説明

電気機器の取付構造

【課題】無駄がなく多品種に対応でき、レールの着脱機構を安価に実現できる上に、電気機器をレールから作業性に優れた状態で安全に取り外せるようにする。
【解決手段】機器本体2に取付け固定される取付板としての背面板5と、背面板5に取付けられる上下動可能なスライダ6と、スライダ6を上方に付勢する弾性部材としてのスプリング7からなる取付金具1を備え、背面板5とスライダ6とによりレール3を係合支持して、このレール3に機器本体2を取付ける。背面板5より上方に突出して、スライダ6に上部タブ46を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置やノイズフィルタなどの電気機器を取付金具に取付け固定し、この取付金具の背面部をレール部材に着脱可能に取付ける電気機器の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置やノイズフィルタなどの各種電気機器を、断面同一形状の支持レール(DINレール)に並設する電気機器の取付構造が知られている。例えば特許文献1には、レール上方の張出し部に、ケース本体のレール用溝の係止溝を係合させ、レール下方の張出し部にスライド板を押し当てて、ばね機構のばね力に抗してケース本体をレール側に押し込むと、レール下方の張出し部がスライド板の上部端面を乗り越えた時点で、スライド板を上方に付勢するばね機構のばね力が作用して、レール下方の張出し部がスライド板の上部とケース本体のレール用溝との間に形成された溝に係止され、電気機器をレールに取付けることができる構造が開示されている。
【0003】
しかし、上記特許文献1の構造は、ケース本体をレールから外す時に、レール下方の張出し部と溝との係合を解除するために、ばね機構のばね力に抗してスライド板を下方に移動させなければならないが、ケース本体はある程度の奥行きがあるため、スライド板の下端中央部にある張出し部を指で摘んで、スライド板を垂直に引き下げることが極めて困難であった。
【0004】
この点に関して、別の特許文献2には、装置本体のレール用溝部に直交してレールに係脱可能なレール係合部材を設け、このレール係合部材の上側案内部および下側案内部の各端部を、装置本体の上面および下面よりそれぞれ外方に突出させた取付構造が開示されている。この場合、装置本体の上方からレール係合部材の上側案内部を手で押すだけで、レール係合部材とレールとの係合を解除することができるため、装置本体をレールから簡単に外すことができる。
【0005】
ところが、上記引用文献1および引用文献2に示すものは、いずれも支持レールの外形に対応して、樹脂製の電気機器の本体背面に溝状のレール用溝を設ける必要がある。すなわち、レール用溝を電源機器の本体と一体に形成しなければならず、樹脂形成に際しての金型コストが著しく増加する上に、支持レールへの取付けを必要としない場合に、本体背面に設けた支持レールの着脱機構が全く無駄になる懸念を生じる。
【0006】
そのため、上記支持レールの着脱機構を、電気機器の本体とは別体の取付金具で構成したものが例えば特許文献3において知られている。この特許文献3には、左右一対のガイド部および突出部を有する取付板としての背面板と、この背面板のガイド部間にスライド可能に配置されるスライダとを備え、スライダおよび背面板の突出部にそれぞれ設けられたスプリング取付部間に弾性部材であるスプリングを配置した取付金具が開示されており、この場合は支持レールの上端に背面板の切起し部を引っ掛け、支持レールを背面板側に押し込むと、スプリングの付勢に抗してスライダが下方に移動し、支持レールの下端がスライダの上端にある係合部を乗り越えると、前記スプリングの付勢力が作用してスライダが上方に移動して、スライダの係合部と背面板の切起し部が支持レールを挟持するようになっている。
【0007】
また、特許文献3と共通の特徴を有する特許文献4には、器具ケース1の底面側に、固定爪と付勢ばねで付勢されたスライダとを向かい合う状態で配設し、器具ケースに形成したばね受け座とスライダの先端爪部との間にコイルばねを収容すると共に、このコイルばねの付勢力によるスライダの支持レール側への動きを、器具ケースのばね受け座と共に突出部をなす停止部にスライダを当接させて制限する器具のレール取付装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−302988号公報
【特許文献2】特開平11−346074号公報
【特許文献3】米国特許第6292076号公報
【特許文献4】特開平10−41652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献3に開示されるものは、独立した板金の加工により支持レールの着脱機構を安価に実現できる。また、支持レールに電気機器を取付ける電源機器にのみ、その本体背面に取付金具を装着すればよく、しかも多品種の電源機器に共通の取付金具を装着できるので、無駄がなく多品種に対応できる利点がある。しかし、電気機器の本体をレールから外す時に、この本体の下方から突出するスライダのタブに工具などを差入れ、スライダを引き下しながら背面板の切起し部を支点として本体を上方に起す作業が必要であり、スライダを引き下す力の方向と、本体の自重に抗してこの本体を持ち上げる力の方向が相反して離れて行くため、手元が狂って電気機器の本体が転落しやすい。また、狭隘な場所に工具を差し込んでタブを引き下げるため作業性が悪いという欠点があった。
【0009】
