説明

電気化学燃料電池システム向けの電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリ

電気化学燃料電池システムに流体を供給するための電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリであって、該システムは、電気的に直列接続された少なくとも2つの燃料電池スタックを備え、各燃料電池スタックは、入口流体ポートおよび出口流体ポートを備え、該マニホルドアセンブリは、一次入口流体ラインと;一次出口流体ラインと;少なくとも2つのブランチ入口流体ラインであって、該一次入口流体ラインを該少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートに流体接続する、少なくとも2つのブランチ入口流体ラインと;少なくとも2つのブランチ出口流体ラインであって、該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートを該一次出口流体ラインに流体接続する、少なくとも2つのブランチ出口流体ラインとを備える、流体マニホルドアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、電気化学燃料電池システムに関し、そして、より具体的には、電気化学燃料電池システム向けの電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
電気化学燃料電池は、反応剤(すなわち、燃料および酸化剤)を変換して、電力および反応産物を生成する。電気化学燃料電池は、一般的に、2つの電極(すなわち、カソードおよびアノード)の間に配置された電解質を用いる。電解質と電極との間の界面に配置された電気触媒は、典型的には、電極で所望の電気化学反応を引き起こす。電極触媒の位置は、一般的に、電気化学的に活性なエリアを規定する。
【0003】
ポリマ電界質膜(PEM)燃料電池は、一般的に膜電極接合体(MEA)を用いる。このMEAは、流体拡散層として、2つの多孔性の導電性シート材料(例えば、炭素繊維紙または炭素布(carbon cloth))を備える2つの電極層の間に配置された固体ポリマ電界質またはイオン交換膜を備える。典型的なMEAにおいて、電極層は、典型的には薄くて柔軟性のあるイオン交換膜への構造的支持を提供する。膜は、イオン伝導性(典型的には、プロトン伝導性)であり、また、反応剤のストリームをお互いから遮断するためのバリアとしても機能する。膜の別の機能は、2つの電極層間の電気絶縁体として機能することである。典型的な市販のPEMは、商品名NAFION(登録商標)で、E.I. Du Pont de Nemours and Companyによって販売されているパーフルオロカーボンスルホン酸膜である。
【0004】
上述のように、MEAは、電気触媒をさらに備え、この電気触媒は、典型的には、各膜/電極層界面で層の中に配置された微粉砕白金粒子を備え、所望の電気化学反応を引き起こす。この電極は、外部負荷を介して電極間の電子を導くための経路を提供するために、電気的に結合される。
【0005】
燃料電池において、MEAは、反応剤の流体ストリームに実質的に不浸透性である2つの導電性セパレータプレートの間に、典型的に置かれている。プレートは、集電体として機能し、電極に対するサポートを提供する。電気化学的に活性なエリアで反応剤の流体ストリームの分布を制御するために、MEAに面するプレートの表面は、そのプレートの中に形成される蓋のないチャネルを有し得る。このようなチャネルは、流れ場エリアを規定し、この流れ場エリアは、隣接する電気化学的に活性なエリアに、一般的に対応する。このようなセパレータプレートは、これらのプレート内に形成される反応剤チャネルを有し、これらのプレートは、流れ場プレートとして周知である。
【0006】
燃料電池スタックにおいて、アセンブリの全体の出力パワーを高めるために、複数の燃料電池が一緒に、典型的には直列に結合される。このような配置において、所与のセパレータプレートの一方の側は、一つのセルに対してアノードプレートとして機能し得、プレートの他方の側は、隣接するセルに対してカソードプレートとして機能する。この配置において、これらのプレートはバイポーラプレートと称され得る。
【0007】
アノードに供給される燃料流体ストリームは、典型的には水素を備える。例えば、燃料流体ストリームは、実質的に純水素のような気体であり得るか、あるいは水素を含む改質ストリームであり得る。代替として、含水メタノールのような液体燃料ストリームが使用され得る。カソードに供給される酸化剤流体ストリームは、実質的に純酸素のような酸素、あるいは空気のような希釈酸素ストリームを典型的に備える。
【0008】
燃料電池スタックにおいて、反応剤流体ストリームは、マニホルドポートを介して、供給マニホルドおよび排出マニホルドによって、それぞれの流れ場エリアおよび電極に供給および排出される。これらのマニホルドは、セパレータプレート内のアラインされた開口部を介して延びる内部マニホルドであり得るか、あるいはセパレータプレートのエッジに取り付けられた外部マニホルドまたはエッジマニホルドを備え得る。
