説明

電気貯湯容器

【課題】少なめ、多めの各流量での吐出操作が、2つの操作部材の視認できる使い分けによって、容易かつ簡単に誤操作なく吐出流量を異ならせた吐出が行えるものとする。
【解決手段】定置できる器体を1上に、吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチ71を働かせる少なめ吐出操作部材73の単独操作により少なめ吐出流量での吐出と、第1の吐出スイッチ71と同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチ72を働かせる多め吐出部材74の操作に、少なめ吐出操作部73を連動させて第1の吐出スイッチ71を同時に働かせ多め吐出流量での吐出とを、選択的に行うようにしたことにより、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内容液を加熱して湯沸しや保温を行い貯湯し使用に供する電気貯湯容器に関し、詳しくは、定置できる器体を有して、内容液をヒータで加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段を働かせることにより、吐出路を通じ吐出し、使用に供する電気貯湯容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電気貯湯容器で、1つの操作部材を押動する操作量の違いによって、2つの吐出スイッチを2通りに働かせて吐出流量を少なめと多めとを選択して吐出できるようにしたものが既に知られており(例えば、特許文献1、2参照。)、1つの操作部材でありながら操作量の違いによって、用途や必要量の違いに応じた2通りの流量にて吐出でき便利である。
【特許文献1】特公平6−81611号公報
【特許文献2】特開2007−275128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、1つの操作部材を異なった操作量に使い分けて、2つの吐出スイッチを異なった状態に働かせるのは、ユーザにとって使い分け境界点が視認できず戸惑を与えるし、誤操作を招きやすい。誤操作は、特に、操作量を小さく抑えて少なめの流量で吐出するのに、それを超えて多めの流量の吐出に移行してしまう形で生じやすいが、これをユーザが予期できない不安や問題がある。
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、少なめ、多めの各流量での吐出操作が、2つの操作部材の視認できる使い分けによって、容易かつ簡単に誤操作なく吐出流量を異ならせた吐出が行える電気貯湯容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の電気貯湯容器の吐出方法は、定置できる器体を有して、内容液をヒータで加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段を働かせることにより、吐出路を通じ吐出し、使用に供する電気貯湯容器の吐出方法において、吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチを働かせる少なめ吐出操作部材の単独操作により少なめ吐出流量での吐出と、第1の吐出スイッチと同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチを働かせる多め吐出部材の操作に、少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチを同時に働かせ多め吐出流量での吐出とを、選択的に行うようにしたことを特徴としている。
【0006】
このような構成では、定置された器体の上で、少なめ吐出操作部材と多め吐出操作部材とが、レバータイプ、押しボタンタイプなどタイプの違いにかかわらず共に、視認のもと使い分け操作でき、この使い分け操作での、少なめ吐出操作部材の操作で対応する第1の吐出スイッチを働かせて吐出通路を通じ少なめ流量での吐出ができるし、多め吐出操作部材の操作で第2の吐出スイッチを働かせるのと同時に少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチをも働かせて、多め流量での吐出ができる。
【0007】
