説明

電気自動車充電システム

【課題】 一時的に電流の供給が停止しても充電再開時は確実に充電を実施できる電気自動車充電システムを提供する。
【解決手段】 分電盤1の主幹ブレーカ12を流れる電流を測定する変流器14と、分電盤1から電気自動車2へ至る充電路を開閉する開閉接点部を有し、電気自動車充電中に変流器14が所定の第1の電流閾値を越える過電流を検出したら開閉接点部16を開操作する充電制御装置4を有し、過電流検出を受けて充電制御装置4が開閉接点部16を開操作(P1点)した後、開閉操作部16の操作で閉操作(P2点)されても充電路に電流が流れない場合は、充電制御装置4が開閉接点部16を開に切り替え(P3点)、一定時間が経過したら再度閉操作する(P4点)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅において電気自動車を充電するための電気自動車充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、一般住宅において家庭用電源を使用して電気自動車を充電する充電システムの普及が進んでいる。このような充電システムは、通常電力の使用の少ない、また電力料金が安く設定されている夜間に充電する設定が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−115038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電力使用量の少ない夜間であっても、深夜温水器やIHクッキングヒータ等の大きな電力を必要とする機器が同時に稼働すると電力使用量が増大して住宅の定格容量を超え、主幹ブレーカ或いは電流制限器が遮断動作する事態が考えられる。
このような事態を避ける必要があるため、充電中に住宅で使用する電流を計測して家庭全体の使用電流が電力会社との契約電流量或いは主幹ブレーカの定格に近づいたら電気自動車の充電を一時的に停止させて使用電流を下げるシステムが考えられるが、一時的ではあっても充電を停止することで、電気自動車はエネルギーの消費を抑えるスリープモードに移行する場合がある。このようなモード切り替えを行う電気自動車は、モード切替時は充電操作を一時的に受け付けないブランク時間が発生し、再充電がスムーズに行われない状況の発生が考えられた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、一時的に電流の供給が停止しても充電再開時は確実に充電を実施できる電気自動車充電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、家屋に引き込んだ商用電源を使用して電気自動車を充電するための電気自動車充電システムであって、分電盤の主幹ブレーカを流れる電流を測定する電流測定手段と、前記分電盤から電気自動車へ至る充電路を開閉する開閉接点部と、前記充電路の電流を検出する電流センサと、電気自動車充電中に前記電流測定手段が所定の第1の電流閾値を越える過電流を検出したら前記開閉接点部を開操作する充電路制御部と、前記開閉接点部を手動で開閉操作する開閉操作部とを有し、前記過電流検出を受けて前記充電路制御部が前記開閉接点部を動作させた後、前記開閉操作部の操作で閉操作されても前記充電路に電流が流れない場合は、前記充電路制御部が前記開閉接点部を開に切り替え、一定時間が経過したら再度閉動作させることを特徴とする。
この構成によれば、スリープモードへの切替動作中等の充電できない電気自動車のブランク時間帯に充電開始操作を行った場合でも、充電電流の状態からそれを認識し、閉じた開閉接点部を一旦開に切り替えて再度閉動作させるため、ブランク時間帯を避けて再度充電操作が行われる。よって、確実に充電が再開される。
【0007】
請求項2の発明は、家屋に引き込んだ商用電源を使用として電気自動車を充電するための電気自動車充電システムであって、分電盤の主幹ブレーカを流れる電流を測定する電流測定手段と、前記分電盤から電気自動車へ至る充電路を開閉する開閉接点部と、前記充電路の電流を検出する電流センサと、電気自動車充電中に前記電流測定手段が所定の第1の電流閾値を越える過電流を検出したら前記開閉接点部を開動作させ、その後電路電流が前記第1の電流閾値より小さい所定の第2の電流閾値を下回る値となったら前記開閉接点部を閉動作させる充電路制御部とを有し、前記充電路制御部は、前記開閉接点部を閉動作させた際に前記充電路に電流が流れない場合は、前記開閉接点部を開に切り替えると共に一定時間が経過したら再度閉動作させることを特徴とする。
