説明

電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法

【課題】複数の電気自動車を保有する利用者(団体や個人)が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置(電気自動車充電器)を備えた立体駐車場に駐車している場合に、出庫させる電気自動車を適切に定めることができる電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法を提供する。
【解決手段】充電器制御装置21が、各電気自動車の充電率を駐車場制御装置12に送信すると、各電気自動車の充電率がカード読取り機11の表示部に表示され、利用者が各電気自動車の充電率と走行予定距離に応じてどの電気自動車を使用するかをカード読取り機11の表示画面で選択すると、駐車場制御装置12がその電気自動車を出庫するように、駐車場機械装置13に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車充電装置を備えた立体駐車場における電気自動車の出庫制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、機械式立体駐車場(以下、立体駐車場)においては、カード等で特定番号の自動車を指定して出庫させるようになっている。そのような出庫制御のシステム構成と、出庫時の信号の流れを図2に示す。
【0003】
図2に示すように、この出庫制御システムは、カード読取り機11と駐車場制御装置12と駐車場機械装置13とで構成されている。そして、駐車場制御装置12は、カード読取り機11より特定番号の自動車を出庫するための信号を受け取り、駐車場機械装置13に対して当該特定番号の自動車の出庫指示を出す。このような出庫制御は、自動車が通常のガソリン車であっても電気自動車であっても変わらない。
【0004】
しかしながら、電気自動車の場合は、ガソリン自動車やディーゼル自動車のような短時間での燃料補給(充電)を行うことができないことや、充電のための設備も未整備であることから、そのことが電気自動車充電装置(電気自動車充電器)を備えた立体駐車場における出庫制御の制約になっている。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、電気自動車充電器を備えた立体駐車場において、電気自動車の出庫予定時刻を考慮して充電計画を立てることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−209707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、複数の電気自動車を保有する会社や個人が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置(電気自動車充電器)を備えた立体駐車場に駐車している場合に、前記特許文献1記載のような、電気自動車の出庫予定時刻を考慮した充電計画を立てておき、それに基づいて、電気自動車の出庫を制御することが考えられる。
【0008】
しかし、実際には、その方法を実施するのは難しい。例えば、営業活動で顧客の急な要望に応じる場合等には、事前に出庫予定時刻を決めることはできないし、所有する全ての電気自動車が常に満充電であればよいが、そうとは限らないからである。また、満充電の電気自動車を近距離の利用にも使用するような運用をすると、遠距離の利用に使用する電気自動車が手当できない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、複数の電気自動車を保有する利用者(団体や個人)が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置(電気自動車充電器)を備えた立体駐車場に駐車している場合に、出庫させる電気自動車を適切に定めることができる電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0011】
[1]複数の電気自動車を保有する利用者が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置を備えた立体駐車場に駐車している場合に、各電気自動車の充電状態に基づいて、出庫させる電気自動車を決定することを特徴とする電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法。
【0012】
[2]電気自動車の走行予定距離が近距離の場合には充電量が少ない電気自動車を出庫させ、電気自動車の走行予定距離が遠距離の場合には充電量が多い電気自動車を出庫させることを特徴とする前記[1]に記載の電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、複数の電気自動車を保有する利用者(団体や個人)が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置を備えた立体駐車場に駐車している場合に、それらの電気自動車の中から出庫させる電気自動車を適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における出庫制御のシステム構成を示す図である。
【図2】通常の立体駐車場における出庫制御のシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、複数の電気自動車を保有する利用者(団体や個人)が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置を備えた立体駐車場に駐車している場合を前提にしており、その一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における出庫制御のシステム構成と、出庫時の信号の流れを示すものである。