このような吐出方法は、定置できる器体を有して、内容液をヒータで加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段を働かせることにより、吐出路を通じ吐出し、使用に供する電気貯湯容器において、吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチと、第1の吐出スイッチと同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチと、第1の吐出スイッチを単独で働かせる単独操作可能な少なめ吐出操作部材と、第2の吐出スイッチを働かせる操作に少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチ71を働かせるのと同時に第2の吐出スイッチを働かせる多め吐出部材とを備えたことを特徴とする電気貯湯容器によって実現することができる。
【0008】
上記において、さらに、少なめ、多め各吐出操作部材は、器体の上端の前部への張り出し部の上面に後部の回動支点側から前部に延びるように設けられたレバーよりなり、多め吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さは、少なめ吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さよりも長いことを特徴とすることができる。
【0009】
このような構成では、上記に加え、さらに、少なめ、多め各吐出操作部材が器体の上端の前部への張り出し部の上面にあることによって、視認しやすく、かつ操作しやすい上に、後部の回動支点から前部に延びるように設けられたレバーであることにより、器体にユーザが対面する前部側となる自由端を操作部として回動支点からの距離、つまりレバー比を生かした操作ができる。しかも、多め吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さは、少なめ吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さよりも長いことによって、多め流量での吐出操作部材であることを直感させられるし、少なめ吐出操作レ部材の回動支点から操作点までの長さは、多め吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さよりも短いことによって、少なめ流量での吐出操作部材であることを直感させられる。
【0010】
上記において、さらに、多め吐出操作部材の回動支点から第2の吐出スイッチを押動する押動点までの距離は、少なめ吐出操作部材の回動支点から第1の吐出スイッチを押動する押動点までの距離よりも大きいことを特徴とすることができる。
【0011】
このような構成では、上記に加え、さらに、長さの違う少なめ、多め各吐出操作部材において、長い多め吐出操作部材の回動支点から第2の吐出スイッチに対する押動点までの距離を、短い少なめ吐出操作部材の回動支点から第1の吐出スイッチに対する押動点までの距離よりも大きくすることにより、第1、第2の各吐出スイッチを働かせる操作時のレバー比を互いの長さの違いにかかわらず近づけ、または同等にすることができる。
【0012】
ここに、少なめ、多め各吐出操作部材の、回動支点から対応する第1、第2吐出スイッチを押動する押動点までの距離と、回動支点から操作点までの距離とのレバー比が、ほぼ同等であることを特徴とすることができ、少なめ、多め各吐出操作レバーの復動力を同じにして同程度の操作抵抗で操作することができる。
【0013】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明で明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限り種々な組合せで複合して用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電気貯湯容器の吐出方法と、それを実現する電気貯湯容器によれば、定置された器体の上で、少なめ吐出操作部材と多め吐出操作部材とを視認のもと容易に使い分け操作して、少なめ吐出操作部材の操作で対応する第1の吐出スイッチを働かせて吐出通路を通じ少なめ流量での吐出と、多め吐出操作部材の操作で第2の吐出スイッチを働かせるのと同時に少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチをも働かせて、多め流量での吐出とが、誤操作なしに選択的に達成されるようにできる。
【0015】