また、スライダが金属板で形成される場合、前記特許文献3のようにスライダの左右両端部に略直角の折曲げ部を形成して、この折曲げ部の端面を背面板に摺動させるようにすると、取付金具の前後方向が自ずと厚くなる上に、端面の縁部に背面板が引っ掛かりやすくなり、スライダをスムーズに移動できない懸念を生じる。
【0010】
さらに、前記特許文献3の構造では、スライダの係合部と背面板の切起し部とにより支持レールを挟持しても、電気機器を支持レールに沿って左右に簡単に動かすことができ、横滑り防止の対策が何ら講じられていない。さらに、背面板の切起し部に支持レールの上端を引っ掛けて電気機器を懸垂させた状態では、切起し部と支持レールとの間にガタが生じて不安定であり、何らかの原因でレールから電気機器の本体が容易に脱落する問題もあった。
【0011】
また、特許文献3において、スライダを背面板に取付ける場合、まずスプリングのない状態で、背面板に形成されるガイド部の下側からスライダの上端を斜め方向から滑り込ませ、スライダのスプリング取付部が背面板の停止部に当たる位置までスライダを挿入したら、スライダおよび背面板のスプリング取付部間にスプリングを装着するようになっている(分解の場合は逆の手順)。しかし、スライダの組立てに際しては、スライダの上端から所定位置にまでガイド部材を挿入させなければならず、逆にスライダの分解に際しては、スライダの上端がガイド部材から離脱するまでガイド部材を移動させなければならないので、スライダの組立ておよび分解が容易ではなかった。また、こうした組立てや分解時にスライダの前面がガイド部材の縁部に当たって、傷付き易いという問題もあった。
【0012】
また、特に電気機器が横長の場合、取付金具だけでは電気機器を支持レールに十分支持することができない。そのため、電気機器を確実に支持する構造が求められていた。
【0013】
さらに、電気機器をレールから外す時には、前述のように、電気機器の下方から突出するスライダのタブに、マイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、スライダを引き下す作業が必要であるが、特許文献3のタブに形成された穴は略矩形状で、スライダの中心垂線から離れた位置で、穴の内面に工具の縁部が当たってしまい、スライダをスムーズに引き下すことが困難であった。
【0014】
本願発明は上記問題点に鑑み、無駄がなく多品種に対応でき、レールの着脱機構を安価に実現できる上に、電気機器をレールから作業性に優れた状態で安全に取り外すことができる電気機器の取付構造を提供することをその目的とする。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、取付金具を薄く形成し、かつスライダをスムーズに移動できる電気機器の取付構造を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、電気機器の横滑りを防止しつつ、電気機器を懸垂させた状態でも、レールからの脱落を防止できる電気機器の取付構造を提供することにある。
【0017】
また、本発明の第4の目的は、スライダの組立てや分解を容易にできる電気機器の取付構造を提供することにある。
【0018】
また、本発明の第5の目的は、横長の電気機器であっても、この電気機器をレールに確実に支持できる電気機器の取付構造を提供することにある。
【0019】
また、本発明の第6の目的は、汎用工具を利用してスライダをスムーズに移動させることが可能な電気機器の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の請求項1における電気機器の取付構造は、電気機器に取付け固定される取付板と、前記取付板に取付けられる上下動可能なスライダと、前記スライダを上方に付勢する弾性部材とからなる取付金具を備え、前記取付板と前記スライダとによりレールを係合支持して、このレールに前記電気機器を取付ける電気機器の取付構造において、前記取付板より上方に突出して前記スライダに上部タブを設け、前記弾性部材は半径Rのスプリングであり、このスプリングの一端と他端を支持するスプリング取付部を、互いに向かい合わせて前記取付板と前記スライダに設けると共に、前記取付板の材厚をt1,前記スライダの材厚をt2としたときに、前記取付板の底面からこの取付板のスプリング取付部の中心に至る突出寸法h1が、h1≦t1+t2+Rとなる。
【0021】
この場合、弾性部材の付勢に抗して取付板の上方に突出する上部タブを押すと、取付金具に対するレールの係合が解除される。そのため、わざわざ工具を使用してタブを引き出さなくても、上部タブを直接手で押すだけで、簡単に電気機器を取り外すことができ、作業性が向上する。しかも、上部タブを押す力の方向が電気機器に近づくため、上部タブを押しながら電気機器を安全に取り外すことができる。さらに、電気機器とは別体の取付金具でレールの着脱機構を構成しているので、電気機器には単にねじ穴などを設けておけばよく、レールの着脱機構を安価に実現できる上に、無駄がなく多品種の電気機器に対応できる。
【0022】
また、本発明の請求項6における電気機器の取付構造は、前記取付板より下方に突出して前記スライダに下部タブを設けている。
【0023】
こうすれば、下部タブを引き出すことによっても、電気機器をレールから取外すことが可能になる。
【0024】
