電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子、およびその製造方法
【課題】 電気自動車およびハイブリッド車に用いられる充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子に対する雄型接続端子の差し込み・抜き取りの際に、両端子の接触部分が少なく、雌型接続端子および雄型接続端子の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、両接続端子同士の電気的接続の安定性を向上させることができる、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 電気自動車用充電コネクタ(21)に組み込まれる雌型接続端子(1)は、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に複数のスリット(5)が長手方向に設けられて、該筒状部(2)が複数個に分断せしめられ、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子(11)のシャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられている。
【解決手段】 電気自動車用充電コネクタ(21)に組み込まれる雌型接続端子(1)は、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に複数のスリット(5)が長手方向に設けられて、該筒状部(2)が複数個に分断せしめられ、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子(11)のシャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電力から充電を行う電気自動車およびハイブリッド車(以下、電気自動車という)に用いられる充電コネクタの雌型接続端子、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリと電気モータの組み合わせを動力源とする環境負荷の少ない電気自動車が注目されている。また、平坦な道で低負荷の時やバッテリの充電量が多い時にはモータのみの走行(EV走行)とし、坂道などの高負荷の時やバッテリの充電量が少ない時にはエンジンとモータの併用による走行とするハイブリッド車が注目されている。
【0003】
これらの電気自動車は、一般に、バッテリとインバータと交流モータとを備えており、近年、更なる地球環境保護のために商用電源などの車両外部の電源から電力によりバッテリが充電されるようになされている。
【0004】
下記の特許文献1には、例えば電気自動車のバッテリの端子間電圧が低下した場合に、外部交流電源を用いてバッテリを充電する技術が提案されている。充電の基本的な動作は、外部充電用電源に連なる充電コネクタを電気自動車側の充電コネクタを介してインバータに接続し、インバータ内のスイッチングトランジスタを開閉制御して外部交流出力を直流に整流し、バッテリに直流出力を供給することで充電するものである。
【0005】
そして、このような電気自動車用充電装置においては、下記の特許文献2に記載のように、充電コネクタの雌型接続端子および雄型接続端子には、電気的接続の安定性を向上させるために、銀メッキが施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−205909号公報
【特許文献2】特開2001−307834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、外部充電用電源に連なる充電コネクタおよび電気自動車側の充電コネクタのうちのいずれか一方に、雌型接続端子が組み込まれ、同他方に、雄型接続端子が組み込まれており、このような電気自動車の充電コネクタでは、コネクタ同士の接続・離脱の操作の際に、雌型接続端子に対する雄型接続端子の差し込み・抜き取りが繰り返されて、雌型接続端子および雄型接続端子に施された銀メッキが、接続による摩擦・擦れなどによって剥がれてしまい、雌型接続端子および雄型接続端子同士の電気的接続の安定性を向上させることができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、電気自動車用充電コネクタに組み込まれている雌型接続端子に対する雄型接続端子の差し込み・抜き取りの際に両端子の接触部分が少なく、かつ両端子の接触部分が曲面同士の接触であるために、雌型接続端子および雄型接続端子の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、両接続端子同士の電気的接続の安定性を向上させることができる、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子を提供すること、および雌型接続端子を非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、ひいては雌型接続端子を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができる、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴とするもので、請求項1の発明によれば、電気自動車用充電コネクタに組み込まれている雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りの際に両端子(1)(11)の接触部分が少なく、かつ両端子(1)(11)の接触部分が曲面同士の接触であるために、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子(1)(11)の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるという効果を奏する。
【0012】
請求項2の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴とするもので、請求項2の発明によれば、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、かつ両端子(1)(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができる雌型接続端子(1)を、非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、ひいては雌型接続端子(1)を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電気自動車の車両側充電口の充電コネクタに外部交流電源側充電コネクタを接続する前の状態を示す斜視断面図である。
【図2】車両側充電コネクタと外部交流電源側充電コネクタの分解斜視図である。