上記に加え、さらに、少なめ、多め各吐出操作部材が器体の上端の前部への張り出し部の上面にあって視認しやすく、操作しやすい上に、後部の回動支点から前部に延びるレバーであることにより、ユーザが対面する前部側となる自由端を手軽な操作部としてレバー比を生かした軽快な操作ができる。しかも、多め吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さは、少なめ吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さよりも長い、長さの違いによって、少なめ、多め各吐出部材による吐出流量の違いを直感させやすく、ユーザが戸惑ったり、誤操作したりするのを回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について図1〜図12を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。
【0017】
本実施の形態は、家庭用の電気ポットの場合の一例であり、図12に示すように、銅箔4を内蔵したステンレス鋼製の金属製の真空二重容器3と、内容液を加熱するように真空二重容器3の一重底部に当てがったヒータ11とを備え、これらを外装ケース2に収容して器体1を構成している。真空二重容器3の一重底部には内容液を器体1外に吐出する吐出路25が接続され、この吐出路25は真空二重容器3と外装ケース2との間を立ち上がり、器体1の前部に吐出口25dが臨んでいる。吐出路25の途中には電動ポンプ26が設けられ、内容液を電動にて吐出できるようにしている。これに併せ、真空二重容器3の口部3aに通じる器体1の開口12を開閉できるように覆う蓋13に手動のベローズポンプ50が設けられ、押圧板61による押圧操作で真空二重容器3内に加圧空気を吹き込み内容液を加圧して吐出路25を通じ押し出し外部に吐出させられるようにしている。
【0018】
吐出路25の立ち上がり部25aは透明管としてそこでの液量が器体1の図1に示す液量表示窓62から透視できるようにしている。しかし、吐出路25の立ち上がり部25aの上部に吐出流によって回転する羽根とこの羽根の回転数を検出するフォトカプラとからなる流量センサを設け、吐出の開始、終了、吐出流量、吐出量、残量などが自動的に検出するようにもできる。
【0019】
ヒータ11の背部には、金属製の遮熱板87が設けられ、真空二重容器3の下面に溶接などして取り付けた取り付け金具88にねじ89によりねじ止めし、遮熱板87とヒータ11との間に金属製のバックアップ板90およびばね部材94を挟み込み、このばね部材93によってヒータ11を金属製真空二重容器3の一重底部に押し付け密着させている。
【0020】
外装ケース2は樹脂製の底部材21と前記肩部材22との間に金属製の胴部23を挟み込む組み立て構造と、肩部材22が形成する器体2の開口12の内周下部に設けたフランジ部にて、真空二重容器3の上端のフランジ部を下方より受け止めた吊り構造と、真空二重容器3の底部と底部材21とを連結して双方を引き付ける図示しない引き付け構造とで相互を一体化して器体1を組上げている。
【0021】
蓋体13は、肩部材6の後部に設けた軸受部24にヒンジピン24により開閉できるように枢支している。ヒンジピン24は蓋体13が半開き以上の開き状態で軸受部22の開放部22aを通じ出入りでき、この出入りによって蓋体13は着脱できる。しかし、不用意な着脱を防止するために、開放部22aをばね27の付勢で閉じるストッパ28を設けてあり、ストッパ28を開にすることで初めて着脱できるようにしている。
【0022】
また、蓋13は真空二重容器3からの蒸気を外部に逃がす蒸気通路31が形成され、蓋13の真空二重容器3内に面する位置の内側開口31aと、外部に露出する外面に形成された外側開口31bとの間で通じるように形成されている。蒸気通路31の途中には、器体1が横転して内容液が侵入してきた場合にそれを一時溜め込み、あるいは迂回させて、外側開口31bに至るのを遅らせる安全経路31cを設けてある。これにより、器体1が横転して内容液が蒸気通路31を通じて外部に流出するまでに器体1を起こすなどの処置ができるようになる。また、蒸気通路31には器体1の横転時に、蒸気通路31に侵入しようとし、あるいは侵入した内容液が先に進むのを阻止するように自重などで働く転倒時止水弁32が適所に設けられている。
【0023】
蓋13の前部には閉じ位置で肩部材22側の孔などである係止部33に係合して蓋13を閉じ位置にロックするロック部材34が設けられ、蓋13が閉じられたときに係止部33に自動的に係合するようにばね35の付勢によってロック位置に常時突出するようにしている。これに対応して蓋13にはロック部材34を後退操作して前記ロックを解除するロック解除部材36が設けられている。ロック解除部材36は図示するように軸37によって蓋13に枢支されたレバータイプのものとされ、前端36aを親指などで押し下げて反時計回りに回動させることでロック部材34をばね35に抗して後退させてロックを解除し、続いてロック解除操作で起き上がった後端36bを他の指で引き上げることによりロックを解除された蓋13を持ち上げこれを開くことができる。