また、本発明の請求項1における電気機器の取付構造は、前記弾性部材は半径Rのスプリングであり、このスプリングの一端と他端を支持するスプリング取付部を、互いに向かい合わせて前記取付板と前記スライダに設けると共に、前記取付板の材厚をt1,前記スライダの材厚をt2としたときに、前記取付板の底面からこの取付板のスプリング取付部の中心に至る突出寸法h1が、h1≦t1+t2+Rとなることを特徴とする。
【0025】
この場合、取付金具を側部から見たときに、スプリングとスライダが重なり合う状態となるため、取付金具の前後方向を薄く形成できる。
【0026】
また、本発明の請求項2における電気機器の取付構造は、前記レールの上端部に係合する爪部と、前記スライダの前面より前方に突出し、前記爪部に前記レールが係合すると、該レールの底面に当接する凸部とを前記取付板にそれぞれ設けている。
【0027】
この場合、レールの上端部に取付板の爪部を係合させて、電気機器を懸垂させようとする際に、爪部とレールとの間にガタが生じても、取付板に設けた別な凸部が、レールの底面に当接して滑り止めとなるので、電気機器が脱落する虞れがない。しかも、取付板とスライダとによりレールを係合支持した状態では、爪部の弾性変形によりレールの底面が凸部側に押され、凸部がレールの底面と面状に当接するので、レールに沿った電気機器の横滑りを確実に防止できる。また、凸部はスライダの前面よりも前方に突出しているので、取付金具をレールに係合支持した状態でも、スライダをスムーズに動かすことができる。
【0028】
また、本発明の請求項3における電気機器の取付構造は、前記スライダの移動方向に沿って前記取付板にガイド部を設ける一方で、前記スライダの側部にスライドシューを設け、前記弾性部材を前記取付金具に装着した状態では、前記スライダの全移動範囲にわたり前記ガイド部と前記スライドシューが係合し、前記弾性部材を前記取付金具に装着しない状態で、前記ガイド部と前記スライドシューとの係合を解除できる構成としたものである。
【0029】
この場合、弾性部材を取付金具に装着した状態では、スライダがどの位置にあっても、ガイド部とスライドシューが係合しており、スライダが取付板から外れることはない。一方、スライダの組立てまたは分解時においては、スライダをガイド部に沿って移動させる途中で、ガイド部とスライドシューとの係合が外れる箇所があるので、スライダの前面を傷つけることなく容易に着脱することが可能になる。
【0030】
また、本発明の請求項4における電気機器の取付構造は、前記上部タブの上端より上方に位置して、前記取付板にガード部を延設して構成される。
【0031】
この場合、スライダの上方から何らかの弾みで力が加えられようとしても、上部タブを保護するガード部によって、スライダが不意に動くことを防止でき、取付金具がレールから外れるのを防ぐことができる。
【0032】
また、本発明の請求項5における電気機器の取付構造は、前記スライダと前記取付板とにより構成される前記レールの係合支持部とは別に、このレールに係合する係合部を設けている。
【0033】
このようにすると、電気機器が横長であっても、レールの係合支持部とは別の係合部がレールに係合して、電気機器を確実に支持することができる。
【0034】
また、本発明の請求項6における電気機器の取付構造は、前記下部タブに工具差し込み用の穴を設けると共に、前記スライダの中心垂線に対称な湾曲面を前記穴の内面に形成したものである。
【0035】
この場合、下部タブに設けた穴にマイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、そのまま汎用工具を回転させると、穴の内面に湾曲面が形成されている関係で、スライダの中心垂線に近い穴の内面で、工具の縁部が当接しながたスライダが移動する。そのため、電気機器をレールから外す時に、スライダをスムーズに動かすことが可能になる。
【0036】
また、本発明の請求項7における電気機器の取付構造は、前記上部タブの上部を囲うように前記ガード部を設けて、前記上部タブの上部と前記ガード部との間に工具差し込み用の隙間を設けると共に、前記スライダの中心垂線に対称な湾曲面を、前記隙間を形成する前記上部タブ若しくはガード部の内面に形成したものである。
【0037】
この場合、上部タブの上部と前記ガード部との間に設けた隙間にマイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、そのまま汎用工具を回転させると、隙間を形成する上部タブ若しくはガード部の内面に湾曲面が形成されている関係で、スライダの中心垂線に近い位置で、工具の縁部が当接しながたスライダが移動する。そのため、電気機器をレールから外す時に、スライダをスムーズに動かすことが可能になる。
【発明の効果】
【0038】
請求項1における電気機器の取付構造によれば、無駄がなく多品種に対応でき、レールの着脱機構を安価に実現できる上に、電気機器をレールから作業性に優れた状態で安全に取り外すことができる。
【0039】
請求項6における電気機器の取付構造によれば、取付金具の上部および下部で、電気機器をレールから取外すことが可能になる。
【0040】
請求項1における電気機器の取付構造によれば、取付金具を薄く形成することが可能になる。
【0041】
請求項2における電気機器の取付構造によれば、電気機器の横滑りを防止しつつ、電気機器を懸垂させた状態でも、レールからの脱落を防止でき、さらに取付金具をレールに係合支持した状態で、スライダをスムーズに動かすことが可能になる。
【0042】
請求項3における電気機器の取付構造によれば、スライダの前面を傷つけることなく、スライダの組立てや分解を容易にできる。
【0043】
