説明

電気自動車の暖房用ヒータ制御装置

【課題】電気自動車の暖房用ヒータの始動を合理的に行って、バッテリ充電に支障がないようにすることを目的とする。
【解決手段】電気自動車の暖房を行うヒータ、例えばシート暖房用のシートヒータ6を制御するヒータ制御手段5と、前記電気自動車の電源となるバッテリ2の充電を制御するバッテリ充電制御手段4とを具備し、前記ヒータ制御手段5は、バッテリ充電制御手段4からの充電完了信号によりシートヒータ6への通電を開始するようにした。したがって、バッテリ2の充電が確実に、かつ速やかにできるため、実用的であり、併せて、冬季、寒冷地にあっては、プレ暖房が可能であるところから、電気自動車の使い勝手を大いに高めることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の暖房用に用いられる、例えばシートヒータなどの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の制御装置は、充電手段の稼動中であることを検出する充電検出を備え、充電手段の稼働中を検出した場合には、暖房用ユニットを作動させる制御を行うようにしていた。
【0003】
図3は、その具体的構成を示し、電気自動車の停車時、送信機101から暖房用ユニット102のON指令が出されたとき、バッテリ103が充電中であれば、AC/DCインバータ104からの電力供給により暖房用ユニット103と補助暖房装置105を作動させ、充電中でなければ、バッテリ103の残量に応じて事前暖房の可否を判断し、それが可能であれば、暖房用ユニット103と補助暖房装置105を作動させる構成を採用していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−268036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のものは、バッテリ充電中に暖房用ユニット103と補助暖房装置105を作動させる構成であるため、電流が大容量となり、限られた一般家庭のコンセントでは対応できなかった。
【0006】
そのため、電流容量がオーバしないように充電電流を制限する必要があり、バッテリ充電に時間がかかり過ぎる課題があった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決したものであって、ヒータの始動を合理的に行って、バッテリ充電に支障がないようにしたことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の、電気自動車の暖房用ヒータ制御装置は、気自動車の暖房を行うヒータを制御するヒータ制御手段と、前記電気自動車の電源となるバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御手段とを具備し、前記ヒータ制御手段は、バッテリ充電制御手段からの充電完了信号によりヒータへの通電を開始するようにした。
【0009】
これによって、一般家庭用のコンセントをバッテリの充電用にフル活用できその充電時間の短くできるとともに、ヒータへの通電もバッテリの充電に影響を与えることなく合理的に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置によれば、バッテリの充電が確実に、かつ速やかにできるため、実用的であり、併せて、冬季、寒冷地にあっては、プレ暖房が可能であるところから、電気自動車の使い勝手を大いに高めることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における電気自動車の暖房用ヒータ制御装置のブロック図
【図2】本発明の実施例2における電気自動車の暖房用ヒータ制御装置のブロック図
【図3】従来の電気自動車における暖房用ヒータ制御装置のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の気自動車の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置は、暖房を行うヒータを制御するヒータ制御手段と、前記電気自動車の電源となるバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御手段とを具備し、前記ヒータ制御手段は、バッテリ充電制御手段からの充電完了信号によりヒータへの通電を開始するようにした。
【0013】
したがって、一般家庭用のコンセントをバッテリの充電用にフル活用できその充電時間の短くできるとともに、ヒータへの通電もバッテリの充電に影響を与えることなく合理的に行うことができる。
【0014】
ヒータは、シートの暖房を行うシートヒータおよび/またはハンドルの暖房を行うハンドルヒータなどが考えられる。
【0015】
バッテリ充電制御手段は、バッテリの充電が進行して充電電流が所定値まで低下したら充電完了とする。
【0016】
ヒータ制御手段は、設定温度T1になるようにヒータへの通電を制御するとともに、バッテリ充電完了後のヒータ通電開始時には、前記設定温度T1よりも低い温度になるようにヒータへの通電を制御し、また、ヒータへの通電を開始した後、電気自動車の始動がない場合にヒータへの通電を停止するようにして、プレ暖房が効率的に行われるようにするのが望ましい。
【0017】
好ましくは、ヒータ制御手段での制御は、シートヒータおよび/またはハンドルヒータへの通電を個別に行うようにして、部位ごとの暖房温度が最適に設定されるようにしておく。
【0018】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、実施例が本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
図1は電気自動車のシートに暖房機能を持たせたもので、モータ1の電源となるバッテリ2はコンセントからなる家庭用電源3で充電され、バッテリ充電制御手段4によりその充電が制御されるようになっている。
【0020】
ヒータ制御手段5は家庭用電源3の電流を制御してシートヒータ6に供給するするとともに、先のバッテリ充電制御手段4とも連係するようにしてある。
【0021】
