電気貫通体アセンブリ
電気貫通体アセンブリが、貫通穴を有するセラミック製のハウジングと、穴の第1の端部を通って延び、穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有している第1の電気導体と、穴の第2の端部を通って延び、穴の第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有している第2の電気導体と、を有している。導体が、それぞれの内側端において電気的に導通しており、少なくとも一方の導体が、温度変化に起因する膨張および収縮に適応するように他方の導体に対して移動可能であり、第1および第2のシールが、セラミック製のハウジングのそれぞれの端部と第1および第2のそれぞれの導体との間を延びている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、圧力容器などの壁を貫通して電力を供給するための電気貫通体アセンブリに関し、特に、海中用の電気貫通体アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気貫通体は、油田施設において炭化水素を汲み上げる海中用の電動水中ポンプ(ESP)設備などに動力を供給するために使用され、高圧下げ孔電気貫通部および他の貫通部などの他の用途においても、様々な種類の海中設備に動力を供給するために使用されている。貫通体は、設備が位置付けられる容器の壁または隔壁を貫いて延び、通常は、設備を外部の電源に接続するために一端において電源ケーブルに接続される。ESPの用途においては、現実的な理由で、接続部または貫通体を汲み上げの圧力から隔離することができない。結果として、圧力、温度、および高い電圧のために、コネクタまたは貫通体によって厳しい環境が生じる。貫通体は、モータに電力を伝達するとともに、ESPによって生成される内部の圧力および海水の深さによって生じる外部の圧力の両方について、圧力のバリアを維持しなければならない。温度が、流体の温度および電気素子の抵抗加熱ゆえに上昇する。
【0003】
典型的な電気貫通体または貫通供給部の構成においては、導電コネクタピンなどの一体物の導体が、絶縁スリーブまたは本体の穴を通って延びており、適切なシールが、貫通体アセンブリの各々の端部において外側の本体とピンとの間にろう付けまたは接合(bond)されている。これは、貫通体の製造および後の使用において、貫通体アセンブリに使用される種々の材料の膨張率の相違に起因する問題を生じさせる。既知の一構成においては、シールが、セラミックなどからなる絶縁スリーブを導電性のコネクタピン本体に封止する金属製のシール用スリーブを備えている。ろう付けまたは接合プロセスの際に生じる熱に起因し、部品は、異なる程度で膨張する。ひとたび貫通体アセンブリが低温に戻ると、異なる材料からなる部品の異なる収縮の度合いゆえに、セラミック製のハウジング材料、脆い接合部、または両方に応力が生じ、シールの不具合につながる可能性がある。さらに、ほとんどの既存の貫通体は、片側のみの高圧に合わせて設計されており、反対側に圧力が加わると、シールの構成およびセラミック製のハウジングにさらなる応力が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において説明される実施の形態は、海中での使用などのように、高圧、高温、および高電圧の用途に特に適した電気貫通体アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施の形態によれば、貫通穴を有するセラミック製のハウジングと、穴の第1の端部を通って延び、穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有している第1の電気導体と、穴の第2の端部を通って延び、穴の第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有している第2の電気導体と、を備える電気貫通体アセンブリが提供される。このうち導体は、摺動可能または伸縮可能に係合する内側端を有している。第1および第2のシールが、このアセンブリの各々の端部において、セラミック製のハウジングと第1および第2のそれぞれの導体との間を延びている。一実施の形態においては、導電層または導電コーティングが、ハウジングと伸縮可能に係合した導体との間において、セラミック製のハウジングの内径に設けられる。
【0006】
一実施の形態においては、一方の導体の内側端が穴を有しており、この穴に他方の導体の内側端が摺動可能に係合している。内部の摺動コンタクトバンドを、導体が内側および外側に移動するときにこれらの導体の間の電気的な接触を維持するために、穴および導体の内側端の対向する面の間に設けることができる。
【0007】
別の実施の形態においては、電気貫通体アセンブリが、両側に位置する第1および第2の端部を有する貫通穴を有しているセラミック製のハウジングと、穴の第1の端部に延び、第2の端部の手前で終端している剛性を有する導体と、該導体の内側端に固定され、穴の第2の端部から外方に延びている可撓導体と、を備えている。適切なシールが、アセンブリの一端において導体と穴との間に配置され、アセンブリの他端において可撓導体と穴との間に配置されている。この構成においては、可撓導体が、堅固な導体、セラミック製のハウジング、およびシールの熱による膨張および収縮の程度の相違を補償すべく移動し、シール用スリーブとセラミック製のハウジングまたは絶縁ハウジングとの間の応力を軽減している。
【0008】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および添付の図面を検討することによって、当業者にとってより容易に明らかになるであろう。
【0009】
本発明の詳細を、その構造および動作の両方に関して、添付の図面を検討することによって知ることができる。添付の図面において、同様の参照番号は同様の部分を指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、電気貫通体ピンアセンブリの第1の実施の形態の断面図である。
【図2】図2は、図1の二連コンタクトピンの丸く囲まれた摺動コンタクト領域の拡大断面図である。
【図3】図3は、図1の丸く囲まれた端部シール領域の拡大図であり、アセンブリの一端の金属製の端部シールを示す図である。
【図4】図4は、図1のアセンブリの一端の斜視切断図である。
【図5】図5は、別の端部シールの構成を有している変形された貫通体ピンアセンブリの斜視切断図である。
【図6】図6は、図1〜図4の貫通体ピンアセンブリを含む電気貫通体ユニットの全体の断面図である。
【図7】図7は、図6のピンアセンブリの着座領域の拡大断面図であり、一変形例を示す図である。
【図8】図8は、図5のピンアセンブリの誘電体ハウジングの断面図であり、オプションとしての内部の導電コーティングを示す図である。
【図9】図9は、図8の丸く囲まれた領域の拡大断面図であり、内部の導電コーティングが金属製の端部シールまで延びていることを示す図である。
【図10】図10は、電気貫通体ピンアセンブリの別の実施の形態を説明する斜視切断図である。
【図11】図11は、図10の丸く囲まれた領域の拡大図である。
【図12】図12は、図10および図11の貫通体ピンアセンブリの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される特定の実施の形態は、海中の設備への電力の供給などの高圧の用途における使用に適した電気貫通体アセンブリを提供する。
【0012】
本明細書を検討することによって、本発明を選択肢となりうる様々な形態および選択肢となりうる様々な実施の用途にて実施する方法が、当業者にとって明らかになるであろう。しかしながら、本発明の種々の実施の形態が本明細書において説明されるが、それらの実施の形態があくまでも例として提示され、本発明を限定するものではないことを、理解すべきである。したがって、この選択肢となりうる種々の実施の形態の詳細な説明を、本発明の範囲または広がりを限定するものとして解釈してはならない。
【0013】
図1〜図4が、電気貫通体のピンアセンブリまたはサブアセンブリ10の第1の実施の形態を示している一方で、図6が、海中用の容器またはコンテナの壁または隔壁を貫いて延びるように外側貫通体ハウジング12に取り付けられたアセンブリ10を示している。ピンサブアセンブリ10は、セラミックまたは他の誘電性材料からなる外側の本体またはハウジング14を備えており、ハウジング14が、貫通穴15を有している。摺動可能に係合した内側端を有する第1および第2の導体部分またはピン16、18が、ハウジングを貫いて延びている。第1のピン16が、ハウジングの穴15の第1の端部20を通って延び、穴の第2の端部22の手前で終端している。第2のピン18が、穴の第2の端部22を通って延び、第1の端部20の手前で終端している。ピンは、銅などの適切な剛性を有する導電性材料からなる。2つのピンの内側端は、図2にさらに詳しく示されるように伸縮可能に係合している。導電ピンアセンブリの全長を変化させることができるよう、第1のピン16の内側端が、内側に延びる穴24を有し、第2のピン18の内側端が、この穴に摺動可能または伸縮可能に係合している。穴24の環状の凹所に取り付けられた内側摺動コンタクトバンド25が、さらに詳しく後述されるように、様々な種類の応力を補償すべくピンが内側および外側に伸縮できるようにしつつ、ピン16および18の間の摺動する電気的係合または接触の界面をもたらしている。バンド25が、対向する穴24の内面とピン18の外面との間に隙間をもたらしつつ、依然として2つのピンまたは導体半分部分の間に常に電気的接触をもたらしている。他の実施の形態においては、コンタクトバンドを、ピン18のうちの穴24に係合する部位の外面に取り付けてもよい。
