説明

電気接続箱

【課題】 組付け性の向上が可能な電気接続箱を提供する。
【解決手段】 分岐路部12と電源分配部13との端縁同士を突き合わせて全体が略L字状に組合わされてなる回路体11を、ケーシング15で包囲してなる電気接続箱10において、電源分配部13の周囲を包囲するサイドケース17は、組付け時に接続端子31V或いは垂直外部端子35Vをハウジング36に挿入させることで、電源分配部13を正規位置へ案内することができるので、電気接続箱10の組付け性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給を行う電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気接続箱として例えば特許文献1に示すものがある。このものは、例えば、自動車に搭載されるものであって、車載バッテリー等の電源と各電子装置との間に介されて各電子装置への電源供給の制御を行なう電力分配器として用いられるものである。
この種の電気接続箱は、平面状に配索された複数本のバスバーと、絶縁層を介してこれらバスバーへ積層した制御用回路基板と、この制御用回路基板に実装される半導体スイッチングデバイスとを備えた回路構成体を備えており、当該半導体スイッチングデバイスを動作させることによって各バスバーに通電させて各電子装置への電力供給の制御を行なうようになっている。
【特許文献1】特開2003−164039公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、自動車の搭載品は小型化・軽量化の要求が高く、このような要求を満たすために、搭載品の共通化・共用化が図られると共に、搭載品の構成部品についても複数の部品を一体に形成する等共通化・共用化が行われている。
しかしながら、上記のように搭載品の部品を共通化・共用化していくと、構造が複雑になり、組付け性に悪影響を及ぼす恐れがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、組付け性の向上が可能な電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、制御用回路基板と、この制御用回路基板上に実装されるスイッチングデバイスと、絶縁層を介して前記制御用回路基板にそれぞれ積層される複数本のバスバーとを備え、前記スイッチングデバイスを動作させることにより前記バスバーに通電させるようにするものであって外部との導通接続を行う接続部を有する回路構成体を備えた電気接続箱において、前記回路構成体と前記接続部とを被覆する枠体を備え、前記枠体には、前記接続部の組付けによって前記回路構成体の正規位置への案内が可能な案内手段が設けられているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記接続部が前記枠体に一体に形成されたハウジング内にタブ状で相手側端子と嵌合可能なオス端子を収容してなる構成であると共に、前記枠体には前記端子金具を前記ハウジング内へ挿通させる挿通孔が設けられると共に、前記挿通孔の開口縁部には前記端子金具を前記挿通孔へ案内するテーパ面が形成されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記挿通孔が、その内壁に当接することで前記オス端子の挿入方向に沿った方向のみ許容し、挿入方向に垂直な方向への移動を規制する案内通路部を備えるところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記オス端子が回路構成体のバスバーの先端部を制御回路基板に対して垂直に曲げ起こして延出されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記回路構成体が、絶縁基板に複数本のバスバーを配設してなる第2回路構成体と接続されるものであると共に、前記枠体が前記第2回路構成体を前記回路構成体と垂直に保持する保持手段を備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
<請求項1の発明>
回路構成体に対して枠体を組付ける場合に、接続部に枠体を組付けることで、回路構成体を正規位置へ案内することができるので、電気接続箱の組付け性が向上する。
【0010】
<請求項2の発明>
枠体が、開口縁部にテーパ面が形成された挿通孔を備えるので、枠体の組付け時にオス端子を挿通孔へ挿入し易くなり、組付け性がより向上する。
【0011】
<請求項3の発明>
接続部の組付けにおいて、オス端子が挿通孔の案内通路部を通過する際には挿入方向に垂直な方向への移動を規制する。これにより、回路構成体全体も組付け時に挿入方向に垂直な方向への移動が規制されるので、回路構成体を正規位置に確実に案内できる。
