説明

電気光学装置および表示装置

【課題】FPCを3層構造にしなくても、ノイズを低減することの可能な電気光学装置および表示装置を提供する。
【解決手段】電気光学パネルの一端に第1フレキシブルプリント基板が接続され、電気光学パネルの他端に第2フレキシブルプリント基板が接続されている。第2フレキシブルプリント基板は、前記第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられている。第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板は、ともに、電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有している。第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、信号電位層および基準電位層が、交互に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、液晶パネル等の電気光学パネルにフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)が接続された電気光学装置およびそれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号などの種々の信号を外部回路から液晶パネルに供給するために、例えば、液晶パネルと外部回路とはFPCで接続される(例えば特許文献1参照)。高解像度の液晶パネルでは、解像度が高い分だけ、配線の本数が多い。配線数が1枚のFPCに収めることの可能な配線数を超えた場合には、FPCの数を増やすことが必要となる。しかし、FPCの数を増やすと、その分だけ、FPCから発せられるノイズの量が多くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−212622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCから発せられるノイズの量を低減するためには、例えば、FPCを2層構造にして、1層を面積の広いグラウンドパターンとすることが考えられる。しかし、FPCをそのような構造にしたとしても、グラウンドパターンで覆われていない面側から、ノイズが漏れてしまう。そこで、FPCを3層構造にし、映像信号等の信号電位が印加される層を中間の層とし、その層を挟み込む上下の層をグラウンドパターンとすることが考えられる。
【0005】
しかし、そのようにした場合には、FPCの屈曲性が著しく悪くなる。その結果、組み立て作業性が悪化したり、折り曲げ後の強いテンションによって、パネルに強い応力がかかり、画質低化を招いたりする虞がある。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、FPCを3層構造にしなくても、ノイズを低減することの可能な電気光学装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の電気光学装置は、電気光学パネルと、電気光学パネルの一端に接続された第1フレキシブルプリント基板と、電気光学パネルの他端に接続された第2フレキシブルプリント基板とを備えている。第2フレキシブルプリント基板は、第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられている。第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板は、ともに、電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有している。第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、信号電位層および基準電位層が、交互に配置されている。
【0008】
本技術の表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、映像光を生成する電気光学装置と、電気光学装置で生成された映像光を投射する投影光学系とを備えている。表示装置に内蔵された電気光学装置は、上記の電気光学装置と同一の構成要素を有している。
【0009】
本技術の電気光学装置および表示装置では、電気光学パネルに接続された2枚のフレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、信号電位層および基準電位層が交互に配置されている。このように、2枚のフレキシブルプリント基板を重ね合わせることで、フレキシブルプリント基板を3層構造にしたのと同様の構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本技術の電気光学装置および表示装置によれば、2枚のフレキシブルプリント基板を重ね合わせることで、フレキシブルプリント基板を3層構造にしたのと同様の構成とすることができるようにしたので、フレキシブルプリント基板を3層構造にしなくても、ノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技術の一実施の形態に係る投射型表示装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の液晶ライトバルブの概略構成を示す図である。
【図3】図1の液晶ライトバルブの一部を展開したときの上面構成例、下面構成例および側面構成例を示す図である。
【図4】図3のFPCを折り曲げたときの上面構成例、下面構成例および側面構成例を示す図である。
【図5】図4の液晶ライトバルブに台座部を設けたときの上面構成例および断面構成例を示す図である。
【図6】図5(B)の液晶ライトバルブを拡大したときの断面構成例を示す図である。
【図7】図3の液晶ライトバルブの一変形例を示す図である。
