説明

電気絶縁型スイッチング素子駆動回路および電気絶縁型スイッチング素子の駆動方法

【課題】 パルストランスを介して電力供給を行うと共に、パルスの波高値を制御することにより、パルス動作の周波数に関わらず情報伝達が可能な電気絶縁型駆動回路を提供すること。
【解決手段】 1次側回路ICαは、電源電圧出力部2を備える。電源電圧出力部2からパルストランスTRには、制御指令信号CSに応じた電圧が給電される。またパルストランスTRは、クロック信号CLKに応じてパルス動作する。よって、制御指令信号CSに応じて、パルスの波高値が変更される。2次側トランス出力信号VT2の波高値は、2次側回路ICβに備えられる比較部3および波高値検出部4により検出される。よって、2次側回路ICβでは、2次側トランス出力信号VT2に含まれる制御指令信号CSの情報を抽出するデコード動作が行われる。デコードされた制御指令信号CSに応じて、上アーム素子UAのスイッチング制御が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁型スイッチング素子駆動回路および駆動方法に関するものであり、特に、パルストランス方式の電気絶縁型駆動回路において、100%のオンデューティが可能である電気絶縁型駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータや各種のインバータ回路においては、入力回路系の基準電位とは異なる基準電位を基準として駆動されることが一般的である。そして、スイッチング素子の基準電圧とは異なる基準電圧により駆動される制御回路により、当該スイッチング素子を駆動制御するためには、電気絶縁型スイッチング素子駆動回路が用いられることが一般的である。
【0003】
この電気絶縁型スイッチング素子駆動回路としては、例えば、パルストランスの二次コイル電圧を、スイッチング素子のゲート電極に直接に印加するパルストランス型スイッチング素子駆動回路が知られている。また、トランスの二次コイル電圧を整流してスイッチング素子の制御電極駆動用の回路(駆動回路)の電源電圧とし、フォトカプラなどにより伝送された制御信号をこの駆動回路で電力増幅してスイッチング素子の制御電極に印加する、トランス型スイッチング素子駆動回路も知られている。
【0004】
図8は、特許文献1に開示されているパルストランス型スイッチング素子駆動回路200の基本回路図である。発振回路101は所定周波数f1にて発振する正弦波発振器であり、発振回路102は所定周波数f2にて発振する正弦波発振器である。パルス発生回路103は外部からのスイッチング素子駆動指令信号をパルス信号に変換する。一次コンデンサ106、コアレストランス107および二次コンデンサ108は発振回路1の発振周波数を共振周波数とする共振回路を構成している。発振回路102が選択された場合には、コアレストランス107の二次コイルの出力電圧は、発振回路101が選択された場合に比較して所定比率だけ低下する。
【0005】
発振回路101が選択された場合には検波回路110からコンパレータに送られる電圧は分圧回路111の出力電圧を超えることができるが、発振回路102が選択された場合には検波回路110からコンパレータに送られる電圧は分圧回路111の出力電圧を超えることができない。したがって、コンパレータ112は、発振回路101が選択された場合にはプッシュプルドライバ回路113を通じてMOSトランジスタ114を高周波パルス駆動されるが、発振回路102が選択された場合にはMOSトランジスタ114はオフのままとなる。しかしながら、発振回路102が選択された状態、すなわちMOSトランジスタ114の遮断が選択されている場合においても駆動回路200は電源電圧が印加されているため動作可能状態を維持しており、その後、発振回路101が選択されれば高速にMOSトランジスタ114を駆動することができる。
【0006】
尚、その他の関連技術として、特許文献2乃至4に開示されているDC−DCコンバータがある。
【特許文献1】特開2004−274262号公報
【特許文献2】特開平6−78526号公報
【特許文献3】特開2004−194450号公報
【特許文献4】特開2003−299344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のパルストランス型スイッチング素子駆動回路では、コアレストランス107に印加される交流電圧の周波数を変更し、トランスに直列接続されたコンデンサとの共振回路を利用して制御信号を駆動回路へ伝送する方法が具体的に開示されている。しかし、交流電圧の振幅を変更することで制御指令信号を伝送する方法については、開示がされていない。
【0008】
またトランスを用いた、1次側から2次側への情報伝達手段の一例については、具体的に開示がある。しかし、トランスを用いた、2次側から1次側への情報伝達方法については具体的に記載されていない。すると、2次側から1次側へ絶縁を維持したまま情報伝達する場合(例えば、2次側に備えられるセンサ等で異常発生を検知した場合に、異常発生信号を1次側やCPU等へ伝達する場合)には、フォトカプラ等の機構を新たに備える必要が生じる。この場合、電気絶縁型駆動回路の機構の簡略化・小型化・低コスト化を図ることが困難となるため問題である。また、フォトカプラ等の信頼性の低い素子を用いると、電気絶縁型駆動回路の信頼性を向上させることが出来ないため問題である。
【0009】
また一方、フォトカプラ方式のスイッチング素子駆動回路では、電源が複数必要であり、コストが高くなるため問題である。またフォトカプラは機構が複雑であり、信頼性、耐久性が低いため問題である。
【0010】
本発明は前記従来技術の課題の少なくとも1つを解消するためになされたものであり、パルストランスを介して電力供給を行うと共に、パルスの波高値を制御することにより、パルス動作の周波数に関わらず情報伝達を行うことができる電気絶縁型駆動回路を提供することを目的とする。また、パルストランス方式の電気絶縁型駆動回路において、オンデューティの限界を無くし、100%のオンデューティが可能である電気絶縁型駆動回路を提供することを目的とする。また、パルストランスを用いて、2次側から1次側へ情報を伝達することが可能である電気絶縁型駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に係る電気絶縁型駆動回路は、所定周波数信号を発生する発振器と、入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する電源電圧出力部と、電源電圧出力部から給電され、所定周波数信号に応じてパルス動作するパルストランスと、パルストランスの2次側の出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
発振器は、所定周波数信号を発生する。電源電圧出力部は、入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する。パルストランスは、電源電圧出力部から給電され、所定周波数信号に応じてパルス動作する。よって、電源電圧出力部の供給電圧に応じて、パルスの波高値が変更される。制御部は、パルストランスの2次側の出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する。
【0013】
また請求項20に係る電気絶縁型駆動回路の制御方法は、パルストランスを用いた電気絶縁型駆動回路の制御方法であって、パルストランスに所定周波数で伝達されるパルスの波高値を、入力情報に応じて変更するステップと、2次側へ伝達されたパルスの波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御するステップとを備えることを特徴とする。
【0014】
パルストランスのパルス動作によって、電力が1次側から2次側へ伝達される。このとき、パルストランスの1次側の入力信号の波高値の変化に応じて、パルストランスの2次側の出力信号の波高値が変化する。よってパルストランスを介した電力伝達と同時に、波高値を用いて、1次側から2次側へ情報伝達を行うことができる。ここで、パルス長を用いて情報伝達を行う場合には、磁気飽和が発生するため、所定周期以上の状態情報を伝達することが困難である。しかし本発明では、パルスの波高値を用いて情報伝達を行っているため、パルス動作の周波数に関わらず、パルス周期を超えるような長い状態信号であっても、情報伝達を行うことができる。よって、スイッチング素子のオンデューティを100%とすることが可能となる。
【0015】
また電源電圧出力部の出力電圧値は2種類以上の値とされ、波高値も2種類以上とされる。よって、伝達する信号の種類の数に応じて、波高値の種類を増加させれば、伝達できる情報を増加させることが可能となる。例えば波高値を2種類(2値信号)とする場合は、スイッチング素子のオン・オフを制御できる。また波高値を多値とする場合は、多段の出力を制御することができる。例えば、U、V、W相用などの、複数のスイッチング素子を備え、波高値の値に応じた相のスイッチング素子が導通制御されるとしてもよい。