【0012】
<請求項4の発明>
オス端子が制御回路基板に対して垂直な方向に延出されているので、オス端子の嵌合時にバスバーの制御回路基板側に嵌合力等が作用して変形することを規制できるので、電気接続箱の信頼性が向上する。
【0013】
<請求項5の発明>
枠体が回路構成体と第2回路構成体とを互いに垂直に保持するので、回路構成体の平面方向の拡大を防いで配置スペースを効率的に使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1ないし図12を参照して説明する。本実施形態の電気接続箱10は、例えば、車載バッテリー等の電源と各電子装置等の負荷との間に介されて各電子装置への電源供給の制御を行なう電力分配器として用いられるものである。
電気接続箱10は、図1に示すように、いずれも略平板状に形成された分岐路部12と電源分配部13とが互いに垂直になるように端縁同士を突き合わせて全体として略L字状となるように組合わされてなる回路体11を、ケーシング15で包囲してなるものであり、電気接続箱10の上面には外装品取付部14が形成されている。
【0015】
ケーシング15は、メインケース16にサイドケース17及び上側ケース18を組付ける構成となっている(図1参照)。
メインケース16には、図1に示すように、上方に開口する上側収容部16Hと一側方(図1の左奥方)に開口する側方収容部16Vとが形成されている。上側収容部16Hは、分岐路部12を収容してから上側ケース18が組み付けられることで、その開口部を塞ぐようになっている。また、上側収容部16Hは、その底面外側に外部機器との接続を行うコネクタハウジング16Cが形成されている。
一方、側方収容部16Vは電源分配部13を組付けたサイドケース17が組み付けられることでその開口部を塞ぐようになっている。また、側方収容部16Vの開口部と対向する側の壁面には電源分配部13に形成された制御用コネクタ37を外部に露出させるための挿通孔16Aが穿設されている。
また、上側ケース18の上面には、外装品挿入孔18Aが穿設されており、この外装品挿入孔18A内には分岐路部12或いは電源分配部13から延出された二又端子が挿入されることで外装品取付部14が構成される。この外装品取付部14の外装品挿入孔18Aに外装品(本実施形態ではヒューズH又はヒュージブルリンクF)が組み付けられると、外装品の端子が二又端子に挟持されることで導通接続が図られるようになっている。
【0016】
分岐路部12は、図3に示すように、金属平板を打ち抜いて所定回路形状に形成された複数本のバスバー21からなるバスバー回路22を絶縁板25を介して上下に積層してなるものである。
バスバー21の端部は、他の回路や電子部品等に接続する接続部23が形成されているが、バスバー回路22の回路構成に応じて垂直に曲げ起こした垂直接続部23Vと水平に延出させた水平接続部23Hとが選択的に形成されている。
絶縁板25は上下のバスバー回路22の絶縁を行うと共に、所定箇所に貫通孔26が形成されており、この貫通孔26を介して垂直接続部23Vが分岐路部12の表面或いは裏面に突出するようになっている。尚、図3には、4枚の絶縁板25が上下に並べて記載されているが、一番上側に記載された絶縁板25以外は貫通孔26が省略して記載されている。
また、本実施形態では、分岐路部12の上面側に突出する垂直接続部23Vの先端は二又状に形成されて、ヒューズH又はヒュージブルリンクFの端子を挟持可能となっている。また分岐路部12の下面側に突出する垂直接続部23Vの先端部はタブ状になっていて、メインケース16の上側収容部16Hに形成されたコネクタハウジング16C(図10,11参照)内部に延出することでオス端子を構成するようになっている。
水平接続部23Hは分岐路部12と電源分配部13との突き合せ部分の一所(図3の左奥方)に並列するように配設されており、この水平接続部23Hが電源分配部13との接続を行うようになっている。
【0017】
電源分配部13は、図4,5に示すように、金属平板を打ち抜いて複数本の第1バスバー31からなる所定回路形状に形成されたバスバー回路32と、所定の印刷回路が形成された回路基板33とを接着したものの回路基板33上面側に、リレー又は半導体スイッチ等のスイッチングデバイス34及びこれらの制御用の電子部品等(図示なし)を実装してなるものである。
電源分配部13の図6における左手前側の角部には、主に回路基板33と外部機器との接続を行う制御用コネクタ37が配設されている。この制御用コネクタ37は略角筒形状のハウジング内にタブ状のオス端子を配するもので、オス端子は回路基板33に形成されたスルーホール33Hにはんだ付けされることで回路基板33との導通接続が行われるものである。