【図8】図3の液晶ライトバルブの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.変形例
【0013】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る投射型表示装置10の全体構成の一例を表したものである。投射型表示装置10は、例えば、図示しない情報処理装置の画面に表示されている画像をスクリーン20上に投影するものである。投射型表示装置10は、反射型の液晶パネルをライトバルブとして使用した反射型液晶プロジェクタである。投射型表示装置10は、例えば、赤、緑および青の各色用の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bを3枚用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のものである。投射型表示装置10は、例えば、光源11と、ダイクロイックミラー12,13と、全反射ミラー14とを備えている。投射型表示装置10は、さらに、例えば、偏光ビームスプリッタ15,16,17と、合成プリズム18と、投射レンズ19とを備えている。なお、光源11、ダイクロイックミラー12,13、全反射ミラー14、偏光ビームスプリッタ15,16,17および合成プリズム18からなる光学系が、「照明光学系」の一具体例に相当する。また、投射レンズ19が、「投影光学系」の一具体例に相当する。
【0014】
光源11は、カラー画像表示に必要とされる、赤色光、青色光および緑色光を含んだ白色光を発するものであり、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプなどにより構成されている。ダイクロイックミラー12は、光源11の光路AX上に配置されており、光源11からの光を、青色光Bとその他の色光(赤色光R,緑色光G)とに分離する機能を有している。ダイクロイックミラー13は、光源11の光路AX上に配置されており、ダイクロイックミラー12を通過した光を、赤色光Rと緑色光Gとに分離する機能を有している。全反射ミラー14は、ダイクロイックミラー12で反射された光の光路上に配置されており、ダイクロイックミラー12によって分離された青色光Bを、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射するようになっている。
【0015】
偏光ビームスプリッタ15は、赤色光Rの光路上に配置されており、偏光分離面15Aにおいて、入射した赤色光Rを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光ビームスプリッタ16は、緑色光Gの光路上に配置されており、偏光分離面16Aにおいて、入射した緑色光Gを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光ビームスプリッタ17は、青色光Bの光路上に配置されており、偏光分離面17Aにおいて、入射した青色光Bを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光分離面15A,16A,17Aは、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を反射し、他方の偏光成分(例えばP偏光成分)を透過するようになっている。
【0016】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、反射型の液晶パネルを含んで構成されたものであり、入力された映像信号に基づいて入射光を変調することにより、各色の映像光を生成するものである。なお、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの構成については、後に詳述するものとする。液晶ライトバルブ21Rは、偏光分離面15Aにおいて反射された赤色光Rの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Rは、例えば、赤色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ15に向けて反射する機能を有している。液晶ライトバルブ21Gは、偏光分離面16Aにおいて反射された緑色光Gの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Gは、例えば、緑色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ16に向けて反射する機能を有している。液晶ライトバルブ21Bは、偏光分離面17Aにおいて反射された青色光Bの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Bは、例えば、青色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ17に向けて反射する機能を有している。
【0017】
合成プリズム18は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bから出射され、偏光ビームスプリッタ15,16,17を透過した各変調光の光路が互いに交差する位置に配置されている。合成プリズム18は、各変調光を合成し、カラーの映像光を生成する機能を有している。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された映像光の光路上に配置されており、合成プリズム18から出射された映像光を、スクリーン20に向けて投射する機能を有している。
【0018】
