電気化学電池のホルダ及びスタック
積み重ねられ、その片側の末端で操作的に接続されている複数の電池ユニットから作製された燃料電池のスタック。ユニットのそれぞれが、一般的にSOFC膜として提供される電池を少なくとも1つ有するホルダを含み、燃料及び酸化剤が存在する場合、電気化学反応の結果として電流を生じる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学装置の分野に関し、より明確には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、電解式酸素発生装置、及び電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
絶えず増加している電力に対する需要、上がっている燃料費、並びに、温室効果ガス及び他の燃焼ガスの大気中の蓄積が、電気の生産のための代わりとなるエネルギー源の開発に拍車を付けている。燃料電池により、広範囲にわたる種々の燃料から電気を生じるための能率的で低公害、且つ環境に優しい技術が期待できる。しかし、燃料電池からの電気エネルギー生成における現在の費用は、商業的な技術からの同じ電気生成の費用よりも数倍高い。生産された電気における1キロワットあたりの高い資本金及び運用費により、燃料電池発生システムの商業的導入が延ばされている。
【0003】
固体酸化物形燃料電池は、燃料の適応性と組み合わせて高効率の可能性を提供している。性能を上げることにおいて、従って、固体酸化物形燃料電池の単位当たりの費用を下げることにおいてかなりの進歩を遂げており、例として、本発明者等の一人が、800℃で、支持された薄膜のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)固体酸化物形燃料電池に対して2W/cm2ほどの電力密度を得ることができると初めて実証した。全内容を本出願において全ての目的のために援用する、S.de Souza,S.J.Visco,and L.C.De Jonghe,“Reduced−temperature solid oxide fuel cell based on YSZ thin−film electrolyte,”J.Electrochem.Soc.,144,L35−L37(1997)を参照されたい。この結果が励みとなる一方で、800℃未満のさらなる温度の低下により、システムの費用の減額が促進される。そのような作動温度の低下により、一方で、金属製のインターコネクト器及び支持電極の使用が可能になり、費用減額を可能にし、他方では、抵抗性の低下を最小に抑え電流を集めることができるように燃料電池を形成する新たな方法が可能になっている。
【0004】
従来の燃料電池は、燃料との化学反応からの化学エネルギーを直接電気エネルギーに転換する電気化学装置である。電気は、燃料(一般的に、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、又はメタン等の、部分的に酸化された又は改質された炭化水素から生成された水素)と酸化剤(一般的に、空気中の酸素)との間に起こる電気化学反応を介して燃料電池内で発生する。この正味の電気化学反応は、イオン的に伝導性の電解質膜と、電子的に伝導性の電極と、燃料又は酸素の気相との間の界面で起こる電荷移動ステップを必要とする。従来技術において既知である他の種類の燃料電池は、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、アルカリ形燃料電池、及び、固体高分子形燃料電池を含む。燃料電池は、燃料の電気への転換において熱加工処理ではなく電気化学処理に依拠しているため、燃料電池は、従来の機械的な変換器により経験されたカルノー効率によって制限されない。
【0005】
固体酸化物形燃料電池は、燃料の適応性と組み合わせて高い容積測定の電力密度の可能性を提供する全固体装置である。図1は、燃料電池、特に固体酸化物形燃料電池(SOFC)(10)の断面図を示している。この電池は、電解質(17)により隔てられた2つの電極、陽極(16)と陰極(18)からなる。この例では、ニッケル−イットリア安定化ジルコニアサーメット(Ni/YSZ)が、陽極(16)に使用されている材料である。ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)が陰極(18)に使用されている材料であり、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が電解質に使用されている。多数の他の材料の組合せを使用して、SOFCを構築することができる。H2、CO、及び/又はCH4(本発明は、他の燃料で使用することができる)等の燃料(11)が陽極(16)に供給され、そこで燃料は、電解質(17)からの酸素イオン(O2−)により酸化され、外部回路に電子を放出する。陰極(18)上では、O2又は空気等の酸化剤が陰極に供給され、そこで酸化剤は、外部回路から電子を受け取ることによって電解質に酸素イオンを提供する。電解質(17)は、電極間でこれらのイオンを伝導し、全体の電荷バランスを維持している。外部回路における電子の流れが電力(15)を提供し、その電力を他の用途のために外部回路から移すことができる。反応生成物(12)は、装置から排出される。過剰空気(14)は、装置を通り抜けることができる。
【0006】
セラミックスは、装置が作動される高温に耐えることができるため、従来のSOFCにおいて電解質は、一般的に、セラミック材料から形成されている。例えば、SOFCは、約850℃から1000℃で通常作動される。さらに、SOFC等の典型的な固体状態のイオン装置は、そこにSOFCが組み立てられる構造要素を有している。従来の平面SOFCにおいて、その構造要素は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の厚い(100〜500μm)固体の電解質板である;次に、多孔性の電極が、その電解質上にスクリーン印刷される。
【0007】
典型的な固体酸化物形燃料電池の場合、水素燃料で発生し得る発熱反応のため、燃料と酸化剤のいかなる混合も回避するために、離れた閉鎖系において、陽極は燃料に曝露され、陰極は酸化剤に曝露される。
【0008】
電解質膜は、通常、固体酸化物形燃料電池の施用において、セラミックスの酸素イオン伝導体から構成される。ガス分離装置等の他の実行において、その固体膜は、イオン性電子性混合伝導体材料(「MIEC」)から構成することができる。多孔性の陽極は、電解質膜とその膜の電池の燃料側で接触する、セラミックス、金属、又は、最も一般的にセラミックス−金属複合材(「サーメット」)の層であり得る。多孔性の陰極は、一般的に、イオン性電子性混合伝導(MIEC)金属酸化物、又は、電子性伝導金属酸化物(若しくはMIEC金属酸化物)とイオン性伝導金属酸化物との混合物の層である。
【0009】
固体酸化物形燃料電池は、通常、約850℃から約1000℃の温度で作動し、電解質膜のイオン伝導性を最大にする。適切な温度で、酸素イオンは、電解質の結晶格子を通り容易に移動する。しかし、大部分の金属は、高い作動温度及び従来の燃料電池の酸化環境で安定ではなく、脆性な金属酸化物に転換される。従って、固体状態の電気化学装置は、通常、耐熱性のセラミック材料から構築されている。しかし、これらの材料は高価で、その脆性な性質のため、依然として限られた耐用期間を有している傾向がある。さらに、使用される材料は、電池の作製及び作動中の熱応力による層間剥離、電解質を横切った燃料又は酸化剤の浸透、並びに、類似の問題を回避するために、特定の化学的、熱的、及び物理的特徴を有していなければならない。
【0010】
各SOFCは比較的小さい電圧を生じるため、いくつかのSOFCを結合してシステムの容量を増加することができる。そのようなアレイ又はスタックは、一般的に、管状又は平面設計を有している。図2は、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)等の固体状態の電気化学装置における基本的な平面設計を示している。電池(10)は、陽極16(「燃料(燃料11)電極」)及び陰極(18)(「空気(酸化剤13)電極」)、並びに、その2つの電極を引き離す固体の電解質(17)を含む。インターコネクト(19)が燃料と酸化剤を分離し、直列で1つの電池を別の電池に電気的に接続する。一般的に、多数の電池が「スタックされ(積み重ねられ)」、「スタック」を作る。実際には、図2に示されているようなスタック間の空間はなく、一組の陽極/電解質/陰極/インターコネクトが次の組に接触している。
【0011】
しかし、平面設計は、一般的に、ユニットを密封する及び平面スタックを分岐させることの複雑さによる安全性及び信頼性の懸念をかなり有しているとして認識される。図2に示されているように、電池とインターコネクトは、種々の箇所で互いに接触している。そのような組立体は、一様ではない接地圧分布及び均質ではない応力分布を回避するために、厳しい平坦許容誤差を要求している。均質ではない応力により、組み立て中又は作動中に電池が故障するリスクが増す。電池の厳しい平坦許容誤差により、生産費用が増えてしまう。さらに、電池に渡る温度勾配による応力を回避するために、電池は緩やかに加熱及び冷却されなければならない。緩やかな加熱により、無駄な燃料が生じ、多数のオン/オフサイクルを必要とする施用に対して、能率が後々悪くなってしまう。
【0012】
約850〜1000℃のより高い温度で作動される従来の平面燃料電池のスタックは、電解質の両面に与えられる多孔性の陽極層及び陰極層と比べて比較的厚い電解質層を有し、その電池に構造的支持を与えている。しかし、800℃未満に作動温度を下げるために、電解質層の厚さは、50〜500ミクロンを超えるものから約5〜50ミクロンまでに縮められている。この形状における薄い電解質層は、支持層ではない。むしろ、比較的弱い多孔性の陽極層及び陰極層が電池の重さを支えなければならない。弱い陽極又は陰極に支えられた平面燃料電池のスタックは、例えばスタックの構築又は熱サイクル中に、その重さのために崩壊する傾向があり得る。電池の機械的応力を減少することが、電池の故障を回避するのに寄与している。
【0013】
さらに、SOFCスタックは、補助動力装置(APU)及び可搬動力の利用を含めた特定の利用において、短い起動時間を有し、熱サイクル中の安定性を持つべきである。利用可能な従来技術のスタックは、70℃/分までの加熱処理に耐えることができ、700℃に達するまでに10分までかかるが、急速な熱サイクルによるスタックの安定性は未知のままである。
【0014】
従来技術の平面スタックは、(長方形の場合)4つの側面全てが互いに及び電池膜に結合され、電池膜はインターコネクトに結合されるという事実を欠点として持っている。多数の電池が共に積み重ねられ、従って、全てが機械的に結合される。この配置は、作動中に熱応力及び機械的応力を誘発し、スタックにおける電池内に種々の故障を引き起こし、装置の性能を下げ、寿命を縮めてしまう。従来技術の問題を解決する1つの試みにおいて、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、2003年5月22日に出願された米国公開特許出願第20030096147 A1号は、パケット要素を有する固体酸化物形燃料電池組立体を開示し、そのパケット要素は、密閉された内部に配置された複数の陽極を有する1又は複数のコンプライアント固体酸化物シート部分により部分的に形成された密閉された内部を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、一般的に利用可能な平面スタックに付随する化学的及び機械的応力を軽減する電気化学電池のホルダ及びスタックを提供することである;そのホルダ及びスタックは、比較的短い起動時間を実証し、熱衝撃及び機械的衝撃中に安定性を与え、さらに、改善された電気化学的な性能を示している。電池スタックの製造に使用される改善された電池のユニットを提供することも、本発明の目的である。より小さい平坦許容誤差の電池膜を利用し、それによって費用を抑えることができる電池ホルダを提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの及び他の目的は、積み重ねられ、操作的に接続された、複数の電池のユニットから作製された電池スタックに部分的に関する本発明に従い達成される。燃料及び酸化剤が存在する場合に電気化学反応の結果として電流を生成するために、そのユニットのそれぞれが、一般的にSOFC膜として提供される電池を少なくとも1つ有するホルダを含む。スタックを形成する個々のユニットは、1又は複数の電池膜が取り付けられた電池膜ホルダから作製される。電池膜は、陽極、陰極、及び、一般的に陽極と陰極との間に配置される電解質を有している。
【0017】
ホルダは、電池膜を取り付けるための開口部(窓)、陽極に隣接した電気接触部分、陰極を電子的に絶縁するための電気絶縁部分、並びに、窓に隣接したガス排出口及び/又は注入口を含んでいることが好ましい。
【0018】
ホルダは、1つの部分品、2つの部分品、又は3つ以上の部分品から作製することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、ホルダは、3つの部分品、前面プレート、背面プレート、及び、その間に配置されたスペーサから作製することができる。前面及び/又は背面プレートのうち少なくとも1つがその中に、電池膜が取り付けられる開口部(窓)を有し、スペーサが前面及び背面プレートの間に配置されホルダが組み立てられる場合、陽極が反対側のプレートから一定の間隔で配置されるが、その反対側のプレートの方に内側に向いていることが好ましい。前面又は背面のうち少なくとも1つが、例えば水素ガス、炭化水素系ガス、又は、改質された炭化水素等の燃料を内部の電極、一般的には陽極に提供するために、ガス排出口及び/又はガス注入口を有している。酸素発生装置は、ガス排出口のみ必要とする。燃料が内部の電極に到達及び接触し、電気化学反応を起こして電気を発生できるように、スペーサも、一般的には前面及び/又は背面プレートの窓に対応する窓を有し、燃料注入口及び排出口に通じている。背面プレート、前面プレート、及びスペーサが、一列に並べられ、例えば溶接により物理的に接続されてホルダを形成する。これらの構成要素は、互いに導電的に接触することができるが、しなくてもよい。
【0020】
ホルダの一部は、導電性の材料から作製されなければならず、ホルダの前面及び/又は背面上に取り付けられた電池膜の陽極と電気接触していなければならない。一実施形態において、前面及び背面プレートは、陽極ともスペーサとも導電的に接触している。他の実施形態において、前面及び背面プレートは導電性ではないか、又は、少なくともその一部が非導電性の材料で被覆された導電性の材料から作製され、さらに、導電性のスペーサが陽極と接触している。
【0021】
電池膜の外側の電極、一般的には陰極が、周囲空気又は別の酸化剤に曝露できるように、周囲に向かって外側に向いている。電極間を流れる唯一の電流が、優位にイオンの形状で電解質を通り抜けるように、これらの電極は陽極から電子的に絶縁されている。
【0022】
電解質は、電池の陽極と陰極との間に配置される。
【0023】
電池膜を、例えば密封剤等のいかなる適切な手段によっても、それぞれの窓に最も近い背面又は前面の受け入れ部分に張り付けることができる。そのシールは伝導性若しくは絶縁であり得るか、又は、伝導性若しくは絶縁の層を提供することができる。各電池膜を、異なる接着剤を用いて、前面又は背面プレートに張り付ける又は付着させることができる。別の好ましい実施形態において、ホルダは、窓を有する前面及び背面、及び、その中に画定された燃料流路を含むが、スペーサは含んでいない(2つの部分品からなる構造)。
【0024】
別の好ましい実施形態において、ホルダは1枚のプレートである。
【0025】