【図3】従来の電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子と雄型接続端子の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【図4】本発明の方法により製造された電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子と、雄型接続端子の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【図5】本発明の方法により電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子を製造する際の簡略化した説明図で、治具により雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を外側に押し開いた状態を示す概略横断面図である。
【図6】本発明の方法により製造された雌型接続端子と、雄型接続端子の具体的な実施形態を示す拡大側面図である。
【図7】図6A−A線に沿う拡大断面図で、雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部に、雄型接続端子のシャフトが挿入された状態を示している。
【図8】図8〜図12は、本発明の方法により充電コネクタの雌型接続端子を製造する工程を順に示すもので、図8は、切削加工用治具に対して雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を対向させたいわゆる芯出し工程を示す概略断面図である。
【図9】治具により雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を外側に押し開く工程を示す概略断面図である。
【図10】治具側より切削ドリルの刃先を挿入して、拡開状態の雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部の内壁を切削する工程を示す概略断面図である。
【図11】切削工程後に、切削ドリルの刃先を治具側に取り出す工程を示す概略断面図である。
【図12】切削加工済みの雌型接続端子を治具より離脱させる工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図1は、電気自動車(27)の側壁(28)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)に、外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる外部交流電源側充電コネクタ(21)を接続する前の状態を示す斜視断面図である。
【0016】
例えば、電気自動車(27)のバッテリの端子間電圧が低下した場合に、外部交流電源(20)を用いてバッテリを充電する。充電の基本的な動作は、外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる充電コネクタ(21)を、電気自動車(27)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)に接続して交流を供給し、電気自動車(27)側のインバータ内のスイッチングトランジスタを開閉制御して外部交流出力を直流に整流し、バッテリに直流出力を供給することで充電する。
【0017】
図2は、電気自動車(27)の車両側充電コネクタ(31)と外部交流電源側充電コネクタ(21)の分解斜視図である。
【0018】
図1および図2を参照すると、外部交流電源側充電コネクタ(21)は、ハウジング(22)の内部に、取付け用パイプ(23)をそれぞれ介して3本の雌型接続端子(1)が装備されている。3本の雌型接続端子(1)には、前方に開口した略筒形のハウジング先端部(22a)が被せられ、各雌型接続端子(1)の先端部は保護パイプ(24)によってそれぞれカバーされている。3本の雌型接続端子(1)は、例えばパワー用、シグナル用、およびGND用である。略筒形のハウジング先端部(22a)の下端部には、位置決め用凸部(25)が下方突出状に設けられている。
【0019】
なお、この実施形態では、外部交流電源側充電コネクタ(21)に3本の雌型接続端子(1)が装備されているが、通常、外部交流電源側充電コネクタ(21)には、これらの雌型接続端子(1)が合計で、3〜9個装備される。
【0020】
一方、電気自動車(27)の車両側充電コネクタ(31)は、ハウジング(32)の内部に、取付け用パイプ(33)をそれぞれ介して3本の雄型接続端子(11)が装備されている。3本の雄型接続端子(11)には、前方に開口した略筒形のハウジング先端部(32a)が被せられ、各雄型接続端子(11)の先端部は保護パイプ(34)によってそれぞれカバーされている。3本の雄型接続端子(11)は、上記雌型接続端子(1)に対応して、パワー用、シグナル用、およびGND用である。略筒形のハウジング先端部(32a)の下端部内側には、位置決め用凹部(35)が設けられている。
【0021】
なお、この実施形態では、車両側充電コネクタ(31)に3本の雄型接続端子(11)が装備されているが、通常、車両側充電コネクタ(31)には、これらの雄型接続端子(11)が雌型接続端子(1)と同数で、合計3〜9個装備される。
【0022】
図3は、従来の電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)と雄型接続端子(11)の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【0023】
同図において、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入するシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、シャフト接触用環状壁部(4)が設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、シャフト接触用環状壁部(4)を横断する3つのスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、シャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が3個に分断せしめられて、3個のシャフト接触用分断壁部(4a)が形成されている。
【0024】
このような電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)には、電気的接続の安定性を向上させるために、これらの表面全体に銀メッキが施されている。
【0025】
上述のように、電気自動車(27)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)、および外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる外部交流電源側充電コネクタ(21)では、充電コネクタ(21)(31)同士の接続・離脱の操作の際に、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返されて、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の表面に施された銀メッキが、接続による摩擦・擦れなどによって剥がれてしまい、特に、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキの摩耗度が激しく、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができないという問題があった。
