説明

電気的刺激装置

【課題】衛生シートを利用して患者の体表面に対して吸引カップが直接触れないようにしつつ、衛生シートの取扱いを簡単にする。
【解決手段】吸引ポンプPによって吸引される吸引カップD内に、電気信号発生手段Uに接続される電極10が配設される。吸引カップDと患者体表面Kとの間に、通気性および吸水性を有する使い捨ての衛生シートSが使用される。衛生シートSは、少なくとも吸引カップDの外周縁部を含めて吸引カップDの開口側を全体的に覆うことのできる大きさに設定されている。吸引カップD内を吸引ポンプPによって吸引し続けることにより、吸引カップDが衛生シートSを介して患者の体表面Kに固定されると共に、電気信号発生手段Uからの電気信号が電極10より衛生シートSを介して患者体表面Kに伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低周波治療器等の電気的刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低周波治療器等の電気的刺激装置にあっては、刺激用の電気信号が供給される電極を、患者の体表面に装着する必要がある。電極の患者体表面への装着手法として、吸引カップを用いるものがある(特許文献1,特許文献2参照)。すなわち、内部に電極が装備された吸引カップ内を吸引ポンプでもって吸引する(負圧にする)ことによって、吸引カップが患者体表面に固定される。そして、吸引カップ内の電極は、直接患者体表面に接触されるか、あるいは吸引カップ内に配設された例えば水で湿潤された部材(例えばスポンジ)を介して、患者体表面と電気的に接続されることになる。
【特許文献1】特開2005−66190号公報
【特許文献2】特開2004−350860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、吸引カップは直接患者の体表面に接触する一方、吸引カップは繰り返し使用されるものである。したがって、患者によっては、他人に使用された吸引カップが自分の皮膚に触れることを嫌がる傾向にある(衛生面から、患者が吸引カップの使用を嫌う傾向にある)。このことから、電気的刺激装置を使用する現場では、使い捨ての衛生シートを吸引カップ内に入れて、吸引カップが患者体表面に接触する面積が極力小さくなるように工夫することも行われている。
【0004】
しかしながら、上述のような衛生シートを吸引カップ内に配設したとしても、吸引カップの外周縁部(吸引カップ内と外部とを仕切る部分)は、いまだ患者の体表面に直接接触されたままであり、衛生面での問題はいまだに残ったままである。また、各吸引カップ毎に、いちいち衛生シートを吸引カップ内に入れる作業が必要になり、また使用後は吸引カップ内から衛生シートを取り出す作業が必要になり、衛生シートを使用することに伴う手間が相当に負担となる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、衛生シートを利用して患者の体表面に対して吸引カップが直接触れないようにしつつ、衛生シートの取扱いも簡単になるようにした電気的刺激装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
刺激用の電気信号を発生する電気信号発生手段および吸引ポンプを備えた本体と、それぞれ前記電気信号発生手段に接続される電極が配設されると共に該吸引ポンプによって吸引される吸引カップと、を備えた電気的刺激装置において、
前記吸引カップと患者体表面との間に介挿され、通気性および吸水性を有する使い捨ての衛生シートを備え、
前記衛生シートは、少なくとも前記吸引カップの外周縁部を含めて吸引カップの開口側を全体的に覆うことのできる大きさに設定されており、
前記吸引カップ内を前記吸引ポンプによって吸引し続けることにより該吸引カップを前記衛生シートを介して患者の体表面に固定されると共に、前記電気信号発生手段からの電気信号が前記電極より該衛生シートを介して患者体表面に伝達される、
ようにしてある。
【0007】
上記解決手法によれば、例えばあらかじめ吸水させた衛生シートを患者体表面にかぶせた後、この衛生シートの上に吸引カップを置き、この後、電極に電気信号を供給すると共に吸引カップ内を吸引し続けることにより、湿潤されることにより導電性を有する衛生シートを介して、電気的刺激が患者に対して与えられことになる。使用後は、吸引カップを取外した後、衛生シートを患者体表面から除去するだけでよい。吸引カップは、その外周縁部を含めて、患者体表面との間には衛生シートが介在されるため、患者体表面に直接触れることが全くなく、また衛生シートは使い捨てのために患者が交替する毎に新しい衛生シートが用いられることから、衛生上極めて好ましいものとなる。また、衛生シートの取扱いも、患者体表面へかぶせることと、患者体表面から除去するだけでよく、衛生シートを用いることによる余分な手間は殆ど要しないことになって、簡単に取扱うことができる。なお、吸引カップ内にスポンジ等の吸水された部材が別途配設されている場合は、衛生シートをあらかじめ吸水させることを不要にすることもできる(上記スポンジ等の水分が衛生シートに伝達されるため)。