図2は、図1の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの全体構成の一例を表したものである。液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、例えば、パネル部22と、パネル部22に接続されたフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)23(以下、FPC23と称する。)とを有している。パネル部22は、例えば、複数の画素25がマトリクス状に形成された画素領域24と、データ線駆動回路26と、走査線駆動回路27とを有している。パネル部22は、各画素25がデータ線駆動回路26および走査線駆動回路27によってアクティブ駆動されることにより、外部から入力されたデジタル信号に基づく画像を表示するものである。
【0019】
パネル部22は、行方向に延在する複数の書込線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLとを有している。信号線DTLと書込線WSLとの交差部分に対応して、画素25が設けられている。各信号線DTLは、データ線駆動回路26の出力端(図示せず)に接続されている。各書込線WSLは、走査線駆動回路27の出力端(図示せず)に接続されている。
【0020】
データ線駆動回路26は、例えば、外部から供給される1水平ライン分のデジタル信号を、各画素25に信号電圧として供給するものである。具体的には、データ線駆動回路26は、例えば、1水平ライン分のデジタル信号を、走査線駆動回路27により選択された1水平ラインを構成する各画素25に、信号線DTLを介してそれぞれ供給するものである。
【0021】
走査線駆動回路27は、例えば、外部から供給される走査タイミング制御信号に応じて、駆動対象の画素25を選択する機能を有している。具体的には、走査線駆動回路27は、例えば、走査線WSLを介して、選択パルスを画素25の選択回路(図示せず)に印加することにより、マトリックス状に形成されている画素25のうちの1行を駆動対象として選択するようになっている。そして、これらの画素25では、データ線駆動回路26から供給される信号電圧に応じて、1水平ラインの表示がなされる。このようにして、走査線駆動回路27は、例えば、時分割的に1水平ラインずつ順次走査を行い、画素領域全体にわたった表示を行うようになっている。
【0022】
次に、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの内部構成について説明する。図3(A),(B)は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの一部を展開したときの平面構成例を表したものである。図3(A)は、反射光の出射される面側(上面側)の平面構成例を表したものであり、図3(B)は、反射光の出射される面とは反対側(下面側)の平面構成例を表したものである。図3(C)は、側面構成例を表したものである。なお、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bが、「電気光学パネル」の一具体例に相当する。また、反射光の出射される面が、「電気光学パネルの光出射面」の一具体例に相当する。
【0023】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、例えば、液晶パネル2および保護基板3を含むパネル部22と、FPC4,5を含むFPC23とを有している。なお、FPC4が、「第1フレキシブルプリント基板」の一具体例に相当し、FPC5が、「第2フレキシブルプリント基板」の一具体例に相当する。液晶パネル2は、反射型の液晶パネルであり、図示しないが、画素電極としても機能する反射電極と、液晶層と、共通電極として機能する透明電極とを、当該液晶パネル2の下面側から順に積層してなる積層体を有している。保護基板3は、液晶パネル2を保護するものであり、例えば、可視光に対して透明な部材(例えばガラス基板)で構成されている。保護基板3は、液晶パネル2の上面に貼り合わされている。保護基板3は、液晶パネル2と非対向の部分(突出部)を有しており、液晶パネル2よりも大きな面積の平面を有している。
【0024】
FPC4,5は、液晶パネル2に対して、上述のデジタル信号や走査タイミング制御信号を供給するものである。FPC4は、FPC5よりも配線数の多いFPCである。一方、FPC5は、FPC4よりも配線数の少ないFPCである。FPC4は、外部回路と接続する接続端子4Aと、液晶パネル2の一端と接続する接続端子4Bとを有している。FPC5は、外部回路と接続する接続端子5Aと、液晶パネル2の他端(FPC4が接続された端部とは反対側の端部)と接続する接続端子5Bとを有している。FPC5は、液晶パネル2の下面側に折り曲げたときに、FPC5がFPC4の大半と重なり合うような形状となっていることが好ましい。FPC5は、さらに、液晶パネル2の下面側に折り曲げたときに、接続端子5Aの面と接続端子4Aの面とが互いに揃うような形状となっていることが好ましい。
【0025】
FPC5は、配線の形成されていない部位に開口部5Hを有している。開口部5Hは、例えば、図4(A)〜(C)に示したように、FPC5を、FPC4との関係で、液晶パネル2の下面側に折り曲げたときに、液晶パネル2がFPC5で覆われないようにするためにFPC5に設けた穴である。従って、FPC5を、FPC4との関係で、液晶パネル2の下面側に折り曲げたときに、液晶パネル2の下面は、開口部5H内に露出しているか、または、開口部5Hよりも外側に突出している。