【0016】
また請求項2に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、制御部は、パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、該比較部の出力信号の波高値を検出する波高値検出部とを備えることを特徴とする。
【0017】
比較部は、パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する。所定しきい値は、波高値の変化の有無を検出できるような値に設定される。波高値検出部は、比較部の出力信号の波高値を検出する。これにより、波高値に含まれる情報を抽出するデコード動作を行うことができる。よってパルス動作の周期には影響されず、パルス周期を超えるような長い状態信号であっても、2次側へ情報伝達を行うことができる。
【0018】
また請求項3に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項2に記載の電気絶縁型駆動回路において、波高値検出部は、パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、遅延部の出力信号に応じて、比較部の出力信号が取り込まれることを特徴とする。
【0019】
遅延部は、パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する。フリップフロップは、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力される。所定遅延時間の長さは、遅延部の出力信号の立上りまたは立下りエッジ応じて、パルストランスの2次側の出力信号のパルス波高値をみることができるタイミングとなるように設定される。そして遅延部の出力信号に応じて、比較部の出力信号がフリップフロップに取り込まれる。これにより、パルストランスの2次側の出力信号の波高値を検出することが可能となる。よって、パルストランスの2次側の出力信号の波高値から、情報を抽出するデコード動作が可能となる。
【0020】
また請求項4に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、電源電圧出力部は、基準電圧が入力され、入力情報に応じた電圧を出力するレギュレータを備えることを特徴とする。
【0021】
レギュレータは、基準電圧を基準として、入力情報に応じた電圧を出力する。電源電圧出力部からは、基準電圧と、レギュレータの出力電圧とのうちから、入力情報に応じた電圧が出力される。よって電源電圧出力部により、入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給することが可能となる。これにより、パルス波高値を変更することができる。また、基準電圧をレギュレートすることで、他の電圧を得ることができるため、電源電圧出力部に供給する電源は1つでよく、電源数を削減することが可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0022】
また請求項5に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項4に記載の電気絶縁型駆動回路において、電源電圧出力部は、入力電圧を降圧するレギュレータと、入力電圧を出力する出力トランジスタと、レギュレータの出力端子から、該レギュレータの出力端子と出力トランジスタの出力端子との接続ノードまでの経路上に備えられ、レギュレータから接続ノードへの方向を順方向とする第1整流素子とを備えることを特徴とする。
【0023】
レギュレータは、入力電圧を降圧する。出力トランジスタは、入力電圧を出力する。レギュレータの出力端子と出力トランジスタの出力端子とは、接続ノードで共通に接続される。第1整流素子は、レギュレータから出力ノードへの方向を順方向として、レギュレータの出力端子から出力ノードまでの経路上に備えられる。入力電圧の方がレギュレータの出力電圧よりも高いため、第1整流素子により電流の逆流が防止される。
【0024】
これにより、スイッチ素子(トランジスタ)を1つ備える構成によって、電源電圧出力部の出力を入力電圧とレギュレータの出力電圧との2段階に切り替えることが可能となる。よって、電源電圧出力部の機構を簡略化することが可能となる。
【0025】
また出力トランジスタが導通状態とされ、電源電圧出力部が入力電圧を出力している期間においては、レギュレータを停止状態にする必要がない。よって、出力トランジスタを導通状態から非導通状態にした場合に、電源電圧出力部の出力電圧を早期に入力電圧からレギュレータの出力電圧に遷移させることが可能となる。
【0026】
また請求項6に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、パルストランスにより伝達される電力を保持する電力保持部を2次側に備えることを特徴とする
【0027】
電力保持部は、2次側に備えられる。そしてパルストランスにより1次側から2次側へ伝達される電力を保持し、2次側の回路の電源として動作する。これにより、2次側の回路に対して、1次側が電源の動作をすることができるため、別途の電源を2次側の制御回路に備える必要がない。よって電源数を削減することが可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0028】
また電力保持部の構成としては、例えば、パルストランスの2次側に接続される第2整流素子と、該第2整流素子に接続されるキャパシタとを備える構成とすることができる。
【0029】
また請求項8に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する異常検出部と、電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、2次側インピーダンスの変化をパルストランスを介して検出するインピーダンス検出部と、パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、該フリップフロップの出力信号によってスイッチング素子の導通状態が制御され、異常検出部は異常を検出するとフリップフロップを非導通制御状態にし、フリップフロップの非導通制御状態に伴う2次側インピーダンスの変化をインピーダンス検出部が検出することを特徴とする。
【0030】
異常検出部は、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する。異常とは、例えば、スイッチング素子の過熱等が挙げられる。インピーダンス検出部は、電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、2次側インピーダンスの変更を、パルストランスを介して検出する。2次側インピーダンスの変更は、パルストランスの1次側の電圧値や電流値の変化を監視することで、検出することができる。比較部は、パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する。所定しきい値は、波高値の変化の有無を検出できるような値に設定される。遅延部は、パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する。フリップフロップには、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力される。フリップフロップの出力信号によって、スイッチング素子の導通状態が制御される。
【0031】
フリップフロップには、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力される。フリップフロップの出力信号によって、スイッチング素子の導通状態が制御される。異常検出部は、スイッチング素子の異常発生を検知したとき等に、フリップフロップを非導通制御状態にする。これにより、スイッチング素子が過熱・過電流状態から保護され、スイッチング素子等の破壊が防止される。またこれにより、スイッチング素子の保護のためにフリップフロップの動作を停止することに応じて、2次側のインピーダンスを変化させることができる。よって、2次側回路で検知した異常発生の情報を、2次側のインピーダンスを変化させることによって、パルストランスを介して1次側回路に報知することが可能となる。
【0032】
