説明

電気電子部品用金属材料

【課題】容易に製造することができ、接点部における急激な接続端子の摺動部などに好適な電気電子部品用金属材料を提供する。
【解決手段】導電性基体1にSnめっきをし、次いで熱処理して、基体1側から表面3に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2を設けた電気電子部品用金属材料を得る。導電性基体1とCu−Sn合金層2との間にNi、Co、Feのいずれかを主体とする下地層6を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合型多極コネクタの摺動部などに好適な電気電子部品用金属材料に関する。
【背景技術】
【0002】
銅(Cu)、銅合金などの導電性基体(以下、適宜、基体と記す。)上に錫(Sn)、錫合金などのめっき層を設けためっき材料は、基体の優れた導電性と強度、およびめっき層の優れた電気接続性と耐食性とはんだ付け性を備えた高性能導体として知られており、電気・電子機器に用いられる各種の端子やコネクタなどに広く用いられている。このめっき材料は、通常、亜鉛(Zn)などの基体の合金成分(以下、適宜、基体成分と記す。)が前記めっき層に拡散するのを防止するため、基体上にバリア機能を有するニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)などが下地めっきされる。
【0003】
このめっき材料を端子として用いた場合、たとえば自動車のエンジンルーム内などの高温環境下では、端子表面のSnめっき層のSnが易酸化性のため、Snめっき層の表面に酸化皮膜が形成されるが、この酸化皮膜は脆いため端子接続時に破れて、その下の未酸化Snめっき層が露出して良好な電気接続性が得られる。
【0004】
ところで近年、電子制御化が進む中で嵌合型コネクタが多極化したため、オス端子群とメス端子群を挿抜する際に多大な力が必要になり、特に、自動車のエンジンルーム内などの狭い空間では挿抜作業が困難なため前記挿抜力の低減が強く求められている。また、コネクタの挿抜力を低減することで、コネクタ接続の際の作業性が向上するため、この観点からも前記挿抜力の低減が強く求められている。
【0005】
前記挿抜力を低減する方法として、コネクタ端子表面のSnめっき層を薄くして端子間の接触圧力を弱める方法があるが、この方法はSnめっき層が軟質のため端子の接触面間にフレッティング現象が起きて端子間に導通不良が起きることがある。
【0006】
前記フレッティング現象とは、振動や温度変化などが原因で端子の接触面間に起きる微摺動により、端子表面の軟質のSnめっき層が摩耗し酸化して、比抵抗の大きい摩耗粉になる現象で、この現象が端子間に発生すると接続不良が起きる。そして、この現象は端子間の接触圧力が低いほど起き易い。
【0007】
これに対し、例えば、特許文献1には、CuまたはCu合金にSnをめっきして、リフロー処理した後、酸素濃度が5%以下の雰囲気中で熱処理することによって、最表面に、フレッティング現象が起き難い硬質のCu−Sn金属間化合物層を形成し、低挿入性等の確保を目的とした、方法が提案されている。しかし、この方法ではめっき処理の加工性が劣るものであった。また、特許文献1には、このCu−Sn金属間化合物層のCu−Snの濃度については記載がなく、さらに、Cu−Sn金属間化合物層の表面に厚さが規制された酸化皮膜層を適正に形成させるため、ライン生産時のリフロー熱処理による加工が困難であった。
【0008】
また、特許文献2には、Cu又はCu合金からなる母材表面に、Ni層及びCu−Sn合金層からなる表面めっき層がこの順に形成された、フレッティング現象が起き難く、低挿入性等の確保を目的とした接続部品用導電材料が記載されている。しかし、この材料もめっき処理の加工性に劣るものであった。また、Cu−Sn合金層をCu−Snの濃度の平均値で規定しているため、ライン生産時のリフロー熱処理による加工が困難なものであった。
【0009】
また、特許文献3には、金属製の基体の表面に金属めっきを施して金属めっき層を形成し、リフロー処理によって、網目状に広がる軟らかい領域と、前記軟らかい領域の網目に囲まれた硬い領域とを混在させて形成しためっき処理材が記載されている。しかし、このめっき処理材は、高温環境下では、母材のCu成分がめっき最表面まで拡散し、酸化、さらには接触抵抗値が上昇してしまう問題があった。
【0010】
特許文献4には、母材表面の凹凸に沿って、数μm程度の径の粒子からなるCu−Sn合金被覆層が形成され、Sn被覆層が溶融流動して平滑化されており、それに伴い、Cu−Sn合金被覆層が一部材料表面に露出している接続部品用導電材料が記載されている。
しかし、下地にCu層が存在せず、かつNi下地が存在している場合には問題ないとしても、Cu層が存在したり、Ni下地が存在せぬ場合には、初期の状態では問題ないとしても、摺動と熱負荷が同時に加わるような実車搭載環境下では、摺動によって、純Sn部が削れた場合、Cuが表面まで拡散、さらに酸化が進み、早期に抵抗上昇に至ると考えられる。
【特許文献1】特開2000−226645号公報
【特許文献2】特開2004−68026号公報
【特許文献3】特開2004−339555号公報
【特許文献4】特開2006−77307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、容易に製造することができ、接続端子の接点部や摺動部などに好適な電気電子部品用金属材料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