【0026】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、さらに、例えば、図5(A)〜(C)に示したように、パネル部22(具体的には保護基板3)を支持する台座部6と、液晶パネル2から発せられる熱を放散するヒートシンク7とを有している。台座部6は、液晶パネル2と対向する部分に開口6Hを有しており、保護基板3の突出部と対向する部分に、保護基板3を支持する支持面6Aを有している。ヒートシンク7は、台座部6の開口6Hの内部に設けられている。ヒートシンク7は、例えば、台座部6のうち開口6Hの内部に、接着剤(図示せず)で固定されており、液晶パネル2の下面に接している。ヒートシンク7のうち、液晶パネル2とは反対側の面は、放熱性を高める構造(例えば凹凸)を有していることが好ましい。
【0027】
次に、FPC4,5の内部構成について説明する。図6は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの断面構成例を表したものである。FPC4は、例えば、液晶パネル2に信号電位を与える信号電位層41と、液晶パネル2に基準電位(例えばグラウンド電位)を与える基準電位層42とを、互いに絶縁した上で、積層した構造を有している。なお、信号電位層41に与えられる信号電位とは、例えば、映像信号に対応したデジタル信号や走査タイミング制御信号の電位などを含んでいる。ここで、液晶パネル2の光出射面側を上、液晶パネル2の光出射面とは反対側を下と定義したときに、FPC4は、例えば、信号電位層41および基準電位層42を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。信号電位層41は、複数の帯状の配線で構成されている。信号電位層41内の各配線は、接続端子4Aから接続端子4Bへ向かって延在しており、互いに電気的に絶縁されている。
【0028】
FPC4は、さらに、例えば、信号電位層41の下面側に配置された絶縁層43と、信号電位層41と基準電位層42との間に配置された絶縁層44と、基準電位層42の上面側に配置された絶縁層45とを有している。絶縁層44が信号電位層41と基準電位層42とを互いに絶縁している。絶縁層43が信号電位層41内の各配線を互いに絶縁している。
【0029】
FPC5は、例えば、液晶パネル2に基準電位(例えばグラウンド電位)を与える基準電位層51と、液晶パネル2に信号電位を与える信号電位層52とを、互いに絶縁した上で、積層した構造を有している。なお、信号電位層52に与えられる信号電位とは、例えば、映像信号に対応したデジタル信号や走査タイミング制御信号の電位などを含んでいる。FPC5は、接続端子5Bから少し離れた部分に屈曲部5Cを有している。FPC5のうち、屈曲部5Cとの関係で接続端子5A側の部分(FPC4と互いに重ね合わされている部分a)は、FPC4との関係で液晶パネル2の下面側に配置されている。ここで、FPC5は、FPC5のうち、屈曲部5Cとの関係で接続端子5B側の部分に、基準電位層51および信号電位層52の積層順を逆転させるコンタクト56を有している。
【0030】
コンタクト56は、接続端子5Bにおいて液晶パネル2の下面側に配置された導電層と、接続端子5Bから離れた部分において液晶パネル2の上面側に配置された導電層とを互いに電気的に接続している。さらに、コンタクト56は、接続端子5Bにおいて液晶パネル2の上面側に配置された導電層と、接続端子5Bから離れた部分において液晶パネル2の下面側に配置された導電層とを互いに電気的に接続している。ここで、液晶パネル2の光出射面側を上、液晶パネル2の光出射面とは反対側を下と定義すると、FPC5のうち、コンタクト56との関係で接続端子5B側の部分は、信号電位層52および基準電位層51を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。一方、FPC5のうち、コンタクト56との関係で接続端子5A側の部分についても、信号電位層52および基準電位層51を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。従って、FPC4,5のうち、互いに重ね合わされた部分(図中の重ね合わせ部分a)は、下から上に向かって、信号電位層52、基準電位層51、信号電位層41、基準電位層42の順に配置されている。
【0031】
信号電位層52は、複数の帯状の配線で構成されている。信号電位層52内の各配線は、接続端子5Aから接続端子5Bへ向かって延在しており、互いに電気的に絶縁されている。FPC5は、さらに、例えば、信号電位層52の外側に配置された絶縁層55と、信号電位層52と基準電位層51との間に配置された絶縁層54と、基準電位層51の外側(FPC4側)に配置された絶縁層53とを有している。絶縁層54が信号電位層52と基準電位層51とを互いに絶縁している。絶縁層55が信号電位層52内の各配線を互いに絶縁している。
【0032】
[動作]
本実施の形態の投射型表示装置10では、光源11から出射された白色光は、まず、ダイクロイックミラー12によって青色光Bとその他の色光(赤色光Rおよび緑色光G)とに分離される。このうち青色光Bは、全反射ミラー14によって、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射される。一方、赤色光Rおよび緑色光Gは、ダイクロイックミラー13によって、さらに、赤色光Rと緑色光Gとに分離される。分離された赤色光Rは、偏光ビームスプリッタ15に入射し、分離された緑色光Gは、偏光ビームスプリッタ16に入射する。
【0033】
偏光ビームスプリッタ15,16,17において、入射した各色光は、偏光分離面15A,16A,17Aにおいて、互いに直交する2つの偏光成分に分離される。このとき、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)が液晶ライトバルブ21R,21G,21Bに向けて反射される。このとき、各液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、各色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動されているので、それによって各偏光光が画素25ごとに変調されると共に、その変調光が偏光ビームスプリッタ15,16,17を透過して、合成プリズム18へ入射する。各変調光は、合成プリズム18で合成され、それによって得られたカラーの映像光が投射レンズ19によってスクリーン20に投射される。このようにして、カラーの映像がスクリーン20に表示される。
