説明

電気自動車用電源線収納具およびこの収納部を保管できる機能門柱

【課題】電気自動車用電源線の取り扱いがしやすく、電気自動車用電源線を小さな空間に効率よく収納でき、かつ収納具自体も省スペースで保管できる電気自動車用電源線収納具を提供する。
【解決手段】電気自動車用電源線収納具1は、ケーブル24の一端に充電プラグ22を有し、他端に電源プラグ21を有し、途中に回路ボックス23を有した電源線20を巻装、収納する巻装体10を備えており、巻装体10は、回路ボックス23を少なくとも収納する収納部13を内方に有し、収納部13に通じる開口12が巻装面11に開設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のバッテリを充電するために用いられる電気自動車用電源線の収納具およびこの収納部を保管できる機能門柱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリ(二次電池)に蓄電された電力を動力源とした電気自動車の実用化が進んでいる。このような電気自動車(プラグイン・ハイブリッドカーを含む)のバッテリの充電には、商用電源のコンセントと電気自動車側のコネクタとを接続するために電気自動車用電源線が用いられる。
【0003】
この種の電気自動車用電源線は、ケーブルの一端に充電プラグを有し、他端に電源プラグを有しており、それらの途中には、漏電遮断機能を有した保護回路を含む回路ボックスが接続されている。通例では回路ボックスは、利便性を考慮して、電源プラグに近い部位に接続されている。
【0004】
このような電源線は、未使用時にコンパクトに保管できるように、また移動先に持ち運びできるように、巻装体(ドラムなどのケーブル巻き付け器)を備えて構成された種々の収納具が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−115037号公報
【特許文献2】特開2010−52861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気自動車用電源線には回路ボックスが含まれているため、充電プラグから電源プラグまでの全体を散水用ホースリールのごとく巻装体に巻き付けることは容易ではなく、収納具はその形状、構造が回路ボックスの形状、寸法に制約されていた。
【0007】
例えば上記特許文献1、2の収納具はともに、回路ボックスが巻装体とは異なる収納具内の別部位に固定されるようになっている。そのため、収納具全体の構造、形状は複雑になっており、しかも電源線が収納具と一体化された構造であるため、充電の際にも、持ち運びの際にも常に、電源線を収納具と一体として取り扱わなければならず、利便性に欠けたものとなっている。
【0008】
また、回路ボックスをケーブルとは別の部位に固定する関係上、効率のよいスペース利用はなされておらず、収納具全体の大型化は避けられない。さらに、そのような大型の収納具自体の保管には、十分に広い保管スペースを要することが当然に予想される。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために提案されたものである。その目的は、電気自動車用電源線の取り扱いがしやすく、電気自動車用電源線を小さな空間に効率よく収納でき、かつ収納具自体も省スペースで保管できる電気自動車用電源線収納具およびその収納具を保管できる機能門柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の電気自動車用電源線収納具は、ケーブルの一端に充電プラグを有し、他端に電源プラグを有し、途中に回路ボックスを有した電源線を巻装、収納する巻装体を備えた電気自動車用電源線収納具であって、巻装体は、回路ボックスを少なくとも収納する収納部を内方に有し、収納部に通じる開口が巻装面に開設されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、開口は複数箇所に開設されたものでもよい。
【0012】
さらに、本発明の機能門柱は、本発明の電気自動車用電源線収納具を出し入れ可能にした収納ボックスと、インターホンとを少なくとも組み込んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気自動車用電源線収納具によれば、巻装体の巻装面に開口を設けて、回路ボックスを巻装体の内方に収納できる構成となっているため、スペース効率のよい電気自動車用電源線の収納が実現できる。また、回路ボックスが内方の収納部に収納されるので、ケーブルの巻装体への巻き付けおよび取り外しなどの取り扱いがしやすい。さらに、収納具が大型化することがないため、収納具自体も大きな保管スペースを必要とせず、邪魔にならないように種々の場所に保管できる。
