説明

電気光学装置および表示装置

【課題】色ずれが生じ難い電気光学装置および表示装置を提供する。
【解決手段】電気光学装置は、電気光学パネルと、電気光学パネルを支持するとともに電気光学パネルから発せられる熱を放散する支持部とを備えている。支持部は、接着層を介して電気光学パネルの下面に固定された複数の固定面と、各固定面の周囲に設けられた環状の溝とを有している。電気光学パネルは、例えば、反射型の電気光学素子と、電気光学素子の上面に固定された保護基板とを有している。保護基板は、電気光学素子と非対向な領域を有している。各固定面は、保護基板の下面のうち、電気光学素子と非対向な領域に、接着層を介して固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、液晶パネル等の電気光学パネルが、電気光学パネルを支持する台座部に固定された電気光学装置およびそれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスだけでなく、家庭でも、スクリーンに映像を投影するプロジェクタが広く利用されている。プロジェクタは、光源からの光をライトバルブで変調することにより画像光を生成し、スクリーンに投射して表示を行うものである。ライトバルブは、液晶パネルで構成されており、各画素が外部からの映像信号に応じてアクティブマトリクス駆動されることにより、光を変調するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
プロジェクタが家庭で普及するに伴い、プロジェクタの小型化、ひいてはプロジェクタの高精細化が進んでいる。3板方式のプロジェクタでは、RGBパネルそれぞれの固定位置がずれた場合には、色ずれが生じてしまう。特に、高精細パネルでは画素ピッチが小さくなるので、投射画面上では色ずれが視認されやすくなる。そのため、RGBパネルの位置合わせ精度の更なる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−079118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の方法では、RGBパネルと、RGBパネルを固定する支持部とを互いに接合する接着剤の膨張・収縮によって、RGBパネルが移動してしまい、色ずれが生じてしまうという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、色ずれが生じ難い電気光学装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の電気光学装置は、電気光学パネルと、電気光学パネルを支持するとともに電気光学パネルから発せられる熱を放散する支持部とを備えている。支持部は、接着層を介して電気光学パネルの下面に固定された複数の固定面と、各固定面の周囲に設けられた環状の溝とを有している。
【0008】
本技術の表示装置は、照明光学系と、入力された映像信号に基づいて照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する電気光学装置と、電気光学装置で生成された画像光を投射する投影光学系とを備えている。表示装置に内蔵された電気光学装置は、上記の電気光学装置と同一の構成要素を有している。
【0009】
本技術の電気光学装置および表示装置では、接着層を介して電気光学パネルの下面に固定された各固定面の周囲には、環状の溝が設けられている。これにより、接着層を介した電気光学パネルと支持部との固定領域が、固定面の面積で規定されるので、例えば、接着層の分量が多すぎた場合であっても、接着層が溝の中に流れていき、溝の外にはみ出さない。
【発明の効果】
【0010】
本技術の電気光学装置および表示装置によれば、例えば、接着層の分量が多すぎた場合であっても、接着層が溝の中に流れていき、溝の外にはみ出さないようにしたので、接着層が膨張・収縮したときに、電気光学パネルが平面方向に移動する量を小さくすることができる。その結果、色ずれを生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技術の一実施の形態に係る投射型表示装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1の液晶ライトバルブの概略構成を示す図である。
【図3】図1の液晶ライトバルブの一部を展開したときの上面構成例、下面構成例および側面構成例を示す図である。
【図4】図3のFPCを折り曲げたときの上面構成例、下面構成例および側面構成例を示す図である。
【図5】図4の液晶ライトバルブに台座部を設けたときの上面構成例および断面構成例を示す図である。
【図6】図5(B)の液晶ライトバルブを拡大したときの断面構成例を示す図である。