【0034】
[効果]
次に、本実施の形態の投射型表示装置10の効果について説明する。本実施の形態では、パネル部22に接続された2枚のFPC4,5のうち互いに重ね合わされた部分(図中の重ね合わせ部分a)において、信号電位層および基準電位層が交互に配置されている。具体的には、重ね合わせ部分aでは、下から上に向かって、信号電位層52、基準電位層51、信号電位層41、基準電位層42の順に配置された積層構造となっている。このように、2枚のFPC4,5を重ね合わせることで、フレキシブルプリント基板を、基準電位層、信号電位層および基準電位層の3層構造にしたのと同様の構成とすることができる。その結果、フレキシブルプリント基板を上述の3層構造にしなくても、ノイズを低減することができる。
【0035】
<2.変形例>
上記実施の形態において、FPC5の屈曲部5Cに相当する部分に、例えば、図7(A),(B)に示したように、くびれ部5Dが設けられていてもよい。このようにした場合には、屈曲部5Cが、くびれ部5Dが設けられていない場合よりも、軟らかくなり、屈曲部5Cでの屈曲が容易となる。その結果、投射型表示装置10を組み立てる際の作業性が向上する。また、FPC5を屈曲部5Cで屈曲させたときに、液晶パネル2に伝播する応力を低減することができる。その結果、屈曲部5Cでの応力に起因する画像品質の低下を低減することができる。
【0036】
さらに、上記の変形例において、FPC5の屈曲部5Cに相当する部分に、例えば、図8(A),(B)に示したように、メッシュ部5Eが設けられていてもよい。メッシュ部5Eは、例えば、FPC5(少なくとも基準電位線51)に多数の開口(貫通孔)が設けられた構成となっている。このようにした場合には、屈曲部5Cが、くびれ部5Dおよびメッシュ部5Eが設けられていない場合よりも、軟らかくなり、屈曲部5Cでの屈曲が容易となる。その結果、投射型表示装置10を組み立てる際の作業性がさらに向上する。また、FPC5を屈曲部5Cで屈曲させたときに、液晶パネル2に伝播する応力をさらに低減することができる。その結果、屈曲部5Cでの応力に起因する画像品質の低下をさらに低減することができる。
【0037】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一端に接続された第1フレキシブルプリント基板と
前記電気光学パネルの他端に接続されるとともに前記第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられた第2フレキシブルプリント基板と
を備え、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板は、ともに、前記電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、前記電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、前記信号電位層および前記基準電位層が、交互に配置されている
電気光学装置。
(2)
前記第2フレキシブルプリント基板のうち前記第1フレキシブルプリント基板と互いに重ね合わされている部分は、前記第1フレキシブルプリント基板との関係で、前記電気光学パネルの光出射面とは反対側に配置されている
(1)に記載の電気光学装置。
(3)
前記電気光学パネルの光出射面側を上、前記電気光学パネルの光出射面とは反対側を下と定義したときに、前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分は、下から上に向かって、前記信号電位層、前記基準電位層、前記信号電位層、前記基準電位層の順に配置されている
(1)または(2)に記載の電気光学装置。
(4)
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板に含まれる信号電位層は、ともに、複数の帯状の配線で構成されており、
前記配線の数は、前記第2フレキシブルプリント基板よりも前記第1フレキシブルプリント基板の方が多くなっている
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の電気光学装置。
(5)
前記第2フレキシブルプリント基板は、前記第1フレキシブルプリント基板と互いに重ね合わされていない部分において、前記信号電位層および前記基準電位層の積層順を反転させるコンタクト構造を有する
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の電気光学装置。
(6)
前記第2フレキシブルプリント基板は、折り曲げ部分にくびれを有する
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の電気光学装置。
(7)
前記第2フレキシブルプリント基板は、折り曲げ部分にメッシュを有する
(1)ないし(6)のいずれか1つに記載の電気光学装置。
(8)
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、映像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で生成された映像光を投射する投影光学系と
を備え、
前記電気光学装置は、
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一端に接続された第1フレキシブルプリント基板と
