説明

電気化学センサ

【課題】電気化学センサに加わった外力を適正に吸収可能な技術を提供する。
【解決手段】一端部と他端部とを有する基板と、前記基板の一端部上に形成された電極部と、前記基板の他端部上に形成され、前記電極部と測定機とを電気的に接続するための接続部と、前記他端部に形成され、前記一端部が前記測定機に対して相対的に揺動する状態で、前記他端部を前記測定機に装着するための装着部と、を含む電気化学センサである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトや動物の皮下に留置され、生体内成分の物理量を連続的に測定するための電気化学センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電極とグルコースに反応する酵素と備えたバイオセンサを皮下に留置し、皮下の間質液に含まれるグルコース濃度を連続的に測定する持続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)を実施するためのRT−CGM装置(Real-Time Continuous Glucose Monitoring)がある。
【0003】
RT−CGM装置は、基本構成として、センサユニットと、センサユニットとデータ通信を行うデータ受信機とを備えている。センサユニットは、バイオセンサと、バイオセンサが装着される測定機とを含み、バイオセンサの一部は、測定機の筐体内に固定状態で装着される。
【0004】
バイオセンサは、板状に形成され、測定機の筐体内に固定配置される基端部と、複数の電極が形成された末端部とを有している。バイオセンサは、その末端部が測定機の筐体から突出する状態で測定機に装着され、グルコース測定のために被検者に測定機が装着される際に、末端部が検体内に挿入され、皮下に留置される。
【0005】
測定機の筐体内には、センサ制御部及びデータ送信機を構成する電子部品が配置される。センサ制御部は、バイオセンサが備える複数の電極と電気的に接続される。センサ制御部は、複数の電極間に対する電圧印加や、当該電圧印加により生じた酵素反応に起因する電極間電流(応答電流と呼ばれる)の検出を制御する。データ送信機は、例えば、検出された応答電流値を所定のデータ通信形式に変換し、データ受信機へ送る。
【0006】
データ受信機は、測定機のデータ送信機から受信される応答電流値に基づき、検量線によるグルコース濃度測定のような公知の手法でグルコース濃度を算出する演算部(コンピュータ)と、算出結果を表示する表示装置などを備える。表示装置に算出結果(グルコース濃度)が表示されることで、間質液中のグルコース濃度を知ることができる。
【0007】
RT−CGM装置では、バイオセンサが皮下に留置されている間、応答電流を持続的に得ることができる。このため、データ送信機が所定時間(単位時間)当たりの応答電流値をデータ受信機に随時送信し、データ受信機の表示装置がグルコース濃度の時間変化を持続的に表示することができる。
【0008】
従来、複数の電極と測定機筐体内の電子部品との電気接点となる部位(コンタクトパッドと呼ばれる)が基端部に形成されたバイオセンサがある(例えば、特許文献1参照)。コンタクトパッドは電極毎に形成される。バイオセンサの基端部は、筐体内の部品又は部位に挟まれることで、筐体内に固定される。この際に、筐体内に設置された電子部品の各端子(コンタクト)が各コンタクトパッドに当接することで、各電極と電子部品との接続が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許公報第6973706号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
バイオセンサの末端部は、応答電流の測定時に被検者の皮下に留置されるので、被検者の動きにより外力が加わる。これに対し、上述した従来技術では、バイオセンサの基端部を筐体内部で挟み込むことで当該基端部を固定している。このように、従来技術では、バイオセンサの末端部などに加わった外力をバイオセンサが動くことで吸収する構造となっていないため、末端部周囲の組織を傷つけてしまう虞があった。
【0011】
また、筋肉の動きなどで皮下に留置された末端部に外力が加わった場合に、基端部平面に回転方向の力が生じて、基端部の位置がずれてしまい、コンタクトパッドと端子との良好な接触状態が損なわれる虞があった。
【0012】
本発明の目的は、電気化学センサに加わった外力を適正に吸収可能な技術を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、電気化学センサの末端部に外力が加わっても良好な電気接続状態を維持可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成を採用する。すなわち、本発明の第1の態様は、電気化学センサであって、
一端部と他端部とを有する基板と、
前記基板の一端部上に形成された電極部と、
前記基板の他端部上に形成され、前記電極部と測定機とを電気的に接続するための接続部と、
前記他端部に形成され、前記一端部が前記測定機に対して相対的に揺動可能な状態で、前記他端部を前記測定機に装着するための装着部と、を含む。
【0015】
本発明の第1の態様によると、電気化学センサは、装着部により、基板が測定機に対して相対的に揺動する状態で測定機に装着される。よって、電気化学センサに外力が加わったときに基板が揺動することで、当該外力を吸収することができる。これにより、一端部周囲の検体組織が傷つくのを防止することができる。
【0016】
本発明の第1の態様は、例えば、前記装着部が、前記測定機が有する軸に挿通される貫通孔を含み、前記一端部は、前記軸を中心に揺動する、ように構成することができる。
【0017】
本発明の第1の態様は、例えば、前記装着部が、前記測定機が有する軸の外径に応じて形成され、且つ前記他端部の外縁に接しないように形成された第1の部分と、該第1の部分と前記他端部の外縁とを連絡し、前記軸の外径より小さい間隙を形成する第2の部分とを含む、前記基板の前記他端部に形成された切り欠き部を含む、ように構成されていても良い。
【0018】
本発明の第1の態様は、例えば、前記装着部が、前記基板の前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凹部を含み、前記各凹部には、前記測定機が有する、前記電気化学センサの装着時に同一直線上に対向状態で配される二つの軸又は凸部の各端部が挿入される、ように構成されていても良い。
【0019】
本発明の第1の態様は、例えば、前記装着部が、前記基板の前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凸部を含み、前記各凸部は、前記測定機が有する二つの凹部に挿入される、ように構成されていても良い。
【0020】
或いは、第1の態様における前記装着部は、前記基板の前記電極部の形成面と当該形成面の逆面の一方に設けられ、前記測定機が有する凸部が挿入される凹部と、該凹部と同軸で前記形成面及び前記逆面の他方に設けられ、前記測定機が有する凹部に挿入される凸部とを含む、ように構成することも可能である。
【0021】
本発明の第1の態様が前記貫通孔を有する場合には、前記貫通孔は、平面視された前記基板の前記一端部の中心線上に形成されている、ように構成されていても良い。
【0022】
本発明の第1の態様が前記切り欠き部を有する場合には、前記切り欠き部に含まれる前記第1の部分の中心は、平面視された前記基板の前記一端部の中心線上に設けられている、ように構成されていても良い。
【0023】
本発明の第1の態様が前記二つの凹部を有する場合には、前記二つの凹部は、平面視された前記基板の前記一端部の中心線上に設けられている、ように構成されていても良い。
【0024】
本発明の第1の態様が前記二つの凸部を有する場合には、前記二つの凸部は、平面視された前記基板の前記一端部の中心線上に設けられている、ように構成されていても良い。
【0025】
また、第1の態様において、前記装着部は、前記他端部に形成された、同一の円周上に形成された少なくとも二つの円弧状の貫通孔を含み、前記少なくとも二つの円弧状の貫通孔は、前記測定機が有する少なくとも二つの軸に挿通される、ように構成されていても良い。
