説明

電気機器の取付装置

【課題】ワンタッチで着脱可能な電気機器の取付装置を安価に提供する。
【解決手段】ハウジング本体10の側面に設けられた開口部14からV字状に折り曲げられた係止アーム20を内外に出没可能に回転可能に設け、係止アーム20の回転軌跡上に設けられたストッパ15で係止アーム20の回転を規制して、ハウジング本体10を被取付部位に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアセンサなどの電気機器を天井などの被取付部位に埋設するために用いられる電気機器の取付装置に関し、さらに詳しく言えば、ワンタッチで着脱可能な電気機器の取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアなどに用いられるドアセンサは、外観を目立たないようにドア近傍の天井などに埋設されている場合が多い。その埋設方法の一例として、例えば特許文献1には、天井に設けられた取付孔にスリーブ状のハウジング本体を差し込み、ネジ式の固定具によってハウジングを天井パネルに挟持したのち、ドアセンサを取り付ける方法が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ハウジング本体のほかに固定具を別途必要とするため、取付作業が面倒なばかりでなく、製作コストも高くなる。また、センサの交換などメンテナンス時においても、固定具のネジを回して外さなくてはならないため、面倒である。
【0004】
【特許文献1】実公昭57−21358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ワンタッチで着脱可能な電気機器の取付装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、天井などの被取付部位に開けられている取付孔内にはめ込まれるハウジング本体を備え、上記ハウジング本体を介して所定の電気機器を上記被取付部位に着脱可能に取り付ける電気機器の取付装置において、上記ハウジング本体は、上記取付孔の表側周縁に係合するフランジと、上記ハウジング本体の側面から出没可能であり、上記側面から突き出された状態で上記取付孔の裏側周縁に弾性的に当接する係止アームと、上記係止アームを上記側面から突き出された状態に保持するストッパとを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記係止アームは、所定の間隔をもって同軸的に配置された一対のコイルバネと、上記各コイルバネの外側端から引き出された一対の第1アームと、上記各コイルバネの内側端から門形状に引き出された第2アームとを含むほぼ側面視V字状に形成されたトーションバネからなり、上記第1アームの端部が上記ハウジング本体に回動可能に軸支され、上記第2アームが上記ハウジング本体の側面から出没可能であり、上記ストッパは上記第1アームの回動範囲内に設けられ、上記第2アームを出没させる際、上記第1アームが弾性変形しながら上記ストッパを乗り越えることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1において、上記ストッパの一部には、上記第1アームが乗り越えやすくするためのスロープが形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれか1項において、上記係止アームが、上記ハウジング本体の対向する部分に一対として設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれか1項において、上記ハウジング本体の上記係止アームと対向する部分には、上記開口部の端縁に係合する係止爪が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ハウジング本体に設けられた係止アームを回動させて被取付部位の裏面側に突出させることにより、フランジ部とともにハウジング本体をワンタッチで被取付部位に取り付けることができるばかりでなく、係止アームが動かないように確実にロックすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、係止アームがトーションバネで構成したことにより、係止アームが弾性変形しながらストッパを乗り越えることでより強固に固定できる。さらには、被取付部位の板厚に追従して係止アームを常に被取付部位に押圧することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、ストッパの一部にスロープが設けられていることにより、係止アームがスロープに沿って弾性変形するため、ストッパを乗り越えやすくなり、小さな力で係止アームをロック側に移動させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、係止アームを弾性変形可能なトーションバネで構成したことにより、被取付部位の厚さに応じて固定位置が任意に変更できるため、ハウジング本体をより確実に固定することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、係止アームに対向する部位に開口部の端縁に係合する係止爪を設けておくことにより、1つの係止アームでハウジング本体を被取付部位に係止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る電気機器の取付装置の斜視図であり、図2(a)〜(c)はその正面図,平面図および側面図で、図3は側面の一部を拡大した斜視図である。