【図7】図5の台座部の平面構成例および断面構成例を示す図である。
【図8】図7の固定部の平面構成例および断面構成例を示す図である。
【図9】図3の液晶ライトバルブの一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.変形例
【0013】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る投射型表示装置10の全体構成の一例を表したものである。投射型表示装置10は、例えば、図示しない情報処理装置の画面に表示されている画像をスクリーン20上に投影するものである。投射型表示装置10は、反射型の液晶パネルをライトバルブとして使用した反射型液晶プロジェクタである。投射型表示装置10は、例えば、赤、緑および青の各色用の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bを3枚用いてカラー画像表示を行う、いわゆる3板方式のものである。投射型表示装置10は、例えば、光源11と、ダイクロイックミラー12,13と、全反射ミラー14とを備えている。投射型表示装置10は、さらに、例えば、偏光ビームスプリッタ15,16,17と、合成プリズム18と、投射レンズ19とを備えている。なお、光源11、ダイクロイックミラー12,13、全反射ミラー14、偏光ビームスプリッタ15,16,17および合成プリズム18からなる光学系が、「照明光学系」の一具体例に相当する。また、投射レンズ19が、「投影光学系」の一具体例に相当する。
【0014】
光源11は、カラー画像表示に必要とされる、赤色光、青色光および緑色光を含んだ白色光を発するものであり、例えばハロゲンランプ、メタルハライドランプまたはキセノンランプなどにより構成されている。ダイクロイックミラー12は、光源11の光路AX上に配置されており、光源11からの光を、青色光Bとその他の色光(赤色光R,緑色光G)とに分離する機能を有している。ダイクロイックミラー13は、光源11の光路AX上に配置されており、ダイクロイックミラー12を通過した光を、赤色光Rと緑色光Gとに分離する機能を有している。全反射ミラー14は、ダイクロイックミラー12で反射された光の光路上に配置されており、ダイクロイックミラー12によって分離された青色光Bを、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射するようになっている。
【0015】
偏光ビームスプリッタ15は、赤色光Rの光路上に配置されており、偏光分離面15Aにおいて、入射した赤色光Rを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光ビームスプリッタ16は、緑色光Gの光路上に配置されており、偏光分離面16Aにおいて、入射した緑色光Gを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光ビームスプリッタ17は、青色光Bの光路上に配置されており、偏光分離面17Aにおいて、入射した青色光Bを互いに直交する2つの偏光成分に分離する機能を有している。偏光分離面15A,16A,17Aは、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)を反射し、他方の偏光成分(例えばP偏光成分)を透過するようになっている。
【0016】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、反射型の液晶パネルを含んで構成されたものであり、入力された映像信号に基づいて入射光を変調することにより、各色の映像光を生成するものである。なお、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの構成については、後に詳述するものとする。液晶ライトバルブ21Rは、偏光分離面15Aにおいて反射された赤色光Rの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Rは、例えば、赤色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ15に向けて反射する機能を有している。液晶ライトバルブ21Gは、偏光分離面16Aにおいて反射された緑色光Gの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Gは、例えば、緑色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ16に向けて反射する機能を有している。液晶ライトバルブ21Bは、偏光分離面17Aにおいて反射された青色光Bの光路上に配置されている。液晶ライトバルブ21Bは、例えば、青色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動され、それによって入射光を変調させると共に、その変調光を偏光ビームスプリッタ17に向けて反射する機能を有している。