【0008】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記吸引カップの最大数使用時において、該吸引カップの外周縁部から前記衛生シートを介して漏れる漏れ総風量が前記吸引ポンプで吸引可能な最大風量の範囲内になるように、かつ該各吸引カップでの最低吸引負圧が該吸引カップ内の吸引負圧と該吸引カップの受圧面積とを乗算した値が該吸引カップの質量以上となるように該衛生シートの通気性が設定されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、吸引ポンプの性能の範囲内でもって、各吸引カップを患者体表面に確実に固定しておくことが可能となる。
【0009】
前記吸引カップの最大数使用時において、各吸引カップでの最低吸引負圧が−1.0kPaよりも大きな負圧となるように、該衛生シートの通気性が設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、患者体表面のうち湾曲している部分等を含めて、吸引カップを患者体表面により確実に固定することができる。
前記吸引カップの最大数使用時において、前記漏れ総風量が前記吸引ポンプで吸引可能な最大風量の60%以内の範囲になるように、かつ各吸引カップでの最低吸引負圧が−15kPaよりも大きな負圧となるように、前記衛生シートの通気性が設定されている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、吸引カップの患者体表面への固定を確実に得つつ、吸引ポンプの運転を余裕を持って行なうことができる。このことは、体格が相違したり電気的刺激を与える部位が相違する多くの患者に対して吸引カップを患者体表面に確実に固定しつつ、長時間の使用を行えるようにする上で極めて好ましいものである。
【0010】
前記衛生シートが不織布によって形成されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、衛生シートを水等の導電性液体で湿潤させたときに、衛生シートをほぼその初期の形状に保持させて、取り扱う者の手指に衛生シートがからみつくのを防止する上で、また吸引力によって衛生シートが不用意にちぎれたりする等の事態を防止する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記衛生シートが、少なくとも2つの吸引カップを並べて配置できる大きさに設定されている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、吸引カップ(つまり電極)は、通常2個一対で使用されることが一般的であるので、この2個一対の吸引カップに合わせて1枚の衛生シートを用いることにより、使い勝手のよいものとなる。
【0012】
前記衛生シートが、最大数使用時での前記吸引カップを並べて配置できる大きさに設定されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、1枚の衛生シートでもって、最大数の吸引カップに対応することができ、極めて経済的であると共に、衛生シートの取扱いの簡単化の上でも極めて好ましいものとなる。
【0013】
前記衛生シートとして、少なくとも2つの吸引カップを並べて配置できる大きさに設定された最小衛生シートと、最大数使用時での前記吸引カップを並べて配置できる大きさに設定された最大衛生シートと、該最小衛生シートと最大衛生シートの間の大きさに設定された中間衛生シートとが用意されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、使用する吸引カップ数に応じた大きさの衛生シートを選択的に用いることができて、不必要に大きな衛生シートを用いる必要がなく、経済的である。
【0014】
前記衛生シートが、前記吸引カップが左右2個で1列となったものが複数列並べられる大きさに設定されている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、2個一対で用いられることが多い吸引カップを、左右に1列として並べて、この2個一対の列を多数列配置できることができ、衛生シートの大きさや形状を吸引カップの配置態様に応じた適切なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、衛生上極めて好ましいものとなり、また衛生シートの取扱いも簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1において、Vは低周波治療器の本体であり、その内部には、図3に簡略的に示すように、刺激用の電気信号発生手段Uと吸引ポンプPとが装備されている。本体Vの操作側表面には、複数対(実施形態では6対)の出力端子1A、1B〜6A、6Bが設けられている(図3をも参照)。各出力端子1A、1B〜6A、6Bはそれぞれ、電気信号発生手段Uからの電気信号が個々独立して供給されるものであり、「A」の符合が付されたものと「B」の符合が付されたものが一対となるものである(プラス側とマイナス側)。各出力端子1A、1B〜6A、6Bには、吸引ポンプPが共通して接続されている。そして、各出力端子1A、1B〜6A、6Bには、電磁開閉弁(図示略)が装備されて、任意の出力端子のみに吸引ポンプPからの吸引負圧を作用させることができるようになっている。