【0017】
この取付装置1は、例えば合成樹脂の成型品からなるハウジング本体10を有し、全体が立体矩形状に形成されている。ハウジング本体10の底部には、開口部11が設けられており、この開口部11からハウジング本体10の内部に向かってセンサユニット30(図7参照)が着脱自在に挿入される。この例において、ハウジング本体10の上部中央は、センサの配線処理などを考慮して大きく凹まされているが、単なる箱状であってもよい。
【0018】
ハウジング本体10の底部の周縁には、例えば天井面Wに設けられた取付孔2にハウジング本体10を取り付ける際、ハウジング本体10が天井内に必要以上に潜り込まないようにするためのフランジ部12が設けられている。この例において、フランジ部12は、ハウジング本体10の底部周縁に全周に設けられているが、部分的に設けられていてもよい。
【0019】
ハウジング本体10の各側面には、係止アーム20を回動可能に支持する支持部13,13と、同係止アーム20をハウジング本体10の内側から外側に向かって往復的に移動させるための開口部14が設けられている。なお、ハウジング本体10の各側面の構成は同一であるため、ここでは図3に示されている右側の側面について説明する。
【0020】
支持部13は、ハウジング本体10の底部に対向的に一対に設けられており、係止アーム20の後述する回転軸24,24が挿通される図示しない軸受孔を備えている。開口部14は、図3に示すように、係止アーム20が支持部13,13を中心軸として内外に回動可能な大きさに開口されている。
【0021】
開口部14の内側面には、係止アーム20が外側から内側に戻らないようにするためのストッパ15,15が設けられている。ストッパ15は、ハウジング本体10の内側面から係止アーム20の回転軌跡内に向けて突設されたリブであり、互いに対向的に配置されている。
【0022】
ストッパ15,15は、中央から下側に向かうについて、その高さが暫時減少するように形成されていることが好ましい。これによれば、係止アーム20を内側から外側に押し倒す際に、ストッパ15,15の上を係止アーム20が乗り越えやすくなる。なお、ストッパ15は、中央から上方と下方とに向かって漸次高さが減少するように形成されているが、中央から両方に向かって高さを減らす、いわゆる山型状であってもよい。
【0023】
次に、係止アーム20,20の構成について説明するが、各係止アーム20,20はともに同一構成であるため、以下においては、いずれか一方のみを例に挙げて説明する。係止アーム20は、図4(a)および(b)に示すように、1本の金属線材を屈曲して形成された、いわゆるトーションバネからなる。
【0024】
係止アーム20は、所定の間隔をもって同軸的に配置された一対のコイルバネ23,23と、各コイルバネ23,23の外側端から引き出された一対の第1アーム21,21と、各コイルバネ23,23の内側端から門形状に引き出された第2アーム22,22とを含むトーションバネからなり、全体が側面側から見てほぼV字状に形成されている。第1アーム21,21の先端はほぼ垂直に折り曲げられており、上述した支持部13,13に挿入される回転軸24,24が一体に形成されている。
【0025】
この例において、トーションバネのコイルバネ23の巻回方向はハウジング本体10内部のスペースを考慮して、ハウジング本体10の外側から内側に向かって巻回されているが、逆巻きであってもよい。
【0026】
この例において、第1係止アーム21と第2係止アーム22は、その折曲角度θ1がθ1(=45°)であり、天井壁の厚みが比較的厚いタイプに用いられるが、図4(c)に示すように、天井壁の厚さが比較的薄いタイプには、より折曲角度を狭くした(この例では、θ2=15°)係止アーム20を用いてもよい。
【0027】
次に図5(a),(b)を参照して、係止アーム20の取付方法を説明する。まず、図5(a)に示すように、係止アーム20の第1係止アーム21の両端を外側に押し拡げ、各回転軸24,24をハウジング本10の支持部13,13の軸受孔に差し込む。これにより、係止アーム20が支持部13,13を中心に回動可能に支持される。
【0028】
次に、図5(b)に示すように、係止アーム20を開口部14からハウジング本体10の内側に押し倒すが、このとき、係止アーム20の回動軌跡上にはストッパ15,15が突設されているため、係止アーム20を内側に回転させると、第1係止アーム2がストッパ15,15に当接して回転が規制される。
【0029】
さらに強引に押し込んでゆくと、第1係止アーム21は、ストッパ15,15のスロープ15a,15aに沿って内側に弾性変形されることにより、ストッパ15,15を乗り越えてハウジング本体10の内側に落とし込まれる。以上により、ハウジング本体10の取付作業の前準備が完了する。
【0030】
この状態でハウジング本体10を天井に設けられた取付孔2に取り付ける。まず、図1に示すように、ハウジング本体10を取付孔2に沿って差し込んでゆき、フランジ部12が天井面に当接する位置まで差し込む。
【0031】
この状態でハウジング本体10の開口部11から手を差し込み、係止アーム20を外側に押し出す。これにより、係止アーム20は再び外側に向かって回転し始め、図6(a)に示すように、第1係止アーム21が、一旦ストッパ15に当接するもそのままスロープ15aに沿って強制的に押し出すことにより、図6(b)に示すように、第2係止アーム22がストッパ15,15を乗り越えて、外側に突出される。
【0032】
