説明

電気自動車の空気調和機

【課題】簡単な操作で送風運転が可能な電気自動車の空気調和機を提供すること。
【解決手段】電気自動車1の空気調和機10は、暖房・冷房運転により、居住空間Dの空気調和が可能な空調装置11と、居住空間Dの目標温度を設定可能に形成され、エアコンのON/OFFを行なうエアコンスイッチ26及びエアコンスイッチ26のON/OFF状態を記憶可能な記憶部14を有する設定パネル12と、空調装置11及び設定パネル12に接続され、空調装置11を作動させる制御部13と、を備え、制御部13は、空調装置11の送風運転後の冷房運転時に、記憶部14に記憶されたエアコンスイッチ26のON/OFF状態に基いて、エアコンスイッチ26のON/OFFが可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の空気調和機に関し、特に、消費電力の低減が可能なもの関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車は、車室内の環境を快適に調和し、且つ、窓ガラスの視認性を確保可能とするために、冷房、暖房、除湿、デミスト(demist)及びデフロスト等の機能を有する空気調和機が設けられている。
【0003】
内燃機関を有する自動車の空気調和機は、例えば、冷房及び除湿に冷凍サイクル装置を用い、暖房にはエンジンの廃熱やヒータを用いるものが知られている。このように、内燃機関を有する自動車の暖房には、エンジンの廃熱の利用が可能となる。なお、このような内燃機関を有する自動車に用いる空気調和機として、アイドリング時等のエンジンの廃熱量が小さいときの暖房運転において、吹き出し空気の温度低下を防止するために、冷凍サイクル装置の能力を減少させるものも知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
内燃機関を有する自動車に対し、電気自動車には、内燃機関であるエンジンは用いられず、駆動機構として走行モータをバッテリにより駆動させて動力とする。このような走行モータやバッテリ等により発生する熱は、内燃機関のそれに比べ小さく、走行モータの熱(廃熱)を暖房に用いることができない。
【0005】
このため、電気自動車の空気調和機には、バッテリに蓄えられた電気エネルギが用いられる。電気自動車の空気調和機の一例として、冷房及び除湿用に、モータにより駆動するコンプレッサを用いた冷凍サイクル装置(ヒートポンプ)が用いられるものが知られている。また、暖房用に、空気や水等の触媒を電気ヒータで熱し、温度を調節した空気をブロアファン等で送風して車内の環境を調和するものが知られている。
【0006】
また、通常時においては電力消費を抑え、乗員が希望する場合に空調能力を増大させ、所定時間経過後に、再度電力消費を抑えることで空調装置を運転させる電気自動車用空調装置も知られている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2000−185548号公報
【特許文献2】特開2000−062445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した電気自動車の空気調和機では以下の問題があった。即ち、電気自動車の空気調和機にはバッテリに蓄えられた電気エネルギが用いられるが、この電気エネルギは、走行モータの駆動にも用いられる。このため、空気調和機に電気エネルギを使用すると、電気自動車の走行距離が低減するという問題がある。
【0008】
冷暖房運転により、室内環境を調和後、室温が搭乗者の目標温度となった場合には、消費電力を低減させるために、冷房及び暖房運転を停止させることが考えられるが、居住空間内の空気が循環しないため、室内環境の低下が早い。
【0009】
また、冷暖房運転により、室内環境を調和後、電気エネルギの消費を低減させた状態(節電状態)で室内環境を維持するために、冷房及び暖房機能を停止させ、居住空間内の空気の循環を行なう送風運転が考えられる。しかし、冷房運転後に送風運転とするには、エアコンスイッチをOFFとする必要がある。また、暖房運転後に送風運転とするには、暖房運転から冷房運転へと、温度の設定を行なうダイヤルを操作し、エアコンスイッチをOFFとする必要がある。このように、送風運転とするために、設定を変える手間が大きいことから搭乗者の負担が大きく、このため、節電を行なわずに、そのまま空調装置を冷暖房運転させることもある。このため、節電がなされずに、走行距離の低減を招く虞がある。
【0010】
そこで本発明は、簡単な操作で送風運転が可能な電気自動車の空気調和機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の電気自動車の空気調和機は、次のように構成されている。
【0012】
