説明

電気機器用の梱包物及び電気機器梱包体

【課題】電池を機器本体に装填した状態とすることなく、梱包状態のまま電気機器を試し動作する。
【解決手段】機器外部に露出する給電用端子61を備えた印字ラベル作成装置1を梱包する梱包物Pであって、印字ラベル作成装置1の上側を収納する第1凹部72を備えた第1パック部材71と、印字ラベル作成装置1の下側を収納するとともに第1パック部材71の第1凹部72と協働して印字ラベル作成装置1を覆う第2凹部82を備えた第2パック部材81とを備える。第1パック部材71は、第1凹部72及び第2凹部82に印字ラベル作成装置1を収納した梱包状態で、駆動用電圧を与える乾電池8を梱包物Pの外部より装填可能な電池収納部73と、乾電池8の駆動用電圧を印字ラベル作成装置1へ供給可能な導電路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器外部に露出する給電用端子を備えた電気機器を梱包する電気機器用の梱包物及びこれを備えた電気機器梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器用の梱包物として、梱包された電気機器を視認できるように、例えば透明PET(ポリエチレンテレフタレート)等で構成された梱包物が用いられている。このような梱包物において、梱包状態のままで電気機器の試し動作を行いたいというニーズに対応し、梱包物の上から電気機器のキー操作を行えるようにした梱包物が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術では、ビニール袋に収納された電気機器を、電気機器の操作キーに対応する部分に開口部を設けた梱包物で梱包する。これにより、操作者は梱包状態のままビニール袋を介して電気機器の操作キーを操作できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−61069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の梱包物を用いることにより、梱包状態のまま電気機器の操作キーを操作することが可能である。しかしそのためには、電池を機器本体に装填した状態で梱包する必要がある。この場合、自然放電により電池が消耗してしまい、購入者が電気機器を使用する際に駆動できなくなるおそれがあった。また、放電した状態の電池を機器本体に装填したままにしておくと、液漏れを生じ、電気機器に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、電池を機器本体に装填した状態とすることなく、梱包状態のまま電気機器を試し動作することができる電気機器用の梱包物及び電気機器梱包体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1発明の電気機器用の梱包物は、機器外部に露出する給電用端子を備えた電気機器を梱包する、電気機器用の梱包物であって、前記電気機器の一方側を収納する第1凹部を備え、透過性部材により構成された第1パック部材と、前記電気機器の他方側を収納するとともに前記第1パック部材の前記第1凹部と協働して前記電気機器を覆う第2凹部を備え、透過性部材により構成された第2パック部材と、を有し、前記第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、前記第1凹部及び前記第2凹部に前記電気機器が収納された梱包状態で、駆動用電圧を与える電池を、梱包物外部より装填可能な電池収納部と、前記電池収納部に収納される前記電池に一方側が接続されるとともに、前記梱包状態において前記給電用端子に他方側が接触するよう構成され、前記電池の前記駆動用電圧を前記電気機器へ供給可能な、導電路とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願第1発明の電気機器用の梱包物では、第1パック部材と第2パック部材とが協働して電気機器を覆い、梱包する。すなわち、電気機器の一方側が第1パック部材の第1凹部に収納されるとともに、電気機器の他方側が第2パック部材の第2凹部に収納される。
【0008】
ここで、電気機器に備えられた給電用端子が、機器の外部に露出している。本願第1発明では、第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、電池収納部と導電路とを備えている。そして、上記のようにして第1パック部材の第1凹部及び第2パック部材の第2凹部に電気機器が収納された梱包状態において、電池収納部に収納された電池と給電用端子とが、導電路によって接続される。これにより、電池からの駆動用電圧が電気機器へ供給されるので、電気機器を駆動することができる。この結果、梱包状態のまま電気機器を試し動作させることができるので、購入を検討する消費者や、当該消費者に対し販売を行う販売員にとっての、利便性を向上することができる。その際、電池を機器本体に装填した状態で梱包する場合のような、自然放電による電池の消耗や、電池からの液漏れの心配がない。
