説明

電池パック

【課題】表面に粘着テープ等が貼着され、これを除去する場合に良好に剥離することができ、印写部が良好に保護され、視認が可能であるとともに、外観品位が保持されるラベルを備える電池パックを提供する。
【解決手段】電池3の一側面に保護回路基板4を配してなる電池コア2の四側面に、矩形の外装枠7を嵌合し、ラベル8を巻着することで電池パック1が構成される。ラベル8の基材層の表面には第1印写部84が形成されている。該第1印写部84を含む基材層の全面にはオーバープリントニスを印刷し、紫外線硬化してなる第1保護層が形成されている。第1保護層の端部82hと、突設部8b,8c,8dの先端部とを除く部分には、略透明の剥離オーバープリントニスを印刷し、紫外線硬化してなる第2保護層が形成されている。また、第2保護層83には窓部83e,83fが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の主として携帯電子機器の電源として利用される充放電可能な非水電解質二次電池等の電池の一部にラベルを貼着してなる電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているビデオカメラ,モバイルコンピュータ,携帯電話機等の携帯電子機器の電源としては、充放電可能な円筒状、又は直方体状の非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池等が主として用いられている。リチウムイオン二次電池(以下、電池という)の一例として、正極及び負極を、セパレータを介して巻回した電極群、及び非水電解質を、アルミニウム又はアルミニウム合金製であり、直方体状をなすケースに収納して構成されたものがある。
【0003】
前記電池の一側面に、過充電及び過放電を防止するための保護回路、及び電池から外部へ電力を取り出し、又は外部から電力を取り込むための出力端子を有する保護回路基板が配されて電池コアが構成される。保護回路基板と電池との間は接続用のリードにより電気的に接続されている。
前記電池コアの四側面を、絶縁性を有する、例えば合成樹脂製の外装枠で覆い、又は電池コアを例えば合成樹脂製の外装ケースに収納する。さらに、この電池コアの両平面と、外装枠又は外装ケースとをラベルで覆うことで電池パックが得られる(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等)。
【0004】
上述の特許文献においては、ラベルの構成については詳述されていない。ラベルは通常、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂又は紙からなり、裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布したフィルム状の基材層に、有色のインキにより型名、定格、使用上の注意、ロゴ等の不変の内容を印写し、その上にPET、PP(ポリプリピレン)等の略透明のラミネートフィルムを積層し、印写保護層を形成することにより構成される。
【特許文献1】特開2008−027671号公報
【特許文献2】特開2007−157452号公報
【特許文献3】特開2006−032018号公報
【特許文献4】特開2005−135770号公報
【特許文献5】特開2004−327378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の印写保護層を備えたラベルは、印写保護性に非常に優れているが、ラベルの厚みが厚くなるという問題があった。また、印写保護層がPPからなる場合、電池パックの製造時に電池パックの製造情報を印写保護層に印字するときに、インキの乗りが悪いという問題があった。さらに、印写保護層がPETからなる場合、ラベルのコシが強くなり、電池パックの完成後に、ラベルの浮き及び剥がれが発生しやすいという問題があった。
【0006】
そこで、ラミネートフィルムを省き、基材層の全面に紫外線硬化性のオーバープリントニスを印刷し、硬化させることにより印写保護層を形成する技術が開発された。この技術においては、ラベルの薄型化を行いつつ、印写部の耐磨耗性を付与し、電池パックの製造時に該印写保護層に製造情報を印字することを可能にし、ラベルの浮き及び剥がれを防止することが図られている。
【0007】
しかし、ラベルの表面に誤って、粘着層を有するテープ、シール、他のラベル等が貼付され、これを除去した場合に、テープ等の粘着力がラベルの基材層の強度を超えることがあり、ラベルに破れが発生したり、基材層が多層構造を有する場合にその表層が破壊されたりして印写部が視認できなくなるという問題があった。型番等が消えて読めなくなった場合には、故障等が生じたときに原因究明をするのが困難になり、注意事項等が消えて読めなくなった場合にはユーザが誤使用する虞がある。さらに、ラミネートフィルムを備えたラベルと比較した場合、印写部の耐磨耗性が劣るという問題があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、粘着テープ等が貼着され、これを除去する場合に良好に剥離することができ、基材の表層破壊が生じたり、破れたりすることがなく、印写部が良好に保護され、視認が可能であるとともに、外観品位が保持されるラベルを備える電池パックを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、印写部を保護する層を二層構造とすることにより、印写部の耐摩耗性がより良好になる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る電池パックは、合成樹脂又は植物性繊維を含む基材の表面に1又は複数の印写部が形成されたラベルを電池の一部に貼着してなる電池パックにおいて、前記表面の少なくとも一の前記印写部の上に、剥離オーバープリントニスを硬化させてなる保護層が形成されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、「印写」とは、印刷等により文字、記号、図形、及び模様等を記録することをいう。