【0014】
ケーブルコネクタ26が、貫通体アセンブリの片側の第1のケーブルへの接続のために、第1のピンの外側端に設けられる一方で、第2のピン18の外側端のケーブルコネクタ28が、貫通体アセンブリの反対側の第2のケーブルに接続されるように設計されている。一方のケーブルコネクタ28が、ピンに一体に形成される一方で、他方のケーブルコネクタ26は、分離されて形成され、ピン16の外側端の穴31に螺合する小さくされた直径の柱29を有している。貫通体の一方または両方の端部が、2部品からなるケーブルコネクタまたは一体物のケーブルコネクタを有することができる。
【0015】
外側の本体14の各々の端部に位置する金属製のシール用スリーブ30、32が、外側のセラミック製の本体をそれぞれの導体またはピン16、18に気密に封じている。金属製のスリーブ30、32の各々は、図3に示されるように、略J字形の断面であり、本体14の外側端が、図3にスリーブ32について示されているように、J字形のそれぞれのシール30、32のフック状の端部がろう付けまたは接合される環状の凹所34を有している。J字形のスリーブの軸部は、隣接するそれぞれのピン16、18の外面に溶接またはろう付けされている。J字形のスリーブの設計は、ろう付け結合部がろう付けプロセスの際の熱膨張によってきつくなるような設計であり、いくつかの従来技術の単一ピンの貫通体において使用されているような標準的なZ字形のシール用スリーブと比べ、同じ貫通体の長さにおいてより長いトラッキング距離(tracking distance)が生み出されるという利点も有する。
【0016】
外側の誘電体ハウジング14は、大きくされた外径の中央部35と、中央部の各端部に位置してより小さな直径の端部38への移行部を形成している傾斜した肩部または段差36と、を有している。肩部または段差36の角度は、40〜75度の範囲にあってよく、一実施の形態においては、各々の段差が、図2に示されるようにピンアセンブリの中心軸に対して60度の角度を有している。貫通穴15は、わずかに異なるピン16、18の外径に適応するように段差のある直径であり、大きい方のピン16を受け入れる第1の端部が、ピン18を受け入れる第2の端部と比べて相応に大きい直径を有しており、2つの端部の間に角度が付いた段差40が存在している。外側導電コーティング42が、本体の大径部35および各々の小径部38の一部に延びており、各々のシール用スリーブ30、32と隣接するコーティング42の端部との間に、セラミック部が露出している。導電コーティング42は、図6に関してさらに詳しく後述されるように、セラミック製の誘電体材料に加わる電気的ストレスを抑えるための一様または実質的に一様な接地面を提供する。
【0017】
さらに、導電コーティングまたは中間の導電若しくは半導電層45を、セラミック製の本体と導体またはピンとの間において、セラミック製の本体14の内径に設けることができる。層45は、図3に示されているように、穴15の全長に延び、さらに本体の端面43の周囲に延びている。一実施の形態においては、コーティングが、モリブデン−マンガン(moly-manganese)焼結コーティングと、その後のニッケルメッキと、を含むことができるが、任意の半導電または導電性コーティングをこの目的のために使用することができる。コーティング45の目的は、導体ピン16、18とセラミック製の本体との間の隙間を許容して、高電圧または中電圧の界面をセラミック製または誘電性の本体14の内面に設けることにある。コーティングは、セラミックの絶縁を劣化させて最終的には部品の不具合を引き起こす可能性のある放電の発生および重大性を軽減することを促進し得る。セラミック製の本体と導電ピンとの間に隙間を設けることによって、銅などの高い導電率の材料をピンに使用しつつ、セラミック絶縁体並びにろう付けされた金属シールまたはスリーブ30、32において、熱膨張の不釣り合いおよび誘発される機械的な応力などの問題を生じさせないようにすることができる。内側コーティング層45は、セラミック製の本体の端面43に延びて、本体の外側に位置するピンの拡大された肩部に面するようにしてもよい。これは、貫通体アセンブリの両端が大きな圧力に曝されるときに、コーティングと導電ピンとの間の接触を保証することを促進する。端面のコーティングは、導電性である金属製のシール用スリーブ30、32の手前で終端しても、終端していなくてもよい。
【0018】
図5が、図1〜図4の二連ピンアセンブリについて、変形された端部シールの構成を示している。図5においては、図1〜図4のJ字型の端部シール30、32が、Z字形のシールまたはZ字形の断面の金属スリーブ46(そのうちの一方だけを、図5では見て取ることができる)によって置き換えられている。図5の実施の形態は、そのほかでは、図1〜図4の実施の形態と同一であり、同様の参照番号が、必要に応じて同様の部分に使用されている。図5に示されるように、各々のスリーブ46が、本体14の外面および端面の一部分にろう付けまたは接合された第1の端部と、セラミック製の本体の端面に隣接する導電性の金属ピン18の外面に溶接またはろう付けされた第2の端部と、を有し、気密のシールを形成している。図1〜図4の実施の形態および図5の実施の形態の両方において、ろう付けおよび溶接されるシール用スリーブは、加えられた圧力がろう付け/溶接結合部に応力をかけないよう、貫通体のピンアセンブリの両端に加わる外部の圧力の結果としてシールの接触圧力および有効性が向上するように設計されている。図1〜図4のJ字形のスリーブの構成においては、ろう付け結合部が、ろう付けプロセスの最中の熱膨張によって締め付けられる。図1〜図4の実施の形態と同様、図5のセラミック製の本体14は、図8および図9に最もよく示されているように、貫通穴15の全長に沿って延び、本体14の両端面48に延びている内側導電コーティング層45を有している。両方の実施の形態において、内側コーティングは、図9に見られるように本体の両端面の周囲に延び、圧力下で対向するそれぞれのコンタクトピンの面に接触する。内側コーティングは、金属製の端部スリーブの手前で終端してもよく、あるいは金属製の端部スリーブの下方を図1の端面43まで延びてもよい。
【0019】
図6が、ステンレス鋼などの金属または他の導電性材料からなり得る外側のフィードスルーまたは貫通体ハウジング12に組み込まれた図1〜図4の貫通体アセンブリ10を示している。貫通体アセンブリが、図6に示されるように外側ハウジングに組み込まれるとき、外側の導電コーティング42が、金属製の外側ハウジングに直接に物理的に接触し、接地面の連続性をもたらす。接地面は、連続していても、アセンブリ10、12のいずれかの端部に位置する別体のブーツシール(boot seal)部品(図示せず)の導電部によって終端されていてもよい。
【0020】
外側ハウジング12は、段差のある直径の貫通穴70を有しており、穴の第1の端部72から第2のより大きい方の端部74に次第に大きくなる直径の一連の部位を有している。貫通体ピンアセンブリが、大きい方の直径の端部74から差し込まれ、シール保持ハウジングまたはシール保持板75並びに保持ナット78によって、所定の場所に適切に固定される。アセンブリ10が差し込まれるとき、セラミック製の本体14の拡大された部位35の一端の傾斜した肩部36が、貫通穴70の第1の小さい方の端部に近い対応する形状の肩部または座80に当接する。保持ハウジングまたは保持板75が、貫通穴82を有しており、貫通穴82が、拡大された部位35の他端の角度が付いた肩部36に当接する対応する形状の段部または座84を備えている。このようにして、本体14が、対向する肩部または座80および84の間にしっかりと保持される。ステンレス鋼などの金属であり得る剛性を有するハウジングまたは板75が、対向するハウジングの貫通穴70の内面の一部分に気密に係合する外側の1つ以上の環状シールまたはOリングシール85と、誘電性の本体14の拡大された部位35の外面を封止する貫通穴82の内側の環状シールまたはOリングシール86と、を有している。グランドシール88が、穴70の拡大された部位90の端部に位置付けられ、座または肩部80および84の間で本体14の拡大された部位35を囲んでいる。
【0021】
一実施の形態においては、図6の貫通体ユニットを、隔壁の海水側195のケーブルから隔壁のポンプ側196のポンプに電力を供給するために使用することができ、したがって貫通体ユニットが、ポンプ側の高いポンプの圧力および海水側の高い海水の圧力に曝される。貫通体ハウジング12、保持ナット78、および保持スリーブまたは保持板75は、ステンレス鋼または他の金属材料など、任意の適切な剛性材料であってよい。
【0022】
ピンサブアセンブリ10並びにピンサブアセンブリを収容する外側ハウジング12および保持部品の設計は、絶縁性または誘電性の本体14への引張応力を軽減しつつ、本体14の圧縮強度を使用するように構成される。特に、セラミック材料は、引張強度よりもはるかに高い圧縮強度を有する。傾斜した肩部36並びに対応する外側ハウジングの穴70および保持スリーブまたは保持板75の穴の対応する角度が付いた面または座80、84の角度は、機械的強度を改善または最適化するように設計される。角度が付いた界面ゆえに、貫通体アセンブリの一端における圧力の増大が、角度が付いた界面におけるセラミック製の本体への引張応力ではなく、むしろ圧縮応力を生じさせる。これにより、セラミック材料が引張強度よりもはるかに高い圧縮強度を有しているため、セラミック材料およびセラミックとシール用スリーブとの間の接合部への応力が軽減される。角度が付いた面36並びに外側ハウジングおよび保持リングの合わせ面または座面について、90度未満の任意の現実的な角度を使用することができる。上述のように、この角度は、40〜75度の範囲にあってよく、一実施の形態においては、60度の角度が使用されている。さらに、図7に示されるように、より柔らかい材料からなる中間層95を、傾斜した肩部と対向するハウジングまたは保持リング75の面との間の座領域に使用することができる。これにより、応力の集中をさらに最小化するための共形(conformal)な荷重領域がもたらされる。より柔らかい材料は、銅、ニッケル、エラストマ材料、などであってよい。
