説明

電気式ピザ釜

【課題】 ピザ投入口を開放状態にしても安全かつ容易に焼ムラのない又は少ないピザを焼成することができる電気式ピザ釜を提供すること。
【解決手段】 電気によってピザを焼成する電気式ピザ釜であって、ピザが投入される投入口を有して投入載置されたピザを焼成する焼成室を備え、該焼成室には、ピザを載置して略水平方向に回転するターンテーブルと、ピザを焼成する電気ヒーターが設けられ、
該電気ヒーターは、前記焼成室の内側の上面及び下面並びに少なくとも前記投入口と対峙する側面に配設されていることを特徴とする電気式ピザ釜とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気式ピザ釜に関し、より詳しくは、ピザ投入口を開放状態で焼ムラの少ないピザを焼成する電気式ピザ釜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
古来ピザは、薪を燃料とする石窯に投入されて焼成されてきた。薪の炎による火力と石窯の遠赤外線効果等によって石窯内は非常に高温になり、短時間でピザを焼成できる。
ただし、このような薪式の石窯では、燃料である薪の取扱いが難しく、薪の選定に始まり、火加減調整や消火等の後始末まで、非常に煩雑である。
このような薪式石窯に代わって、取扱いが比較的容易なガスを燃料としてガスバーナーによってピザを焼成するガス式石窯や、石窯をステンレス鋼等の鋼材にしたガス式釜が主流となっている。
【0003】
しかしながら、ガス式石窯やガス式釜では、薪式よりは燃料の取扱いが容易になるものの、薪に代わるガスバーナーによる石窯形式であるため、薪式と同様、石窯(釜)内には温度ムラが発生する。
また、最近、ピザを提供するレストラン等では、演出効果を狙ってオープンキッチンにてピザを焼成する過程を見せるため、釜のピザ投入口を開けた状態でピザを焼成するところが増えている。このようにピザ投入口を開けた状態を続ける場合、釜内のピザ投入口付近は低温のままとなる。
【0004】
これらの釜内での温度ムラとピザ投入口を開けた状態によって、以下のような問題が生じる。
1)温度ムラは、釜内に温度が高い部分や低い部分等の温度分布が生じることであり、この温度分布がピザの焼け具合の強弱分布となり、焼ムラの原因となる。この強弱分布は釜によって異なるため、釜の強弱分布を把握するには、ある程度の熟練を要する。
2)ピザの焼ムラをなくすには、釜の強弱分布を把握した上で、焼成作業者がピザピールを用いて釜内でピザを置く位置を変えたり、ピザを回転させたりする等、ピザを的確に動かして焼成する必要がある。
3)釜内でピザを動かすためには、ピザを動かすための予備的なスペースが釜内に必要であり、多くのピザを一度に釜内に入れて焼成することができない。
4)焼成作業者には、ピザ投入口から排出された釜内の高温度の熱気が直接当たる等、作業環境が好ましくない。
【0005】
このような問題があるガス式釜に対して、ピザ投入口に遮蔽板を設けることによってピザ投入口の開閉扉を開いても温度が下がり難い電熱式ピザ用オーブンが提案されている(下記特許文献1参照)。具体的には、ピザ投入口である開口部側の焼成室上端より下方に延設される一定幅の熱風遮蔽板を備え、補助熱風遮蔽板が開口部上端より下方に延設されている。
これらの熱風遮蔽板によれば、開閉扉を開いたときに、開口部上部から排出される焼成室内の加熱空気が熱風遮蔽板によって阻止されることで、焼成室内の温度の降下を防ぐことが可能であるとしている。
また、焼成室の上下部に電熱ヒーターが配設された電熱式であることによって、ガスバーナーによる石窯形式と比較してオーブン内の温度ムラを軽減することができる。
【0006】
しかしながら、このような熱風遮蔽板や補助熱風遮蔽板のみでは、開口部上部から排出される焼成室内の加熱空気を阻止することはできても、開口部下部の加熱空気は外気と接触する。よって、一時的にピザ投入口の開閉扉を開いたときのオーブン内の温度の降下を防止できるとしても、ピザ投入口を開けた状態でピザを焼成する場合には、ピザ投入口付近のオーブン内の温度が低温になることを防止することはできない。
従って、電熱ヒーターによって温度ムラを軽減しても、ピザ投入口付近が低温となるためオーブン内の温度ムラは解消されない。
【0007】