【0026】
また、第1の態様において、前記他端部が円形に形成されており、前記他端部は、前記測定機に設けられた、底面と該底面に立接された前記他端部の外径に応じた円筒周面を有する側壁とを含む載置部に載置される、ように構成されていても良い。
【0027】
第1の態様において、前記接続部は、前記測定機に設けられたスリップリングを介して、前記測定機と前記電極部とを電気的に接続する、ように構成されていても良い。このようにすれば、基板が揺動しても測定機と電極との適正な接続状態を維持することができる。
【0028】
第1の態様に係る電気化学センサは、前記電極部に接続され、前記一端部から前記他端部に亘って前記基板上に設けられたリード部を含み、
前記リード部は、前記接続部にて前記測定機と前記電極とが電気的に接続され、かつ、前記一端部の揺動に応じて前記他端部上を相対的に移動する範囲に亘って設けられている、ように構成されていても良い。このようにすれば、基板が揺動しても測定機と電極との適正な接続状態を維持することができる。
【0029】
第1の態様における電極部は、複数の電極を含むことができる。複数の電極は、例えば、前記基板の一端部上に少なくとも2つ以上形成される構成を適用可能である。また、電極部は、特定物質と反応し、かつ前記反応時において電流を発生する反応物質層を含むことができる。電極部が複数の電極を含む場合、反応物質層は、複数の電極の少なくとも一つに形成されるようにすることができる。或いは、反応物質層を二以上の電極に跨って形成したり、2以上の電極毎に形成したりすることも可能である。
【0030】
前記一端部は、皮下に植え込まれる、ように構成されていても良い。
【0031】
第1の態様における電気化学センサは、前記基板の平面視状態において、前記一端部は
、前記電気化学センサの長手方向に夫々延びて相互に対向する第1辺及び第2辺を有し、前記他端部は、前記長手方向に夫々延びて相互に対向する第3辺及び第4辺を有し、
前記第1辺と前記第3辺、前記第2辺と前記第4辺との少なくとも何れか一方が、前記長手方向と交わる方向の、少なくとも1つの他の辺を挟んで連結されている、ように構成されていても良い。
【0032】
また、第1の態様における電気化学センサは、前記他端部の一部又は全部の外縁形状が曲線で構成されている、ように構成されていても良い。
【0033】
本発明の第2の態様は測定機である。すなわち、第1の態様における電気化学センサが装着され、前記電極部からの信号を測定する測定機であって、前記接続部と前記測定機とを電気的に接続するための測定機側接続部と、前記他端部を、前記一端部が前記測定機に対して相対的に揺動する状態で保持する被装着部と、を有することを特徴とする。
【0034】
第2の態様において、前記被装着部は、前記電気化学センサが取り付けられ、前記一端部の揺動の中心となる軸を含む、ように構成することができる。
【0035】
第2の態様において、前記被装着部は、同一直線上に対向状態で配された二つの軸又は凸部を有し、前記各軸又は凸部の端部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凹部の夫々に挿入される、ように構成されていても良い。
【0036】
第2の態様において、前記被装着部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凸部が挿入される二つの凹部を含む、ように構成されていても良い。或いは、前記凹部及び凸部は、平面視された前記基板の前記一端部の中心線上に設けられているように構成しても良い。
【0037】
第2の態様において、前記被装着部は、前記電気化学センサの前記他端部に形成された、同一の円周上に形成された少なくとも二つの円弧状の貫通孔に挿通される二つの軸を含む、ように構成されていても良い。或いは、前記被装着部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面と当該形成面の逆面との一方に形成された凹部に挿入される凸部と、前記凹部と同軸で前記形成面と前記逆面との他方に形成された凸部が挿入される凹部とを含む、ように構成されていても良い。
【0038】
また、第2の態様において、前記電気化学センサの前記他端部が円形に形成されており、
前記被装着部は、底面と該底面に立接された前記他端部の外径に応じた円筒周面を有する側壁とを含む載置部を含み、前記底面に前記他端部が載置される、ように構成されていても良い。
【0039】
また、第2の態様において、前記測定機側接続部は、前記電気化学センサが前記被装着部によって保持された状態において前記電気化学センサの前記接続部と接触するスリップリングを含む、ように構成されていても良い。
【0040】
また、第2の態様において、前記測定機側接続部は、前記電気化学センサが前記被装着部によって保持された状態における前記一端部の揺動範囲で前記電気化学センサの前記接続部との接触状態を維持する、ように構成されていても良い。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、電気化学センサの末端部に加わった外力を適正に吸収可能な技術を提
供することができる。
【0042】
また、本発明によれば、電気化学センサの末端部に外力が加わっても良好な電気接続状態を維持可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学センサの構成例を示す。
【図2】図2は、図1に示した電気化学センサが適用された測定機及び表示ユニットを含むRT−CGM装置を例示する図である。
【図3】図3は、測定機に装着された電気化学センサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【図4】図4は、図2に示した基板上に搭載された電子部品群を模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)の構成例を示す図である。
【図8】図8は、測定機に装着された第2実施形態に係るグルコースセンサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【図9】図9は、第3実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)が測定機に装着された状態を模式的に示す。
【図10】図10は、測定機に装着された第3実施形態に係るグルコースセンサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【図11】図11は、第4実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)が測定機に装着された状態を模式的に示す。
【図12】図12は、測定機に装着された第4実施形態に係るグルコースセンサを平面視した状態を模式的に示す。
【図13】図13は、第5実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)の構成例を示す図である。
【図14】図14は、第5実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)が測定機に装着された状態を模式的に示す。
【図15】図15は、測定機に装着された第5実施形態に係るグルコースセンサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【図16】図16は、第6実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ)が測定機に装着された状態を模式的に示す。
【図17】図17は、測定機に装着された第6実施形態に係るグルコースセンサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【図18】図18は、電気化学センサと測定機との電気的接続にスリップリングを適用した例を示す図である。図18(A)は軸に取り付けられた電気化学センサ(グルコースセンサ)をスリップリングにより測定機に接続する部分の要部を側方から見た状態を模式的に示す。図18(B)は、図18(A)に示した要部を上方から平面視した状態を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0045】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気化学センサの構成例を示す図である。図2は、図1に示した電気化学センサが適用された測定機及び表示ユニットを含むRT−CGM