好ましい実施形態において、ホルダは、ステンレス綱から完全に作製されるが、一部が導電性の材料から作製される場合、使用目的に合ういかなる適切な材料からも作製することができ、焼きなますこともできる。
【0026】
特に好ましい実施形態は、電池膜を取り付けるための開口部を有する電池スタック組立体のホルダ、及び、陽極に接触するための電気的接触部分に関し、反応ガスマニフォールドが、別のホルダと電気接触するホルダの周辺に配置されている。
【0027】
2つ以上のユニット、すなわち、少なくとも1つの電池膜が取り付けられたホルダから作製された組立体を積み重ね、2つ以上のユニットを互いに操作的に接触させることによってエネルギー出力を増加することができる。個々の又は積み重ねられたユニットが、電極で電気化学反応により生成された電子が流れる外の回路に電気的に接続されていることも好ましい。
【0028】
スタックは、いかなる操作的な配置でも形成することができ、任意選択で、ハウジング内に配置することができる。好ましい実施形態は、複数の平面電池ユニットから作製される電池スタック組立体に向けられており、電池ユニットのそれぞれが、電気的に接続された電池ホルダと少なくとも1つの電池を含む。前記少なくとも1つの電池は陽極、陰極、及び電解質を含む;さらに、前記複数の電池ユニットは、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で接続されている。この実施形態において、前記複数の電池ユニットは、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で電気的及び/又は機械的に接続されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
「電池」とは、電気化学電池のことである。本発明の一実施形態において、電池は、その間に電解質を有する少なくとも2つの電極を意味する。この電池は、本明細書において、「電池膜」又は「SOFC電池」とも呼ぶことができる。
【0030】
「ホルダ」とは、電池を収容し、ガス流路を提供する構造体のことであり、導電性であってもなくてもよい。
【0031】
「ユニット」とは、本発明に従うホルダ内にある少なくとも1つの「電池」又は「電池膜」のことである。「ユニット」という用語は、ハウジング、インターコネクトワイヤ、ポンプ、及び、燃料電池スタックの作動のための他の備品等、他の構造要素を含むことができる。このユニットは、本明細書において、「チップ」又は「チップ電池」とも呼ぶことができる。
【0032】
ここで使用されている「スタック」とは、例えば、水平又は垂直方向の配列で接続された複数の「ユニット」のことである。電気的接続は、直列若しくは並列、又は、直列と並列の組合せであり得る。
【0033】
「ハウジング」とは、ユニット又は電池又はスタックを囲むある種の構造体のことである。「ハウジング」という用語は、本明細書において一般的に使用され、ある特定の形状又は構造を意味しないが、電池、チップ、及び/又はユニットを囲む構造体を意味する。「側壁」は、ハウジングの一部であり得るか、又は、これらの用語は取り替えて使用することができる。
【0034】
本発明の好ましいホルダが、図3Aに示されている。窓(21)又は開口部が、電池膜(24)を収容するために、各前面及び背面プレート(22、23)内に与えられ、陽極は互いに内側の方向に面しているが、前面及び背面プレート(22、23)間に配置されたスペーサ(25)によって一定の間隔が置かれているのが好ましい。スペーサは、燃料キャビティ(32)を電極間、一般的には陽極間に形成し、燃料キャビティは燃料通路として作用し、さらに、別の燃料通路を含むこともできる。この配置は、ユニットの内部に陽極チャンバを形成する。前面及び背面プレート(22、23)は、電池膜(24)を密封剤により張り付けることができる窓に隣接する受け入れ領域(26)も有することができる。
【0035】
図3A及び4Aを参照すると、陽極は互いに面するが、その間にある燃料キャビティで一定の距離が置かれるように、スペーサ(25)が、一般的に前面及び背面プレート(22、23)の窓(21a、21b)に対応した切り抜き窓(21c)をその中に有しているのを見ることができる。スペーサ(25)は導電性でありえ、電池膜の陽極(30)のそれぞれと電気接触することができる。図3Bにおいて、陽極(30)は、前面及び背面(22、23)と電気的に接触し、その前面及び背面は、次にスペーサ(25)と電気接触している。このように、陽極(30)は、スペーサ(25)と間接的に電気接触している。あるいは、前面及び背面(22、23)を、陽極及びスペーサ(25)から電気的に絶縁することができ、その場合、陽極は、ホルダのスペーサ(25)とのみ直接的に電気接触する。
【0036】
装置の作動中に燃料通路が提供された場合、燃料は燃料キャビティ(32)を通り抜けることができる。本発明の一実施形態によると、燃料キャビティ(32)は外の環境まで密封され、陽極(30)に通じる唯一の材料は提供された燃料であることが理解される。一実施形態において、燃料キャビティ(32)は、陽極(30)に燃料を提供するための管又は他のコンジット手段を含んだ燃料通路を含む。燃料通路は、燃料を陽極(30)と接触させる手段を有していなければならない。例えば陽極(30)等の1種類の電極が、互いに内側に向かって面し、他の種類の電極、陰極(50)が互いに外側に面しているように、各電池膜(24)は互いに隣接して配置されていることに注目されたい。各陽極(30a)及び(30b)の外側で層にされているのは、それぞれ、電解質(60)及び(62)である。電解質(60)上で層にされているのは、陰極(50)である。
【0037】
ステンレス綱若しくは銀メッシュ、導電ペースト、又は、多孔性の合金シート等の集電板(70)は、図10Bに示されているように、陰極(50)と電気接触していることが好ましい。集電板は、導電性であることが好ましい適切な物質(71)又はメカニカルファスナーで陰極に張り付けることができる。集電板は、図10Aに示されているように、電気絶縁性接着剤で電池及び/又はホルダに張り付けることができる。図10Bに示されているように集電板に結びつけられた導線(72、76)を、集電板として提供することができる。一部の実施形態において、集電板は、導線又はワイヤ又はインターコネクト(72)及び(76)と、例えば銀等の同じ材料である。他の実施形態において、集電板は銀ペーストでありえ、従って、導線、ワイヤ、又はインターコネクト(72)及び(76)は、ワイヤ若しくはメッシュ、又は、電気に使用するのに適した他の材料を含む。いかなる適切な材料も、リード線、集電板、及び、シール又はファスナーに使用することができる。例えば、被覆された金属ふるいも適切である。米国特許第6,740,441号は、被覆された金属ふるい、メッシュ、又はフェルト状のものを含む、電気化学電池において電流を集める能力がある被覆された集電装置を開示している。
【0038】
本発明は、多数のユニットを電気的に接続することができることを意図している。コネクターの形状は、単に一実施形態であり、適切な電流の流路が保たれている限りいかなるコネクターも適切であることが理解される。
【0039】
電池は、図7から9に示されているように、導電性シール(78)、又は、伝導及び絶縁シールの組合せ(77)を用いて、前面及び背面(22、23)の窓(21)に近接したホルダの受け入れ領域内に取り付けることができる。シール(71)は、少なくとも3つの機能を有している。第1の機能は、内部の環境(一般的に、H2+H2O、又は、改質された炭化水素系ガスの混合物)から外部の環境(一般的に空気)を封じることである。第2の機能は、電池をホルダに結合させることである。第3の機能は、陽極とホルダとの間に電気接触を形成することである。第3の機能は、ガスフローチャネルと電池膜との間に電気接触を形成することと取り替えることもできる。3種類の可能なシールが、図7から9に示されている;これらは例であり、限定的であるとは意味していない。
【0040】
図3A及び3Bを参照すると、燃料、一般的に水素含有ガスが、ホルダ(20)の前面又は背面(22、23)内の燃料注入口(31)を通して供給され、スペーサ(25)内の燃料受け入れ手段により陽極(30)間の燃料キャビティ(32)内に入れられている。その燃料受け入れ手段は、連絡領域(33)を介して燃料注入口(31)に通じている。次に、燃料は、ホルダ20の前面又は背面(22、23)に提供された排出口(34)を介して排出される前に、内側に面している陽極(30)上で電気化学的酸化を受ける。燃料注入口(31)及び排出口(34)が、燃料の必要な流れを提供し、使い尽くされた燃料又はいかなる副産物も適切に排出する場合、注入口及び排出口をいかなる種々の方法でも配置することができる。
【0041】
ホルダ(20)は、図4Bに示されているように、ステンレス綱から作製されることが好ましいが、セラミックス、合金、及び複合材料を使用してホルダを形成することもできる。ステンレス綱は特に好まれ、導電性である。本発明に従い使用される典型的な合金は、AISI410L、430L、434L、446、及び、Ebrite(登録商標)等の、12〜30wt%のCr含有量を有するフェライト綱を含むが、これらは例証的であり、限定的ではない。ニッケルベースの合金は当業界において周知であり、この合金も使用することができる。
【0042】
スペーサ(25)は導電性の材料から作製するのが好ましいが、前面及び背面は、導電性若しくは非導電性であり得るか、又は、FeCrAlY等のAl含有合金上に発生するAl2O3等の電子的に絶縁する層を形成することができる。
【0043】
図5に示されているように、燃料が燃料通路(32)を流れ抜ける際に、燃料の流れを導く又は調節するために、ホルダは、突起部(48)、又は、他の流れを方向づける部分を有することができる。
【0044】
ステンレス綱を被覆することにより、酸化速度を緩めることができ、さらに、湿った空気中のクロム蒸発を減少し得ることは、当業界において既知である(例えば、“Protective coating on stainless steel interconnect for SOFCs:oxidation kinetics and electrical properties”in Solid State Ionics,Volume176, Issues 5〜6,14 February 2005, Pages 425〜433 by Xuan Chen, Peggy Y Hou, Craig P. Jacobson, Steven J. Visco及びLutgard C. De Jongheを参照されたい)。そのような被覆は、本明細書において記述されるチップ電池ホルダに対して意図されている。
【0045】
ホルダの寸法は、所望の利用方法に応じて変更することができ、窓枠の形は、いかなる適切な形のものでもあり得る。正方形又は長方形の形が図3Aに示され、円形の実施形態が図22及び23に描かれている。
【0046】
ホルダ(20)は、押し出し成形、鋳造、鋳込み、機械加工、打抜き加工、押抜き、焼結、ろう付、接合、若しくは、これらのうちいかなる組合せ、又は、当業界において既知である他の方法等、いかなる実行可能な技術を介しても製造することができ、一般的には、ホルダを作製するために選ばれる材料に依拠する。窓及びいかなる燃料注入口(31)又は排出口(34)も機能的に整列させられるように、前面(22)、背面(23)、及びスペーサ(25)が配置され、例えば溶接による等、当業界において既知であるいかなる手段によっても物理的に接続される。3つの部分品が図4A及び4Bに示されているが、それよりも少ない又は多い部分品を使用してホルダを構築することができる。
【0047】
いかなる数の偶数及び奇数の膜も、ユニットの各側面に使用することができる。図19〜20に示されているように、ユニットの各側面上にある電池膜の数は同じで、それぞれの窓に複数の電池を提供できることが好ましい。図19及び図20では、ホルダ部分が、複数のSOFC電池を受けるために窓をその中に有し、いかなる数の電池も提供できるのを見ることができる。
【0048】
特別に製造されていようと、商業的に入手可能であろうと、いかなる適切な電池膜も、本発明に従い使用することができる。電池の選択は、当業者には既知である要素の数に依拠する;例えば、特定の利用方法において、特定の陰極、陽極、又は電解質の組合せが、他の組合せよりも好まれる可能性がある。特定の理論又は原理により限定されることは望まないが、本発明の一実施形態におけるSOFCの作動は、以下のように行われる。酸化剤、好ましくはO2を提供する空気が供給される。燃料、好ましくは部分的に酸化された又は改質された炭化水素が、燃料チャネルを通って陽極と接触するよう供給される。陰極に供給された電子は、酸素をO2−に還元する(O2+4e−→2O2−)。酸素イオンは、各電解質を横切り、陽極までイオン的に輸送される。酸素イオンが陽極にある燃料に達すると、その酸素イオンは、水素をH2Oに、及び、COをCO2に酸化する。そうすることにおいて、酸素イオンは電子を放出し、陽極及び陰極が外部回路に接続されている場合、この電子の流れはdc電流として見られる。電力がユニット又は積み重ねられたユニットから引かれる。この過程は、燃料及び空気が電池に供給される限り続く。
【0049】
燃料電池、電解式酸素発生装置、及び電解槽等の電気化学装置は、片側に陽極を、もう一方の側に陰極を備えた電解質を有している。電池の機械的強度が50〜1000μmの厚さの電解質によるものである場合、電池を電解質で支えることができる。薄膜の電解質(<50ミクロンの厚さ)は支持を必要とし、その支持は通常、陽極(例えば、Ni−YSZ)又は陰極(LSM等)である。米国特許第6,605,316号に記載されているもの等の金属又はサーメットの支持構造体も使用することができる。本発明のチップ電池の設計は、これらの電池のうちどれも利用することができる。周知の電解質は:3モル%、8モル%、又は10モル%のイットリアを有するイットリア安定化ジルコニア(YSZ);スカンジア安定化ジルコニア(SSZ);ガドリニア又はサマリア添加セリア(GDC又はSDC)等の添加セリア;及び、ストロンチウムマグネシウム添加ランタンガレート(LSGM)等の添加ランタンガレートを含む。これらは単に例であり、本発明はそのように限定されない。
【0050】