【特許文献1】特開2006−296237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、ピザ投入口を開放状態にしても安全かつ容易に焼ムラのない又は少ないピザを焼成することができる電気式ピザ釜を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、電気によってピザを焼成する電気式ピザ釜であって、ピザが投入される投入口を有して投入載置されたピザを焼成する焼成室を備え、該焼成室には、ピザを載置して略水平方向に回転するターンテーブルと、ピザを焼成する電気ヒーターが設けられ、該電気ヒーターは、前記焼成室の内側の上面及び下面並びに少なくとも前記投入口と対峙する側面に配設されていることを特徴とする電気式ピザ釜に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記投入口の上方には、該投入口の上側から送風してエアカーテンを形成する送風手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電気式ピザ釜に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ターンテーブルは、平面形状が略円形で、その円周に沿って複数のピザを載置可能な大きさに設定され、前記電気ヒーターの温度及びターンテーブルの回転速度は、前記ターンテーブルが前記投入口側で載置されたピザを回転して再び該投入口側に戻る1回転の間に、ピザの焼成を完了するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気式ピザ釜に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記ターンテーブルは、ピザを載置する平面形状が略円形の載置面部と、該載置面部の外周にあって該載置面部上のピザカスを落とす溝部とからなり、該溝部には、その周方向の一部範囲にピザカスを落とす切欠き部と、該切欠き部を塞ぐ蓋部が設けられ、前記溝部の下方には、前記切欠き部から落ちるピザカスを受けるドレンパンが備えられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の電気式ピザ釜に関する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、電気式ピザ釜において、ピザが投入される投入口を有して投入載置されたピザを焼成する焼成室に、ピザを載置して略水平方向に回転するターンテーブルと、ピザを焼成する電気ヒーターが設けられ、電気ヒーターは、前記焼成室の内側の上面及び下面並びに少なくとも前記投入口と対峙する側面に配設したので、投入口が開放状態で、焼成室において投入口側で外部へ失われる熱量を、投入口と対峙する奥側で補うことができ、ターンテーブルが一回転する間に、一枚のピザ中における焼ムラがなく又は少なくピザを焼成することができる。
焼成作業者は、投入口に最も近いターンテーブル上にピザを投入載置することと、そこから焼成されたピザを取り出すことだけを行えばよく、ピザを投入して載置する位置を調整する必要がなく、投入口に最も近いところに置くことができるため、焼成室内からの熱風空気に当たることを極力避けることができ、安全で良好な環境で、容易に焼ムラのない又は少ないピザを焼成することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、前記投入口の上方に、投入口の上側から送風してエアカーテンを形成する送風手段を備えたので、焼成室内で上昇するように対流する加熱空気が外側へ排出され難くなり、排出される加熱空気に代わって焼成室内へ流入する外気が少なくなり、焼成作業者は焼成室内からの熱風空気を避けることができるとともに、焼成室内での投入口付近の温度降下を軽減することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、前記ターンテーブルを、平面形状が略円形で、その円周に沿って複数のピザを載置可能な大きさに設定し、前記電気ヒーターの温度及びターンテーブルの回転速度は、ターンテーブルが投入口側で載置されたピザを回転して再び投入口側に戻る1回転の間に、ピザの焼成を完了するように設定したので、ピザを投入口に最も近いターンテーブル上に載置し、1回転中に焼成されて再び投入口側に戻ってきたピザを投入口から取り出すだけで、焼ムラがなく又は少なく焼成されたピザを得ることができ、ピザの載置及び取出動作を連続的に行って、順次ピザを焼成することができる。