【0009】
第2発明の電気機器用の梱包物は、上記第1発明において、前記電気機器は、前記一方側に、操作者が操作可能な操作部を備えており、前記第1パック部材の前記第1凹部は、操作者の押圧により前記透過性部材越しに前記操作部を操作可能な、押圧操作領域を備えていることを特徴とする。
【0010】
これにより、上記のようにして梱包状態のまま試し動作させるとき、駆動操作やその後の各種操作を操作者が円滑に行うことができる。
【0011】
第3発明の電気機器用の梱包物は、上記第2発明において、前記電池収納部及び前記導電路は、前記第1パック部材に設けられていることを特徴とする。
【0012】
これにより、電池収納部が、電気機器の操作部と同じ側に位置することとなり、電池の装着、及び、電気機器の操作の確認を、併せて容易に行うことができる。
【0013】
第4発明の電気機器用の梱包物は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記電気機器は、ラベル用テープを用いて印字ラベルを作成するラベル作成装置であり、前記第1パック部材の前記第1凹部、若しくは、前記第2パック部材の前記第2凹部は、前記ラベル作成装置により作成された前記印字ラベルを梱包物外へ排出可能な、排出口を備えることを特徴とする。
【0014】
本願第4発明の梱包対象となる電気機器は、電池駆動のラベル作成装置である。これにより、第1パック部材の第1凹部及び第2パック部材の第2凹部に電気機器が収納された梱包状態で、電池収納部に電池を装填することで、ラベル作成装置を駆動し印字ラベルの作成を試行することができる。また、上記のようにして試しに作成された印字ラベルは、排出口より円滑に梱包物外へと排出される。
【0015】
これにより、梱包状態のまま、印字ラベルの作成を試行することができるので、ラベル作成装置の購入を検討する消費者や、当該消費者に対し販売を行う販売員にとっての、利便性を向上することができる。
【0016】
上記目的を達成するために、第5発明の電気機器梱包体は、機器外部に露出する給電用端子を備えた電気機器と、前記電気機器の一方側を収納する第1凹部を備え、透過性部材により構成された第1パック部材と、前記電気機器の他方側を収納するとともに前記第1パック部材の前記第1凹部と協働して前記電気機器を覆う第2凹部を備え、透過性部材により構成された第2パック部材と、を有し、前記第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、前記第1凹部及び前記第2凹部に前記電気機器が収納された梱包状態で、駆動用電圧を与える電池を、梱包体外部より装填可能な電池収納部と、前記電池収納部に収納される前記電池に一方側が接続されるとともに、前記梱包状態において前記給電用端子に他方側が接触するよう構成され、前記電池の前記駆動用電圧を前記電気機器へ供給可能な、導電路とを備えることを特徴とする。
【0017】
本願第5発明の電気機器梱包体では、第1パック部材と第2パック部材とが協働して電気機器を覆い、梱包する。すなわち、電気機器の一方側が第1パック部材の第1凹部に収納されるとともに、電気機器の他方側が第2パック部材の第2凹部に収納される。
【0018】
ここで、電気機器に備えられた給電用端子が、機器の外部に露出している。また、第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、電池収納部と導電路とを備えている。そして、上記のようにして第1パック部材の第1凹部及び第2パック部材の第2凹部に電気機器が収納された梱包状態において、電池収納部に収納された電池と給電用端子とが、導電路によって接続される。これにより、電池からの駆動用電圧が電気機器へ供給されるので、電気機器を駆動することができる。この結果、梱包状態のまま電気機器を試し動作させることができるので、購入を検討する消費者や、当該消費者に対し販売を行う販売員にとっての、利便性を向上することができる。その際、電池を機器本体に装填した状態で梱包する場合のような、自然放電による電池の消耗や、電池からの液漏れの心配がない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電池を機器本体に装填した状態とすることなく、梱包状態のまま電気機器を試し動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の印字ラベル作成装置の全体構成を表す斜視図である。