本発明による電極は、米国特許第6,682,842号に記述されているもの等のNiの取り込み/セリアの分散により活性化される、(例えば、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、Steven J.Visco,Craig P.Jacobson,Igor Villareal,Andy Leming,Yuriy Matus,and Lutgard C.De Jonghe,“Development of Low−Cost Alloy Supported SOFCs”,Proc.ECS meeting,Paris,May 2003における)多孔性のフェライト系ステンレス綱等のいかなる適切な材料も、約0.4mmの厚さで含むことができる。従って、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、Keiji Yamahara,Craig P.Jacobson,Steven J.Visco,Lutgard C.De Jonghe,“High−Performance Thin Film SOFCs for Reduced Temperature”,Proceedings SSI 14, Monterey,CA,2003にあるように、電解質/電極の界面で、又はその付近で、ナノスケールの触媒粒子を形成する化合物との後の浸潤により、安定し増加した触媒活性を得ることができる。フェライト綱は、セラミックの電解質の熱膨張係数にほぼ匹敵することができる熱膨張係数を有しており、それによって、熱応力を回避し、高い加熱率及び熱サイクルを可能にしている。陰極電流の集電は、陰極と一体化された、支持ステンレス綱メッシュ又はAgメッシュにより促進することができる。支持された薄膜の電解質は、米国特許第6,458,170号に開示されているように、コロイド処理及び同時焼成により作製することができる。電解質及び電極のための材料は、当業界において既知であり、これらの、及び、まだ発見されていない他の材料は、本発明に従い使用することができる。好ましい電解質は、サマリア添加セリア(SDC)、ガドリニア添加セリア(GDC)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア、及び、La0.9Sr0.1Ga0.8、Mg0.2O3〜δ(LSGM)を含めた固体の電解質である。本発明者等による以前の研究によって、ランタンストロンチウムコバルト酸化ニッケル(LSCN)/サマリア添加セリア(SDC)複合陰極、及び、Ni/SDC複合陽極を有する電池膜の、600から650℃での500mW/cm2を超える入手可能な領域特異的な電力が実証されてきた(C.P.Jacobson,S.J.Visco,and L.C.De Jonghe,“Thin−Film Solid Oxide Fuel Cells for Intermediate Temperature(500〜800℃)Operation”,Proc.Of the Processing and Characterization of Electrochemical Materials and Devices,April 25〜28,1999,The American Ceramic Society)。
【0051】
本発明は、ユニットのスタックを作り出すために、複数のユニット同士(1)をコネクターを介して結合することができると意図している。ユニット及びスタックの構築により、電池への応力伝達が最小化される。燃料、酸化剤、及びいかなる排出ガスも、電池を作動させるために要求された通りに流れることができるように、積み重ねられたユニットは互いに操作的に接続される。ユニットは、一般的に、互いに、及び、装置内で電気化学処理中に生成された電子が流れ通る集電回路に電気的にも接続され、他の利用にも使用される。
【0052】
電流は、電子として陰極に流れ、次に、イオンとして電解質を通り、次に、電子として陽極からホルダに流れる。電気接触は、ホルダと、従って、一ユニットの陽極から隣接するユニットの陰極との間に起こる必要がある。図6に示されているように、隣接するユニットの陽極間の望まれない電気接触を防ぐために、絶縁体(100)は、2つのユニット間に配置することができる。ユニットのホルダと隣接するユニットの陰極電流の集電板との間の電気接触は、導電材料(101)により起こる。これは、ペースト、若しくはワイヤ、若しくはメッシュ、若しくはシート、又はこれらの組合せであり得る。図6Bは、どちらの陰極電流集電板(70)にも接触しているが、絶縁体(100)によりホルダから絶縁されている導体(101)を示している。導体(101)は、隣接する電池と電気接触する。図16に示されているように、Macor(登録商標)等のセラミック材料を絶縁体として使用することができる。他の材料は、3モル%YSZ、Al2O3、MgO、及び雲母を含む(さらに多くの絶縁体が当業界において既知であり、ここで使用することができる)。図10A及び10Bは、シールによりホルダから電子的に絶縁された銀メッシュの集電板を示している。銀ワイヤの導線は、この配列において、電流を電極に運ぶ。
【0053】
ユニットは電気的に直列で接続することができるが、それに限られることなく、スタックは、一部が電気的に直列で接続され、残りが並列で接続されたユニットを有することができる。ユニットアーキテクチャ及び直列組立体におけるこの適応性により、非常にコンパクトな電力発生装置において、数ワットから数十のキロワットに及ぶ組合せが生じることを容易に想像することができる。燃料ガスフローは、スタックの能率を上げるために、縦続接続であり得る。コネクターで別のユニットと接続される場合、陰極により一側面上に、及び、他の結合されたユニットの陰極によりその他の側面上に空間が画定されるのが好ましい。その空間は、空気が陰極に曝露されるように、空気注入及び排出のために、開口部を介して、及び、陰極に通じることができる。これらの開口部は、周囲空気に曝露することができるか、又は、酸化剤ガスのある種の外部供給を有することができる。
【0054】
積み重ねられたユニットは、端板により画定されていることが好ましいハウジングに収容することができる。空気取入口を各電池ユニット(1)に提供することができるので、各陰極は環境又は他の酸素源に曝露される。あるいは、陰極は周囲空気に曝露することができる。端板又はハウジングは、陰極に空気を供給するための連絡手段がある限り、所望の最終用途に応じていかなる構造も持つことができる。この連絡手段は、ただ端板、ハウジングを持たないという場合もあり、陰極は周囲空気に曝露される。排出口は、空気を排出するためにハウジングに提供される。
【0055】
図18A及び図18Bは、絶縁体(40)により隔てられた積重ね配置の電池(1a〜1c)を示している。代わりの注入口及び排出口の配置も示されている(図5A及び5Bと比較されたい)。独立した注入口及び排出口を各ユニット(1)に提供することができるが、燃料注入口及び排出口は、積み重ねられたユニットの全てに通して流れるように設計することができる。
【0056】
図16及び26は、絶縁体により隔てられているが、通じている燃料注入口及び排出口を有する2つ以上のユニット(1a、1b等)からなる別の「蝶形」配置を示している。そのような蝶形配置は、例えば、ろう付けによりホルダ(10)が操作的に接続された後、SOFC膜を与えるのを可能にしている。そうすることにより、個々のホルダを互いにろう付けしている間にSOFC電池に損害を与えるリスクを減少する。
【0057】
図27は、本発明に従う複数のチップ電池(ユニット)からなる別の梯子状の配置を示している。ユニット(1a、1b、1c等)が、梯子枠46に接続され、独立した梯子が、梯子枠のコネクター47で操作的に結合されている。梯子枠の端の部分48は、梯子枠の末端に提供することができ、導電性又は非導電性の材料から作製することができる。
【0058】
本明細書において記述されている構造体は、SOFC装置だけでなく酸素発生器としても使用されることを本発明は意図しており、電流又は電圧が装置に供給され、酸素が陽極で生成される。投入材料には、陰極の空気も含まれるであろう。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、固体酸化物形燃料電池のユニット電池あたり600〜650℃で少なくとも100mW/cm2、好ましくは少なくとも200mW/cm2を有するよう意図されている。SOFCのスタックは、0.8kW/リットル(@200mW/cm2)から1.75kW/リットル(@400mW/cm2)以上に及ぶ電力密度を算出し、さらに、かなり余分な密封すること又はマニフォールドことの複雑さを導入することなく、単にユニット電池を結合させることにより組み立てることができる。この性能は、(H2、H2O)/空気及び改質された炭化水素/空気という燃料/酸化剤の組合せで達成されるが、いかなる燃料も使用できることを本発明は意図している。本明細書において開示されている燃料電池は、アルコール、プロパン、ブタン、メタン、オクタン、及びディーゼル等、水素ガス以外の燃料も含むことができ、この操作は当業者には周知であることを本発明は意図している。燃料ガス再循環も意図されている。
【0060】
電池の寸法は、能率的な端集電を有する必要性によりある程度決定される。これは、作用していない端の領域等、電極の面内の導電性により順に決定される。いかなる特定の寸法にも限定されないが、これらの因子、及び、電極に関与する種々の材料における既知の電子抵抗を基にした算出により、端集電のためのほぼ最長の長さは、50mV未満の電位降下で、4から5cmであることが示されている。従って、燃料電池の予測された性能は、幾何学的因子の数だけでなく、ユニットの電極領域あたりの本来そなわっている電力の影響も受けやすい。
【0061】
絶縁材料を本発明に従い使用して、チップ電池ユニットを互いから及び/若しくはハウジングから絶縁するか、又は、電池膜とホルダの前面若しくは背面との間を絶縁して、電池をホルダに付着させることができる。これらの絶縁材料は、一般的にセラミックスであるが、限定的ではない。ホルダが使用された場合に、電池をそのホルダに密封するために、ろう付け、接着剤、及び、圧縮シールを含めたいかなる技術も使用することができる。
【0062】
ろう付けは、簡潔に合金を融解し、次に凝固させることにより、2つの物質を結合するという処理である。ろう付けは、使用される合金が、融点又は450℃を超える融点範囲を有しているということを除いて、はんだ付けに類似している。ろう付けに使用される一般的な合金は、Cu、Ni、Ag、及び/又はAuに基づいている。融解した合金は酸化物を非常によく湿らすことはないため、セラミックスにろう付けすることは、金属にろう付けすることよりも難しい。セラミックス又は粉末や金の接合のための商業的に入手可能なろう付け合金は、酸化物の表面と反応して湿潤を促進する能動素子を含んでいる場合が多い。例えば、Active Brazing Alloys(ABA)(登録商標)(Wesgo(登録商標)金属の登録商標)は、セラミックスの表面上に湿潤を促進するチタニウムなどの要素の添加を含んでいる。Copper−ABA(登録商標)等の銅ベースのろう付け合金、及び、Silver−ABA(登録商標)、Ticusil(登録商標)、Cusil−ABA(登録商標)等の銀−銅ベースのろう付け合金を、膜を枠内に結合及び密封するために、並びに、絶縁のスペーサを枠に結合及び密封するために使用することができる。金、ニッケル−クロムベースのろう付け合金も、これらの適用に使用することができる。
【0063】
セラミックの接着剤が、セラミックス、金属、石英、及び複合材料を結合及び密封するために使用される。セラミックの接着剤は、加熱された場合に金属又はセラミックスに対して強い結合を生じるケイ酸塩又はリン酸塩を含んでいる場合が多い。一部の接着剤は、材料間の強度を改善する、又は、熱膨張の適合性を改善するために、セラミック又は金属の粒子及び繊維も含んでいる。
【0064】
導電性接着剤の例は、Aremco Pyro−Duct(商標)597−A(Aremco Products社、Valley Cottage、NY1098)である。この接着剤は、電池とホルダとを密封及び結合する、並びに、電池とホルダとの間に電気接触を生じるのに適切な銀で満たされたペーストである。高い熱抵抗及び電気抵抗を示す商業的に入手可能なセラミックの接着剤における限定的ではない例は、Aremco Ceramabond 516、552、571、及び671である。
【0065】
上記のろう付け合金及び接着剤に加えて、圧縮シール、又は、圧縮及び接着若しくはろう付け合金の組合せで1つのチップ電池ユニットを別のチップ電池ユニットに密封することもできる。圧縮は、単にその構造体を共にボルトで留めることにより実現することができる。図21は、構造体を共にボルトで留めるための穴を有したタブが低い部分に付加された、同じ基本的なチップ電池設計を示している。ボルトはフェライト綱の合金から作製され、Macor(登録商標)又は雲母又はガラススリーブを用いてチップ電池の金属部分から絶縁されるのが好ましい。これにより、チップ電池のうち、電池対電池の接続が起こる低い部分での圧縮が可能である。
【0066】
本明細書において開示されたチップ電池及びスタックの設計は、電池と共に直列で若しくは並列で、又はその両方で反応ガスを分布させることを可能にしている。言い換えると、反応ガスが1つの電池の陽極チャンバに入り、その電池から出て、次に、直列接続の次の電池に入る。この種の直列又は縦接続の反応ガスフローの配置は、典型的な平面スタック設計に起こるガスフロー等の並列の反応ガスフローと比較した場合に、スタックの能率を改善するとして既知である。好ましくは、少なくとも4つのユニットが、反応ガスフローを直列で有している。ホルダ及びスタックの多機能性のため、多数の直列/並列設計があり得ることが想像される。燃料ガスの一部が、能率を改善するために再循環することができる。
【実施例1】
【0067】
2.8cm×3.6cm×0.21cm(厚さ)という寸法で本明細書に記述されているようなホルダを生じるために機械で加工された、0.028インチ(0.0711cm)の厚さを有する430ステンレス綱シート(McMaster Carr社)から、チップ電池ホルダを製造した。正方形の枠のサイズは2cm×2cmであり、約0.46cmの厚さである。図4Aにおいて詳しく示されているように、ホルダは3つの部分品、すなわち、前面、スペーサ、及び背面又は端板からなる。設計された部分品を形成するためにシートを切断及び加工した後、前面板に穴をあけ、316ステンレスチューブ(McMaster Carr社;1/8インチ(0.318cm)のOD)をその穴に挿入し溶接して、ガス注入口及び排出口を形成した。次に、3つの部分品を示されているように整列させ、端に沿って溶接し、電池ホルダを形成した。図4Bは、430SSシートから作製されたホルダの部分品を示している。316SSチューブを前面板に連結した後、これらの3つの構成要素を溶接してチップ電池ホルダを作製する。他のチップ電池ホルダを、0.457mm及び0.15mmの厚さで作製した。図5において比較のために示されているように、ホルダを、例えば5cm×5cmのより大きな膜を収容するために、例えば、5.8cm×6.9cmまでのサイズ及び0.21cmの厚さに拡大することができる。
【0068】
SOFC膜をホルダに取り付ける前に、3℃/分の温度上昇/下降速度を保ちながらホルダを750℃で2時間焼きなました。この実験のために、市販のSOFC膜(ECTypeASC2InDEC)を、1.995cm×1.995cmの正方形に切断し、四隅をサンドペーパーで丸くした。正方形のSOFC膜をアセトン内で3回すすぎ、陰極側を1.5cm×1.5cmの正方形にマスク(masked into)した。
【0069】
次に、銀の導体ペ―ストの薄膜(Alfa Aesar社)をマスクした陰極の正方形上に与え、加熱灯(〜60℃)の下で乾燥させた。さらに、ホルダの両側にある枠の構造体にAgペーストを与え、SOFC膜を背面及び前面のそれぞれの窓の上に付着させた。次に、ユニットの構造体全てを加熱灯の下で乾燥させ、5℃/mmの温度変化速度を用いて1時間で700℃まで加熱した。
【0070】
次に、銀メッシュ(Alfa Aesar社)を薄いAg層の上に配置し、その銀メッシュを被覆するために銀ペーストを与えた。Aremco552VFGセラミックの接着剤を1mlの注入器に吸い込み、ホルダと取り付けられたSOFC膜との間にあるいかなる隙間も被覆するように、及び、銀メッシュを電池とホルダに結合させるように与えた。次に、2℃/分で93℃まで、ドエル2時間;2℃/分で260℃まで、ドエル2時間;2℃/分で371℃まで、ドエル2時間;次に室温まで冷やすという温度プロファイルを用いてその接着剤を硬化した。組み立てられたチップ電池の写真が、図10Aに示されている。
【0071】
電気化学の性能を、図10Bに例示されているように、Agワイヤを銀メッシュにスポット溶接することにより決定し、結果として生じるユニットを炉内に配置した。2℃/分の速度で温度を室温から試験温度に上げた。97%H2+3%H2Oの混合物を、316SSチューブの1つから陽極チャンバに供給し、陰極を開放空気に曝露しておいた。ユニットの性能を720℃で測定し、その結果が図11に示されている。OCVを1.02Vまでになるよう決定し、ユニットは1.8Wまでの電力を出力することができた。陰極の作用面積は2×1.5cm×1.5cm=4.5cm2であるため、対応するピーク電力密度は0.4W/cm2までである。