【0017】
図2において、Dは吸引カップである。この吸引カップD内には、電極10が保持されている。この電極10は、軸部材11と一体化されて、接続コード20を介して、前述した出力端子1A、1B〜6A、6Bのいずれか1つと接続される。すなわち、軸部材11は導電性を有して、軸部材11に接続された導電性部材からなる中空状の接続部材12が吸引カップDの外部に延出され、接続コード20の端部に設けられた接続カプラ21を接続部材12に接続することによって、出力端子1A、1B〜6A、6Bのいずれか1つと電極10とが接続されることになる。
【0018】
上記軸部材11は中空に構成されて負圧通路11aを有し、この負圧通路11aが、非使用時にある電極10の背面に常時開口されている。また、負圧通路11aは、軸部材11が接続コード20と接続されたときに、接続部材12を介して接続コード20内の負圧通路と接続されて、出力端子1A、1B〜6A、6Bのいずれか1つを介して吸引ポンプPに接続される。吸引カップDの中央部を押圧してその周囲にあるカップ部を弾性変形させると、図4に示すように、負圧通路11aが吸引カップD内に開口される。吸引カップD内には、電極10を覆うように、例えばスポンジ等によって構成された導電用部材30が保持される。この導電用部材30は、容易に変形されて、例えば水等の導電性液体で湿潤された状態で使用される(導電性の確保)。なお、以上の説明は、既存の電気的刺激装置と同じなので、これ以上詳細な説明は省略する。
【0019】
図4に示すように、吸引カップDを患者体表面Kに装着する場合は、後述する衛生シートSを介して行われる。衛生シートSは、例えば図5,図6に示すように、吸引カップDの外周縁部D1を含めてその開口部側を全体的に覆うことのできるように十分大きくされている。図5,図6に示す衛生シートSは、4つの吸引カップを上下左右に並べて配置できる大きさに設定されている。
【0020】
衛生シートSは、通気性と吸水性とを有する。吸水性を有することの必要性は、衛生シートSに導電性を与えるためのもので、例えば水を湿潤させることによって、導電性を有するようになり、電極10に対して、導電用部材30を介して衛生シートSが電極10と電気的に接続されることになる。
【0021】
衛生シートSが通気性を有することの必要性は、吸引カップD内に供給された吸引負圧を、患者体表面に作用させるためである(吸引カップDを患者体表面に固定させる必要)。吸引カップ内の吸引負圧は、吸引カップDの外周縁部D1と患者体表面との間にある衛生シートSを通って外部へ逃げることになって、外部の空気が吸引カップD内に吸い込まれる漏れが生じ、この漏れによる漏れ風量を図4矢印αで示してある。漏れ風量αが多くなり過ぎると、吸引ポンプPでの吸引能力を超えて、吸引カップD内を所定負圧以上の大きな負圧に維持することが不可能となり、吸引カップDが患者体表面から脱落してしまうことになる。このため、衛生シートSの通気性は、後述するように、吸引カップD内に維持すべき負圧の大きさと、吸引ポンプPの吸引能力とから設定する必要がある。
【0022】
衛生シートSの通気性の設定について説明すると、まず、図10に、吸引ポンプPの吸引能力を示す性能特性線が示される。また、吸引カップDを患者体表面に固定しておくには、吸引カップDの質量よりも、吸引カップD内の吸引負圧と吸引カップDの受圧面積とを乗算した値(保持力)が大きくなる必要がある。通常用いられている吸引カップDの質量や受圧面積の大きさからすれば、吸引カップDが脱落しないように固定するために必要な吸引負圧は、−0.3kPaよりも大きな負圧にする必要があり、より確実に吸引カップ得を過前記体表面に固定するには、-1.0kPa以上の負圧にするのが好ましいものである。吸引カップDの最大数使用時の個数は、実施形態では12個となる。したがって、吸引カップDを最大数使用したときでも、各吸引カップD内の負圧が所定負圧(上述のように−0.3kPa、好ましくは-1.0kPa)以上の大きな負圧に維持する必要がる。
【0023】
一方、吸引負圧を受ける吸引カップDが患者体表面に装着された状態では、吸引カップDの外周縁部D1と患者体表面との間にある衛生シートSを通して、図4符合αで示すように漏れが生じる。1つの吸引カップDからの漏れ風量をf1とすると、12個の吸引カップDからの総漏れ風量は、f1×12個の12f1となる。この総漏れ風量12f1は、少なくとも吸引ポンプPの最大風量の範囲内となるようにする必要がある。
【0024】