【0017】
合成プリズム18は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bから出射され、偏光ビームスプリッタ15,16,17を透過した各変調光の光路が互いに交差する位置に配置されている。合成プリズム18は、各変調光を合成し、カラーの映像光を生成する機能を有している。投射レンズ19は、合成プリズム18から出射された映像光の光路上に配置されており、合成プリズム18から出射された映像光を、スクリーン20に向けて投射する機能を有している。
【0018】
図2は、図1の液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの全体構成の一例を表したものである。液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、例えば、パネル部22と、パネル部22に接続されたフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)23(以下、FPC23と称する。)とを有している。パネル部22は、例えば、複数の画素25がマトリクス状に形成された画素領域24と、データ線駆動回路26と、走査線駆動回路27とを有している。パネル部22は、各画素25がデータ線駆動回路26および走査線駆動回路27によってアクティブ駆動されることにより、外部から入力されたデジタル信号に基づく画像を表示するものである。
【0019】
パネル部22は、行方向に延在する複数の書込線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLとを有している。信号線DTLと書込線WSLとの交差部分に対応して、画素25が設けられている。各信号線DTLは、データ線駆動回路26の出力端(図示せず)に接続されている。各書込線WSLは、走査線駆動回路27の出力端(図示せず)に接続されている。
【0020】
データ線駆動回路26は、例えば、外部から供給される1水平ライン分のデジタル信号を、各画素25に信号電圧として供給するものである。具体的には、データ線駆動回路26は、例えば、1水平ライン分のデジタル信号を、走査線駆動回路27により選択された1水平ラインを構成する各画素25に、信号線DTLを介してそれぞれ供給するものである。
【0021】
走査線駆動回路27は、例えば、外部から供給される走査タイミング制御信号に応じて、駆動対象の画素25を選択する機能を有している。具体的には、走査線駆動回路27は、例えば、走査線WSLを介して、選択パルスを画素25の選択回路(図示せず)に印加することにより、マトリックス状に形成されている画素25のうちの1行を駆動対象として選択するようになっている。そして、これらの画素25では、データ線駆動回路26から供給される信号電圧に応じて、1水平ラインの表示がなされる。このようにして、走査線駆動回路27は、例えば、時分割的に1水平ラインずつ順次走査を行い、画素領域全体にわたった表示を行うようになっている。
【0022】
次に、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの内部構成について説明する。図3(A),(B)は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの一部を展開したときの平面構成例を表したものである。図3(A)は、反射光の出射される面側(上面側)の平面構成例を表したものであり、図3(B)は、反射光の出射される面とは反対側(下面側)の平面構成例を表したものである。図3(C)は、側面構成例を表したものである。なお、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bが、「電気光学パネル」の一具体例に相当する。
【0023】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、例えば、液晶素子2および保護基板3を含むパネル部22と、FPC4,5を含むFPC23とを有している。液晶素子2は、反射型の液晶パネルであり、図示しないが、画素電極としても機能する反射電極と、液晶層と、共通電極として機能する透明電極とを、当該液晶素子2の下面側から順に積層してなる積層体を有している。保護基板3は、液晶素子2を保護するものであり、例えば、可視光に対して透明な部材(例えばガラス基板)で構成されている。保護基板3は、液晶素子2の上面に貼り合わされている。保護基板3は、液晶素子2と非対向の部分(突出部)を有しており、液晶素子2よりも大きな面積の平面を有している。
【0024】