【0072】
ホルダは2.8cm×3.6cm×0.21cmであり、容積出力密度(VPD)は0.85kW/Lとして簡単に算出されることに注目されたい。多数の因子がVPDを集合的に決定するが、その中にはホルダ及びSOFC膜のサイズが含まれる。窓枠の幅(膜の縁とホルダの外縁との間にある空間)を削減することにより、VPDが増加する。窓枠が、製造には穏当な値である1mmまで狭まる場合、VPDは1.3kW/Lまで増加する。もっともなことだが、小さなチップ電池の場合、ホルダは比較的かなり大部分の空間を占めるので、VPDを決定する別の因子は、チップ電池のサイズである。従って、窓枠の幅が1mmで保たれる場合、VPDは膜のサイズと共に増加し、大きなチップ電池(4.75cm×4.75cmの陰極領域を持った5cm×5cmの電池領域)では2.5kW/Lまでに達する。チップ電池スタックのVPDはこれらの値よりも小さくなり、同じくチップ電池間の空間に非常に依拠している。例えば、上記の大きなチップ電池間にある0.5mmの距離は、実用的な施用に有用である2kW/LまでVPDを減少する。
調節された加熱及び冷却
図12は、異なる調節された加熱及び冷却速度の熱サイクルを受けたユニットにおけるOCVの変化を表している。720℃での最初のOCVは1.02Vまでであり、密封剤の品質の良さを示している。3℃/分の速度で220℃から720℃までのサイクルを57回行った後も、1.03Vまでにとどまった。この結果は、320℃から720℃までの温度変化の速度が10℃/分まで増加し、48回サイクルを行った場合でさえもOCVは落ちなかったことを示している。
【0073】
急速熱サイクル中のチップ電池の安定性をさらに調査するために、ユニットを熱い炉から周囲温度、そのまた逆に直接移動させることの結果として生じる熱衝撃処理を上記のユニットに従い作製した第2のユニットに受けさせた。この安定性は、高温に保たれた炉からのチップ電池の急速な除去又は挿入を可能にしている。チップ電池に張り付けた熱電対を用いて、熱衝撃処置中の温度変化分布を記録し、図13に表した。最初の加熱速度は1000℃/分を超えている。図13により、チップ電池は3.6分かけた29℃から700℃の加熱に耐え、708℃から100℃まで冷却するのに3.8分かかっていることが示されている。708℃で測定されたOCVは図14に要約され、初めは1.07Vであり、400回の熱衝撃サイクルの後でさえも1.06V以上の値を維持している。
2つの電池による蝶形スタック
1つの電池用ホルダを、2つの穴のうち1つのみをステンレス綱チューブで溶接したことを除いて、上記の手順に従い作製した。Macor(商標)(McMaster Carr社、0.125”の厚さ)を、チップ電池同士を接続するためのスペーサとして選択し、9mm*11mmの塊に機械加工して、3/16”の穴をその塊の中心を通ってあけた。TiCuSil(68.8Ag−28.7Cu−4.5Ti;Wesgo社)アクティブブレイジングアロイ(ABA)を0.005”の厚さにテープカレンダー(tape calendar)し、次に、11mm*13mmの断片に切断して、同様に1/8”の穴をその中心を通ってあけた。次に、穴の中心が正しく整列するように、第1のチップ電池ホルダ、ABA、MACOR、ABA、第2のチップ電池ホルダを順次に積み重ねた。続いて、全体の構造を留め金で安定化させ、1.5*10−5mmHgという典型的な真空度を持つろう付け炉に移した。その炉を400℃まで加熱し、その後、室温まで冷却する前に、ランピング速度を10℃/分に設定し、880℃で10分間一時停止させた。図15に示されているような2つの電池による蝶形のスタックを組み立てるために、上の段落で詳しく説明された同一の手順の後に、SOFC膜をマニフォールド上に取り付け及び密封した。
スタックへのチップ電池の接続
チップ電池の設計に基づきスタックを組み立てるためには種々の方法があるため、スタックの概念を実証するために、ろう付け技術を使用し、MACORの塊を介して2つのチップ電池を共に結合して、図15に表された2つの電池による蝶形のスタックを形成した。図16は、MACOR−ろう付け合金−ステンレス綱という接合のSEM画像を示しており、ろう付け合金とMACOR/ステンレス綱との間に強い結合を表している。実際、高度の拡大観察(ここには示されていない)により、ろう付けされた接続部分に沿って密な質感が明らかになっており、チップ電池間の気密な接続が実現されていることを示唆している。構築されたスタックを700℃で電気化学的に検査したところ、スタックOCVは、1.07Vという単一のチップ電池のOCV値に一致することが好ましい2.14Vであった。言うまでもなく、顕微鏡試験の結果も電気化学試験の結果も、チップ電池は共に結合され2つの電池によるチップ電池スタックを形成するのに成功していることを示している。スタックも、10℃/分という温度変化速度を用いて200℃から700℃で熱サイクルし、サイクルと共に生じたスタックOCVの変化は図17にプロットされている。OCVは2.14あたりで安定化し、それは、膜上での高い質の密封及びホルダ間の接続を意味していることがわかる。
【0074】
結果により、本発明に従うユニットSOFCは720℃で0.4W/cm2以上のピーク電力密度を生じる能力を持っており、その容積出力密度は0.85kW/Lまでであり、容積出力密度は、ホルダ及び積まれたSOFC膜を最適化することにより重大な難しさもなく上げることができると示されている。
【0075】
本発明に従い組み立てられたユニットは、急な熱サイクルに対して極めて耐性があり、400回の熱衝撃処理後もガス漏れの徴候を示しておらず、ユニットは1000℃/分以上の温度変化速度に耐えていた。ユニットは、3.6分未満に700℃まで加熱することができる。
【0076】
図28及び図29を参照すると、図4Aに示されたスペーサはホルダを形成するのに必要ではなく、2つの部分品及び単一(単体)構造を生じているのを見ることができる。図28では、ホルダへの反応ガスフローの出入り口は、チャネルを介して発生している。図28における2つの構成要素は、必要ではないが同一であり得ることに注目されたい。図28に示されている構成要素は同一であり、背面プレートは、ホルダへの組立のためにひっくり返された前面プレートと単に同じ構成要素である。単一の構成要素の設計は、製造を容易にする。
【0077】
図28は、窓21、及び、プレート22内でくぼんだ所を作った電池膜受け入れ領域26を示している。壁は、導電性又は非導電性の材料等、いかなる適切な材料又はその組合せからも作製することができる。
【0078】
図29は、単一の構成要素及び電子絶縁プレート107から作製されたホルダを示している。この実施形態のホルダ130のうち固体の後ろの部分は、電池膜と共に燃料キャビティを形成するので、窓がない。電池受け入れ領域26も提供されている。絶縁プレートは、ホルダが積み重ねられ場合に、ホルダを隣接するホルダから電子的に絶縁し、反応ガスフローチャネルを密封する。
【0079】
本明細書において開示されている全ての参考文献、特許文献、及び公開された特許出願文献は、全内容を本出願において全ての目的のために援用する。
【0080】
本出願は、2005年11月23日に出願した米国仮特許出願第60/739,229号に基づく優先権を主張するものであり、全内容を本出願において援用する。
政府の支援に関する記述
本発明は、契約第DE−AC03−76SF00098の下、米国エネルギー省により支援された研究の間に行われた。政府は本発明においてある種の権利を有している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来技術における固体酸化物形燃料電池(SOFC)の作動図を示している。
【図2】従来技術の、複数の電池からなる平面配置における固体酸化物形燃料電池を示している。
【図3A】本発明の一実施形態による電池ホルダの概略図である。
【図3B】本発明の実施形態に従い、シールでホルダに取り付けられた電池を示している。
【図4A】本発明の一実施形態によるホルダの構成要素を示している。
【図4B】本発明の一実施形態に従い調製された、ステンレス綱から作製されたホルダの前面板、スペーサ、及び端板の写真である。
【図5】本発明による、より小さな(左)及びより大きな(右)チップ電池ホルダの写真である;より大きなホルダは、反応ガスフローのディレクタ(バッフル)(99)を有している。
【図6A】本発明の一実施形態による2つの電池を含んだユニットの断面図を示している。
【図6B】図6Aのユニットの側面図を示している。
【図6C】本発明の別の実施形態による2つの電池を含んだユニットの断面図を示している。
【図7】ろう付けによりホルダに取り付けられた電池を描いている。
【図8】セラミック、ガラス、又はガラスセラミックによりホルダに取り付けられた電池を描いており、電池は、ホルダと電池との間に電気接触を与えるために提供された導電性ペーストをその末端に有している。
【図9】図8に示されているものに類似しているが、ガラスの保護膜(気密シール)を提供しているホルダに取り付けられた電池を描いている。
【図10A】銀メッシュを有する、本発明による組み立てられたユニットの写真である。
【図10B】銀メッシュ及びAgリード線を有する、本発明による組み立てられたユニットの写真である。
【図11】本発明の一実施形態に従い調製されたユニットの性能曲線である。
【図12】本発明によるユニットの開路電圧(OCV)の変化を示したグラフである。
【図13】熱衝撃処理中の温度変化及びその変化速度を示したグラフである。
【図14】本発明によるチップ電池の、708℃で測定されたOCV対衝撃サイクルの数を示したグラフである。
【図15】本発明による2つのユニット(チップ電池)による蝶形スタックの写真を示している。
【図16】本発明によるホルダの絶縁体を用いてろう付けされた接合箇所の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図17】本発明による2つのユニットによる蝶形スタックのOCVの変化を示したグラフである。
【図18A】本発明の一実施形態において接続されたユニットの組合せに基づいた固体酸化物形燃料電池スタックにおける反応ガスフローを示している。
【図18B】本発明の一実施形態において接続された、いくつかの組み合わされたユニットを通る反応ガスフローを示している別の実施形態である。
【図19】本発明の一実施形態による、複数の電池、この場合は4つの電池を有するユニットを示している。
【図20】本発明の一実施形態による、複数の電池を有するユニットを示している。
【図21】積み重ねるためのボルトを収容する穴を有する本発明の実施形態を描いている。
【図22】本発明のうち円の形をした実施形態を描いている。
【図23】本発明のうち別の円の形をした実施形態を描いている。
【図24】片側の末端にて絶縁材料で結合した積み重ねられたユニットを示している。
【図25】両側の末端にて結合した積み重ねられたユニットを示している。
【図26】本発明の実施形態によるユニットの組合せのうち蝶形スタックの配置を示している。
【図27】本発明の一実施形態において接続された、梯子状の配置のユニットを示している。
【図28】本発明の実施形態による構成要素2つからなるホルダを示している。
【図29】本発明の実施形態による構成要素1つからなるホルダを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学装置の分野に関し、より明確には、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、電解式酸素発生装置、及び電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
絶えず増加している電力に対する需要、上がっている燃料費、並びに、温室効果ガス及び他の燃焼ガスの大気中の蓄積が、電気の生産のための代わりとなるエネルギー源の開発に拍車を付けている。燃料電池により、広範囲にわたる種々の燃料から電気を生じるための能率的で低公害、且つ環境に優しい技術が期待できる。しかし、燃料電池からの電気エネルギー生成における現在の費用は、商業的な技術からの同じ電気生成の費用よりも数倍高い。生産された電気における1キロワットあたりの高い資本金及び運用費により、燃料電池発生システムの商業的導入が延ばされている。
【0003】
固体酸化物形燃料電池は、燃料の適応性と組み合わせて高効率の可能性を提供している。性能を上げることにおいて、従って、固体酸化物形燃料電池の単位当たりの費用を下げることにおいてかなりの進歩を遂げており、例として、本発明者等の一人が、800℃で、支持された薄膜のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)固体酸化物形燃料電池に対して2W/cm2ほどの電力密度を得ることができると初めて実証した。全内容を本出願において全ての目的のために援用する、S.de Souza,S.J.Visco,and L.C.De Jonghe,“Reduced−temperature solid oxide fuel cell based on YSZ thin−film electrolyte,”J.Electrochem.Soc.,144,L35−L37(1997)を参照されたい。この結果が励みとなる一方で、800℃未満のさらなる温度の低下により、システムの費用の減額が促進される。そのような作動温度の低下により、一方で、金属製のインターコネクト器及び支持電極の使用が可能になり、費用減額を可能にし、他方では、抵抗性の低下を最小に抑え電流を集めることができるように燃料電池を形成する新たな方法が可能になっている。
【0004】
従来の燃料電池は、燃料との化学反応からの化学エネルギーを直接電気エネルギーに転換する電気化学装置である。電気は、燃料(一般的に、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、又はメタン等の、部分的に酸化された又は改質された炭化水素から生成された水素)と酸化剤(一般的に、空気中の酸素)との間に起こる電気化学反応を介して燃料電池内で発生する。この正味の電気化学反応は、イオン的に伝導性の電解質膜と、電子的に伝導性の電極と、燃料又は酸素の気相との間の界面で起こる電荷移動ステップを必要とする。従来技術において既知である他の種類の燃料電池は、溶融炭酸塩形燃料電池、リン酸形燃料電池、アルカリ形燃料電池、及び、固体高分子形燃料電池を含む。燃料電池は、燃料の電気への転換において熱加工処理ではなく電気化学処理に依拠しているため、燃料電池は、従来の機械的な変換器により経験されたカルノー効率によって制限されない。
【0005】
固体酸化物形燃料電池は、燃料の適応性と組み合わせて高い容積測定の電力密度の可能性を提供する全固体装置である。図1は、燃料電池、特に固体酸化物形燃料電池(SOFC)(10)の断面図を示している。この電池は、電解質(17)により隔てられた2つの電極、陽極(16)と陰極(18)からなる。この例では、ニッケル−イットリア安定化ジルコニアサーメット(Ni/YSZ)が、陽極(16)に使用されている材料である。ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)が陰極(18)に使用されている材料であり、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)が電解質に使用されている。多数の他の材料の組合せを使用して、SOFCを構築することができる。H2、CO、及び/又はCH4(本発明は、他の燃料で使用することができる)等の燃料(11)が陽極(16)に供給され、そこで燃料は、電解質(17)からの酸素イオン(O2−)により酸化され、外部回路に電子を放出する。陰極(18)上では、O2又は空気等の酸化剤が陰極に供給され、そこで酸化剤は、外部回路から電子を受け取ることによって電解質に酸素イオンを提供する。電解質(17)は、電極間でこれらのイオンを伝導し、全体の電荷バランスを維持している。外部回路における電子の流れが電力(15)を提供し、その電力を他の用途のために外部回路から移すことができる。反応生成物(12)は、装置から排出される。過剰空気(14)は、装置を通り抜けることができる。