【図2】着脱カバーが取り外され、かつ、カートリッジ及び乾電池をカートリッジホルダ及び電池収納部に装着した状態における印字ラベル作成装置の内部構造を表す斜視図である。
【図3】着脱カバーが取り外され、かつ、カートリッジ及び乾電池をカートリッジホルダ及び電池収納部から取り外した状態における印字ラベル作成装置の内部構造を表す斜視図である。
【図4】カートリッジの内部構造を表す平面図である。
【図5】着脱カバーの前面を表す斜視図である。
【図6】第1パック部材の詳細構造、及び、第2パック部材の詳細構造を表す斜視図である。
【図7】第1パック部材と第2パック部材とによって印字ラベル作成装置を梱包する手順を説明するための斜視図である。
【図8】電池収納部に乾電池を装填する前の図6中VIII−VIII断面による断面図、乾電池装填後の図6中VIII−VIII断面による断面図、及び導電路の構造を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図内に「前」「後」「左」「右」「上」「下」の注記がある場合、明細書中の説明における、前方、後方、左方、右方、上方、下方は、その注記された方向を指す。
【0022】
図1を用いて、本実施形態の印字ラベル作成装置1の全体構成を説明する。
図1に示すように、電気機器としての印字ラベル作成装置1は、ユーザの手によって把持されるハンディ型の印字ラベル作成装置である。この印字ラベル作成装置1の筐体6は、装置前面を構成する前カバー6Aと、装置後面を構成する後カバー6Bとで構成されている。さらにこの後カバー6Bは、種々の機構を内蔵する後カバー本体6B1と、カートリッジ31や乾電池8(いずれも後述の図2参照)を着脱する際に後カバー本体6B1より取り外し可能な着脱カバー6B2とで構成されている。
【0023】
上記前カバー6Aの上側には、印刷データや、設定画面等を表示するための液晶表示部(図示せず)が設けられている。この液晶表示部の前面は、例えば透明のアクリル板等であるカバーパネル2Aによって覆われている。液晶表示部の下側には、印字ラベル作成装置1を操作するためのキーボード部3が設けられている。このキーボード部3には、文字、記号及び数字等の文字キーや、種々の機能キーが含まれている。また上記後カバー本体6B1の右側上端には、印刷済みラベル用テープ80(後述の図4参照)を切断するためのカットレバー4が設けられている。
【0024】
また、上記後カバー本体6B1の右側側面には、一対の給電用端子61が外部に露出して設けられている。この給電用端子61は、機器外部に設けた乾電池8より印字ラベル作成装置1に対し駆動電圧を供給するためのものである(後述の図7、図8参照)。
【0025】
次に図2及び図3を用いて、着脱カバー6B2を取り外した状態の印字ラベル作成装置1の内部構造を説明する。なお、図2はカートリッジ31及び乾電池8をカートリッジホルダ7及び電池収納部9に装着した状態、図3はカートリッジ31及び乾電池8をカートリッジホルダ7及び電池収納部9から取り外した状態を表している。
【0026】
これら図2及び図3に示すように、上記前カバー6A及び上記後カバー本体6B1の内部には、樹脂により成形されたフレーム13が配設されている。そして、このフレーム13の後側上部には、カートリッジ31を着脱するために凹状に形成された平面視矩形状の上記カートリッジホルダ7が設けられている。
【0027】
カートリッジホルダ7の下側には、モータ(図示せず)を収納するためのモータ収納部5が設けられている。モータ収納部5のさらに下側には、乾電池8を収納するための上記電池収納部9が設けられている。また、図3に示すように、電池収納部9の右側には、前述したように一対の給電用端子61が印字ラベル作成装置1の外部に露出して設けられている。
【0028】
上記フレーム13の上部には、印刷済みラベル用テープ80を外部に排出するためのテープ排出スリット24が形成されている。また、フレーム13の右側上部には、ローラホルダ17(詳細構造は後述)が設けられている。ローラホルダ17の後側には、当該ローラホルダ17を覆うように設けられ、板状形状を有した板部25が設けられている。なお、この板部25はフレーム13と一体的に形成されている。さらに、この板部25の上部には、開口部である突起部挿入口10が設けられている。この突起部挿入口10には、上記着脱カバー6B2が後カバー本体6B1に着脱される際に、着脱カバー6B2に設けられた突起部45(後述の図5参照)が挿抜される。