(1)導電性基体上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(2)導電性基体上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(3)導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(4)導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(5)導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が2層設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料、
(6)導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が2層設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料
(7)前記Cu−Sn合金層のうち、前記基体側半分のCu濃度が50〜100モル%およびSn濃度が0〜50モル%であり、かつ、前記表面側半分のCu濃度が40〜95モル%およびSn濃度が5〜60モル%あることを特徴とする(1)、(3)および(5)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料、
(8)前記Cu−Sn合金層のうち、前記基体側半分のCu濃度が50〜100モル%およびSn濃度が0〜50モル%であり、かつ、前記表面側半分のCu濃度が0〜95モル%およびSn濃度が5〜100モル%であることを特徴とする(2)、(4)および(6)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料、
(9)前記Cu−Sn合金層が0.1〜3.0μmであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料、
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料の製造方法であって、前記導電性基体上または、前記Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金上に、Cu、Snの順に積層し、積層体を作製する工程、前記積層体に対して、熱処理を行う工程、前記熱処理工程が行われた前記積層体に対して、冷却処理を行う工程を有することを特徴とする電気電子部品用金属材料の製造方法、
(11)前記熱処理は、前記積層体を炉内温度300℃以上900℃未満のリフロー炉内に3〜20秒間通過させる処理であることを特徴とする(10)記載の電気電子部品用金属材料の製造方法、
(12)前記冷却処理は、前記積層体を20〜80℃の液体中を1〜100秒かけて通過させる処理であることを特徴とする(10)記載の電気電子部品用金属材料の製造方法、および、
(13)前記冷却処理は、前記積層体を20〜60℃の気体中を1〜300秒かけて通過させ、その後20〜80℃の液体中を1〜100秒かけて通過させる処理であることを特徴とする(10)記載の電気電子部品用金属材料の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気電子部品用金属材料は、リフロー熱処理により容易に製造することができ、めっき材料の耐熱性を向上させることができる。これは電気電子材料として使用すると、高温環境下であってもCu−Sn層中の基体側の豊富なCuと表面側の豊富なSnとが反応するためである。また、本発明の電気電子部品用金属材料を用いて製造した電気・電子部品は摺動中の電気接点における急激な抵抗上昇(フレッティング)を著しく抑えることができる。
【0014】
また、導電性基体上にNiなどからなる下地層が設けられた電気電子部品用金属材料では、基体成分が最外層に拡散するのを防止することができる。また下地層上にCuなどからなる中間層が設けられている材料では、Niなどの下地成分が最外層に拡散するのが防止される。従って、良好な電気接続性が安定して得られる。
また、Cu−Sn合金層中に部分的にSn、またはSn合金を分散させた材料では、高温放置時にCu−Sn合金層の下層側に存在するCuとCu−Sn合金層中に分散したSnまたはSn合金とが反応してCu−Sn合金が形成される余地があるため、Cuの表出によりCuOなどが形成されることがなく、接触抵抗が安定するという効果ももたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の電気電子部品用金属材料は、導電性基体上に、もしくは、導電性基体上に形成された下地層上に、該基体側から表面に向けて徐々にCu濃度が減少しているCu−Sn合金層が設けられているものであって、該Cu−Sn合金層は、基体側から表面に向けて徐々にCu濃度が減少しているものである。この電気電子部品用金属材料は、導電性基体上に、もしくは、導電性基体上に形成されためっき層上に、Snめっき処理し、熱処理して、Cu−Sn合金層を形成し、該Cu−Sn合金層は、基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度を減少させて形成される。
本発明において、「Cu−Sn合金層のCu濃度が基体側から表面に向けて徐々に減少している」とは、Cu−Sn合金層が、断面において層表面からの深さが異なる少なくとも3箇所で測定したCu濃度が表面に近い方から順に低濃度であることをいう。