【0014】
また、本発明の機能門柱によれば、電気自動車用電源線収納具を出し入れ可能にした収納ボックスと、インターホンとを少なくとも組み込んだ構成であるため、機能門柱に電源コンセントを設ければ、門柱付近に駐車した電気自動車に手軽に充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の電気自動車用電源線収納具の一実施形態を示す正面図、(b)は同側面図である。
【図2】電気自動車用電源線の収納状態を示した電気自動車用電源線収納具の縦断面図である。
【図3】電気自動車用電源線の収納手順を示した電気自動車用電源線収納具の縦断面図である。
【図4】電気自動車用電源線の収納手順を示した、他の形態の電気自動車用電源線収納具の縦断面図である。
【図5】本発明の機能門柱の一実施形態を示した正面図である。
【図6】同側面図である。
【図7】電気自動車用電源線収納具を収納ボックスから引き出した状態を示した、機能門柱の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1(a)は本発明の電気自動車用電源線収納具の一実施形態を示す正面図、図1(b)は同側面図である。図2は、電気自動車用電源線の収納状態を示した電気自動車用電源線収納具の縦断面図である。図3は、電気自動車用電源線の収納手順を示した電気自動車用電源線収納具の縦断面図である。
【0018】
この電気自動車用電源線収納具1(以下、収納具と略す)に巻装、収納する電気自動車用電源線20(以下、電源線と略す)は、バッテリ(二次電池)に蓄電された電力を動力源とした電気自動車への充電に使用される電源線である。なお、電気自動車には、プラグイン・ハイブリッドカーも含まれる。
【0019】
この電源線20は、図2、図3に示すように、ケーブル24の一端に充電プラグ22を有し、他端に電源プラグ21を有し、途中に回路ボックス23を有した構成となっている。
【0020】
回路ボックス23は、漏電遮断機能を有した保護回路を少なくとも内部に含んで構成され、図例のように、充電プラグ22や電源プラグ21よりも大きな直方体のボックス体形状となっている。
【0021】
この電源線20は、充電の際には、電源プラグ21を家庭等の商用電源のコンセントに差し込み、他方の充電プラグ22を電気自動車のバッテリに接続して利用される。そのため、取り扱いがしやすいように、回路ボックス23は自動車のところまで移動させる充電プラグ22側ではなく、電源プラグ21により近い部位に接続されている。
【0022】
この電源線20を巻装、収納する収納具1は、図1に示すように、円筒状のドラム体10aの両端に鍔片10bを設けてボビン形状をなした巻装体10により構成されている。なお、ドラム体10aは角筒体であってもよい。また、両鍔片10bの周縁の同位置には、手で持つときには図2中の2点鎖線のように引っ張り出されて伸び、手を放すと弾性復帰して縮まる把手10c、10cが取り付けられている。
【0023】
ドラム体10aの周面部は、電源線20のケーブル24部分を巻き付けるための巻装面11を構成しており、その巻装面11には、ドラム体10aの内方空間に通じる2つの開口12、12が開設されている。図1の例では、中心角がほぼ180度となる巻装面上の2箇所に開口12、12が設けてある。
【0024】
この内方空間は、電源線20の回路ボックス23と、電源プラグ21までのケーブル24と、電源プラグ21とを収納するための収納部13を構成しており、これらをいずれか一方の開口12より収納部13に収納できるようになっている。
【0025】
例えば図3に示すように、把手10cを上部にして収納具1を地面等に置いた状態で、左右いずれかの開口12から電源線20の回路ボックス23等を収納するようにすれば簡単に収納作業が行える。
【0026】
このように、巻装体10の左右位置に開口12が設けてあるので、側方からの収納作業がしやすく、取り出すときも側方より引っ張り出すだけでよく、利便性はきわめて高い。また、開口12が左右に2つあるため、いずれにおいても出し入れ作業が行える。開口12は底部以外の位置に設けることが望ましいが、開口12を塞ぐように巻装面11にケーブル24が巻装されるので、底部に設けても、持ち運びの際に収納部13に収納された電源線20の一部が開口12より外部に飛び出すおそれはない。
【0027】
回路ボックス23等の電源線20の収納部分を収納部13に収納した後は、それ以外の部分は巻装面11に巻き付ければよい(図2参照)。電源線20の全長が短い場合は、電源線20全体を収納部13に収納するようにしてもよい。
【0028】
図3の例のように、把手10cを上部にして収納具1を載置したときに側方(左右方向)を向く位置に開口12、12を設ければ、上記のように側方からの出し入れ作業がしやすく望ましいが、開口は他の位置に設けてもよい。