また請求項9に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する異常検出部と、電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、2次側インピーダンスの変化をパルストランスを介して検出するインピーダンス検出部と、電気絶縁型駆動回路の2次側における2次側インピーダンスを変更するインピーダンス変更部とを備え、インピーダンス変更部は、パルストランスの2次側に接続される少なくとも1つの電流消費経路と、該電流消費経路の導通制御を行う少なくとも1つのエラー検出トランジスタとを備え、異常検出部が異常を検出すると、インピーダンス変更部はその検出値に応じてエラー検出トランジスタを導通状態にして電流消費経路に電流を流すことで2次側インピーダンスを変更し、2次側インピーダンスの変化をインピーダンス検出部が検出することを特徴とする。
【0033】
異常検出部は、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する。インピーダンス検出部は、電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、2次側インピーダンスの変更を、パルストランスを介して検出する。インピーダンス変更部は、電流消費経路とエラー検出トランジスタとを備える。インピーダンス変更部は、2次側インピーダンスの変化量に応じて、エラー検出トランジスタを導通状態にする。すなわち、導通状態とするエラー検出トランジスタの数を増加させ、電流消費経路の数を増加させることに応じて、電気絶縁型駆動回路の2次側のインピーダンスの変化割合を大きくすることができる。これにより、2次側回路で検知した複数の情報を、2次側のインピーダンスを多段階で変化させることによって、パルストランスを介して、1次側回路に報知することが可能となる。すなわち、パルストランスを流れる電流値を複数段階に変更して、2次側から1次側へ複数の情報を伝達することが可能となる。
【0034】
また請求項10に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、発振器1つに対して入力情報は複数入力され、複数の入力情報に対応して、複数の電源電圧出力部と複数のパルストランスと複数の制御部とを備えることを特徴とする。
【0035】
発振器1つに対して、入力情報は複数入力される。複数の入力情報に対応して、電源電圧出力部、パルストランス、制御部が備えられる。これにより、1つの発振器で発生させた唯一の発振信号を用いて、複数の電源電圧出力部、パルストランス、制御部の動作を管理することが可能となる。よって、発振器を複数備えて動作させる場合に比して、制御部等において周波数ずれや位相ずれが発生する確率を低くすることが可能となる。すると、ショート発生等によりスイッチング素子が故障する事態を防止することができる。
【0036】
また請求項11に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、発振器1つに対して入力情報は複数入力され、複数の入力情報に対応して複数の電源電圧出力部と、複数の制御部と、1つのパルストランスとを備え、複数の電源電圧出力部がそれぞれ供給する2種類以上の電圧のうち少なくとも1種類は互いに異なることを特徴とする。
【0037】
発振器1つに対して入力情報は複数入力される。複数の入力情報に対応して、電源電圧出力部、制御部が複数備えられる。パルストランスは1つ備えられる。これにより、1つのパルストランスで発生するパルスの波高値は、入力情報の種類数に応じた数の波高値とされる。すなわち、複数の情報を波高値の変化として搬送波に含ませることが可能となる。そして複数の制御部では、それぞれ、複数の入力情報に応じた波高値を検出する動作が行われる。よって制御部では、複数種類の波高値を区別することで、当該搬送波に含まれる複数の情報を抽出するデコード動作を行うことができる。これにより、トランス数を減らせるため、電気絶縁型駆動回路の重量軽減、小型化、低価格化を図ることが可能となる。
【0038】
また請求項12に係る電気絶縁型駆動回路は、請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路において、パルストランスの2次側の出力信号を監視するパルス監視部を備え、パルス監視部がパルストランスの2次側の出力信号からパルスが検出されないことを検知すると、制御部がスイッチング素子をオフさせることを特徴とする。
【0039】
パルス監視部は、パルストランスの2次側の出力信号においてパルスを監視する。そして、パルストランスの2次側の出力信号からパルスが検出されないことを検知することにより、1次側に異常などが発生したことを検出する。これにより、1次側の異常などによりパルスが途絶えた場合に、スイッチング素子が導通状態を持続してしまい、破壊等が発生することを防ぐことができる。
【0040】
また請求項13に係る電気絶縁型駆動回路の1次側回路は、スイッチング素子を制御する電気絶縁型駆動回路であって、所定周波数信号を発生する発振器と、入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する電源電圧出力部とを備え、電源電圧出力部からの電圧を、所定周波数信号に応じてパルストランスへ出力することを特徴とする。
【0041】
発振器は、所定周波数信号を発生する電源電圧出力部は、入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する。電源電圧出力部からの電圧が、所定周波数信号に応じてパルストランスへ出力される。これにより、入力情報に応じた複数の種類の波高値をそなえたパルスが出力され、パルスの波高値を用いて情報伝達を行うことが可能となる。
【0042】
また請求項14に係る電気絶縁型駆動回路の1次側回路は、請求項13に記載の電気絶縁型駆動回路の1次側回路において、パルストランスの2次側インピーダンスの変化をパルストランスを介して検出するインピーダンス検出部を備えることを特徴とする
【0043】
インピーダンス検出部は、2次側インピーダンスの変化をパルストランスを介して検出する。インピーダンス検出部は、電流値や電圧値等の物理量を監視する。インピーダンス検出部の例としては、センス抵抗や、パルストランスの補助インダクタが挙げられる。またカレントトランスによる電流検出や、ホール素子による電圧検出を用いることも可能とされる。これにより、2次側で異常等が発生したことを検知することが可能となる。
【0044】
また請求項15に係る電気絶縁型駆動回路の2次側回路は、スイッチング素子を制御する電気絶縁型駆動回路であって、パルストランスの出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0045】
制御部は、パルストランスの出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する。これにより、波高値を用いることで、パルストランスを介して情報伝達を行うことができる。またパルスの波高値を用いて情報伝達を行っているため、パルス動作の周波数に関わらず、パルス周期を超えるような長い状態信号であっても、情報伝達を行うことができる。
【0046】
また請求項16に係る電気絶縁型駆動回路の2次側回路は、請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路において、パルストランスにより伝達される電力を保持する電力保持部を備えることを特徴とする。
【0047】
電力保持部は、2次側回路に備えられる。そして2次側の回路の電源として動作する。これにより、別途の電源を2次側の制御回路に備える必要がない。よって電源数を削減することが可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0048】
また請求項17に係る電気絶縁型駆動回路の2次側回路は、請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路において、回路の異常を検出する異常検出部と、パルストランスの出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、パルストランスの2次側に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、該フリップフロップの出力信号によってスイッチング素子の導通状態が制御され、異常検出部は異常を検出するとフリップフロップを非導通制御状態にすることを特徴とする。
【0049】
異常検出部は、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する。比較部は、パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する。遅延部は、パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する。フリップフロップには、遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、比較部の出力信号が入力信号として入力される。フリップフロップの出力信号によって、スイッチング素子の導通状態が制御される。異常検出部は、スイッチング素子の異常発生を検知したとき等に、フリップフロップを非導通制御状態にする。これにより、スイッチング素子が過熱・過電流状態から保護され、スイッチング素子等の破壊が防止される。またこれにより、スイッチング素子の保護のためにフリップフロップの動作を停止することに応じて、2次側のインピーダンスを変化させることができる。