本電気式ピザ釜においては、焼成中に投入口を開放状態とするため、投入口を塞ぐ扉の開閉による焼成室内の温度変化を生じることなく、順次ピザを投入しても各ピザ間で焼具合が異なることなく焼成することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、前記ターンテーブルは、ピザを載置する平面形状が略円形の載置面部と、載置面部の外周にあって該載置面部上のピザカスを落とす溝部とで構成し、溝部には、その周方向の一部範囲にピザカスを落とす切欠き部と、切欠き部を塞ぐ蓋部を設け、溝部の下方には、切欠き部から落ちるピザカスを受けるドレンパンを備えたので、簡易な構成で、載置面部上のピザカスが焼成室内に散在することなく、ピザカスを溝部に落として切欠き部近傍に集め、切欠き部がドレンパン上方位置で蓋部を外してピザカスをドレンパンに落とすことによって、容易かつ確実にピザカスを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る電気式ピザ釜の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る電気式ピザ釜の実施形態の一例を示す正面図である。図2は図1の右側面図である。図3は、図1におけるA−A’断面図である。
本発明に係る電気式ピザ釜(1)は、ピザが投入される投入口(2)を有して投入載置されたピザを焼成する焼成室(3)を備える。
【0018】
焼成室(3)には、ピザを載置して略水平方向に回転するターンテーブル(5)と、焼成室(3)の内側の上面、下面及び側面にピザを焼成するための電気ヒーター(6)が設けられている。
電気ヒーター(6)は、上面に上ヒーター(6a)、下面に下ヒーター(6b)、左側面に左ヒーター(6c)、右側面に右ヒーター(6d)、及び投入口(2)と対峙する奥側の側面に奥ヒーター(6e)が配設されている。
【0019】
上ヒーター(6a)は焼成室(3)の上面の略全面に配設され、下ヒーター(6b)はターンテーブル(5)の下であってその載置面内に配設され、ターンテーブル(5)上のピザを上下方向から一様に加熱して焼成する。
左ヒーター(6c)、右ヒーター(6d)及び奥ヒーター(6e)は、左右側面と奥側の側面の中央部に設けられ、近傍のピザを補助的に焼成する。即ち、側面の電気ヒーター(6)は、投入口(2)を開放した状態の投入口(2)内側(前側)で外気に近いため温度降下して不足する熱量を、投入口(2)側以外の側面で補うものである。
従って、図示例では側面において、左右側面と奥側の側面の中央部に電気ヒーター(6)が設けられているが、必ずしも3側面の中央部に設ける必要はない。投入口(2)側(前側)で失われる熱量をカバーするように、少なくとも投入口(2)と対峙する奥側の側面の中央部に設けられていればよい。
【0020】
次に、このように構成される電気式ピザ釜(1)におけるピザの焼成動作について説明する。
図3においてはターンテーブル(5)上に6枚のピザが載置されているが、仮に奥ヒーター(6e)のみが設けられているものとして説明する。
予め電気ヒーター(6a,6b,6e)には電源が投入され、焼成部(3)はピザの焼成に適当な温度に設定されている。また、投入口(2)は開放状態であり、焼成室(3)内の温度は、投入口(2)側(前側)が最も低く、奥側が最も高くなっている(ステップ0)。
【0021】
投入口(2)から投入口(2)に最も近いターンテーブル(5)上にピザが投入されたとき、このピザは焼成室(3)において最も温度が低い場所にあり、さらにこのピザ中においては投入口側部分が最も温度が低い。この位置では、ピザはあまり焼成されず、特に投入口側部分が焼成されない(ステップ1)。
ターンテーブル(5)は均一な速度でゆっくり回転し、ピザが投入口(2)から最も遠い一番奥に位置するとき、ステップ1において最も温度が低かったピザの投入口側部分が奥側部分になり、奥ヒーター(6e)に最も近くなるので、最も温度が高くなる。この位置で、ピザは最も焼成され、特に奥側部分がより焼成されて焼目が強く付く(ステップ2)。
なお、奥ヒーター(6e)は、投入口(2)側において外部へ失われる熱量によってピザが焼成されない分の熱量を放出するように設定されている。
【0022】
次いで、さらにターンテーブル(5)が回転してピザが投入口(2)に最も近い位置に戻ってきたとき、そのピザにおいて前側部分と奥側部分の焼加減は略均等になっている(ステップ3)。
よって、ターンテーブル(5)が一回転する間に、一枚のピザ中において焼ムラがなく又は少なくピザを焼成することができる。
【0023】