【0023】
図1〜図4の二連摺動ピンの構成は、導電ピン、セラミック製の本体、および金属製のシール用スリーブの熱膨張率の大きな相違に起因する貫通体アセンブリの製造における問題を軽減する。従来技術の単一ピンの構成においては、金属製のシールをセラミック製の本体、および典型的には銅などからなる導電ピンにろう付けする際に生じる高い温度により、銅製のピンの膨張が生じる。その後の冷却により、銅製のピンが収縮し、金属製のスリーブとセラミック製の本体との間の接合部において本体を引っ張り、セラミック製の本体に応力を生じさせる。これにより、接合部が脆くなり、あるいは破損する可能性がある。この問題が、2部品を伸縮可能に係合させる図1〜図4のピンアセンブリにおいては回避される。なぜならば、コンタクトを金属製のシールをセラミックにろう付けした後で組み立てることができ、ピンの伸縮式の端部が、セラミック製の本体へのシールの接合部に応力を生じさせることなく、熱による膨張および伸縮に適応するように互いに対して摺動できるからである。
【0024】
典型的な貫通体は、高い圧力が一端のみに作用するように設計される。図1〜図4の構成は、貫通体の両端における高い圧力に適応するように設計されている。導電ピン、セラミック製の本体、および金属製のシール用スリーブの材料の異なる堅さまたは弾性率ゆえに、圧力下にあるときに典型的な貫通体においてはシールに相対移動および応力が生じる可能性がある。上述の実施の形態の摺動式の構成は、そのような問題を回避し、導体とセラミック製の本体との間の応力を低くする。それぞれの導体半分部分またはピンにろう付けおよび溶接によって固定されるシール用スリーブは、圧力が高くなるにつれてシールの接触圧または有効性が高まるように構成されている。
【0025】
アセンブリ10の代わりにハウジング12に組み込むことができる貫通体のピンアセンブリまたはサブアセンブリ100の別の実施の形態が、図10〜図12に示されている。この実施の形態において、外側のセラミック製の本体は、先の実施の形態のものと同一であり、同様の参照番号が、必要に応じて同様の部分に使用されている。しかしながら、二連導体の構成が異なっている。この実施の形態においては、堅固な導体ピン102が、外側の誘電性の本体またはハウジング14を貫いて延びている穴15の一端に延びており、穴15の他端まで延びている可撓ケーブルまたは可撓導体105に取り付けられた内側端を有している。可撓ケーブル105の両端が、ピン102の内側端の穴106および端部キャップ108のそれぞれに圧着され、あるいははんだ付けされている。端部キャップ108は、ケーブルコネクタ110に溶接または他の方法で固定され、外側の導電性のシール用スリーブ112が、コネクタ110と、対向するセラミック製の本体14の凹んだ端面113との間を延びている。金属製のJ字形のシール用スリーブ114、115が、第1の実施の形態と同様にセラミック製の本体14の両端にろう付けされており、スリーブ114がセラミック製の本体14の第1の端部にろう付けされ、スリーブ115が第2の端部にろう付けされている。スリーブ114が、隣接する導体ピン102の外面に溶接される一方で、スリーブ115は、スリーブ112の外面に溶接されている。第2のケーブルコネクタ116が、ピン102の外側端に固定されている。この構成においては、可撓導体105が、熱膨張の変化に適応すべく内側および外側に移動または収縮する。この設計も、温度の変化の際並びに極端な温度および圧力の際の導体と外側のセラミック製の本体との間の応力を低くする。
【0026】
上述の実施の形態の各々において、油田掘削施設などにおいて炭化水素を汲み上げるために使用される海中の電動水中ポンプ(ESP)設備に動力を供給するなど、高温、高圧、高電圧、および大電流の用途における使用に適した気密電気貫通体アセンブリがもたらされる。上述の実施の形態の貫通体アセンブリの他の用途として、様々な種類の海中設備において使用される高温高圧の下げ孔電気貫通部および他の電気貫通部が挙げられる。貫通体アセンブリは、様々な電流および電圧の要件に合わせて拡大縮小が可能である。上述の実施の形態の貫通体アセンブリの各々は、セラミック製の本体を貫いて延びており、極端な温度変化の結果としての熱膨張および熱収縮の程度の相違を適応するように移動することができる2つの部分の導体を備えている。上述の設計は、極端な圧力のもとでの応力を下げ、二連導体アセンブリの各側の高い方の圧力が、高圧側とは反対側の導体に感知できるほどの影響を及ぼすことがない。これは、高い圧力が一端だけであるように設計された標準的な貫通体アセンブリに対する改善である。
【0027】
開示された実施の形態についての以上の説明は、本発明の製作または使用を当業者にとって可能にするために提示されている。これらの実施の形態について、様々な変更が当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に記載の全体的な原理は、本発明の思想または範囲から逸脱することなく他の実施の形態にも適用可能である。したがって、本明細書において提示した説明および図面は、本発明の現時点における好ましい実施の形態を表わしており、すなわち本発明によって広く想定される主題の代表であると理解されるべきである。さらに、本発明の範囲が、当業者にとって自明となりうる他の実施の形態を完全に包含し、したがって本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何ものによっても限定されないことを、理解すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、圧力容器などの壁を貫通して電力を供給するための電気貫通体アセンブリに関し、特に、海中用の電気貫通体アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気貫通体は、油田施設において炭化水素を汲み上げる海中用の電動水中ポンプ(ESP)設備などに動力を供給するために使用され、高圧下げ孔電気貫通部および他の貫通部などの他の用途においても、様々な種類の海中設備に動力を供給するために使用されている。貫通体は、設備が位置付けられる容器の壁または隔壁を貫いて延び、通常は、設備を外部の電源に接続するために一端において電源ケーブルに接続される。ESPの用途においては、現実的な理由で、接続部または貫通体を汲み上げの圧力から隔離することができない。結果として、圧力、温度、および高い電圧のために、コネクタまたは貫通体によって厳しい環境が生じる。貫通体は、モータに電力を伝達するとともに、ESPによって生成される内部の圧力および海水の深さによって生じる外部の圧力の両方について、圧力のバリアを維持しなければならない。温度が、流体の温度および電気素子の抵抗加熱ゆえに上昇する。
【0003】
典型的な電気貫通体または貫通供給部の構成においては、導電コネクタピンなどの一体物の導体が、絶縁スリーブまたは本体の穴を通って延びており、適切なシールが、貫通体アセンブリの各々の端部において外側の本体とピンとの間にろう付けまたは接合(bond)されている。これは、貫通体の製造および後の使用において、貫通体アセンブリに使用される種々の材料の膨張率の相違に起因する問題を生じさせる。既知の一構成においては、シールが、セラミックなどからなる絶縁スリーブを導電性のコネクタピン本体に封止する金属製のシール用スリーブを備えている。ろう付けまたは接合プロセスの際に生じる熱に起因し、部品は、異なる程度で膨張する。ひとたび貫通体アセンブリが低温に戻ると、異なる材料からなる部品の異なる収縮の度合いゆえに、セラミック製のハウジング材料、脆い接合部、または両方に応力が生じ、シールの不具合につながる可能性がある。さらに、ほとんどの既存の貫通体は、片側のみの高圧に合わせて設計されており、反対側に圧力が加わると、シールの構成およびセラミック製のハウジングにさらなる応力が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書において説明される実施の形態は、海中での使用などのように、高圧、高温、および高電圧の用途に特に適した電気貫通体アセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施の形態によれば、貫通穴を有するセラミック製のハウジングと、穴の第1の端部を通って延び、穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有している第1の電気導体と、穴の第2の端部を通って延び、穴の第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有している第2の電気導体と、を備える電気貫通体アセンブリが提供される。このうち導体は、摺動可能または伸縮可能に係合する内側端を有している。第1および第2のシールが、このアセンブリの各々の端部において、セラミック製のハウジングと第1および第2のそれぞれの導体との間を延びている。一実施の形態においては、導電層または導電コーティングが、ハウジングと伸縮可能に係合した導体との間において、セラミック製のハウジングの内径に設けられる。
