説明

電気機器の外箱錆補修工法

【課題】 作業者の熟練度に依ることなく、錆部分の状態に応じた補修方法を選定できることで、補修を確実に行いつつ、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能な電気機器の外箱錆補修工法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明にかかる電気機器の外箱錆補修工法の構成は、錆部分を、錆の進行状態に応じて、点錆と、面錆と、膨錆と、穴錆とに分別したとき、錆部分が、外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた点錆または面錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた膨錆または穴錆である場合には、錆を除去せずに補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた点錆、面錆または膨錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた穴錆である場合には、錆を除去せずに補修することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の外箱に生じた錆部分を補修するための電気機器の外箱錆補修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気事業者の配電設備から供給される電力は、配電系統を通じて需要家に送電されている。配電系統には、変圧器や自動電圧調整器(SVRとも称される。)などの配電用変電設備等や、短絡や地絡といった事故時に高圧配電線による送電を停止(停電)するための開閉器や遮断器等、多数の設備が接続されている。以下、本願では上記の設備を総称して電気機器と称する。
【0003】
電気機器は、これを防護するための外箱に収容され、外箱内に絶縁材が封入される。絶縁材としては、シリコン油等の絶縁油、エポキシ樹脂等の合成樹脂モールド、SF(六フッ化硫黄)等のガス等が広く用いられている。
【0004】
上記の外箱は、錆等の発生による損傷を防止するために、外面に防食塗料等によるコーティングが施されている。これにより、ある程度の期間は外箱に錆等による損傷が生じることはなく、外箱内の密閉状態が維持される。しかし、屋外等、長期間風雨に曝されるような厳しい環境下に設置されると、外箱には次第に錆が生じ始める。
【0005】
錆が生じ始めると、その部分(錆が生じた部分。以下、錆部分と称する。)は金属が徐々に疎な状態となる。すると、錆部分から外箱内部に雨水等が侵入し、電気機器が機能不全に陥るおそれがある。特に絶縁材として絶縁油が用いられる油入電気機器では、絶縁油の劣化や漏出による電気機器の絶縁性能の低下を招くおそれもある。したがって、外箱に錆が発生したら、電気機器を交換するか、錆部分の補修を行う必要がある。
【0006】
しかし、電気機器の交換は、そもそも本体が高額な機器であるうえ、大掛かりな作業になるため莫大なコストと時間を要する。このため、できる限り錆部分の補修にて対処することが望まれている。
【0007】
錆部分の補修方法としては、例えば特許文献1に、表面清浄工程において、錆の出た鉄鋼材料の表面をケレン処理(塗装を剥離する処理)して清浄した後に、下地被膜処理液等の塗布と、これの乾燥を交互に繰り返す鉄鋼材料の補修塗装施行方法が開示されている。これによれば、錆の出た鉄鋼材料を現場で補修塗装する際に、補修材と鉄鋼材料との密着性を高めつつ、防食性および耐薬品性を向上させることができ、且つ工事期間を短縮できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3659822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の方法のように、錆部分の補修は、一般的に錆部分をケレン処理した後に補修材の塗布等の処置が行われる。しかし、錆部分の状態は侵食度合いによって異なるため、かかる方法にてすべての錆部分に対処することは難しい。
【0010】
例えば、錆部分に、錆の著しい進行により生じた穴(錆穴)がある状態において、特許文献1のように錆部分のケレンを行うと、錆により脆くなった金属が崩れて穴が拡大してしまい、補修が困難になるおそれがある。また、錆部分がピンホール状の微小な錆である、すなわち極めて軽度な錆部分においてまで上記方法を用いることは、過剰な処理であり、これにより、コストの増大および作業時間の長時間化を招いてしまう。
【0011】