【0024】
電動ポンプ26は遠心ポンプであって真空二重容器3の直ぐ下の位置に設けられ、真空二重容器3内から流れ込む内容液を吐出路25を通じて器体1外に臨む吐出口25dに向け送りだし、吐出口25dから外部に吐出させ使用に供する。
【0025】
真空二重容器3の胴部まわりには断熱壁41を設け、蓋体13内にも断熱部材42を充填し、真空二重容器3の真空空間、そこに内蔵している銅箔4をも含め全体の保温効率をさらにたかめている。
【0026】
なお、図示していないが、外装ケース2の底部と真空二重容器3の底部との間の空間、あるいは外装ケース2の胴部と真空二重容器3のとの間に、前記電動ポンプ26とともにヒータ11を通電制御する制御基板51を収容する一方、真空二重容器3の一重の底部3cの中央には温度センサが下方から当てがわれ、内容液のその時々の温度を検出して、湯沸しや保温モードで内容液を加熱制御する場合の温度情報を得るようにしている。
【0027】
器体1の肩部材22の前部には嘴状に張り出す張り出し部52が形成され、この張り出し部52の上面は操作面53とされ、図3に示すように吐出流量を少なめ、多めの2種類に設定する第1、第2の吐出スイッチ71、72に対応する少なめ、多めの各流量での吐出を行なう2つの少なめ、多め各吐出操作部材73、74を設けて、少なめ、多めの各流量での吐出操作が、少なめ、多め各吐出操作部材73、74の視認できる使い分けによって、容易かつ簡単に誤操作なく吐出流量を異ならせた吐出が行えるようにする。また、操作面53には、吐出操作を電気的に不能にしたりそれを解除したりする給湯ロック・解除キー75の他、モード設定などのための他の操作部、各種操作に対応するランプ表示、あるいは選択状態や動作状態を示す液晶表示部76を設けてある。
【0028】
操作面35の下方、つまり内側には前記操作および表示に対応する信号の授受および動作を行う操作基板77が設けられて、前記第1、第2の吐出スイッチ71、72以外の、図9に示すような必要なスイッチ、表示部を装備し、操作面55と協働して外部からの操作や外部への表示が行えるようにする。第1、第2の吐出スイッチ71、72は操作面55に隣接の操作窓22a内に収容されるもので、前記とな別の操作基板77aに搭載している(図3、図4、図5、図7、図8)。吐出路25の上部は器体1における肩部材22の張り出し部52と外装ケース2側のパイプカバー部2dとの間に入った部分で逆U字状のユニット25cを構成し、このユニット25cに転倒時止水弁78および前傾時止水弁79と吐出口25dを設けている。吐出口25dはパイプカバー部2dを通じて下向きに外部に開口している。
【0029】
外装ケース2の底部材21の下向きの凹部21a内には下方から回転座環が回転できるように嵌め合せて設けられ、器体1がテーブル面などに定置されたときに回転座環81の上で軽く回転して向きを変えられるようにしてある。
【0030】
本実施の形態では、特に、上記のように定置できる器体1を有して、内容液をヒータ11で加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段である電動ポンプ26を働かせることにより、吐出路25を通じ吐出し、使用に供する電気ポットの吐出方法として、前記第1、第2の吐出スイッチ71、72に対応する少なめ、多め各吐出操作部材73、74の視認できる使い分け操作にて誤操作なく吐出流量を少なめと多めに選択して使用できるようにするのに、吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチ71を働かせる少なめ吐出操作部材73の単独操作により少なめ吐出流量での吐出と、第1の吐出スイッチ71と同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチ72を働かせる多め吐出部材74の操作に、少なめ吐出操作部材73を連動させて第1の吐出スイッチ71を同時に働かせ多め吐出流量での吐出とを、選択的に行うようにしている。これにより、定置された器体1の上で、少なめ吐出操作部材73と多め吐出操作部材74とが、レバータイプ、押しボタンタイプなどタイプの違いにかかわらず共に、視認のもと使い分け操作でき、この使い分け操作での、少なめ吐出操作部材73の操作で対応する第1の吐出スイッチ71を働かせて吐出通路25を通じ少なめ流量での吐出ができるし、多め吐出操作部材74の操作で第2の吐出スイッチ72を働かせるのと同時に少なめ吐出操作部材73を連動させて第1の吐出スイッチ71をも働かせて、多め流量での吐出ができる。
【0031】