【0006】
一実施の形態においては、一方の導体の内側端が穴を有しており、この穴に他方の導体の内側端が摺動可能に係合している。内部の摺動コンタクトバンドを、導体が内側および外側に移動するときにこれらの導体の間の電気的な接触を維持するために、穴および導体の内側端の対向する面の間に設けることができる。
【0007】
別の実施の形態においては、電気貫通体アセンブリが、両側に位置する第1および第2の端部を有する貫通穴を有しているセラミック製のハウジングと、穴の第1の端部に延び、第2の端部の手前で終端している剛性を有する導体と、該導体の内側端に固定され、穴の第2の端部から外方に延びている可撓導体と、を備えている。適切なシールが、アセンブリの一端において導体と穴との間に配置され、アセンブリの他端において可撓導体と穴との間に配置されている。この構成においては、可撓導体が、堅固な導体、セラミック製のハウジング、およびシールの熱による膨張および収縮の程度の相違を補償すべく移動し、シール用スリーブとセラミック製のハウジングまたは絶縁ハウジングとの間の応力を軽減している。
【0008】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および添付の図面を検討することによって、当業者にとってより容易に明らかになるであろう。
【0009】
本発明の詳細を、その構造および動作の両方に関して、添付の図面を検討することによって知ることができる。添付の図面において、同様の参照番号は同様の部分を指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、電気貫通体ピンアセンブリの第1の実施の形態の断面図である。
【図2】図2は、図1の二連コンタクトピンの丸く囲まれた摺動コンタクト領域の拡大断面図である。
【図3】図3は、図1の丸く囲まれた端部シール領域の拡大図であり、アセンブリの一端の金属製の端部シールを示す図である。
【図4】図4は、図1のアセンブリの一端の斜視切断図である。
【図5】図5は、別の端部シールの構成を有している変形された貫通体ピンアセンブリの斜視切断図である。
【図6】図6は、図1〜図4の貫通体ピンアセンブリを含む電気貫通体ユニットの全体の断面図である。
【図7】図7は、図6のピンアセンブリの着座領域の拡大断面図であり、一変形例を示す図である。
【図8】図8は、図5のピンアセンブリの誘電体ハウジングの断面図であり、オプションとしての内部の導電コーティングを示す図である。
【図9】図9は、図8の丸く囲まれた領域の拡大断面図であり、内部の導電コーティングが金属製の端部シールまで延びていることを示す図である。
【図10】図10は、電気貫通体ピンアセンブリの別の実施の形態を説明する斜視切断図である。
【図11】図11は、図10の丸く囲まれた領域の拡大図である。
【図12】図12は、図10および図11の貫通体ピンアセンブリの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される特定の実施の形態は、海中の設備への電力の供給などの高圧の用途における使用に適した電気貫通体アセンブリを提供する。
【0012】
本明細書を検討することによって、本発明を選択肢となりうる様々な形態および選択肢となりうる様々な実施の用途にて実施する方法が、当業者にとって明らかになるであろう。しかしながら、本発明の種々の実施の形態が本明細書において説明されるが、それらの実施の形態があくまでも例として提示され、本発明を限定するものではないことを、理解すべきである。したがって、この選択肢となりうる種々の実施の形態の詳細な説明を、本発明の範囲または広がりを限定するものとして解釈してはならない。
【0013】
図1〜図4が、電気貫通体のピンアセンブリまたはサブアセンブリ10の第1の実施の形態を示している一方で、図6が、海中用の容器またはコンテナの壁または隔壁を貫いて延びるように外側貫通体ハウジング12に取り付けられたアセンブリ10を示している。ピンサブアセンブリ10は、セラミックまたは他の誘電性材料からなる外側の本体またはハウジング14を備えており、ハウジング14が、貫通穴15を有している。摺動可能に係合した内側端を有する第1および第2の導体部分またはピン16、18が、ハウジングを貫いて延びている。第1のピン16が、ハウジングの穴15の第1の端部20を通って延び、穴の第2の端部22の手前で終端している。第2のピン18が、穴の第2の端部22を通って延び、第1の端部20の手前で終端している。ピンは、銅などの適切な剛性を有する導電性材料からなる。2つのピンの内側端は、図2にさらに詳しく示されるように伸縮可能に係合している。導電ピンアセンブリの全長を変化させることができるよう、第1のピン16の内側端が、内側に延びる穴24を有し、第2のピン18の内側端が、この穴に摺動可能または伸縮可能に係合している。穴24の環状の凹所に取り付けられた内側摺動コンタクトバンド25が、さらに詳しく後述されるように、様々な種類の応力を補償すべくピンが内側および外側に伸縮できるようにしつつ、ピン16および18の間の摺動する電気的係合または接触の界面をもたらしている。バンド25が、対向する穴24の内面とピン18の外面との間に隙間をもたらしつつ、依然として2つのピンまたは導体半分部分の間に常に電気的接触をもたらしている。他の実施の形態においては、コンタクトバンドを、ピン18のうちの穴24に係合する部位の外面に取り付けてもよい。
【0014】
ケーブルコネクタ26が、貫通体アセンブリの片側の第1のケーブルへの接続のために、第1のピンの外側端に設けられる一方で、第2のピン18の外側端のケーブルコネクタ28が、貫通体アセンブリの反対側の第2のケーブルに接続されるように設計されている。一方のケーブルコネクタ28が、ピンに一体に形成される一方で、他方のケーブルコネクタ26は、分離されて形成され、ピン16の外側端の穴31に螺合する小さくされた直径の柱29を有している。貫通体の一方または両方の端部が、2部品からなるケーブルコネクタまたは一体物のケーブルコネクタを有することができる。
【0015】
外側の本体14の各々の端部に位置する金属製のシール用スリーブ30、32が、外側のセラミック製の本体をそれぞれの導体またはピン16、18に気密に封じている。金属製のスリーブ30、32の各々は、図3に示されるように、略J字形の断面であり、本体14の外側端が、図3にスリーブ32について示されているように、J字形のそれぞれのシール30、32のフック状の端部がろう付けまたは接合される環状の凹所34を有している。J字形のスリーブの軸部は、隣接するそれぞれのピン16、18の外面に溶接またはろう付けされている。J字形のスリーブの設計は、ろう付け結合部がろう付けプロセスの際の熱膨張によってきつくなるような設計であり、いくつかの従来技術の単一ピンの貫通体において使用されているような標準的なZ字形のシール用スリーブと比べ、同じ貫通体の長さにおいてより長いトラッキング距離(tracking distance)が生み出されるという利点も有する。
【0016】
外側の誘電体ハウジング14は、大きくされた外径の中央部35と、中央部の各端部に位置してより小さな直径の端部38への移行部を形成している傾斜した肩部または段差36と、を有している。肩部または段差36の角度は、40〜75度の範囲にあってよく、一実施の形態においては、各々の段差が、図2に示されるようにピンアセンブリの中心軸に対して60度の角度を有している。貫通穴15は、わずかに異なるピン16、18の外径に適応するように段差のある直径であり、大きい方のピン16を受け入れる第1の端部が、ピン18を受け入れる第2の端部と比べて相応に大きい直径を有しており、2つの端部の間に角度が付いた段差40が存在している。外側導電コーティング42が、本体の大径部35および各々の小径部38の一部に延びており、各々のシール用スリーブ30、32と隣接するコーティング42の端部との間に、セラミック部が露出している。導電コーティング42は、図6に関してさらに詳しく後述されるように、セラミック製の誘電体材料に加わる電気的ストレスを抑えるための一様または実質的に一様な接地面を提供する。
【0017】
さらに、導電コーティングまたは中間の導電若しくは半導電層45を、セラミック製の本体と導体またはピンとの間において、セラミック製の本体14の内径に設けることができる。層45は、図3に示されているように、穴15の全長に延び、さらに本体の端面43の周囲に延びている。一実施の形態においては、コーティングが、モリブデン−マンガン(moly-manganese)焼結コーティングと、その後のニッケルメッキと、を含むことができるが、任意の半導電または導電性コーティングをこの目的のために使用することができる。コーティング45の目的は、導体ピン16、18とセラミック製の本体との間の隙間を許容して、高電圧または中電圧の界面をセラミック製または誘電性の本体14の内面に設けることにある。コーティングは、セラミックの絶縁を劣化させて最終的には部品の不具合を引き起こす可能性のある放電の発生および重大性を軽減することを促進し得る。セラミック製の本体と導電ピンとの間に隙間を設けることによって、銅などの高い導電率の材料をピンに使用しつつ、セラミック絶縁体並びにろう付けされた金属シールまたはスリーブ30、32において、熱膨張の不釣り合いおよび誘発される機械的な応力などの問題を生じさせないようにすることができる。内側コーティング層45は、セラミック製の本体の端面43に延びて、本体の外側に位置するピンの拡大された肩部に面するようにしてもよい。これは、貫通体アセンブリの両端が大きな圧力に曝されるときに、コーティングと導電ピンとの間の接触を保証することを促進する。端面のコーティングは、導電性である金属製のシール用スリーブ30、32の手前で終端しても、終端していなくてもよい。