また、「剥離オーバープリントニス」とは、基材に形成された印写部をコーティングするニスであって、後述するオーバープリントニスに、シリコーン等を主成分とするスリップ剤を適量添加してなり、剥離性を有し、粘着剤等の接着を防止することができるニスをいう。
本発明においては、保護を必要とする印写部が保護層によって保護される。そして、粘着力を有するテープ、シール、ラベル等が保護層に貼着され、これを除去する場合に良好に剥離することができ、ラベルが破れたり、基材が破壊されたり、基材が多層構造を有する場合に表層破壊が生じたりすることがなく、印写部が良好に保護され、視認が可能であるとともに、ラベルの外観品位が保持される。
【0012】
第2発明に係る電池パックは、第1発明において、前記ラベルは、内外方向に重ね合わされる重ね合わせ部を有し、前記保護層は、前記表面の、前記重ね合わせ部の内側となる部分を除外して形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、ラベルの重ね合わせ部分の内側となる部分には前記保護層が設けられていないので、重ね合わせた場合に、重ね合わせ部分の外側となる部分が剥離することがない。
【0014】
第3発明に係る電池パックは、第1又は第2発明において、前記表面に第2の印写部を有し、前記保護層は、前記表面の前記第2の印写部が形成される部分を除外して形成されていることを特徴とする。
【0015】
前記保護層はインキの乗りが良くないが、本発明においては、前記表面の第2の印写部を形成する部分に保護層が形成されていないので、第2の印写部が良好に形成され得る。
【0016】
第4発明に係る電池パックは、第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記表面に他のラベルが貼着されており、前記保護層は、前記表面の前記他のラベルを貼着する部分を除外して形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、他のラベルを貼着する部分に保護層が形成されていないので、前記ラベルが剥離することがない。
【0018】
第5発明に係る電池パックは、第1乃至第4発明のいずれかにおいて、少なくとも前記保護層と前記印写部との間に、オーバープリントニスを硬化させてなる第2の保護層が形成されていることを特徴とする。
【0019】
ここで、「オーバープリントニス」とは、印写部を保護する目的で、概ね基材の表面全体にコーティングされるニスであって、通常の印刷と同様にインキ胴からコーティングされる薄盛タイプのものをいう。基材の表面に前記剥離オーバープリントニスを硬化させてなる層に粘着テープが貼着された場合、該粘着テープが容易に剥離するのに対し、オーバープリントニスを硬化させてなる層に粘着テープが貼着された場合には、粘着テープは剥がれにくい。
本発明においては、印写部を保護する層が二層となるので、印写部の耐摩耗性が良好になる。また、第2の保護層には他のラベルを貼着したり、表面に良好に印写することが可能である。
【0020】
第6発明に係る電池パックは、第5発明において、前記第2の保護層が前記表面の全面に形成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、基材の保護性が良好になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、印写部が保護層により保護される。そして、粘着力を有するテープ、シール、他のラベル等が保護層に貼着され、これを除去する場合に良好に剥離させることができ、ラベルが破れたり、基材が破壊されたり、基材が多層構造を有する場合に表層破壊が生じたりすることがなく、印写部が良好に保護され、印写部の視認が保持される。印写部が良好に保護されるので、故障等が生じたときに型番等を確認して原因究明をすることができ、注意事項等の表記が視認されてユーザの誤使用が防止される。そして、ラベルの外観品位が保持される。
【0023】
また、本発明によれば、保護層を二層構造にすることにより、印写部の耐摩耗性がさらに良好になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る電池パック1を示す斜視図、図2は電池パック1を裏側から見た状態を示す斜視図、図3は電池パック1を示す分解斜視図、図4はラベルを示す分解斜視図、図5は図3のV−V線における模式的断面図である。
電池パック1の電池コア2の電池3は角型平板状をなし、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池であり、正極及び負極をセパレータを介して巻回した電極群、並びに非水電解質(図示せず)を、アルミニウム又はアルミニウム合金製のケースに収納してなる。電池3の表面には、電池3の製造日時、ライン番号等の製造情報がインクジェット、又はレーザマーキングにより記録されている。