前記電気光学パネルの他端に接続されるとともに前記第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられた第2フレキシブルプリント基板と
を備え、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板は、ともに、前記電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、前記電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、前記信号電位層および前記基準電位層が、交互に配置されている
表示装置。
【符号の説明】
【0038】
10…投射型表示装置、2…液晶パネル、2A…画素領域、3…保護基板、4,5…FPC、4A,4B,5A,5B…接続端子、5C…屈曲部、5D…くびれ部、5E…メッシュ部、5H…開口部、6…台座部、6A…支持面、7…ヒートシンク、11…光源、12,13…ダイクロイックミラー、14…全反射ミラー、15,16,17…偏光ビームスプリッタ、15A,16A,17A…偏光分離面、18…合成プリズム、19…投射レンズ、20…スクリーン、21R,21G,21B…液晶ライトバルブ、22…パネル部、23…FPC、24…画素領域、25…画素、26…データ線駆動回路、27…走査線駆動回路、41,52…信号電位層、42,51…基準電位層、43,44,45,53,54,55…絶縁層、56…コンタクト、a…重ね合わせ部分、AX…光路、R…赤色光、G…緑色光、B…青色光、DTL…信号線、WSL…走査線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一端に接続された第1フレキシブルプリント基板と
前記電気光学パネルの他端に接続されるとともに前記第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられた第2フレキシブルプリント基板と
を備え、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板は、ともに、前記電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、前記電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、前記信号電位層および前記基準電位層が、交互に配置されている
電気光学装置。
【請求項2】
前記第2フレキシブルプリント基板のうち前記第1フレキシブルプリント基板と互いに重ね合わされている部分は、前記第1フレキシブルプリント基板との関係で、前記電気光学パネルの光出射面とは反対側に配置されている
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記電気光学パネルの光出射面側を上、前記電気光学パネルの光出射面とは反対側を下と定義したときに、前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分は、下から上に向かって、前記信号電位層、前記基準電位層、前記信号電位層、前記基準電位層の順に配置されている
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板に含まれる信号電位層は、ともに、複数の帯状の配線で構成されており、
前記配線の数は、前記第2フレキシブルプリント基板よりも前記第1フレキシブルプリント基板の方が多くなっている
請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第2フレキシブルプリント基板は、前記第1フレキシブルプリント基板と互いに重ね合わされていない部分において、前記信号電位層および前記基準電位層の積層順を反転させるコンタクト構造を有する
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第2フレキシブルプリント基板は、折り曲げ部分にくびれを有する
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第2フレキシブルプリント基板は、折り曲げ部分にメッシュを有する
請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、映像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で生成された映像光を投射する投影光学系と
を備え、
前記電気光学装置は、
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一端に接続された第1フレキシブルプリント基板と
前記電気光学パネルの他端に接続されるとともに前記第1フレキシブルプリント基板と重なり合うように折り曲げられた第2フレキシブルプリント基板と
を備え、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板は、ともに、前記電気光学パネルに基準電位を与える基準電位層と、前記電気光学パネルに信号電位を与える信号電位層とを、互いに絶縁した上で積層した構造を有し、
前記第1フレキシブルプリント基板および前記第2フレキシブルプリント基板のうち互いに重ね合わされた部分において、前記信号電位層および前記基準電位層が、交互に配置されている
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68844(P2013−68844A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208090(P2011−208090)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】