【0006】
セラミックスは、装置が作動される高温に耐えることができるため、従来のSOFCにおいて電解質は、一般的に、セラミック材料から形成されている。例えば、SOFCは、約850℃から1000℃で通常作動される。さらに、SOFC等の典型的な固体状態のイオン装置は、そこにSOFCが組み立てられる構造要素を有している。従来の平面SOFCにおいて、その構造要素は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の厚い(100〜500μm)固体の電解質板である;次に、多孔性の電極が、その電解質上にスクリーン印刷される。
【0007】
典型的な固体酸化物形燃料電池の場合、水素燃料で発生し得る発熱反応のため、燃料と酸化剤のいかなる混合も回避するために、離れた閉鎖系において、陽極は燃料に曝露され、陰極は酸化剤に曝露される。
【0008】
電解質膜は、通常、固体酸化物形燃料電池の施用において、セラミックスの酸素イオン伝導体から構成される。ガス分離装置等の他の実行において、その固体膜は、イオン性電子性混合伝導体材料(「MIEC」)から構成することができる。多孔性の陽極は、電解質膜とその膜の電池の燃料側で接触する、セラミックス、金属、又は、最も一般的にセラミックス−金属複合材(「サーメット」)の層であり得る。多孔性の陰極は、一般的に、イオン性電子性混合伝導(MIEC)金属酸化物、又は、電子性伝導金属酸化物(若しくはMIEC金属酸化物)とイオン性伝導金属酸化物との混合物の層である。
【0009】
固体酸化物形燃料電池は、通常、約850℃から約1000℃の温度で作動し、電解質膜のイオン伝導性を最大にする。適切な温度で、酸素イオンは、電解質の結晶格子を通り容易に移動する。しかし、大部分の金属は、高い作動温度及び従来の燃料電池の酸化環境で安定ではなく、脆性な金属酸化物に転換される。従って、固体状態の電気化学装置は、通常、耐熱性のセラミック材料から構築されている。しかし、これらの材料は高価で、その脆性な性質のため、依然として限られた耐用期間を有している傾向がある。さらに、使用される材料は、電池の作製及び作動中の熱応力による層間剥離、電解質を横切った燃料又は酸化剤の浸透、並びに、類似の問題を回避するために、特定の化学的、熱的、及び物理的特徴を有していなければならない。
【0010】
各SOFCは比較的小さい電圧を生じるため、いくつかのSOFCを結合してシステムの容量を増加することができる。そのようなアレイ又はスタックは、一般的に、管状又は平面設計を有している。図2は、例えば固体酸化物形燃料電池(SOFC)等の固体状態の電気化学装置における基本的な平面設計を示している。電池(10)は、陽極16(「燃料(燃料11)電極」)及び陰極(18)(「空気(酸化剤13)電極」)、並びに、その2つの電極を引き離す固体の電解質(17)を含む。インターコネクト(19)が燃料と酸化剤を分離し、直列で1つの電池を別の電池に電気的に接続する。一般的に、多数の電池が「スタックされ(積み重ねられ)」、「スタック」を作る。実際には、図2に示されているようなスタック間の空間はなく、一組の陽極/電解質/陰極/インターコネクトが次の組に接触している。
【0011】
しかし、平面設計は、一般的に、ユニットを密封する及び平面スタックを分岐させることの複雑さによる安全性及び信頼性の懸念をかなり有しているとして認識される。図2に示されているように、電池とインターコネクトは、種々の箇所で互いに接触している。そのような組立体は、一様ではない接地圧分布及び均質ではない応力分布を回避するために、厳しい平坦許容誤差を要求している。均質ではない応力により、組み立て中又は作動中に電池が故障するリスクが増す。電池の厳しい平坦許容誤差により、生産費用が増えてしまう。さらに、電池に渡る温度勾配による応力を回避するために、電池は緩やかに加熱及び冷却されなければならない。緩やかな加熱により、無駄な燃料が生じ、多数のオン/オフサイクルを必要とする施用に対して、能率が後々悪くなってしまう。
【0012】
約850〜1000℃のより高い温度で作動される従来の平面燃料電池のスタックは、電解質の両面に与えられる多孔性の陽極層及び陰極層と比べて比較的厚い電解質層を有し、その電池に構造的支持を与えている。しかし、800℃未満に作動温度を下げるために、電解質層の厚さは、50〜500ミクロンを超えるものから約5〜50ミクロンまでに縮められている。この形状における薄い電解質層は、支持層ではない。むしろ、比較的弱い多孔性の陽極層及び陰極層が電池の重さを支えなければならない。弱い陽極又は陰極に支えられた平面燃料電池のスタックは、例えばスタックの構築又は熱サイクル中に、その重さのために崩壊する傾向があり得る。電池の機械的応力を減少することが、電池の故障を回避するのに寄与している。
【0013】
さらに、SOFCスタックは、補助動力装置(APU)及び可搬動力の利用を含めた特定の利用において、短い起動時間を有し、熱サイクル中の安定性を持つべきである。利用可能な従来技術のスタックは、70℃/分までの加熱処理に耐えることができ、700℃に達するまでに10分までかかるが、急速な熱サイクルによるスタックの安定性は未知のままである。
【0014】
従来技術の平面スタックは、(長方形の場合)4つの側面全てが互いに及び電池膜に結合され、電池膜はインターコネクトに結合されるという事実を欠点として持っている。多数の電池が共に積み重ねられ、従って、全てが機械的に結合される。この配置は、作動中に熱応力及び機械的応力を誘発し、スタックにおける電池内に種々の故障を引き起こし、装置の性能を下げ、寿命を縮めてしまう。従来技術の問題を解決する1つの試みにおいて、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、2003年5月22日に出願された米国公開特許出願第20030096147 A1号は、パケット要素を有する固体酸化物形燃料電池組立体を開示し、そのパケット要素は、密閉された内部に配置された複数の陽極を有する1又は複数のコンプライアント固体酸化物シート部分により部分的に形成された密閉された内部を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、一般的に利用可能な平面スタックに付随する化学的及び機械的応力を軽減する電気化学電池のホルダ及びスタックを提供することである;そのホルダ及びスタックは、比較的短い起動時間を実証し、熱衝撃及び機械的衝撃中に安定性を与え、さらに、改善された電気化学的な性能を示している。電池スタックの製造に使用される改善された電池のユニットを提供することも、本発明の目的である。より小さい平坦許容誤差の電池膜を利用し、それによって費用を抑えることができる電池ホルダを提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの及び他の目的は、積み重ねられ、操作的に接続された、複数の電池のユニットから作製された電池スタックに部分的に関する本発明に従い達成される。燃料及び酸化剤が存在する場合に電気化学反応の結果として電流を生成するために、そのユニットのそれぞれが、一般的にSOFC膜として提供される電池を少なくとも1つ有するホルダを含む。スタックを形成する個々のユニットは、1又は複数の電池膜が取り付けられた電池膜ホルダから作製される。電池膜は、陽極、陰極、及び、一般的に陽極と陰極との間に配置される電解質を有している。
【0017】
ホルダは、電池膜を取り付けるための開口部(窓)、陽極に隣接した電気接触部分、陰極を電子的に絶縁するための電気絶縁部分、並びに、窓に隣接したガス排出口及び/又は注入口を含んでいることが好ましい。
【0018】
ホルダは、1つの部分品、2つの部分品、又は3つ以上の部分品から作製することができる。
【0019】
好ましい実施形態において、ホルダは、3つの部分品、前面プレート、背面プレート、及び、その間に配置されたスペーサから作製することができる。前面及び/又は背面プレートのうち少なくとも1つがその中に、電池膜が取り付けられる開口部(窓)を有し、スペーサが前面及び背面プレートの間に配置されホルダが組み立てられる場合、陽極が反対側のプレートから一定の間隔で配置されるが、その反対側のプレートの方に内側に向いていることが好ましい。前面又は背面のうち少なくとも1つが、例えば水素ガス、炭化水素系ガス、又は、改質された炭化水素等の燃料を内部の電極、一般的には陽極に提供するために、ガス排出口及び/又はガス注入口を有している。酸素発生装置は、ガス排出口のみ必要とする。燃料が内部の電極に到達及び接触し、電気化学反応を起こして電気を発生できるように、スペーサも、一般的には前面及び/又は背面プレートの窓に対応する窓を有し、燃料注入口及び排出口に通じている。背面プレート、前面プレート、及びスペーサが、一列に並べられ、例えば溶接により物理的に接続されてホルダを形成する。これらの構成要素は、互いに導電的に接触することができるが、しなくてもよい。
【0020】
ホルダの一部は、導電性の材料から作製されなければならず、ホルダの前面及び/又は背面上に取り付けられた電池膜の陽極と電気接触していなければならない。一実施形態において、前面及び背面プレートは、陽極ともスペーサとも導電的に接触している。他の実施形態において、前面及び背面プレートは導電性ではないか、又は、少なくともその一部が非導電性の材料で被覆された導電性の材料から作製され、さらに、導電性のスペーサが陽極と接触している。
【0021】
電池膜の外側の電極、一般的には陰極が、周囲空気又は別の酸化剤に曝露できるように、周囲に向かって外側に向いている。電極間を流れる唯一の電流が、優位にイオンの形状で電解質を通り抜けるように、これらの電極は陽極から電子的に絶縁されている。
【0022】
電解質は、電池の陽極と陰極との間に配置される。
【0023】
電池膜を、例えば密封剤等のいかなる適切な手段によっても、それぞれの窓に最も近い背面又は前面の受け入れ部分に張り付けることができる。そのシールは伝導性若しくは絶縁であり得るか、又は、伝導性若しくは絶縁の層を提供することができる。各電池膜を、異なる接着剤を用いて、前面又は背面プレートに張り付ける又は付着させることができる。別の好ましい実施形態において、ホルダは、窓を有する前面及び背面、及び、その中に画定された燃料流路を含むが、スペーサは含んでいない(2つの部分品からなる構造)。
【0024】
別の好ましい実施形態において、ホルダは1枚のプレートである。
【0025】
好ましい実施形態において、ホルダは、ステンレス綱から完全に作製されるが、一部が導電性の材料から作製される場合、使用目的に合ういかなる適切な材料からも作製することができ、焼きなますこともできる。
【0026】
特に好ましい実施形態は、電池膜を取り付けるための開口部を有する電池スタック組立体のホルダ、及び、陽極に接触するための電気的接触部分に関し、反応ガスマニフォールドが、別のホルダと電気接触するホルダの周辺に配置されている。
【0027】
2つ以上のユニット、すなわち、少なくとも1つの電池膜が取り付けられたホルダから作製された組立体を積み重ね、2つ以上のユニットを互いに操作的に接触させることによってエネルギー出力を増加することができる。個々の又は積み重ねられたユニットが、電極で電気化学反応により生成された電子が流れる外の回路に電気的に接続されていることも好ましい。
【0028】
スタックは、いかなる操作的な配置でも形成することができ、任意選択で、ハウジング内に配置することができる。好ましい実施形態は、複数の平面電池ユニットから作製される電池スタック組立体に向けられており、電池ユニットのそれぞれが、電気的に接続された電池ホルダと少なくとも1つの電池を含む。前記少なくとも1つの電池は陽極、陰極、及び電解質を含む;さらに、前記複数の電池ユニットは、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で接続されている。この実施形態において、前記複数の電池ユニットは、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で電気的及び/又は機械的に接続されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
「電池」とは、電気化学電池のことである。本発明の一実施形態において、電池は、その間に電解質を有する少なくとも2つの電極を意味する。この電池は、本明細書において、「電池膜」又は「SOFC電池」とも呼ぶことができる。
【0030】
「ホルダ」とは、電池を収容し、ガス流路を提供する構造体のことであり、導電性であってもなくてもよい。
【0031】
「ユニット」とは、本発明に従うホルダ内にある少なくとも1つの「電池」又は「電池膜」のことである。「ユニット」という用語は、ハウジング、インターコネクトワイヤ、ポンプ、及び、燃料電池スタックの作動のための他の備品等、他の構造要素を含むことができる。このユニットは、本明細書において、「チップ」又は「チップ電池」とも呼ぶことができる。
【0032】
ここで使用されている「スタック」とは、例えば、水平又は垂直方向の配列で接続された複数の「ユニット」のことである。電気的接続は、直列若しくは並列、又は、直列と並列の組合せであり得る。
【0033】
「ハウジング」とは、ユニット又は電池又はスタックを囲むある種の構造体のことである。「ハウジング」という用語は、本明細書において一般的に使用され、ある特定の形状又は構造を意味しないが、電池、チップ、及び/又はユニットを囲む構造体を意味する。「側壁」は、ハウジングの一部であり得るか、又は、これらの用語は取り替えて使用することができる。
【0034】
本発明の好ましいホルダが、図3Aに示されている。窓(21)又は開口部が、電池膜(24)を収容するために、各前面及び背面プレート(22、23)内に与えられ、陽極は互いに内側の方向に面しているが、前面及び背面プレート(22、23)間に配置されたスペーサ(25)によって一定の間隔が置かれているのが好ましい。スペーサは、燃料キャビティ(32)を電極間、一般的には陽極間に形成し、燃料キャビティは燃料通路として作用し、さらに、別の燃料通路を含むこともできる。この配置は、ユニットの内部に陽極チャンバを形成する。前面及び背面プレート(22、23)は、電池膜(24)を密封剤により張り付けることができる窓に隣接する受け入れ領域(26)も有することができる。
【0035】
図3A及び4Aを参照すると、陽極は互いに面するが、その間にある燃料キャビティで一定の距離が置かれるように、スペーサ(25)が、一般的に前面及び背面プレート(22、23)の窓(21a、21b)に対応した切り抜き窓(21c)をその中に有しているのを見ることができる。スペーサ(25)は導電性でありえ、電池膜の陽極(30)のそれぞれと電気接触することができる。図3Bにおいて、陽極(30)は、前面及び背面(22、23)と電気的に接触し、その前面及び背面は、次にスペーサ(25)と電気接触している。このように、陽極(30)は、スペーサ(25)と間接的に電気接触している。あるいは、前面及び背面(22、23)を、陽極及びスペーサ(25)から電気的に絶縁することができ、その場合、陽極は、ホルダのスペーサ(25)とのみ直接的に電気接触する。
【0036】