また、電源分配部13の図5における奥方の一辺部には電力用導電路の外部との接続を行う電力用端子31Wが配設されている。電力用端子31Wは第1バスバー31の端部の延出部分を電源分配部13の表面に対して垂直に曲げ起こして形成されたものである。図示左側の電力用端子31Wはその先端が二又状に形成されたヒューズ端子31Hであり、その二又状の先端部分は電源分配部13の表面と水平な方向に屈曲されている。また、ヒューズ端子31Hの右側の電力用端子31Wは、その先端がタブ状に形成されたものであり、分岐路部12に接続される接続端子31Vをなしている。
【0018】
さらに、電源分配部13には、図5に示すように、その表面に第2バスバー35が配索されている。
第2バスバー35は、金属平板からなる厚みよりも幅広な表面を有する帯状の導電路で、電源分配部13においてスイッチングデバイス34が実装されている側の面(実装面)に配設されている。第2バスバー35は、電源分配部13において各スイッチングデバイス34等回路基板33側における所定の接続箇所から、図5の右奥方に向かって適宜周回させて形成されている。また、第2バスバー35は接着剤(例えばシリコーン系接着剤)又は接着シート(例えば絶縁シートの両面に接着剤を塗布して接着性をもたせたもの)により回路基板33上に固定されているが、この接着剤又は接着シートが第2バスバー35と回路基板33との間の絶縁層となり、回路基板33との短絡を防止する構成となっている。
【0019】
第2バスバー35の回路基板33側に接続される先端部分は、図4、5に示すように、実装面上を周回する箇所よりも回路基板33側に向けて段差が生じるように屈曲されて段差接続部35Dが形成されている。この段差接続部35Dは回路基板33に貫通形成された収容孔33Aを介してバスバー回路32に(はんだ付け等によって)接続可能となっている。
【0020】
一方、第2バスバーの段差接続部35Dと反対側の(図5の右奥方に配された)端部は電源分配部13の回路面に対し、垂直上方に曲げ起こされた垂直外部端子35Vが形成されている。この垂直外部端子35Vは第1バスバー31の電力用端子31の接続端子31Vと平行となるように配設されていると共に、後述するようにサイドケース17に一体形成されたハウジング36内に突出して分岐路部12との接続用のオス端子となっている。
【0021】
また、第2バスバー35には、回路基板33上を周回する箇所の一部について、その幅広な表面を電源分配部13の表面に対して垂直となるように形成された衝立部35Cを有するものも設けられている。
ここで、電源分配部13上にはスイッチングデバイス34を配設するためのある程度の高さを有する空間が存在しているが、本実施形態のように衝立部35Cを有する第2バスバー35を用いることによりその空間を効率よく利用して、第2バスバー35を配策することができるようになっている。
より詳細には、第2バスバー35を設けることで、バスバー回路32の面積を拡大することなく電力用回路を増設することができるが、その一方、第2バスバー35を回路基板33上に配設するため、回路基板33上の実装面積が制限される。これに対して、本実施形態の第2バスバーのように回路基板33に対して垂直をなす衝立部35Cを回路基板33の上面側に配索させることにより、回路基板33上方に元来必要なスイッチングデバイス34等を配設するための空間を利用して第2バスバー35を配索し、回路基板33上の実装面積を確保できるので、電源分配部13中の空間を効率よく利用して、小型化・高密度化を図ることが可能となる。
【0022】
尚、本実施形態では、詳細には図示しないが、電源分配部13において段差接続部35Dをスイッチングデバイス34の端子に直接接続させる場合には、この段差接続部35Dに対応する個所において、回路基板33とバスバー回路32との双方に亘って貫通する収容孔33Aを穿設し、この収容孔33Aに段差接続部35Dを収容させる。それと共に、段差接続部35Dの上面が、第1バスバーの上面と略同一高さとなるように形成する。これにより、スイッチングデバイス34の端子のうち、一方を回路基板33の導電路の接続部分へはんだ付けし、他方を第2バスバー35の段差接続部35Dへはんだ付けするようにすることができる。ここで、段差接続部35Dに対してはんだ付けするスイッチングデバイス34の端子の先端部分は、回路基板33の導電路に対してはんだ付けする先端部分よりも下側(バスバー回路32側)へ延びており、接続部分に段差が生じていても確実にはんだ付けが可能となっている。