同様の手順にて他方の係止アーム20を押し出すことにより、第2係止アーム22が外側に突出した状態となり、コイルバネ23によって第2係止アーム22が弾性的に天井壁を押圧することで、ハウジング本体10が固定される。
【0033】
最後に、図7に示すように、ハウジング本体10の開口部11からセンサユニット30を差し込み、図示しないロック手段を介してセンサユニット30を固定することで、一連の取付工程が終了する。
【0034】
また、メンテナンスなどでハウジング本体10を取り外すに当たっては、図8に示すように、底部の開口部11側から例えばドライバのような棒状の器具40を第1係止アーム21と第2係止アーム22との間に差し込み、第1アーム22を反ストッパ15側にねじ込みながら引き寄せ、ストッパ15を乗り越えて係止アーム20をハウジング本体20の内側に倒し込めばよい。
【0035】
この例において、ハウジング本体10は、合成樹脂製であるが、例えばステンレスなどの金属製筐体であってもよい。また、本発明において、ハウジング本体10は天井面に取り付ける一例について説明したが、これ以外に例えば側壁面などに設けられた取付孔に適用してもよい。
【0036】
また、係止アーム20は左右一対に設けられてなくてもよい。すなわち、図9に示すように、一方の側面に係止爪50を設け、まず係止爪50を取付孔2の周縁に引っ掛けたのち、他方の側面を取付孔2に挿入して、その係止アーム20でロックしてもよい。なお、係止爪50とフランジ12の間の距離は被取付部の厚みに応じて可変にするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の電子機器の取付装置は、自動ドアのドアセンサの取付装置に用いられるが、これ以外に、各種照明装置やスイッチ類などの取付装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気機器の取付装置の斜視図。
【図2】(a):上記取付装置の正面図,(b)平面図および(c)側面図。
【図3】上記取付装置の側面側を拡大した斜視図。
【図4】(a)係止アームの正面図,(b)係止アームの側面図および(c)係止アームの変形例を示す側面図。
【図5】(a)係止アームの取付手順を説明する第1の説明図,(b)係止アームの取付手順を説明する第2の説明図。
【図6】(a)係止アームがストッパを乗り越える状態を示す模式図,(b)係止アームがストッパを乗り越えた状態を示す模式図。
【図7】ハウジング本体にセンサユニットを差し込む状態を示す斜視図。
【図8】ハウジング本体の取り外し手順を説明する模式図。
【図9】ハウジング本体に係止爪を取り付けた状態の模式図。
【符号の説明】
【0039】
1 取付装置
2 取付孔
10 ハウジング本体
11 底部開口部
12 フランジ部
13 支持部
14 開口部
15 ストッパ
20 係止アーム
21 第1係止アーム
22 第2係止アーム
23 コイルバネ
30 センサユニット
50 係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井などの被取付部位に開けられている取付孔内にはめ込まれるハウジング本体を備え、上記ハウジング本体を介して所定の電気機器を上記被取付部位に着脱可能に取り付ける電気機器の取付装置において、
上記ハウジング本体は、上記取付孔の表側周縁に係合するフランジと、上記ハウジング本体の側面から出没可能であり、上記側面から突き出された状態で上記取付孔の裏側周縁に弾性的に当接する係止アームと、上記係止アームを上記側面から突き出された状態に保持するストッパとを備えていることを特徴とする電気機器の取付装置。
【請求項2】
上記係止アームは、所定の間隔をもって同軸的に配置された一対のコイルバネと、上記各コイルバネの外側端から引き出された一対の第1アームと、上記各コイルバネの内側端から門形状に引き出された第2アームとを含むほぼ側面視V字状に形成されたトーションバネからなり、上記第1アームの端部が上記ハウジング本体に回動可能に軸支され、上記第2アームが上記ハウジング本体の側面から出没可能であり、上記ストッパは上記第1アームの回動範囲内に設けられ、上記第2アームを出没させる際、上記第1アームが弾性変形しながら上記ストッパを乗り越えることを特徴とする請求項1に記載の電気機器の取付装置。
【請求項3】
上記ストッパの一部には、上記第1アームが乗り越えやすくするためのスロープが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電気機器の取付装置。
【請求項4】
上記係止アームが、上記ハウジング本体の対向する部分に一対として設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気機器の取付装置。
【請求項5】
上記ハウジング本体の上記係止アームと対向する部分には、上記開口部の端縁に係合する係止爪が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気機器の取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−214445(P2007−214445A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33964(P2006−33964)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(390002668)株式会社本田電子技研 (13)
【Fターム(参考)】