【0029】
また、後カバー本体6B1の上端部にはロック穴11が設けられ、下端部にはロック穴12が2箇所設けられている。これらロック穴11,12には、上記着脱カバー6B2が後カバー本体6B1に取り付けられた際に、着脱カバー6B2に設けられたロック部材47,48(後述の図5参照)がそれぞれ嵌め込まれる。
【0030】
上記フレーム13の略中央部には凹状に形成されたギア用凹部26が設けられている。ギア用凹部26には、ギア(図示せず)が設けられており、当該ギアの歯部は隠蔽用傘部114によって覆われ露出しない構造となっている。そして、ギアの後側には、インクリボン55(後述の図4参照)を巻き取るためのリボン巻取軸14が立設されている。
【0031】
また、リボン巻取軸14の右側にはリブ30が立設されている。このリブ30の右側面には矩形状の放熱板であるヒートシンク15が設けられている。そして、リブ30とテープ排出スリット24との間には、ローラ軸20が立設されている。ローラ軸20の左側には、凸部27が立設されている。この凸部27は、カートリッジ31の凹部(図示せず)に挿入されることで、カートリッジ31の前後方向の位置決めをするものである。
【0032】
次に図4を用いて、カートリッジ31の内部構造を説明する。なお、この図4には、カートリッジ31の内部構造と共に、ローラホルダ17、リブ30、ヒートシンク15、サーマルヘッド16等を図示している。
【0033】
図4に示すように、カートリッジケース33内の左側下部には、透明フィルム状のカバーフィルム51を巻回したカバーフィルムスプール52が回転可能に配置されている。このカバーフィルムスプール52から繰り出されたカバーフィルム51は、カートリッジ開口371に向けて案内され、当該カートリッジ開口371から送出される。またカートリッジケース33内の右側下部には、インクリボン55を巻回したリボンスプール56が回転可能に配置されている。このリボンスプール56から繰り出されたインクリボン55は、カートリッジ開口371に向けて案内され、カバーフィルム51と共に送出される。
【0034】
カバーフィルムスプール52とリボンスプール56との間には、リボン巻取スプール57が回転可能に配置されている。このリボン巻取スプール57は、リボンスプール56からインクリボン55を引き出すと共に、文字等の印刷で消費されたインクリボン55を巻き取る。
【0035】
カートリッジケース33内の上部には、基材テープ53を巻回した基材テープスプール54が回転可能に配置されている。この基材テープスプール54から繰り出された基材テープ53は、テープ搬送ローラ39に向けて案内され、当該基材テープ53と印刷済のカバーフィルム51とが、テープ搬送ローラ39と押圧ローラ192とによって圧着されて印刷済みラベル用テープ80となり、ラベル用テープ排出口59に向けて搬送される。
【0036】
また、カートリッジホルダ7に装着されたカートリッジ31の右側には、プラテンローラユニット18と押圧ローラユニット19とを備えたアーム状のローラホルダ17が、軸支部171を中心に左右方向に揺動可能に設けられている。上記着脱カバー6B2が取り付けられると、突起部45(後述の図5参照)によりローラホルダ17がカートリッジ31方向に移動する。これにより、ローラホルダ17に設けられた押圧ローラユニット19とプラテンローラユニット18とが印刷位置(図4に示す位置)に移動する。
【0037】
上記プラテンローラユニット18は、ヒートシンク15の右側に配置されている。プラテンローラユニット18には、プラテンローラ182とプラテンローラ用ギア(図示せず)とが設けられている。プラテンローラ182は、ヒートシンク15の右側面に設けられたサーマルヘッド16に対向する位置に配置されている。サーマルヘッド16は、押圧ローラ192、プラテンローラ182等により搬送されるカバーフィルム51に対し、所望の印字を行うものである。プラテンローラ用ギアは、フレーム13の前側に設けられたギア(図示せず)に噛合されており、モータから動力を伝達されたプラテンローラ用ギアが回転することで、プラテンローラ182が回転する。これにより、プラテンローラユニット18が印刷位置に移動した際に、プラテンローラ182は、カバーフィルム51とインクリボン55とをサーマルヘッド16に対して押圧しつつ、文字、図形、記号等が印刷されたカバーフィルム51をその回転により押圧ローラユニット19の方向へ搬送する。
【0038】