装置を例示する図である。図3は、測定機に装着された電気化学センサを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0046】
図2に示すRT−CGM装置(以下、測定装置と表記)1は、体液中の特定の基質の物理量として、ヒトや動物(被検者と称する)の間質液中のグルコースの濃度を連続的に自動で測定するために使用される。測定装置1は、測定機2及び電気化学センサ3からなるセンサユニット4と、センサユニット4と通信するデータ受信機としての表示ユニット5とを含んでいる。
【0047】
測定機2の筐体は、基板2aと基板2aを覆うカバー2bとを有し、両者は一体となるように強固に接合される。基板2a及びカバー2bで画定された筐体内部には、少なくとも、制御コンピュータや通信機器を構成する電子部品群が実装された基板6と、電気化学センサ3の一部が収容される。
【0048】
測定機2の筺体は、防水性あるいは耐水性を有する材料を用いて構成される。筺体は、たとえば、少なくともカバー2b(必要に応じて基板2a)が、金属や合成樹脂などの透水性の極めて低い材料により形成されることができる。合成樹脂としては、たとえば、ポリプロピレンを適用することができる。
【0049】
電気化学センサ3は、電気化学的反応を利用して特定の被検物質を検出するセンサであり、本実施形態ではバイオセンサが適用されている。バイオセンサは、生物または生物由来の材料を、被検物質を検出する素子として用いて、被検物質を連続的に測定、検出する。
【0050】
本実施形態における電気化学センサ3は、間質液中のグルコース濃度を連続的に測定するために用いられる。以下、電気化学センサ(バイオセンサ)3を、「グルコースセンサ3」と称する。
【0051】
図1に示すように、グルコースセンサ3は、一端部である末端部3Aと、他端部である基端部3Bとを有している。具体的には、グルコースセンサ3は、基板31と、基板31の片面の末端部3Aに形成された少なくとも1つの電極(電極32A,32B)と、基板31の基端部3Bに形成されたコンタクトパッド33A,33Bと、電極32A,32Bとコンタクトパッド33A,33Bとを夫々結ぶように基板31の末端部3Aから基端部3Bに亘ってそれぞれ形成されたリード部34A,34Bとを備えている。
【0052】
基板31は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE)のような熱可塑性樹脂,ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のような、人体への害がなく、適当な絶縁性及び可撓性を有する樹脂を適用して形成されたフィルム基板である。
【0053】
図1に示す例では、基板31の基端部3B(他端部)の外縁形状は円形に形成されており、中間部及び末端部3A(一端部)の外縁形状は、細長い長方形に形成されており、基板31全体としては円形と長方形が中心線C1で左右対称となるように接合された外縁形状を有している。
【0054】
基板31の片面には、金や白金等の金属を物理蒸着(PVD,例えばスパッタリング)、或いは化学蒸着(CVD)により金属層を形成し、この金属層に対し、例えばレーザでトリミングを行うことによって、電極32A,リード部34A,及びコンタクトパッド33Aとして使用される金属層と、電極32B,リード部34B,及びコンタクトパッド33Bとして使用される金属層とが形成されている。
【0055】
電極32Aを構成する金属層の上には、例えばカーボンペーストのスクリーン印刷によって形成されたカーボン層(図示せず)が積層されており、電極32Aは、金属層及びカーボン層からなる。カーボン層の上には、グルコースと反応する酵素が固定化された酵素固定化層36(反応物質層)が形成される。
【0056】
これによって、電極32Aは、作用極として機能し、電極32Bは対極として機能する。以下、電極32Aを作用極32Aと表記し、電極32Bを対極32Bと表記することもある。なお、図1に示す例では、参照極の図示が省略されているが、対極32Bをなす金属層の所定領域上に、銀塩化銀を塗布又は印刷することで形成される。
【0057】
酵素固定化層36は、例えば、グルコースと反応する酵素であるグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)が架橋剤であるグルタルアルデヒドによりカーボン層上に固定化されることで形成される。グルコースデヒドロゲナーゼの代わりに、グルコースオキシダーゼ(GOD)を適用することもできる。
【0058】
基端部3Bには、測定機2に対する装着部として機能する円形の貫通孔35が、基端部3Bをなす円形の中心と同心で形成されている。貫通孔35は、上記した中心線C1が貫通孔35の中心を通過するように形成されている。すなわち、貫通孔35は、末端部の中心線上に配置されている。
【0059】
コンタクトパッド33A,33Bは、測定機2内の電子部品と作用極32A及び対極32Bとを電気的に接続するために使用される。図1に示す例では、コンタクトパッド33A,33Bは、貫通孔35の内縁をなす円形と同心の円弧状に夫々形成され、且つ中心線C1を境界に左右対称に形成されている。但し、コンタクトパッドが左右対称(線対称)に配置されることは必須要件ではない。また、コンタクトパッド33A及び33Bは、同一の仮想円上に配置されている。但し、コンタクトパッド33A,33Bは、異なる同心の仮想円上にそれぞれ配置されていても良い。また、コンタクトパッド33A,33Bは、両者又は両者に夫々接続されたリード線が交わらない(絶縁された)状態であれば、コンタクトパッド33A,33Bを配置すべき仮想円のどこに配置されていても良い。
【0060】
図2及び図3に示すように、測定機2の基板2a上面における、グルコースセンサ3の装着位置には、被装着部としての円柱状の軸(柱)21が立設されている。グルコースセンサ3は、片面を上方に向け、その基端部3Bに形成された貫通孔35が軸21に挿通(軸支)されることで、測定機2に対して装着される。このとき、グルコースセンサ3の末端部3Aは、基板2aに設けられた挿通口2cを通じて筺体2の外部に延出する状態とされる。
【0061】
軸21の外径は、貫通孔35の内径とほぼ同径に形成されている。これによって、測定機2に装着されたグルコースセンサ3は、貫通孔35が軸21と同軸で測定機2に装着された状態となり、軸21を中心に回転自在な状態となる。但し、基板2aの上面には、ストッパとして機能する軸22A,22Bが立設されており、基端部3Bから延びるグルコースセンサ3の末端部3Aは、軸22A,22Bの間を通過して挿通口2cへ延出している。
【0062】
従って、図3において、グルコースセンサ3の時計回り方向の回転は、軸22Aで規制され、反時計回り方向の回転は軸22Bで規制される。このように、グルコースセンサ3(基板31)は、軸22Aと軸22Bとの間の範囲で測定機2に対して相対的に揺動(回動)する。
【0063】
なお、軸22A,22Bは、上記したように、グルコースセンサ3の揺動範囲を規制するために設けられたストッパ(規制部)であるので、形状は軸状に限られず、グルコースセンサ3と当接してその回転(揺動)を規制するものであれば良い。
【0064】
例えば、図3において、軸22A及び22Bを省略し、グルコースセンサ3の回転が、挿通口2cを画定する基板2aの内壁(図3中の2c1,2c2)と当接することで、グルコースセンサ3が揺動するようにしても良い。この場合、内壁2c1,2c2がストッパ(規制部)として機能する。
【0065】
グルコースセンサ3の揺動する角度は適宜設定可能である。また、図3に示す例では、グルコースセンサ3の中心線C1が測定機2の基板2a平面の一方向(図3のX方向)に延びた状態を初期位置としたときに、グルコースセンサ3が初期位置から時計回り方向と反時計回り方向とで揺動可能な範囲(角度)は、ほぼ等しくなっている。但し、両方向の揺動範囲が異なっていても良い。