本発明の一態様として、車両に搭載された二次電池と、この二次電池からの電力供給により、冷房運転、暖房運転及び送風運転のいずれか一を運転可能に形成されるとともに、少なくとも前記冷房運転時に前記車両の居住空間の室温を目標温度に調和可能とする冷凍サイクル装置を有する空調装置と、前記冷房運転、前記暖房運転又は前記送風運転を選択する第1設定部と、前記冷凍サイクル装置の作動を設定する第2設定部と、前記第1設定部で設定された前記冷房運転、前記暖房運転及び前記送風運転のいずれか一により前記空調装置を運転させる制御部と、前記冷凍サイクル装置の作動状態を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記空調装置の送風運転後に前記第1設定部により前記冷房運転が選択された場合に、前記冷凍サイクル装置の作動状態を、前記記憶部に記憶された前記送風運転前の前記空調装置の運転時の前記冷凍サイクル装置の作動状態と同一にすることを特徴とする電気自動車の空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な操作で送風運転が可能な電気自動車の空気調和機を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る空気調和機10を用いた電気自動車1を図1〜3を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る空気調和機10を用いた電気自動車(車両)1の構成を模式的に示す説明図、図2は同空気調和機10の設定パネル12の構成を示す正面図、図3は同空気調和機10同空気調和機10の運転制御を示す流れ図である。尚、図1中、Dは居住空間を、Eは収納空間を、Sは電気配線をそれぞれ示している。
【0015】
図1に示すように、電気自動車1は、車両本体(以下、「車体」)2と、バッテリ3と、充電器4と、駆動機構5と、空気調和機10と、を備えている。なお、電気自動車1は、車体2、バッテリ(二次電池)3、充電器4、駆動機構5及び空気調和機10以外にも各構成品、例えばEV−ECUやステアリング機構等を有しているが、ここではその説明を省略する。また、電気自動車1は、走行状態や空気調和機10の運転状態等の電気自動車1の使用状況とバッテリ3の電力残量状況から、走行可能距離を算出可能に形成されている。
【0016】
車体2は、その内部が、搭乗者や荷物等が搭乗するスペースである居住空間Dと、バッテリ3、駆動機構5及び空気調和機10等の電気自動車1の構成品を収納・設置する収納空間Eとが、仕切部6により仕切られている。この仕切部6は、例えば、床面パネルやダッシュパネル等の複数の部材により形成されている。
【0017】
バッテリ3は、例えば大容量のリチウムイオン電池等により形成されている。バッテリ3は、充電器4、駆動機構5及び空気調和機10等の各構成品とCAN−cのCANケーブル(以下「電気配線」)S等により接続され、収納空間Eに搭載されている。バッテリ3は、電気配線Sを介して駆動機構5及び空気調和機10に電気エネルギを供給(電力供給)可能に形成されている。
【0018】
充電器4は、外部、例えば家庭用電源から入力された交流電圧をバッテリ3の充電用の直流電圧に変換するインバータ等を有している。また、充電器4は、車体2外部の各種電源へと接続可能に形成されている。
【0019】
駆動機構5は、電気配線Sによりバッテリ3に接続され、モータ7と、駆動車輪8とを備えている。例えば、モータ7は、駆動指示があった場合に、バッテリ3の電気エネルギにより駆動可能に形成されている。駆動車輪8は、モータ7により駆動可能に形成されている。
【0020】
空気調和機10は、冷暖房運転により、居住空間Dの空気調和が可能な空調装置11と、空気調和運転の各種設定を行なう設定パネル12と、空調装置11及び設定パネル12に接続された空気調和機10用の制御部13と、を備えている。なお、空気調和機10は、バッテリ3の電気エネルギにより運転される。
【0021】
また、空気調和機10は、空気調和が成された空気を居住空間Dに吹き出す吹出口を複数有している。なお、複数の吹出口は、例えば、搭乗者の足元付近に吹出す吹出口、搭乗者胴部に吹出す吹出口、及び、窓ガラスに向って吹出す吹出口(デフロスタ)等がある。
【0022】
空調装置11は、居住空間Dの室温を冷暖房運転により調和可能に形成されている。空調装置11は、例えば、冷房・除湿運転時にコンプレッサをコンプレッサ駆動用モータで駆動させるヒートポンプを用いた冷凍サイクル装置(熱交換媒体、以下「エアコン」、「A/C」)11aと、暖房運転時に水を加熱させて温水とする電気温水ヒータとを備えている。空調装置11は、エアコン11aにより冷却された空気、及び、温水により熱せられた空気を、各吹出口から居住空間Dに吹出すブロアファン(以下、「ファン」)11bを有している。このファン11bは、後述するファン設定ダイヤル27により、吹出口から吹き出す風量を任意に設定可能に形成されている。なお、空調装置11の構成は、これに限定されるものではない。
【0023】
図1、2に示すように、設定パネル12は、仕切部6から居住空間Dに一部露出可能に形成され、仕切部6から居住空間D側に露出することで、居住空間Dから操作可能に配置されている。
【0024】
設定パネル12は、収納空間E側に配置された記憶部14を有している。記憶部14は、例えば、マイコン等により形成され、後述するエアコンスイッチ26のON/OFF情報、又は、エアコン11aの運転(作動)状態が記憶可能に形成されている。
【0025】
また、設定パネル12は、収納空間E、及び、電気配線S等が居住空間Dに露出しないように、仕切部6の一部を形成する化粧パネル部(以下「パネル部」)15を有している。なお、このパネル部15は、爪部等を用いて仕切部6に固定可能に形成されている。
【0026】