【0018】
図5が、図1〜図4の二連ピンアセンブリについて、変形された端部シールの構成を示している。図5においては、図1〜図4のJ字型の端部シール30、32が、Z字形のシールまたはZ字形の断面の金属スリーブ46(そのうちの一方だけを、図5では見て取ることができる)によって置き換えられている。図5の実施の形態は、そのほかでは、図1〜図4の実施の形態と同一であり、同様の参照番号が、必要に応じて同様の部分に使用されている。図5に示されるように、各々のスリーブ46が、本体14の外面および端面の一部分にろう付けまたは接合された第1の端部と、セラミック製の本体の端面に隣接する導電性の金属ピン18の外面に溶接またはろう付けされた第2の端部と、を有し、気密のシールを形成している。図1〜図4の実施の形態および図5の実施の形態の両方において、ろう付けおよび溶接されるシール用スリーブは、加えられた圧力がろう付け/溶接結合部に応力をかけないよう、貫通体のピンアセンブリの両端に加わる外部の圧力の結果としてシールの接触圧力および有効性が向上するように設計されている。図1〜図4のJ字形のスリーブの構成においては、ろう付け結合部が、ろう付けプロセスの最中の熱膨張によって締め付けられる。図1〜図4の実施の形態と同様、図5のセラミック製の本体14は、図8および図9に最もよく示されているように、貫通穴15の全長に沿って延び、本体14の両端面48に延びている内側導電コーティング層45を有している。両方の実施の形態において、内側コーティングは、図9に見られるように本体の両端面の周囲に延び、圧力下で対向するそれぞれのコンタクトピンの面に接触する。内側コーティングは、金属製の端部スリーブの手前で終端してもよく、あるいは金属製の端部スリーブの下方を図1の端面43まで延びてもよい。
【0019】
図6が、ステンレス鋼などの金属または他の導電性材料からなり得る外側のフィードスルーまたは貫通体ハウジング12に組み込まれた図1〜図4の貫通体アセンブリ10を示している。貫通体アセンブリが、図6に示されるように外側ハウジングに組み込まれるとき、外側の導電コーティング42が、金属製の外側ハウジングに直接に物理的に接触し、接地面の連続性をもたらす。接地面は、連続していても、アセンブリ10、12のいずれかの端部に位置する別体のブーツシール(boot seal)部品(図示せず)の導電部によって終端されていてもよい。
【0020】
外側ハウジング12は、段差のある直径の貫通穴70を有しており、穴の第1の端部72から第2のより大きい方の端部74に次第に大きくなる直径の一連の部位を有している。貫通体ピンアセンブリが、大きい方の直径の端部74から差し込まれ、シール保持ハウジングまたはシール保持板75並びに保持ナット78によって、所定の場所に適切に固定される。アセンブリ10が差し込まれるとき、セラミック製の本体14の拡大された部位35の一端の傾斜した肩部36が、貫通穴70の第1の小さい方の端部に近い対応する形状の肩部または座80に当接する。保持ハウジングまたは保持板75が、貫通穴82を有しており、貫通穴82が、拡大された部位35の他端の角度が付いた肩部36に当接する対応する形状の段部または座84を備えている。このようにして、本体14が、対向する肩部または座80および84の間にしっかりと保持される。ステンレス鋼などの金属であり得る剛性を有するハウジングまたは板75が、対向するハウジングの貫通穴70の内面の一部分に気密に係合する外側の1つ以上の環状シールまたはOリングシール85と、誘電性の本体14の拡大された部位35の外面を封止する貫通穴82の内側の環状シールまたはOリングシール86と、を有している。グランドシール88が、穴70の拡大された部位90の端部に位置付けられ、座または肩部80および84の間で本体14の拡大された部位35を囲んでいる。
【0021】
一実施の形態においては、図6の貫通体ユニットを、隔壁の海水側195のケーブルから隔壁のポンプ側196のポンプに電力を供給するために使用することができ、したがって貫通体ユニットが、ポンプ側の高いポンプの圧力および海水側の高い海水の圧力に曝される。貫通体ハウジング12、保持ナット78、および保持スリーブまたは保持板75は、ステンレス鋼または他の金属材料など、任意の適切な剛性材料であってよい。
【0022】
ピンサブアセンブリ10並びにピンサブアセンブリを収容する外側ハウジング12および保持部品の設計は、絶縁性または誘電性の本体14への引張応力を軽減しつつ、本体14の圧縮強度を使用するように構成される。特に、セラミック材料は、引張強度よりもはるかに高い圧縮強度を有する。傾斜した肩部36並びに対応する外側ハウジングの穴70および保持スリーブまたは保持板75の穴の対応する角度が付いた面または座80、84の角度は、機械的強度を改善または最適化するように設計される。角度が付いた界面ゆえに、貫通体アセンブリの一端における圧力の増大が、角度が付いた界面におけるセラミック製の本体への引張応力ではなく、むしろ圧縮応力を生じさせる。これにより、セラミック材料が引張強度よりもはるかに高い圧縮強度を有しているため、セラミック材料およびセラミックとシール用スリーブとの間の接合部への応力が軽減される。角度が付いた面36並びに外側ハウジングおよび保持リングの合わせ面または座面について、90度未満の任意の現実的な角度を使用することができる。上述のように、この角度は、40〜75度の範囲にあってよく、一実施の形態においては、60度の角度が使用されている。さらに、図7に示されるように、より柔らかい材料からなる中間層95を、傾斜した肩部と対向するハウジングまたは保持リング75の面との間の座領域に使用することができる。これにより、応力の集中をさらに最小化するための共形(conformal)な荷重領域がもたらされる。より柔らかい材料は、銅、ニッケル、エラストマ材料、などであってよい。
【0023】
図1〜図4の二連摺動ピンの構成は、導電ピン、セラミック製の本体、および金属製のシール用スリーブの熱膨張率の大きな相違に起因する貫通体アセンブリの製造における問題を軽減する。従来技術の単一ピンの構成においては、金属製のシールをセラミック製の本体、および典型的には銅などからなる導電ピンにろう付けする際に生じる高い温度により、銅製のピンの膨張が生じる。その後の冷却により、銅製のピンが収縮し、金属製のスリーブとセラミック製の本体との間の接合部において本体を引っ張り、セラミック製の本体に応力を生じさせる。これにより、接合部が脆くなり、あるいは破損する可能性がある。この問題が、2部品を伸縮可能に係合させる図1〜図4のピンアセンブリにおいては回避される。なぜならば、コンタクトを金属製のシールをセラミックにろう付けした後で組み立てることができ、ピンの伸縮式の端部が、セラミック製の本体へのシールの接合部に応力を生じさせることなく、熱による膨張および伸縮に適応するように互いに対して摺動できるからである。
【0024】
典型的な貫通体は、高い圧力が一端のみに作用するように設計される。図1〜図4の構成は、貫通体の両端における高い圧力に適応するように設計されている。導電ピン、セラミック製の本体、および金属製のシール用スリーブの材料の異なる堅さまたは弾性率ゆえに、圧力下にあるときに典型的な貫通体においてはシールに相対移動および応力が生じる可能性がある。上述の実施の形態の摺動式の構成は、そのような問題を回避し、導体とセラミック製の本体との間の応力を低くする。それぞれの導体半分部分またはピンにろう付けおよび溶接によって固定されるシール用スリーブは、圧力が高くなるにつれてシールの接触圧または有効性が高まるように構成されている。
【0025】
アセンブリ10の代わりにハウジング12に組み込むことができる貫通体のピンアセンブリまたはサブアセンブリ100の別の実施の形態が、図10〜図12に示されている。この実施の形態において、外側のセラミック製の本体は、先の実施の形態のものと同一であり、同様の参照番号が、必要に応じて同様の部分に使用されている。しかしながら、二連導体の構成が異なっている。この実施の形態においては、堅固な導体ピン102が、外側の誘電性の本体またはハウジング14を貫いて延びている穴15の一端に延びており、穴15の他端まで延びている可撓ケーブルまたは可撓導体105に取り付けられた内側端を有している。可撓ケーブル105の両端が、ピン102の内側端の穴106および端部キャップ108のそれぞれに圧着され、あるいははんだ付けされている。端部キャップ108は、ケーブルコネクタ110に溶接または他の方法で固定され、外側の導電性のシール用スリーブ112が、コネクタ110と、対向するセラミック製の本体14の凹んだ端面113との間を延びている。金属製のJ字形のシール用スリーブ114、115が、第1の実施の形態と同様にセラミック製の本体14の両端にろう付けされており、スリーブ114がセラミック製の本体14の第1の端部にろう付けされ、スリーブ115が第2の端部にろう付けされている。スリーブ114が、隣接する導体ピン102の外面に溶接される一方で、スリーブ115は、スリーブ112の外面に溶接されている。第2のケーブルコネクタ116が、ピン102の外側端に固定されている。この構成においては、可撓導体105が、熱膨張の変化に適応すべく内側および外側に移動または収縮する。この設計も、温度の変化の際並びに極端な温度および圧力の際の導体と外側のセラミック製の本体との間の応力を低くする。
【0026】