しかしながら、余程熟練した作業者でなければ、補修作業の現場において錆部分の状態に応じて補修方法を選定することが難しいという問題点があった。したがって、現状においては、錆部分の状態に拘わらず同一の補修方法を用いざるを得ず、補修作業が非効率的ものとなっていた。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑み、作業者の熟練度に依ることなく、錆部分の状態に応じた補修方法を選定できることで、補修を確実に行いつつ、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能な電気機器の外箱錆補修工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電気機器の外箱錆補修工法の代表的な構成は、電気機器の外箱に生じた錆部分を補修する電気機器の外箱錆補修工法であって、錆部分を、進行状態に応じて、略平坦であり且つ散点的に発生した点状の錆である点錆と、略平坦であり且つ隣接する点錆同士が連続した面状の錆である面錆と、凸状の膨れを有する膨錆と、外箱を貫通する穴を有する穴錆とに分別したとき、錆部分が、外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた点錆または面錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた膨錆または穴錆である場合には、錆を除去せずに補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた点錆、面錆または膨錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた穴錆である場合には、錆を除去せずに補修することを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、錆部分の状態、および外箱の錆(錆部分)が生じた部位の厚みにより、補修方法を容易に選定することが可能となる。したがって、作業者が熟練者でない場合であっても、錆部分の状態に応じて適切な補修を確実に行うことができる。これにより、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能となる。
【0015】
詳細には、錆部分が、侵食が極めて軽度な点錆、または軽度な面錆である場合、錆は外箱の厚み方向の奥深くまで進行していない。このため、錆の除去を行ったとしても、錆部分の崩れによる錆穴が生じることがない。したがって、錆部分が点錆および面錆であった場合には、外箱の厚みに拘わらず、錆を除去した後に補修を行う。これにより、補修効果を高めることが可能となる。
【0016】
また錆部分が、侵食が中度の膨錆であった場合、外箱の厚みによっては、錆の除去を行うことで錆部分が崩れ、膨錆が穴錆になってしまうおそれがある。したがって、膨錆が生じた外箱の厚みが所定値未満、すなわち厚みが薄い場合には、錆の除去を行わずに補修をすることで、錆部分を更に損傷させることなく補修を行うことが可能となる。一方、外箱の厚みが所定値以上、すなわち厚みが厚い場合には、錆の除去を行ったとしても膨錆が穴錆になりにくいため、錆を除去した後に補修を行う。これにより、補修効果を高めることが可能となる。
【0017】
更に錆部分が、侵食が重度の穴錆であった場合、錆の除去を行うと、穴(錆穴)の拡大を招くおそれがある。したがって、錆部分が穴錆であった場合には、外箱の厚みに拘わらず、錆を除去せずに補修を行う。これにより、穴錆周辺部分を更に損傷することなく適切に補修することが可能となる。
【0018】
上記の点錆の補修は、防食性を有するコーティング剤の塗布であるとよい。上述したように点錆は極めて軽度の錆である。したがって、コーティング材を塗布するだけで、点錆上に十分な膜厚の皮膜を作ることができ、これを確実に補修することが可能となる。
【0019】
上記の面錆の補修は、面錆が外箱の厚みが所定値未満である部位に生じたものである場合には、光硬化型の補修剤の塗布であり、面錆が外箱の厚みが所定値以上である部位に生じたものである場合には、コーティング剤の塗布であるとよい。
【0020】
上記構成のように、面錆の場合、それが生じた部位の厚みに応じて適した補修材料を用いることで、作業効率を向上し、且つより確実な補修効果を得ることが可能となる。詳細には、面錆が生じた部位の厚みが所定値以上である場合には、錆による侵食は外箱の表面部分となる。このため、コーティング剤の塗布により十分な補修を行いつつ、作業時間の短縮による効率向上が可能である。これに対し、面錆が生じた部位の厚みが所定値未満である場合には、錆による侵食の厚みに対する比率が大きい可能性がある。したがって、かかる場合には、コーティング剤よりも膜厚を厚くすることができる光硬化型の補修剤を用いることで、錆部分をより確実に保護することができる。
【0021】
上記の膨錆の補修は、膨錆が外箱の厚みが所定値未満である部位に生じたものである場合には、ゲル状の漏油防止剤の塗布であり、膨錆が外箱の厚みが所定値以上である部位に生じたものである場合には、光硬化型の補修剤の塗布であるとよい。
【0022】
上記構成のように、膨錆の場合においても、それが生じた部位の厚みに応じて適した補修材料を用いることで、より確実な補修効果を得ることが可能となる。詳細には、膨錆が生じた部位の厚みが所定値以上である場合には、光硬化型の補修剤を用いることで、紫外線照射により硬化時間を早め、作業時間の短縮、ひいては作業効率の向上を図ることができる。また膨錆が生じた部位の厚みが所定値未満である場合には、ゲル状の漏油防止剤を用いることにより、膨錆上に厚い皮膜を形成し、補修効果を高めることが可能となる。
【0023】
上記の穴錆の補修は、接着性を有する粘土状の封止剤の押付、およびゲル状の漏油防止剤の塗布であるとよい。