押圧ローラユニット19には、押圧ローラ192と押圧ローラ用ギア(図示せず)とが設けられている。押圧ローラ192は、上記ローラ軸20に対向する位置に配置されおり、カバーフィルム51、基材テープ53、及び印刷済みラベル用テープ80を、上記テープ排出スリット24へ向かう搬送経路(矢印ア,イ,ウ参照)に沿って搬送する。ローラ軸20は、円柱状に形成された円柱部201と、この円柱部201の外周から外側に向かって放射状に形成された6個のリブ202とから構成されている。また、ローラ軸20は、カートリッジ31に設けられたテープ搬送ローラ39の軸孔391に挿入され、テープ搬送ローラ39を回転可能に支持している。
【0039】
押圧ローラ用ギアは、上記フレーム13の前側に設けられたギア(図示せず)に噛合されており、モータから動力を伝達された押圧ローラ用ギアが回転することで、押圧ローラ192が回転する。これにより、押圧ローラユニット19が印刷位置に移動した際に、押圧ローラ192は、カバーフィルム51と基材テープ53とを、ローラ軸20に回転可能に支持されたテープ搬送ローラ39に対して押圧する。これにより、印刷が行われたカバーフィルム51と基材テープ53とが圧着され印刷済みラベル用テープ80となり、上記ラベル用テープ排出口59より排出される。なお、その後の印刷済みラベル用テープ80は、押圧ローラ192等により下から上へ搬送されて上記テープ排出スリット24へ案内され、印字ラベル作成装置1の外部に排出される。
【0040】
次に図5を用いて、着脱カバー6B2の構造について説明する。
図5に示すように、着脱カバー6B2の前面6aの左側上端部には前述したロック部材47が立設され、下端部には前述した2つのロック部材48が立設されている。着脱カバー6B2が上記後カバー本体6B1に対し取り付けられた際に、これらロック部材47,48がそれぞれ上記後カバー本体6B1に設けられたロック穴11,12(図2等参照)に嵌め込まれる。これにより、着脱カバー6B2の自然開放が防止される。
【0041】
また、着脱カバー6B2の前面6aの右側上部には、突起部45が垂直に立設されている。着脱カバー6B2が上記後カバー本体6B1に対し着脱されることにより、突起部45が上記後カバー本体6B1に設けられた突起部挿入口10(図2等参照)に挿抜される。これにより、上記ローラホルダ17を印刷位置(図4に示す位置)に移動させたり、待機位置(図3に示す位置)に移動させたりすることができる。
【0042】
以上のような構成である印字ラベル作成装置1は、店頭にて販売される際に梱包物Pによって梱包される。この梱包物Pは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の透過性部材で構成された上下一対のパック部材71,81を有している。本実施形態では、この梱包状態となった印字ラベル作成装置1に対し梱包を解くことなく駆動用電圧を供給し、正常に駆動するか否か試し動作することができるように、上記したパック部材71,81のうちの一方に、外部より電池を収納可能な電池収納部73と、この電池収納部73に収納された電池8の駆動用電圧を印字ラベル作成装置1に供給する導電路91を設けている。以下、この詳細について説明する。
【0043】
図6を用いて、上側の第1パック部材71及び下側の第2パック部材81の詳細構造について説明する。
【0044】
図6(a)に示すように、第1パック部材71は、印字ラベル作成装置1の上側を収納する第1凹部72を備えている。また、図6(b)に示すように、第2パック部材81は、印字ラベル作成装置1の下側を収納する第2凹部82を備えている。
【0045】
すなわち、第1パック部材71は、図6(a)に示すように、その一端側から他端側にかけて円弧状に傾斜した上面部71aと、細長い扇形状である左右側面部71b,71cと、円弧状の他端面部71dとを有しており、下部が開口した略矩形箱状に形成されている。そして、上面部71aには、下側から上側に向けて凹ませた上述の第1凹部72が形成され、印字ラベル作成装置1の上側が収納される。このとき、印字ラベル作成装置1は、カバーパネル2A側である上側が他端面部71d側を向くようにして第1凹部72に収納される。
【0046】
第1パック部材71の第1凹部72において、印字ラベル作成装置1の操作部であるキーボード部3が収納配置される部分は、例えば他の部分よりも厚みを薄くしたり、あるいは他の部分よりも柔軟な材料を用いる等によって、操作者の押圧により第1パック部材71越しにキーボード部3を操作可能な押圧操作領域72aとなっている。
【0047】
また、図6(a)では図示を省略しているが、第1パック部材71の他端面部71dには、収納される印字ラベル作成装置1のテープ排出スリット24に対応する位置に縦長スリット状の排出口74が設けられている。この排出口74は、第2パック部材81に穿設された後述する排出口85と対応しており、これら排出口74,85によって作成された印字ラベルが梱包物P外へ排出可能となっている。