請求項4における電気機器の取付構造によれば、取付金具がレールから外れるのを防ぐことができる。
【0044】
請求項5における電気機器の取付構造によれば、横長の電気機器であっても、この電気機器をレールに確実に支持できる。
【0045】
請求項6における電気機器の取付構造によれば、汎用工具を利用してスライダをスムズに移動させることが可能になる。
【0046】
請求項7における電気機器の取付構造によれば、汎用工具を利用してスライダをスムーズに移動させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0048】
図1〜図15は本発明の第1実施例を示すもので、これらの各図において、1は電気機器の外郭をなす機器本体2をレール(DINレール)3に着脱可能に設けるための取付金具で、これは機器本体2の例えば背面に取付け固定される金属板状の背面板5と、背面板5に取付けられる上下動可能な金属板状のスライダ6と、スライダ6を上方すなわちレール3に係合する方向に付勢する弾性部材としてのスプリング7とにより構成される。
【0049】
取付板に相当する背面板5は、機器本体2への取付けを可能にするねじ挿通穴11が、左右にそれぞれ2つずつ設けられている。このねじ挿通穴11に臨んで、機器本体2の背面にねじ穴(図示せず)を設け、ねじ挿通穴11を挿通してこのねじ穴にねじ12を螺着することにより、機器本体2とは別体の背面板5ひいては取付金具3を機器本体2の背面に取付け固定できる。
【0050】
図4に示すように、背面板5は底面若しくは上面側から見てL字状に折曲げられた第1〜第3のガイド部15〜17を、スライダの移動方向に沿ってそれぞれ左右一対づつ形成している。これらの各ガイド部15〜17は、スライダ6の左右方向および前後方向の動きを規制するもので、いずれも機器本体2の背面に接する平坦状の板本体18よりも前側に突出して設けられる。また、これらのガイド部15〜17を形成するに際し、背面板5には切欠き部19および穴20,21がそれぞれ設けられる。
【0051】
背面板5はその他に、レール3の上端部である上部張出し部3Aに係合する爪部23と、この爪部23をレール3の上部張出し部3Aに引っ掛けて機器本体2を吊設状態にしたときに、上部張出し部3Aの底面に当接する凸部24と、レール3に取付金具1を嵌め込んだときに、レール3の下端部である下部張出し部3Bが当接する弾性変形可能な突出片25と、スプリング7の下部を支持するのに折曲げられたスプリング取付部26をそれぞれ形成している。前記爪部23は下側前方に向けて傾斜するレール3との当接内面23Aを有しており、この当接内面23Aにレール3の上部張出し部3Aの前縁部を当接し、かつ凸部24に上部張出し部3Aの底面を当接することで、機器本体2が斜め方向に吊設支持されるようになっている。また凸部24は、スライダ6ひいては後述するスライダ本体31の前面よりも前方に突出するように形成される。
【0052】
一方、スライダ6は、前記第1〜第3のガイド部15〜17の内側にて上下動可能に設けられ、第1〜第3のガイド部15〜17にそれぞれ対応して、平坦状のスライダ本体31の左右側部に第1〜第3のガイドシュー35〜37を形成している。また38は、前記背面板5の爪部23と共にレール3の係合支持部を構成する弾性変形可能な係合片で、これは、爪部23にレール3の上部張出し部3Aを係合させた状態で、装置本体1をレール3側に押し込んだときに、レール3の下部張出し部3Bに当接しつつ弾性変形する傾斜部38Aと、レール3の下部張出し部3Bと略同等の段差を有する段差部38Bとにより構成される。なお、39は係合片38を形成するのに設けられた穴である。
【0053】
また40は、スプリング7の上部を支持するスプリング取付部で、これはスライダ7を背面板5の前側に装着した状態で、背面板5のスプリング取付部26に向かい合うように設けられる。そして、図6にも示すように、スプリング7をスプリング取付部26,40に取付けた状態では、スライダ7の移動する全て範囲にわたって、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37がそれぞれ重なり合うのに対して、スプリング7をスプリング取付部26,40からはずした状態では、スプリング取付部26,40が向かい合ったまま、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37との重なりが解除されるように、背面板5やスライダ7の形状を規定している。41はスプリング取付部40を形成し、かつスプリング7を収容するために設けられたスプリング収容穴で、取付金具1をレール3に取付け固定していない状態では、スプリング収容穴41の下側内面41Aにスプリング取付部26の下面が当接する位置にまで、スライダ6が上方に移動するようになっている。
【0054】
46は、少なくとも第1〜第3のガイド部15〜17の内側のスライダ6の移動領域において、背面板5の板本体18ひいては機器本体2の上面よりも上方に突出してスライダ6に設けられる上部タブである。この上部タブ46は、手で上方からスライダ6を押しやすいように、後方へ向けての折返し部を備えている。一方、スライダ6の下側には、背面板5の板本体18ひいては機器本体2の下面よりも下方に突出した別の下部タブ47が設けられる。この下部タブ47には、背面板5の下面に当接しながら、マイナスドライバなどの汎用工具が回転できる形状の工具差込み穴48が設けられている。特に本実施例では、汎用工具が当接する工具差込み穴48の下面に、スライダ6の中心垂線に対し左右対称な湾曲面48Aが形成される。
