説明

電気機器および電気機器の保護回路

【課題】電力使用量の異なる複数の状態に随時推移可能であって、それぞれの状態に適した保護回路を切り替えて使用可能な電気機器を提供する。ウェブ上で提供される文書編集サービスを利用して編集する文書を、ローカルファイルシステム上で記録される文書ファイルと同様に検索しアクセスするインタフェースをユーザに提供可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】負荷の状態に応じて、電源から負荷に供給される電力量を制限するための閾値を変更するよう、電気機器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷への所定値を超える電力供給を防止する電気機器、および、電気機器への所定値を超える電力供給を防止する保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器は、電源から電力供給を受けて動作するが、動作する負荷自体の異常や負荷への電流供給線の不良等によって、本来想定されている値を超えた電力が電源から供給される場合がある。かかる過剰な電力は、一般に熱へと変換され、発生する熱量によっては機器の故障の原因となる。そのため、所定値を超えた電力が機器に供給されたことを検出して電力供給を停止させる保護回路が用いられている。
【0003】
電気機器には、平常動作時の使用電力量とピーク時の使用電力量とが大きく乖離するものがある。かかる電気機器の保護にあっては、平常動作時を基準に動作させると、ピーク時に所定値を超えたものと判断して電力供給が停止してしまう。一方、ピーク時を基準に動作させると、平常時の使用量以上でピーク時の使用量以下の所定値を超えた電力供給を検出することができない。
【0004】
平常時の使用量以上でピーク時の使用量以下の所定値を超えた電力供給は、ピーク時の使用量以下であるので瞬間的には許容される。しかし、長期的に使用され続けると機器故障の原因となるため、好ましくない。
【0005】
特許文献1には、負荷の駆動開始時とその後とで駆動回路保護手段を切り替える負荷駆動装置が記載されている。この負荷駆動装置によれば、負荷の駆動開始時に使用電力量がピークとなり、その後平常動作となるような駆動回路を適切に保護して駆動することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1が想定しているランプのような単純な負荷と異なり、電気機器の使用電力量は、使用中に様々に推移する。例えば、パーソナルコンピュータは通常動作状態とスリープ状態とに随時推移可能であり、テレビは通常動作状態とスタンバイ状態とに随時推移可能である。
【0008】
このような電気機器のそれぞれの状態は、起動からの時間によって切り替わるものではないため、特許文献1に記載の装置によっては、それぞれの状態に適した保護回路に切り替えることができない。
【0009】
そこで、本発明は、電力使用量の異なる複数の状態に随時推移可能であって、それぞれの状態に適した保護回路を切り替えて使用可能な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の電気機器は、負荷の状態に応じて、電源から負荷に供給される電力量を制限するための閾値を変更することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の電気機器は、複数の状態で所定の動作を行う負荷と、負荷に電力を供給する電源と、電源から負荷に供給される電力が所定量を超えないよう制限する保護回路とを有し、保護回路が、負荷の動作状態に応じて所定量を変更することを特徴とする。
【0012】
本発明の電気機器の保護回路は、複数の状態で所定の動作を行う電気機器に対して供給される電力が所定量を超えないよう制限する電気機器の保護回路であって、電気機器の動作状態に応じて所定量を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電力使用量の異なる複数の状態に随時推移可能であって、それぞれの状態に適した保護回路を切り替えて使用可能な電気機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の電気機器の機能ブロックを示す図である。
【図2】本実施形態の保護手段および切替手段の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本実施形態は、電源から供給される電力によって動作する負荷を有する電気機器である。
【0016】
図1は、本実施形態の電気機器の機能ブロック図を示す図である。図1を参照すると、本実施形態の電気機器1は、電源10、保護回路20および負荷30を有する。
【0017】
電源10は、負荷30に対して電力を供給する。電源10は、具体的には、乾電池などの一次電池、リチウムイオン電池などの二次電池の他、図示しない家庭用電源などの外部電源から電力供給を受けて負荷30に適した形式の電力を供給する変圧器や整流器によって構成することができる。本実施形態では、電源10は電気機器1に内蔵されているが、これを外付けとした構成によっても本発明は実施可能である。
【0018】
保護回路20は、電源10から負荷30に供給される電力が所定量を超えたときに、電力供給を遮断もしくは制限する。保護回路20は、負荷状態検知手段21、切替手段22、第1の保護手段23および第2の保護手段24を有する。
【0019】