【0029】
図4は、開口の位置が図1の例とは異なる他の収納具の縦断面図である。この図例においても、電源線の収納手順を示している。図4中、図1と同一の部位については同一の符号を付している。
【0030】
この収納具1は、一方の開口12は把手10cの近傍位置(上部)に設けられ、他方の開口12は一方の開口12から中心角がほぼ90度の位置、つまり側方を向く位置に設けられている。このような位置に開口12、12が設けてあるので、把手10cを側方に向けた状態で上方から出し入れする際には使いやすい。
【0031】
また、以上の2例では開口12が2つあるので、巻装体10を回転させることなく簡単に収納口を見つけることができる。なお、3つ以上の開口を設けてもよいし、もちろん開口は1つでもよい。
【0032】
以上に示した収納具1によれば、電源線20を構成する部位のうちもっともかさばる回路ボックス23を、巻装体10の内方空間に位置する収納部13に収納できるようになっているため、スペース効率がよく、収納具1自体の大型化も避けられる。また、回路ボックス23が収納部13に収納されるので、回路ボックス23が邪魔になることなく、ケーブル24を巻装体10へ巻き付けすることができる。
【0033】
また、電源線20を充電に使用する際にも、収納具1から簡単に取り出すことができ、充電作業を迅速に行うことができる。
【0034】
また、回路ボックス23が収納具1に固定された構成ではないため、電源線20全体を収納具1から取り出せば、その後は電源線20を単独で取り扱うことができ、利用者の負担を軽減できる。
【0035】
さらに、上記構成によれば収納具1をコンパクトに構成できるため、持ち運びに便利なうえ、収納具1自体の保管にも大きな保管スペースを必要とせず、収納具1を邪魔にならないように種々の場所に保管できる。例えば、以下に示すような機能門柱の一部位に収納することも可能である。
【0036】
図5は、図1等に示した収納具を収納できるようにした、本発明の機能門柱の一実施形態を示した正面図である。図6、図7は同側面図であり、図7は収納具1を機能門柱から取り出した状態を示した図である。
【0037】
この機能門柱30は、一般戸建住宅等に用いられるポール型の門柱であって、インターホン31と、郵便受け32と、収納具1を出し入れ可能にした収納ボックス33とを外郭部30aに組み込んで一体化した構成となっている。この機能門柱30は例えば、外郭部30aの下部が地中に埋設されあるいは地面に固定されて立設される。また、さらに門灯を組み込んだものでもよい。
【0038】
収納ボックス33は機能門柱30の下部に配されており、前面には下端を軸として前方回転して開く回転扉33aが設けられている。この回転扉33aは取っ手33bまたは上部を回転操作することで開閉することが可能であり、収納具1を簡単に出し入れすることができる。
【0039】
このように、機能門柱30は収納具1を収納できる収納ボックス33を組み込んだ構成であるため、収納具1を使いやすい場所に保管しておくことができ、必要なときに取り出して、機能門柱30の近傍に駐車した電気自動車に手軽かつ迅速に充電することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 電気自動車用電源線収納具(収納具)
10 巻装体
11 巻装面
12 開口
13 収納部
20 電気自動車用電源線(電源線)
21 電源プラグ
22 充電プラグ
23 回路ボックス
24 ケーブル
30 機能門柱
31 インターホン
32 郵便受け
33 収納ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの一端に充電プラグを有し、他端に電源プラグを有し、途中に回路ボックスを有した電源線を巻装、収納する巻装体を備えた電気自動車用電源線収納具であって、
前記巻装体は、前記回路ボックスを少なくとも収納する収納部を内方に有し、該収納部に通じる開口が巻装面に開設されていることを特徴とする電気自動車用電源線収納具。
【請求項2】
請求項1において、
前記開口は複数箇所に開設されている電気自動車用電源線収納具。
【請求項3】
請求項1または2の電気自動車用電源線収納具を出し入れ可能にした収納ボックスと、インターホンとを少なくとも組み込んだことを特徴とする機能門柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5625(P2013−5625A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135375(P2011−135375)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】