この結果、定置された器体1の上で、少なめ吐出操作部材73と多め吐出操作部材74とを視認のもと容易に使い分け操作して、少なめ吐出操作部材の操作で対応する第1の吐出スイッチを働かせて吐出通路を通じ少なめ流量での吐出と、多め吐出操作部材74の操作で第2の吐出スイッチを働かせるのと同時に少なめ吐出操作部材73を連動させて第1の吐出スイッチ71をも働かせて、多め流量での吐出とが、誤操作なしに選択的に達成されるようにできる。
【0032】
多め吐出操作部材74の操作時の少なめ吐出操作部材73の連動は、図3に示す例では、少なめ吐出操作部材73おおび多め吐出操作部材74が隣接し合い、共に押し下げ操作するものであるのに対応して、少なめ吐出操作部材73の多め吐出操作部材74との隣接側に多め吐出操作部材74の下側に入り込み、多め吐出操作部材74の押し下げ動作時に押圧を受ける受動片73bを設けることで実現しており、多め吐出操作部材74を押し下げ操作すると、多め吐出操作部材74は受動片73bを上方から押圧して少なめ吐出操作部材73を連動させ、多め吐出操作部材74が対応する第2の吐出スイッチ72を働かせるのと同時に、少なめ吐出操作部材73は対応する第1の吐出スイッチ71を働かせる。つまり、多め吐出操作部材74を1つ操作するだけで、第1、第2の吐出スイッチ71、72が働き、多め流量での吐出が行える。また、少なめ吐出操作部材73を押し下げ操作すると多め吐出操作部材74から独立して押し下げられて対応する第1の吐出スイッチ71を働かせるだけで、少なめ流量での吐出が行える。
【0033】
このような吐出方法を実現するのに、本実施の形態の電気ポットは、吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチ71と、第1の吐出スイッチ71と同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチ72と、第1の吐出スイッチ71を単独で働かせる単独操作可能な少なめ吐出操作部材73と、第2の吐出スイッチ72を働かせる操作に少なめ吐出操作部材73を連動させて第1の吐出スイッチ71を働かせるのと同時に第2の吐出スイッチ72を働かせる多め吐出部材とを備えたことを特徴とする電気貯湯容器によって実現することができる。
【0034】
このような第1の吐出スイッチ71が単独で働いたときの少なめ流量での吐出と、第1、第2吐出スイッチ71、72が同時に働いたときの多め流量での吐出との使い分け制御は、例えば、図9に示す制御基板51に搭載したマイコンIC82に第1、第2の吐出スイッチ71、72の動作信号を入力することにより、マイコンIC82の内部機能にて第1の吐出スイッチ71が単独で働いたときの信号にて電動ポンプ26を低回転させて少なめ流量での吐出を実行し、第1、第2吐出スイッチ71、72が同時に働いたときの信号で電動ポンプ26を高回転させて多め流量での吐出を実行させられる。電動ポンプ26の回転数は給湯回路83での電流、電圧の簡単な2段階制御によって行える。
【0035】
しかも、少なめ操作部73による少なめ吐出流量での吐出状態で、多め吐出操作部材74を操作して第2の吐出スイッチ72を働かせると、少なめ流量での吐出状態から多め流量での吐出状態に吐出の途切れ、停止なしに切り替えられる。また、逆に多め吐出操作部材74を操作して第2の吐出スイッチ72を働かせるのと同時に、少なめ吐出操作部材73の連動により第1の吐出スイッチ71を働かせた多め流量での吐出状態にて、少なめ吐出操作部材73を操作位置に保持して多め吐出操作部材74の操作を解除して復帰させると、第1の吐出スイッチ71が働いたままで第2の吐出スイッチ72の働きが停止するので、多め流量での吐出状態から少なめ流量での吐出状態に吐出の途切れ、停止なしに切り替えられる。
【0036】
このような電動ポンプ26の駆動制御の具体例につき、図10に示す給湯ポンプ動作フローチャートを参照して説明すると、先ず第1、第2の吐出スイッチ71、72の押し状態を判定する。押されていなければ、吐出操作がないと判断できるので、給湯ポンプを停止状態に保つ。第1のみ押されている場合は、少なめ流量での吐出操作と判定でき、かつ、多め流量での移行がないものと定めて、オフ状態が判定されるまで、給湯ポンプを低回転駆動し続け、オフが判定されると給湯ポンプを停止する。
【0037】