負荷状態検知手段21は、負荷30の動作状態を検知する。具体的には、専用回路または所定のプログラムを実行するプロセッサが、負荷30の動作状態を変更させるための信号を受信することにより、負荷30の動作状態を検知することができる。また、専用回路または所定のプログラムを実行するプロセッサが、負荷30に対して動作状態を定期的に問い合わせてその回答を受信したり、負荷30が動作状態を変更したときに負荷30から通知を受信したりすることによっても、負荷30の動作状態の検知は可能である。
【0020】
切替手段22は、負荷状態検知手段21が検知した負荷30の動作状態に応じて、負荷30の保護に第1の保護手段23を用いるか第2の保護手段24を用いるかを切り替える。切替手段22は、専用回路または所定のプログラムを実行するプロセッサによって構成可能である。
【0021】
第1の保護手段23および第2の保護手段24は、電源10から負荷30に所定量を超えた電力が供給されないように保護する。保護のための具体的な構成は、後述する。なお、本実施形態では2つの動作状態を有する負荷30に対応して保護手段を2つ設けているが、これ以上の数の動作状態を有する負荷に対応して保護手段をこれ以上の数設けることも可能である。
【0022】
負荷30は、電源10からの電力供給を受けて所定の動作を行う。所定の動作とは、例えばパーソナルコンピュータであれば情報処理であり、テレビであれば受信や表示であるが、これに限らない。負荷30は2つの動作状態を有し、これらの間を随時遷移可能である。上述のとおり、これ以上の動作状態を有する負荷に本発明を適用することも可能である。
【0023】
次に、図2を参照して、保護回路20における切替手段22、第1の保護手段23および第2の保護手段24の具体的な構成について説明する。図2は、本実施形態の保護手段および切替手段の構成を示す図である。
【0024】
図2を参照すると、本実施形態の保護手段および切替手段は、電流制御素子101、抵抗102および電流検出回路103により構成されている。電流制御素子101は、電流検出回路103からの信号によって、電源10からの電流を通過させたり遮断したりする。電流制御素子101は、例えば、FET(Field Effect Transistor)で構成することができる。抵抗102は、負荷30に電力を供給する線に直列に接続されており、流れる電流の大小に応じて電圧を降下させる。
【0025】
電流検出回路103は、専用回路または所定のプログラムを実行するプロセッサにより構成され、抵抗102の前後の電圧を検出することによって、抵抗102を通して負荷30に供給される電流量を検出する。電流検出回路103は、検出した電流量が所定値を超える場合、電流制御素子101に付加する電圧を制御することにより、電流を遮断させる。
【0026】
電流検出回路103が電流制御素子101に電流を遮断させるための閾値として、所定値を複数保持するようにし、これを切り替えて使用することにより、保護手段および保護手段を切り替える切替手段を実施することができる。
【0027】
以上のように構成することにより、電気機器を、随時推移する複数の動作状態に適した保護回路を切り替えて使用し、適切な保護を行うことができ、ユーザが電気機器を安心して使用できるようになる。
【符号の説明】
【0028】
1 電気機器
10 電源
20 保護回路
21 負荷状態検知手段
22 切替手段
23 第1の保護手段
24 第2の保護手段
30 負荷
101 電流制御素子
102 抵抗
103 電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の状態に応じて、電源から前記負荷に供給される電力量を制限するための閾値を変更することを特徴とする、電気機器。
【請求項2】
複数の状態で所定の動作を行う負荷と、
前記負荷に電力を供給する電源と、
前記電源から前記負荷に供給される電力が所定量を超えないよう制限する保護回路とを有し、
前記保護回路が、前記負荷の動作状態に応じて前記所定量を変更することを特徴とする、電気機器。
【請求項3】
前記保護回路が、前記負荷の状態を検知する負荷状態検知手段と、
それぞれ異なる閾値で電力量の制限を行う2以上の保護手段と、
前記負荷状態検知手段が検知する前記負荷の状態に応じて前記保護手段を切り替える切替手段とを有することを特徴とする、請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記保護手段が、負荷に流れる電流に直列に挿入された抵抗と、
流れる電流を制御する電流制御素子と、
前記抵抗の前後の電圧を計測することにより負荷に流れる電流量を求め、前記電流量が第1の閾値または前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えるときに、前記電流制御素子に対して電流を流さないように制御する電流検出回路とにより構成されることを特徴とする、請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
複数の状態で所定の動作を行う電気機器に対して供給される電力が所定量を超えないよう制限する電気機器の保護回路であって、
前記電気機器の動作状態に応じて前記所定量を変更することを特徴とする、電気機器の保護回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−30353(P2011−30353A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173175(P2009−173175)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】