【0009】
追加として、さらなるマニホルド、マニホルドポート、およびチャネルが提供され得る。これは、燃料電池スタックを通る冷却液流体ストリームを循環させ、発熱性の燃料電池反応によって生成される熱を吸収するためである。例えば、典型的な燃料電池スタックにおいて、冷却液流体ストリームは、セパレータプレート内のそれぞれの内部通路または閉じたチャネルを通って循環する。しかしながら、冷却液流体ストリームと導電性セパレータプレートとの間での接触は、望ましくない寄生シャント電流が冷却液を介して流れる原因となり得る。これらのリーク電流は、短絡を招き得て、電界腐食を引き起こし得、冷却液を電解し得、こうして、システム効率を低下させる。
【0010】
今日まで、このようなリーク電流の量を最小化する努力は、冷却液マニホルド、マニホルドポート、およびチャネルを介して流れる冷却液流体ストリームを電気的に絶縁すること、および/または冷却液流体自身の導電性を低下することに焦点が置かれてきた。例えば、特許文献1は、燃料電池スタックの冷却液の入口ポートと出口ポートとを電気的にフローティングすること、あるいはマニホルドで絶縁冷却液ポートを用いることによって、全体的なネットワーク絶縁抵抗を増やすことを開示している。しかしながら、このような実施形態は、ほとんどの冷却液ポートが導電性材料で製造されていることから、感電を招き得る。さらに、非金属製のポートの多くは、システムの信頼性および頑強性の要求を満たさない。代替として、特許文献2は、冷却液流体の導電性を低く保つ方法を開示している。
【特許文献1】米国特許第6,773,841号明細書
【特許文献2】国際公開第00/17951号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、この分野における進歩がなされてきたものの、燃料電池システムにおいて、リーク電流の量を最小化する改善されたシステムおよび方法に対するニーズがこの技術分野において残っている。本発明は、これらのニーズに対処し、さらなる関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡単に述べると、本発明は、電気化学燃料電池システム向けの電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリに向けられる。
【0013】
一実施形態において、本発明は、電気化学燃料電池システムに流体を供給するための電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリを提供する。該システムは、電気的に直列接続された少なくとも2つの燃料電池スタックを備え、各燃料電池スタックは、入口流体ポートおよび出口流体ポートを備える。該マニホルドアセンブリは、(1)一次入口流体ラインと、(2)一次出口流体ラインと、(3)少なくとも2つのブランチ入口流体ラインであって、該一次入口流体ラインを該少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートに流体接続する、少なくとも2つのブランチ入口流体ラインと、(4)少なくとも2つのブランチ出口流体ラインであって、該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートを該一次出口流体ラインに流体接続する、少なくとも2つのブランチ出口流体ラインとを備え、該ブランチ入口流体ラインおよび該ブランチ出口流体ラインは、電気抵抗が、(a)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートおよび該一次入口流体ラインと、(b)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートおよび該一次出口流体ラインとの間で、本質的に同じであるように構成される。
【0014】
上記流体マニホルドアセンブリのさらなる実施形態において、上記燃料電池システムは、2つの燃料電池スタックを備え、上記ブランチ入口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの上記入口流体ポートに等距離な点で上記一次入口流体ラインに接続し、上記ブランチ出口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの上記出口流体ポートに等距離な点で上記一次出口流体ラインに接続する。
【0015】
上記流体マニホルドアセンブリのさらなる別の実施形態において、上記燃料電池システムは、2つの燃料電池スタックを備え、上記ブランチ入口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの上記入口流体ポートに等距離でない点で上記一次入口流体ラインに接続し、上記ブランチ出口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの上記出口流体ポートに等距離でない点で上記一次出口流体ラインに接続する。