設定パネル12は、パネル部15に設けられた複数の設定ダイヤル16を備えている。この設定ダイヤル16は、温度設定部17と、ファン設定部18と、吹出切換部19と、を備えている。また、設定パネル12は、温度設定部17、ファン設定部18及び吹出切換部19が、電気配線Sにより制御部13と電気的に接続されている。
【0027】
温度設定部17は、MAXスイッチ21と、温度調整ダイヤル(第1設定部)22と、を備えている。例えば、温度設定部17は、MAXスイッチ21が円板状に形成され、温度調整ダイヤル22が、円環状、且つ、MAXスイッチ21の周囲を所定の角度間において回動可能に形成されている。
【0028】
MAXスイッチ21は、押圧することで空調装置11の最大(MAX)能力での運転(MAX運転)のON/OFFが可能に形成されている。MAXスイッチ21は、MAXスイッチ21の操作情報が電気配線Sを介して制御部13に伝達可能に形成されている。また、MAXスイッチ21は、その表面に、最大能力運転のON/OFFの状態を報知するMAX運転報知手段23と、MAXスイッチ21及び温度調整ダイヤル22の操作の案内を行なう第1案内表示部24と、を備えている。
【0029】
MAX運転報知手段23は、MAXスイッチ21を操作(押圧)し、MAXスイッチ21の操作による最大能力での空調装置11の運転の場合に、光によりMAX運転中であることを報知可能に形成されている。即ち、MAX運転報知手段23は、MAXスイッチ21の操作により空調装置11がMAX運転することで点灯し、空調装置11がMAX運転中であることを報知可能に形成されている。
【0030】
この状態で、再度MAXスイッチ21が操作され、空調装置11がMAX運転でなくなると、MAX運転報知手段23は消灯し、MAXスイッチ21の操作による最大能力での空調装置11の運転が行なわれていないことを報知可能に形成されている。
【0031】
第1案内表示部24は、例えば、MAXスイッチ21の上側半分側、且つ、外周縁側に印刷等により設けられ、温度調整ダイヤルの位置及び設定温度を案内する温度案内表示24aを有している。また、第1案内表示部24は、MAXスイッチ21の略中央に印刷等により設けられ、MAXスイッチ21の操作を案内するMAX運転操作案内表示24bを有している。
【0032】
温度案内表示24aは、例えば、温度調整ダイヤル22の位置により、冷房温度及び暖房温度の大まかな設定が視認可能に形成されている。詳しく述べると、温度案内表示24aは、MAXスイッチ21の頂点部を境に、左側が冷房部、右側が暖房部に分かれており、それぞれ冷房部が「C」、暖房部が「H」と記載されている。また、温度案内表示24aは、頂点部から離間するにしたがい、頂点部から略90°までその幅が徐々に広くなる円弧が冷房部及び暖房部にそれぞれ記載されている。
【0033】
MAX運転操作案内表示24bには、例えば、「PUSH MAX」が記載されており、押圧操作によりMAXスイッチ21の操作が可能であることが記載されている。
【0034】
温度調整ダイヤル22は、回動位置を視認可能な第1位置印22aが設けられている。温度調整ダイヤル22は、例えば、MAXスイッチ21の周囲を略180°回動可能に形成されている。即ち、温度調整ダイヤル22の回動は、第1位置印22aがMAXスイッチ21の頂点部を基準として、左右方向にそれぞれ略90°回動可能に形成されている。
【0035】
温度調整ダイヤル22は、居住空間Dの室温を任意の目標温度(目標室温)に設定可能に形成されている。温度調整ダイヤル22は、例えば所定の回転角度回動時に、多少の抵抗が発生することで、所定の回動位置(ポジションP)に第1位置印22aを回動及び位置することが可能に形成されている。また、温度調整ダイヤル22は、複数のポジションPを有している。
【0036】
温度調整ダイヤル22は、冷房運転時であって、居住空間Dの室温(目標室温)が一番低温(Low)となるように設定されている位置としてポジションPCLと、冷房運転時の室温が一番高温(Hi)となるように設定されている位置としてポジションPCHと、がある。
【0037】
また、温度調整ダイヤル22は、暖房運転時に温度調整ダイヤル22の操作による居住空間Dの室温(目標室温)が、一番高温(Hi)になるよう設定されている位置としてポジションPHHと、暖房運転時の室温が一番低温(Low)となるように設定されている位置としてポジションPHLがある。
【0038】
また、温度調整ダイヤル22は、これらポジションPCLとPCH、及び、ポジションPHLとポジションPHHの間に、それぞれ等間隔に複数のポジションが配置されている。即ち、温度調整ダイヤル22は、ポジションPCL〜PCH及びポジションPHL〜PHHを有している。また、ポジションPCHとポジションPHLとの間には、冷暖房運転を行なわず、送風運転のみを行なうポジションPが設けられている。
【0039】
図2中実線及び二点鎖線により示された第1位置印22aは、各ポジションPCL〜PHHを示している。なお、第1位置印22aの各ポジションPの一部は省略して記載している。
【0040】
温度調整ダイヤル22は、ポジションPCL〜PCHに回動することで、後述する制御部13がポジションPを認識して、冷房運転を実行可能、且つ、居住空間Dの室温を目標室温とするための空気調和機10からの吹き出し温度を設定可能に形成されている。同様に、温度調整ダイヤル22は、ポジションPHL〜PHHに回動することで、後述する制御部13がポジションPを認識して、暖房運転を実行可能、且つ、居住空間Dの室温を目標室温とするための空気調和機10からの吹き出し温度を設定可能に形成されている。