また、本実施形態では回路基板33側の収容孔33Aに隣接してスイッチングデバイス34の載置孔33Bが形成されている。この載置孔33Bはスイッチングデバイス34の本体底面部に形成された電極(ゲート電極)を直接バスバー回路32に接続させるためものであり、回路基板33においては収容孔33Aと連通するように形成されているものもある(図4,5参照)。
【0023】
さらに、電源分配部13のバスバー回路32側には金属平板状の放熱板19が接着剤(例えばエポキシ系接着剤)によって接着されている。この放熱板19はサイドケース17の外方(図3の左手前方)の壁面(全面)を構成し、放熱板19自身が外部に露出する構成となっている。電源分配部13はこのように構成されることで、電源分配部13のスイッチングデバイス34からの発熱をバスバー回路32を介して放熱板19に伝熱し、放熱板19から外部へ放熱するようになっている。
【0024】
さて、電源分配部13に組み付けられるサイドケース17は、断熱性を有する合成樹脂製で、電源分配部13の外形に合わせて略方形状をなす枠体からなり(図4,7参照)、電源分配部13の平面方向の外周縁部を全周に亘って包囲するようになっている。そして、サイドケース17は、放熱板19とメインケース16の側方収容部16Vとでもって電源分配部13を被覆することで、電源分配部13から発生した熱が周囲に放出することを規制するようになっている。
また、サイドケース17は、電源分配部13の正規位置へ組み付けられることにより放熱板19の端縁のエッジ部分を全周に亘って被覆するようになっており、金属製である放熱板19のエッジ部分が他の部材等に引っ掛かけて損傷させたりすることを規制可能となっている。
【0025】
さらに、サイドケース17はその1辺部(図7の上側の辺部)を肉厚にして保持部38が設けられている。この保持部38には挿通孔38Aと嵌入部38Jとハウジング36Cとが形成されている。
挿入孔38Aはヒューズ端子31Hを挿通させるためのものであり、ヒューズ端子31の板厚・幅に合わせて横長状の孔が保持部38を貫通するように形成されている。さらに、図8に示すように、挿入孔38Aの電源分配部13側の開口端縁には、外側に拡開するようにテーパ面38Tが形成されており、ヒューズ端子31Hを挿入する際にヒューズ端子31Hが円滑に挿通孔38A内へ進入するよう案内可能となっている。尚、本実施形態では、ヒューズ端子31Hは電源分配部13の表面から垂直方向に延びた状態で挿通孔38Aを通過させた後、電源分配部13の表面に対して平行な方向に屈曲されるようになっている(図6参照)。
嵌入部38Jは挿通孔38Aの図7の下側に形成された凹部よりなる。嵌入部38Jは電源分配部13の表面に対して垂直な方向に掘削されたものであり、この嵌入部38Jに分岐路部12の先端部を嵌入させることで、電源分配部13と分岐路部12とが互いに垂直となるように保持可能となっている。
さらに、嵌入部38Jに嵌入された分岐路部12は、図12に示すように、その上面を、ヒューズ端子31Hの電源分配部13の表面に対して平行に屈曲された箇所の基端部(屈曲部分)に当接させるようになっている。これにより、ヒューズHを装着する場合に分岐路部12の表面がヒューズ端子31Hに作用する荷重を受止め、ヒューズ端子31Hの変形を防止可能となっている。
また、嵌入部38Jに嵌入される分岐路部12の先端部分は、4枚の絶縁板25のうち上から2番目と4番目のものを突出させている。これにより、分岐路部12の先端部は、萎むように僅かに弾性変形可能となっており、嵌入部38Jへの嵌入動作を円滑なものとすると共に、嵌入後は弾性復帰して抜止可能となっている。
【0026】
ハウジング36は全体略角筒形状をなすと共に複数のキャビティ36Cを有している。ハウジング36のキャビティ36Cは、上述の接続端子31V及び垂直外部端子35Vに対応して配設されており、これらの端子がキャビティ36C内に貫通することでオス端子をなしている。さらに、キャビティ36内には接続端子31V及び垂直外部端子35Vと嵌合する中継端子40が収容されると共に、電源分配部13と分岐路部12とが組み付けられると、キャビティ36内には対応する分岐路部12の水平接続部23Hが進入して中継端子40と嵌合することで、電源分配部13と分岐路部12との導通接続が行われるようになっている。
【0027】
ここで、ハウジング36には電源分配部13側からキャビティ36Cへ貫通するように案内挿通孔36Pが形成されている。この案内挿通孔36Pは電源分配部13の表面に対して垂直方向に貫通形成されていると共に、それぞれ対応する接続端子31V及び垂直外部端子35Vの端子幅及び厚みとほぼ同等がわずかに広くなるような内径で形成されている。これにより、これらの端子31V、35Vが案内挿通孔36Pを通過する際には、その内壁面に当接することにより、挿入方向と垂直方向をなす方向への移動が規制された状態となる。