【0026】
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、従来は、図3に示すように、特に、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)において、これの長手方向に設けられた各スリット(5)の左側壁面および右側壁面と、スリット(5)により分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)内面の横断面円弧状内壁部(6)の周方向の左右両端部との境界部分に、それぞれ略直角状の鋭い角部が形成されており、これらの略直角状の鋭い角部と雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面との接触が、いわば線状接触となされている。このため、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返された際、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキが、これらの鋭い角部によって削り取られてしまい、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を阻害していることを見出した。
【0027】
図4は、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)と、雄型接続端子(11)の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【0028】
そこで、本発明者らは、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)を設けることにより、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返された際、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキが、従来の鋭い角部によって削り取られることなく、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0029】
図5は、本発明の方法により電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)を製造する際の簡略化した説明図で、後述する治具(15)により雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部を外側に押し開いた状態を示す概略横断面図である。
【0030】
同図において、本発明による電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の3つのスリット(5)により分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリルの刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成するものである。
【0031】
図6は、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)と、雄型接続端子(11)の具体的な実施形態を示す拡大側面図である。図7は、図6A−A線に沿う拡大断面図で、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、雄型接続端子(11)のシャフト(12)が挿入された状態を示している。
【0032】
なお、この実施形態では、外部交流電源側充電コネクタ(21)に3本の雌型接続端子(1)が装備され、車両側充電コネクタ(31)に3本の雄型接続端子(11)が装備されているが、これらは逆に装備されていてもよく、要するに、外部交流電源側充電コネクタ(21)および車両側充電コネクタ(31)のうちのいずれか一方に、雌型接続端子(1)が組み込まれ、同他方に、雄型接続端子(11)が組み込まれておればよい。
【0033】
図6と図7において、雌型接続端子(1)は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入するシャフト挿入筒状部(2)と、鍔部(9a)を有する取付基部(9)とによって構成されている。
【0034】
雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、このシャフト接触用環状壁部(4)より奥のシャフト挿入用筒状部(2)の内側部分は、径大の内部拡大孔となされている。
【0035】
雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する3つのスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が3個に分断せしめられ、またシャフト接触用環状壁部(4)より奥の径大の内部拡大孔を有するシャフト挿入用筒状部(2)の周壁には、3つのスリット(5)にそれぞれ連なる3つの長円形の長孔(8)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられている。
【0036】
そして、本発明による雌型接続端子(1)においては、シャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられているものである。
【0037】
このような本発明の雌型接続端子(1)によれば、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りの際に両端子(1)(11)の接触部分は、雌型接続端子(1)側のシャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の内面と、雄型接続端子(11)のシャフト(12)の表面だけであり、接触部分が非常に少なく、かつこれらの接触部分が曲面同士の接触(面接触)であるために、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子(1)(11)の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるものである。
【0038】
つぎに、本発明の電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法を、詳しく説明する。
【0039】
図8〜図12は、本発明の方法により充電コネクタの雌型接続端子(1)を製造する工程を順に示すものである。
【0040】
雌型接続端子(1)は、上記のように、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられている。
【0041】