この構成によれば、スリープモードへの切替動作中等の充電できない電気自動車のブランク時間帯に充電が再開された場合でも、充電電流の状態からそれを認識し、閉じた開閉接点部を一旦開に切り替えて再度閉動作させるため、ブランク時間帯を避けて再度充電操作が行われる。よって、確実に充電が再開される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スリープモード切替動作中等の充電ができない電気自動車のブランク時間帯に電気自動車の充電が再開された場合でも、充電電流の状態からそれを認識し、閉じた開閉接点部を一旦開に切り替えて再度閉動作させるため、ブランク時間帯を避けて再度充電操作が行われる。よって、確実に充電が再開される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電気自動車充電システムの一例を示す構成図である
【図2】充電制御装置の回路ブロック図である。
【図3】充電停止から充電再開に至るタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る電気自動車充電システムの一例を示す構成図であり、1は商用電源からの引き込み線L1が接続されて家庭用電源を管理する分電盤、2は電気自動車、3は家庭内で使用する電流を監視する電流監視装置、4は電気自動車2への充電を制御する充電制御装置、5は充電ケーブル6を介して電気自動車2を接続する充電ボックスである。
【0011】
分電盤1には、電力会社との契約電流を越えたら遮断動作する電流制限器11、過電流や漏電が発生したら遮断動作する主幹ブレーカ12、家庭内の各種電気機器が接続される分岐ブレーカ13,13・・、家庭で使用される電流を測定するための変流器14等が組み付けられている。
引き込み線L1が接続された電流制限器11の二次側は主電路L2により主幹ブレーカ12の一次側に接続され、主幹ブレーカ12の二次側は主電路L2を構成する銅バーにより個々の分岐ブレーカ13,13・・に接続されている。変流器14は電流制限器11の一次側に配置されて、引き込み線L1(及び主電路L2)を流れる電流を検出する。充電制御装置4は1つの分岐ブレーカ13の二次側に接続された電線L3が接続され、二次側が電線L4を介して充電ボックス5に接続されている。これら電線L3,L4、そして充電ケーブル6は電気自動車2を充電するための充電路を構成している。
尚、変流器14は家庭で使用される全体の電流を検出できれば良く、電流制限器11の二次側であっても良いし、主幹ブレーカ12の二次側であっても良い。
【0012】
電流監視装置3は、変流器14の電流情報を基に充電制御装置4に制御信号を出力する。具体的に、CPUを内蔵して電流制限器11が作動する電流値より僅かに小さい80〜90%の電流値に設定された第1の電流閾値と、第1の電流閾値より十分小さい例えば50%の電流値に設定された第2の電流閾値とが設けられ、変流器14が検出した電流値が第1の電流閾値を越えたら充電停止信号を充電制御装置4に出力し、第2の電流閾値を下回ったら充電開始信号を出力する。この制御信号は、信号線L5により電流制御装置4に伝送される。
【0013】
充電ボックス5は、車庫等に設置され、電気自動車2を充電するための充電ケーブル6を接続するコンセント(図示せず)を備えている。
【0014】
図2は充電制御装置4の回路ブロック図を示している。この図2に示すように、充電制御装置4は、充電路を開閉操作する例えばパワーリレーから成る開閉接点部16、充電路を流れる電流を検出する電流センサ17、開閉接点部16の作動時刻や動作タイミングを管理するタイマ回路18、開閉接点部16を制御するCPUから成る開閉制御部19、警報音を発するブザー20、開閉接点部16を手動操作するための操作部21等を備えている。
【0015】
このように構成された電気自動車充電システムの動作は以下のようである。図3は充電停止から充電再開に至る開閉接点部16と電気自動車2の充電状態と電気自動車2のモードとの関係を示すタイミングチャート図であり、この図を参照して説明する。
尚、図3に示すP1〜P4は開閉接点部16の切替動作点を示し、P1は開動作する点、P2は閉動作する点、P3は開動作する点、P4は閉動作する点をそれぞれ示している。
【0016】
先ず、充電ボックス5に充電ケーブル6を介して電気自動車2が接続されて、タイマ回路18が予めセットされた所定のスタート時刻になったら、或いは操作部21が開始操作(開閉接点部16の閉操作)されたら、開閉制御部19の制御により開閉接点部16が閉動作して充電が開始される。その後、タイマ回路18が予めセットされた所定の充電終了時刻になったら、或いは操作部21が終了操作(開閉接点部16の開操作)されたら充電は終了する。
【0017】
この充電動作中において、電流監視装置3は変流器14により主電路L2の電流を監視し、主電路L2に流れる電流が第1の電流閾値を超える過電流を検出したら、充電制御装置4に対して充電停止信号を出力する。この充電停止信号を受信した開閉制御部19は、開閉接点部16を開動作させて電気自動車2への充電を停止させる(P1点)。このとき、ブザー20が警報音を鳴動する。
【0018】
