になっており、凸座金18の凸部の凹み部分に接触している。また、被覆部材16と螺合するネジ山を有する冠状の締め付けネジ14が、スプリングワッシャー17の凸座金18と接触する面と反対面に面接触している。さらに、十字型で被覆部材16と螺合するネジ山を有し、外部電源から電流の供給を受ける電源側接続端子が、凸座金18のスプリングワッシャー17と接触する面と反対面に接触している。スプリングワッシャー17が締め付けネジ14と凸座金18の接触面に挟み込まれることで、締め付けネジ14の締め付けすぎを防ぎ、かつ、締め付けネジ14の緩みを防止する。
【0023】
遮熱性を有する被覆部材16は、ヒーター端子11、取り付け部材13、温度ヒューズ12、絶縁リング19、凸座金18、スプリングワッシャー17、締め付けネジ14及び電源側接続端子15のネジ部を被覆している。被覆部材16は遮熱性を有しており、被覆部材16で温度ヒューズ12等を被覆することで、複数の発熱体を近接配置する場合などに、発熱体を所望の状態で近接配置することができる。また、温度ヒューズ12は、被覆部材16で被覆されているので、複数の発熱体から発せられる熱の干渉を受けることなく、複数の発熱体を有する電気ヒーターの過熱状態を個別に管理することができ、さらには、ヒーター端子11に過加熱が生じて温度ヒューズ12が溶断した際に周囲に火花が飛び散ることを防止することができる。
【0024】
被覆部材16は、電源側接続端子15のネジ部及び締め付けネジ14と螺合するネジ溝を内壁に有しており、締め付けネジ14と被覆部材16を螺合して締着させることで、温度ヒューズ12を取り付け部材13の方向に押圧し、温度ヒューズ12を取り付け部材13に圧着させる。これにより、取り付け部材13と温度ヒューズ12との接着面積が大きくなり、熱伝導率を上昇させることができる。
【0025】
電源側接続端子15は、被覆部材16のネジ溝と螺合して締着されている。これにより、電源側接続端子15が、被覆部材16に固定されると共に、電源側接続端子15と締め付けネジ14を接触させて、電源側接続端子15が外部電源より供給を受けた電流を締め付けネジ14に流し、スプリングワッシャー17、凸座金18、温度ヒューズ12、取り付け部材13、ヒーター端子11を通して、電気ヒーターに通電させる。
【符号の説明】
【0026】
10:ヒーター端子コネクタ部
11:ヒーター端子
12:温度ヒューズ
12a:温度ヒューズ引き出し線
13:取り付け部材
13a:取り付け部材面取り部
14:締め付けネジ
15:電源側接続端子
16:被覆部材
17:スプリングワッシャー
18:凸座金
18a:凸座金貫通孔
19:絶縁リング
19a:絶縁リング貫通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱する電気ヒーターであって、該電気ヒーターのヒーター端子に取り付け部材を介して温度ヒューズを装着したことを特徴とする電気ヒーター。
【請求項2】
前記取り付け部材は、前記温度ヒューズの外周に嵌合されたことを特徴とする請求項1記載の電気ヒーター。
【請求項3】
前記ヒーター端子と前記取り付け部材は脱着可能であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気ヒーター。
【請求項4】
電気ヒーターのヒーター端子に取り付けられる取り付け部材と、
電源側に接続される電源側接続端子と、
前記取り付け部材と前記電源側接続端子との間に設けられ、一端側が前記取り付け部材に接続され、他端側が前記電源側接続端子に接続される温度ヒューズとを備え、
前記温度ヒューズが遮熱性の被覆部材に内蔵されていることを特徴とするヒーター端子コネクタ。
【請求項5】
前記取り付け部材の端部は前記温度ヒューズの外周に嵌合されていることを特徴とする請求項4記載のヒーター端子コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−12360(P2013−12360A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143577(P2011−143577)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(593196997)日本電化工機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】