【0016】
本発明におけるCu−Sn合金層は、Cu濃度が基体側から表面に向けて徐々に減少しているものであるが、その層厚の基体側半分のCu濃度は50〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは65〜100モル%であり、Sn濃度は残部の0〜50モル%が好ましく、さらに好ましくは0〜35モル%である(Cu、Sn以外の不可避的不純物は無視した濃度である。以下同様)。
そして、その表面側半分のCu濃度は40〜95モル%が好ましく、さらに好ましくは
65〜85モル%であり、Sn濃度は5〜60モル%が好ましく、さらに好ましくは15〜35モル%である
基体側半分のCu濃度が低すぎる(Sn濃度が高すぎる)と最表面に純Sn層が形成されやすく、かつ耐フレッティング性が悪化する。
表面側半分のSn濃度が低すぎると耐熱性が減じて、高温環境下で使用された際に、早期の抵抗上昇へとつながる。
【0017】
本発明の電気電子部品用金属材料は、下地にCu層が存在していても、またNi下地が存在しない構成であったとしても、上側のCu−Sn層中のCu濃度がグラデーション形成、すなわち表面側にはSnの濃度が低いCu−Sn層であるため、CuがSnと拡散する余地が残されている。その結果、熱負荷を受けたとしても、Cuが最表面に露出し、さらに酸化することを遅らせることが可能となる。
Cu−Sn合金層の厚さは好ましくは0.1〜3.0μm、さらに好ましくは0.3〜1.5μmである。この厚さが厚すぎると拡散過程においてカーケンダルボイドが発生しやすくなり、めっき剥離の恐れが生じるとともに、熱処理温度、時間が増大することよって、めっきコストの上昇が予想される。また、薄すぎると接触抵抗の上昇、耐熱性の悪化、耐フレッティング性の悪化などが危惧される。
【0018】
本発明において、導電性基体には、端子に要求される導電性、機械的強度および耐熱性を有する銅、リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン合金などの銅合金、鉄、ステンレス鋼などの鉄合金、銅被覆鉄材やニッケル被覆鉄材などの複合材料、各種のニッケル合金やアルミニウム合金などが適宜用いられる。
【0019】
前記金属および合金(材料)のうち、特に銅、銅合金などの銅系材料は導電性と機械的強度のバランスに優れ好適である。前記導電性基体が銅系材料以外の場合は、その表面に銅または銅合金を被覆しておくことが好ましい。
【0020】
本発明において、Snめっきは、無電解めっきで行って形成しても良いが、電気めっきで形成するのが望ましい。Snめっきにより形成されるSn層の厚さは0.01〜5.0μmが好ましい。
最上層の電気Snめっきは、例えば硫酸錫浴を用い、めっき温度30℃以下、電流密度5A/dm2で行えばよい。ただし、条件はこの限りではなく適宜設定可能である。
【0021】
本発明においては、最上層にSnめっきされた積層体材料を熱処理する。この熱処理の条件はCu濃度が基体側から表面に向けて徐々に減少しているCu−Sn合金層を形成する条件を選択する。熱処理をリフロー処理(連続処理)により施す場合は、炉内温度300℃以上900℃未満で3〜20秒(より好ましくは5〜10秒、さらに好ましくは6〜8秒)の加熱が好ましい。
この温度と時間を採用するのは、Cu−Sn層中のCu濃度を、基体側から表層側にかけて徐々に減じていく濃度勾配的なCu−Sn層を得るためである。
また、バッチ処理により熱処理する場合は前記材料を60〜200℃の炉内に0.1〜200時間保持するのが好ましい。
【0022】
さらに本発明においては、リフロー熱処理した積層体材料を冷却槽内の液体中を1〜100秒(より好ましくは3〜10秒)かけて通過させ、急冷却するのが好ましい。液温は20〜80℃(より好ましくは30〜50)が好ましい。さらに、急冷却する前に、熱処理した積層体材料は20〜60℃の炉内雰囲気中冷風装置等の気体中を1〜300秒かけて通過させ徐冷却処理するのも好ましい。
このような冷却処理により、CuとSnの拡散を中途で強制的に終了、あるいはその拡散速度を急速に減じさせ、Cu−Sn層中のCu濃度がグラデーション的なめっき構成をより得やすくするとともに、Cu−Sn層中に純Snを分散させることが可能となる。
【0023】
図1は、本発明の一つの実施態様を示す概略断面図である。図1に示す態様の電気電子部品用金属材料は、たとえば導電性基体1にSnめっきをし、次いで熱処理して、基体1側から表面3に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2が設けられているものである。この態様においては、導電性基体1としては、銅系材料、または表面に銅または銅合金が被覆されたCu母材が用いられる。この実施態様においては、上記の熱処理が加えられることにより、導電性基体1はその表面に銅または銅合金が被覆されたCu母材のCu成分がSnめっき層に熱拡散し、また、Snも上記熱処理により基体1に拡散する。そのため、Cu濃度が基体1側から表面3に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、断面における導電性基体1とCu−Sn合金層2との境界は明瞭には形成されない。
【0024】