【0041】
また、温度調整ダイヤル22は、Pに回動することで、後述する制御部13がポジションPを認識して、ファン11bにより居住空間Dに送風を行なう送風運転を実行可能に形成されている。即ち、温度調整ダイヤル22は、第1位置印22aのポジションPにより、冷房運転、暖房運転及び送風運転の3つの空調装置11の運転を選択(設定)可能に形成されている。
【0042】
ファン設定部18は、エアコンスイッチ(第2設定部)26と、ファン設定ダイヤル27と、を備えている。例えば、ファン設定部18は、エアコンスイッチ26が円板状に形成され、ファン設定ダイヤル27が、円環状、且つ、エアコンスイッチ26の周囲を所定の角度間で回動可能に形成されている。
【0043】
エアコンスイッチ26は、押圧することでエアコン11aのON/OFF、即ち、エアコン11aの運転(作動)の切り換えが可能に形成されている。エアコンスイッチ26は、エアコンスイッチ26の操作情報が電気配線Sを介して制御部13に伝達可能に形成されている。また、エアコンスイッチ26は、その表面に、エアコンのON/OFFの状態を報知するA/C報知手段28と、エアコンスイッチ26及びファン設定ダイヤル27の操作の案内を行なう第2案内表示部29を有している。また、エアコンスイッチ26は、例えば、エアコンスイッチ26のON/OFFの情報が記憶可能に記憶部14に接続されている。
【0044】
A/C報知手段28は、エアコンスイッチ26を操作(押圧)し、エアコン11aがONの場合に、光によりエアコン11aがONであることを報知可能に形成されている。即ち、A/C報知手段28は、エアコンスイッチ26を一度操作することで点灯し、エアコン11aがONであることを報知可能に形成されている。この状態で、再度エアコンスイッチ26が操作されると、A/C報知手段28は消灯し、エアコン11aがOFFであることを報知可能に形成されている。
【0045】
第2案内表示部29は、エアコンスイッチ26表面の略上半分側、且つ、外周縁側に印刷等により設けられ、ファン設定ダイヤル27の位置及びファン11b設定を案内するファン設定案内表示29aを有している。また、第1案内表示部24は、エアコンスイッチ26の略中央に印刷等により設けられ、エアコンスイッチ26の操作を案内するA/C操作案内表示29bを有している。
【0046】
ファン設定案内表示29aは、ファン設定ダイヤル27の位置により、ファン11bの風量(吹出風量)の概略的な設定が視認可能に形成されている。詳しく述べると、ファン設定案内表示29aは、エアコンスイッチ26の略左端部(頂点部から時計回りに略270度の位置)周辺から頂点部を介して対称位置である右端部まで、記載されている。ファン設定案内表示29aは、左端部に「OFF」と表示され、この「OFF」の上方から右端部までその幅が徐々に広くなるファン11bの風量を示す円弧が表示されるとともに、「OFF」の記載の下方に「AUTO」が表示されている。
【0047】
ファン設定ダイヤル27は、回動位置を視認可能な第2位置印27aが設けられている。また、ファン設定ダイヤル27は、エアコンスイッチ26の周囲を所定の角度回動可能に形成されている。このファン設定ダイヤル27の回動は、第2位置印27aがファン設定案内表示29aに対応するエアコンスイッチ26の周囲を回動可能に形成されている。
【0048】
ファン設定ダイヤル27は、例えば、ファン設定案内表示29aの「OFF」と「AUTO」との間、及び、「OFF」とファン11bの風量を示す円弧との間を回動させる際に、多少の抵抗が発生するよう形成されている。この抵抗により、ファン設定ダイヤル27は、所定の回動位置(ポジションQ)に第2位置印27aを配置可能に形成されている。また、ファン設定ダイヤル27は、複数のポジションQを有している。
【0049】
ファン設定ダイヤル27は、第2位置印27aの位置に基いて、空調装置11により調和が成された空気の吹出風量(ファン出力)をOFF、及び、弱(Low)〜強(Hi)までの複数段に任意に設定可能、且つ、制御部13による居住空間Dの温度により自動的に吹出風量を自動設定した運転(AUTO運転)が可能に形成されている。なお、このAUTO運転は、例えば制御部13が、居住空間Dの室温と温度調整ダイヤル22による目標室温との関係から、所定の風量が予め定められ、この所定の風量に基いてファン11bを運転させる運転であるが、ここでは、その詳細は省略する。また、ファン出力は、例えば、制御部13がファン11bを作動させる電圧を変化させることで、ファン11bによる吹出風量を変化させる。
【0050】
詳しく述べると、例えば、ファン設定ダイヤル27は、ファン11bを作動させない場合(空気調和機10の停止時)の位置としてポジションQOFFがある。また、ファン設定ダイヤル27は、AUTO運転時の位置として、ポジションQAUTOがある。さらに、ファン設定ダイヤル27は、ファン出力が弱(Low)から強(Hi)までの各位置としてポジションQ〜Qがある。これら、ポジションQ〜Qの間に、それぞれ等間隔にポジションが配置されている。
【0051】
図2中実線及び二点鎖線により示された第2位置印27aは、各ポジションQAUTO〜Qを示している。なお、第2位置印27aの各ポジションQの一部は省略して記載している。
【0052】