FPC4,5は、液晶素子2に対して、上述のデジタル信号や走査タイミング制御信号を供給するものである。FPC4は、FPC5よりも配線数の多いFPCである。一方、FPC5は、FPC4よりも配線数の少ないFPCである。FPC4は、外部回路と接続する接続端子4Aと、液晶素子2の一端と接続する接続端子4Bとを有している。FPC5は、外部回路と接続する接続端子5Aと、液晶素子2の他端(FPC4が接続された端部とは反対側の端部)と接続する接続端子5Bとを有している。FPC5は、液晶素子2の下面側に折り曲げたときに、FPC5がFPC4の大半と重なり合うような形状となっていることが好ましい。FPC5は、さらに、液晶素子2の下面側に折り曲げたときに、接続端子5Aの面と接続端子4Aの面とが互いに揃うような形状となっていることが好ましい。
【0025】
FPC5は、配線の形成されていない部位に開口部5Hを有している。開口部5Hは、例えば、図4(A)〜(C)に示したように、FPC5を、FPC4との関係で、液晶素子2の下面側に折り曲げたときに、液晶素子2がFPC5で覆われないようにするためにFPC5に設けた穴である。従って、FPC5を、FPC4との関係で、液晶素子2の下面側に折り曲げたときに、液晶素子2の下面は、開口部5H内に露出しているか、または、開口部5Hよりも外側に突出している。
【0026】
液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、さらに、例えば、図5(A)〜(C)に示したように、パネル部22(具体的には保護基板3)を支持する台座部6と、液晶素子2から発せられる熱を放散するヒートシンク7とを有している。台座部6は、液晶素子2と対向する部分に開口6Hを有しており、保護基板3の突出部と対向する部分に、保護基板3を支持する支持面6Aを有している。なお、台座部6についての説明は、後に詳述するものとする。ヒートシンク7は、台座部6の開口6Hの内部に設けられている。ヒートシンク7は、例えば、台座部6のうち開口6Hの内部に、接着剤(図示せず)で固定されており、液晶素子2の下面に接している。ヒートシンク7のうち、液晶素子2とは反対側の面は、放熱性を高める構造(例えば凹凸)を有していることが好ましい。
【0027】
次に、FPC4,5の内部構成について説明する。図6は、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの断面構成例を表したものである。FPC4は、例えば、液晶素子2に信号電位を与える信号電位層41と、液晶素子2に基準電位(例えばグラウンド電位)を与える基準電位層42とを、互いに絶縁した上で、積層した構造を有している。なお、信号電位層41に与えられる信号電位とは、例えば、映像信号に対応したデジタル信号や走査タイミング制御信号の電位などを含んでいる。ここで、液晶素子2の光出射面側を上、液晶素子2の光出射面とは反対側を下と定義したときに、FPC4は、例えば、信号電位層41および基準電位層42を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。信号電位層41は、複数の帯状の配線で構成されている。信号電位層41内の各配線は、接続端子4Aから接続端子4Bへ向かって延在しており、互いに電気的に絶縁されている。
【0028】
FPC4は、さらに、例えば、信号電位層41の下面側に配置された絶縁層43と、信号電位層41と基準電位層42との間に配置された絶縁層44と、基準電位層42の上面側に配置された絶縁層45とを有している。絶縁層44が信号電位層41と基準電位層42とを互いに絶縁している。絶縁層43が信号電位層41内の各配線を互いに絶縁している。
【0029】
FPC5は、例えば、液晶素子2に基準電位(例えばグラウンド電位)を与える基準電位層51と、液晶素子2に信号電位を与える信号電位層52とを、互いに絶縁した上で、積層した構造を有している。なお、信号電位層52に与えられる信号電位とは、例えば、映像信号に対応したデジタル信号や走査タイミング制御信号の電位などを含んでいる。FPC5は、接続端子5Bから少し離れた部分に屈曲部5Cを有している。FPC5のうち、屈曲部5Cとの関係で接続端子5A側の部分(FPC4と互いに重ね合わされている部分a)は、FPC4との関係で液晶素子2の下面側に配置されている。ここで、FPC5は、FPC5のうち、屈曲部5Cとの関係で接続端子5B側の部分に、基準電位層51および信号電位層52の積層順を逆転させるコンタクト56を有している。
【0030】