【0066】
次に、測定機2とグルコースセンサ3とを電気的に接続する接続部について説明する。図2及び図3に示すように、測定機2の筐体内には、軸21に対して装着されたグルコースセンサ3のコンタクトパッド33A,33Bに対して夫々当接するコンタクト(端子)23a,23b(図3)が設けられている。図2には、コンタクト23bのみが図示されている。
【0067】
端子23a,23bは、端子23a,端子23b毎に設けられた押しバネ24,24(但し、図2では、端子23aに対応する押しバネ24の図示は省略)の下端に絶縁状態で取り付けられている。押しバネ24の上端は、図2の例では基板6の下面に固定状態で取り付けられている。もっとも、押しバネ24の上端は、筐体内に設けられた支持部材や、筐体の内壁面に固定状態で取り付けられていても良い。
【0068】
各押しバネ24は、端子23a,23bの夫々を下方向へ付勢しており、端子23a,23bの夫々は、対応するコンタクトパッド33A,33Bの上面に押しつけられた状態で接触している。端子23a,端子23bの夫々は、図示しないリード線を介して基板6に設けられた電子部品に接続されている。この結果、作用極32A及び対極32Bが測定機2の電子部品と電気的に接続されている。なお、押しバネ24は、ゴムのようなバネ以外の弾性体であっても良い。
【0069】
各端子23a,23bは、例えば、図3に示すように、X方向に配置された中心線C1と直交し、且つ軸21の中心を通過する直線上に配置される。ここに、基板6は、図示しない支持部材により筐体内で固定配置されている。例えば、基板6は、基板2a又はカバー2bにネジ止めされており、基板2aとカバー2bとを予め決められた位置で接合した場合に、各端子23a,23bが軸21に対して図3に示す位置に配置されるようになっている。
【0070】
上述したように、コンタクトパッド33A,33Bは、貫通孔35(軸21)と同心の円弧状に形成されている。したがって、グルコースセンサ3が軸21を中心に揺動すると、端子23a,23bは、対応するコンタクトパッド33A,33Bの上を円弧の軌跡を描いて相対的に移動(摺動)することになる。図3において、相対的に移動した端子23a,23bを破線で示す。コンタクトパッド33A,33Bを構成する金属層の円弧の長さは、グルコースセンサ3の揺動範囲において、端子23a,23bの夫々が常に一定のコンタクトパッド33A,33Bとの当接状態を維持可能な長さで形成される。
【0071】
なお、グルコースセンサ3の揺動範囲において、コンタクトパッド33A,33Bと端
子23a,23bが好適な当接状態を維持できれば良いので、コンタクトパッド33A,33Bの外縁形状が円弧状であることは必要なく、端子23a,23bの円弧状の移動範囲を含み得る円形,楕円形,長円形、多角形のような様々な形状を適用することができる。もっとも、円弧状に形成することで、コンタクトパッド33A,33Bの面積を最小にして、材料を節約することができる。
【0072】
また、端子23a,23bは、軸21の中心を含む直線状に配置される必要はなく、グルコースセンサ3の揺動に応じて軸21を中心とする円弧上を移動するように配置され、それに対応するコンタクトパッド33A,33Bが形成されていれば良い。また、軸21は、固定軸である例について示しているが、軸21は図示しない軸受けにより支持され、グルコースセンサ3の揺動に応じてグルコースセンサ3と一体に回転するように構成されていても良い。
【0073】
図2に示すように、基板2aの外面には、接着フィルム15が固定されている。接着フィルム15は、測定機2を被検者の皮膚16上に接着固定するために使用される。接着フィルム15として、たとえば、両面粘着性を有する両面テープが適用される。センサユニット4が皮膚上に接着される場合には、筐体下部から延出するグルコースセンサ3の末端部3Aは、皮下に植え込まれ、末端部3Aに設けられたセンサ部(作用極32A,対極32B)が生体内に留置された状態となる。
【0074】
これによって、作用極32A,対極32Bが、皮下間質液中に浸漬された状態となる。この状態において、作用極32Aと対極32Bとの間に所定の電圧が印加されると、作用極32Aの酵素固定化層36のGDHと間質液中のグルコースとが反応して電流が流れ、電流は、間質液中のグルコースを示すシグナルとして、コンタクトパッド及び端子を介して基板6上の電子部品に伝達されることになる。
【0075】
図4は、基板6上に搭載された電子部品群を模式的に示すブロック図である。基板6上には、制御コンピュータ61,ポテンショスタット62,通信部63,電力供給装置64を構成する電子部品群が実装されており、これらは相互に接続されている。
【0076】
ポテンショスタット62は、作用極32Aの電位を参照極(図示せず)に対して一定にする装置である。ポテンショスタット62は、作用極用の端子WEと、対極用の端子CEとを有しており、端子WEは、リード線(図示せず)を介して端子23aに接続されており、端子23aがコンタクトパッド33Aと当接することで、作用極32aと端子WEとが接続される。同様に、端子CEは、リード線(図示せず)を介して端子23bに接続されており、端子23bがコンタクトパッド33Bと当接することで、対極32bと端子CEとが接続される。
【0077】
ポテンショスタット62は、端子WE及びCEを用いて対極32Bと作用極32Aとの間に所定の電圧を印加し、端子WEで得られる作用極32Aの応答電流を測定し、応答電流の測定結果を制御コンピュータ61に送る。
【0078】
制御コンピュータ61は、ハードウェア的には、CPU(中央演算処理装置)のようなプロセッサと、メモリ(RAM(Random Access Memory), ROM(Read Only Memory))のような記録媒体と、図示しない入出力装置(I/O)とを含んでおり、プロセッサが記録媒体(例えばROM)に記憶されたプログラムをRAMにロードして実行することによって、制御部65及び記憶部66を備えた装置として機能する。なお、制御コンピュータ61は、半導体メモリ(EEPROM,フラッシュメモリ)やハードディスクのような、補助記憶装置を含んでいても良い。
【0079】
制御部65は、電極32A,32Bに対する電圧印加のタイミング,印加電圧値,応答電流のサンプリング,グルコース濃度の演算,或いは外部の情報処理端末(表示ユニット5)との通信を制御する。制御の実行の際には、プロセッサ(CPU)は、記憶部66に予め用意されたデータや、記憶部66に設けられた作業領域上に一時的に格納されたデータを使用する。
【0080】
通信部63は、表示ユニット5との間でデータ通信を行い、制御部65によるグルコース濃度の演算結果を表示ユニット5に送信する。データ通信は、ケーブルを用いた有線通信であっても良く、赤外線や無線を用いた非接触通信(例えば、IrDA、ブルートゥース)を適用することも可能である。
【0081】
表示ユニット5は、測定機2と通信する通信部と、表示パネル(ディスプレイ装置)と、ディスプレイ装置の制御装置を含んでいる。表示ユニット5では、測定機2から送信されるグルコース濃度の演算結果を通信部で受信し、制御装置が当該演算結果を所定のフォーマットでディスプレイ装置の表示画面に表示する。表示ユニット5は、その下面に接着フィルムを設けて、測定機2と同様に被検者の皮膚16上に接着配置されるようにしても良い。或いは、表示ユニット5は、測定機2と通信可能な範囲における、皮膚上を除く所定位置に配置することもできる。
【0082】
電力供給装置64は、バッテリ67を有しており、制御コンピュータ61,ポテンショスタット62,通信部63のような電子部品群の各部に動作用の電力を供給する。なお、電力供給装置64は、測定機2の筐体の外部に置くこともできる。
【0083】
なお、制御コンピュータ61の制御部65及び記憶部66としての機能が表示ユニット5に搭載され、測定機2側では、ポテンショスタット62による応答電流の測定結果が通信部63によって表示ユニット5へ送信されるようにしても良い。或いは、制御コンピュータ61及びポテンショスタット62が表示ユニット5に搭載され、グルコースセンサ3に対する電圧印加及び応答電流検出が表示ユニット5に搭載されたポテンショスタット62により実行されるようにしても良い。
【0084】