装置の作動中に燃料通路が提供された場合、燃料は燃料キャビティ(32)を通り抜けることができる。本発明の一実施形態によると、燃料キャビティ(32)は外の環境まで密封され、陽極(30)に通じる唯一の材料は提供された燃料であることが理解される。一実施形態において、燃料キャビティ(32)は、陽極(30)に燃料を提供するための管又は他のコンジット手段を含んだ燃料通路を含む。燃料通路は、燃料を陽極(30)と接触させる手段を有していなければならない。例えば陽極(30)等の1種類の電極が、互いに内側に向かって面し、他の種類の電極、陰極(50)が互いに外側に面しているように、各電池膜(24)は互いに隣接して配置されていることに注目されたい。各陽極(30a)及び(30b)の外側で層にされているのは、それぞれ、電解質(60)及び(62)である。電解質(60)上で層にされているのは、陰極(50)である。
【0037】
ステンレス綱若しくは銀メッシュ、導電ペースト、又は、多孔性の合金シート等の集電板(70)は、図10Bに示されているように、陰極(50)と電気接触していることが好ましい。集電板は、導電性であることが好ましい適切な物質(71)又はメカニカルファスナーで陰極に張り付けることができる。集電板は、図10Aに示されているように、電気絶縁性接着剤で電池及び/又はホルダに張り付けることができる。図10Bに示されているように集電板に結びつけられた導線(72、76)を、集電板として提供することができる。一部の実施形態において、集電板は、導線又はワイヤ又はインターコネクト(72)及び(76)と、例えば銀等の同じ材料である。他の実施形態において、集電板は銀ペーストでありえ、従って、導線、ワイヤ、又はインターコネクト(72)及び(76)は、ワイヤ若しくはメッシュ、又は、電気に使用するのに適した他の材料を含む。いかなる適切な材料も、リード線、集電板、及び、シール又はファスナーに使用することができる。例えば、被覆された金属ふるいも適切である。米国特許第6,740,441号は、被覆された金属ふるい、メッシュ、又はフェルト状のものを含む、電気化学電池において電流を集める能力がある被覆された集電装置を開示している。
【0038】
本発明は、多数のユニットを電気的に接続することができることを意図している。コネクターの形状は、単に一実施形態であり、適切な電流の流路が保たれている限りいかなるコネクターも適切であることが理解される。
【0039】
電池は、図7から9に示されているように、導電性シール(78)、又は、伝導及び絶縁シールの組合せ(77)を用いて、前面及び背面(22、23)の窓(21)に近接したホルダの受け入れ領域内に取り付けることができる。シール(71)は、少なくとも3つの機能を有している。第1の機能は、内部の環境(一般的に、H2+H2O、又は、改質された炭化水素系ガスの混合物)から外部の環境(一般的に空気)を封じることである。第2の機能は、電池をホルダに結合させることである。第3の機能は、陽極とホルダとの間に電気接触を形成することである。第3の機能は、ガスフローチャネルと電池膜との間に電気接触を形成することと取り替えることもできる。3種類の可能なシールが、図7から9に示されている;これらは例であり、限定的であるとは意味していない。
【0040】
図3A及び3Bを参照すると、燃料、一般的に水素含有ガスが、ホルダ(20)の前面又は背面(22、23)内の燃料注入口(31)を通して供給され、スペーサ(25)内の燃料受け入れ手段により陽極(30)間の燃料キャビティ(32)内に入れられている。その燃料受け入れ手段は、連絡領域(33)を介して燃料注入口(31)に通じている。次に、燃料は、ホルダ20の前面又は背面(22、23)に提供された排出口(34)を介して排出される前に、内側に面している陽極(30)上で電気化学的酸化を受ける。燃料注入口(31)及び排出口(34)が、燃料の必要な流れを提供し、使い尽くされた燃料又はいかなる副産物も適切に排出する場合、注入口及び排出口をいかなる種々の方法でも配置することができる。
【0041】
ホルダ(20)は、図4Bに示されているように、ステンレス綱から作製されることが好ましいが、セラミックス、合金、及び複合材料を使用してホルダを形成することもできる。ステンレス綱は特に好まれ、導電性である。本発明に従い使用される典型的な合金は、AISI410L、430L、434L、446、及び、Ebrite(登録商標)等の、12〜30wt%のCr含有量を有するフェライト綱を含むが、これらは例証的であり、限定的ではない。ニッケルベースの合金は当業界において周知であり、この合金も使用することができる。
【0042】
スペーサ(25)は導電性の材料から作製するのが好ましいが、前面及び背面は、導電性若しくは非導電性であり得るか、又は、FeCrAlY等のAl含有合金上に発生するAl2O3等の電子的に絶縁する層を形成することができる。
【0043】
図5に示されているように、燃料が燃料通路(32)を流れ抜ける際に、燃料の流れを導く又は調節するために、ホルダは、突起部(48)、又は、他の流れを方向づける部分を有することができる。
【0044】
ステンレス綱を被覆することにより、酸化速度を緩めることができ、さらに、湿った空気中のクロム蒸発を減少し得ることは、当業界において既知である(例えば、“Protective coating on stainless steel interconnect for SOFCs:oxidation kinetics and electrical properties”in Solid State Ionics,Volume176, Issues 5〜6,14 February 2005, Pages 425〜433 by Xuan Chen, Peggy Y Hou, Craig P. Jacobson, Steven J. Visco及びLutgard C. De Jongheを参照されたい)。そのような被覆は、本明細書において記述されるチップ電池ホルダに対して意図されている。
【0045】
ホルダの寸法は、所望の利用方法に応じて変更することができ、窓枠の形は、いかなる適切な形のものでもあり得る。正方形又は長方形の形が図3Aに示され、円形の実施形態が図22及び23に描かれている。
【0046】
ホルダ(20)は、押し出し成形、鋳造、鋳込み、機械加工、打抜き加工、押抜き、焼結、ろう付、接合、若しくは、これらのうちいかなる組合せ、又は、当業界において既知である他の方法等、いかなる実行可能な技術を介しても製造することができ、一般的には、ホルダを作製するために選ばれる材料に依拠する。窓及びいかなる燃料注入口(31)又は排出口(34)も機能的に整列させられるように、前面(22)、背面(23)、及びスペーサ(25)が配置され、例えば溶接による等、当業界において既知であるいかなる手段によっても物理的に接続される。3つの部分品が図4A及び4Bに示されているが、それよりも少ない又は多い部分品を使用してホルダを構築することができる。
【0047】
いかなる数の偶数及び奇数の膜も、ユニットの各側面に使用することができる。図19〜20に示されているように、ユニットの各側面上にある電池膜の数は同じで、それぞれの窓に複数の電池を提供できることが好ましい。図19及び図20では、ホルダ部分が、複数のSOFC電池を受けるために窓をその中に有し、いかなる数の電池も提供できるのを見ることができる。
【0048】
特別に製造されていようと、商業的に入手可能であろうと、いかなる適切な電池膜も、本発明に従い使用することができる。電池の選択は、当業者には既知である要素の数に依拠する;例えば、特定の利用方法において、特定の陰極、陽極、又は電解質の組合せが、他の組合せよりも好まれる可能性がある。特定の理論又は原理により限定されることは望まないが、本発明の一実施形態におけるSOFCの作動は、以下のように行われる。酸化剤、好ましくはO2を提供する空気が供給される。燃料、好ましくは部分的に酸化された又は改質された炭化水素が、燃料チャネルを通って陽極と接触するよう供給される。陰極に供給された電子は、酸素をO2−に還元する(O2+4e−→2O2−)。酸素イオンは、各電解質を横切り、陽極までイオン的に輸送される。酸素イオンが陽極にある燃料に達すると、その酸素イオンは、水素をH2Oに、及び、COをCO2に酸化する。そうすることにおいて、酸素イオンは電子を放出し、陽極及び陰極が外部回路に接続されている場合、この電子の流れはdc電流として見られる。電力がユニット又は積み重ねられたユニットから引かれる。この過程は、燃料及び空気が電池に供給される限り続く。
【0049】
燃料電池、電解式酸素発生装置、及び電解槽等の電気化学装置は、片側に陽極を、もう一方の側に陰極を備えた電解質を有している。電池の機械的強度が50〜1000μmの厚さの電解質によるものである場合、電池を電解質で支えることができる。薄膜の電解質(<50ミクロンの厚さ)は支持を必要とし、その支持は通常、陽極(例えば、Ni−YSZ)又は陰極(LSM等)である。米国特許第6,605,316号に記載されているもの等の金属又はサーメットの支持構造体も使用することができる。本発明のチップ電池の設計は、これらの電池のうちどれも利用することができる。周知の電解質は:3モル%、8モル%、又は10モル%のイットリアを有するイットリア安定化ジルコニア(YSZ);スカンジア安定化ジルコニア(SSZ);ガドリニア又はサマリア添加セリア(GDC又はSDC)等の添加セリア;及び、ストロンチウムマグネシウム添加ランタンガレート(LSGM)等の添加ランタンガレートを含む。これらは単に例であり、本発明はそのように限定されない。
【0050】
本発明による電極は、米国特許第6,682,842号に記述されているもの等のNiの取り込み/セリアの分散により活性化される、(例えば、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、Steven J.Visco,Craig P.Jacobson,Igor Villareal,Andy Leming,Yuriy Matus,and Lutgard C.De Jonghe,“Development of Low−Cost Alloy Supported SOFCs”,Proc.ECS meeting,Paris,May 2003における)多孔性のフェライト系ステンレス綱等のいかなる適切な材料も、約0.4mmの厚さで含むことができる。従って、全内容を本出願において全ての目的のために援用する、Keiji Yamahara,Craig P.Jacobson,Steven J.Visco,Lutgard C.De Jonghe,“High−Performance Thin Film SOFCs for Reduced Temperature”,Proceedings SSI 14, Monterey,CA,2003にあるように、電解質/電極の界面で、又はその付近で、ナノスケールの触媒粒子を形成する化合物との後の浸潤により、安定し増加した触媒活性を得ることができる。フェライト綱は、セラミックの電解質の熱膨張係数にほぼ匹敵することができる熱膨張係数を有しており、それによって、熱応力を回避し、高い加熱率及び熱サイクルを可能にしている。陰極電流の集電は、陰極と一体化された、支持ステンレス綱メッシュ又はAgメッシュにより促進することができる。支持された薄膜の電解質は、米国特許第6,458,170号に開示されているように、コロイド処理及び同時焼成により作製することができる。電解質及び電極のための材料は、当業界において既知であり、これらの、及び、まだ発見されていない他の材料は、本発明に従い使用することができる。好ましい電解質は、サマリア添加セリア(SDC)、ガドリニア添加セリア(GDC)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア、及び、La0.9Sr0.1Ga0.8、Mg0.2O3〜δ(LSGM)を含めた固体の電解質である。本発明者等による以前の研究によって、ランタンストロンチウムコバルト酸化ニッケル(LSCN)/サマリア添加セリア(SDC)複合陰極、及び、Ni/SDC複合陽極を有する電池膜の、600から650℃での500mW/cm2を超える入手可能な領域特異的な電力が実証されてきた(C.P.Jacobson,S.J.Visco,and L.C.De Jonghe,“Thin−Film Solid Oxide Fuel Cells for Intermediate Temperature(500〜800℃)Operation”,Proc.Of the Processing and Characterization of Electrochemical Materials and Devices,April 25〜28,1999,The American Ceramic Society)。
【0051】
本発明は、ユニットのスタックを作り出すために、複数のユニット同士(1)をコネクターを介して結合することができると意図している。ユニット及びスタックの構築により、電池への応力伝達が最小化される。燃料、酸化剤、及びいかなる排出ガスも、電池を作動させるために要求された通りに流れることができるように、積み重ねられたユニットは互いに操作的に接続される。ユニットは、一般的に、互いに、及び、装置内で電気化学処理中に生成された電子が流れ通る集電回路に電気的にも接続され、他の利用にも使用される。
【0052】
電流は、電子として陰極に流れ、次に、イオンとして電解質を通り、次に、電子として陽極からホルダに流れる。電気接触は、ホルダと、従って、一ユニットの陽極から隣接するユニットの陰極との間に起こる必要がある。図6に示されているように、隣接するユニットの陽極間の望まれない電気接触を防ぐために、絶縁体(100)は、2つのユニット間に配置することができる。ユニットのホルダと隣接するユニットの陰極電流の集電板との間の電気接触は、導電材料(101)により起こる。これは、ペースト、若しくはワイヤ、若しくはメッシュ、若しくはシート、又はこれらの組合せであり得る。図6Bは、どちらの陰極電流集電板(70)にも接触しているが、絶縁体(100)によりホルダから絶縁されている導体(101)を示している。導体(101)は、隣接する電池と電気接触する。図16に示されているように、Macor(登録商標)等のセラミック材料を絶縁体として使用することができる。他の材料は、3モル%YSZ、Al2O3、MgO、及び雲母を含む(さらに多くの絶縁体が当業界において既知であり、ここで使用することができる)。図10A及び10Bは、シールによりホルダから電子的に絶縁された銀メッシュの集電板を示している。銀ワイヤの導線は、この配列において、電流を電極に運ぶ。
【0053】
ユニットは電気的に直列で接続することができるが、それに限られることなく、スタックは、一部が電気的に直列で接続され、残りが並列で接続されたユニットを有することができる。ユニットアーキテクチャ及び直列組立体におけるこの適応性により、非常にコンパクトな電力発生装置において、数ワットから数十のキロワットに及ぶ組合せが生じることを容易に想像することができる。燃料ガスフローは、スタックの能率を上げるために、縦続接続であり得る。コネクターで別のユニットと接続される場合、陰極により一側面上に、及び、他の結合されたユニットの陰極によりその他の側面上に空間が画定されるのが好ましい。その空間は、空気が陰極に曝露されるように、空気注入及び排出のために、開口部を介して、及び、陰極に通じることができる。これらの開口部は、周囲空気に曝露することができるか、又は、酸化剤ガスのある種の外部供給を有することができる。
【0054】
積み重ねられたユニットは、端板により画定されていることが好ましいハウジングに収容することができる。空気取入口を各電池ユニット(1)に提供することができるので、各陰極は環境又は他の酸素源に曝露される。あるいは、陰極は周囲空気に曝露することができる。端板又はハウジングは、陰極に空気を供給するための連絡手段がある限り、所望の最終用途に応じていかなる構造も持つことができる。この連絡手段は、ただ端板、ハウジングを持たないという場合もあり、陰極は周囲空気に曝露される。排出口は、空気を排出するためにハウジングに提供される。
【0055】
図18A及び図18Bは、絶縁体(40)により隔てられた積重ね配置の電池(1a〜1c)を示している。代わりの注入口及び排出口の配置も示されている(図5A及び5Bと比較されたい)。独立した注入口及び排出口を各ユニット(1)に提供することができるが、燃料注入口及び排出口は、積み重ねられたユニットの全てに通して流れるように設計することができる。