第1、第2が同時押しされている場合、多め流量での吐出操作と判定できるので、オフが判定されるまで給湯ポンプを高回転駆動し続ける。オフが判定されても、給湯の最終段階で給湯量の調整を行ったり、はね返りを防止したりするために少なめ流量での吐出に切り替えられる可能性が高いことにつき、所定時間が経過するまで給湯ポンプを低回転に切り替えて第1が押されているかを判定することを繰り返し、押されていると少なめ流量での吐出に切り替わったものとして給湯ポンプの低回転駆動を続け、第1オンが判定されないで所定時間が経過すると給湯ポンプを停止する。このような自動的な所定時間の間の給湯ポンプ低回転制御を伴う第1オンの判定による少なめ流量での吐出への切り替えは、多め吐出操作部材74の操作による多め流量による吐出状態から、多め吐出操作部材74の操作を解除して少なめ吐出操作部材73の操作状態維持による少なめ流量での吐出状態への切り替え時に、第1、第2の吐出スイッチ71、72双方が万が一短い間でもオフするようなことがあっても、吐出の中断、一時停止を招かないようにすることができる。
【0038】
なお、第1、第2の吐出スイッチ71、72および少なめ、多め各吐出操作部材73、74による、少なめ流量、多め流量での吐出の使い分け制御は、上記のようなマイコンIC82の内部機能によるソフト制御以外にハード回路にて実行することもできる。図11に示す制御回路84はそのような一例を示しており、マイコンIC83を備えて給湯ロック・解除キー75の操作に対応した給湯ロックやその解除、電動ポンプ26の駆動、停止など、必要なソフト制御をしながら、第1吐出キー71の単独オン、第1、第2の吐出キー71、72の同時オンの違いによる少なめ流量に対応する低回転駆動と、多め流量に対応する高回転駆動とを給湯回路83での抵抗の違いによって行うようにしている。
【0039】
また、第1の吐出スイッチ71のオン、第2の吐出スイッチ72のオンのそれぞれにつき、少なめ流量での吐出モードを設定しておき、第1の吐出スイッチ71のオンによって少なめ流量での吐出が行われ、第1、第2の吐出スイッチ71、72のオンによってそれぞれに設定されている少なめ流量での吐出モードの重複実施によって、多め流量での吐出になるように制御することもできる。
【0040】
さらに詳述すると、図1〜図5に示す例、図6〜図8に示す例のそれぞれは、少なめ、多め各吐出操作部材73、74を、器体1の上端の前部への張り出し部52の上面に後部の回動支点91、92側から前部に延びるように設けられたレバーよりなり、図1に両例を代表して示すように、多め吐出操作部材74の回動支点91から操作点74aまでの長さL1は、少なめ吐出操部材73の回動支点92から操作点73aまでの長さL2よりも長くしている。これにより、少なめ、多め各吐出操作部材73、74が器体1の上端の前部への張り出し部52の上面にあることによって、視認しやすく、かつ操作しやすい上に、後部の回動支点91,92から前部に延びるように設けられたレバーであることにより、器体1にユーザが対面する前部側となる自由端を操作点73a、74aとして回動支点91、92からの距離L1、L2、つまりレバー比を生かした操作ができる。しかも、多め吐出操作部材74の回動支点91から操作点74aまでの長さL1は、少なめ吐出操作部材73の回動支点92から操作点73aまでの長さL2よりも長いことによって、多め吐出操作部材74が多め流量での吐出操作部材であることを直感させられるし、少なめ吐出操作部材73の回動支点92から操作点73aまでの長L2さは、多め吐出操作部材74の回動支91から操作点74aまでの長さL1よりも短いことによって、少なめ吐出操作部材73が少なめ流量での吐出操作部材であることを直感させられる。
【0041】
この結果、少なめ、多め各吐出操作部材73、74が器体1の上端の前部への張り出し部の上面にあって視認しやすく、操作しやすい上に、後部の回動支点91、92から前部に延びるレバーであることにより、ユーザが対面する前部側となる自由端を手軽な操作点73a、74aとしてレバー比を生かした軽快な操作ができる。しかも、多め吐出操作部材74の回動支点91から操作点74aまでの長さL1は、少なめ吐出操作部材73の回動支点92から操作点73aまでの長さL2よりも長い、長さの違いによって、少なめ、多め各吐出部材73、74の操作による吐出流量の違いを直感させやすく、ユーザが戸惑ったり、誤操作したりするのを回避できる。このような少なめ、多めの違いは、少なめ、多め各吐出操作部材73、74の図示するような幅B1、B2の大、小の違い、特に、操作点73a、74aでの操作部幅B1、B2の大、小の違いによっても直感させられ、る。長さ、幅双方の違いの併用によって前記直感効果はさらに高まる。
【0042】
また、少なめ、多め各吐出操作部材73、74が操作面55に隣接し、かつ吐出口25dに近いことによって、表示とともに吐出、給湯に関する操作部材であることはさらに直感されやすいし、図1〜図5に示す例のように少なめ、多め各吐出操作部材73、74の操作点73a、74aが器体1の張り出し部52の先端からさらに前方に張り出していることにより、その存在に気付かれやすいし、レバー操作もされやすいので、給湯操作に便利なものとなる。もっとも、図6〜図8に示す例のように、少なめ、多め各吐出操作部材73、74双方を器体1の張り出し部52の上面内に納めて、コンパクト化、外形のシンプル化を図ることもできる。