このようなファン設定ダイヤル27は、ファン設定ダイヤル27の位置(第2位置印27aのポジションQ)の情報を、後述する制御部13に電気配線Sを介して送信可能に形成されている。例えば、ファン設定ダイヤル27は、制御部13にファン設定ダイヤル27の位置の情報を送信し、制御部13は、この情報に基いて、ファン11bを作動させる電圧を変化させて、ファン11bの運転の強弱を変更する。
【0053】
吹出切換部19は、内外気切換スイッチ30と、吹出口切換ダイヤル31と、を備えている。吹出切換部19は、例えば、内外気切換スイッチ30が円板状に形成され、吹出口切換ダイヤル31が、円環状、且つ、内外気切換スイッチ30の周囲を所定の角度回動可能に形成されている。
【0054】
内外気切換スイッチ30は、押圧することで、空気の取り入れを内気及び外気のどちらかに設定可能に形成されている。ここでは、内外気(F/R)切換スイッチ30を押圧し、ONとすることで、内気循環モード(フレッシュモード)に、再度押圧することでOFFとなり、外気導入モード(リサーキュレーションモード)に切換可能に形成されている。この内気循環モードは、居住空間D内部の空気をファン11bに取り込むとともに、再度ファン11bにより、居住空間Dに空気を送風するモードである。また、外気導入モードは、外気を取り入れてファン11bにより居住空間Dに空気を送風するモードである。
【0055】
また、内外気切換スイッチ30は、押圧することで、制御部13にその情報が電気配線Sを介して伝達可能に形成されている。また、内外気切換スイッチ30は、その表面に、内外気切換のON/OFFの状態を報知する内外気報知手段32と、内外気切換スイッチ30及び吹出口切換ダイヤル31の操作の案内を行なう第3案内表示部33と、を有している。
【0056】
内外気報知手段32は、内外気切換スイッチ30を操作(押圧)し、内外気切換スイッチ30がON(内気循環)の場合に、光が点灯し、内気循環である旨が報知可能に形成されている。即ち、内外気報知手段32は、内外気切換スイッチ30を一度操作することで内気循環モードに切り替わるとともに点灯し、内気循環であることを報知可能に形成されている。この状態で、再度内外気切換スイッチ30が操作されると、内外気報知手段32は外気導入モードに切り替わるとともに消灯し、外気取り入れであることを報知可能に形成されている。
【0057】
第3案内表示部33は、例えば、内外気切換スイッチ30の略左端部から頂点部を介して右端部まで印刷等により設けられた吹出口案内表示33aを有している。また、第3案内表示部33は、内外気切換スイッチ30の略中央に印刷等により設けられ、内外気切換スイッチ30の操作を案内する内外気操作案内表示33bを有している。
【0058】
吹出口案内表示33aは、空気調和が成された空気を吹き出す吹出口が視認可能に形成されている。例えば、吹出口案内表示33aは、左端部から、「AUTO」、「搭乗者胴部」、「搭乗者胴部及び搭乗者足元」、「搭乗者足元」、「搭乗者足元及びデフロスタ」、及び、「デフロスタ」である旨を視認可能なマークが記載されている。
【0059】
内外気操作案内表示33bは、例えば、「PUSH」及び「内気循環マーク」が記載されており、押圧操作により内外気切換スイッチ30の操作が可能であることが視認可能に記載されている。なお、内外気操作案内表示33bの「内気循環マーク」の下方に内外気報知手段32が設けられており、内外気報知手段32が点灯した際には、内気循環である旨が視認可能となっている。
【0060】
吹出口切換ダイヤル31は、回動位置を視認可能な第3位置印31aが設けられている。また、吹出口切換ダイヤル31は、例えば、内外気切換スイッチ30の周囲を所定角度回動可能に形成されている。この吹出口切換ダイヤル31の回動は、第3位置印31aが内外気操作案内表示33bに対応する内外気切換スイッチ30の周囲を回動可能に形成されている。
【0061】
吹出口切換ダイヤル31は、「AUTO」、「搭乗者胴部」、搭乗者胴部及び搭乗者足元」、「搭乗者足元」、「搭乗者足元及びデフロスタ」、及び、「デフロスタ」間を回動させる際に、多少の抵抗が発生するように形成されている。この抵抗により、吹出口切換ダイヤル31は、所定の回動位置(ポジション)に第3位置印31aを配置可能に形成されている。
【0062】
制御部13は、温度設定部17、ファン設定部18及び吹出切換部19の設定毎に異なる電圧等の信号を受信可能な構成となっている。制御部13は、これら設定パネル12からの信号に基いて、設定パネル12の各設定状態を認識可能し、設定パネル12の設定に基いた空気調和機10の運転を行なう通常制御が可能な制御機能を備えている。
【0063】
また、制御部13は、通常制御を行なう場合に、ファン設定部18のファン設定ダイヤル27のポジションQ〜Qにおいて、それぞれファン11bを作動させる電圧(以下「ファン電圧」)をV〜V(V)とすることで、ファン11bの出力を変更可能に形成されている。即ち、ファン設定ダイヤル27のポジションQを検出し、ファン11bを作動させるファン電圧を変化可能に形成されている。なお、ファン電圧は、V<Vに設定されており、ファン電圧が高くなるにつれて、ファン11bの回転数が高くなり、吹出風量が多くなる。
【0064】
このように、制御部13は、設定パネル12の設定状態に基いて行なう制御を通常制御として、通常運転(冷房運転及び暖房運転)、送風運転、及び、除湿運転を有している。以下にこれら通常制御の各運転について説明する説明する。