【0055】
図7に示すように、スプリング7は中心径φ(半径をRとすると、φ=2R)の圧縮スプリングで、互いに向かい合う位置に設けられたスプリング取付け部26,40間に装着される。特に本実施例では、背面板5の材厚をt1とし、スライダ6の材厚をt2とすると、背面板5の底面からスプリング取付部26,40の中心に至る突出寸法h1が、h1≦t1+t2+Rとなるように構成される。すなわちスプリング7の一部は、取付金具1全体を極力薄型化させるために、スライダ6のスプリング収容穴41と、好ましくは背面板5の穴21に収容される。
【0056】
次に、上記構成についてその作用を説明する。レール3に機器本体2を装着する場合は、図8に示すように、予めねじ12により取付金具1を背面に取付け固定した機器本体2を手で保持しながら、背面板5の爪部23をレール3の上部張出し部3Aに引っ掛け、その後機器本体2から手を離すと、機器本体2の自重によって爪部23の当接内面23Aにレール3の上部張出し部3Aが当接し、且つ背面板5の凸部24に上部張出し部3Aの底面が当接する状態で、取付金具1付きの機器本体2が斜めに吊設支持される。この機器本体2の仮支持状態では、機器本体2の自重により凸部24の頂面とレール3の底面との間に摩擦力が作用し、しかも凸部24の中央よりも若干上側にレール3の底面を乗り上げた状態で、取付金具1を含む機器本体2が傾斜支持されるため、機器本体2はレール3から容易に脱落しない。
【0057】
その後、前記爪部23の当接内面23Aとレール3の上部張出し部3Aとの当接部を支点として、斜めになっている機器本体2を略垂直になるように押し込むと、レール3の下部張出し部3Bに当接するスライダ6の係合爪38が次第に弾性変形しつつ、スライダ6自身もスプリング7の付勢力に抗して下方に移動する。やがて、この係合爪38の傾斜部38Aがレール3の下部張出し部3Bを乗り越えるまで機器本体2が押し込まれると、スプリング7の付勢力によりスライダ6が上方に押し戻され、係合爪38の基部をなす段差部38Bにレール3の下部張出し部3Bが嵌り込む。こうして、スプリングの付勢力が作用した状態で、レール3の上部張出し部3Aに爪部23が係合し、かつ係合爪38の段差部38Bとレール3の下部張出し部3Bが係合して、機器本体2がレール3に取付けられる。
【0058】
また、取付金具1がレール3に係合支持される状態では、爪部23の弾性変形によりレール3の底面が凸部24側に押され、凸部24がレール3の底面と面状に当接すると共に、レール3の下部張出し部3Bに加わる反発力が係合爪38により押え付けられて、レール3に固定される。そのため、取付金具1にレール3を押え付けた状態で機器本体2が固定されるので、レール3に沿った機器本体2の横ずれを確実に防止できる。さらに、背面板5よりも下方に位置して、スライダ6に下部タブ47を延設しようとする場合、スライダ6をそのまま下方に延ばすだけでは、背面板5とレール3との間にスライダ6が挟まってしまい、スライダ6が動かなくなる懸念を生じる。しかし、本実施例における凸部24は、スライダ6の前面よりも前方に突出しており、取付金具1をレール3に係合支持した状態でも、スライダ6をスムーズに移動させることが可能になる。
【0059】
一方、機器本体2をレール3から取り外す場合には、スライダ6の上部タブ46を手または工具で押すか、さもなければスライダ47の下部タブ47に形成した工具差込み穴48にマイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、そのまま汎用工具を回転させて、スライダ6を取付金具1の下方から引き出せばよい。こうすれば、スプリング7の付勢に抗してスライダ6が下方に移動し、係合爪38の段差部38Bとレール3の下部張出し部3Bとの係合が解除され、機器本体2は前述の仮支持状態になる。後は、機器本体2を手で持ち上げれば、取付金具1とレール3との係合を解除して、機器本体2をレール3から取り外すことができる。
【0060】
また、下部タブ47の工具差込み穴48に汎用工具を差入れて、スライダ6を下方に移動させようとする場合、汎用工具を手で回すと、工具差込み穴48の上面および下面に汎用工具の縁部が当接する。ここで本実施例では、工具差込み穴48の下面に湾曲面48Aが形成されている関係で、汎用工具の縁部は途中で引っ掛かることなく、次第にスライダ6の中心垂線Aに近ずくので、スライダ6もスムーズに下方へ移動することができる。
【0061】
さらに、取付金具1の組立工程において、スライダ6を背面板5の前面に取付ける場合は、図6に示すように、スプリング7のない状態で、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37がいずれも干渉しないように、スライダ6を背面板5の前面側から合わせる。すると、背面板5のスプリング取付部26と、スライダ6のスプリング取付部40が互いに向かい合うので、ここからスプリング7を装着できる間隔が、スプリング取付部26,40間に形成されるまで、第1〜第3のガイド部15〜17にスライダ5を案内させつつ、このスライダ5を上方にスライドさせる。後は、スプリング7を若干圧縮させてスプリング取付部26,40間に装着するだけで、取付金具1の組立工程が完了する。なお、スライダ6の分解時には、この組立工程の逆の手順を行なえばよい。このように、スライダ6の組立てや分解に際しては、スプリング取付部26,40を向かい合わせた状態のまま、背面板5とスライダ6とを取付若しくは取り外しできるので、第1〜第3のガイド部15〜17に対して、スライダ6を斜め方向から挿入する必要がなく、スライダ6の前面の傷つきを防止できる。しかも、スプリング取付部26,40にスプリング7を装着した状態では、スライダ6がどの位置にあっても、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37が重なり合っているので、機器本体2をレール3に取付けているときに、スライダ6が背面板5から外れる虞れはない。