【0056】
図16及び26は、絶縁体により隔てられているが、通じている燃料注入口及び排出口を有する2つ以上のユニット(1a、1b等)からなる別の「蝶形」配置を示している。そのような蝶形配置は、例えば、ろう付けによりホルダ(10)が操作的に接続された後、SOFC膜を与えるのを可能にしている。そうすることにより、個々のホルダを互いにろう付けしている間にSOFC電池に損害を与えるリスクを減少する。
【0057】
図27は、本発明に従う複数のチップ電池(ユニット)からなる別の梯子状の配置を示している。ユニット(1a、1b、1c等)が、梯子枠46に接続され、独立した梯子が、梯子枠のコネクター47で操作的に結合されている。梯子枠の端の部分48は、梯子枠の末端に提供することができ、導電性又は非導電性の材料から作製することができる。
【0058】
本明細書において記述されている構造体は、SOFC装置だけでなく酸素発生器としても使用されることを本発明は意図しており、電流又は電圧が装置に供給され、酸素が陽極で生成される。投入材料には、陰極の空気も含まれるであろう。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明の装置は、固体酸化物形燃料電池のユニット電池あたり600〜650℃で少なくとも100mW/cm2、好ましくは少なくとも200mW/cm2を有するよう意図されている。SOFCのスタックは、0.8kW/リットル(@200mW/cm2)から1.75kW/リットル(@400mW/cm2)以上に及ぶ電力密度を算出し、さらに、かなり余分な密封すること又はマニフォールドことの複雑さを導入することなく、単にユニット電池を結合させることにより組み立てることができる。この性能は、(H2、H2O)/空気及び改質された炭化水素/空気という燃料/酸化剤の組合せで達成されるが、いかなる燃料も使用できることを本発明は意図している。本明細書において開示されている燃料電池は、アルコール、プロパン、ブタン、メタン、オクタン、及びディーゼル等、水素ガス以外の燃料も含むことができ、この操作は当業者には周知であることを本発明は意図している。燃料ガス再循環も意図されている。
【0060】
電池の寸法は、能率的な端集電を有する必要性によりある程度決定される。これは、作用していない端の領域等、電極の面内の導電性により順に決定される。いかなる特定の寸法にも限定されないが、これらの因子、及び、電極に関与する種々の材料における既知の電子抵抗を基にした算出により、端集電のためのほぼ最長の長さは、50mV未満の電位降下で、4から5cmであることが示されている。従って、燃料電池の予測された性能は、幾何学的因子の数だけでなく、ユニットの電極領域あたりの本来そなわっている電力の影響も受けやすい。
【0061】
絶縁材料を本発明に従い使用して、チップ電池ユニットを互いから及び/若しくはハウジングから絶縁するか、又は、電池膜とホルダの前面若しくは背面との間を絶縁して、電池をホルダに付着させることができる。これらの絶縁材料は、一般的にセラミックスであるが、限定的ではない。ホルダが使用された場合に、電池をそのホルダに密封するために、ろう付け、接着剤、及び、圧縮シールを含めたいかなる技術も使用することができる。
【0062】
ろう付けは、簡潔に合金を融解し、次に凝固させることにより、2つの物質を結合するという処理である。ろう付けは、使用される合金が、融点又は450℃を超える融点範囲を有しているということを除いて、はんだ付けに類似している。ろう付けに使用される一般的な合金は、Cu、Ni、Ag、及び/又はAuに基づいている。融解した合金は酸化物を非常によく湿らすことはないため、セラミックスにろう付けすることは、金属にろう付けすることよりも難しい。セラミックス又は粉末や金の接合のための商業的に入手可能なろう付け合金は、酸化物の表面と反応して湿潤を促進する能動素子を含んでいる場合が多い。例えば、Active Brazing Alloys(ABA)(登録商標)(Wesgo(登録商標)金属の登録商標)は、セラミックスの表面上に湿潤を促進するチタニウムなどの要素の添加を含んでいる。Copper−ABA(登録商標)等の銅ベースのろう付け合金、及び、Silver−ABA(登録商標)、Ticusil(登録商標)、Cusil−ABA(登録商標)等の銀−銅ベースのろう付け合金を、膜を枠内に結合及び密封するために、並びに、絶縁のスペーサを枠に結合及び密封するために使用することができる。金、ニッケル−クロムベースのろう付け合金も、これらの適用に使用することができる。
【0063】
セラミックの接着剤が、セラミックス、金属、石英、及び複合材料を結合及び密封するために使用される。セラミックの接着剤は、加熱された場合に金属又はセラミックスに対して強い結合を生じるケイ酸塩又はリン酸塩を含んでいる場合が多い。一部の接着剤は、材料間の強度を改善する、又は、熱膨張の適合性を改善するために、セラミック又は金属の粒子及び繊維も含んでいる。
【0064】
導電性接着剤の例は、Aremco Pyro−Duct(商標)597−A(Aremco Products社、Valley Cottage、NY1098)である。この接着剤は、電池とホルダとを密封及び結合する、並びに、電池とホルダとの間に電気接触を生じるのに適切な銀で満たされたペーストである。高い熱抵抗及び電気抵抗を示す商業的に入手可能なセラミックの接着剤における限定的ではない例は、Aremco Ceramabond 516、552、571、及び671である。
【0065】
上記のろう付け合金及び接着剤に加えて、圧縮シール、又は、圧縮及び接着若しくはろう付け合金の組合せで1つのチップ電池ユニットを別のチップ電池ユニットに密封することもできる。圧縮は、単にその構造体を共にボルトで留めることにより実現することができる。図21は、構造体を共にボルトで留めるための穴を有したタブが低い部分に付加された、同じ基本的なチップ電池設計を示している。ボルトはフェライト綱の合金から作製され、Macor(登録商標)又は雲母又はガラススリーブを用いてチップ電池の金属部分から絶縁されるのが好ましい。これにより、チップ電池のうち、電池対電池の接続が起こる低い部分での圧縮が可能である。
【0066】
本明細書において開示されたチップ電池及びスタックの設計は、電池と共に直列で若しくは並列で、又はその両方で反応ガスを分布させることを可能にしている。言い換えると、反応ガスが1つの電池の陽極チャンバに入り、その電池から出て、次に、直列接続の次の電池に入る。この種の直列又は縦接続の反応ガスフローの配置は、典型的な平面スタック設計に起こるガスフロー等の並列の反応ガスフローと比較した場合に、スタックの能率を改善するとして既知である。好ましくは、少なくとも4つのユニットが、反応ガスフローを直列で有している。ホルダ及びスタックの多機能性のため、多数の直列/並列設計があり得ることが想像される。燃料ガスの一部が、能率を改善するために再循環することができる。
【実施例1】
【0067】
2.8cm×3.6cm×0.21cm(厚さ)という寸法で本明細書に記述されているようなホルダを生じるために機械で加工された、0.028インチ(0.0711cm)の厚さを有する430ステンレス綱シート(McMaster Carr社)から、チップ電池ホルダを製造した。正方形の枠のサイズは2cm×2cmであり、約0.46cmの厚さである。図4Aにおいて詳しく示されているように、ホルダは3つの部分品、すなわち、前面、スペーサ、及び背面又は端板からなる。設計された部分品を形成するためにシートを切断及び加工した後、前面板に穴をあけ、316ステンレスチューブ(McMaster Carr社;1/8インチ(0.318cm)のOD)をその穴に挿入し溶接して、ガス注入口及び排出口を形成した。次に、3つの部分品を示されているように整列させ、端に沿って溶接し、電池ホルダを形成した。図4Bは、430SSシートから作製されたホルダの部分品を示している。316SSチューブを前面板に連結した後、これらの3つの構成要素を溶接してチップ電池ホルダを作製する。他のチップ電池ホルダを、0.457mm及び0.15mmの厚さで作製した。図5において比較のために示されているように、ホルダを、例えば5cm×5cmのより大きな膜を収容するために、例えば、5.8cm×6.9cmまでのサイズ及び0.21cmの厚さに拡大することができる。
【0068】
SOFC膜をホルダに取り付ける前に、3℃/分の温度上昇/下降速度を保ちながらホルダを750℃で2時間焼きなました。この実験のために、市販のSOFC膜(ECTypeASC2InDEC)を、1.995cm×1.995cmの正方形に切断し、四隅をサンドペーパーで丸くした。正方形のSOFC膜をアセトン内で3回すすぎ、陰極側を1.5cm×1.5cmの正方形にマスク(masked into)した。
【0069】
次に、銀の導体ペ―ストの薄膜(Alfa Aesar社)をマスクした陰極の正方形上に与え、加熱灯(〜60℃)の下で乾燥させた。さらに、ホルダの両側にある枠の構造体にAgペーストを与え、SOFC膜を背面及び前面のそれぞれの窓の上に付着させた。次に、ユニットの構造体全てを加熱灯の下で乾燥させ、5℃/mmの温度変化速度を用いて1時間で700℃まで加熱した。
【0070】
次に、銀メッシュ(Alfa Aesar社)を薄いAg層の上に配置し、その銀メッシュを被覆するために銀ペーストを与えた。Aremco552VFGセラミックの接着剤を1mlの注入器に吸い込み、ホルダと取り付けられたSOFC膜との間にあるいかなる隙間も被覆するように、及び、銀メッシュを電池とホルダに結合させるように与えた。次に、2℃/分で93℃まで、ドエル2時間;2℃/分で260℃まで、ドエル2時間;2℃/分で371℃まで、ドエル2時間;次に室温まで冷やすという温度プロファイルを用いてその接着剤を硬化した。組み立てられたチップ電池の写真が、図10Aに示されている。
【0071】
電気化学の性能を、図10Bに例示されているように、Agワイヤを銀メッシュにスポット溶接することにより決定し、結果として生じるユニットを炉内に配置した。2℃/分の速度で温度を室温から試験温度に上げた。97%H2+3%H2Oの混合物を、316SSチューブの1つから陽極チャンバに供給し、陰極を開放空気に曝露しておいた。ユニットの性能を720℃で測定し、その結果が図11に示されている。OCVを1.02Vまでになるよう決定し、ユニットは1.8Wまでの電力を出力することができた。陰極の作用面積は2×1.5cm×1.5cm=4.5cm2であるため、対応するピーク電力密度は0.4W/cm2までである。
【0072】
ホルダは2.8cm×3.6cm×0.21cmであり、容積出力密度(VPD)は0.85kW/Lとして簡単に算出されることに注目されたい。多数の因子がVPDを集合的に決定するが、その中にはホルダ及びSOFC膜のサイズが含まれる。窓枠の幅(膜の縁とホルダの外縁との間にある空間)を削減することにより、VPDが増加する。窓枠が、製造には穏当な値である1mmまで狭まる場合、VPDは1.3kW/Lまで増加する。もっともなことだが、小さなチップ電池の場合、ホルダは比較的かなり大部分の空間を占めるので、VPDを決定する別の因子は、チップ電池のサイズである。従って、窓枠の幅が1mmで保たれる場合、VPDは膜のサイズと共に増加し、大きなチップ電池(4.75cm×4.75cmの陰極領域を持った5cm×5cmの電池領域)では2.5kW/Lまでに達する。チップ電池スタックのVPDはこれらの値よりも小さくなり、同じくチップ電池間の空間に非常に依拠している。例えば、上記の大きなチップ電池間にある0.5mmの距離は、実用的な施用に有用である2kW/LまでVPDを減少する。
調節された加熱及び冷却
図12は、異なる調節された加熱及び冷却速度の熱サイクルを受けたユニットにおけるOCVの変化を表している。720℃での最初のOCVは1.02Vまでであり、密封剤の品質の良さを示している。3℃/分の速度で220℃から720℃までのサイクルを57回行った後も、1.03Vまでにとどまった。この結果は、320℃から720℃までの温度変化の速度が10℃/分まで増加し、48回サイクルを行った場合でさえもOCVは落ちなかったことを示している。
【0073】
急速熱サイクル中のチップ電池の安定性をさらに調査するために、ユニットを熱い炉から周囲温度、そのまた逆に直接移動させることの結果として生じる熱衝撃処理を上記のユニットに従い作製した第2のユニットに受けさせた。この安定性は、高温に保たれた炉からのチップ電池の急速な除去又は挿入を可能にしている。チップ電池に張り付けた熱電対を用いて、熱衝撃処置中の温度変化分布を記録し、図13に表した。最初の加熱速度は1000℃/分を超えている。図13により、チップ電池は3.6分かけた29℃から700℃の加熱に耐え、708℃から100℃まで冷却するのに3.8分かかっていることが示されている。708℃で測定されたOCVは図14に要約され、初めは1.07Vであり、400回の熱衝撃サイクルの後でさえも1.06V以上の値を維持している。
2つの電池による蝶形スタック
1つの電池用ホルダを、2つの穴のうち1つのみをステンレス綱チューブで溶接したことを除いて、上記の手順に従い作製した。Macor(商標)(McMaster Carr社、0.125”の厚さ)を、チップ電池同士を接続するためのスペーサとして選択し、9mm*11mmの塊に機械加工して、3/16”の穴をその塊の中心を通ってあけた。TiCuSil(68.8Ag−28.7Cu−4.5Ti;Wesgo社)アクティブブレイジングアロイ(ABA)を0.005”の厚さにテープカレンダー(tape calendar)し、次に、11mm*13mmの断片に切断して、同様に1/8”の穴をその中心を通ってあけた。次に、穴の中心が正しく整列するように、第1のチップ電池ホルダ、ABA、MACOR、ABA、第2のチップ電池ホルダを順次に積み重ねた。続いて、全体の構造を留め金で安定化させ、1.5*10−5mmHgという典型的な真空度を持つろう付け炉に移した。その炉を400℃まで加熱し、その後、室温まで冷却する前に、ランピング速度を10℃/分に設定し、880℃で10分間一時停止させた。図15に示されているような2つの電池による蝶形のスタックを組み立てるために、上の段落で詳しく説明された同一の手順の後に、SOFC膜をマニフォールド上に取り付け及び密封した。
スタックへのチップ電池の接続
チップ電池の設計に基づきスタックを組み立てるためには種々の方法があるため、スタックの概念を実証するために、ろう付け技術を使用し、MACORの塊を介して2つのチップ電池を共に結合して、図15に表された2つの電池による蝶形のスタックを形成した。図16は、MACOR−ろう付け合金−ステンレス綱という接合のSEM画像を示しており、ろう付け合金とMACOR/ステンレス綱との間に強い結合を表している。実際、高度の拡大観察(ここには示されていない)により、ろう付けされた接続部分に沿って密な質感が明らかになっており、チップ電池間の気密な接続が実現されていることを示唆している。構築されたスタックを700℃で電気化学的に検査したところ、スタックOCVは、1.07Vという単一のチップ電池のOCV値に一致することが好ましい2.14Vであった。言うまでもなく、顕微鏡試験の結果も電気化学試験の結果も、チップ電池は共に結合され2つの電池によるチップ電池スタックを形成するのに成功していることを示している。スタックも、10℃/分という温度変化速度を用いて200℃から700℃で熱サイクルし、サイクルと共に生じたスタックOCVの変化は図17にプロットされている。OCVは2.14あたりで安定化し、それは、膜上での高い質の密封及びホルダ間の接続を意味していることがわかる。
【0074】