次に、上述した測定装置1の動作例について説明する。被検者のグルコース濃度を持続的に測定する場合には、センサユニット(測定機2及びグルコースセンサ3)が適正に被検者の所定位置(腹部或いは腕部)に設置され、グルコースセンサ3の末端部3Aが皮下に留置されて電極32A,32Bが間質液中に浸漬される。
【0085】
その後、制御コンピュータ61の制御部65に対し、外部から発せられたグルコース濃度の測定開始指示が入力される。ここに、測定機2は、図示しない入力装置を含んでおり、制御部65は、入力装置を用いて入力される測定開始指示及び測定終了指示に従って、グルコース濃度又は応答電流の測定開始及び測定終了を行う。
【0086】
測定開始指示を受け付けた制御部65は、ポテンショスタット62を制御し、対極32Bと作用極32Aとの間に対する所定の電圧印加を開始し、作用極32Aからの応答電流の測定を開始する。ポテンショスタット62は、電圧印加によって得られる応答電流を夫々測定し、制御部65へ送る。
【0087】
制御部65は、応答電流値(単位時間(t)あたりの電流密度)に基づいて、公知の手法を用いたグルコース濃度の演算処理を行い、時間(t)におけるグルコース濃度を算出する。例えば、記憶部66は、作用極32A上に形成された酵素固定化層36中のGDHに対応するグルコース濃度の検量線データを予め保持しており、制御部65は、検量線データで示される検量線を用いてグルコース濃度を割り出す。或いは、制御部65は、所定
のグルコース濃度の演算式に、応答電流値を代入してグルコース濃度を算出する。制御部65は、グルコース濃度の算出結果を通信部63に送る。
【0088】
通信部63は、制御部65から受け取ったグルコース濃度の算出結果を表示ユニット5へ送信する。その後、制御部65は、測定終了指示が入力されるまで、応答電流値の測定及びグルコース濃度の算出処理を持続的に行い、表示ユニット5に伝達する。表示ユニット5では、測定機2からグルコース濃度の算出結果(測定結果)が連続して受信されることで、例えば、制御装置がグルコース濃度の時間変化をプロットしたグラフを作成し、ディスプレイ装置の表示画面に表示する。
【0089】
第1実施形態によると、上記動作例における応答電流の測定中に、被検者が動いたり、測定機2の筐体に外部から力が加わったりすると、皮下に植え込まれているグルコースセンサ3の末端部3Aに外力が加わることがある。このとき、グルコースセンサ3は、軸21を中心として揺動自在に測定機2に装着されているので、グルコースセンサ3が測定機2に対して相対的に揺動することで、外力を吸収することができる。これによって、末端部3B周りの被検者の組織が傷つくことが防止される。
【0090】
また、第1実施形態では、グルコースセンサ3の揺動によって相対的に端子23a,23bが移動する範囲に亘ってコンタクトパッド33A,33Bが設けられているので、グルコースセンサ3が揺動しても電極32A,32Bと測定機2との良好な電気接続状態を維持することができる。
【0091】
第1実施形態は、以下のような変形が可能である。すなわち、第1実施形態におけるグルコースセンサ3の基板31(図1)の外縁形状は、矩形の一端部(中間及び末端部3A)と、円形の他端部(基端部3B)とが接合された形状を有する。すなわち、基板31の他端部の全部の外縁形状が曲線(円弧)で構成されている。これに対し、他端部の外縁形状の一部が直線部分を有する、すなわち、他端部の外縁形状が曲線及び直線で形成されていても良い。また、グルコースセンサ3全体の外縁形状は、三角形や多角形で構成されていても良い。
【0092】
図5及び図6は、第1実施形態の変形例を示す図である。図5は、変形例に係るグルコースセンサ3aを、上述した測定機2に装着した状態を模式的に示す平面図である。図5において、グルコースセンサ3aは、基端部3Bの外縁形状が矩形である点で、グルコースセンサ3(図1)と異なる。
【0093】
具体的には、図5に示すグルコースセンサ3aの外縁形状は、次のように説明可能である。すなわち、基板31の平面視状態において、基板31の一端部としての中間部及び末端部3Aは、グルコースセンサ3a(電気化学センサ)の長手方向(中心線C1方向又は中心線C1に沿った方向)に夫々延びて相互に対向する第1辺37a及び第2辺37bを有する。これに対し、基板31の他端部としての基端部3Bは、グルコースセンサ3aの長手方向に夫々延びて相互に対向する第3辺38a及び第4辺38bを有している。第1辺37aと第3辺38aとは、上記長手方向と交わる方向の他の辺38cを挟んで連結されている。一方、第2辺37bと第4辺38bとは、上記長手方向と交わる方向の他の辺38dを挟んで連結されている。
【0094】
なお、図5の例では、他の辺38c及び38dは、長手方向(中心線C1方向)に対して直交する方向に配置されている。もっとも、他の辺は、長手方向に対して直角以外で交わる方向に配置されていても良い。或いは、他の辺38c,38dは、曲線であっても良い。
【0095】
また、図5に示す変形例では、グルコースセンサ3aの中心線C1(一端部の中心線)が軸21の中心を通過するようにされ、グルコースセンサ3aは、中心線C1を境に左右対称に構成されている。一方、測定機2は、グルコースセンサ3aの揺動を規制する軸22A,22B(図3)を備えておらず、グルコースセンサ3aの揺動は、挿通口2cの内壁2c1,2c2によって規制される。その他の構成、及び作用効果は、図1に示したグルコースセンサ3とほぼ同様である。
【0096】
図6に示す変形例に係るグルコースセンサ3bは、グルコースセンサ3aと同様に他端部(基端部3B)が矩形に構成されている。しかしながら、グルコースセンサ3bは、第1辺37aと第3辺38aとが他の辺を挟まず直接接続され、第1辺37aと第3辺38aとが接続された直線部分の外縁形状を含む点で、グルコースセンサ3aと異なる。また、グルコースセンサ3bは、その一端部の中心線C2が軸21の中心を通過しない状態となっている。なお、図6の例においても、図5の例と同様に、測定機2は、軸22A,22Bを備えておらず、グルコースセンサ3bの揺動が内壁2c1,2c2で規制される。図6の例に示すように、一端部の中心線が軸21の中心を通過することは必須の構成要件ではなく、グルコースセンサの外縁形状が左右対称であることも必須の構成要件ではない。
【0097】
なお、上記したように、他端部の外縁形状は、直線及び曲線からなるようにしても良く、例えば、図5や図6に示したグルコースセンサ3a,3bにおいて、他端部の外縁をなす辺の少なくとも1つが曲線で構成されていても良い。
【0098】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第2実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0099】
図7は、第2実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3c)の構成例を示す図である。図8は、測定機に装着されたグルコースセンサ3cを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0100】
図7に示すように、第2実施形態に係るグルコースセンサ3cは、グルコースセンサ3(図1)が備える貫通孔35の代わりの切り欠き部71を有する点で、第1実施形態に係るグルコースセンサ3と異なる。切り欠き部71は、円形の第1の部分71aと、第1の部分71aと基端部3Bの外縁とを連絡するように形成された直線状の第2の部分71bとを有している。
【0101】
第1の部分71aは、第1実施形態における貫通孔35に相当するものであり、その内径は、軸21の外径に合わせて形成され、第1の部分71aの内縁は、軸21と同心となるように形成されている。これに対し、第2の部分71bの幅は、軸21の外径よりも小さくされている。以上の点を除き、第2実施形態に係るグルコースセンサ3cの構成は、第1実施形態のグルコースセンサ3と同様である。グルコースセンサ3cは、第1実施形態で説明した測定機2,表示ユニット4に適用可能であり、第1の実施形態で説明したようなグルコースの持続的測定を実施することができる。
【0102】