【0050】
また請求項18に係る電気絶縁型駆動回路の2次側回路は、請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路において、回路の異常を検出する異常検出部と、回路のインピーダンスを変更するインピーダンス変更部とを備え、インピーダンス変更部は、パルストランスに接続される少なくとも1つの電流消費経路と、該電流消費経路の導通制御を行う少なくとも1つのエラー検出トランジスタとを備え、異常検出部が異常を検知すると、インピーダンス変更部はその検出値に応じてエラー検出トランジスタを導通状態にして電流消費経路に電流を流すことを特徴とする。
【0051】
異常検出部は、電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、2次側の異常を検出する。インピーダンス変更部は、電流消費経路とエラー検出トランジスタとを備える。インピーダンス変更部は、2次側回路のインピーダンスの変化量に応じて、エラー検出トランジスタを導通状態にする。そして電流消費経路の数を増加させることに応じて、電気絶縁型駆動回路の2次側のインピーダンスの変化割合を大きくすることができる。これにより、2次側回路で検知した複数の情報を、2次側のインピーダンスを多段階で変化させることによって、他回路へ伝達することが可能となる。
【0052】
また請求項19に係る電気絶縁型駆動回路の2次側回路は、請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路において、パルストランスの出力信号を監視するパルス監視部を備え、パルス監視部がパルストランスの出力信号からパルスが検出されないことを検知すると、制御部がスイッチング素子をオフさせることを特徴とする。
【0053】
パルス監視部は、パルストランスの出力信号においてパルスを監視する。そして、パルストランスの出力信号からパルスが検出されないことを検知することにより、パルス出力元の回路側に異常などが発生したことを検出する。これにより、パルス出力側の異常などによりパルスが途絶えた場合に、スイッチング素子が導通状態を持続してしまい、破壊等が発生することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、パルストランスを介して電力供給を行うと共に、パルスの波高値を制御することにより、パルス動作の周波数に関わらず情報伝達を行うことができる電気絶縁型駆動回路を提供することが可能となる。また、パルストランス方式の電気絶縁型駆動回路において、100%のオンデューティが可能である電気絶縁型駆動回路を提供することが可能となる。また、パルストランスを用いて、2次側から1次側へ情報を伝達することができる電気絶縁型駆動回路を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の電気絶縁型駆動回路について具体化した実施形態を図1乃至図6に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。第1実施形態を図1乃至図3に示す。図1は、第1実施形態の電気絶縁型駆動回路10の回路図である。電気絶縁型駆動回路10は、1次側回路ICα、2次側回路ICβ、パルストランスTRを備える。1次側回路ICαと2次側回路ICβとは、パルストランスTRを介して接続される。CPU11は1次側回路ICαに接続される。CPU11からは、上アーム素子UAの制御指令信号CSが出力される。1次側回路ICαの出力端子VO1は、ハーフブリッジ部20の下アーム素子DAのゲートに接続される。2次側回路ICβの出力端子VO2は、ハーフブリッジ部20の上アーム素子UAのゲートに接続される。本実施の形態では上アーム素子UA、下アーム素子DAはIGBTとする。
【0056】
1次側回路ICαは、電源電圧出力部2、デッドタイム設定部DT、発振器OSC、第1フリップフロップFF1、ドライバ回路DRVを備える。電源電圧出力部2は、レギュレータREG、トランジスタQ1、逆流防止用のダイオードD1を備える。端子VIには入力電圧Vinが入力される。端子TC1には、キャパシタC1が接続される。レギュレータREGは、入力電圧Vinを降圧電圧V1へ降圧する動作を行う。
【0057】
CPU11からは制御指令信号CSが入力される。制御指令信号CSは、インバータINV1およびデッドタイム設定部DTを介して、トランジスタQ1へ入力される。また制御指令信号CSは、デッドタイム設定部DTを介して第1フリップフロップFF1に入力される。第1フリップフロップFF1の出力信号は、ドライバ回路DRVおよび出力端子VO1を介して、下アーム素子DAのゲートに入力される。発振器OSCから出力されるクロック信号CLKは、第1フリップフロップFF1およびトランジスタQ2のゲートに入力される。
【0058】
トランジスタQ1は、電源電圧出力部2からパルストランスTRに対して出力する電圧を選択するスイッチであり、ハイレベルの制御指令信号/CSDで導通する。トランジスタQ1は、制御指令信号CSに応じて、入力電圧VinまたはキャパシタC1の電位を選択して、パルストランスTRに供給する。
【0059】
2次側回路ICβは、比較部3、波高値検出部4、ドライバ5、内部回路用電源15、ダイオードD2およびD3を備える。比較部3および波高値検出部4により、制御部6が構成される。比較部3は比較器COMPを備える。パルストランスTRの出力電圧が、抵抗素子R1およびR2によって分圧され、比較器COMPの反転入力端子に入力される。また、しきい値電位を定める基準電位e1が、非反転入力端子に入力される。
【0060】
波高値検出部4は、第2フリップフロップFF2、遅延部DLYを備える。第2フリップフロップFF2は、Dフリップフロップであり、入力端子には比較器COMPの出力が入力され、クロック端子CKには遅延部DLYの出力信号が入力される。
【0061】
ドライバ5はトランジスタQ3およびQ4を備える。トランジスタQ3とQ4とのゲートは共通接続され、出力信号FO2が入力される。またトランジスタQ3とQ4とのドレイン端子は共通に接続され、出力端子VO2に接続される。トランジスタQ3のソース端子はダイオードD3を介してパルストランスTRに接続され、トランジスタQ4のソース端子は接地される。ドライバ5の出力は、出力端子VO2を介して、上アーム素子UAのゲートに入力される。パルストランスTRの2次側トランスの出力である2次側トランス出力信号VT2は、ダイオードD2を介して、内部回路用電源15およびキャパシタC2に入力される。また2次側トランス出力信号VT2は、ダイオードD3を介してキャパシタC3に入力されると共に、ドライバ5に入力される。
【0062】
1次側回路ICαのタイミングチャート(図2)、2次側回路ICβのタイミングチャート(図3)を用いて、第1実施形態の電気絶縁型駆動回路10における動作を説明する。パルストランスTRの1次側トランスには、電源電圧出力部2によって、制御指令信号CSに応じた電圧が印加される。トランジスタQ2は、発振器OSCのクロック信号CLKにより、所定周波数でスイッチングされる。よってパルストランスTRは、クロック信号CLKに応じてパルス動作を行う。当該パルス動作により、1次側回路ICαから2次側回路ICβに対して電力供給が行われる。よって1次側回路ICαは、2次側回路ICβに対して電源となる。
【0063】
CPU11から出力される制御指令信号CSがローレベル時は、ハーフブリッジ部20の上アーム素子UAを導通状態にし、下アーム素子DAを非導通状態にすることを指令している。一方、制御指令信号CSがハイレベル時は、上アーム素子UAを非導通状態にし、下アーム素子DAを導通状態にすることを指令している。期間P1(図2)においては、CPU11から出力される制御指令信号CSがローレベルであり、上アーム素子UAを導通状態にする旨が指令されている。このとき、インバータINV1でハイレベルに反転された制御指令信号/CSが、トランジスタQ1に入力され、トランジスタQ1は導通状態とされている。すると電源電圧出力部2からは、入力電圧Vinが出力される。このときダイオードD1により電流の逆流が防止される。そして2次側トランス出力信号VT2の波高値は、入力電圧Vinに応じた波高値である波高値WH1とされている(矢印Y0)。
【0064】