【0065】
制御部13の、設定パネル12の各設定状態に基いた通常制御の一例を説明する。
・通常運転
制御部13は、通常制御の一として、エアコン11aを作動させ居住空間Dの温度を調和する通常運転である冷房運転を備えている。冷房運転は、温度設定部17の温度調整ダイヤル22の第1位置印22aがポジションPCL〜PCHであり、エアコンスイッチ26がONの場合に、吹出口から吹き出される吹出温度がTCL〜TCH(℃)となるように、空調装置11を通常制御により運転可能に形成されている。ここで、冷房運転時の吹出温度TCL(℃)とTCH(℃)の関係は、TCL<TCHに設定されている。なお、吹出温度TCL〜TCHは、目標室温となるように設定されている。
【0066】
制御部13は、通常制御の一として、電気温水ヒータを作動させ居住空間Dの温度を調和する通常運転である暖房運転を備えている。暖房運転は、温度設定部17の温度調整ダイヤル22の第1位置印22aがポジションPHL〜PHHでは、暖房運転として、電気温水ヒータにより熱せられた温水の水温がTHL〜THH(℃)となるように、空調装置11を通常制御により運転可能に形成されている。なお、温水の水温THL〜THHは、吹出口から吹き出される空気により、居住空間Dの室温が目標室温となる水温Tに設定されている。
【0067】
また、制御部13は、冷房運転及び暖房運転ともに、ファン設定ダイヤル27のポジションQ〜Qに応じて、吹出口から空気を送風可能に形成されている。また、制御部13は、送風運転時において、内外気切換スイッチ30のON/OFFに基いて、内気循環モード(フレッシュモード)及び外気導入モード(リサーキュレーションモード)のいずれかで送風運転を行なう。
【0068】
・送風運転
制御部13は、通常制御の一として、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aがポジションPの場合には、居住空間D内の空気の循環及び環境維持を消費電力を低減させた状態で行なう送風運転を備えている。送風運転は、ファン設定ダイヤル27のポジションQ〜Qに応じて、吹出口から空気を送風可能に形成されている。また、制御部13は、送風運転時において、内外気切換スイッチ30のON/OFFに基いて、内気循環モード(フレッシュモード)及び外気導入モード(リサーキュレーションモード)のいずれかで送風運転を行なう。
【0069】
また、制御部13は、送風運転時において、送風運転前のエアコンスイッチ26のON/OFF状態を記憶部14に記憶させ、送風運転から冷房運転に切り換えた際に、記憶部14に記憶されたエアコンスイッチ26のON/OFFの状態に基いて、エアコンスイッチ26のON/OFFを行なう。即ち、制御部13は、送風運転から冷房運転に切り換えた際に、記憶部14に記憶されたエアコン11aの作動・非作動である作動状態に基いて、エアコン11aの作動状態(作動・非作動)を、同一にする機能を有している。
【0070】
詳しく述べると、制御部13は、空調装置11の送風運転が行なわれると、送風運転前のエアコンスイッチ26のON/OFFの状態(エアコン11aの作動状態)を記憶部14に記憶させる。また、制御部13は、送風運転後に冷房運転の指示があった場合には、送風運転前のエアコンスイッチ26のON/OFFに合わせて、エアコンスイッチ26のON/OFFを行ない、エアコン11aを作動/非作動とする。
【0071】
例えば、制御部13は、送風運転前のエアコンスイッチ26がONであり、エアコン11aが作動していた場合には、送風運転後の冷房運転時にエアコンスイッチ26をONにし、エアコン11aを作動させる。即ち、制御部13は、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aのポジションPがPCL〜PCHの場合には、エアコンスイッチ26をONとして、冷房運転を行なう。
【0072】
また、制御部13は、送風運転前のエアコンスイッチ26がOFFであり、エアコン11aが非作動(停止)していた場合には、送風運転後の冷房運転時にエアコンスイッチ26をOFFとし、エアコン11aを作動させない。即ち、制御部13は、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aのポジションPがPCL〜PCHであり、冷房運転が選択されても、エアコンスイッチ26はOFFとし、エアコン11aが非作動、且つ、ファン11bのみ作動させる所謂送風運転を行なう。
【0073】
・除湿運転
制御部13は、通常制御の一として、エアコンスイッチ26をONとして行なう除湿運転を有している。除湿運転は、エアコンスイッチ26をONとし、さらに、吹出口を吹出口切換ダイヤル31の第3位置印31aをデフロストの位置として送風運転を行なうことで、フロントガラスの曇取りや除湿が可能に形成されている。
【0074】
次に、図3の流れ図に示すように、空気調和機10の通常運転及び送風運転の動作の一例を示す。