【0048】
また、第1パック部材71の第1凹部72の隣りには、電池収納部73が形成されている。この電池収納部73は、第1パック部材71を下側から上側に向けて略矩形枠状に凹ませて周壁を形成すると共に、その中央部を上側から下側に凹ませることにより構成されており、梱包物Pの外部からこの例では2本の乾電池8を横2列に収容可能となっている。この電池収納部73の第1凹部72側の周壁73aには、図示しない貫通孔が形成されており、後述する導電路91の第2接点部91bが、電池収納部73の周壁73a内から上記貫通孔を介して電池収納部73内に露出されている(後述の図8(a)及び図8(b)参照)。
【0049】
さらに、第1パック部材71の第1凹部72の上記電池収納部73側の側面72bには、前述した印字ラベル作成装置1の給電用端子61に対応する位置に、当該給電用端子61の凹みに嵌合するように第1凹部72の内側に向かって凹ませた端子用凹部75が形成されている。この端子用凹部75と、上記電池収納部73の周壁73aとの間には、第1パック部材71の内側に沿って導電路91が配設されている。この導電路91は2つ設けられており、それぞれの導電路91は、電池収納部73に収納される乾電池8に一方側が接続され、梱包状態にある印字ラベル作成装置1の一対の給電用端子61に他方側が接触するよう構成されている。この導電路91によって、梱包物Pの外部から電池収納部73に装填された乾電池8の駆動用電圧が、梱包状態にある印字ラベル作成装置1の給電用端子61へ供給される。
【0050】
なお、この例では、電池収納部73及び導電路91が第1パック部材71側に設けられているが、第2パック部材81側に設けてもよい。
【0051】
第2パック部材81は、図6(b)に示すように、一端側から他端側にかけて円弧状に傾斜した上面部81aと、細長い扇形状の左右側面部81b,81cと、上面部81aから離間部81eを介して立設された円弧状の他端面部81dとを有しており、上部が開口した略矩形箱状に形成されている。そして、上面部81aには、上側から下側に向けて凹ませた第2凹部82が形成されており、印字ラベル作成装置1の下側が収納される。
【0052】
この第2凹部82は、収納される印字ラベル作成装置1のカートリッジホルダ7側に対応した幅広の第1収納部82aと、収納される印字ラベル作成装置1のモータ収納部5及び電池収納部9側に対応した幅狭の第2収納部82bと、収納される印字ラベル作成装置1の下端側に対応した幅広の第3収納部82cとを有しており、これらの収納部が互いに連通した構成となっている。また、上面部81aの傾斜上端における中央部分には開口部83が形成され、第2凹部82は離間部81eに連通している。
【0053】
第2パック部材81の他端面部81dには、収納される印字ラベル作成装置1のテープ排出スリット24に対応する位置に縦長スリット状の排出口85が設けられている。また、離間部81eの排出口85に対応する位置には、一対のガイド部材86が立設されている。排出口85は、前述したように、第1パック部材71に設けられた排出口74と対応しており、これら排出口74,85によって作成された印字ラベルがガイド部材86でガイドされて梱包物P外へ排出可能となっている。
【0054】
さらに、第2凹部82の内側には、離間部81eの底面から第1収納部82aの左右両側にかけて第1段差部84aが形成され、第2収納部82bの内側には、第1収納部82a側に向けて下方傾斜した第2段差部84bが形成されている。これら第1段差部84a及び第2段差部84bが、収納される印字ラベル作成装置1の下側を浮かせた状態で支持する。これにより、第1収納部82aの底部には空間が形成され、例えば未使用のカートリッジ31等の付属物を収納することが可能である。また、第3収納部82cの底部にも空間が形成され、例えば未使用の乾電池8等が収納される。なお、この第3収納部82cの底部に収納される乾電池8は、印字ラベル作成装置1の購入者が梱包物Pの梱包を解いて印字ラベル作成装置1を駆動する際に使用するものであり、購入前の梱包状態において印字ラベル作成装置1を試し動作させるために電池収納部73に収納される乾電池8とは別物である。
【0055】
次に図7を用いて、第1パック部材71と第2パック部材81とによって印字ラベル作成装置1を梱包する手順について説明する。
【0056】