バッテリ2の充電のために図示しない電気自動車のプラグを家庭用電源3のコンセントに接続すると、バッテリ充電制御手段4は供給されたAC電源を所定のDC電圧に変換してバッテリ2の充電量に応じた充電電流にて充電を開始する。
【0022】
充電が完了すると、前記バッテリ充電制御手段4はヒータ制御手段5へ充電完了の信号を発信する。すると、このヒータ制御手段5は家庭用電源3のDC電圧を制御してシートヒータ6に供給して、シートの温度を高めるものである。
【0023】
実使用の観点で述べれば、夜にバッテリ2を充電して、さらに、シートヒータ6でシートを暖めておくことができ、すなわちシートを暖めることで、その輻射熱で車内をプレ暖房しておき、寒い朝に電気自動車を使用するユーザの使い勝手を大いに高めることができるものである。
【0024】
このように本実施例では、バッテリ2の充電が完了してからシートヒータ6への通電を行うようにしているので、バッテリ2の充電に影響を受けることなくシートヒータ6の作動を確実に行うことができるものである。
【0025】
バッテリ2の充電完了を検出する手段は、バッテリ充電制御手段4にバッテリ充電電流検出手段を設けておくことが考えられよう。
【0026】
すなわち、バッテリ2の充電が進行していくと、次第にその充電電流が減少する。バッテリ充電電流検出手段は前記充電電流が所定値まで達すると、バッテリ2の充電を停止し、ヒータ制御手段5へ充電完了の信号を発信する。
【0027】
ところで、シートヒータ6には、その温度を検出する温度検出手段を、ヒータ制御手段5には、前記温度検出手段で検出した温度と設定温度とを比較してシートヒータ6へ供給する電流を制御する温度比較手段をそれぞれ設けておくことが望ましい。
【0028】
すなわち、シートヒータ6の温度Tと温度比較手段で設定した温度T1を比較し、T>T1の場合はシートヒータ6への通電を断ち、T<T1の場合は通電を継続するというように制御して、同シートヒータ6の温度を所定値T1に保つようにする。
【0029】
また、バッテリ2の充電が完了してからシートヒータ6への通電を開始する際には、前記T1よりも低い温度T2とすることも考えられる。これは、無人の車内における暖房エネルギの省エネルギ化を図るためである。
【0030】
さらに、ヒータ制御手段5には、シートヒータ6への通電が開始されてから電気自動車の使用までを計時するタイマ手段を設けておくことも考えられる。
【0031】
すなわち、シートヒータ6への通電が開始されてからモータ1が作動されるまでの時間をタイマ手段で計時し、所定時間内にモータ1が作動されなかったら、ヒータ制御手段5を介してシートヒータ6への通電を停止する。
【0032】
したがって、電気自動車の長期間不使用のもとではシートヒータ6への通電が停止され、不要な電力消費を防止することができるものである。
【0033】
(実施例2)
図2は実施例2を示し、先に説明した実施例1との異なる点は、ヒータとしてシートヒータ6とハンドルヒータ7とを配置するとともに、ヒータ制御手段5でこれらシートヒータ6とハンドルヒータ7を個々に制御するようにしたところである。
【0034】
なお、図1と同作用を行う構成要件には同一符号を付し、その具体的説明は実施例1のものを援用する。
【0035】
前記構成によれば、シートとハンドルとはそれに適した暖房温度に維持されることとなり、使用者にとっては非常に使用感の良いものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように本発明の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置は、バッテリの充電が確実に、かつ速やかにできるため、実用的であり、併せて、冬季、寒冷地にあっては、プレ暖房が可能であるところから、電気自動車の使い勝手を大いに高めることができるものであり、電気自動車の寒冷地などでの実用性を大いに高めることができるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 モータ
2 バッテリ
4 バッテリ充電制御手段
5 ヒータ制御手段
6 シートヒータ
7 ハンドルヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の暖房を行うヒータを制御するヒータ制御手段と、前記電気自動車の電源となるバッテリの充電を制御するバッテリ充電制御手段とを具備し、前記ヒータ制御手段は、バッテリ充電制御手段からの充電完了信号によりヒータへの通電を開始するようにした電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。
【請求項2】
ヒータは、シートの暖房を行うシートヒータおよび/またはハンドルの暖房を行うハンドルヒータからなる請求項1記載の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。
【請求項3】
バッテリ充電制御手段は、バッテリの充電が進行して充電電流が所定値まで低下したら充電完了とする請求項1記載の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。
【請求項4】
ヒータ制御手段は、設定温度T1になるようにヒータへの通電を制御するとともに、バッテリ充電完了後のヒータ通電開始時には、前記設定温度T1よりも低い温度になるようにヒータへの通電を制御する請求項1記載の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。
【請求項5】
ヒータ制御手段は、ヒータへの通電を開始した後、電気自動車の始動がない場合にヒータへの通電を停止するようにした請求項1記載の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。
【請求項6】
ヒータ制御手段は、シートヒータおよびハンドルヒータへの通電を個別に行うようにした請求項2記載の電気自動車の暖房用ヒータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−51504(P2011−51504A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203254(P2009−203254)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】