【0024】
上記構成によれば、粘土状の封止剤を押し付けることで、穴錆の穴を封止することができる。そして、かかる封止剤を覆うように漏油防止剤を塗布することで、漏油防止剤による耐油性の高い皮膜を封止剤上に形成することが可能となる。特に、当該電気機器が油入電気機器であり、それに生じた穴錆の穴部分から漏油がある場合には、漏油を好適に止めることが可能となる。
【0025】
上記のコーティング剤は、エポキシ樹脂系防食塗装剤であるとよい。様々な種類の防食塗装剤の中でも、エポキシ樹脂系防食塗装剤は、耐熱性、電気絶縁性等の物理的性質が優れているため好適である。
【0026】
上記の光硬化型の補修剤は、ビニルエステル樹脂系防食塗装剤であるとよい。ビニルエステル樹脂系防食塗装剤は、エポキシ樹脂系防食塗装剤とほぼ同等の強度および耐薬品性を有し、且つエポキシ樹脂よりも優れた作業性を有する。したがって、かかる構成により作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0027】
上記の漏油防止剤は、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系シーリング剤であるとよい。また上記の封止剤は、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系接着剤であるとよい。
【0028】
エポキシ樹脂系材料は高い防食性を有するため、当該工法に好適に用いることができる。特に、上記構成のように2剤混合型のエポキシ樹脂系接着剤およびシーリング剤は、1剤のみで構成されるエポキシ樹脂よりも高い性能を有し、且つ常温硬化するため、加熱作業等を行う必要がなく、簡便に用いることが可能である。
【0029】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電気機器の外箱錆補修工法の他の構成は、電気機器の外箱に生じた錆部分を補修する電気機器の外箱錆補修工法であって、錆部分を、錆の進行状態に応じて、略平坦であり且つ散点的に発生した点状の錆である点錆と、略平坦であり且つ隣接する点錆同士が連続した面状の錆である面錆と、凸状の膨れを有する膨錆と、外箱を貫通する穴を有する穴錆とに分別したとき、錆部分が、外箱に設けられた放熱用のフィンに生じた点錆または面錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、フィンに生じた膨錆または穴錆である場合には、錆を除去せずに補修し、錆部分が、フィン以外の部位に生じた点錆、面錆または膨錆である場合には、錆を除去した後に補修し、錆部分が、フィン以外の部位に生じた穴錆である場合には、錆を除去せずに補修することを特徴とする。
【0030】
電気機器の外箱には放熱用のフィンが設けられており、かかるフィンの厚みは他の部位よりも著しく薄い。したがって、上記構成によれば、錆部分の状態、および外箱の錆(錆部分)が生じた部位がフィンであるか否かにより、補修方法を容易に選定することでき、上記と同様の利点を得ることができる。また、外箱の部位を補修方法の選定に用いることで、部位の厚みを用いるよりも簡便に補修方法を選定することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、作業者の熟練度に依ることなく、錆部分の状態に応じた補修方法を選定できることで、補修を確実に行いつつ、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能な電気機器の外箱錆補修工法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法を適用する電気機器を示す図である。
【図2】錆部分の状態を例示する図である。
【図3】本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法の流れを示したフローチャートである。
【図4】補修1の作業の詳細を示す図である。
【図5】補修2の作業の詳細を示す図である。
【図6】補修3の作業の詳細を示す図である。
【図7】補修4の手順の流れを示したフローチャートである。
【図8】漏油確認の詳細を示す図である。
【図9】補修4の作業時のSVRの外箱の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0034】
図1は、本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法を適用する電気機器を示す図である。配電系統には、開閉器および遮断器、変圧器等の多数の電気機器が接続されている。図1では、かかる電気機器の例として、自動電圧調整器100(SVR:Step Voltage Regulator、以下、SVR100と称する)を例示している。SVR100は、柱上変圧器の一種であり、電気事業者の配電設備(図示せず)から供給される電気の電圧が、配電系統を通じて需要家に送電される間に低下してしまった場合に、かかる電圧を再度上昇させる。図1に示すように、SVR100は、複数の電柱102間に橋架された設置台104上に設置される。
【0035】