コンタクト56は、接続端子5Bにおいて液晶素子2の下面側に配置された導電層と、接続端子5Bから離れた部分において液晶素子2の上面側に配置された導電層とを互いに電気的に接続している。さらに、コンタクト56は、接続端子5Bにおいて液晶素子2の上面側に配置された導電層と、接続端子5Bから離れた部分において液晶素子2の下面側に配置された導電層とを互いに電気的に接続している。ここで、液晶素子2の光出射面側を上、液晶素子2の光出射面とは反対側を下と定義すると、FPC5のうち、コンタクト56との関係で接続端子5B側の部分は、信号電位層52および基準電位層51を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。一方、FPC5のうち、コンタクト56との関係で接続端子5A側の部分についても、信号電位層52および基準電位層51を、互いに絶縁した上で、下から上に向かって積層した構造を有している。従って、FPC4,5のうち、互いに重ね合わされた部分(図中の重ね合わせ部分a)は、下から上に向かって、信号電位層52、基準電位層51、信号電位層41、基準電位層42の順に配置されている。
【0031】
信号電位層52は、複数の帯状の配線で構成されている。信号電位層52内の各配線は、接続端子5Aから接続端子5Bへ向かって延在しており、互いに電気的に絶縁されている。FPC5は、さらに、例えば、信号電位層52の外側に配置された絶縁層55と、信号電位層52と基準電位層51との間に配置された絶縁層54と、基準電位層51の外側(FPC4側)に配置された絶縁層53とを有している。絶縁層54が信号電位層52と基準電位層51とを互いに絶縁している。絶縁層55が信号電位層52内の各配線を互いに絶縁している。
【0032】
次に、台座部6について詳細に説明する。図7(A)は、台座部6の上面構成の一例を表したものである。図7(B)は、台座部6のA−A矢視方向の断面構成の一例を、パネル部22、ヒートシンク7およびFPC5と共に表したものである。台座部6は、接着層(図示せず)を介してパネル部22を固定する複数の固定部8を有している。固定部8は、例えば、支持面6Aに設けられており、接着層(図示せず)を介して、保護基板3の突出部の下面に接している。固定部8は、パネル部22(具体的には保護基板3)の下面のうち四隅から離れた位置に、接着層を介して固定されていることが好ましい。
【0033】
図8(A)は、支持面6Aの一部を拡大して表したものである。図8(B)は、図8(A)のA−A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。図8(C)は、図8(A)のA−A矢視方向の断面構成の他の例を表したものである。固定部8は、接着層9を介してパネル部22(具体的には保護基板3の突出部)の下面に固定された固定面8Aと、固定面8Aの周囲に設けられた環状の溝8Bとにより構成されている。固定面8Aは、例えば、円形状となっている。なお、固定面8Aは、円形状とは異なる形状となっていてもよい。固定面8Aは、接着層9の膨張・収縮によりパネル部22が平面方向にほとんど変位しない程度の面積を有している。溝8Bは、液晶ライトバルブ21R,21G,21Bの組み立てにおいて、接着層9を介して、パネル部22を台座部6に固定するときに、接着層9が固定面8Aからはみ出さないようにするものである。例えば、接着層9の分量が多すぎた場合であっても、図8(C)のように、接着層9は、溝8Bの中に流れていき、固定部8の外にはみ出さない。これにより、接着層9が、パネル部22の側面にまで回り込んで、パネル部22の側面と、台座部6とが互いに接着されるのを防ぐことができる。
【0034】
[動作]
本実施の形態の投射型表示装置10では、光源11から出射された白色光は、まず、ダイクロイックミラー12によって青色光Bとその他の色光(赤色光Rおよび緑色光G)とに分離される。このうち青色光Bは、全反射ミラー14によって、偏光ビームスプリッタ17に向けて反射される。一方、赤色光Rおよび緑色光Gは、ダイクロイックミラー13によって、さらに、赤色光Rと緑色光Gとに分離される。分離された赤色光Rは、偏光ビームスプリッタ15に入射し、分離された緑色光Gは、偏光ビームスプリッタ16に入射する。
【0035】
偏光ビームスプリッタ15,16,17において、入射した各色光は、偏光分離面15A,16A,17Aにおいて、互いに直交する2つの偏光成分に分離される。このとき、一方の偏光成分(例えばS偏光成分)が液晶ライトバルブ21R,21G,21Bに向けて反射される。このとき、各液晶ライトバルブ21R,21G,21Bは、各色の映像信号に応じてパルス幅変調(PWM)されたデジタル信号によって駆動されているので、それによって各偏光光が画素25ごとに変調されると共に、その変調光が偏光ビームスプリッタ15,16,17を透過して、合成プリズム18へ入射する。各変調光は、合成プリズム18で合成され、それによって得られたカラーの映像光が投射レンズ19によってスクリーン20に投射される。このようにして、カラーの映像がスクリーン20に表示される。
【0036】
[効果]