上述の実施の形態の各々において、油田掘削施設などにおいて炭化水素を汲み上げるために使用される海中の電動水中ポンプ(ESP)設備に動力を供給するなど、高温、高圧、高電圧、および大電流の用途における使用に適した気密電気貫通体アセンブリがもたらされる。上述の実施の形態の貫通体アセンブリの他の用途として、様々な種類の海中設備において使用される高温高圧の下げ孔電気貫通部および他の電気貫通部が挙げられる。貫通体アセンブリは、様々な電流および電圧の要件に合わせて拡大縮小が可能である。上述の実施の形態の貫通体アセンブリの各々は、セラミック製の本体を貫いて延びており、極端な温度変化の結果としての熱膨張および熱収縮の程度の相違を適応するように移動することができる2つの部分の導体を備えている。上述の設計は、極端な圧力のもとでの応力を下げ、二連導体アセンブリの各側の高い方の圧力が、高圧側とは反対側の導体に感知できるほどの影響を及ぼすことがない。これは、高い圧力が一端だけであるように設計された標準的な貫通体アセンブリに対する改善である。
【0027】
開示された実施の形態についての以上の説明は、本発明の製作または使用を当業者にとって可能にするために提示されている。これらの実施の形態について、様々な変更が当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に記載の全体的な原理は、本発明の思想または範囲から逸脱することなく他の実施の形態にも適用可能である。したがって、本明細書において提示した説明および図面は、本発明の現時点における好ましい実施の形態を表わしており、すなわち本発明によって広く想定される主題の代表であると理解されるべきである。さらに、本発明の範囲が、当業者にとって自明となりうる他の実施の形態を完全に包含し、したがって本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲以外の何ものによっても限定されないことを、理解すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側ハウジングと、
前記穴の第1の端部を通って延び、前記穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有している第1の電気導体と、
前記穴の前記第2の端部を通って延び、前記穴の前記第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有している第2の電気導体と、
前記ハウジングの前記第1の端部と前記第1の電気導体との間を延びる第1の気密シール、および、前記ハウジングの前記第2の端部と前記第2の電気導体との間を延びる第2の気密シールと、を備え、
各々の前記導体が、他方の前記導体に電気的に導通する内側端を有しており、少なくとも一方の前記導体が、前記導体間の電気的な導通を維持しつつ他方の前記導体に対して移動可能である電気貫通体。
【請求項2】
前記シールが、導電性材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項3】
前記シールが、J字形である請求項1に記載の貫通体。
【請求項4】
前記シールが、Z字形である請求項1に記載の貫通体。
【請求項5】
各々の前記シールが、金属製のスリーブを含んでいる請求項1に記載の貫通体。
【請求項6】
各々の前記スリーブが、前記ハウジングのそれぞれの前記端部にろう付けされると共に、それぞれの前記電気導体にろう付けまたは溶接されている請求項5に記載の貫通体。
【請求項7】
前記第1の導体が、その内側端に位置する穴を有しており、前記第2の導体が、該穴に伸縮可能に係合して前記第1および第2の導体の間の相対移動に適応する内側端部を有している請求項1に記載の貫通体。
【請求項8】
前記第1の導体の前記穴が、内面を有しており、前記第2の導体の前記内側端部が、前記穴の前記内面に離間して対向する外面を有しており、コンタクトバンドが、前記対向する面のうちの一方に固定され、前記対向する面のうちの他方に摺動接触する請求項7に記載の貫通体。
【請求項9】
前記第1の導体の直径が、前記第2の導体よりも大きい請求項7に記載の貫通体。
【請求項10】
前記貫通穴が、前記第1の導体を摺動可能に受け入れる第1の直径の第1の部位と、前記第2の導体を摺動可能に受け入れる第2の直径の第2の部位と、を有している請求項9に記載の貫通体。
【請求項11】
前記貫通穴が、前記第1および第2の直径の部位の間のテーパ状の段差を有している請求項10に記載の貫通体。
【請求項12】
前記導体と前記絶縁性のハウジングとの間に隙間をもたらす、前記貫通穴に設けられた導電性または半導電性の内側コーティング層を更に備えている請求項1に記載の貫通体。
【請求項13】
前記内側コーティング層が、前記ハウジングの両側の前記端部の少なくとも一部分に延びている請求項12に記載の貫通体。
【請求項14】
前記導体が、銅材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項15】
前記ハウジングが、セラミック材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項16】
前記ハウジングが、大径の中央部と、小径の第1および第2の端部と、前記中央部と前記第1および第2の端部のそれぞれとの間の第1および第2の肩部と、を含む段差のある直径の外面を有している請求項1に記載の貫通体。
【請求項17】
前記肩部の各々が、それぞれの端部に向かって所定の角度で傾斜している請求項16に記載の貫通体。
【請求項18】
前記肩部の各々の角度が、40〜75度の範囲にある請求項17に記載の貫通体。
【請求項19】
前記肩部の各々の角度が、60度である請求項18に記載の貫通体。
【請求項20】
前記ハウジングの前記大径の中央部並びに前記小径の第1および第2の端部の少なくとも一部分に延びる導電性材料からなる外側コーティングを更に備えている請求項16に記載の貫通体。
【請求項21】
前記外側コーティングが、前記絶縁ハウジングの前記第1の端部から離間した第1の端部と、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部から離間した第2の端部と、を有している請求項20に記載の貫通体。
【請求項22】
前記絶縁ハウジングの前記第1の端部において該絶縁ハウジングと前記第1の導体との間を延びる導電性材料からなる第1のシール用スリーブと、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部において該絶縁ハウジングと前記第2の導体との間を延びる導電性材料からなる第2のシール用スリーブと、を更に備えている請求項21に記載の貫通体。
【請求項23】
前記第1のシール用スリーブが、前記絶縁ハウジングの前記第1の端部に隣接する該ハウジングの前記外面に延び、前記外側コーティングの前記第1の端部から離間した位置で終端しており、
前記第2のシール用スリーブが、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部に隣接する該ハウジングの前記外面に延び、前記外側コーティングの前記第2の端部から離間した位置で終端している請求項22に記載の貫通体。
【請求項24】
前記第1の導体が可撓導体を含んでおり、前記第2の導体が堅固な金属導体を含んでおり、該導体が、互いに固定される内側端を有しており、前記可撓導体が、熱による膨張および収縮に適応すべく移動するように構成されている請求項1に記載の貫通体。
【請求項25】
前記シールが、前記ハウジングにろう付けされている請求項2に記載の貫通体。
【請求項26】
前記シールが、前記導体よりも低い熱膨張率を有する合金金属からなる請求項2に記載の貫通体。
【請求項27】
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側スリーブと、
前記スリーブを通って延びており、前記スリーブの両側の前記端部から外方に延びる、両側に位置する第1および第2の端部を有している電気導体シャフトと、
少なくとも部分的に導電性材料からなり、前記シャフトと前記外側スリーブとの間に位置する中間層と、を備えた電気貫通体アセンブリ。
【請求項28】
前記中間層が、前記スリーブ貫通穴の内面に位置する半導電性材料からなるコーティングを含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記中間層が、前記スリーブ貫通穴の内面に接合された半導電性材料の層を含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記中間層が、前記導体シャフトの材料とは異なる導電性材料からなるコーティングを含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記中間層が、実質的に空隙のない剛性を有する半導電性材料からなる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記導体シャフトが、第1および第2の導体部分を含んでおり、前記第1の導体部分が、前記穴の第1の端部を通って延び、前記穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有しており、前記第2の導体部分が、前記穴の前記第2の端部を通って延び、前記穴の前記第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有しており、該導体部分が、前記貫通穴の内部で電気的に導通する内側端を有しており、少なくとも一方の前記導体部分が、他方の前記導体部分に対して移動可能である請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記第1および第2の導体部分が、伸縮可能に係合した内側端を有する金属製の導体ピンを含んでいる請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記第1の導体が可撓導体を含んでおり、前記第2の導体が剛性を有する金属導体を含んでいる請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項35】