SVR100は、外箱100aに立設された放熱用のフィン100cを有する。これにより、外箱100a内の熱を外気に効率的に放出することができる。かかるフィン100cは外箱100aの他の部位よりも厚みが薄い。このため、フィン100cに錆(錆部分100d)が生じた場合、外箱100aの他の部位に生じた錆部分100bと同様に補修作業を行うと、状態によっては錆部分の拡大を招くおそれがある。しかし、余程熟練した作業者でなければ、補修作業の現場において錆部分の状態に応じて補修方法を選定することが難しく、現状では、錆部分の状態に拘わらず同一の補修方法を用いているため、補修作業が非効率的ものとなっていた。
【0036】
そこで、本発明は、作業者の熟練度に依ることなく、錆部分の状態(侵食度合い)に応じた補修方法を選定できることで、補修を確実に行いつつ、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能な電気機器の外箱錆補修工法を提供することを目的とする。以下、本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法(以下、補修工法と称する。)について詳述する。
【0037】
図2は、錆部分の状態を例示する図である。図2(a)は点錆を、図2(b)は面錆を、図2(c)は膨錆を示している。図2(a)に示すように、点錆は、錆部分が略平坦であり、且つ点状(ピンホール状)の錆が散点的に発生した状態である。このような点錆は、錆による外箱100aの侵食が極めて軽度である。図2(b)に示すように、面錆は、錆部分が略平坦であり、且つ隣接する該点錆同士が連続した面状の錆である面状の錆であって、点錆が進行して隣接する錆同士が連続した状態である。このような面錆は、錆による外箱100aの侵食が軽度である。
【0038】
また図2(c)に示すように、膨錆は面錆が内部に進行し、錆部分が凸状の膨れを有した状態である。このような膨錆は、金属内部に錆が進行しており、その発生部位によっては、錆の除去を行うことで金属が崩れ、穴が生じるおそれがある。なお、図2には示していないが、穴錆は、膨錆(図2(c)参照)から錆が更に進行し、外箱100aを貫通する穴(錆穴)が生じた状態である。
【0039】
図3は、本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法の流れを示したフローチャートである。なお、理解を容易にするために、以下の説明では図1に示す外箱100aのフィン100c以外の部位の厚みを所定値とし、フィン100cは、外箱100aの他の部位よりも薄い、すなわちその厚みは所定値未満であるとする。本実施形態では、錆の侵食度合いと錆の発生箇所(発生部位)に従って補修方法(補修1〜補修4)を選択する。
【0040】
当該補修工法では、まず、錆が生じた部位がフィン100cであるか否かを確認する(S202)。錆が生じた部位がフィン100cであった場合、すなわち錆部分100d(図1参照)であった場合(S202のYES)、かかる錆部分100dが点錆または面錆であるか否かを確認する(S204)。
【0041】
錆部分100dが点錆または面錆であった場合(S204のYES)、かかる錆部分100dが点錆であるか否かを判断する(S206)。点錆であった場合(S206のYES)、後述する補修1の手順にしたがって点錆(錆部分100d)の補修作業を行う(S208)。点錆でなかった場合(S206のNO)、すなわち面錆であった場合、後述する補修2の手順にしたがって面錆(錆部分100d)の補修作業を行う(S210)。
【0042】
錆部分100dが点錆または面錆でなかった場合(S204のNO)、かかる錆部分100dが膨錆であるか否かを判断する(S212)。膨錆であった場合(S212のYES)、後述する補修3の手順にしたがって膨錆(錆部分100d)の補修作業を行う(S214)。膨錆でなかった場合(S212のNO)、すなわち穴錆であった場合、後述する補修4の手順にしたがって穴錆(錆部分100d)の補修作業を行う(S216)。
【0043】
錆が生じた部位がフィン100c以外の部位であった場合、すなわち錆部分100b(図1参照)であった場合(S202のNO)、かかる錆部分100bが穴錆であるか否かを確認する(S218)。錆部分100bが穴錆であった場合(S218のYES)、後述する補修4の手順にしたがって穴錆(錆部分100b)の補修作業を行う(S216)。錆部分100bが穴錆でなかった場合(S218のNO)、錆部分100bが膨錆であるか否かを判断する(S220)。
【0044】
錆部分100bが膨錆でなかった場合(S220のNO)、すなわち点錆または面錆であった場合、後述する補修1の手順にしたがって点錆または面錆(錆部分100b)の補修を行う(S208)。錆部分100bが膨錆であった場合(S220のYES)、後述する補修2の手順にしたがって膨錆(錆部分100b)の補修を行う(S210)。
【0045】
図4は、補修1の作業の詳細を示す図である。図4(a)は補修1の手順の流れを示したフローチャートである。図4(b)〜(e)は、補修1の作業時のSVR100の外箱100aの状態を示す図である。なお、図4(b)〜(e)では、外箱100aのフィン100cに生じた点錆である錆部分100dを例示しているが、これに限定するものではない。