図2は、本発明の別の一つの実施態様を示す概略断面図である。図2に示す態様の電気電子部品用金属材料は、導電性基体1にSnをめっきなどにより被覆し、次いで熱処理して、基体1側から表面3に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2を設け、Cu−Sn合金層2中に部分的にSn(4)が分散されている。導体性基体1の材料、並びに、導電性基体1とCu−Sn合金層2の境界については、上記の図1で示す態様における場合と同様である。Sn(4)としては金属Snであっても、Sn合金(Snを50質量%以上含有する合金)であっても良い。Sn(4)の分散方法としては、任意の方法を用いることができるが、たとえば、リフロー処理やバッチ処理等の熱処理の条件を最適化して、被覆されたSnが基体1やその表面に存在するCuと完全には合金化しないようにする(具体的一例として、被覆されたSnが基体1またはその表面に存在するCuと完全に合金化する前に熱処理を終了させる)ことで金属SnやSn合金を分散させる。
前記分散状態が金属SnやSn合金(Sn濃度80モル%以上)の少なくとも一部が最外層の表面に露出し、平面視において島状または点状にSnまたはSn合金が分散していることが好ましい。さらに、前記最外層上に0乃至100nmの酸化膜が形成されていてもよい。
【0025】
本発明の別の一つの実施態様は、導電性基体1にNi、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を主体として(50質量%以上)含む合金をめっきなどにより被覆し、さらにCu、Snの順でめっきなどにより被覆し、次いで熱処理して、基体1側から表面3に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2を設けた電気電子部品用金属材料である。
図3は、導電性基体1上にCuをめっきなどにより被覆した、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図3に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上にCu層5が設けられ、Cu層5上にSnがめっきなどにより被覆される。そして、熱処理を加えることによりCu層5からCu成分がSn層に熱拡散し、また、Snも上記熱処理によりCu層5に拡散する。そのため、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、断面におけるCu層5とCu−Sn合金層2との境界は明瞭には形成されていない。
【0026】
図4は、導電性基体1上にNiめっきを行った、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図4に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上にNi層6がめっきなどにより設けられ、Ni層6上にさらにCu層、Sn層の順でめっきなどにより被覆される。ここで、熱処理を加えることにより、Ni層6上に設けられたCu層とその上に設けられたSn層とが相互に拡散し、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、Niめっきに代えて、Coめっき、またはFeめっきを行った場合にも同様な電気電子部品用金属材料を得ることができる。
【0027】
本発明の別の一つの実施態様は、導電性基体にNi、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を主体として(50質量%以上)含む合金をめっきなどにより被覆し、さらにCu、Snの順でめっきなどにより被覆し、次いで熱処理して、基体1側から表面3に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2を設け、該Cu−Sn合金層2中に部分的にSn、またはSn合金を分散させた電気電子部品用金属材料である。
図5は、導電性基体1上にCuめっきを行った、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図5に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上にCu層5がめっきなどにより設けられ、Cu層5上にSnがめっきなどにより被覆される。そして、熱処理を加えることによりCu層5からCu成分がSn層に熱拡散し、また、Snも上記熱処理によりCu層5に拡散する。そのため、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、断面におけるCu層5とCu−Sn合金層2との境界は明瞭には形成されていない。また、Cu−Sn合金層2中には部分的にSn(4)が分散されている。Sn(4)の分散方法については上記図2に示す態様における分散方法と同様である。
【0028】
図6は、導電性基体1上にNiめっきを行った、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図6に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上にNi層6がめっきなどにより設けられ、Ni層6上にさらにCu層、Sn層の順でめっきなどにより被覆される。ここで、熱処理を加えることにより、Ni層6上に設けられたCu層とその上に設けられたSn層とが相互に拡散し、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。Cu−Sn合金層2中には部分的にSn(4)が分散されている。Sn(4)の分散方法については、上記図2に示す態様における分散方法と同様である。
【0029】