【0062】
以上のように本実施例では、電気機器である機器本体2に取付け固定される取付板としての背面板5と、背面板5に取付けられる上下動可能なスライダ6と、スライダ6を上方に付勢する弾性部材としてのスプリング7からなる取付金具1を備え、背面板5とスライダ6とによりレール3を係合支持して、このレール3に機器本体2を取付けるものにおいて、背面板5より上方に突出してスライダ6に上部タブ46を設けている。
【0063】
この場合、スプリング7の付勢に抗して背面板5の上方に突出する上部タブを押すと、取付金具1に対するレール3の係合が解除される。そのため、わざわざ工具を使用してタブを引き出さなくても、上部タブ46を直接手で押すだけで、簡単に機器本体2を取り外すことができ、作業性が向上する。しかも、上部タブ46を押す力の方向が、手で取り外そうとする機器本体2側に向かって近づくため、上部タブ46を押しながら機器本体2を転落させることなく安全に取り外すことができる。さらに、機器本体2とは別体の取付金具1でレール3の着脱機構を実現しているので、機器本体2には単にねじ穴などを設けておけばよく、レール3の着脱機構を安価に実現できる上に、無駄がなく多品種の機器本体2に対応することが可能になる。
【0064】
また、このような構成において、本実施例では背面板5より下方に突出してスライダ6に下部タブ47を設けている。こうすれば、仮に上部タブ46に手を差し入れるだけの十分なスペースが確保されていない状況にあっても、下部タブ47を引き出すことで、機器本体2をレール3から簡単に取外すことができる。
【0065】
また本実施例では、弾性部材として半径Rのスプリング7を使用し、このスプリング7の一端と他端を支持するスプリング取付部を、互いに向かい合わせて背面板5とスライダ6に設けると共に、背面板5の材厚をt1,前記スライダの材厚をt2としたときに、背面板5の底面からこの背面板5のスプリング取付部26の中心に至る突出寸法h1が、h1≦t1+t2+Rとなるように、背面板5やスライダ6を形成している。
【0066】
こうすれば、取付金具1を側部から見たときに、スプリング7とスライダ6が重なり合う状態となるため、取付金具1の前後方向を薄く形成できる。なお、スプリング7がスライダ6や背面板5に干渉しないように、これらのスライダ6や背面板5にはスプリング7を収容するための穴41,21を設けるのが好ましい。
【0067】
また、本実施例では、レール3の上端部にある上部張出し部3Aに係合する爪部23と、スライダ6の前面より前方に突出し、爪部23にレール3の上部張出し部3Aが係合すると、レール3の底面に当接し、レール3に取付金具1を取付固定すると、爪部23により押されたレール3の底面が面状に当接する凸部24とを背面板5にそれぞれ設けている。
【0068】
この場合、レール3の上端部に背面板5の爪部23を係合させて、機器本体2を懸垂させようとする際に、爪部23とレール3との間にガタが生じても、背面板5に設けた別な凸部24が、レール3の底面に当接して滑り止めとなるので、機器本体2が脱落する虞れがない。しかも、背面板5とスライダ6とによりレール3を係合支持した状態では、爪部23の弾性変形によりレール3の底面が凸部24側に押され、凸部24がレール3の底面と面状に当接するので、レール3に沿った機器本体2の横滑りを確実に防止できる。また、凸部24はスライダ6の前面よりも前方に突出しているので、取付金具1をレール3に係合支持した状態でも、スライダ6をスムーズに動かすことができる。
【0069】
また、本実施例では、スライダ6の移動方向に沿って背面板5にガイド部としての第1〜第3のガイド部15〜17を設ける一方で、スライダ6の側部にスライドシューとしての第1〜第3のガイドシュー35〜37を設け、弾性部材であるスプリング7を取付金具1に装着した状態では、スライダ6の全移動範囲にわたり第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37を係合させ、スプリング7を取付金具1に装着しない状態では、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37との係合を解除できる構成としている。
【0070】
この場合、スプリング7を取付金具1に装着した状態では、スライダ6がどの位置にあっても、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37が係合しており、スライダ6が第1〜第3のガイド部15〜17から外れることはない。一方、スライダ6の組立てまたは分解時においては、スライダ6を第1〜第3のガイド部15〜17に沿って移動させる途中で、第1〜第3のガイド部15〜17と第1〜第3のガイドシュー35〜37との係合が外れる箇所があるので、スライダ6の前面を傷つけることなく容易に着脱することが可能になる。
【0071】
また本実施例では、下部タブ47に工具差し込み用の穴48を設けると共に、スライダ6の中心垂線Aに対称な湾曲面48Aを穴48の内面に形成している。