一方、充電モード状態にあった電気自動車2は、充電停止を受けて一定時間(ここでは5分とする)T1が経過したら電力の消費を最小限にするために通常スリープモードに移行する。このスリープモードへの移行は、1秒程度移行時間を要し、この間はブランク時間となり充電電圧が印加されても反応せず充電を実施しない。図3においてΔTはこの移行時間を示している。
【0019】
そのため、充電が停止されてからスリープモードに移行する時間と同じ5分経過後に主電路L2の電流が第2の電流閾値以下まで低下して、開閉制御部19が開閉接点部16を閉動作させると、スリープモード移行のタイミングと充電再開のタイミングが一致して充電が開始されない事態が発生する。
これは手動操作の場合も同様であり、充電が停止してからスリープモード移行のタイミングで操作部21を充電開始操作した場合、充電が開始されない事態が発生することになる。
【0020】
開閉制御部19は、開閉接点部16を閉動作(P2点)させても電流センサ17が充電電流を検知せず、その時間が一定時間(例えば、60秒)T2継続したら、開閉接点部16を開動作させて(P3点)、電気自動車2への電圧の印加を停止させる。
その後、一定時間(例えば、5秒)T3が経過したら再度開閉接点部16を閉動作させる(P4点)。この段階では、スリープモードへの移行が完了しているため、電気自動車2は印加電圧を検知して充電が再開される。
【0021】
このように、スリープモード切替動作中等の充電ができないブランク時間帯に電気自動車2の充電を再開した場合でも、充電電流の状態からそれを認識し、閉じた開閉接点部16を一旦開に切り替えて再度閉動作させるため、ブランク時間帯を避けて再度充電操作が行われる。よって、確実に充電を再開できる。
また、主電路L2の電流を監視して充電を再開する自動再開の場合でも、手動操作により再開する場合でも、充電路の電流の有無を監視して開閉接点部16が開閉制御されるので、手動/自動に拘わらず確実に充電を再開できる。
【0022】
尚、上記実施形態では、第2の電流閾値を設けて電流がこの値を下回ったら充電を再開する制御を実施しているが、第2の電流閾値は設けず、充電再開は操作部21の操作のみで実施してもよい。
また、分電盤1は電流制限器11を備えた構成としているが、電流制限器11を備えていない場合は主幹ブレーカ12の定格電流を基準に第1の電流閾値、及び第2の電流閾値を設定すれば良い。また、操作部21を充電制御装置4に設けているが、充電ボックス5に設けても良い。
更に、電流監視装置3と充電制御装置4とで充電路の状態を管理しているが、両者は一体に構成しても良い。
【符号の説明】
【0023】
1・・分電盤、2・・電気自動車、3・・電流監視装置(充電路制御部)、4・・充電制御装置、11・・主幹ブレーカ、14・・変流器(電流測定手段)、16・・開閉接点部、18・・タイマ回路、19・・開閉制御部(充電路制御部)、21・・操作部(開閉操作部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋に引き込んだ商用電源を使用して電気自動車を充電するための電気自動車充電システムであって、
分電盤の主幹ブレーカを流れる電流を測定する電流測定手段と、
前記分電盤から電気自動車へ至る充電路を開閉する開閉接点部と、
前記充電路の電流を検出する電流センサと、
電気自動車充電中に前記電流測定手段が所定の第1の電流閾値を越える過電流を検出したら前記開閉接点部を開操作する充電路制御部と、
前記開閉接点部を手動で開閉操作する開閉操作部とを有し、
前記過電流検出を受けて前記充電路制御部が前記開閉接点部を動作させた後、前記開閉操作部の操作で閉操作されても前記充電路に電流が流れない場合は、前記充電路制御部が前記開閉接点部を開に切り替え、一定時間が経過したら再度閉動作させることを特徴とする電気自動車充電システム。
【請求項2】
家屋に引き込んだ商用電源を使用として電気自動車を充電するための電気自動車充電システムであって、
分電盤の主幹ブレーカを流れる電流を測定する電流測定手段と、
前記分電盤から電気自動車へ至る充電路を開閉する開閉接点部と、
前記充電路の電流を検出する電流センサと、
電気自動車充電中に前記電流測定手段が所定の第1の電流閾値を越える過電流を検出したら前記開閉接点部を開動作させ、その後電路電流が前記第1の電流閾値より小さい所定の第2の電流閾値を下回る値となったら前記開閉接点部を閉動作させる充電路制御部とを有し、
前記充電路制御部は、前記開閉接点部を閉動作させた際に前記充電路に電流が流れない場合は、前記開閉接点部を開に切り替えると共に一定時間が経過したら再度閉動作させることを特徴とする電気自動車充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−106378(P2013−106378A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246751(P2011−246751)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】