前記外側スリーブの前記第1の端部および前記第1の導体部分に固定されて第1の気密シールを形成する第1の金属製のシール用スリーブと、前記外側スリーブの前記第2の端部および前記第2の導体部分に固定されて第2の気密シールを形成する第2の金属製のシール用スリーブと、を更に備える請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記第1および第2のシール用スリーブが、ろう付けまたは溶接接続部によって前記外側スリーブのそれぞれの前記端部およびそれぞれの前記導体に固定されている請求項35に記載のアセンブリ。
【請求項37】
貫通穴を有している外側貫通体ハウジングと、
前記外側ハウジングの前記穴を通って延びる貫通体ピンアセンブリと、を備え、
前記貫通体ピンアセンブリが、
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側スリーブと、
前記スリーブを通って延びており、前記スリーブの両側の前記端部から外方に延びる、両側に位置する第1および第2の端部を有している電気導体シャフトと、を含み、
前記導体シャフトが、前記スリーブの前記第1および第2の端部をそれぞれ通って内側に延びる第1および第2の導体部分を含んでおり、該導体部分が、前記スリーブの内部で電気的に導通しており、
前記第1の導体部分と前記外側スリーブとの間を第1の気密シールが延び、前記第2の導体部分と前記外側スリーブとの間を第2の気密シールが延びている電気貫通体ユニット。
【請求項38】
前記外側スリーブと前記外側ハウジング貫通穴との間において該スリーブの長さの少なくとも一部にわたって延びる外側導電層を更に備えている請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項39】
前記ハウジング貫通穴に固定され、前記貫通体ピンアセンブリを前記ハウジングに保持する剛性材料からなる保持板を更に備えており、該保持板が、前記貫通体ピンアセンブリの一部分が通って延びる穴を有している請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項40】
前記外側スリーブのうちの前記保持板の穴を通って延びる部分を含む該スリーブの長さの少なくとも一部にわたって延びる外側導電層を更に備えており、該導電層が、前記保持板の穴に直接に物理的に接触している請求項39に記載の貫通体ユニット。
【請求項41】
前記外側スリーブが、段差のある直径を含み、拡大された部位と、前記拡大された部位よりも小さい直径を含み、前記拡大された部位の両端に位置する第1および第2の端部と、前記拡大された部位と前記第1および第2の端部のそれぞれとの間に位置する第1および第2の肩部と、を有している請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項42】
前記保持板が、前記第1の肩部において前記貫通体ピンアセンブリに係合し、前記保持板の前記開口部が、前記第1の肩部における前記外側スリーブの前記第1の端部、第1の肩部、および拡大された部位の形状に実質的に一致する内側の形状を有している請求項41に記載の貫通体ユニット。
【請求項43】
前記第1の肩部および前記保持板開口部の対向する部分が、所定の角度で傾斜している請求項42に記載の貫通体ユニット。
【請求項44】
前記第1の肩部と前記保持板開口部の対向する部分との間の中間層を更に備えており、該中間層が、前記外側スリーブおよび保持板よりも柔らかい材料からなる請求項43に記載の貫通体ユニット。
【請求項45】
前記気密シールが、導電性材料からなるシール用スリーブを含んでいる請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項46】
前記シール用スリーブおよび導体シャフトが金属からなり、前記外側スリーブがセラミック材料からなる請求項45に記載の貫通体ユニット。
【請求項47】
前記第1および第2のシール用スリーブの各々が、ろう付け結合部によって前記セラミック製の外側スリーブに固定され、ろう付けまたは溶接結合部によって前記導体部分のそれぞれに固定されている請求項46に記載の貫通体ユニット。
【請求項48】
少なくとも部分的に導電性材料からなり、前記外側スリーブと前記導体シャフトとの間に位置する中間層を更に備えている請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項49】
前記中間層が半導電性材料からなる請求項48に記載の貫通体ユニット。
【請求項50】
前記中間層が、前記導体シャフトとは異なる導電性材料からなる請求項48に記載の貫通体ユニット。
【請求項1】
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側ハウジングと、
前記穴の第1の端部を通って延び、前記穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有している第1の電気導体と、
前記穴の前記第2の端部を通って延び、前記穴の前記第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有している第2の電気導体と、
前記ハウジングの前記第1の端部と前記第1の電気導体との間を延びる第1の気密シール、および、前記ハウジングの前記第2の端部と前記第2の電気導体との間を延びる第2の気密シールと、を備え、
各々の前記導体が、他方の前記導体に電気的に導通する内側端を有しており、少なくとも一方の前記導体が、前記導体間の電気的な導通を維持しつつ他方の前記導体に対して移動可能である電気貫通体。
【請求項2】
前記シールが、導電性材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項3】
前記シールが、J字形である請求項1に記載の貫通体。
【請求項4】
前記シールが、Z字形である請求項1に記載の貫通体。
【請求項5】
各々の前記シールが、金属製のスリーブを含んでいる請求項1に記載の貫通体。
【請求項6】
各々の前記スリーブが、前記ハウジングのそれぞれの前記端部にろう付けされると共に、それぞれの前記電気導体にろう付けまたは溶接されている請求項5に記載の貫通体。
【請求項7】
前記第1の導体が、その内側端に位置する穴を有しており、前記第2の導体が、該穴に伸縮可能に係合して前記第1および第2の導体の間の相対移動に適応する内側端部を有している請求項1に記載の貫通体。
【請求項8】
前記第1の導体の前記穴が、内面を有しており、前記第2の導体の前記内側端部が、前記穴の前記内面に離間して対向する外面を有しており、コンタクトバンドが、前記対向する面のうちの一方に固定され、前記対向する面のうちの他方に摺動接触する請求項7に記載の貫通体。
【請求項9】
前記第1の導体の直径が、前記第2の導体よりも大きい請求項7に記載の貫通体。
【請求項10】
前記貫通穴が、前記第1の導体を摺動可能に受け入れる第1の直径の第1の部位と、前記第2の導体を摺動可能に受け入れる第2の直径の第2の部位と、を有している請求項9に記載の貫通体。
【請求項11】
前記貫通穴が、前記第1および第2の直径の部位の間のテーパ状の段差を有している請求項10に記載の貫通体。
【請求項12】
前記導体と前記絶縁性のハウジングとの間に隙間をもたらす、前記貫通穴に設けられた導電性または半導電性の内側コーティング層を更に備えている請求項1に記載の貫通体。
【請求項13】
前記内側コーティング層が、前記ハウジングの両側の前記端部の少なくとも一部分に延びている請求項12に記載の貫通体。
【請求項14】
前記導体が、銅材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項15】
前記ハウジングが、セラミック材料からなる請求項1に記載の貫通体。
【請求項16】
前記ハウジングが、大径の中央部と、小径の第1および第2の端部と、前記中央部と前記第1および第2の端部のそれぞれとの間の第1および第2の肩部と、を含む段差のある直径の外面を有している請求項1に記載の貫通体。
【請求項17】
前記肩部の各々が、それぞれの端部に向かって所定の角度で傾斜している請求項16に記載の貫通体。
【請求項18】
前記肩部の各々の角度が、40〜75度の範囲にある請求項17に記載の貫通体。
【請求項19】
前記肩部の各々の角度が、60度である請求項18に記載の貫通体。
【請求項20】
前記ハウジングの前記大径の中央部並びに前記小径の第1および第2の端部の少なくとも一部分に延びる導電性材料からなる外側コーティングを更に備えている請求項16に記載の貫通体。
【請求項21】
前記外側コーティングが、前記絶縁ハウジングの前記第1の端部から離間した第1の端部と、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部から離間した第2の端部と、を有している請求項20に記載の貫通体。
【請求項22】
前記絶縁ハウジングの前記第1の端部において該絶縁ハウジングと前記第1の導体との間を延びる導電性材料からなる第1のシール用スリーブと、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部において該絶縁ハウジングと前記第2の導体との間を延びる導電性材料からなる第2のシール用スリーブと、を更に備えている請求項21に記載の貫通体。