次に、本実施の形態の投射型表示装置10の効果について説明する。本実施の形態では、接着層9を介してパネル部22の下面に固定された各固定面8Aの周囲には、環状の溝8Bが設けられている。これにより、接着層9を介したパネル部22と台座部6との固定領域が、固定面8Aの面積で規定されるので、例えば、接着層9の分量が多すぎた場合であっても、接着層9が溝8Bの中に流れていき、溝8Bの外にはみ出さない。その結果、接着層9が膨張・収縮したときに、パネル部22が平面方向に移動する量を小さくすることができるので、色ずれを生じ難くすることができる。
【0037】
<2.変形例>
上記実施の形態では、固定部8は、支持面6Aに設けられていたが、それ以外の箇所に設けられていてもよい。例えば、固定部8は、パネル部22の最下面と接する箇所に設けられていてもよい。固定部8は、例えば、図9(A),(B)に示したように、ヒートシンク7の上面に設けられている。固定部8は、パネル部22の最下面(具体的には液晶素子2の下面)のうち四隅から離れた位置に、接着層9を介して固定されていることが好ましい。このようにした場合にも、接着層9を介したパネル部22と台座部6との固定領域が、固定面8Aの面積で規定されるので、例えば、接着層9の分量が多すぎた場合であっても、接着層9が溝8Bの中に流れていき、溝8Bの外にはみ出さない。その結果、接着層9が膨張・収縮したときに、パネル部22が平面方向に移動する量を小さくすることができるので、色ずれを生じ難くすることができる。
【符号の説明】
【0038】
10…投射型表示装置、2…液晶素子、2A…画素領域、3…保護基板、4,5…FPC、4A,4B,5A,5B…接続端子、5C…屈曲部、5H…開口部、6…台座部、6A…支持面、6H…開口、7…ヒートシンク、8…固定部、8A…固定面、8B…溝、9…接着層、11…光源、12,13…ダイクロイックミラー、14…全反射ミラー、15,16,17…偏光ビームスプリッタ、15A,16A,17A…偏光分離面、18…合成プリズム、19…投射レンズ、20…スクリーン、21R,21G,21B…液晶ライトバルブ、22…パネル部、23…FPC、24…画素領域、25…画素、26…データ線駆動回路、27…走査線駆動回路、41,52…信号電位層、42,51…基準電位層、43,44,45,53,54,55…絶縁層、56…コンタクト、a…重ね合わせ部分、AX…光路、R…赤色光、G…緑色光、B…青色光、DTL…信号線、WSL…走査線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルを支持するとともに前記電気光学パネルから発せられる熱を放散する支持部と
を備え、
前記支持部は、
接着層を介して前記電気光学パネルの下面に固定された複数の固定面と、
各固定面の周囲に設けられた環状の溝と
を有する
電気光学装置。
【請求項2】
前記電気光学パネルは、反射型の電気光学素子と、前記電気光学素子の上面に固定された保護基板とを有し、
前記保護基板は、前記電気光学素子と非対向な領域を有し、
各固定面は、前記保護基板の下面のうち、前記電気光学素子と非対向な領域に、前記接着層を介して固定されている
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
各固定面は、前記保護基板の下面のうち四隅から離れた位置に、前記接着層を介して固定されている
請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
各固定面は、前記電気光学パネルの最下面に、前記接着層を介して固定されている
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項5】
各固定面は、前記電気光学パネルの最下面のうち四隅から離れた位置に、前記接着層を介して固定されている
請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
照明光学系と、
入力された映像信号に基づいて前記照明光学系からの光を変調することにより、画像光を生成する電気光学装置と、
前記電気光学装置で生成された画像光を投射する投影光学系と
を備え、
前記電気光学装置は、
電気光学パネルと、
前記電気光学パネルを支持するとともに前記電気光学パネルから発せられる熱を放散する支持部と
を有し、
前記支持部は、
接着層を介して前記電気光学パネルの下面に固定された複数の固定面と、
各固定面の周囲に設けられた環状の溝と
を有する
表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−68845(P2013−68845A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208091(P2011−208091)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】