図7に示すように、まず印字ラベル作成装置1の下側が、第2パック部材81の第2凹部82に収納される。次に、第1パック部材71の第1凹部72に印字ラベル作成装置1の上側が収納されるように、第1パック部材71が第2パック部材81の上側に被せられる。そして、第1パック部材71の上面部71a、左右側面部71b,71c、及び他端面部71dのそれぞれが、第2パック部材81の上面部81a、左右側面部81b,81c、及び他端面部81dのそれぞれに密着された状態で、第1パック部材71と第2パック部材81の淵部が全周に亘って例えば熱溶着等により接合されることで、印字ラベル作成装置1は梱包物Pによって梱包される。
【0057】
そして、この梱包状態において、矢印Aに示すように、第1パック部材71に設けられた電池収納部73に乾電池8を装填することで、梱包物Pによる梱包を解くことなく印字ラベル作成装置1に駆動用電圧を供給し、試し動作することができる。
【0058】
次に図8を用いて、導電路91の具体的構成について説明する。
導電路91は、図8(c)に示すように、帯板状の金属片を略コの字状に折り曲げた形状を有している。この導電路91は、印字ラベル作成装置1側で外側に向けて円弧状に湾曲した第1接点部91aと、電池収納部73側で下方に向けて円弧状に折り返された第2接点部91bと、これらの接点部91a,91bを接続する導電部91cとを備えている。そして、図8(a)及び図8(b)に示すように、第1凹部72の端子用凹部75と電池収納部73の周壁73aとの間に、第1パック部材71の内側に沿うように配設されている。導電部91の第1接点部91aは、給電用端子61位置に対応する端子用凹部75の内側に設けられ、第2接点部91bは、乾電池8の一端側に対応する電池収納部73の周壁73aに設けられる。このとき前述したように、第2接点部91bは、電池収納部73の周壁73a内から周壁外部に露出されている。
【0059】
図8(c)に示すように、導電路91は、電池収納部73内に装填される2つの乾電池8及び印字ラベル作成装置1に備えた一対の給電用端子61に対応して2個設けられている。また、電池収納部73の上記周壁73aとは反対側の周壁73bには、帯板状の金属片による共通接点92が付設されており、電池収納部73内で2つの乾電池8は直列に接続される。こうして、電池収納部73に装填された乾電池8の駆動用電圧が、導電路91を介して印字ラベル作成装置1の給電用端子61へ供給される。
【0060】
以上において、梱包材Pを構成する第1パック部材71及び第2パック部材81と、印字ラベル作成装置1とが、電気機器梱包体を構成する。
【0061】
以上説明した本実施形態では、梱包物Pの第1パック部材71と第2パック部材81とが協働して印字ラベル作成装置1を覆い、梱包する。ここで、印字ラベル作成装置1に備えられた給電用端子61が、機器の外部に露出している。また本実施形態では、第1パック部材71が電池収納部73と導電路91とを備えている。そして、上記のようにして第1パック部材71の第1凹部72及び第2パック部材81の第2凹部82に印字ラベル作成装置1が収納された梱包状態において、電池収納部73に収納された乾電池8と給電用端子61とが、導電路91によって接続される。これにより、乾電池8からの駆動用電圧が印字ラベル作成装置1へ供給されるので、梱包状態のまま印字ラベル作成装置1を試し動作させることができ、購入を検討する消費者や、当該消費者に対し販売を行う販売員にとっての利便性を向上することができる。またこのように、乾電池8を印字ラベル作成装置1の機器本体に装填した状態とすることなく、梱包状態のまま電気機器を試し動作することができるので、乾電池8を機器本体に装填した状態で梱包する場合のような、自然放電による電池の消耗や、電池からの液漏れの心配がない。
【0062】
また、本実施形態では特に、第1パック部材71の第1凹部72が、操作者の押圧により第1パック部材71越しにキーボード部3を操作可能な押圧操作領域72aを備えているので、印字ラベル作成装置1を梱包状態のまま試し動作させるとき、駆動操作やその後の各種操作を操作者が円滑に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では特に、電池収納部73及び導電路91が、第1パック部材71に設けられる。これにより、電池収納部73が、印字ラベル作成装置1のキーボード部3と同じ側に位置することとなり、乾電池8の装填、及び、印字ラベル作成装置1の操作の確認を、併せて容易に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では特に、第1パック部材71の第1凹部72及び第2パック部材81の第2凹部82が、印字ラベル作成装置1により作成された印字ラベルを梱包物P外へ排出可能な排出口74,85をそれぞれ備える。これにより、第1パック部材71の第1凹部72及び第2パック部材81の第2凹部82に印字ラベル作成装置1が収納された梱包状態で、電池収納部73に乾電池8を装填することで、印字ラベル作成装置1を駆動し印字ラベルの作成を試行することができると同時に、上記のようにして試しに作成された印字ラベルを、排出口74,85より円滑に梱包物P外へと排出することができる。