第2実施形態によると、グルコースセンサ3cは、切り欠き部71を備える。グルコースセンサ3cを測定機2に装着するに当たり、切り欠き部71の第2の部分71bに軸21が挿入されるようにグルコースセンサ3cを押し込み、軸21が第1の部分71a内に嵌め込むことによって、グルコースセンサ3cが測定機2に装着された状態となる。この
ため、第1実施形態の貫通孔35を軸21に挿通させる場合に比べて、装着作業が簡易となる。
【0103】
なお、第2の部分71bの幅は、例えば、軸21の半径以下として、軸21が第1の部分71aから容易に抜けないようにすることができる。また、図7及び図8の例では、第2の部分がグルコースセンサ3cの長手方向(中心線C1方向)に設けられた例について示したが、長手方向と交わる方向(例えば、直交する方向)に設けることができる。この場合、軸21に装着されたグルコースセンサ3cを長手方向に引っ張る力に抗してグルコースセンサ3cが軸21から外れてしまうのを防止することができる。
【0104】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第3実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0105】
図9は、第3実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3d)が測定機2に装着された状態を模式的に示す。図10は、測定機2に装着されたグルコースセンサ3dを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0106】
図9および図10に示すように、第3実施形態に係るグルコースセンサ3dは、第1実施形態に係るグルコースセンサ3が有する貫通孔35の代わりの凹部81a及び凹部81bを備えている。
【0107】
凹部81aは、グルコースセンサ3dの基端部3Bにおいて、基板31のコンタクトパッド33A,33B(電極32A,32B(図示省略))が形成された面(電極形成面と称する)に形成され、凹部81bは、電極形成面の逆面に、凹部81aと同軸で形成されている。各凹部81a,81bは、グルコースセンサ3dの基端部3Bの外縁形状をなす円形と同心の円形に形成され、グルコースセンサ3dの中心線C1は、各凹部81a,81bの中心を通過する。
【0108】
一方、図9に示すように、測定機2の筐体内には、第1実施形態における軸21の代わりの軸(凸部)21A,21Bが設けられている。軸21Bは、基板2aの上面におけるグルコースセンサ3dの装着位置に立設されており、グルコースセンサ3dの基端部3Bは、軸21Bに凹部81bが挿入された状態で装着位置に載置される。軸21Aの一端部は、例えば基板6の下面に取り付けられて支持されており、基板2aとカバー2bとが適正に接合された場合に、軸21Aの他端部が凹部81aに挿入されるようになっている。なお、軸21Aの一端部は、カバー2bの内面に取り付けられて支持されるようにしても良い。
【0109】
このように、第3実施形態では、凹部81a及び81bは、軸21A及び21Bの軸受けとして機能し、凹部81a及び81bに対して軸21A及び21Bが同軸で挿入されている。すなわち、凹部81a,81bには、測定機2が有する、グルコースセンサ3dの装着時に同一直線上に対向状態で配される二つの軸21A,21Bの各端部が挿入される。これによって、グルコースセンサ3dはセンサ平面方向に揺動自在となっている。
【0110】
以上の構成を除き、グルコースセンサ3d,測定機2,及び表示ユニット5の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第3実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第4実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0112】
図11は、第4実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3e)が測定機2に装着された状態を模式的に示す。図12は、測定機2に装着されたグルコースセンサ3eを平面視した状態を模式的に示す。
【0113】
図11および図12に示すように、第4実施形態に係るグルコースセンサ3eは、第1実施形態に係るグルコースセンサ3が有する貫通孔35の代わりの凸部91a及び凸部91bを備えている。図11では、端子23a(23b)及び押しバネ24の図示は省略されている。
【0114】
凸部91aは、グルコースセンサ3eの基端部3Bにおいて、基板31のコンタクトパッド33A,33B(電極32A,32B(図示省略))が形成された電極形成面に形成されている。凸部91bは、電極形成面の逆面に、凸部91aと同軸で形成されている。凸部91a,91bの夫々は、グルコースセンサ3eの基端部3Bの外縁形状をなす円形と同心の円柱状に形成され、グルコースセンサ3eの中心線C1は、各凸部91a,91bの中心を通過する。
【0115】
一方、図11に示すように、測定機2の筐体内には、第1実施形態における軸21の代わりの凹部93と軸受け部94とが設けられている。凹部93は、基板2aの上面におけるグルコースセンサ3eの装着位置に形成されており、グルコースセンサ3eの基端部3Bは、凸部91bが凹部93に挿入された状態で装着位置に載置される。凹部93は、凸部91bに対する軸受けとして機能する。
【0116】
一方、軸受け部94の一端部は、例えば基板6の下面に取り付けられて支持されており、基板2aとカバー2bとが適正に接合された場合に、軸受け部94の他端部に設けられた凹部95に対し、凸部91aが挿入されるようになっている。このように、凹部95は凸部91aの軸受けとして機能する。なお、軸受け部94の一端部は、カバー2bの内面に取り付けられて支持されるようにしても良い。
【0117】
このように、第4実施形態では、測定機2に対するグルコースセンサ3eの装着状態において、グルコースセンサ3eが有する凸部91a及び91bが測定機2に設けられた凹部93及び95に挿入される。すなわち、グルコースセンサ3eは、基板31の電極形成面及び逆面に同軸で形成された二つの凸部91a,91bを含み、凸部91a及び91bは、測定機2が有する二つの凹部93,95に挿入される。そして、凸部91a,91bと凹部93,95が同軸で配された状態となることで、グルコースセンサ3eはセンサ平面方向に揺動自在となっている。
【0118】
以上の構成を除き、グルコースセンサ3e,測定機2,及び表示ユニット5の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第4実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0119】
なお、第3実施形態における凹部81b及び軸21Bの構成と、第4実施形態における凸部91b及び凹部93の構成とは置換可能である。また、第4実施形態における凸部91a及び軸受け部94(凹部95)の構成と、第3実施形態における凹部81a及び軸21Aの構成とは置換可能である。すなわち、電極形成面と逆面との一方に凸部を有し、他
方に凹部を有するグルコースセンサ(電気化学センサ)を構成することも可能である。
【0120】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第5実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0121】
図13は、第5実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3f)の構成例を示す図である。図14は、第5実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3f)が測定機2に装着された状態を模式的に示す。図15は、測定機2に装着されたグルコースセンサ3fを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0122】
図13および図15に示すように、第5実施形態に係るグルコースセンサ3fは、第1実施形態に係るグルコースセンサ3が有する貫通孔35の代わりの装着部としての貫通孔101a,101bを備えている。
【0123】