時間T1において、制御指令信号CSがローレベルからハイレベルとされることで、上アーム素子UAを非導通状態にする旨が指令される場合を説明する。このとき制御指令信号/CSは、インバータINV1によってローレベルへ遷移する。制御指令信号/CSは、デッドタイム設定部DTに入力される。デッドタイム設定部DTからは、制御指令信号/CSにデッドタイム時間TTが付与されない信号である制御指令信号/CSDが出力される。そしてローレベルの制御指令信号/CSDが、電源電圧出力部2に入力される。
【0065】
電源電圧出力部2では、レギュレータREGにより入力電圧Vinが降圧電圧V1へ降圧され、降圧電圧V1がキャパシタC1に保持されている。そして時間T1において、ローレベルの制御指令信号/CSDがトランジスタQ1に入力されると、トランジスタQ1が非導通状態とされる。よって電源電圧出力部2の出力電圧は、入力電圧Vinから、キャパシタC1に保持されている降圧電圧V1へ低下する。
【0066】
これにより電源電圧出力部2は、スイッチ素子(トランジスタQ1)を1つ備える構成によって、電源電圧出力部2の出力を、入力電圧Vinと降圧電圧V1との2段階に切り替えることが可能となる。よって、電源電圧出力部2の機構を簡略化することが可能となる。またトランジスタQ1が導通状態とされ、電源電圧出力部2が入力電圧Vinを出力している期間においては、レギュレータREGを停止状態にする必要がない。よって、トランジスタQ1を導通状態から非導通状態にした場合に、電源電圧出力部2の出力電圧を早期に入力電圧Vinから降圧電圧V1に遷移させることが可能となる。
【0067】
電源電圧出力部2の出力電圧の低下に応じて、1次側トランス入力信号VT1の波高値が低下する。そして1次側トランス入力信号VT1の波高値の低下に応じて、2次側トランス出力信号VT2の波高値は、入力電圧Vinに対応する波高値WH1から、降圧電圧V1に対応する波高値WH2へ低下する(矢印Y1)。
【0068】
2次側回路ICβ側の動作を説明する。2次側トランス出力信号VT2の電圧値は、抵抗素子R1およびR2で分圧される。そして分圧された分圧電圧DVが、比較器COMPに入力される。時間T1において、2次側トランス出力信号VT2の波高値が、波高値WH1からWH2に低下することに応じて、分圧電圧DVの波高値も波高値WH1DからWH2Dへ低下する(図3、領域A10)。波高値WH2Dの値は基準電位e1以下であるため、比較器COMPから出力される比較信号CVは”0”に量子化される(矢印Y9)。
【0069】
また2次側トランス出力信号VT2は、遅延部DLYに入力される。遅延部DLYでは、2次側トランス出力信号VT2に遅延時間LTが付与される。遅延部DLYから出力される遅延クロック信号DCは、第2フリップフロップFF2のクロック端子CKに入力される。遅延時間LTの長さは、図3に示すように、遅延クロック信号DCの立ち上がりエッジが、比較信号CVのパルス波高値をみることができるタイミングとなるように設定される。よって比較信号CVがゼロとなると(矢印Y9)、遅延クロック信号DCの立ち上がりエッジに応じて、第2フリップフロップFF2はローレベルの比較信号CVを取り込んだ上で、ローレベルの出力信号FO2を出力する(矢印Y10)。すなわち第2フリップフロップFF2は、比較信号CVの波高値を検出することで、搬送波である2次側トランス出力信号VT2に含まれる制御指令信号CSの情報を抽出するデコード動作を行う。よって、2次側トランス出力信号VT2の周波数に影響されることなく、出力信号FO2を抽出することが可能となる。
【0070】
ローレベルの出力信号FO2は、ドライバ5に入力される。そしてトランジスタQ3は非導通とされ、トランジスタQ4は導通状態とされる。よってドライバ5の出力電圧VO2はローレベルとなり、上アーム素子UAは非導通とされる。
【0071】
次に、下アーム素子DAのスイッチング動作について説明する。時間T1(図2)において、制御指令信号CSがローレベルからハイレベルとされることで、下アーム素子DAを導通状態にする旨が指令される。制御指令信号CSは、デッドタイム設定部DTに入力される。デッドタイム設定部DTは、入力される制御指令信号CSにデッドタイム時間TTを付与し、付与後の信号を制御指令信号CSDとして出力する。よって時間T2において、ハイレベルへ遷移した制御指令信号CSDが、第1フリップフロップFF1に入力され、第1フリップフロップFF1の出力信号FO1は、ハイレベルへ遷移する(矢印Y2)。ハイレベルの出力信号FO1は、ドライバ回路DRVを介して、下アーム素子DAのゲートに入力され、下アーム素子DAは導通状態とされる。
【0072】
次に時間T3(図2)において、制御指令信号CSがハイレベルからローレベルとされることで、上アーム素子UAを導通状態、下アーム素子DAを非導通状態にする旨が指令される。また制御指令信号/CSは、ハイレベルへ遷移する。そして、ローレベルへ遷移した制御指令信号CSDが、第1フリップフロップFF1に入力される。すると第1フリップフロップFF1の出力信号FO1は、ローレベルへ遷移する(矢印Y3)。ローレベルの出力信号FO1は、ドライバ回路DRVを介して、下アーム素子DAのゲートに入力され、下アーム素子DAは非導通状態とされる。
【0073】
また、ローレベルの制御指令信号CSは、インバータINV1でハイレベルの制御指令信号/CSに反転された上で、デッドタイム設定部DTに入力される。そして下アーム素子DAが非導通状態とされてから(時間T3)、デッドタイム時間TT経過後において(時間T4)、デッドタイム設定部DTからは、ハイレベルに遷移した制御指令信号/CSDが出力される。ハイレベルの制御指令信号/CSDにより、トランジスタQ1は導通状態とされる。すると電源電圧出力部2の出力電圧は、降圧電圧V1から入力電圧Vinへ上昇し、1次側トランス入力信号VT1の波高値も上昇する。よって、2次側トランス出力信号VT2の波高値は、降圧電圧V1に対応した波高値WH2から、入力電圧Vinに対応した波高値WH1へ上昇する(矢印Y4)。
【0074】
時間T4において、2次側トランス出力信号VT2の波高値が、波高値WH2からWH1に上昇することに応じて、分圧電圧DVの波高値も波高値WH2DからWH1Dへ上昇する(図3、領域A11)。波高値WH1Dの値は基準電位e1以上であるため、比較器COMPから出力される比較信号CVは”1”に量子化される(矢印Y11)。そして比較信号CVが”1”となると、遅延クロック信号DCの立ち上がりエッジに応じて、第2フリップフロップFF2はハイレベルの比較信号CVを取り込んだ上で、ハイレベルの出力信号FO2を出力する(矢印Y12)。ハイレベルの出力信号FO2がドライバ5に入力されると、トランジスタQ3は導通状態とされ、トランジスタQ4は非導通状態とされる。よってドライバ5の出力電圧VO2はハイレベルとなり、上アーム素子UAは導通状態とされる。
【0075】
以上詳細に説明したとおり、第1実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10は、制御指令信号CSに応じて電源電圧出力部2の出力電圧値を変更することで、パルストランスの入出力信号の波高値を変更することができる。よってパルストランスTRを介して、1次側から2次側への電力供給と共に、情報伝達を行うことが可能となる。ここで、通常のパルストランスを用いた電気絶縁型駆動回路は、パルス長を用いて情報伝達を行う場合には、磁気飽和が発生するため、所定周期以上の状態情報を伝達することが困難である。しかし本実施形態では、パルスの波高値を用いて情報伝達を行っているため、パルス動作の周波数に関わらず、パルス周期を超えるような長い状態信号であっても、情報伝達を行うことができる。
【0076】
すなわち、上アーム素子UAのオン・オフの状態信号を、パルストランスTRを介して、パルスの波高値によって、1次側回路ICαから2次側回路ICβへ伝達できる。よってパルストランスTRのパルス動作周期に関わらず、制御指令信号CSで指令されたオン指令の時間に対して、100%のオンデューティが可能とされる。よって、パルストランス方式の電気絶縁型駆動回路において、オンデューティの限界を無くすことが可能となる。特に、モータを方形波駆動させる場合など、スイッチング時間の周期がパルス周期を超えて長くなるような制御を行う際に、本発明に係る電気絶縁型駆動回路は有効である。
【0077】
また、比較信号CVの波高値には、制御指令信号CSの情報が含まれている。また波高値検出部4では、比較信号CVの波高値(振幅)を検出することが可能である。よって、波高値検出部4により、波高値に含まれている制御指令信号CSの情報を抽出するデコード動作を行うことができる。これにより、パルストランスTRのパルス動作の周期に関わらず、制御指令信号CSを2次側に伝達することができる。
【0078】