【0072】
この場合、下部タブ47に設けた穴48にマイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、そのまま汎用工具を回転させると、穴48の内面に湾曲面48Aが形成されている関係で、スライダ6の中心垂線Aに近い穴48の内面で、工具の縁部が当接しながらスライダ6が移動する。そのため、機器本体1をレール3から外す時に、スライダ6をスムーズに動かすことが可能になる。
【0073】
次に、本発明の第2実施例を図9および図10に基づき説明する。なお、第1実施例と同一箇所には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0074】
これらの各図において、本実施例ではスライダ6の第1〜第3のガイドシュー35〜37の左右端部に、スライダ本体31の裏面に接する折返し部51を形成し、この折返し部51の裏面を背面板5との滑動面として形成している。折返し部51は、スライダ6の左右両側であれば、第1〜第3のガイドシュー35〜37以外の部分に形成してもよい。これにより、スライダ6の左右両側にある折返し部51に背面板5が接しながら、スライダ6がスムーズに上下動すると共に、折返し部51を設けた分だけ、板状のスライダ6の強度を増すことができる。
【0075】
以上のように本実施例では、板状のスライダ6の左右両端に、背面板5との滑動面をなす折返し部51を形成しており、スライダ6の左右両側において、折返し部51の外面と背面板5が接しながらスライダが上下動するため、スライダ6をスムーズに移動することが可能になる。しかも、折返し部51によりスライダ6の強度を増すことができると共に、スライダ6の前後方向の厚みは、実質的に材厚の2倍程度に抑えられるので、スライダ6ひいては取付金具1を薄く形成できる。
【0076】
次に、本発明の第3実施例を図11〜図14に基づき説明する。なお、第1実施例と同一箇所には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0077】
図11〜図14に示すものは、いずれも上部タブ46の上端より上方に位置して、背面板5にガード部53を延設している。これにより、スライダ6の上方から何らかの弾みで力が加えられようとしても、上部タブ46を保護するガード部53によって、スライダ6が不意に動くことを防止でき、取付金具1がレール3から外れるのを防ぐことができる。
【0078】
特に図11や図14では、上部タブ46の上方を覆うようにしてガード部53が設けられており、上部タブ46の真上から加えられようとする力を、ガード部53にて確実に阻止できる。なお、上部タブ46の押動操作を極力妨げないように、上部タブ46の上面とガード部53の下面との間には、少なくともマイナスドライバなどの汎用工具を差し入れることができる隙間54を形成するのが好ましい。また、図14では、上部タブ46の上部を囲うようにガード部53を設けて、上部タブ46の上部とガード部53の下面との間に工具差し込み用の隙間54を設けると共に、スライダ6の中心垂線Aに対称な湾曲面55を、隙間54を形成するガード部53の内面に形成している。こうすれば、上部タブ46の上部とガード部53との間に設けた隙間54にマイナスドライバなどの汎用工具を差入れ、そのまま汎用工具を回転させると、隙間54を形成するガード部53の内面に湾曲面55が形成されている関係で、スライダ6の中心垂線Aに近い位置で、工具の縁部が当接しながたスライダ6が移動する。そのため、機器本体2をレール3から外す時に、スライダ6をスムーズに動かすことが可能になる。
【0079】
なお、図14に示す例では、ガード部53の内面ではなく上部タブ46の上面(隙間54の内面を形成する)に湾曲面55を形成しても、同様の作用効果が得られる。
【0080】
また、図12および図13に示す例では、上部タブ46の両側に沿ってのみガード部53が設けられており、汎用工具以外の手でも上部タブ46を容易に押すことができるようになっている。特に図13に示す例では、指の形状に沿って上部タブ46の内側に湾曲面56を形成しているので、指で上部タブ46を押し込んだときに、その両側にあるガード部53が邪魔にならない利点がある。その他の構成は第1実施例と共通しているが、必要に応じて第2実施例における構成を組み合わせてもよい。
【0081】
次に、本発明の第4実施例を図15に基づき説明する。なお、第1実施例と同一箇所には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0082】
この実施例では、スライダ5と背面板6とにより構成されるレール3の係合支持部とは別に、このレール3の上部張出し部3Aに係合する係合部61を機器本体2の背面に取付けている。これにより、機器本体2が横長であっても、レール3の係合支持部とは別の係合部61がレール3に係合して、機器本体2を確実に支持することができる。
【0083】
また、図15に示す例では、取付金具1とは別体の係合部材62が左右一つずつ設けられているが、レール3に沿って背面板5を左右に延設し、ここに係合部61を設けてもよい。さらに、この係合部材62には、背面板5に設けられた凸部24と略同等の突出寸法を有する凸部64が設けられ、凸部24と共に機器本体2の横滑りを防止している。その他の構成は第1実施例と共通しているが、必要に応じて第2実施例や第3実施例における構成を組み合わせてもよい。