結果により、本発明に従うユニットSOFCは720℃で0.4W/cm2以上のピーク電力密度を生じる能力を持っており、その容積出力密度は0.85kW/Lまでであり、容積出力密度は、ホルダ及び積まれたSOFC膜を最適化することにより重大な難しさもなく上げることができると示されている。
【0075】
本発明に従い組み立てられたユニットは、急な熱サイクルに対して極めて耐性があり、400回の熱衝撃処理後もガス漏れの徴候を示しておらず、ユニットは1000℃/分以上の温度変化速度に耐えていた。ユニットは、3.6分未満に700℃まで加熱することができる。
【0076】
図28及び図29を参照すると、図4Aに示されたスペーサはホルダを形成するのに必要ではなく、2つの部分品及び単一(単体)構造を生じているのを見ることができる。図28では、ホルダへの反応ガスフローの出入り口は、チャネルを介して発生している。図28における2つの構成要素は、必要ではないが同一であり得ることに注目されたい。図28に示されている構成要素は同一であり、背面プレートは、ホルダへの組立のためにひっくり返された前面プレートと単に同じ構成要素である。単一の構成要素の設計は、製造を容易にする。
【0077】
図28は、窓21、及び、プレート22内でくぼんだ所を作った電池膜受け入れ領域26を示している。壁は、導電性又は非導電性の材料等、いかなる適切な材料又はその組合せからも作製することができる。
【0078】
図29は、単一の構成要素及び電子絶縁プレート107から作製されたホルダを示している。この実施形態のホルダ130のうち固体の後ろの部分は、電池膜と共に燃料キャビティを形成するので、窓がない。電池受け入れ領域26も提供されている。絶縁プレートは、ホルダが積み重ねられ場合に、ホルダを隣接するホルダから電子的に絶縁し、反応ガスフローチャネルを密封する。
【0079】
本明細書において開示されている全ての参考文献、特許文献、及び公開された特許出願文献は、全内容を本出願において全ての目的のために援用する。
【0080】
本出願は、2005年11月23日に出願した米国仮特許出願第60/739,229号に基づく優先権を主張するものであり、全内容を本出願において援用する。
政府の支援に関する記述
本発明は、契約第DE−AC03−76SF00098の下、米国エネルギー省により支援された研究の間に行われた。政府は本発明においてある種の権利を有している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】従来技術における固体酸化物形燃料電池(SOFC)の作動図を示している。
【図2】従来技術の、複数の電池からなる平面配置における固体酸化物形燃料電池を示している。
【図3A】本発明の一実施形態による電池ホルダの概略図である。
【図3B】本発明の実施形態に従い、シールでホルダに取り付けられた電池を示している。
【図4A】本発明の一実施形態によるホルダの構成要素を示している。
【図4B】本発明の一実施形態に従い調製された、ステンレス綱から作製されたホルダの前面板、スペーサ、及び端板の写真である。
【図5】本発明による、より小さな(左)及びより大きな(右)チップ電池ホルダの写真である;より大きなホルダは、反応ガスフローのディレクタ(バッフル)(99)を有している。
【図6A】本発明の一実施形態による2つの電池を含んだユニットの断面図を示している。
【図6B】図6Aのユニットの側面図を示している。
【図6C】本発明の別の実施形態による2つの電池を含んだユニットの断面図を示している。
【図7】ろう付けによりホルダに取り付けられた電池を描いている。
【図8】セラミック、ガラス、又はガラスセラミックによりホルダに取り付けられた電池を描いており、電池は、ホルダと電池との間に電気接触を与えるために提供された導電性ペーストをその末端に有している。
【図9】図8に示されているものに類似しているが、ガラスの保護膜(気密シール)を提供しているホルダに取り付けられた電池を描いている。
【図10A】銀メッシュを有する、本発明による組み立てられたユニットの写真である。
【図10B】銀メッシュ及びAgリード線を有する、本発明による組み立てられたユニットの写真である。
【図11】本発明の一実施形態に従い調製されたユニットの性能曲線である。
【図12】本発明によるユニットの開路電圧(OCV)の変化を示したグラフである。
【図13】熱衝撃処理中の温度変化及びその変化速度を示したグラフである。
【図14】本発明によるチップ電池の、708℃で測定されたOCV対衝撃サイクルの数を示したグラフである。
【図15】本発明による2つのユニット(チップ電池)による蝶形スタックの写真を示している。
【図16】本発明によるホルダの絶縁体を用いてろう付けされた接合箇所の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
【図17】本発明による2つのユニットによる蝶形スタックのOCVの変化を示したグラフである。
【図18A】本発明の一実施形態において接続されたユニットの組合せに基づいた固体酸化物形燃料電池スタックにおける反応ガスフローを示している。
【図18B】本発明の一実施形態において接続された、いくつかの組み合わされたユニットを通る反応ガスフローを示している別の実施形態である。
【図19】本発明の一実施形態による、複数の電池、この場合は4つの電池を有するユニットを示している。
【図20】本発明の一実施形態による、複数の電池を有するユニットを示している。
【図21】積み重ねるためのボルトを収容する穴を有する本発明の実施形態を描いている。
【図22】本発明のうち円の形をした実施形態を描いている。
【図23】本発明のうち別の円の形をした実施形態を描いている。
【図24】片側の末端にて絶縁材料で結合した積み重ねられたユニットを示している。
【図25】両側の末端にて結合した積み重ねられたユニットを示している。
【図26】本発明の実施形態によるユニットの組合せのうち蝶形スタックの配置を示している。
【図27】本発明の一実施形態において接続された、梯子状の配置のユニットを示している。
【図28】本発明の実施形態による構成要素2つからなるホルダを示している。
【図29】本発明の実施形態による構成要素1つからなるホルダを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池スタック組立体であって:
複数の平面電池ユニットであり、該電池ユニットのそれぞれが電池ホルダ及び少なくとも1つの電池を含み、該電池及び前記電池ホルダが電気的に接続される、複数の平面電池ユニットを含み;
前記少なくとも1つの電池が、陽極、陰極、及び電解質を含み;さらに
前記複数の電池ユニットが、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で接続される;
電池スタック組立体。
【請求項2】
各電池が電池膜を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項3】
前記ホルダが、前記電池膜を取り付けるための開口部、前記陽極に隣接した電気接触部分、前記陰極を電子的に絶縁するための電気絶縁部分、並びに、どちらも前記開口部に隣接したガス排出口及びガス注入口を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項4】
前記ホルダが、前面プレート、背面プレート、及び、その間に配置されたスペーサを含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項5】
前記ホルダの少なくとも一部が導電性の材料を含み、前記陽極と電気接触する、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項6】
前記ホルダが、ステンレス綱、セラミックス、合金、又は複合材料を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項7】
前記複数の電池ユニットが蝶形配置で整列させられる、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項8】
前記複数の電池ユニットがハウジング内に配置される、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電池がSOFC膜を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項10】
前記電池ユニットが絶縁材料により隔てられる、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項11】
前記ホルダがステンレス綱を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項12】
前記複数の電池ユニットが、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で電気的又は機械的に接続される、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項13】
電池スタック組立体のためのホルダであって:
電池を取り付けるための開口部;
前記電池の陽極に接触するための、第1の電気接触部分;
隣接する電池の陰極に接触するための、第2の電気接触部分;
隣接する電池ホルダとの電気接触を妨げるための電気絶縁部分;及び、
前記ホルダの周辺に配置された反応ガスマニフォールド;
を含む、ホルダ。
【請求項14】
前記ホルダの少なくとも一部がステンレス綱を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項15】
前記ホルダが、ステンレス綱、セラミックス、金属の合金、又は複合材料を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項16】
前記ホルダが、陰極を電気的に絶縁するために電気絶縁部分を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項17】
前記電池が膜である、請求項13に記載のホルダ。
【請求項18】
前記ホルダが金属の合金を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項19】
請求項13に記載のホルダ、及び、前記開口部の表面に取り付けられたSOFC膜を含む電池ユニット。
【請求項20】
前記ホルダがステンレス綱を含む、請求項19に記載の電池ユニット。
【請求項21】
前記SOFC膜が、前記ホルダに接着剤で貼り付けられる、請求項19に記載の電池ユニット。
【請求項1】
電池スタック組立体であって:
複数の平面電池ユニットであり、該電池ユニットのそれぞれが電池ホルダ及び少なくとも1つの電池を含み、該電池及び前記電池ホルダが電気的に接続される、複数の平面電池ユニットを含み;
前記少なくとも1つの電池が、陽極、陰極、及び電解質を含み;さらに
前記複数の電池ユニットが、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で接続される;
電池スタック組立体。
【請求項2】
各電池が電池膜を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項3】
前記ホルダが、前記電池膜を取り付けるための開口部、前記陽極に隣接した電気接触部分、前記陰極を電子的に絶縁するための電気絶縁部分、並びに、どちらも前記開口部に隣接したガス排出口及びガス注入口を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項4】
前記ホルダが、前面プレート、背面プレート、及び、その間に配置されたスペーサを含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項5】
前記ホルダの少なくとも一部が導電性の材料を含み、前記陽極と電気接触する、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項6】
前記ホルダが、ステンレス綱、セラミックス、合金、又は複合材料を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項7】
前記複数の電池ユニットが蝶形配置で整列させられる、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項8】
前記複数の電池ユニットがハウジング内に配置される、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電池がSOFC膜を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項10】
前記電池ユニットが絶縁材料により隔てられる、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項11】
前記ホルダがステンレス綱を含む、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項12】
前記複数の電池ユニットが、各電池ユニットにおける電池ホルダの周辺の一部で電気的又は機械的に接続される、請求項1に記載の電池スタック組立体。
【請求項13】
電池スタック組立体のためのホルダであって:
電池を取り付けるための開口部;
前記電池の陽極に接触するための、第1の電気接触部分;
隣接する電池の陰極に接触するための、第2の電気接触部分;
隣接する電池ホルダとの電気接触を妨げるための電気絶縁部分;及び、
前記ホルダの周辺に配置された反応ガスマニフォールド;
を含む、ホルダ。
【請求項14】
前記ホルダの少なくとも一部がステンレス綱を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項15】
前記ホルダが、ステンレス綱、セラミックス、金属の合金、又は複合材料を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項16】
前記ホルダが、陰極を電気的に絶縁するために電気絶縁部分を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項17】
前記電池が膜である、請求項13に記載のホルダ。
【請求項18】
前記ホルダが金属の合金を含む、請求項13に記載のホルダ。
【請求項19】
請求項13に記載のホルダ、及び、前記開口部の表面に取り付けられたSOFC膜を含む電池ユニット。
【請求項20】
前記ホルダがステンレス綱を含む、請求項19に記載の電池ユニット。
【請求項21】
前記SOFC膜が、前記ホルダに接着剤で貼り付けられる、請求項19に記載の電池ユニット。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2009−520315(P2009−520315A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542438(P2008−542438)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045199
【国際公開番号】WO2007/062117
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(504471296)ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045199
【国際公開番号】WO2007/062117
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(504471296)ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア (13)
【Fターム(参考)】
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