図13に示す例では、コンタクトパッド33A及び33Bの内側に、コンタクトパッド33A及び33Bがなす円弧の中心CPと同心の円弧状の貫通孔101a,101bが形成されている。貫通孔101a,101bは、円弧の中心CPを通過する中心線C1に対して線対称に配置されている。但し、貫通孔101a,101bが線対称に配置されることは必須要件ではない。また、貫通孔101a,101bを、中心CPを中心とする円のどの直径に対して線対称とするかは適宜設定可能である。また、貫通孔101a,101bは、相互に同心であれば良く、その円弧の曲率半径は異なっていても良い。また、貫通孔101a,101bの少なくとも一方がコンタクトパッド33A,33Bの外側に形成されていても良い。
【0124】
一方、図14及び図15に示すように、測定機2の筐体内には、第1実施形態における軸21の代わりの二つの軸102a,102b(図14では軸102bのみ図示)が設けられている。軸102a,102bは、基板2aの上面におけるグルコースセンサ3fの装着位置に立設されている。グルコースセンサ3fの基端部3Bは、貫通孔101aが軸102aに挿入され、且つ貫通孔101bが軸102bに挿入された状態で装着位置に載置される。
【0125】
このように、第5実施形態では、測定機2に対するグルコースセンサ3fの装着状態において、グルコースセンサ3fが有する貫通孔101a,101bに対し、測定機2に設けられた軸102a,102bが挿入された状態となる。これによって、グルコースセンサ3fはセンサ平面方向に揺動自在となっている。
【0126】
グルコースセンサ3fが図15の時計回り方向に揺動するとき、その揺動は、貫通孔101a,101b内を移動する軸102a,102bによって制御され、軸102aが貫通孔101aの末端部3A側の端部と当接、及び/又は軸102bが貫通孔101bの基端部3B側の端部と当接することによって、グルコースセンサ3fの時計回りの揺動が停止する。これに対し、反時計回り方向の揺動については、軸102bが貫通孔101bの末端部3A側の端部と当接、及び/又は軸102aが貫通孔101aの基端部3B側の端部と当接することによって、揺動が停止される。従って、第5実施形態では、ストッパである軸22A,22Bが省略されている。
【0127】
以上の構成を除き、グルコースセンサ3f,測定機2,及び表示ユニット5の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第5実施形態によれば、第1実施形態と
ほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第6実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0129】
図16は、第6実施形態に係る電気化学センサ(グルコースセンサ3g)が測定機2に装着された状態を模式的に示す。図17は、測定機2に装着されたグルコースセンサ3gを上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0130】
図17に示すように、第6実施形態に係るグルコースセンサ3gは、第1実施形態に係るグルコースセンサ3が有する貫通孔35を備えていない。グルコースセンサ3gの基端部3Bの外縁形状は、円形をなしている。
【0131】
一方、図16に示すように、基板2aの上面における、グルコースセンサ3gの装着位置には、グルコースセンサ3gの被装着部をなす載置部110が設けられている。載置部110は、基板2aの上面に立設された側壁111を有する。側壁111は、挿通口2cに向かう側が除かれた円筒状に形成されており、端部112a及び112bを有する。
【0132】
側壁111の内側の側面は、円筒周面で形成されている。側壁111の内径は、グルコースセンサ3gの基端部3Bの外径に合わせて形成されており、グルコースセンサ3gの末端部3A側が側壁111が設けられていない部分に位置する状態で、基端部3Bが側壁111で囲まれた基板2aの上面(載置部110の底面113と称する)に載置されることで、グルコースセンサ3gは測定機2に装着される。このとき、側壁111の中心軸と基端部3Bの中心CPとがほぼ一致した状態となる。
【0133】
端部112aと端部112bとの間には、グルコースセンサ3gの末端部3A側(図17の例では中間部)の幅長さよりも長い距離が設けられており、グルコースセンサ3gは、端部112aと端部112bとの一方に当接するまで、側壁111の中心軸を中心に回転可能となっている。このとき、側壁111の内面が基端部3Bの外縁形状に合わせて形成されていることで、基端部3Bの中心が側壁111の中心軸から殆どずれることなく基端部3Bが回転することになる。従って、第6実施形態では、物理的な軸は設けられていないが、側壁111によって規定された中心軸を中心としてグルコースセンサ3gはセンサ平面方向に揺動自在となっている。そして、側壁111の端部112a,112bが夫々ストッパとして機能し、グルコースセンサ3gの揺動範囲を規制する。
【0134】
以上の構成を除き、グルコースセンサ3g,測定機2,及び表示ユニット5の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。第6実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。なお、図16及び図17の例では、載置部110は、一つの側壁111を有するように構成されているが、複数の側壁が間欠的に設けられ、複数の側壁が全体として基端部3Bの回転軸(揺動軸)を規定する円筒周面を形成するようにしても良い。
【0135】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態として、グルコースセンサと測定機2との良好な電気的接続状態を維持するための他の構成例について説明する。第7実施形態は、第1実施形態と共通点を含むので、主として相違点について説明し、共通点については説明を省略する。また、第2実施形態に係るグルコースセンサ及び測定機
の構成において、第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付す。
【0136】
図18は、電気化学センサと測定機との電気的接続にスリップリングを適用した例を示す図である。図18(A)は軸に取り付けられた電気化学センサ(グルコースセンサ)をスリップリングにより測定機に接続する部分の要部を側方から見た状態を模式的に示す。図18(B)は、図18(A)に示した要部を上方から平面視した状態を模式的に示す。
【0137】
図18(A)及び図18(B)に示すように、第7実施形態に係るグルコースセンサ3hは、全体の外縁形状が矩形に形成されている。グルコースセンサ3hを構成する基板31の片面には、電極形成面として二つの帯状の金属層が略平行に形成されており、金属層の一方は、作用極32A及びリード部34Aとして使用され、他方は対極32B及びリード部34Bとして使用される。作用極32Aとして使用される部分には、カーボン層が積層され、さらにその上に酵素固定化層36が形成されている。
【0138】
図18(A)に示すように、グルコースセンサ3hの基端部3Bには、第1実施形態と同様に、貫通孔35が形成されている。貫通孔35は、測定機2の筐体内に立設された軸121に挿通される。これにより、グルコースセンサ3hが測定機2に装着される。
【0139】
図18(A)に示す例では、軸121の下端部は、基板2aの上面に形成された軸受けとしての凹部122aに挿入され、軸121の上端部は、カバー2bに形成された軸受けとしての凹部122bに挿入されている。図18(A)に示す例では、軸121は、貫通孔35に強く嵌っており、グルコースセンサ3hの揺動に応じて軸121が一体に回転する。
【0140】
軸121には、リード部34A(作用極32A)とポテンショスタット62(図4)の端子WEとを電気的に接続するとともに、リード部34B(対極32B)とポテンショスタット62の端子CEとを電気的に接続するためのスリップリング123が設けられている。
【0141】