【0043】
さらに、図1に代表して示すように、多め吐出操作部材74の回動支点91から第2の吐出スイッチ72を押動する押動点74bまでの距離L1aは、少なめ吐出操作部材73の回動支点92から第1の吐出スイッチ71を押動する押動点73bまでの距離L2aよりも大きくしている。このように、長さの違う少なめ、多め各吐出操作部材73、74において、長い多め吐出操作部材74の回動支点91から第2の吐出スイッチ72に対する押動点74bまでの距離L1aを、短い少なめ吐出操作部材73の回動支点92から第1の吐出スイッチ71に対する押動点73bまでの距離L2aよりも大きくすることにより、第1、第2の各吐出スイッチ71、72を働かせる操作時のレバー比を互いの長さの違いにかかわらず近づけ、または同等にすることができる。ここに、少なめ、多め各吐出操作部材73、74の、回動支点91、92から対応する第1、第2吐出スイッチ71、72を押動する押動点73b、74bまでの距離L1a、L2aと、回動支91、92から操作点74a、73aまでの距離L1、L2とのレバー比(L1:L1aとL2:L2aと)が、ほぼ同等とすることができ、少なめ、多め各吐出操作部材73、74の復動力を同じにして同程度の操作抵抗で操作することができる。
【0044】
図1〜図5に示す例では、図4、図5に示すように、少なめ、多め各吐出部材73、74は、それらの後部基片73c、74cが肩部材22とその内側にねじ95により固定された底カバー96との間に挟み込んで固定され、高部基片73c、74cから立ち上がる立ち上がり脚73d、74dを有して、回動支点91、92側から操作点73a、74aに向け、操作面55に沿った前傾姿勢となるように設けてあり、立ち上がり脚73d、74dの途中を回動支点91、92上に屈曲支点有した樹脂ヒンジ部73e、74eとしてある。これによって、少なめ、多め各吐出部材73、74は、樹脂ヒンジ部73e、74eでの弾性的な屈曲を伴い、操作点73a、74a側で押し下げ操作され、操作を解除されると樹脂ヒンジ部73e、74eの弾性復帰によって少なめ、多め各吐出部材73、74は操作前の状態に自動復帰されるようにしている。なお、少なめ、多め各吐出部材73、74の後端部の内側段部73h、74hが肩部材22の操作窓22aの段部に下方から受けられ、上面側からの押し下げ負荷が樹脂ヒンジ部73e、74eに及ぶのを防止している。
【0045】
これに対し、図6〜図7に示す例では、図7、図8に示すように少なめ、多め各吐出部材73、74と底カバー96との間に働かせたばね97、98の付勢によって自動復帰されるようにしている。併せ、少なめ、多め各吐出部材73、74はばね97、98により上動付勢されるのを利用して、後端部上向き段部73f、74fを肩部材22の操作窓22aの後部縁に下方より引っ掛けてそれ以上上動されないし、操作点73a、74aでの押し下げ操作時の回動支点91、92となるようにしている。回動支点91、92を中心とした少なめ、多め各吐出部材73、74の操作点73a、74a側の操作窓22aからの上方への飛び出しは、少なめ、多め各吐出部材73、74の先端が操作窓22aの前部縁との当接によって防止されている。この例では、少なめ、多め各吐出部材73、74の支持構造が簡略化する。
【0046】
また、底カバー96は図示例のように第1、第2の吐出スイッチ71、72を収容し、肩部材22との間に挟み込んだシール部材99でシールし、操作窓22aを通じた水の侵入があっても第1、第2の吐出スイッチ71、72が影響を受けない防水効果は発揮される。さらに、第1、第2の吐出スイッチ71はタクトスイッチ、72はマイクロスイッチとしているが、これは少なめ吐出部材73の操作ストロークが小さく、多め吐出部材74の操作ストロークが大きいことに対応したものであるが、双方共にタクトスイッチとしてよいのは勿論である。図示例では、底カバー96とシール部材99との間には弾性パッド100を挟み込んで、少なめ、多め各吐出部材73、74の押動点73b、74bにある押動突起73g、74gとこれらに対応する第1、第2の吐出スイッチ71、72間のギャップの過不足を吸収できるようにしている。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は家庭用の電気ポットに実用して、なめ、多めの各流量での吐出操作の視認できる使い分けにて、容易かつ簡単に誤操作なく吐出流量を異ならせた吐出が行える。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る電気貯湯容器の1つの例を示す器体上部における吐出操作部材設置部まわりの斜視図である。