【0016】
上記流体マニホルドアセンブリのさらなる別の実施形態において、上記燃料電池システムは、4つの燃料電池スタックを備え、上記ブランチ入口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの上記入口流体ポートの間のメジアン(median)に沿った点で上記一次入口流体ラインに接続し、上記ブランチ出口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの上記出口流体ポートの間のメジアンに沿った点で上記一次出口流体ラインに接続する。
【0017】
上記流体マニホルドアセンブリのさらなる別の実施形態において、上記燃料電池システムは、4つの燃料電池スタックを備え、上記ブランチ入口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの上記入口流体ポートの間のメジアンに沿っていない点で上記一次入口流体ラインに接続し、上記ブランチ出口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの上記出口流体ポートの間のメジアンに沿っていない点で上記一次出口流体ラインに接続する。
【0018】
上記流体マニホルドアセンブリのより具体的な実施形態において、上記流体は、冷却液である。
【0019】
上記流体マニホルドアセンブリのより具体的な別の実施形態において、(a)上記少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートおよび上記一次入口流体ラインの電気抵抗と、(b)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートおよび上記一次出口流体ラインの電気抵抗との間の差は、該電気抵抗の最大の約5%未満である。
【0020】
本発明のこれらの局面および他の局面が、添付図面と以下の詳細な説明を参照して、明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
以下の説明において、ある特定の詳細が、本発明の様々な実施形態の十分な理解を提供するために述べられる。しかしながら、当業者は、本発明は、これらの詳細がなくても実行し得ることを理解し得る。他の例において、燃料電池スタックと関連する周知の構造は、本発明の実施形態の説明を不必要に曖昧にするのを避けるために、詳細に記載されない。文脈上、他の意味に解釈されないかぎり、本明細書および請求の範囲全体を通じて、単語「備える(comprise)」と、「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」などのその変化形とは、「含むが、限定しない」という意味で、開かれた包括的な意味(open,inclusive sense)と解釈されるべきである。
【0022】
図1は、電気化学燃料電池システム120に流体を供給するための流体マニホルドアセンブリ100の模式図である。供給される流体は、反応剤流体(すなわち、燃料または酸化剤)または冷却剤流体であり得る。図示されるように、燃料電池システム120は、高電圧負荷124に電気的に直列に接続された複数の燃料電池スタック(または燃料電池ロー(row))122を備える。図示された実施形態において、燃料電池システム120は、4つの燃料電池スタック122を備える。しかしながら、当業者は、他の実施形態において、燃料電池システム120は、これより多い数または少ない数の燃料電池スタック122を備え得ることを理解し得る。各燃料電池スタック122は、入口流体ポート126および出口流体ポート128を備える。
【0023】
図1にさらに示されるように、流体マニホルドアセンブリ100は、一次入口流体ライン130および一次出口流体ライン140を備え、これらの双方は、(例えば、燃料電池システム120および流体マニホルドアセンブリ100が車両で使用されるとき、車両のシャシ150への電気的接続によって)接地される。流体マニホルドアセンブリ100は、複数のブランチ入口流体ライン132および複数のブランチ出口流体ライン142をさらに備える。複数のブランチ入口流体ライン132は、一次入口流体ライン130を燃料電池スタック122の各入口流体ポート126に流体接続する。複数のブランチ出口流体ライン142は、複数のブランチ出口流体ライン142は、燃料電池スタック122の各出口流体ポート128を一次出口流体ライン140に流体接続する。図示された実施形態において、4つのブランチ入口流体ライン132および4つのブランチ出口流体ライン142が描かれているが、他の実施形態において、流体マニホルドアセンブリ100は、これより多い数または少ない数のブランチ入口流体ラインおよびブランチ出口流体ラインを備え得ることを、当業者は理解する。