スリップリング123は、軸121に固定された筒状の絶縁体124と、絶縁体124の外面に周方向に亘って設けられたリング状の二つの導体125,126と、各導体125,126に夫々接続され、絶縁体124の内部を通って絶縁体124の下部から外部に延出するリード線127及びリード線128とを含んでいる。リード線127及びリード線128のそれぞれは、リード部34A,34Bと公知の手法(例えば、ハンダ付け)によりそれぞれ接続されている。このため、グルコースセンサ3hには、コンタクトパッドは設けられていない。
【0142】
スリップリング123は、さらに、導体125に常時当接(接触)するブラシ129と導体126に常時当接(接触)するブラシ130とを有しており、ブラシ129は端子WEに接続され、ブラシ130は端子CEに接続されている。
【0143】
これによって、作用極32Aは、リード部34A,リード線127,導体125,及びブラシ129を介して端子WEに接続される。一方、対極32Bは、リード部34B,リード線128,導体126,及びブラシ130を介して端子CEに接続される。
【0144】
これによって、グルコースセンサ3hの揺動によって軸121が回転しても、ブラシ129および130が導体125,126に接触し続けることで、グルコースセンサ3hと測定機2との良好な電気接続状態を維持することができる。
【0145】
第7実施形態では、板状に形成されたグルコースセンサについて説明した。但し、第7
実施形態で説明したグルコースセンサ3hは、板状以外の形状であっても良く、例えば棒状に形成されていても良い。棒状のグルコースセンサは、例えば、米国特許第7460898号
,第7424318号,第7467003号,第7366556号に開示された形状を有することができる。
【符号の説明】
【0146】
C1・・・中心線
CP・・・中心
1・・・RT−CGM装置(測定装置)
2・・・測定機
2a・・・基板
2b・・・カバー
2c・・・挿通口
2c1,2c2・・・挿通口の内壁
3,3a〜3h・・・電気化学センサ(バイオセンサ、グルコースセンサ)
3A・・・末端部
3B・・・基端部
4・・・センサユニット
5・・・表示ユニット
6・・・基板
15・・・接着テープ
16・・・皮膚
21・・・軸(揺動軸)
21A,21B・・・軸(凸部)
22A,22B・・・軸(ストッパ)
23a,23b・・・端子
24・・・押しバネ
31・・・基板
32A,32B・・・電極
33A,33B・・・コンタクトパッド
34A,34B・・・リード部
35・・・貫通孔
36・・・酵素固定層
37a・・・第1辺
37b・・・第2辺
38a・・・第3辺
38b・・・第4辺
38c,38d・・・他の辺
61・・・制御コンピュータ
62・・・ポテンショスタット
63・・・通信部
64・・・電力供給装置
65・・・制御部
66・・・記憶部
67・・・バッテリ
71・・・切り欠き部
71a・・・第1の部分
71b・・・第2の部分
81a,81b・・・凹部
91a,91b・・・凸部
101a,101b・・・貫通孔(カムフォロア)
102a,102b・・・軸(カム)
110・・・載置部
111・・・側壁
112a,112b・・・側壁の端部
113・・・基板上面(載置部底面)
121・・・軸
122a,122b・・・凹部
123・・・スリップリング
124・・・絶縁体
125,126・・・導体
127,128・・・リード線
129,130・・・ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部と他端部とを有する基板と、
前記基板の一端部上に形成された電極部と、
前記基板の他端部上に形成され、前記電極部と測定機とを電気的に接続するための接続部と、
前記他端部に形成され、前記一端部が前記測定機に対して相対的に揺動可能な状態で、前記他端部を前記測定機に装着するための装着部と、
を含む電気化学センサ。
【請求項2】
前記装着部は、前記測定機が有する軸に挿通される貫通孔を含み、前記一端部は、前記軸を中心に揺動する、
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項3】
前記装着部は、前記測定機が有する軸の外径に応じた径を有し前記他端部の外縁に接しないように形成された第1の部分と、該第1の部分と前記他端部の外縁とを連絡し、前記軸の外径より小さい間隙を形成する第2の部分とを含む、前記基板の前記他端部に形成された切り欠き部を含む、
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項4】
前記装着部は、前記基板の前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凹部を含み、前記各凹部には、前記測定機が有する、前記電気化学センサの装着時に同一直線上に対向状態で配される二つの軸又は凸部の各端部が挿入される、
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項5】
前記装着部は、前記基板の前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凸部を含み、前記各凸部は、前記測定機が有する二つの凹部に挿入される、
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項6】
前記装着部は、前記基板の前記電極部の形成面と当該形成面の逆面の一方に設けられ、前記測定機が有する凸部が挿入される凹部と、該凹部と同軸で前記形成面及び前記逆面の他方に設けられ、前記測定機が有する凹部に挿入される凸部とを含む、
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項7】
前記装着部は、前記他端部に形成された、同一の円周上に形成された少なくとも二つの円弧状の貫通孔を含み、前記少なくとも二つの円弧状の貫通孔は、前記測定機が有する少なくとも二つの軸に挿通される
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項8】
前記他端部が円形に形成されており、前記他端部は、前記測定機に設けられた、底面と該底面に立接された前記他端部の外径に応じた円筒周面を有する側壁とを含む載置部に載置される
請求項1に記載の電気化学センサ。
【請求項9】
前記接続部は、前記測定機に設けられたスリップリングを介して、前記測定機と前記電極部とを電気的に接続する、
請求項1から8の何れか1項に記載の電気化学センサ。
【請求項10】
請求項1に記載の電気化学センサが装着され、前記電極からの信号を測定する測定機であって、前記接続部と前記測定機とを電気的に接続するための測定機側接続部と、前記他
端部を、前記一端部が前記測定機に対して相対的に揺動する状態で保持する被装着部と、を含む測定機。
【請求項11】
前記被装着部は、前記電気化学センサが取り付けられ、前記一端部の揺動の中心となる軸を含む
請求項10に記載の測定機。
【請求項12】
前記被装着部は、同一直線上に対向状態で配された二つの軸又は凸部を有し、前記各軸又は凸部の端部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凹部の夫々に挿入される
請求項10に記載の測定機。
【請求項13】
前記被装着部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面及び当該形成面の逆面に同軸で形成された二つの凸部が挿入される二つの凹部を含む
請求項10に記載の測定機。
【請求項14】
前記被装着部は、前記電気化学センサの前記電極部の形成面と当該形成面の逆面との一方に形成された凹部に挿入される凸部と、前記凹部と同軸で前記形成面と前記逆面との他方に形成された凸部が挿入される凹部とを含む
請求項10に記載の測定機。
【請求項15】
前記被装着部は、前記電気化学センサの前記他端部に形成された、同一の円周上に形成された少なくとも二つの円弧状の貫通孔に挿通される少なくとも二つの軸を含む
請求項10に記載の測定機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−2804(P2012−2804A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110947(P2011−110947)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】