また2次側回路ICβは、パルストランスTRにより伝達される電力を保持する電力保持部(キャパシタC2およびC3、内部回路用電源15)を備える。そして内部回路用電源15は、2次側回路ICβの動作電源となる。またキャパシタC3は、ドライバ5の電源となる。これにより、2次側回路ICβに対して、1次側回路ICαが電源の役割を行うため、別途新たな電源を2次側回路ICβに備える必要がない。よって電源数を削減することが可能となり、コスト削減を図ることができる。
【0079】
また、デッドタイム設定部DTによりデッドタイム時間TTが設定される。そして下アーム素子DAと上アーム素子UAとのスイッチング制御においては、必ず一方の素子が非導通とされてから、デッドタイム時間TT経過後において、他方の素子が導通状態とされる。よってデッドタイム時間TTの存在により、上アーム素子UAと下アーム素子DAとが同時に導通することが防止される。これにより、ハーフブリッジ部20にショートが発生し、スイッチング素子が破壊する事態を防止することが可能となる。
【0080】
第2実施形態を図4を用いて説明する。図4は、第2実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10aの回路図である。電気絶縁型駆動回路10aは、2次側回路ICβ側で上アーム部における異常発生を検出し、2次側回路ICβから1次側回路ICα側へ異常発生情報を伝達するための機構を備えた回路である。
【0081】
電気絶縁型駆動回路10aは、第1実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10に加えて、温度センサ40、保護回路41、抵抗RG、インピーダンス検出部42、センス抵抗RSを備える。抵抗RGは、上アーム素子UAのゲート端子とエミッタ端子との間に接続される。温度センサ40は、ハーフブリッジ部20の上アーム素子UAなどの異常発生を検知するためのセンサである。なお異常検出用のセンサは、温度センサに限られず、電流センサ、電圧センサ等の各種センサを用いることが可能であることは言うまでもない。温度センサ40は、保護回路41に接続される。保護回路41の出力端子は、第2フリップフロップFF2のリセット端子RSTに接続される。そして保護回路41から出力される異常報知信号ABSは、第2フリップフロップFF2に入力される。センス抵抗RSはトランジスタQ2に接続され、センス抵抗RSの両端にインピーダンス検出部42が接続される。インピーダンス検出部42から出力される検出信号DETは、CPU11に入力される。その他の構成は第1実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
電気絶縁型駆動回路10aの動作中に、上アーム素子UAで異常が発生し、温度センサ40でその異常が検知された場合を説明する。温度センサ40での異常検知に応じて、保護回路41から第2フリップフロップFF2に対して、異常報知信号ABSが出力される。異常報知信号ABSが入力されると、第2フリップフロップFF2はリセット状態とされ、出力信号FO2がローレベルで固定される。よって上アーム素子UAは、温度センサ40で異常が検出されている期間中においては、非導通状態に維持される。これにより、ハーフブリッジ部20の過電流・過熱状態の発生を防止でき、上アーム素子UA等の破壊を防止することが可能となる。
【0083】
そして上アーム素子UAが非導通状態で維持されることに伴い、例えば抵抗RGを電流が流れなくなることで、2次側回路ICβのインピーダンスが高くなるため、1次側回路ICαのセンス抵抗RSを流れる電流I1が減少し、減少量がインピーダンス検出部42で検出される。そして電流I1の減少量が所定量に達すると、インピーダンス検出部42は、2次側回路ICβで異常が検出されてハーフブリッジ部20のスイッチング動作が停止されたと判断を行う。そしてインピーダンス検出部42は、検出信号DETをCPU11に出力し、その旨をCPU11に報知する。
【0084】
以上詳細に説明したとおり、第2実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10aは、2次側回路ICβで検知した情報を、2次側のインピーダンスを変化させることによって、パルストランスTRを介して、1次側回路ICαに報知することが可能となる。また、ハーフブリッジ部の異常検知に応じて、スイッチング素子の保護のためにハーフブリッジ部の動作を停止することに応じて、2次側のインピーダンスを変化させることができる。すなわち、パルストランスTRを流れる電流値を用いて、2次側から1次側へ情報を伝達することが可能となる。よって、フォトカプラ等の、2次側から1次側へ絶縁を維持したまま情報伝達するための機構を別途新たに備える必要がない。よって電気絶縁型駆動回路10aの機構を簡略化・小型化・低コスト化を図ることが可能となる。またフォトカプラ等の信頼性の低い素子を用いる必要がなく、信頼性を向上させることが可能となる。
【0085】
なお、第2の実施形態では抵抗RGを追加して、上アーム素子UAが停止したときのインピーダンス変化が大きくなるように構成した。しかし、例えば抵抗RGが無くても、上アーム素子UAが停止したとき上アーム素子UAの電気容量分のインピーダンス変化や、2次側回路ICβのその他の部分によるインピーダンス変化が検出できればよい。また、例えば上アーム素子UAがバイポーラトランジスタの場合、抵抗RGが無くてもインピーダンス変化が大きく、インピーダンス変化の検出は容易である。つまり、上アーム素子UAが停止したときに意図的に大きいインピーダンス変化を引き起こす構成を追加しても良いし、追加しなくても良い。
【0086】
第3実施形態を、図5を用いて説明する。図5は、第3実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10bの回路図である。電気絶縁型駆動回路10bは、上アーム部における複数の異常発生を検出して、CPU11に複数の異常発生の情報を伝達するための機構を備えた回路である。
【0087】
電気絶縁型駆動回路10bは、第2実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10aに対して抵抗RGを削除し、保護回路41に替えて、保護回路41a、トランジスタQ10およびQ11、抵抗素子R10およびR11を備える。抵抗素子R10およびR11によって電流消費のための経路が構成される。抵抗素子R10の一方はパルストランスTRに、他方はトランジスタQ10に接続される。また抵抗素子R11の一方はパルストランスTRに、他方はトランジスタQ11に接続される。その他の構成は第2実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10aと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0088】
電気絶縁型駆動回路10bの動作中に、温度センサ40で異常が検知された場合を説明する。温度センサ40で検出された温度が第1レベル(要警告レベル)である場合には、保護回路41aからトランジスタQ10に対して、異常報知信号ABS1が出力され、トランジスタQ10が導通状態とされる。すると抵抗素子R10で消費される電流量に応じて、2次側回路ICβのインピーダンスが低くなるため、1次側のセンス抵抗RSで検出される電流I1が、異常報知信号ABS1に応じて増加する。電流I1の増加は、インピーダンス検出部42で検出される。そしてインピーダンス検出部42からCPU11へは、異常報知信号ABS1に応じた検出信号DET1が出力される。これによりCPU11は、保護回路41aが警告を発していることを検知し、外部にその旨を報知するなどの処置を行う。
【0089】
温度センサ40で検出された温度が第2レベル(要動作停止レベル)である場合には、保護回路41aからトランジスタQ10に対して、異常報知信号ABS1およびABS2が出力され、トランジスタQ10およびQ11が導通状態とされる。すると抵抗素子R10のみが導通している場合に比して、消費される電流量が増加するため、2次側回路ICβのインピーダンスがさらに低くなる。よって1次側のセンス抵抗RSで検出される電流I1がさらに増加する。そしてインピーダンス検出部42からCPU11へは、異常報知信号ABS2に応じた検出信号DET2が出力される。これによりCPU11は、保護回路41aが停止信号を発していることを検知し、上アーム素子UAを非導通に維持する旨の制御指令信号CSを出力する。
【0090】
以上詳細に説明したとおり、第3実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10bは、2次側回路ICβで検知した複数の情報を、2次側のインピーダンスを多段階で変化させることによって、パルストランスTRを介して、1次側回路ICαに報知することが可能となる。すなわち、パルストランスTRを流れる電流値を複数段階に変更して、2次側から1次側へ複数レベルの情報を伝達することが可能となる。
【0091】
なお、インピーダンス検出部42において、電流量の変化量と、CPU11に報知される異常報知信号ABSの内容との相関は、電気絶縁型駆動回路10aの設計仕様に応じて定めることができる。