【0065】
なお、以上では、給電用端子61が印字ラベル作成装置1の右側側面に設けられた例を示したが、これ以外の箇所、例えば印字ラベル作成装置1の左側側面や、下面、又は後面側に設けられていてもよい。このような場合でも、その位置に対応するように導電路91を配設することで、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0067】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 印字ラベル作成装置(電気機器、ラベル作成装置、電気機器梱包体)
3 キーボード部(操作部)
8 乾電池(電池)
61 給電用端子
71 第1パック部材(電気機器梱包体)
72 第1凹部
72a 押圧操作領域
73 電池収納部
74 排出口
81 第2パック部材(電気機器梱包体)
82 第2凹部
85 排出口
91 導電路
P 梱包物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器外部に露出する給電用端子を備えた電気機器を梱包する、電気機器用の梱包物であって、
前記電気機器の一方側を収納する第1凹部を備え、透過性部材により構成された第1パック部材と、
前記電気機器の他方側を収納するとともに前記第1パック部材の前記第1凹部と協働して前記電気機器を覆う第2凹部を備え、透過性部材により構成された第2パック部材と、
を有し、
前記第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、
前記第1凹部及び前記第2凹部に前記電気機器が収納された梱包状態で、駆動用電圧を与える電池を、梱包物外部より装填可能な電池収納部と、
前記電池収納部に収納される前記電池に一方側が接続されるとともに、前記梱包状態において前記給電用端子に他方側が接触するよう構成され、前記電池の前記駆動用電圧を前記電気機器へ供給可能な、導電路と
を備えることを特徴とする電気機器用の梱包物。
【請求項2】
請求項1記載の電気機器用の梱包物において、
前記電気機器は、
前記一方側に、操作者が操作可能な操作部を備えており、
前記第1パック部材の前記第1凹部は、操作者の押圧により前記透過性部材越しに前記操作部を操作可能な、押圧操作領域を備えている
ことを特徴とする電気機器用の梱包物。
【請求項3】
請求項2記載の電気機器用の梱包物において、
前記電池収納部及び前記導電路は、前記第1パック部材に設けられている
ことを特徴とする電気機器用の梱包物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電気機器用の梱包物において、
前記電気機器は、
ラベル用テープを用いて印字ラベルを作成するラベル作成装置であり、
前記第1パック部材の前記第1凹部、若しくは、前記第2パック部材の前記第2凹部は、
前記ラベル作成装置により作成された前記印字ラベルを梱包物外へ排出可能な、排出口を備える
ことを特徴とする電気機器用の梱包物。
【請求項5】
機器外部に露出する給電用端子を備えた電気機器と、
前記電気機器の一方側を収納する第1凹部を備え、透過性部材により構成された第1パック部材と、
前記電気機器の他方側を収納するとともに前記第1パック部材の前記第1凹部と協働して前記電気機器を覆う第2凹部を備え、透過性部材により構成された第2パック部材と、
を有し、
前記第1パック部材及び前記第2パック部材のいずれか一方が、
前記第1凹部及び前記第2凹部に前記電気機器が収納された梱包状態で、駆動用電圧を与える電池を、梱包体外部より装填可能な電池収納部と、
前記電池収納部に収納される前記電池に一方側が接続されるとともに、前記梱包状態において前記給電用端子に他方側が接触するよう構成され、前記電池の前記駆動用電圧を前記電気機器へ供給可能な、導電路と
を備える
ことを特徴とする電気機器梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178406(P2011−178406A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41791(P2010−41791)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】