【0046】
上述したように、錆部分が、フィン100cに生じた点錆である場合(S206のYES)、およびフィン100c以外の部位に生じた点錆または面錆であった場合(S220のNO)、補修1の手順にしたがって、錆部分の補修を行う(S208)。
【0047】
補修1の作業では、防食性を有する液状のコーティング剤110を用いる。これにより、錆部分上に十分な膜厚の皮膜を作ることができる。したがって、錆部分を確実に補修しつつ、作業時間の短縮による効率向上が可能である。コーティング剤110としては防食性のある塗装剤を好適に用いることができ、本実施形態においては、上記のコーティング剤110としてエポキシ樹脂系防食塗装剤を用いる。これにより、他の樹脂からなる防食塗装剤を用いた場合よりも高い耐熱性、電気絶縁性等の物理的性質を得ることが可能となる。なおコーティング剤110は、刷毛塗りよりもスプレー式であることが好ましい。広面積に均一かつ迅速に塗布できるためである。
【0048】
補修1の作業では、まず、図4(b)に示す外箱100a(フィン100c)の錆部分100dを研磨し、錆を除去する(S230)。このとき、錆部分100dだけでなくその周辺も研磨されるため、錆部分100dの周辺の塗装100eも剥離される(いわゆるケレン作業)。これにより、図4(c)に示す状態となる。その後、錆部分100dおよびその周辺をアセトンや洗浄剤を用いて洗浄する(S232)。
【0049】
次に、コーティング剤110を錆部分100dおよびその周辺に塗布する(S234)。これにより、図4(d)に示す状態となる。そして、所定時間経過後、コーティング剤110を錆部分100dおよびその周辺に再度塗布する(S236)と、図4(e)に示す状態となり、補修1の手順が終了する。なお、本実施形態においては、コーティング剤110を2回塗布しているが、これに限定するものではなく、1回目の塗布(S234)で十分に補修可能であれば2回目の塗布(S236)を行う必要はない。
【0050】
図5は補修2の作業の詳細を示す図である。図5(a)は補修2の手順の流れを示したフローチャートである。図5(b)〜(e)は、補修2の作業時のSVR100の外箱100aの状態を示す図である。なお、図5(b)〜(e)では、外箱のフィン100cに生じた面錆である錆部分100dを例示しているが、これに限定するものではない。
【0051】
上述したように、錆部分が、フィン100cに生じた面錆である場合(S206のNO)、およびフィン100c以外の部位に生じた膨錆であった場合(S220のYES)、補修2の手順にしたがって、錆部分の補修を行う(S210)。
【0052】
補修2の作業では、光硬化型の補修剤120を用いる。これにより、錆部分上に補修剤120からなる厚い皮膜を形成されるため、錆部分をより確実に保護することができる。また補修剤120が光硬化型であることで、紫外線照射により硬化時間を早め、作業時間の短縮、ひいては作業効率の向上を図ることが可能となる。光硬化型の補修材120としては防食性のある塗装剤を好適に用いることができ、本実施形態においては、補修剤120としてビニルエステル樹脂系防食塗装剤を用いる。これにより、エポキシ樹脂系防食塗装剤とほぼ同等の強度および耐薬品性を確保しつつ、エポキシ樹脂よりも優れた作業性を得ることができ、更なる作業効率の向上を図れる。なお光硬化型の補修剤120は上記のコーティング剤110と比較すると、施工後の被膜厚さが飛躍的に厚い点において異なっている。
【0053】
補修2の作業では、まず、図5(b)に示す外箱100a(フィン100c)の錆部分100dを研磨し、錆を除去する(S240)。このとき、補修1の錆の除去と同様に、錆部分100d周辺の塗装100eも剥離される。これにより、図5(c)に示す状態となる。その後、錆部分100dおよびその周辺をアセトンや洗浄剤を用いて洗浄する(S242)。
【0054】
次に、補修剤120を錆部分100dおよびその周辺に塗布する(S244)。これにより、図5(d)に示す状態となる。そして、紫外線投光器(図示せず)等を用いて補修剤120塗布部分に紫外線を照射する(S246)。所定時間紫外線を照射した後に、補修剤120を錆部分100dおよびその周辺に再度塗布する(S248)と、図5(e)に示す状態となり、補修2の手順が終了する。
【0055】
なお、本実施形態においては、補修剤120を2回塗布したが、これに限定するものではなく、1回目の塗布で補修可能であれば、2回目の塗布を行う必要はない。また本実施形態では、補修剤120の硬化速度を速めるために紫外線照射を行ったが、必ずしもこれを行う必要はない。また、ゲル状の補修剤120を塗布することを想定して図示したが、シート状の光硬化型補修剤を用いてもよい。
【0056】
図6は補修3の作業の詳細を示す図である。図6(a)は補修3の手順の流れを示したフローチャートである。図6(b)〜(e)は、補修3の作業時のSVR100の外箱100aの状態を示す図である。上述したように、錆部分が、外箱100aのフィン100cに生じた膨錆である場合(S212のYES)、補修3の手順にしたがって錆部分100dの補修を行う(S214)。
【0057】