実施形態では、衛生シートSとして、適度の吸水性と通気性とを有するものとして、例えばハビックス製のエアーレイド不織布(製品番号JS60HB)を用いてある。このハビックス製の不織布を衛生シートSとして用いた場合で、かつ12個の吸引カップDを同時に使用したとき、個々の吸引カップDからの漏れ風量f1は1.2L/minであり、総漏れ風量12f1は、14.4L/minであった。この総漏れ風量14.4L/minは、吸引ポンプPの最大風量よりも十分に小さいものとなり、吸引ポンプPは余裕を持って12個の吸引カップDの吸引を行うことが可能である。また、個々の吸引カップD内の吸引負圧は、−23kPaであり、吸引カップDを患者体表面にしっかりと固定しておくことが可能な吸引負圧となっている。不織布を用いることにより、湿潤状態でもシート状態を維持するのが簡単であり、しかも手指によって大きな外力を与えても破れたりすることがなく、しかも吸引負圧を受けて破れる等のこともなく、取扱いの点でも好ましいものとなる。
【0025】
ちなみに、市販されている一般的な布地用の不織布、ウエス、体ふき用のウエットティシュは、それぞれ総風量が35L/minを大きく超えて、使用できないものである。また、市販のティッシュペーパは、乾燥時であれば漏れ総風量が−12.6L/minで、吸引カップD内の吸引負圧が−12.5kPaであり、漏れ総風量が大きいものの使用可能性があるが、湿潤させたときにはシート状態を維持するのに注意が必要であり、また破れやすいので、性能的には使用可能であっても、取扱いの面で難点がある。なお、ビニールシートのような通気性のないものは、吸引カップD内の吸引負圧を患者体表面に作用させることができず、また導電性を与えることも難しいので、使用不可である。
【0026】
ここで、図6には、4個の吸引カップDに対して1枚の衛生シートSを用いて、患者の腰部に電気的刺激を与えている状態が示される。使用に際しては、まず、衛生シートSを例えば水で湿潤させた後、広げた状態で患者の腰部にかぶせる。次いで、吸引カップDを図6に示すように配置する。この後、各吸引カップD内の電極10に刺激用電気信号を供給(印可)すると共に、吸引ポンプPによって各吸引カップD内を吸引する。吸引カップD内の吸引負圧は、衛生シートSを通して患者体表面に作用して、吸引カップDが患者体表面に固定された状態が確実に維持される。吸引カップD内の負圧は、衛生シートSを通して外部へ漏れ出るので、吸引ポンプPは、電気的刺激を与える設定時間の間は、運転され続ける。電気的刺激を与える設定時間が経過すると、刺激用電気信号の供給および吸引負圧の供給が停止される。この後は、吸引カップDを衛生シートS上から取除き、その後、衛生シートSを患者から取り除かれることになる。使用された衛生シートSは捨てられて、次の患者に対しては新しい衛生シートSが用いられる。
【0027】
衛生シートSとしては、図5,図6に示す他、例えば図7〜図9に示すような大きさ(形状)に設定することができる。すなわち、図7の例では、横長な長方形状として、左右2個の吸引カップDを並べて配置できるようにしたものである。使用に際しては、図7に示す横長に用いたり、図7の状態から90度回転させた縦長の状態で使用することもできる。吸引カップDは2個一対で用いられることから、2個一対用の衛生シートSは使い勝手のよいものとなる。吸引カップDを4個、6個というように数多く用いる場合は、2個の吸引カップD毎に、衛生シートSを用いればよい。
【0028】
図8に示す衛生シートSは、縦長の長方形状とされて、1列が左右2個の吸引カップDを、上下方向に3列配置できるようにしたものである(吸引カップDが合計6個)。この図8に示す衛生シートSは、縦長で用いる以外に、横長で用いることもできる。
【0029】
図9に示す衛生シートSは、横長の長方形状とされて、1列が上下2個の吸引カップDを、左右方向に6列配置できるようにしたものである(吸引カップDが合計12個で、本体Vで使用可能な最大使用数に相当)。図9に示す衛生シートSは、例えば、患者の肩から腰までの長い範囲に渡って電気的刺激を与える場合に好適となる。
【0030】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。電気的刺激装置としては、周波数が近時した複数の高周波信号の干渉によって低周波の刺激用電気信号を得るもの(干渉低周波治療器)等、適宜の形式のものとすることができる。衛生シートSは、例えば、1列が2個のものを4列配置できるもの(吸引カップ数は8個)、5列配置できるもの(吸引カップ数は10個)にしたり、例えば4個1列のものを例えば2列、3列あるいは4列配置できるもの(特に干渉低周波治療器において好ましい)等、適宜の大きさに設定できる。衛生シートSの形状は、方形に限らず、楕円形等、適宜の形状を選択することができる。衛生シートSは、1つの吸引カップD用であってもよい(この場合は、吸引カップDの外周縁部の円形形状に合わせて、円形に形成するのが好ましいが、方形であってもよい)。吸引カップDの最大使用数は、本体Vの設定に応じて、適宜変更され得るものである。また、吸引カップD内に配置される電極数は、2以上であってもよい。導電用部材30を別途用いることなく、使用時に電極10が直接衛生シートSに接触するものであってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】電気的刺激装置の一例を示す簡略側面図。