本発明の別の一つの実施態様は、導電性基体1にNi、Co、およびFeのいずれかの金属またはこれらの金属を主体として(50質量%以上)含む合金をめっきなどにより2層被覆し、さらにCu、Snの順でめっきなどにより被覆し、次いで熱処理して、基体1側から表面3側に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層2を設けた電気電子部品用金属材料である。導電性基体1に行う2種類のめっき組み合わせは、特に限定されるものではない。
【0030】
図7は、下層としてNiをめっきなどにより被覆し、上層としてCuをめっきなどにより被覆した、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図7に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上に、順に、Ni層6、Cu層5が設けられ、Cu層5上に、Sn層がめっきなどにより施される。そして、熱処理を加えることによりCu層5からCu成分がSn層に熱拡散し、また、Snも上記熱処理によりCu層5に拡散する。そのため、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、断面におけるCu層5とCu−Sn合金層2との境界は明瞭には形成されていない。
【0031】
本発明の別の一つの実施態様は、導電性基体1にNi、Co、およびFeのいずれかの金属またはこれらの金属を主体として(50質量%以上)含む合金をめっきなどにより2層被覆し、さらにCu、Snの順でめっきなどにより被覆し、次いで熱処理して、基体1側から表面3側に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層を設け、該Cu−Sn合金層中に部分的にSn、またはSn合金を分散させた電気電子部品用金属材料である。導電性基体1に行う2種類のめっき組み合わせは、特に限定されるものではない。
【0032】
図8は、下層としてNiをめっきなどにより被覆し、上層としてCuをめっきなどにより被覆した、本実施態様の電気電子部品用金属材料の概略断面図である。図8に示す態様の電気電子部品用金属材料では、導電性基体1上に、順に、Ni層6、Cu層5が設けられ、Cu層5上に、Sn層がめっきなどにより施される。そして、熱処理を加えることによりCu層5からCu成分がSn層に熱拡散し、また、Snも上記熱処理により基体1に拡散する。そのため、Cu濃度が基体1側から表面3側に向けて徐々に減少したCu−Sn合金層2が形成される。また、断面におけるCu層5とCu−Sn合金層2との境界は明瞭には形成されていない。また、Cu−Sn合金層2中には部分的にSn(4)が分散されている。Sn(4)の分散方法については上記図2に示す態様における分散方法と同様である。
【0033】
本発明において、最外層のCu−Sn合金層は、Cu−Sn金属間化合物層を包含するものである。本発明におけるCu−Sn金属間化合物としてはCuSn、CuSnなどが挙げられる。また、これらの金属間化合物が混在したものも包含するものである。
【0034】
また、本発明においては、好ましくは、図4、6、7、8で示す態様のように、導電性基体上にNi層6などの下地層が設けられたものである。当該下地層を設けることで基体1の成分が最外層に拡散するのが防止される。前記導電性基体1上に設ける下地層は、基体成分が最外層に熱拡散するのを防止するバリア機能を有するNi、Co、Feなどの金属、これらを主成分とするNi−P系、Ni−Sn系、Co−P系、Ni−Co系、Ni−Co−P系、Ni−Cu系、Ni−Cr系、Ni−Zn系、Ni−Fe系などの合金が好適に用いられる。これら金属および合金は、めっき処理性が良好で、価格的にも問題がない。中でも、NiおよびNi合金はバリア機能が高温環境下にあっても衰えないため推奨される。
【0035】
前記下地層に用いるNiなどの金属(合金)は、融点が1000℃以上と高く、接続コネクタの使用環境温度は200℃以下と低いため、下地層はそれ自身熱拡散を起こし難いうえ、そのバリア機能が有効に発現される。下地層には、導電性基体の材質によっては導電性基体と後述する中間層との密着性を高める機能もある。
下地層の厚みは、0.01μm未満ではそのバリア機能が十分に発揮されなくなり、3μmを超えるとめっき歪みが大きくなって基体から剥離し易くなる。従って0.01〜3μmが好ましい。下地層の厚みの上限は端子加工性を考慮すると1.5μm、さらには0.5μmが好ましい。
【0036】
本発明の電気電子部品用金属材料は、さらに好ましくは、図7、8で示す態様のような、導電性基体上にNiなどからなる下地層上にCu層5からなる中間層が設けられたものである。中間層を設けることにより、Niなどの下地成分が最外層に拡散するのが防止され、良好な電気接続性が安定して得られるとともに、基体側から表面に向けて徐々にCu濃度を減少させたCu−Sn合金層の形成を容易にすることができる。中間層の厚みは0.01〜3μmが好ましい。さらには0.1〜0.5μmが好ましい。
【0037】
本発明の電気電子部品用金属材料の形状は、条、丸線、角線など任意である。本発明の電気電子部品用金属材料は、常法により自動車用の嵌合型多極コネクタなどの電気電子部品に加工することができる。例えば、本発明の電気電子部品用金属材料を用いて作成したコネクタは、端子間の接触圧力を弱め、かつ、端子の接触面間にフレッティング現象が起こさせず、端子間の導通不良の発生を抑制したものとすることできる。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