この間、焼成作業者は、投入口(2)に最も近いターンテーブル(5)上にピザを投入載置することと、そこから焼成されたピザを取り出すことだけを行えばよい。即ち、従来のガス式釜等のように、ピザを投入して載置する位置を調整する必要がなく、投入口(2)に最も近いところに置くことができるため、焼成室(3)内の熱風空気に当たることを極力避けることができ、安全で良好な環境で、容易に焼ムラのない又は少ないピザを焼成することができる。
さらに左右ヒーター(6c,6d)を設けることによって、左右方向からも熱量を補って、各ピザにおける焼ムラをより軽減することができる。
【0024】
なお、投入口(2)の形状及び大きさは特に限定されないが、ピザの出し入れが容易でありながら、焼成室(3)内の加熱空気が排出され難いような形状や大きさが好ましく、図示例のような略半円形を採用することができる。この投入口(2)は図3に示すように開閉自在な扉(4)によって構成され、扉(4)の閉鎖時に形成される開口が投入口(2)となる。このような扉(4)によって投入口(2)を構成することで、メンテナンス時や焼成室(3)内の清掃時等に扉(4)を開放し、メンテナンスや清掃を容易にすることができる。焼成時には扉(4)を閉鎖して焼成室(3)内の加熱空気が排出され難くすることができる。
【0025】
図示例の電気式ピザ釜(1)においては、投入口(2)を塞ぐ扉は設けていないが、設けるようにしてもよい。電気式ピザ釜(1)に電源を入れて焼成室(3)内がピザを焼成できる温度になるまでや、焼成室内(3)に投入されたピザが全て焼成されて取出された後に次に投入するピザを待っている状態で、投入口(2)を塞ぐ扉を閉鎖するようにすれば、電気式ピザ釜(1)の立上げ時間を短縮し、消費電力を削減することが可能である。
なお、投入口(2)を塞ぐ扉は、開閉自在であって閉鎖時に投入口(2)を完全に塞ぐことができればよく、開閉方式は限定されず、左又は右に開く片開扉、上又は下に開く片開扉、観音開扉を例示することができる。但し、電気式ピザ釜(1)が、ターンテーブル(5)に例えば11インチ(約28cm)ピザを6枚以上載置できるような大型の場合、投入口(2)を塞ぐ扉を開放状態で使用しても邪魔にならないように、観音開を採用することが好ましい。
投入口(2)の外側には取出台(9)が備えられ、取出したピザを一時的に載置できる。
【0026】
また、本発明に係る電気式ピザ釜(1)においては、ターンテーブル(5)は図3に示すように、平面形状が略円形で、その円周に沿って複数のピザを載置可能な大きさに設定されている。
電気ヒーター(6)の温度及びターンテーブル(5)の回転速度は、ターンテーブル(5)が投入口(2)側で載置されたピザを回転して再び投入口(2)側に戻る一回転の間に、ピザの焼成を完了するように設定しておけば、ピザを投入口(2)から最も近いターンテーブル(5)上に載置し、1回転中に焼成されて再び投入口(2)側に戻ってきたピザを投入口(2)から取り出すだけで、焼ムラがなく又は少なく焼成されたピザを得ることができる。
勿論、ターンテーブル(5)が複数回回転したときに焼成を完了するように、電気ヒーター(6)の温度及びターンテーブル(5)の回転速度を設定することも可能である。例えば、焼成時間が長くかかる材料を焼成する場合には、ターンテーブル(5)の回転速度を遅くして、1回転で焼成を完了するようにすると、長い間、同じ部分が高温となり、焼き始めと焼終わりで高温になる部分が異なることになり、焼ムラにつながるため、複数回回転したときに焼成を完了するようにすれば、より表面の焼ムラを少なくすることができる。
【0027】
そして、ターンテーブル(5)は、その円周に沿って複数のピザを載置可能に設定されているため、前述のピザの載置及び取出動作を連続的に行って、順次ピザを焼成することができる。本電気式ピザ釜(1)においては、ピザを載置する度に、ターンテーブル(5)を取り出す必要がなく、焼成中に投入口(2)を開放状態とするため、投入口(2)を塞ぐ扉の開閉による焼成室(2)内の温度変化を生じることなく、順次ピザを投入しても各ピザ間で焼具合が異なることなく焼成することができる。
なお、ターンテーブル(5)は、時計回り又は反時計回りの回転方向を選択可能で、回転速度を変更できるだけでなく高速にできるようにしておけば、右利きか左利きか等に応じて使用し易い回転方向を選択することが可能であるだけでなく、ピザの投入ミス等で投入したピザを急遽取出す必要が生じた場合でも、投入口(2)に早く到達する回転方向を選択し、しかも高速回転によって素早くピザを取出すことができる。
【0028】