【0092】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。本発明に係る電気絶縁型駆動回路を用いて多相モータのブリッジ回路を駆動する場合には、1次側回路ICαと2次側回路ICβとのセットを相数に応じて複数備え、それぞれの1次側回路ICαに備えられる発振器OSCにより発生するパルス(搬送波)を用いるとしてもよい。しかし、1次側回路ICαを共通にし、一つの発振器OSCから発生される搬送波を、複数の2次側回路ICβで共用する形態がより好ましい。以下説明する。
【0093】
3相モータのブリッジ回路を駆動する例を、図6に示す。第1上アームドライバ51、第2上アームドライバ52、第3上アームドライバ53は、2次側回路ICβに相当し、それぞれW、U、V相用のハーフブリッジ54乃至56に接続される。マスタドライバ50は、1次側回路ICαに相当し、3つの上アームドライバ51乃至53に対して共通に備えられる。各相のハーフブリッジ54乃至56を制御するため信号であって、互いに120°の位相ずれを有する信号である、制御指令信号CS1乃至CS3が、マスタドライバ50に入力される。マスタドライバ50には不図示の発振器OSCが1つ備えられ、当該発振器OSCから出力されるクロック信号に基づいて、パルストランスTR1乃至TR3はパルス動作を行う。
【0094】
これにより、マスタドライバ50内で発生させた唯一のクロック信号を用い、3相の上アームドライバ、3つの下アームドライバの駆動を管理することが可能となる。すると、1次側回路ICαと2次側回路ICβとのセットを3セット備えて動作させる場合に比して、周波数ずれや位相ずれが発生する確率を低くすることが可能となる。よって、ショート発生等によりハーフブリッジ回路が故障する事態を防止することができる。またデッドタイム時間のマージンを小さくでき、デッドタイム時間自体を短縮できる。よってデッドタイムに起因するモータの騒音及び脈動を低減させることや、オンデューティの向上などを実現することができる。なおマスタドライバ50は、3相モータに限られず、2相、6相、9相などの多相モータに適用できることは言うまでもない。
【0095】
また本実施形態では、トランスを介して情報伝達される情報は、ハーフブリッジのオン・オフの2値情報であるとしたが、これに限られない。情報の数に応じて、波高値を変化させることにより、多値の情報が伝達可能であることはいうまでもない。例えば図1において、3相モータを駆動させる場合を説明する。CPU11からは、位相が120°ずれた3相用の制御指令信号CS1乃至CS3が入力されるとする。1次側回路ICαには、電源電圧出力部2が3つ備えられるとする。電源電圧出力部2の各々からは、制御指令信号CS1乃至CS3に応じて、降圧電圧V1乃至V3が出力される。
【0096】
またU、V、W相用として、ハーフブリッジ部20が3つ備えられる。2次側回路ICβには、ハーフブリッジ部20に対応して、比較部3、波高値検出部4、ドライバ5がそれぞれ3つずつ備えられる。ドライバ5の出力端子の各々は、U、V、W相用のハーフブリッジの上アーム素子UAに接続される。また2次側回路ICβに3つ備えられる比較部3の参照電圧には、降圧電圧V1乃至V3に応じて、基準電位e1乃至e3が印加される。よって比較部3は、それぞれ、降圧電圧V1乃至V3に応じた波高値を検出する動作を行う。
【0097】
動作を説明する。3つの電源電圧出力部2から出力され、1次側回路ICαの1次側トランスに入力される電圧は、入力電圧Vin、降圧電圧V1乃至V3の4種類の電圧値とされる。よってパルストランスTRで発生するパルスの波高値は、入力電圧に応じた4種類の波高値とされる。すなわち、4種類の情報を搬送波に含ませることが可能となる。そして3つの比較部3では、それぞれ、降圧電圧V1乃至V3に応じた波高値を検出する動作が行われる。よって2次側回路ICβにより、2次側トランス出力信号VT2の4種類の波高値を区別でき、当該2次側トランス出力信号VT2に含まれる4種類の制御指令信号の情報を抽出するデコード動作を行うことができる。これにより、120°の位相ずれを有するU、V、W相用の制御指令信号CS1乃至CS3を、一つのトランスで2次側回路ICβに伝達することが可能となる。これにより、トランス数を減らせるため、電気絶縁型駆動回路の重量軽減、小型化、低価格化を図ることが可能となる。
【0098】
また第2実施形態および第3実施形態では、2次側回路ICβのインピーダンスの変化を1次側回路ICαで検知する機構として、センス抵抗RSおよびインピーダンス検出部42を用いるとしたが、これに限られない。パルストランスTRに備えられる補助インダクタによって、電流を監視する形態としてもよい。また、1次側回路ICαで監視する物理量は電流値に限られず、電圧値等であってもよいことは言うまでもない。またカレントトランスによる電流検出や、ホール素子による電圧検出を用いることも可能である。
【0099】
また、パルストランスのパルスが途絶えると、上アーム素子UAを停止するようにしても良い。図7に示す電気絶縁型駆動回路10cは、図4の構成にパルス監視部61を追加した構成となっている。パルス監視部61はパルストランスTRで発生するパルスを監視し、パルスが途絶えると保護回路41へ信号を出力する。保護回路41は異常報知信号ABSを第2フリップフロップFF2のリセット端子RSTに出力する。従って、上アーム素子UAを非導通状態に維持することが出来る。この構成により、1次側回路ICαの異常などによりパルスが途絶えた場合に、上アーム素子UAが導通状態を持続してしまうことを防ぐことができる。
【0100】
本実施例では、遅延部DLYは単に2次側トランス出力信号VT2に遅延時間LTを付与するだけであり、遅延クロック信号DC(図3)は波形など何も変わっていない。しかし、本発明はこの構成に限らず、波形などが変わっていてもよい。遅延クロック信号DCは2次側トランス出力信号VT2に対して同一の周波数で、2次側トランス出力信号VT2に対して遅延時間LTだけ付与されていれば、第2フリップフロップFF2のクロック信号として成立し、2次側トランス出力信号VT2に含まれる制御指令信号CSの情報を抽出できる。
【0101】
尚、クロック信号CLKは所定周波数信号の一例、ダイオードD1は第1整流素子の一例、ダイオードD2およびD3は第2整流素子の一例、保護回路41はインピーダンス変更部の一例、センス抵抗RSおよびインピーダンス検出部42はインピーダンス検出部の一例、トランジスタQ10およびQ11はエラー検出トランジスタの一例、抵抗素子R10およびR11は電流消費経路のそれぞれ一例である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10の回路図である。
【図2】1次側回路ICαのタイミングチャートである。
【図3】2次側回路ICβのタイミングチャートである。
【図4】第2実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10aの回路図である。
【図5】第3実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10bの回路図である。
【図6】マスタドライバ50を用いた電気絶縁型駆動回路の回路図である。
【図7】第3実施形態に係る電気絶縁型駆動回路10bの回路図である。
【図8】従来のパルストランス型スイッチング素子駆動回路200の基本回路図である。
【符号の説明】
【0103】
2 電源電圧出力部
3 比較部
4 波高値検出部
5 ドライバ
6 制御部
10、10a、10b 電気絶縁型駆動回路
11 CPU
15 内部回路用電源
20 ハーフブリッジ部
42 インピーダンス検出部
61 パルス監視部
ICα 1次側回路
ICβ 2次側回路
CS 制御指令信号
DLY 遅延部
DRV ドライバ回路
DT デッドタイム設定部
FF1 第1フリップフロップ
FF2 第2フリップフロップ
REG レギュレータ
TR パルストランス
TT デッドタイム時間
UA 上アーム素子
WH1、WH2、WH1D、WH2D 波高値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数信号を発生する発振器と、
入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する電源電圧出力部と、
前記電源電圧出力部から給電され、前記所定周波数信号に応じてパルス動作するパルストランスと、
前記パルストランスの2次側の出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する制御部と
を備えることを特徴とする電気絶縁型駆動回路。
【請求項2】
前記制御部は、
前記パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、