【0084】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えばガイド部やガイドシューの個数や形状は、本実施例のものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施例における取付金具をレールに装着した状態の正面図である。
【図2】同上、取付金具をレールに装着した状態の断面図である。
【図3】同上、背面板単体の正面図である。
【図4】同上、背面板単体の底面図である。
【図5】同上、スライダ単体の正面図である。
【図6】同上、スプリングを外してガイド部とスライドシューを重ねないようにスライダを移動させたときの状態を示す要部正面図である。
【図7】同上、スプリング周辺の要部拡大断面図である。
【図8】同上、爪部にレールを引っ掛けた状態の要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第2実施例を示すスライダ単体の正面図である。
【図10】同上、図9のB−B線断面図である。
【図11】本発明の第3実施例を示す取付金具上部の正面図である。
【図12】同上、変形例を示す取付金具上部の正面図である。
【図13】同上、さらに変形例を示す取付金具上部の正面図である。
【図14】同上、さらに変形例を示す取付金具上部の正面図である。
【図15】本発明の第4実施例を示す取付金具をレールに装着した状態の正面図である。
【符号の説明】
【0086】
2 機器本体
3 レール
5 背面板(取付板)
6 スライダ
7 スプリング(弾性部材)
15 第1のガイド部(ガイド部)
16 第2のガイド部(ガイド部)
17 第3のガイド部(ガイド部)
23 爪部
24 凸部
26 スプリング取付部
35 第1のガイドシュー(スライドシュー)
36 第2のガイドシュー(スライドシュー)
37 第3のガイドシュー(スライドシュー)
40 スプリング取付部
46 上部タブ
47 下部タブ
51 折返し部
53 ガード部
54 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に取付け固定される取付板と、前記取付板に取付けられる上下動可能なスライダと、前記スライダを上方に付勢する弾性部材とからなる取付金具を備え、前記取付板と前記スライダとによりレールを係合支持して、このレールに前記電気機器を取付ける電気機器の取付構造において、
前記取付板より上方に突出して前記スライダに上部タブを設け、
前記弾性部材は半径Rのスプリングであり、このスプリングの一端と他端を支持するスプリング取付部を、互いに向かい合わせて前記取付板と前記スライダに設けると共に、前記取付板の材厚をt1,前記スライダの材厚をt2としたときに、前記取付板の底面からこの取付板のスプリング取付部の中心に至る突出寸法h1が、h1≦t1+t2+Rとなることを特徴とする電気機器の取付構造。
【請求項2】
前記レールの上端部に係合する爪部と、前記スライダの前面より前方に突出し、前記爪部に前記レールが係合すると、該レールの底面に当接する凸部とを前記取付板にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の電気機器の取付構造。
【請求項3】
前記スライダの移動方向に沿って前記取付板にガイド部を設ける一方で、前記スライダの側部にスライドシューを設け、前記弾性部材を前記取付金具に装着した状態では、前記スライダの全移動範囲にわたり前記ガイド部と前記スライドシューが係合し、前記弾性部材を前記取付金具に装着しない状態で、前記ガイド部と前記スライドシューとの係合を解除できる構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の電気機器の取付構造。
【請求項4】
前記上部タブの上端より上方に位置して、前記取付板にガード部を延設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気機器の取付構造。
【請求項5】
前記スライダと前記取付板とにより構成される前記レールの係合支持部とは別に、このレールに係合する係合部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気機器の取付構造。
【請求項6】
前記取付板より下方に突出して前記スライダに下部タブを設け、前記下部タブに工具差し込み用の穴を設けると共に、前記スライダの中心垂線に対称な湾曲面を前記穴の内面に形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気機器の取付構造。
【請求項7】
前記上部タブの上部を囲うように前記ガード部を設けて、前記上部タブの上部と前記ガード部との間に工具差し込み用の隙間を設けると共に、前記スライダの中心垂線に対称な湾曲面を、前記隙間を形成する前記上部タブ若しくはガード部の内面に形成したことを特徴とする請求項4記載の電気機器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−219040(P2008−219040A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114472(P2008−114472)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【分割の表示】特願2003−108266(P2003−108266)の分割
【原出願日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】