一方、切削加工用治具(15)には、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むための嵌合凹部(16)が設けられ、この嵌合凹部(16)の底部中央に、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)が設けられ、このテーパー状壁部(17)の内側に、切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)が設けられている。
【0042】
そして、まず、図8に示すように、切削加工用治具(15)に対して雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部を対向させて、いわゆる芯出し工程を実施する。
【0043】
つぎに、図9に示すように、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開する。
【0044】
さらに、図10に示すように、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成するものである。
【0045】
なお、この切削加工の際には、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)側を回転させてもよいし、治具(15)の貫通孔に挿入した切削ドリル(14)側を回転させてもよい。
【0046】
切削工程後は、図11に示すように、切削ドリル(14)を治具(15)側に取り出し、さらに、図12に示すように、切削加工済みの雌型接続端子(1)を治具(15)より離脱させるものである。
【0047】
本発明の電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法によれば、雌型接続端子(1)を、非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、しかも雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、かつ両端子(1)(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるものである。さらには、雌型接続端子(1)を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:雌型接続端子
2:シャフト挿入用筒状部
3:テーパー状案内壁部
4:シャフト接触用環状壁部
4a:シャフト接触用分断壁部
5:スリット
6:横断面円弧状内壁部
7:非接触凹面状壁部
8:長孔
11:雄型接続端子
12:シャフト
14:ドリル
15:切削加工用治具
16:嵌合凹部
17:テーパー状壁部
18:ドリル挿通用貫通孔
20:外部充電用電源
21:外部交流電源側充電コネクタ
27:電気自動車
30:車両側充電口
31:車両側充電コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電力から充電を行う電気自動車およびハイブリッド車(以下、電気自動車という)に用いられる充電コネクタの雌型接続端子、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリと電気モータの組み合わせを動力源とする環境負荷の少ない電気自動車が注目されている。また、平坦な道で低負荷の時やバッテリの充電量が多い時にはモータのみの走行(EV走行)とし、坂道などの高負荷の時やバッテリの充電量が少ない時にはエンジンとモータの併用による走行とするハイブリッド車が注目されている。
【0003】
これらの電気自動車は、一般に、バッテリとインバータと交流モータとを備えており、近年、更なる地球環境保護のために商用電源などの車両外部の電源から電力によりバッテリが充電されるようになされている。
【0004】
下記の特許文献1には、例えば電気自動車のバッテリの端子間電圧が低下した場合に、外部交流電源を用いてバッテリを充電する技術が提案されている。充電の基本的な動作は、外部充電用電源に連なる充電コネクタを電気自動車側の充電コネクタを介してインバータに接続し、インバータ内のスイッチングトランジスタを開閉制御して外部交流出力を直流に整流し、バッテリに直流出力を供給することで充電するものである。
【0005】
そして、このような電気自動車用充電装置においては、下記の特許文献2に記載のように、充電コネクタの雌型接続端子および雄型接続端子には、電気的接続の安定性を向上させるために、銀メッキが施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−205909号公報
【特許文献2】特開2001−307834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、外部充電用電源に連なる充電コネクタおよび電気自動車側の充電コネクタのうちのいずれか一方に、雌型接続端子が組み込まれ、同他方に、雄型接続端子が組み込まれており、このような電気自動車の充電コネクタでは、コネクタ同士の接続・離脱の操作の際に、雌型接続端子に対する雄型接続端子の差し込み・抜き取りが繰り返されて、雌型接続端子および雄型接続端子に施された銀メッキが、接続による摩擦・擦れなどによって剥がれてしまい、雌型接続端子および雄型接続端子同士の電気的接続の安定性を向上させることができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、電気自動車用充電コネクタに組み込まれている雌型接続端子に対する雄型接続端子の差し込み・抜き取りの際に両端子の接触部分が少なく、かつ両端子の接触部分が曲面同士の接触であるために、雌型接続端子および雄型接続端子の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、両接続端子同士の電気的接続の安定性を向上させることができる、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子を提供すること、および雌型接続端子を非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、ひいては雌型接続端子を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができる、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴とするもので、請求項1の発明によれば、電気自動車用充電コネクタに組み込まれている雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りの際に両端子(1)(11)の接触部分が少なく、かつ両端子(1)(11)の接触部分が曲面同士の接触であるために、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子(1)(11)の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるという効果を奏する。
【0012】