補修3の作業では、耐油性を有するゲル状の漏油防止剤130を用いる。これにより、液体状の漏油防止剤を用いる場合よりも塗布量を増加させ、硬化後の皮膜の厚みを厚くすることができる。したがって、錆部分100d上に厚い皮膜を形成し、補修効果を高めることが可能となる。
【0058】
漏油防止剤130としては、塗布時にゲル状となるシーリング剤を好適に用いることができる。シーリング剤としては、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコン樹脂系など様々な種類があるが、なかでもエポキシ樹脂系シーリング剤を用いることが好ましく、本実施形態においては、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系シーリング剤を用いる。これにより、1剤のみで構成されるエポキシ樹脂を用いる場合よりも高い性能を得ることができ、且つ漏油防止剤130を加熱作業等を行うことなく常温で硬化させることが可能となる。
【0059】
また本実施形態においては、漏油防止剤130に加えて上述したコーティング剤110を用いる。これにより、後述する研磨により塗装を剥離された錆部分100dの周辺のうち、漏油防止剤130で覆われていない部分があったとしても、コーティング剤110によって表面に皮膜を形成し、以後の錆の再発を防止することができる。
【0060】
補修3の作業では、まず、図6(b)に示す外箱100a(フィン100c)の錆部分100dの周囲を研磨して周囲の塗装100eを剥離する(S250)。このとき、錆部分100dそのものに対して剥離作業を施してしまうと、錆部分100dに穴が生じるおそれがある。このため、かかる研磨では、図6(c)に示すように、錆部分100dを避けてその周囲のみの塗装100e(塗料)表面を荒らす程度に軽く剥離する作業を行う。これにより、外箱100aの表面の汚れ(土ぼこりや油)を除去し、錆部分100dの周囲の面と漏油防止剤130との密着性を向上することができる。その後、錆部分100dの周囲をアセトンや洗浄剤を用いて洗浄する(S252)。
【0061】
次に、漏油防止剤130の主剤と硬化剤を混合し(S254)、かかる漏油防止剤130をゲル状にする。なお、漏油防止剤130の可使時間を踏まえると、主剤と硬化剤の混合は本実施形態のように漏油防止剤130を用いる直前に行うことが好ましいが、これに限定するものではない。したがって、漏油防止剤130の混合(S254)は、塗装剥離(S250)の前に行ってもよいし、洗浄(S252)の前に行ってもよい。
【0062】
上記の混合した漏油防止剤130を、錆部分100dおよびその周辺を覆うように塗布する。これにより、図6(d)に示す状態となる。そして、塗布後所定時間が経過したら、漏油防止剤130の硬化を確認する(S258)。なお、ここでの硬化とは必ずしも完全硬化を意味するものではなく、指触乾燥、所謂タックフリーな状態も、表面が硬化したという意味でかかる硬化に含まれる。
【0063】
漏油防止剤130が硬化していない場合(S258のNO)、更に時間が経過した後に再度硬化を確認する(S258)。漏油防止剤130が硬化していた場合(S258のYES)、コーティング剤110を漏油防止剤130上およびその周囲に塗布する(S260)。これにより、図6(e)に示す状態となり、補修3の手順が終了する。
【0064】
図7は、補修4の手順の流れを示したフローチャートである。図8は、漏油確認の詳細を示す図である。図9は、補修4の作業時のSVR100の外箱100aの状態を示す図である。なお、図8および9では、外箱100aのフィン100cに生じた穴錆である錆部分100dを例示しているが、これに限定するものではない。また、後述する漏油検査剤150は無色であるが、理解を容易にするために、図8中ではハッチングで示している。
【0065】
上述したように、錆部分が穴錆であった場合(S212のNO、S218のYES)、発生部位に拘わらず、補修4の手順にしたがって、錆部分の補修を行う(S216)。
【0066】
補修4の作業では、接着性を有する粘土状の封止剤140と、上述した漏油防止剤130、およびコーティング剤110を用いる。本実施形態のように粘土状の封止剤140を用いることにより、封止剤140を錆部分100dおよびその周囲に押し付けて硬化させ、穴錆が有する穴100f(錆穴)を好適に封止することが可能となる。そして、かかる封止剤140上に漏油防止剤130を塗布することで、耐油性の高い皮膜を封止剤140上に形成することができる。特に、電気機器(SVR100)が油入電気機器であり、それに生じた穴錆の穴100fから漏油がある場合には、漏油を好適に止めることが可能となる。
【0067】
封止剤140としては、押付時に粘土状であって速乾性(速硬性)の接着剤を好適に用いることができる。接着剤としては、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系など様々な種類があるが、なかでも高い防食性を有するエポキシ樹脂系接着剤を用いることが好ましい。特に、本実施形態においては、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系接着剤を用いる。これにより、上記と同様の利点を得ることができる。なお、コーティング剤110および漏油防止剤130については、既に詳述したため説明を省略する。