【図2】図1の吐出操作部材設置部の平面図である。
【図3】図2の横断面図である。
【図4】図2の多め吐出操作部材設置部の縦断面図である。
【図5】図2の少なめ吐出操作部材設置部の縦断面図である。
【図6】本発明に係る電気貯湯容器の他の例を示す器体上部における吐出操作部材設置部まわりの平面図である。
【図7】図6の多め吐出操作部材設置部の縦断面図である。
【図8】図6の少なめ吐出操作部材設置部の縦断面図である。
【図9】図1〜図6の電気貯湯容器における制御回路のブロック図である。
【図10】図9の制御回路による吐出制御例を示すフローチャートである。
【図11】図5〜図8に示す電気貯湯容器の制御回路図である。
【図12】本発明の各例の電気貯湯容器に共通した内部構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 器体
3 金属製真空二重容器
11 ヒータ
12 開口
13 蓋体
22 肩部材
22a 操作窓
25 吐出路
25d 吐出口
26 電動ポンプ
50 操作面
52 張り出し部
55 操作面
71 第1の吐出操作スイッチ
72 第2の吐出操作スイッチ
73 少なめ吐出操作部材
74 多め吐出操作部材
73a、74a 操作点
73b、74b 押動点
91、92 回動支点
L1、L1a、L2、L2a 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定置できる器体を有して、内容液をヒータで加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段を働かせることにより、吐出路を通じ吐出し、使用に供する電気貯湯容器の吐出方法において、
吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチを働かせる少なめ吐出操作部材の単独操作により少なめ吐出流量での吐出と、第1の吐出スイッチと同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチを働かせる多め吐出部材の操作に、少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチを同時に働かせ多め吐出流量での吐出とを、選択的に行うようにしたことを特徴とする電気貯湯容器の吐出方法。
【請求項2】
定置できる器体を有して、内容液をヒータで加熱して湯沸しや保温を行って貯湯し、貯湯している内容液を、吐出操作部材を操作して吐出スイッチをオンし吐出手段を働かせることにより、吐出路を通じ吐出し、使用に供する電気貯湯容器において、
吐出流量を少なめに設定して吐出させる第1の吐出スイッチと、第1の吐出スイッチと同時に働くことで吐出流量を多めに設定して吐出させる第2の吐出スイッチと、第1の吐出スイッチを単独で働かせる単独操作可能な少なめ吐出操作部材と、第2の吐出スイッチを働かせる操作に少なめ吐出操作部材を連動させて第1の吐出スイッチを働かせるのと同時に第2の吐出スイッチを働かせる多め吐出部材とを備えたことを特徴とする電気貯湯容器。
【請求項3】
少なめ、多め各吐出操作部材は、器体の上端の前部への張り出し部の上面に後部の回動支点側から前部に延びるように設けられたレバーよりなり、多め吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さは、少なめ吐出操作部材の回動支点から操作点までの長さよりも長いことを特徴とする請求項2に記載の電気貯湯容器。
【請求項4】
多め吐出操作部材の回動支点から第2の吐出スイッチを押動する押動点までの距離は、少なめ吐出操作部材の回動支点から第1の吐出スイッチを押動する押動点までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項2、3のいずれか1項に記載の電気貯湯容器。
【請求項5】
少なめ、多め各吐出操作部材の、回動支点から対応する第1、第2吐出スイッチを押動する押動点までの距離と、回動支点から操作点までの距離とのレバー比が、ほぼ同等であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電気貯湯容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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