請求項2の発明は、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴とするもので、請求項2の発明によれば、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、かつ両端子(1)(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができる雌型接続端子(1)を、非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、ひいては雌型接続端子(1)を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電気自動車の車両側充電口の充電コネクタに外部交流電源側充電コネクタを接続する前の状態を示す斜視断面図である。
【図2】車両側充電コネクタと外部交流電源側充電コネクタの分解斜視図である。
【図3】従来の電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子と雄型接続端子の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【図4】本発明の方法により製造された電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子と、雄型接続端子の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【図5】本発明の方法により電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子を製造する際の簡略化した説明図で、治具により雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を外側に押し開いた状態を示す概略横断面図である。
【図6】本発明の方法により製造された雌型接続端子と、雄型接続端子の具体的な実施形態を示す拡大側面図である。
【図7】図6A−A線に沿う拡大断面図で、雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部に、雄型接続端子のシャフトが挿入された状態を示している。
【図8】図8〜図12は、本発明の方法により充電コネクタの雌型接続端子を製造する工程を順に示すもので、図8は、切削加工用治具に対して雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を対向させたいわゆる芯出し工程を示す概略断面図である。
【図9】治具により雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部を外側に押し開く工程を示す概略断面図である。
【図10】治具側より切削ドリルの刃先を挿入して、拡開状態の雌型接続端子のシャフト挿入用筒状部の先端開孔部の内壁を切削する工程を示す概略断面図である。
【図11】切削工程後に、切削ドリルの刃先を治具側に取り出す工程を示す概略断面図である。
【図12】切削加工済みの雌型接続端子を治具より離脱させる工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図1は、電気自動車(27)の側壁(28)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)に、外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる外部交流電源側充電コネクタ(21)を接続する前の状態を示す斜視断面図である。
【0016】
例えば、電気自動車(27)のバッテリの端子間電圧が低下した場合に、外部交流電源(20)を用いてバッテリを充電する。充電の基本的な動作は、外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる充電コネクタ(21)を、電気自動車(27)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)に接続して交流を供給し、電気自動車(27)側のインバータ内のスイッチングトランジスタを開閉制御して外部交流出力を直流に整流し、バッテリに直流出力を供給することで充電する。
【0017】
図2は、電気自動車(27)の車両側充電コネクタ(31)と外部交流電源側充電コネクタ(21)の分解斜視図である。
【0018】
図1および図2を参照すると、外部交流電源側充電コネクタ(21)は、ハウジング(22)の内部に、取付け用パイプ(23)をそれぞれ介して3本の雌型接続端子(1)が装備されている。3本の雌型接続端子(1)には、前方に開口した略筒形のハウジング先端部(22a)が被せられ、各雌型接続端子(1)の先端部は保護パイプ(24)によってそれぞれカバーされている。3本の雌型接続端子(1)は、例えばパワー用、シグナル用、およびGND用である。略筒形のハウジング先端部(22a)の下端部には、位置決め用凸部(25)が下方突出状に設けられている。
【0019】
なお、この実施形態では、外部交流電源側充電コネクタ(21)に3本の雌型接続端子(1)が装備されているが、通常、外部交流電源側充電コネクタ(21)には、これらの雌型接続端子(1)が合計で、3〜9個装備される。
【0020】
一方、電気自動車(27)の車両側充電コネクタ(31)は、ハウジング(32)の内部に、取付け用パイプ(33)をそれぞれ介して3本の雄型接続端子(11)が装備されている。3本の雄型接続端子(11)には、前方に開口した略筒形のハウジング先端部(32a)が被せられ、各雄型接続端子(11)の先端部は保護パイプ(34)によってそれぞれカバーされている。3本の雄型接続端子(11)は、上記雌型接続端子(1)に対応して、パワー用、シグナル用、およびGND用である。略筒形のハウジング先端部(32a)の下端部内側には、位置決め用凹部(35)が設けられている。
【0021】
なお、この実施形態では、車両側充電コネクタ(31)に3本の雄型接続端子(11)が装備されているが、通常、車両側充電コネクタ(31)には、これらの雄型接続端子(11)が雌型接続端子(1)と同数で、合計3〜9個装備される。
【0022】
図3は、従来の電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)と雄型接続端子(11)の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【0023】
同図において、電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入するシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、シャフト接触用環状壁部(4)が設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、シャフト接触用環状壁部(4)を横断する3つのスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、シャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が3個に分断せしめられて、3個のシャフト接触用分断壁部(4a)が形成されている。
【0024】
このような電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)には、電気的接続の安定性を向上させるために、これらの表面全体に銀メッキが施されている。