【請求項23】
前記第1のシール用スリーブが、前記絶縁ハウジングの前記第1の端部に隣接する該ハウジングの前記外面に延び、前記外側コーティングの前記第1の端部から離間した位置で終端しており、
前記第2のシール用スリーブが、前記絶縁ハウジングの前記第2の端部に隣接する該ハウジングの前記外面に延び、前記外側コーティングの前記第2の端部から離間した位置で終端している請求項22に記載の貫通体。
【請求項24】
前記第1の導体が可撓導体を含んでおり、前記第2の導体が堅固な金属導体を含んでおり、該導体が、互いに固定される内側端を有しており、前記可撓導体が、熱による膨張および収縮に適応すべく移動するように構成されている請求項1に記載の貫通体。
【請求項25】
前記シールが、前記ハウジングにろう付けされている請求項2に記載の貫通体。
【請求項26】
前記シールが、前記導体よりも低い熱膨張率を有する合金金属からなる請求項2に記載の貫通体。
【請求項27】
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側スリーブと、
前記スリーブを通って延びており、前記スリーブの両側の前記端部から外方に延びる、両側に位置する第1および第2の端部を有している電気導体シャフトと、
少なくとも部分的に導電性材料からなり、前記シャフトと前記外側スリーブとの間に位置する中間層と、を備えた電気貫通体アセンブリ。
【請求項28】
前記中間層が、前記スリーブ貫通穴の内面に位置する半導電性材料からなるコーティングを含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記中間層が、前記スリーブ貫通穴の内面に接合された半導電性材料の層を含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記中間層が、前記導体シャフトの材料とは異なる導電性材料からなるコーティングを含んでいる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記中間層が、実質的に空隙のない剛性を有する半導電性材料からなる請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項32】
前記導体シャフトが、第1および第2の導体部分を含んでおり、前記第1の導体部分が、前記穴の第1の端部を通って延び、前記穴の第2の端部の手前で終端し、第1のケーブルと係合することができる外側端を有しており、前記第2の導体部分が、前記穴の前記第2の端部を通って延び、前記穴の前記第1の端部の手前で終端し、第2のケーブルと係合することができる外側端を有しており、該導体部分が、前記貫通穴の内部で電気的に導通する内側端を有しており、少なくとも一方の前記導体部分が、他方の前記導体部分に対して移動可能である請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記第1および第2の導体部分が、伸縮可能に係合した内側端を有する金属製の導体ピンを含んでいる請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記第1の導体が可撓導体を含んでおり、前記第2の導体が剛性を有する金属導体を含んでいる請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項35】
前記外側スリーブの前記第1の端部および前記第1の導体部分に固定されて第1の気密シールを形成する第1の金属製のシール用スリーブと、前記外側スリーブの前記第2の端部および前記第2の導体部分に固定されて第2の気密シールを形成する第2の金属製のシール用スリーブと、を更に備える請求項32に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記第1および第2のシール用スリーブが、ろう付けまたは溶接接続部によって前記外側スリーブのそれぞれの前記端部およびそれぞれの前記導体に固定されている請求項35に記載のアセンブリ。
【請求項37】
貫通穴を有している外側貫通体ハウジングと、
前記外側ハウジングの前記穴を通って延びる貫通体ピンアセンブリと、を備え、
前記貫通体ピンアセンブリが、
貫通穴と、両側に位置する第1および第2の端部と、を有している、非導電性の絶縁性材料からなる外側スリーブと、
前記スリーブを通って延びており、前記スリーブの両側の前記端部から外方に延びる、両側に位置する第1および第2の端部を有している電気導体シャフトと、を含み、
前記導体シャフトが、前記スリーブの前記第1および第2の端部をそれぞれ通って内側に延びる第1および第2の導体部分を含んでおり、該導体部分が、前記スリーブの内部で電気的に導通しており、
前記第1の導体部分と前記外側スリーブとの間を第1の気密シールが延び、前記第2の導体部分と前記外側スリーブとの間を第2の気密シールが延びている電気貫通体ユニット。
【請求項38】
前記外側スリーブと前記外側ハウジング貫通穴との間において該スリーブの長さの少なくとも一部にわたって延びる外側導電層を更に備えている請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項39】
前記ハウジング貫通穴に固定され、前記貫通体ピンアセンブリを前記ハウジングに保持する剛性材料からなる保持板を更に備えており、該保持板が、前記貫通体ピンアセンブリの一部分が通って延びる穴を有している請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項40】
前記外側スリーブのうちの前記保持板の穴を通って延びる部分を含む該スリーブの長さの少なくとも一部にわたって延びる外側導電層を更に備えており、該導電層が、前記保持板の穴に直接に物理的に接触している請求項39に記載の貫通体ユニット。
【請求項41】
前記外側スリーブが、段差のある直径を含み、拡大された部位と、前記拡大された部位よりも小さい直径を含み、前記拡大された部位の両端に位置する第1および第2の端部と、前記拡大された部位と前記第1および第2の端部のそれぞれとの間に位置する第1および第2の肩部と、を有している請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項42】
前記保持板が、前記第1の肩部において前記貫通体ピンアセンブリに係合し、前記保持板の前記開口部が、前記第1の肩部における前記外側スリーブの前記第1の端部、第1の肩部、および拡大された部位の形状に実質的に一致する内側の形状を有している請求項41に記載の貫通体ユニット。
【請求項43】
前記第1の肩部および前記保持板開口部の対向する部分が、所定の角度で傾斜している請求項42に記載の貫通体ユニット。
【請求項44】
前記第1の肩部と前記保持板開口部の対向する部分との間の中間層を更に備えており、該中間層が、前記外側スリーブおよび保持板よりも柔らかい材料からなる請求項43に記載の貫通体ユニット。
【請求項45】
前記気密シールが、導電性材料からなるシール用スリーブを含んでいる請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項46】
前記シール用スリーブおよび導体シャフトが金属からなり、前記外側スリーブがセラミック材料からなる請求項45に記載の貫通体ユニット。
【請求項47】
前記第1および第2のシール用スリーブの各々が、ろう付け結合部によって前記セラミック製の外側スリーブに固定され、ろう付けまたは溶接結合部によって前記導体部分のそれぞれに固定されている請求項46に記載の貫通体ユニット。
【請求項48】
少なくとも部分的に導電性材料からなり、前記外側スリーブと前記導体シャフトとの間に位置する中間層を更に備えている請求項37に記載の貫通体ユニット。
【請求項49】
前記中間層が半導電性材料からなる請求項48に記載の貫通体ユニット。
【請求項50】
前記中間層が、前記導体シャフトとは異なる導電性材料からなる請求項48に記載の貫通体ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−501499(P2013−501499A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523634(P2012−523634)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/042757
【国際公開番号】WO2011/016997
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512018438)テレダイン、インストゥルメンツ、インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】TELEDYNE INSTRUMENTS, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/042757
【国際公開番号】WO2011/016997
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512018438)テレダイン、インストゥルメンツ、インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】TELEDYNE INSTRUMENTS, INC.
【Fターム(参考)】
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