【0024】
上述のように、流体マニホルドアセンブリ100を通って循環する流体と(燃料電池スタック122内のセパレータプレート(特に図示せず)のような)燃料電池システム120の導電コンポーネントとの間で接触が起こると、流体および/または流体マニホルドアセンブリ100の導電コンポーネントを介して流れる望ましからぬ寄生シャント電流(またはリーク電流)が生じ得る。流体マニホルドアセンブリ100を介する電流の流れは、以下の図2に示される。図示されるように、電流は、抵抗器RからRの抵抗に依存して、抵抗器RおよびR10を介していずれかの方向に流れ得る。
【0025】
図2は、図1の流体マニホルドアセンブリおよび燃料電池システムの電気回路図である。図1の4つの燃料電池スタック122は、Vcr1、Vcr2、Vcr3、およびVcr4(それぞれセルロー(cell row)1、セルロー2、セルロー3、およびセルロー4の電圧を示す)によって表わされる。図1の高電圧負荷124は、図2で抵抗器R11によって表わされる。図1の一次入口流体ライン130および一次出口流体ライン140は、図2で抵抗器R10およびRによって表わされる。図1のブランチ入口流体ライン132は、図2で抵抗器R、R、R、およびRによって表わされ、図1のブランチ出口流体ライン142は、図2で抵抗器R、R、R、およびRによって表わされる。さらに、図2において、燃料電池システムを介する電流が流れる方向は、R11の近くの矢印によって表わされ、流体マニホルドアセンブリを介してリーク電流が流れる方向は、R〜R10の近くの矢印によって表わされる。
【0026】
今日まで、リーク電流の量を最小化する努力は、流体マニホルドアセンブリおよび燃料電池システムを介して流れる流体を電気的に絶縁すること、および/または流体自身の導電性を低減することに焦点が置かれてきた。しかしながら、流体マニホルドアセンブリを電気的にバランスすることによって、リーク電流の量は無視できる量に低減され得ることが、今日では、見出されている。
【0027】
図1および図2を参照すると、本発明の代表的な電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリにおいて、各入口流体ポート126および一次入口流体ライン130との間の電気抵抗と、各出口流体ポート128および一次出口流体ライン140との間の電気抵抗とは、本質的に同じである。より具体的には、R〜Rまでの値が本質的に同じである。本明細書で使用されるとき、語句「本質的に同じ」とは、各入口流体ポート126および一次入口流体ライン130の電気抵抗と、各出口流体ポート128および一次出口流体ライン140の電気抵抗との間の差が、これらの電気抵抗のうちで最も高い電気抵抗の約5%未満であることを意味する。
【0028】
一実施形態において、流体マニホルドアセンブリ100は、ブランチ入口流体ライン132およびブランチ出口流体ライン142を以下のように配置することによって電気的にバランスされ得る。それは、ブランチ入口流体ライン132が、燃料電池システム120の4つの燃料電池スタック122の入口流体ポート126の間のメジアンに沿った点で一次入口流体ライン130に接続し、ブランチ出口流体ライン142が、4つの燃料電池スタック122の出口流体ポート128の間のメジアンに沿った点で一次出口流体ライン140に接続するようになされる。一次流体ラインと流体ポートとの間の経路長さを等しくすることによって、(例えば、ラインの直径、壁厚などの一次流体ラインにおける全ての他の局面が等しいと仮定すると)このような経路長さに関連する抵抗は、本質的に等しくなる。
【0029】
当業者が理解するように、このアプローチは、これより多い数または少ない数の燃料電池スタックを備える燃料電池システムにもまた適用可能である。例えば、2つの燃料電池スタックを備える燃料電池システムにおいて、ブランチ入口流体ラインは、2つの燃料電池スタックの入口流体ポートに等距離な点で一次入口流体ラインに接続され、ブランチ出口流体ラインは、2つの燃料電池スタックの出口流体ポートに等距離な点で一次出口流体ラインに接続される。
【0030】
図3および図4は、流体マニホルドアセンブリを電気的にバランスする上述のアプローチをさらに示す。図3は、電気的にバランスされていない代表的な流体マニホルドアセンブリ300の上面図である。動作において、流体は、流体入口320から流体流れチャネル(特に図示せず)を介して、マニホルド300の左側に流れ、次いでマニホルド300の右側に流れ、次いで流体出口340に流れる。図3に示されるように、流体入口320および流体出口340からマニホルド300の左側への経路は、流体入口320および流体出口340からマニホルド300の右側への経路よりも長い。したがって、マニホルド300の左側での経路抵抗は、マニホルド300の右側での経路抵抗よりも大きい。一方、図4は、本発明の代表的な電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリの上面図である。図4に示されるように、流体入口420および流体出口440は、流体入口420および流体出口440からマニホルド400の左側への経路が、流体入口420および流体出口440からマニホルド400の右側への経路と同じになるように置かれ、このため、結果として、経路抵抗が等しくなる。