また、案内挿通孔36Pのキャビティ36Cと反対側(外側)の開口縁には外側に拡開するようにテーパ面36Tが形成されており、接続端子31V或いは垂直外部端子35Vを挿入する際に案内挿通孔36Pへ円滑に案内可能となっている。
【0028】
また、ハウジング36は内部に中継端子40を収容し、電源分配部13の垂直外部端子35V又は接続端子31Vと、分岐路部12の水平接続部23Hとを導通接続するようになっている(図11参照)。
【0029】
ここで、本実施形態において、電源分配部13に対するサイドケース17の組付けについて説明する。
まず、予め放熱板19を接着した電源分配部13に対してサイドケース17を近付けて、ハウジング36に各オス端子(接続端子31V或いは垂直外部端子35V)を挿入させる(図9参照)。
この場合、最初に接続端子31Vがテーパ面36Tに案内されつつ案内挿通孔36Pへ進入し(図9(b)参照)、接続端子31Vは案内挿通孔36Pの内壁面に沿って奥方へ進む。このとき、接続端子31Vは挿入方向と垂直方向をなす方向への移動が規制された状態となる。
そして、サイドケース17を電源分配部13に対してさらに近付けると、次に垂直外部端子35Vが案内挿通孔36Pに進入する(図9(c)参照)。このとき、垂直外部端子35Vはテーパ面36Tによって案内されて案内挿通孔36Pへ進入するが、上記のように、先に接続端子31Vが案内挿通孔36Pに進入して位置決めがされた状態なので、より、円滑に案内挿通孔36Pに侵入することができる。
【0030】
さらに、サイドケース17を電源分配部13に対して近付けると、サイドケース17内に電源分配部13が収容されると共に、放熱板収容部35Bに放熱板19が嵌め付けられてサイドケースの組付けが完了する(図10の左方の電源分配部13参照)。このとき、電源分配部13は、接続端子31Vと垂直外部端子35Vとが案内挿通孔36Pに挿通された状態であって、挿入方向以外の方向への移動が規制された状態でサイドケース17の正規位置に対して組付けられるようになっている。即ち、電源分配部13に対するサイドケースへ組付けにおいて、接続端子31Vと垂直外部端子35Vとを先にハウジング36に組付けることで、電源分配部13全体を正規位置へ案内するようになっている。
【0031】
このように本実施形態によれば、電源分配部13に対してサイドフレーム17を組付ける場合に、各オス端子(接続端子31V或いは垂直外部端子35V)をハウジング36に挿入させることで、電源分配部13を正規位置へ案内することができるので、電気接続箱10の組付け性が向上する。
さらに、サイドフレーム17に設けられた挿通孔38A及び案内挿通孔36Pには、開口縁部にテーパ面38T,36Tが形成されているので、サイドフレーム17の組付け時に電力端子31Wや垂直外部端子35Vを各挿通孔38A,36Pへ挿入し易くなり、組付け性がより向上する。
また、ハウジング36の組付けにおいて、接続端子31V或いは垂直外部端子35Vが案内挿通孔36Pを通過する際には挿入方向に垂直な方向への移動を規制する。これにより、電源分配部13全体も組付け時に挿入方向に垂直な方向への移動が規制されるので、電源分配部13を正規位置に確実に案内できる。
【0032】
さらに本実施形態では、接続端子31V或いは垂直外部端子35Vが電源分配部13の表面に対して垂直な方向に延出されているので、接続端子31V或いは垂直外部端子35Vの嵌合時に、各端子の電源分配部13側の基端部分に嵌合力等が作用して変形することを規制できるので、電気接続箱10の信頼性が向上する。
また、本実施形態では、ハウジング36に組付ける多数のオス端子を有するが、接続端子31Vと垂直外部端子35Vとの挿入をずらして行うことで、挿入力の分散ができる。
さらにまた、本実施形態では、比較的強固に固定されている接続端子31を先に挿通して大まかな位置決めを行った後、垂直外部端子35Vを挿通させることで、比較的強度の小さい垂直外部端子35Vに過大な荷重が作用することを規制している。
【0033】
また、本実施形態では、サイドフレーム17が電源分配部13と分岐路部12とを互いに垂直に保持するので、電源分配部13の平面方向の拡大を防いで配置スペースを効率的に使用することが可能となる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、ハウジング36に挿入するオス端子のうち接続端子31Vと垂直外部端子35Vとの挿入をずらして行う構成であったが、これらの挿入を同時に行うものであってもよく、また、オス端子の挿入順序をより多段的にずらすものであってもよい。