【0017】
図1に示すように、この実施形態における出庫制御システムは、前述の図2に示した通常の立体駐車場における出庫制御システムと同様に、カード読取り機11と駐車場制御装置12と駐車場機械装置13を備えている。その上で、2個の電気自動車充電器22と、それらの充電器22の制御を行う充電器制御装置21を有している。
【0018】
そして、この出庫制御システムにおいては、図1に示すように、利用者(乗員)がカード読取り機11にカードを挿入すると、カード読取り機11からは会社番号を示す信号あるいはこの出庫制御システムを起動させることを意味する信号が入力される。この信号を受け取ると、駐車場制御装置12は、充電器制御装置21に対して、指定された会社番号で示される複数の電気自動車の充電状態を問い合わせる信号を送信する。この信号を受け、充電器制御装置21は各充電器22に対して充電の状況を問い合わせる。
【0019】
各充電器22は、充電が終わった電気自動車の充電率及び現在充電中の電気自動車の充電率が何%であるかを把握しており、上記問い合わせに対して各電気自動車の充電率を充電器制御装置21に回答する。
【0020】
上記記述では、駐車場制御装置12からの問い合わせを受けてから各電気自動車22に各電気自動車充電器22に問合せを行う構成で説明したが、各充電器22が常に一定時間間隔で各電気自動車の充電率を充電器制御装置21に情報伝達するようにし、駐車場制御装置12からの問い合わせを受けてから各電気自動車22に問合せを行うのではなく、すでに保有する充電率情報を駐車場制御装置12に回答するような構成にすることも可能である。この場合はカード読取り機11からの問い合わせに対して回答を行うまでの待ち時間を小さくすることが可能である。
【0021】
この結果を受けて、充電器制御装置21が、各電気自動車の充電率を駐車場制御装置12に返信すると、指定された会社番号で示される電気自動車の識別番号とともに各電気自動車の充電率が、カード読取り機11の表示部に表示される。
【0022】
そして、利用者が各電気自動車の充電率と走行予定距離に応じてどの電気自動車を使用するかをカード読取り機11の表示画面で選択すると、駐車場制御装置12が、その電気自動車を出庫するように、駐車場機械装置13に指示する。
【0023】
ちなみに、上記において、走行予定距離が近距離の場合には充電量(充電率)が少ない電気自動車でも充分であるし、走行予定距離が遠距離の場合には充電量(充電率)が多い電気自動車を選択すればよい。
【0024】
以上により、複数の電気自動車を保有する利用者(団体や個人)が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置を備えた立体駐車場に駐車している場合に、従来のように特定の自動車を確定して出庫させる代わりに、複数の電気自動車の中から使用目的に合った電気自動車を選択して出庫させることができる。
【0025】
なお、この実施形態では、利用者が各電気自動車の充電率と走行予定距離に応じてどの電気自動車を使用するかをカード読取り機11の表示画面で選択するようにしているが、駐車場制御装置12がどの電気自動車を使用するかを選択するようなシステムにしてもよい。例えば、充電が完了もしくは充電率が最も高い電気自動車を駐車場制御装置12が選択して自動的に出庫させることも出来る。その場合、利用者がその電気自動車でよいかを確認するようにするのが好ましい。
【0026】
また、この実施形態では、カードを用いて出庫指示を行う立体駐車場を代表として記載したが、タッチパネルあるいは遠隔操作装置等により出庫指示を行う立体駐車場でも同様に適用することができる。
【0027】
以上の例では、電気自動車充電器22を2個保有する場合を例に説明したが、3個以上の充電器を保有する駐車場において3台以上の電気自動車を保有する利用者が利用する場合にも同様に適用できる。複数の電気自動車を保有する利用者が複数いる場合でも適用可能である。
【0028】
また、立体駐車場の構成が地下式、タワー式、パレット式、櫛歯式等、どの構成であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
11 カード読取り機
12 駐車場制御装置
13 駐車場機械装置
21 充電器制御装置
22 電気自動車充電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気自動車を保有する利用者が、それらの電気自動車を電気自動車充電装置を備えた立体駐車場に駐車している場合に、各電気自動車の充電状態に基づいて、出庫させる電気自動車を決定することを特徴とする電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法。
【請求項2】
電気自動車の走行予定距離が近距離の場合には充電量が少ない電気自動車を出庫させ、電気自動車の走行予定距離が遠距離の場合には充電量が多い電気自動車を出庫させることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車充電装置を備えた立体駐車場の出庫制御方法。

【図1】
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【図2】
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