【0031】
代替として、他の実施形態において、ブランチ流体ラインは、燃料電池スタックの流体ポート間のメジアンに沿った点で、あるいは流体ポートに等距離な点で一次流体ラインに接続せず、流体マニホルドアセンブリ100は、ブランチ流体ラインのサイズ(例えば、直径、厚さ、長さなど)を改変すること、および/またはVCR接続を再構成することを含む他の手段によって電気的にバランスされる。
【0032】
流体マニホルドアセンブリを介するリーク電流の量を減少させることに加え、本発明の電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリによって、結果的に、また、以下の実施例に示されるように、かなり大きな全体的なシステム絶縁抵抗が得られる。こうして、アーク発生および感電を低減できる。
【0033】
以下の実施例は、本発明の異なる実施形態および局面を説明するために含まれるが、何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0034】
(実施例1:比較例)
図1および図2に示される構成と、以下の表1に示される電気抵抗とを有する流体マニホルドアセンブリが、アセンブリされ、従来型の自動車用燃料電池スタックを用いてテストされた。この構成において、抵抗は、アセンブリの左側内でバランスされたが、アセンブリの右側内でバランスされなかった。抵抗器のそれぞれを流れる電流の量が、決定され、以下の表1に示される。さらに、全体的なシステム絶縁抵抗は、461キロオームであることが決定された。表1に示されるように、このアセンブリによって、RとR10とを通るリーク電流の量は、結果的に大きな量となる。
【0035】
【表1】

(実施例2:比較例)
図1〜図3に示される構成と、以下の表2に示される電気抵抗とを有する流体マニホルドアセンブリが、アセンブリされ、従来型の自動車用燃料電池スタックを用いてテストされた。この構成において、抵抗は、アセンブリの左側と右側とのそれぞれの中でバランスされ(すなわち、抵抗R、R、R、およびRは等しく、抵抗R、R、R、およびRは等しい)が、左側と右側との間の抵抗は、バランスされなかった(すなわち、アセンブリの抵抗は、左側と右側との間で対称的ではない)。抵抗器のそれぞれを流れる電流の量が決定され、以下の表2に示される。さらに、全体的なシステム絶縁抵抗は、375キロオームであることが決定された。表2に示されるように、このアセンブリによって、RとR10とを通るリーク電流の量は、結果的に小さな量となる。
【0036】
【表2】

(実施例3:電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリ)
図1、図2、および図4に示される構成と、以下の表3に示される電気抵抗とを有する電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリが、アセンブリされ、従来型の自動車用燃料電池スタックを用いてテストされた。この構成において、全ての抵抗は、アセンブリの左側と右側とのそれぞれの中で、およびその間でバランスされた(すなわち、抵抗R〜Rが等しい)。抵抗器のそれぞれを流れる電流の量が決定され、以下の表3に示される。さらに、全体的なシステム絶縁抵抗は、400キロオームであることが決定された。これは、比較実施例2の構成の全体的なシステム絶縁抵抗より、望ましいように高い。さらに、表3に示されるように、このアセンブリによって、RとR10とを通るリーク電流は、結果的に全くなくなる。
【0037】
【表3】

本発明の特定な実施形態が説明の目的で本明細書に記載されてきたが、様々な改変が、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、行われ得ることが、上述のことから理解される。したがって、本発明は、添付の請求項以外によって限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、電気化学燃料電池システムに流体を供給するための流体マニホルドアセンブリの模式図である。
【図2】図2は、図1の流体マニホルドアセンブリおよび燃料電池システムの電気回路図である。
【図3】図3は、電気的にバランスされていない代表的な流体マニホルドアセンブリの上面図である。
【図4】図4は、本発明の代表的な電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリの上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学燃料電池システムに流体を供給するための電気的にバランスされた流体マニホルドアセンブリであって、該システムは、電気的に直列接続された少なくとも2つの燃料電池スタックを備え、各燃料電池スタックは、入口流体ポートおよび出口流体ポートを備え、