【図2】吸引カップの一例を示す側面断面図。
【図3】吸引カップと刺激用電気信号発生手段と吸引ポンプとの接続例を示す簡略系統図。
【図4】衛生シートを介して、吸引カップが患者体表面に固定されている状態を示す側面断面図。
【図5】衛生シートの一例を示す斜視図。
【図6】図5に示す衛生シートの使用状態を示す平面図。
【図7】衛生シートの別の例を示す平面図。
【図8】衛生シートの別の例を示す平面図。
【図9】衛生シートの別の例を示す平面図。
【図10】吸引ポンプの性能例を示す特性図。
【符号の説明】
【0032】
V:低周波治療器の本体
U:刺激用電気信号発生手段
P:吸引ポンプ
D:吸引カップ
S:衛生シート
1A、1B〜6A、6B:出力端子
10:電極
11:軸部材
11a:負圧通路
20:接続コード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激用の電気信号を発生する電気信号発生手段および吸引ポンプを備えた本体と、それぞれ前記電気信号発生手段に接続される電極が配設されると共に該吸引ポンプによって吸引される吸引カップと、を備えた電気的刺激装置において、
前記吸引カップと患者体表面との間に介挿され、通気性および吸水性を有する使い捨ての衛生シートを備え、
前記衛生シートは、少なくとも前記吸引カップの外周縁部を含めて吸引カップの開口側を全体的に覆うことのできる大きさに設定されており、
前記吸引カップ内を前記吸引ポンプによって吸引し続けることにより該吸引カップを前記衛生シートを介して患者の体表面に固定されると共に、前記電気信号発生手段からの電気信号が前記電極より該衛生シートを介して患者体表面に伝達される、
ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記吸引カップの最大数使用時において、該吸引カップの外周縁部から前記衛生シートを介して漏れる漏れ総風量が前記吸引ポンプで吸引可能な最大風量の範囲内になるように、かつ該各吸引カップでの最低吸引負圧が該吸引カップ内の吸引負圧と該吸引カップの受圧面積とを乗算した値が該吸引カップの質量以上となるように該衛生シートの通気性が設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記吸引カップの最大数使用時において、各吸引カップでの最低吸引負圧が−1.0kPaよりも大きな負圧となるように、該衛生シートの通気性が設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記吸引カップの最大数使用時において、前記漏れ総風量が前記吸引ポンプで吸引可能な最大風量の60%以内の範囲になるように、かつ各吸引カップでの最低吸引負圧が−15kPaよりも大きな負圧となるように、前記衛生シートの通気性が設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記衛生シートが不織布によって形成されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記衛生シートが、少なくとも2つの吸引カップを並べて配置できる大きさに設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記衛生シートが、最大数使用時での前記吸引カップを並べて配置できる大きさに設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記衛生シートとして、少なくとも2つの吸引カップを並べて配置できる大きさに設定された最小衛生シートと、最大数使用時での前記吸引カップを並べて配置できる大きさに設定された最大衛生シートと、該最小衛生シートと最大衛生シートの間の大きさに設定された中間衛生シートとが用意されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8において、
前記衛生シートが、前記吸引カップが左右2個で1列となったものが複数列並べられる大きさに設定されている、ことを特徴とする電気的刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−247596(P2009−247596A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99016(P2008−99016)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000153041)株式会社日本メディックス (28)
【Fターム(参考)】