また、投入口(2)の上方には、投入口(2)の上側から送風してエアカーテン(7)を形成する送風手段(8)を備えている。
エアカーテン(7)は、焼成室(3)内で温まった空気が焼成室(3)外へ排出されようとする流れを遮断する。
ここで、薪やガスバーナーによって火を発生させる石窯形式のピザ窯(釜)では、焼成室内に酸素を取り入れる必要があり、投入口が開いていれば投入口で外部から焼成室内への空気の流れ(風)が必ず発生し、投入口にエアカーテンを取り付けても、その風を止めることはできない。
これに対して、電気式ピザ釜(1)においては、火を発生させないので酸素を取り入れる必要がなく、投入口で外部から焼成室内への空気の流れは発生しないため、エアカーテン(7)によって、焼成室(3)内で温まった空気が焼成室(3)外へ排出されようとする流れを遮断する効果を発揮することができる。
図示例では、送風手段(8)は投入口(2)の上方で焼成室(3)の外側に設置され、エアカーテン(7)はドーム型の投入口(2)の底辺と略同じ幅に形成されている。この程度の幅で投入口(2)の上部にエアカーテン(7)が形成されれば、ドーム型の投入口(2)の上部の幅を完全に塞ぐことができる。
即ち、焼成室(3)内では加熱空気が上昇するように対流しており、投入口(2)の上部では焼成室(3)内から外側へ加熱空気が排出され、投入口(2)の下部では外側から焼成室(3)内へ外気が流入する。よって、投入口(2)の上部にエアカーテン(7)が形成されていれば、焼成室(3)内から外側へ加熱空気が排出され難くなり、排出される加熱空気に代わって焼成室(3)内へ流入する外気が少なくなり、焼成作業者は焼成室(3)内からの熱風空気を避けることができるとともに、焼成室(3)内での投入口(2)付近の温度降下を軽減することができる。
【0029】
図4は、図2における取出台からターンテーブルの投入口側を拡大して示す部分拡大側面図である。図5は、図4におけるターンテーブルの一部とドレンパンを上方から見た平面図である。
また、ターンテーブル(5)は、ピザを載置する平面形状が略円形の載置面部(11)と、その外周にあって載置面部(11)上のピザカスを落とす溝部(12)とからなり、溝部(12)には、その周方向の一部範囲にピザカスを落とす切欠き部(13)と、切欠き部(13)を塞ぐ蓋部(14)が設けられ、溝部(12)の下方には切欠き部(13)から落ちるピザカスを受けるドレンパン(15)が備えられている。
【0030】
蓋部(14)は、切欠き部(13)を塞ぐときにはピザカスが落ちないようにでき、切欠き部(13)を開放してピザカスを落とすことができるようになっていればよく、例えば一般的なヒンジ等で切欠き部(13)と接合された蓋を採用してもよい。図示例では、切欠き部(13)よりやや大きな面にツマミが付き、完全に切欠き部(13)から離して溝部(12)から取外せるようになっている。この図示例のような蓋部(14)であれば、ヒンジ等のピザカスがつまるようなところがなく、切欠き部(13)から溝部(12)のピザカスを完全にドレンパン(15)に落とすことができ、しかも簡易な構成で実現することができる。
ドレンパン(15)は、溝部(12)の下方にあってターンテーブル(5)の停止状態で切欠き部(13)から落ちるピザカスを受け取れるように、切欠き部(13)の面積より大きく設定されていればよい。図3では電気式ピザ釜における手前側左寄りに備えられているので、作業し易く、ピザカスを確実にドレンパン(15)へ落とすことができる。
【0031】
ピザカスを除去する作業は、焼成作業を終了して電気ヒーター(6)の電源を落とした後、ターンテーブル(5)の温度が充分低くなった状態で行う。
まず、ピザピール等を用いてターンテーブル(5)上のピザカスを溝部(12)に落とす。この際、特に大型のターンテーブル(5)では適宜回転して手前側に位置する載置面部(11)の部分のピザカスを溝(12)に落とすようにすれば、作業が容易となる。
次いで、ヘラや刷毛等を使用し、ターンテーブル(5)を適宜回転して溝部(12)に落とされたピザカスを切欠き部(13)近傍に集める。
【0032】
次いで、ターンテーブル(5)を回転し、切欠き部(13)をドレンパン(15)上方に位置させる。
次いで、蓋部(14)を取外し、切欠き部(13)近傍に集めたピザカスを切欠き部(13)からドレンパン(15)へ落とした後、蓋部(14)を戻して切欠き部(13)を塞ぐ。
次いで、ドレンパン(15)を電気式ピザ釜(1)の本体部分から引き出して取り外し、ピザカスを廃棄する。
最後に、ドレンパン(15)を本体部分に戻し、ピザカスの除去作業を終了する。