該マニホルドアセンブリは、
一次入口流体ラインと、
一次出口流体ラインと、
少なくとも2つのブランチ入口流体ラインであって、該一次入口流体ラインを該少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートに流体接続する、少なくとも2つのブランチ入口流体ラインと、
少なくとも2つのブランチ出口流体ラインであって、該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートを該一次出口流体ラインに流体接続する、少なくとも2つのブランチ出口流体ラインと
を備え、
該ブランチ入口流体ラインおよび該ブランチ出口流体ラインは、電気抵抗が、(a)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートおよび該一次入口流体ラインと、(b)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートおよび該一次出口流体ラインとの間で、本質的に同じである、流体マニホルドアセンブリ。
【請求項2】
前記燃料電池システムは、2つの燃料電池スタックを備え、
前記ブランチ入口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの前記入口流体ポートに等距離な点で前記一次入口流体ラインに接続し、
前記ブランチ出口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの前記出口流体ポートに等距離な点で前記一次出口流体ラインに接続する、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。
【請求項3】
前記燃料電池システムは、2つの燃料電池スタックを備え、
前記ブランチ入口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの前記入口流体ポートに等距離でない点で前記一次入口流体ラインに接続し、
前記ブランチ出口流体ラインは、該2つの燃料電池スタックの前記出口流体ポートに等距離でない点で前記一次出口流体ラインに接続する、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。
【請求項4】
前記燃料電池システムは、4つの燃料電池スタックを備え、
前記ブランチ入口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの前記入口流体ポートの間のメジアンに沿った点で前記一次入口流体ラインに接続し、
前記ブランチ出口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの前記出口流体ポートの間のメジアンに沿った点で前記一次出口流体ラインに接続する、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。
【請求項5】
前記燃料電池システムは、4つの燃料電池スタックを備え、
前記ブランチ入口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの前記入口流体ポートの間のメジアンに沿っていない点で前記一次入口流体ラインに接続し、
前記ブランチ出口流体ラインは、該4つの燃料電池スタックの前記出口流体ポートの間のメジアンに沿っていない点で前記一次出口流体ラインに接続する、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。
【請求項6】
前記流体は、冷却液である、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。
【請求項7】
(a)前記少なくとも2つの燃料電池スタックの各入口流体ポートおよび前記一次入口流体ラインの電気抵抗と、(b)該少なくとも2つの燃料電池スタックの各出口流体ポートおよび前記一次出口流体ラインの電気抵抗との間の差が、該電気抵抗の最大の約5%未満である、請求項1に記載の流体マニホルドアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−525974(P2008−525974A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548602(P2007−548602)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/047450
【国際公開番号】WO2006/071991
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(303026556)バラード パワー システムズ インコーポレイティド (28)
【Fターム(参考)】