【0025】
上述のように、電気自動車(27)の車両側充電口(30)に装備された充電コネクタ(31)、および外部充電用電源(20)にコード(20a)を介して連なる外部交流電源側充電コネクタ(21)では、充電コネクタ(21)(31)同士の接続・離脱の操作の際に、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返されて、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の表面に施された銀メッキが、接続による摩擦・擦れなどによって剥がれてしまい、特に、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキの摩耗度が激しく、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができないという問題があった。
【0026】
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、従来は、図3に示すように、特に、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)において、これの長手方向に設けられた各スリット(5)の左側壁面および右側壁面と、スリット(5)により分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)内面の横断面円弧状内壁部(6)の周方向の左右両端部との境界部分に、それぞれ略直角状の鋭い角部が形成されており、これらの略直角状の鋭い角部と雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面との接触が、いわば線状接触となされている。このため、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返された際、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキが、これらの鋭い角部によって削り取られてしまい、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を阻害していることを見出した。
【0027】
図4は、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)と、雄型接続端子(11)の接続状態を簡略化して説明するための概略横断面図である。
【0028】
そこで、本発明者らは、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)を設けることにより、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りが繰り返された際、雄型接続端子(11)のシャフト(12)表面の銀メッキが、従来の鋭い角部によって削り取られることなく、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0029】
図5は、本発明の方法により電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子(1)を製造する際の簡略化した説明図で、後述する治具(15)により雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部を外側に押し開いた状態を示す概略横断面図である。
【0030】
同図において、本発明による電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の3つのスリット(5)により分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリルの刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成するものである。
【0031】
図6は、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)と、雄型接続端子(11)の具体的な実施形態を示す拡大側面図である。図7は、図6A−A線に沿う拡大断面図で、本発明の方法により製造された雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、雄型接続端子(11)のシャフト(12)が挿入された状態を示している。
【0032】
なお、この実施形態では、外部交流電源側充電コネクタ(21)に3本の雌型接続端子(1)が装備され、車両側充電コネクタ(31)に3本の雄型接続端子(11)が装備されているが、これらは逆に装備されていてもよく、要するに、外部交流電源側充電コネクタ(21)および車両側充電コネクタ(31)のうちのいずれか一方に、雌型接続端子(1)が組み込まれ、同他方に、雄型接続端子(11)が組み込まれておればよい。
【0033】
図6と図7において、雌型接続端子(1)は、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入するシャフト挿入筒状部(2)と、鍔部(9a)を有する取付基部(9)とによって構成されている。
【0034】
雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、このシャフト接触用環状壁部(4)より奥のシャフト挿入用筒状部(2)の内側部分は、径大の内部拡大孔となされている。
【0035】
雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する3つのスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が3個に分断せしめられ、またシャフト接触用環状壁部(4)より奥の径大の内部拡大孔を有するシャフト挿入用筒状部(2)の周壁には、3つのスリット(5)にそれぞれ連なる3つの長円形の長孔(8)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられている。
【0036】
そして、本発明による雌型接続端子(1)においては、シャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられているものである。
【0037】
このような本発明の雌型接続端子(1)によれば、雌型接続端子(1)に対する雄型接続端子(11)の差し込み・抜き取りの際に両端子(1)(11)の接触部分は、雌型接続端子(1)側のシャフト挿入用筒状部(2)の分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の内面と、雄型接続端子(11)のシャフト(12)の表面だけであり、接触部分が非常に少なく、かつこれらの接触部分が曲面同士の接触(面接触)であるために、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、両端子(1)(11)の銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるものである。
【0038】