【0033】
このようにして、ターンテーブル(5)の載置面部(11)の外周に溝部(12)を設け、その一部範囲に切欠き部(13)とこれを塞ぐ蓋部(14)を設け、溝部(12)の下方には、切欠き部からのピザカスを受けるドレンパン(15)を備えたので、簡易な構成で、載置面部(11)上のピザカスが焼成室(3)内に散在することなく、ピザカスを溝部(12)に落として切欠き部(13)近傍に集め、切欠き部(13)がドレンパン(15)上方位置で蓋部(14)を外してピザカスをドレンパン(15)に落とすことによって、容易かつ確実にピザカスを除去することができる。
【0034】
本発明の電気式ピザ釜(1)は、従来公知の電気式オーブンと同様、焼成室(3)を内蔵する本体部分はステンレス鋼材等で構成し、焼成室(3)は耐熱性鋼板や蓄熱板で構成することができる。また、本体部分と焼成室(3)との間にはグラスウール等の断熱材を備え、焼成室(3)内の熱が外部へ放出されないようにすることが好ましい。
なお、本発明に係る電気式ピザ釜(1)は、ピザに限らず、パンやケーキ等を焼成するために使用することも可能であり、ピザ同様、焼ムラのない又は少ない焼きたてのパンやケーキ等を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、レストラン等において注文される度に順次ピザを投入して焼成する電気式ピザ釜として好適に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る電気式ピザ釜の実施形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1におけるA−A’断面図である。
【図4】図2における取出台からターンテーブルの投入口側を拡大して示す部分拡大側面図である。
【図5】図4におけるターンテーブルの一部とドレンパンを上方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 電気式ピザ釜
2 投入口
3 焼成室
4 扉
5 ターンテーブル
6 電気ヒーター
6a 上ヒーター
6b 下ヒーター
6c 左ヒーター
6d 右ヒーター
6e 奥ヒーター
7 エアカーテン
8 送風手段
9 取出台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気によってピザを焼成する電気式ピザ釜であって、
ピザが投入される投入口を有して投入載置されたピザを焼成する焼成室を備え、
該焼成室には、ピザを載置して略水平方向に回転するターンテーブルと、ピザを焼成する電気ヒーターが設けられ、
該電気ヒーターは、前記焼成室の内側の上面及び下面並びに少なくとも前記投入口と対峙する側面に配設されていることを特徴とする電気式ピザ釜。
【請求項2】
前記投入口の上方には、該投入口の上側から送風してエアカーテンを形成する送風手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電気式ピザ釜。
【請求項3】
前記ターンテーブルは、平面形状が略円形で、その円周に沿って複数のピザを載置可能な大きさに設定され、
前記電気ヒーターの温度及びターンテーブルの回転速度は、前記ターンテーブルが前記投入口側で載置されたピザを回転して再び該投入口側に戻る1回転の間に、ピザの焼成を完了するように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気式ピザ釜。
【請求項4】
前記ターンテーブルは、ピザを載置する平面形状が略円形の載置面部と、該載置面部の外周にあって該載置面部上のピザカスを落とす溝部とからなり、
該溝部には、その周方向の一部範囲にピザカスを落とす切欠き部と、該切欠き部を塞ぐ蓋部が設けられ、
前記溝部の下方には、前記切欠き部から落ちるピザカスを受けるドレンパンが備えられていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の電気式ピザ釜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−5593(P2009−5593A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168291(P2007−168291)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【出願人】(591174553)ニチワ電機株式会社 (28)