実施例1
厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの順に施し、次いで前記銅合金条にNi、Cu、Snをこの順に層状に電気めっきしてめっき積層体を作製した。各金属のめっき条件は以下のとおりである。
(a)Niめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
スルファミン酸ニッケル 500g/l
ホウ酸 30g/l
・浴温度 60℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.5μm
(b)Cuめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
硫酸銅 180g/l
硫酸 80g/l
・浴温度 40℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.8μm
(c)Snめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
硫酸第一錫 80g/l
硫酸 80g/l
・浴温度 30℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.3μm
なお、上記厚さについては、めっき時間を適宜調整することができる。
【0040】
次いでこのめっき積層体を、リフロー炉内を740℃で、7秒リフロー処理し、電気電子部品用金属材料を得た。この材料のSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)による写真(横幅:11.7μm)を図9に示し、さらに図9のSEM写真で示される表面を含む測定部のAES(Auger Electron Spectroscopy:オージェ電子分光)装置による電子像(Cu−Sn−Niマップ)を図10に示す。これはまずFIB(Focused Ion Beam:収束イオンビーム)にて試料傾斜60度で、30度斜め断面を作成しオージェ測定(AES)分析用試料とし、さらにAES分析を30度斜め断面が水平となるように試料を傾斜して分析し、AES電子像を得て各層の厚みを測定した。また、図9に示す測定面1(11)、測定面2(12)、測定面3(13)におけるAES定性分析より求めた、SnおよびCu濃度(mol%)を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1および図10に示されるとおり、本実施例の材料はNi層6上に、Cu層5およびCu−Sn合金層2は略連続的に形成され、基体1側から表面に向けてCu濃度が徐々に減少させている。
【0043】
実施例2
厚み0.25mmの銅の条に脱脂および酸洗をこの順に施し、次いで前記銅合金条にNi、Cu、Snをこの順に層状に電気めっきしてめっき積層体を作製した。各金属のめっき条件は以下のとおりである。
(a)Niめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
スルファミン酸ニッケル 500g/l
ホウ酸 30g/l
・浴温度 60℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.5μm
(b)Cuめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
硫酸銅 180g/l
硫酸 80g/l
・浴温度 40℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.8μm
(c)Snめっき
・めっき浴組成
成分 濃度
硫酸第一錫 80g/l
硫酸 80g/l
・浴温度 30℃
・電気密度 5A/dm2
・めっき厚 0.5μm
なお、上記厚さについては、めっき時間を適宜調整することができる。
【0044】
次いでこのめっき積層体を、リフロー炉内を740℃で、7秒リフロー処理熱処理し、電気電子部品用金属材料を得た。この材料のSEMによる写真(横幅:11.7μm)を図11に示し、さらに図11のSEM写真で示される表面を含む測定部のAES装置による電子像(Cu−Sn−Niマップ)を図12に示す。また、図11に示す測定面1(21)、測定面2(22)、測定面3(23)におけるAES定性分析より求めた、SnおよびCu濃度(mol%)を表2に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
表2および図12に示されるとおり、本実施例の材料は基体1上に、Ni層6、Cu層5、Cu−Sn合金層2がこの順に形成され、Cu層5とCu−Sn合金層2との境界は明瞭でなく、基体1側から表面に向けてCu濃度が徐々に減少させている。また、Cu−Sn合金層2にはSn(4)がアイランド状に分散されている。
【0047】
試験例1
実施例1〜2で得られた各々の電気電子部品用金属材料について下記の微摺動試験を摺動往復回数1000回まで行い、接触抵抗値の変化を連続的に測定した。
【0048】
前記微摺動試験は次のようにして行った。