つぎに、本発明の電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法を、詳しく説明する。
【0039】
図8〜図12は、本発明の方法により充電コネクタの雌型接続端子(1)を製造する工程を順に示すものである。
【0040】
雌型接続端子(1)は、上記のように、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられている。
【0041】
一方、切削加工用治具(15)には、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むための嵌合凹部(16)が設けられ、この嵌合凹部(16)の底部中央に、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)が設けられ、このテーパー状壁部(17)の内側に、切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)が設けられている。
【0042】
そして、まず、図8に示すように、切削加工用治具(15)に対して雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部を対向させて、いわゆる芯出し工程を実施する。
【0043】
つぎに、図9に示すように、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開する。
【0044】
さらに、図10に示すように、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成するものである。
【0045】
なお、この切削加工の際には、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)側を回転させてもよいし、治具(15)の貫通孔に挿入した切削ドリル(14)側を回転させてもよい。
【0046】
切削工程後は、図11に示すように、切削ドリル(14)を治具(15)側に取り出し、さらに、図12に示すように、切削加工済みの雌型接続端子(1)を治具(15)より離脱させるものである。
【0047】
本発明の電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法によれば、雌型接続端子(1)を、非常に生産性よく、高精度をもって、かつ安価に提供することができ、しかも雌型接続端子(1)および雄型接続端子(11)の接続による摩擦・擦れなどが少なく、銀メッキの剥がれが非常に少なくてすみ、かつ両端子(1)(11)同士の電気的接続の安定性を向上させることができるものである。さらには、雌型接続端子(1)を組み込んだ充電コネクタを用いる電気自動車およびハイブリッド車の製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:雌型接続端子
2:シャフト挿入用筒状部
3:テーパー状案内壁部
4:シャフト接触用環状壁部
4a:シャフト接触用分断壁部
5:スリット
6:横断面円弧状内壁部
7:非接触凹面状壁部
8:長孔
11:雄型接続端子
12:シャフト
14:ドリル
15:切削加工用治具
16:嵌合凹部
17:テーパー状壁部
18:ドリル挿通用貫通孔
20:外部充電用電源
21:外部交流電源側充電コネクタ
27:電気自動車
30:車両側充電口
31:車両側充電コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴とする、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子。
【請求項2】
電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴とする、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子の製造方法。
【請求項1】
電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分に、それぞれ雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)が設けられていることを特徴とする、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子。
【請求項2】
電気自動車用充電コネクタに組み込まれる雌型接続端子(1)の製造方法であって、雄型接続端子(11)のシャフト(12)を挿入する雌型接続端子(1)のシャフト挿入筒状部(2)の先端開孔部の内側に、孔奥部に向かって漸次先細となるテーパー状案内壁部(3)と、テーパー状案内壁部(3)の径小内端部に連なりかつ雄型接続端子シャフト(12)の外径と同じかまたは若干小さい内径を有するシャフト接触用環状壁部(4)とが設けられ、シャフト挿入用筒状部(2)の周壁に、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を横断する複数のスリット(5)がシャフト挿入用筒状部(2)の長手方向に設けられて、テーパー状案内壁部(3)およびシャフト接触用環状壁部(4)を含むシャフト挿入用筒状部(2)が複数個に分断せしめられており、一方、この雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込んで、該先端開孔部を押し開くためのテーパー状壁部(17)と、このテーパー状壁部(17)の内側の切削ドリル(14)を挿通するための貫通孔(18)とを有する切削加工用治具(15)を用意しておき、雌型接続端子(1)のシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に、切削加工用治具(15)を嵌め被せて、治具(15)のテーパー状壁部(17)をシャフト挿入用筒状部(2)の先端開孔部に差し込むことにより、先端開孔部を外側に押し開き、該シャフト挿入用筒状部(2)の複数のスリット(5)により分断された各テーパー状分断案内壁部(3a)およびこれに連なるシャフト接触用分断壁部(4a)を拡開し、この拡開状態において治具(15)の貫通孔に切削ドリル(14)の刃先を挿入して、分断された各シャフト接触用分断壁部(4a)の横断面円弧状内壁部(6)の周方向両端のスリット(5)寄り部分を切削することにより、雄型接続端子シャフト(12)の外面に接触しない非接触凹面状壁部(7)をそれぞれ形成することを特徴とする、電気自動車用充電コネクタの雌型接続端子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−26117(P2013−26117A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161820(P2011−161820)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(508070921)株式会社平川製作所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(508070921)株式会社平川製作所 (3)
【Fターム(参考)】
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