まず、搭乗者は、通常運転として冷房運転又は暖房運転による居住空間Dの空気調和を希望した場合には、設定パネル12を操作する。制御部13は、搭乗者から通常運転の指示があると、設定パネル12の設定を認識する。ここで、設定パネル12により冷房運転又は暖房運転の指示があると、制御部13は、通常運転として、設定パネル12の設定に基いて空調装置11を運転させる(ステップST1)。例えば、この通常運転の指示としては、ファン設定ダイヤル27の第2位置印27aがOFF以外、吹出口切換ダイヤル31の第3位置印31aがデフロスタ以外、に設定される。また、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aが、ポジションP以外に位置することで、空気調和機の運転の設定が冷房運転及び暖房運転に設定されるとともに、ポジションPにより目標室温が設定される。また、このような通常運転の指示として、例えばエアコンスイッチがON、内外気切換スイッチ30がON(内気循環モード)に設定されることで、冷房運転又は暖房運転が行なわれる。
【0075】
次に、搭乗者は、空調装置11の運転により、居住空間D内が空気調和され、体感温度が適温となった場合に、消費電量の低減をさせるために送風運転の指示を制御部13に行なう(ステップST2)。例えば、送風運転の指示としては、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aをポジションPに位置させることで送風運転が設定される。制御部13は、温度調整ダイヤル22の第1位置印22aがポジションPとなり、送風運転の指示があると、エアコンスイッチ26をOFFとし、送風運転を行なう(ステップST3)。また、制御部13は、送風運転を行なうと共に、記憶部14に送風運転前の通常運転時のエアコンスイッチ26の状態を記憶させる。ここでは、送風運転前の通常運転時のエアコンスイッチ26は、ONであったため、記憶部14にエアコンスイッチ26がONであった旨が記憶される。
【0076】
制御部13は、送風運転を行いながら、温度調整ダイヤル22の操作の監視を行なう(ステップST4)。なお、通常運転中において、温度調整ダイヤル22の操作が行なわれ無い場合(ステップST4のNO)には、送風運転が継続して行なわれる(ステップST3)。
【0077】
送風運転中において、温度調整ダイヤル22の操作がなされた場合(ステップST4のYES)には、制御部13は、操作が成された温度調整ダイヤル22のポジションPを検出する(ステップST5)。温度調整ダイヤル22のポジションPがPCL〜PCHの場合(ステップST5のYES)には、制御部13は、通常運転による冷房運転として空調装置11を運転させる(ステップST6)。このとき、制御部13は、送風運転前のエアコンスイッチ26の状態を記憶部14から読み出すとともに、エアコンスイッチ26の除津合いを送風運転前のエアコンスイッチ26の状態と同一とする。即ち、制御部13は、送風運転前のエアコンスイッチ26がONであった旨を記憶部14から読み出すと共に、エアコンスイッチ26をONとし、温度調整ダイヤル22に基いて空調装置11を運転させる。
【0078】
なお、検出した温度調整ダイヤル22のポジションPがPHL〜PHHの場合(ステップST5のNO)には、制御部13は、通常運転による暖房運転として空調装置11を運転させる(ステップST7)。このとき、制御部13は、送風運転前のエアコンスイッチ26の状態に係らず、エアコンスイッチ26はOFFの状態を維持し、温度調整ダイヤル22に基いて空調装置11を運転させる。
【0079】
このように構成された空気調和機10を用いた電気自動車1によれば、温度調整ダイヤル22に送風運転を行なうポジションPを設けたことで、第1位置印22aをポジションPとすることで、容易に送風運転とすることが可能となる。
【0080】
また、空気調和機10は、記憶部14に記憶された送風運転前のエアコンスイッチ26のON/OFFに基いて、送風運転後の冷房運転時に、エアコンスイッチ26のON/OFFが可能となる。即ち、エアコンスイッチ26がONであった場合には、送風運転後の冷房運転時において、自動的にエアコンスイッチ26をONとすることが可能となり、送風運転後の冷房運転の設定が容易となる。即ち、エアコンスイッチ26ON後の送風運転と冷房運転との切換は、温度調整ダイヤル22を切り換えるだけでよいため、送風運転と冷房運転との操作性が良い。このため、夏場等の、冷房運転を行なう場合には、居住空間Dの室温が適温に調和されたら、冷房運転と節電効果の高い送風運転との切換が容易となり、消費電力を低減させることが可能となる。これにより、電気自動車1の走行距離を向上させることが可能となる。
【0081】
また、送風運転後の暖房運転時には、送風運転前にエアコンスイッチ26がONであったとしても、エアコンスイッチ26をOFFとすることで、エアコンスイッチ26の消し忘れを防止するとともに、無駄な電気エネルギの消費を防止することが可能となる。
【0082】
このような、暖房運転時のエアコンスイッチ26のONは、例えば、冬場であって、雨雪時に、車内湿度の上昇等により、フロントガラス等の窓面の曇りを取るときに暖房運転時の除湿として行なうことがある。しかし、一度除湿をすることで、その後、窓の曇りをある程度は防止することが可能となるため、暖房運転により空気調和を行なった後、送風運転を行い、再度暖房運転を行なった際には、除湿を行なう必要が無い場合が多い。しかし、送風運転後の暖房運転時において、エアコンスイッチ26を自動でONとすると、必要のない除湿を行うため、消費電力が増大することとなる。
【0083】