(2)上記実施形態では電源分配部13と分岐路部12との接続部が、接続端子31V及び垂直外部端子35Vと水平接続部23H、さらにこれらを接続する中継端子40を用いた構成のものであったが、これに限らず、電源分配部13の端子と分岐路部12の端子とが直接嵌合可能な構造のものであってもよい。
(3)上記実施形態では、第2バスバー35は、電源分配部13のスイッチングデバイス34が実装されている側の面(実装面)に配設されているものであったが、これに限らず、例えば電源分配部13のバスバー回路32側に配設されているものであってもよい。
(4)上記実施形態では、電源分配部13と分岐路部12とが互いに垂直となるように突き合わされたものであったが、これに限らず、互いに斜めに交差するように保持される構成のものであってもよい。
(5)上記実施形態では、外装品としてヒューズH及びヒュージブルリンクFを搭載するものであったが、これに限らず、例えばリレー、センサー、ECU等であってもよい。
(6)上記実施形態では、分岐路部12と電源分配部13との各々の回路の電気接続を中継端子40を介した端子嵌合により行うものであったが、例えばタブ状の端子同士を溶接(抵抗溶接、レーザー溶接等)で接続するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電気接続箱の分解斜視図
【図2】電気接続箱の斜視図
【図3】分岐路部の構成部品を分解した状態の電気接続箱の分解斜視図
【図4】電源分配部の分解斜視図
【図5】電源分配部の斜視図
【図6】電源分配部にサイドカバーを組付けた状態の斜視図
【図7】サイドカバーの平面図
【図8】サイドカバーの保持部の断面図
【図9】電源分配部に対するサイドカバーの組付け手順を示す断面図
【図10】電気接続箱の組付け前の断面図
【図11】電気接続箱の断面図
【図12】電気接続箱の部分拡大断面図
【符号の説明】
【0036】
10…電気接続箱
12…分岐路部(第2回路構成体)
13…電源分配部(回路構成体)
17…サイドフレーム(枠体)
21…バスバー
31…第1バスバー(バスバー)
31V…接続端子(接続部)
33…制御用回路基板
34…スイッチングデバイス
35V…垂直外部端子(接続部)
36…ハウジング
36P…案内挿通孔(案内通路部)
36T…テーパ面
38…保持部(保持手段)
38T…テーパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用回路基板と、この制御用回路基板上に実装されるスイッチングデバイスと、絶縁層を介して前記制御用回路基板にそれぞれ積層される複数本のバスバーとを備え、前記スイッチングデバイスを動作させることにより前記バスバーに通電させるようにするものであって外部との導通接続を行う接続部を有する回路構成体を備えた電気接続箱において、
前記回路構成体と前記接続部とを被覆する枠体を備え、
前記枠体には、前記接続部の組付けによって前記回路構成体の正規位置への案内が可能な案内手段が設けられていることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記接続部が前記枠体に一体に形成されたハウジング内にタブ状で相手側端子と嵌合可能なオス端子を収容してなる構成であると共に、
前記枠体には前記端子金具を前記ハウジング内へ挿通させる挿通孔が設けられると共に、
前記挿通孔の開口縁部には前記端子金具を前記挿通孔へ案内するテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記挿通孔が、その内壁に当接することで前記オス端子の挿入方向に沿った方向のみ許容し、挿入方向に垂直な方向への移動を規制する案内通路部を備えることを特徴とする請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記オス端子が回路構成体のバスバーの先端部を制御回路基板に対して垂直に曲げ起こして延出されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記回路構成体が、絶縁基板に複数本のバスバーを配設してなる第2回路構成体と接続されるものであると共に、
前記枠体が前記第2回路構成体を前記回路構成体と垂直に保持する保持手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−187118(P2006−187118A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378321(P2004−378321)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】