【0068】
また本実施形態では、上述した封止剤140、漏油防止剤130およびコーティング剤110に加え、漏油検査剤150を用いて、錆部分(穴100f)からの漏油の有無を確認する。これにより、錆部分から絶縁油が漏れているか否かを正確に判断することが可能となる。漏油検査剤150としては、絶縁油と反応して変色するものや、紫外線照射により蛍光を発する等、錆部分から絶縁油が漏れていた場合に作業者が視認可能な変化を示すものを用いることが好ましい。これにより、より正確に且つ迅速に漏油を確認することが可能となる。なお、本実施形態においては、絶縁油と反応して変色する漏油検査剤150を用いる。
【0069】
補修4の作業では、まずSVR100(電気機器)が油入電気機器であるか否かを確認する(S270)。油入電気機器でなかった場合(S270のNO)、次の手順(S276)に進む。油入電気機器であった場合(S270のYES)、漏油の有無を確認するために、錆部分100dに漏油検査剤150を塗布する(S272)。
【0070】
詳細には、図8(a)に示す外箱100aの錆部分100dに漏油検査剤150を塗布すると(S272)、図8(b)に示す状態となる。そして、漏油防止剤130の変色の有無により錆部分100bからの漏油の有無を確認する(S274)。図8(b)に示す状態から変化しない場合、すなわち漏油検査剤150が変色しない場合、絶縁油の漏油がない(錆部分100bからの漏油が検知されない)。図8(b)に示す状態から図8(c)に示すように漏油検査剤150が変色した場合、絶縁油の漏れがある(錆部分100bからの漏油が検知される)。これにより、穴の位置と規模を確認することができる。
【0071】
次に、図9(a)に示す錆部分100dの周囲を研磨して周囲の塗装100eを剥離する(S276)。このとき、錆部分100dそのものに対して剥離作業を施してしまうと、錆部分100dの穴を拡大させてしまうおそれがある。そのため、かかる研磨においても補修3の研磨(S250)と同様に、錆部分100dの周囲の塗装100e表面を荒らす程度に軽く剥離する作業を行う。これにより、図9(b)に示す状態となり、補修3の研磨(S250)と同様の効果を得ることできる。その後、錆部分100dの周囲をアセトンや洗浄剤を用いて洗浄する(S278)。
【0072】
そして、封止剤140の主剤と硬化剤を混合し(S280)、かかる封止剤140を粘土状にする。なお、補修3における漏油防止剤130の混合(S254)と同様に、封止剤140の混合も、塗装剥離(S276)の前に行ってもよいし、洗浄(S278)の前に行ってもよい。
【0073】
上記の混合した封止剤140を、錆部分100dを覆うように、錆部分100bおよびその周辺に押し付ける(S282)。これにより、図9(c)に示す状態となる。そして、押付を所定時間維持した後に、封止剤140の硬化を確認する(S284)。なお、上述した漏油防止剤130の硬化判断と同様に、封止剤140においても、指触乾燥を基準として硬化を判断してもよい。
【0074】
封止剤140が硬化していない場合(S284のNO)、押付を更に維持した後に、再度硬化を確認する(S284)。封止剤140が硬化していた場合(S284のYES)、封止剤140の周囲を研磨して周囲の塗装を剥離する(S286)。このときの剥離作業は、封止剤140周囲の塗装を完全に除去し、外箱100aの地金が露出するまで行う。これにより、図9(d)に示すように、封止剤140の周囲は、外箱100aの金属部分が露出した状態となる。したがって、外箱100aの封止剤140の周囲の面と漏油防止剤130との密着性を向上することができる。その後、封止剤140の周囲をアセトンや洗浄剤を用いて洗浄する(S288)。
【0075】
次に、漏油防止剤130の主剤と硬化剤を混合し(S290)、かかる漏油防止剤130をゲル状にする。そして、混合した漏油防止剤130を、封止剤140を覆うように、封止剤140上およびその周囲に塗布する(S292)。これにより、図9(e)に示す状態となる。そして、塗布後所定時間が経過したら、漏油防止剤130の硬化を確認する(S294)。
【0076】
漏油防止剤130が硬化していない場合(S294のNO)、更に時間が経過した後に再度硬化を確認する(S294)。漏油防止剤130が硬化していた場合(S294のYES)、コーティング剤110を漏油防止剤130上およびその周囲に塗布する(S296)。これにより、図9(f)に示す状態となり、補修4の手順が終了する。
【0077】
上記説明したように、本実施形態にかかる電気機器の外箱錆補修工法によれば、錆部分の状態、および外箱100aの錆(錆部分)が生じた部位の厚みにより、適切な補修方法を容易に選定することが可能となる。したがって、作業者が熟練者でない場合であっても、錆部分の状態に応じて適切な補修を確実に行うことができる。これにより、作業効率の向上およびコストの削減を図ることが可能となる。
【0078】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、油入電気機器の外箱に生じた錆部分からの絶縁油の漏油を止めるための油入電気機器の絶縁油漏れ止め工法に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 …SVR