しかし、空気調和機10のように、送風運転前にエアコンスイッチ26がONであっても、送風運転後の暖房運転時には、エアコンスイッチ26をOFFとすることで、消費電力の低減が可能となるとともに、エアコンスイッチ26の消し忘れを防止することとなる。このため、消費電力を低減するとともに、電気自動車1の走行距離を向上させることが可能となる。
【0084】
上述したように、空気調和機10を用いた電気自動車1によれば、温度調整ダイヤル22を回動させるだけで、節電効果の高い送風運転を行なうことが可能となる。また、送風運転後の冷房運転に、記憶部14に記憶されたエアコンスイッチ26の状態に基いてエアコンスイッチ26のON/OFFを行なうことで、通常制御の各運転の設定が容易となる。このように、居住空間Dの室温等の環境に基いて、搭乗者が消費電力を低減するための各運転の切換が容易となり、操作性が向上することとなる。
【0085】
これにより、搭乗者による設定パネル12の操作の負担を低減することとなり、居住空間Dの環境に基いて設定パネル12の設定が容易にできるため、消費電力を低下することが可能となる。このため、空気調和機10に使用される電気エネルギの消費を低減させることとなり、電気自動車1の走行距離を向上させることが可能となる。
【0086】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上述した例では、空気調和機10の設定パネル12は、設定ダイヤル16の温度調整ダイヤル22が、略180°回動可能に形成されているとしたが、回動可能な範囲は、例えば120°でもよい。
【0087】
また、上述した例では、設定ダイヤル16は、回動可能とすることで、各種設定を行なうとしたが、直線的にスライドすることで設定可能な設定ダイヤルでもよい。即ち、空気調和機10の運転の設定が可能であれば、適宜設定可能である。
【0088】
また、上述した例では、温度調整ダイヤル22を操作することで、居住空間Dの室温を任意の目標室温に設定するとしたが、この目標室温は、搭乗者が希望する目標温度であれば目標吹出温度でもよい。目標温度を目標吹出温度とし、温度調整ダイヤル22を操作することで、吹出口から吹き出される空気の目標吹出温度を設定可能としてもよい。即ち、温度調整ダイヤル22は、電気自動車1の搭乗者(使用者)が希望する目標温度を任意に設定可能とすることで、搭乗者が希望する目標温度に空気調和が可能であればよい。
【0089】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空気調和機を用いた電気自動車の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同空気調和機の設定パネルの構成を示す正面図。
【図3】同空気調和機の運転制御を示す流れ図。
【符号の説明】
【0091】
1…電気自動車、2…車両本体(車体)、3…バッテリ、4…充電器、5…駆動機構、6…仕切部、7…モータ、8…駆動車輪、10…空気調和機、11…空調装置、11a…冷凍サイクル装置(エアコン)、11b…ファン、12…設定パネル、13…制御部、14…記憶部、15…化粧パネル部(パネル部)、16…設定ダイヤル、17…温度設定部、18…ファン設定部、19…吹出切換部、21…MAXスイッチ、22…温度調整ダイヤル(第1設定部)、22a…第1位置印、23…MAX運転報知手段、24…案内表示部、24a…温度案内表示、24b…MAX運転操作案内表示、26…エアコンスイッチ(第2設定部)、27…ファン設定ダイヤル、27a…第2位置印、28…A/C報知手段、29…案内表示部、29a…ファン設定案内表示、29b…A/C操作案内表示、30…内外気切換スイッチ、30…再度内外気切換スイッチ、31…吹出口切換ダイヤル、31a…第3位置印、32…内外気報知手段、33…案内表示部、33a…吹出口案内表示、33b…内外気操作案内表示、D…居住空間、E…収納空間、S…CANケーブル(電気配線)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された二次電池と、
この二次電池からの電力供給により、冷房運転、暖房運転及び送風運転のいずれか一を運転可能に形成されるとともに、少なくとも前記冷房運転時に前記車両の居住空間の室温を目標温度に調和可能とする冷凍サイクル装置を有する空調装置と、
前記冷房運転、前記暖房運転又は前記送風運転を選択する第1設定部と、
前記冷凍サイクル装置の作動を設定する第2設定部と、
前記第1設定部で設定された前記冷房運転、前記暖房運転及び前記送風運転のいずれか一により前記空調装置を運転させる制御部と、
前記冷凍サイクル装置の作動状態を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記空調装置の送風運転後に前記第1設定部により前記冷房運転が選択された場合に、前記冷凍サイクル装置の作動状態を、前記記憶部に記憶された前記送風運転前の前記空調装置の運転時の前記冷凍サイクル装置の作動状態と同一にすることを特徴とする電気自動車の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−111360(P2010−111360A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287977(P2008−287977)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】