各2枚の試験用金属材料片31、32を用意し、試験用金属材料片31は曲率半径1.8mmの半球状張出部(凸部外面が最外層面)31aを設け、この半球状張出部31aに試験用金属材料片32の最外層面32aをそれぞれ脱脂洗浄後に接触圧力3Nで接触させ、この状態で両者を、温度20℃、湿度65%の環境下で、摺動距離30μmで往復摺動させ、両試験用金属材料片31、32間に開放電圧20mVを負荷して定電流5mAを流し、摺動中の電圧降下を4端子法により測定して電気抵抗の変化を1秒ごとに求めた。なお、往復運動の周波数は約3.3Hzで行った。微摺動試験前の接触抵抗値は、試験用金属材料片31、32を実施例1の材料とした場合では0.1mΩ、実施例2の材料とした場合では0.5mΩであった。また、微摺動試験中の最大接触抵抗値は、試験用金属材料片31、32を実施例1の材料とした場合では4.0mΩ、実施例2の材料とした場合では4.1mΩであった。
このように、本実施例の材料は、フレッティングが発生しなかった。
【0049】
実施例3
実施例1に記載したと同様に銅合金の条にNi、Cu、Snをめっきして、めっき積層体を作製し、同様の熱処理を施して各電気電子部品用金属材料を得た。ただし、CuおよびSnのめっき厚は下記の表3にCu−Sn層で示す厚さになるものであり、Niめっきは表3に示す下地Ni層のない場合はめっきを施していない。
得られた各金属材料を供試材として試験を行い、めっき形態および評価結果を下記表3に示した。
【0050】
【表3−1】

【0051】
【表3−2】

【0052】
上記表3および下記の表4中の項目の内容は次のとおりである。
(a)Cu−Sn形態
全面Cu−Sn、部分Cu−Sn、最表面純Snとは、材料が図14に模式的に示す層構造を有するものを意味する。
(b)銅濃度点の分析
実施例1に記載したと同様の方法で、図14に示す(1)〜(4)の各層の銅濃度を測定した。
(c)濃度分析ラインの表面純Sn有無
図14に示す部分層の表面の純Snの有無
(d)初期、160℃×120h後
供試材そのままの状態で試験を行った、または160℃×120hの熱負荷後に試験を行った。
(e)塩水噴霧後、ガス腐食後
供試材に濃度5%の塩水を噴霧した後試験を行った、または35℃のガス中で96時間腐食した後試験を行った。
(f)外観
目視により変色無しは「○」、変色のあるものは「×」とした。
(g)接触抵抗
上記試験例1に記載した微摺動前と同様に接触抵抗を測定した。接触抵抗値が5mΩ未満は「○」、5mΩ以上10mΩ未満は「△」、10mΩ以上は「×」とした。
(h)耐フレッティング性
試験例1に記載するのと同様の微摺動試験で接触抵抗を測定した。接触抵抗の上昇値が5mΩ未満は「○」、5mΩ以上10mΩ未満は「△」、10mΩ以上は「×」とした。
(i)摺動後耐熱性
自動車搭載環境を考慮すると、摺動と熱負荷が同時に、あるいは交互に繰り返されることが予想される。その現象を模擬して、摺動200回後に熱負荷80℃×100hの処理をした際の接触抵抗を測定した。接触抵抗値が5mΩ未満は「○」、5mΩ以上10mΩ未満は「△」、10mΩ以上は「×」とした。
【0053】
表3の試験No.19のように、最表面が純Snのみの場合には、耐フレッティング性および摺動後耐熱性が悪い。一方、試験No.1〜16のように、表面側のCu濃度が基体側よりも低くなっている場合には、試験No.19に比べ、耐フレッティング性が良いことがわかる。
なお、試験No.1〜15については、Cu−Sn合金層において、基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを確認した。
【0054】
また、基体側半分のCu濃度が50〜100モル%であり、かつ、表面側半分のCu濃度が40〜95モル%範囲内ではない、試験No.6〜8では、範囲内であるNo.1〜5に比べて、耐フレッティング性および摺動後耐熱性が劣っていることがわかる。
同様に、Cu−Sn合金層中に部分的に純Snが分散している場合には、基体側半分のCu濃度が50〜100モル%であり、かつ、表面側半分のCu濃度が低い試験No.16でも、範囲内である試験No.11〜15に比べて、耐フレッティング性および摺動後耐熱性が劣っていることがわかる。
【0055】
Cu−Sn合金層が0.1〜3.0μmの範囲外である試験No.9,10,17,18では、範囲内である試験No.1〜5,11〜15に比べて、耐フレッティング性および/または摺動後耐熱性が劣っている。また、Cu−Sn層の厚さが3.0μmよりも厚い場合には、試験No.9,17が示すように、160℃×120hの熱負荷後の試験において試験No.1〜5,11〜15よりも劣っており、Cu−Sn層の厚さが0.1μmよりも薄い場合には、試験No.10,18が示すように、160℃×120hの熱負荷後の試験だけでなく、塩水噴霧後、ガス腐食後試験についても、劣っていることがわかる。
【0056】
上述の全ての範囲内である試験No.1〜5およびNo.11〜15では、すべての評価項目でよい結果が得られている。
【0057】
実施例4
実施例1に記載したと同様に銅合金の条にNi、Cu、Snをめっきして、めっき積層体を作製し、下記表4に示す熱処理を施して各電気電子部品用金属材料を得た。ただし、CuおよびSnのめっき厚は下記の表4にCu厚、Sn層で示す厚さであり、Niめっきは表4に示す下地Ni層のないものはめっきを施していない。
得られた各金属材料を供試材として試験を行い、めっき形態および評価結果を下記表4に示した。
【0058】
【表4−1】

【0059】
【表4−2】

【0060】