100a …外箱
100b …錆部分
100c …フィン
100d …錆部分
100e …塗装
100f …穴
102 …電柱
104 …設置台
110 …コーティング剤
120 …補修剤
130 …漏油防止剤
140 …封止剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の外箱に生じた錆部分を補修する電気機器の外箱錆補修工法であって、
前記錆部分を、錆の進行状態に応じて、略平坦であり且つ散点的に発生した点状の錆である点錆と、略平坦であり且つ隣接する該点錆同士が連続した面状の錆である面錆と、凸状の膨れを有する膨錆と、前記外箱を貫通する穴を有する穴錆とに分別したとき、
前記錆部分が、前記外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた前記点錆または前記面錆である場合には、錆を除去した後に補修し、
前記錆部分が、前記外箱の厚みが所定値未満である部位に生じた前記膨錆または前記穴錆である場合には、錆を除去せずに補修し、
前記錆部分が、前記外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた前記点錆、前記面錆または前記膨錆である場合には、錆を除去した後に補修し、
前記錆部分が、前記外箱の厚みが所定値以上である部位に生じた前記穴錆である場合には、錆を除去せずに補修することを特徴とする電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項2】
前記点錆の補修は、防食性を有するコーティング剤の塗布であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項3】
前記面錆の補修は、該面錆が前記外箱の厚みが所定値未満である部位に生じたものである場合には、光硬化型の補修剤の塗布であり、該面錆が該外箱の厚みが所定値以上である部位に生じたものである場合には、コーティング剤の塗布であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項4】
前記膨錆の補修は、該膨錆が前記外箱の厚みが所定値未満である部位に生じたものである場合には、ゲル状の漏油防止剤の塗布であり、該膨錆が該外箱の厚みが所定値以上である部位に生じたものである場合には、光硬化型の補修剤の塗布であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項5】
前記穴錆の補修は、接着性を有する粘土状の封止剤の押付、およびゲル状の漏油防止剤の塗布であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項6】
前記コーティング剤は、エポキシ樹脂系防食塗装剤であることを特徴とする請求項2または3に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項7】
前記光硬化型の補修剤は、ビニルエステル樹脂系防食塗装剤であることを特徴とする請求項3または4に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項8】
前記漏油防止剤は、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系シーリング剤であることを特徴とする請求項4または5に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項9】
前記封止剤は、主剤および硬化剤の2剤を混合してなるエポキシ樹脂系接着剤であることを特徴とする請求項4に記載の電気機器の外箱錆補修工法。
【請求項10】
電気機器の外箱に生じた錆部分を補修する電気機器の外箱錆補修工法であって、
前記錆部分を、錆の進行状態に応じて、略平坦であり且つ散点的に発生した点状の錆である点錆と、略平坦であり且つ隣接する該点錆同士が連続した面状の錆である面錆と、凸状の膨れを有する膨錆と、前記外箱を貫通する穴を有する穴錆とに分別したとき、
前記錆部分が、前記外箱に設けられた放熱用のフィンに生じた前記点錆または前記面錆である場合には、錆を除去した後に補修し、
前記錆部分が、前記フィンに生じた前記膨錆または前記穴錆である場合には、錆を除去せずに補修し、
前記錆部分が、前記フィン以外の部位に生じた前記点錆、前記面錆または前記膨錆である場合には、錆を除去した後に補修し、
前記錆部分が、前記フィン以外の部位に生じた前記穴錆である場合には、錆を除去せずに補修することを特徴とする電気機器の外箱錆補修工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−36784(P2011−36784A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185833(P2009−185833)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】