該比較部の出力信号の波高値を検出する波高値検出部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項3】
前記波高値検出部は、
前記パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、
前記遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、前記比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、
前記遅延部の出力信号に応じて、前記比較部の出力信号が取り込まれることを特徴とする請求項2に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項4】
前記電源電圧出力部は、
基準電圧が入力され、前記入力情報に応じた電圧を出力するレギュレータを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項5】
前記電源電圧出力部は、
入力電圧を降圧する前記レギュレータと、
前記入力電圧を出力する出力トランジスタと、
前記レギュレータの出力端子から、該レギュレータの出力端子と前記出力トランジスタの出力端子との接続ノードまでの経路上に備えられ、前記レギュレータから前記接続ノードへの方向を順方向とする第1整流素子と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項6】
前記パルストランスにより伝達される電力を保持する電力保持部を2次側に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項7】
前記電力保持部は、
前記パルストランスの2次側に接続される第2整流素子と、
該第2整流素子に接続されるキャパシタと
を備えることを特徴とする請求項6に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項8】
前記電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、前記2次側の異常を検出する異常検出部と、
前記電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、前記2次側インピーダンスの変化を前記パルストランスを介して検出するインピーダンス検出部と、
前記パルストランスの2次側の出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、
前記パルストランスの2次側の出力信号に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、
前記遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、前記比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、
該フリップフロップの出力信号によって前記スイッチング素子の導通状態が制御され、
前記異常検出部は異常を検出すると前記フリップフロップを非導通制御状態にし、
前記フリップフロップの非導通制御状態に伴う前記2次側インピーダンスの変化を前記インピーダンス検出部が検出することを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項9】
前記電気絶縁型駆動回路の2次側に備えられ、前記2次側の異常を検出する異常検出部と、
前記電気絶縁型駆動回路の1次側に備えられ、前記2次側インピーダンスの変化を前記パルストランスを介して検出するインピーダンス検出部と、
前記電気絶縁型駆動回路の前記2次側における2次側インピーダンスを変更するインピーダンス変更部とを備え、
前記インピーダンス変更部は、
前記パルストランスの2次側に接続される少なくとも1つの電流消費経路と、
該電流消費経路の導通制御を行う少なくとも1つのエラー検出トランジスタとを備え、
前記異常検出部が異常を検出すると、前記インピーダンス変更部はその検出値に応じて前記エラー検出トランジスタを導通状態にして前記電流消費経路に電流を流すことで前記2次側インピーダンスを変更し、
前記2次側インピーダンスの変化を前記インピーダンス検出部が検出することを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項10】
前記発振器1つに対して前記入力情報は複数入力され、
前記複数の入力情報に対応して、複数の前記電源電圧出力部と複数の前記パルストランスと複数の前記制御部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項11】
前記発振器1つに対して前記入力情報は複数入力され、
前記複数の入力情報に対応して複数の前記電源電圧出力部と、複数の前記制御部と、1つの前記パルストランスとを備え、
前記複数の電源電圧出力部がそれぞれ供給する2種類以上の電圧のうち少なくとも1種類は互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項12】
前記パルストランスの2次側の出力信号を監視するパルス監視部を備え、
前記パルス監視部が前記パルストランスの2次側の出力信号からパルスが検出されないことを検知すると、前記制御部が前記スイッチング素子をオフさせることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁型駆動回路。
【請求項13】
スイッチング素子を制御する電気絶縁型駆動回路であって、
所定周波数信号を発生する発振器と、
入力情報に応じた2種類以上の電圧を供給する電源電圧出力部とを備え、
前記電源電圧出力部からの電圧を、前記所定周波数信号に応じてパルストランスへ出力することを特徴とする電気絶縁型駆動回路の1次側回路。
【請求項14】
前記パルストランスの2次側インピーダンスの変化を前記パルストランスを介して検出するインピーダンス検出部を備えることを特徴とする請求項13に記載の電気絶縁型駆動回路の1次側回路。
【請求項15】
スイッチング素子を制御する電気絶縁型駆動回路であって、
パルストランスの出力信号の波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御する制御部を備えることを特徴とする電気絶縁型駆動回路の2次側回路。
【請求項16】
前記パルストランスにより伝達される電力を保持する電力保持部を備えることを特徴とする請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路。
【請求項17】
回路の異常を検出する異常検出部と、
前記パルストランスの出力信号と所定しきい値とを比較する比較部と、
前記パルストランスの2次側に所定遅延時間を付与して出力する遅延部と、
前記遅延部の出力信号がトリガ信号として入力され、前記比較部の出力信号が入力信号として入力されるフリップフロップとを備え、
該フリップフロップの出力信号によって前記スイッチング素子の導通状態が制御され、
前記異常検出部は異常を検出すると前記フリップフロップを非導通制御状態にすることを特徴とする請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路。
【請求項18】
回路の異常を検出する異常検出部と、
回路のインピーダンスを変更するインピーダンス変更部とを備え、
前記インピーダンス変更部は、
前記パルストランスに接続される少なくとも1つの電流消費経路と、
該電流消費経路の導通制御を行う少なくとも1つのエラー検出トランジスタとを備え、
前記異常検出部が異常を検知すると、前記インピーダンス変更部はその検出値に応じて前記エラー検出トランジスタを導通状態にして前記電流消費経路に電流を流すことを特徴とする請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路。
【請求項19】
前記パルストランスの出力信号を監視するパルス監視部を備え、
前記パルス監視部が前記パルストランスの出力信号からパルスが検出されないことを検知すると、前記制御部が前記スイッチング素子をオフさせることを特徴とする請求項15に記載の電気絶縁型駆動回路の2次側回路。
【請求項20】
パルストランスを用いた電気絶縁型駆動回路の制御方法であって、
前記パルストランスに所定周波数で伝達されるパルスの波高値を、入力情報に応じて変更するステップと、
2次側へ伝達された前記パルスの波高値を検出し、該波高値に応じてスイッチング素子を制御するステップと
を備えることを特徴とする電気絶縁型駆動回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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