表4からすべての試験のもが基体から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることがわかるが、加熱温度が900℃と高い試験No.35は、その減少度合いが小さい。最表面に純Sn層を有する試験No.31〜35は耐フレッティング性が悪い。また、加熱時間や冷却時間の短い試験No.32,34は摺動後耐熱性が劣る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図3】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図4】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図5】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図6】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図7】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図8】本発明の電気電子部品用金属材料の一実施態様を示す概略断面図である。
【図9】実施例1の電気電子部品用金属材料のSEMによる顕微鏡写真である。
【図10】実施例1のCu−Sn−Niマップである。
【図11】実施例2の電気電子部品用金属材料のSEMによる顕微鏡写真である。
【図12】実施例2のCu−Sn−Niマップである。
【図13】試験例1の微摺動試験方法の斜視説明図である。
【図14】実施例3、4の供試材断面の説明のための層構造を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 導電性基体
2 Cu−Sn合金層
3 材料表面
4 Sn
5 Cu層
6 Ni層(下地層)
11 実施例1の測定面1
12 実施例1の測定面2
13 実施例1の測定面3
21 実施例2の測定面1
22 実施例2の測定面2
23 実施例2の測定面3
31 試験用金属材料片
31a 試験用金属材料片に設けた半球状張出部
32 試験用金属材料片
32a 試験用金属材料片の最外層面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項2】
導電性基体上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項3】
導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項4】
導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項5】
導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が2層設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項6】
導電性基体上に、Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金が2層設けられ、さらにその上にCu−Sn合金層が設けられている電気電子部品用金属材料であって、前記Cu−Sn合金層は、前記基体側から表面側に向けて徐々にCu濃度が減少しており、かつ、前記Cu−Sn合金層中に部分的にSnまたはSn合金が分散していることを特徴とする電気電子部品用金属材料。
【請求項7】
前記Cu−Sn合金層のうち、前記基体側半分のCu濃度が50〜100モル%およびSn濃度が0〜50モル%であり、かつ、前記表面側半分のCu濃度が40〜95モル%およびSn濃度が5〜60モル%であることを特徴とする請求項1、3および5のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料。
【請求項8】
前記Cu−Sn合金層のうち、前記基体側半分のCu濃度が50〜100モル%およびSn濃度が0〜50モル%であり、かつ、前記表面側半分のCu濃度が0〜95モル%およびSn濃度が5〜100モル%であることを特徴とする請求項2、4および6のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料。
【請求項9】
前記Cu−Sn合金層が0.1〜3.0μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気電子部品用金属材料の製造方法であって、
前記導電性基体上または、前記Ni、Co、およびFeのいずれか1種の金属またはこれらの金属を含む合金上に、Cu、Snの順に積層し、積層体を作製する工程、
前記積層体に対して、熱処理を行う工程、
前記熱処理工程が行われた前記積層体に対して、冷却処理を行う工程
を有することを特徴とする電気電子部品用金属材料の製造方法。
【請求項11】
前記熱処理は、前記積層体を炉内温度300℃以上900℃未満のリフロー炉内に3〜20秒間通過させる処理であることを特徴とする請求項10記載の電気電子部品用金属材料の製造方法。
【請求項12】
前記冷却処理は、前記積層体を20〜80℃の液体中を1〜100秒かけて通過させる処理であることを特徴とする請求項10記載の電気電子部品用金属材料の製造方法。
【請求項13】
前記冷却処理は、前記積層体を20〜60℃の気体中を1〜300秒かけて通過させ、その後20〜80℃の液体中を1〜100秒かけて通過させる処理であることを特徴とする請求項10記載の電気電子部品用金属材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図14】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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