電池3の一側面には、絶縁状態で負極端子(図示せず)が設けられている。負極端子が設けられた部分以外の電池3の全体が正極(端子)とされる。
【0025】
電池3の前記一側面には、保護回路基板4が配されている。保護回路基板4は、電池3と対向する面に、電池3の過充電又は過放電等を防止するための保護回路が実装され、該保護回路を樹脂モールドしてなる保護回路実装部4aを有する。そして、保護回路基板4の外面の一端部には、外部へ電力を取り出し、また逆に充電のために外部から電力を取り込むための正負極と温度端子である出力端子4b,4b,4bが金メッキにより設けられている。前記外面の他端部には、水濡れ判定シール5が貼着されている。水濡れ判定シール5は、略矩形状をなし、例えば吸水性を有する上質紙等からなる基材の表面に、例えば赤色の水玉模様をなすように水溶性インキが付着されている。
【0026】
保護回路基板4の一方の接続端子(図示せず)は、前記電極群の負極リードと接続された前記負極端子と接続され、他方の接続端子(図示せず)は、前記電極群の正極リードと接続された電池3のケースの一部分と接続されている。
保護回路基板4は、両端部及び保護回路実装部4aが合成樹脂製の基板ホルダ6により支持された状態で、前記一側面に配されている。
【0027】
電池コア2の四側面には、例えばポリカーボネート(PC)製、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)製等からなり、略矩形状を有する外装枠7が嵌合されている。外装枠7の保護回路基板4を覆う側板部の一端部には、前記出力端子4b,4b,4bを露出させるための窓部7a,7a,7aが設けられ、他端部には水濡れ判定シール5を露出させるための窓部7bが設けられている。
【0028】
ラベル8は、平面視が略矩形状をなす本体8aと、該本体8aの一方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部8b,8cと、本体8aの他方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部8dとを有する。
【0029】
ラベル8の基材層(請求項の基材)81は、例えばPET等の合成樹脂製のフィルム、又は植物性繊維を主成分とする、例えば紙等からなるフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる。基材層81は、平面視が略矩形状をなす本体81aと、本体81aの一方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部81b,81cと、本体81aの他方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部81dとを有する。基材層81は、ラベル8を電池コア2に貼着するときに、本体81aの長手方向の一方の端部81hの上側に他方の端部81gが重ね合わされるように構成されている。基材層81がPETからなる場合、例えば発泡したPET層の表裏面を極薄のPET層で覆った三層構造のもの等がある。
【0030】
基材層81の本体81aの表面には、例えば黒色等の有色のインキにより、例えば型式、定格、使用上の注意事項、会社名又は商品名等のロゴ、リサイクルマーク等のロット間で不変の内容を印写した第1印写部(請求項の印写部)84,84,…が形成されている。また、本体81aの突設部81d側には、後述する上貼りラベル(請求項の他のラベル)9を貼着するためのガイド枠81eが記され、本体81aの端部81g側には、後述する第2印写部10を形成するためのガイド枠81fが記されている。
【0031】
そして、前記第1印写部84,84,…を含む基材層81の全面には、略透明のオーバープリントニスを印刷し、紫外線硬化してなる第1保護層(請求項の第2の保護層)82が形成されている。オーバープリントニスは剥離性を有さず、粘着剤が付着され得るので、第1保護層82には他のラベル等を接着することができる。また、表面に印写することも可能である。
第1保護層82は、基材層81の全面に設けられているので、第1保護層82の本体82a、突設部82b,82c,82dは、基材層81の本体81a、突設部81b,81c,81dと大きさ及び形状が一致する。第1保護層82は、ラベル8を電池コア2に貼着するときに、本体82aの長手方向の一方の端部82h(請求項の重ね合わせ部の内側となる部分)の上側に他方の端部82gが重ね合わされるように構成されている。
【0032】
第1保護層82の表面には、剥離オーバープリントニスを印刷し、紫外線硬化してなる第2保護層(請求項の保護層)83が形成されている。剥離オーバープリントニスは剥離性を有し、粘着剤等の接着が防止される。第2保護層83は、本体83a、及び突設部83b,83c,83dを有する。第1保護層82の端部82h上には第2保護層83は形成されておらず、本体83aの長手方向の長さは本体81a,82aの長さより端部81h,82hの幅分、短くなっている。同様に、第1保護層82の突設部82b,82c,82dの先端部には第2保護層83は形成されておらず、突設部83b,83c,83dの本体83aからの突出長は短くなっている。また、本体83aの前記ガイド枠81e,81fに対応する部分には、窓部83e,83fが形成されている。
【0033】
以上のように構成されたラベル8が電池コア2に貼着されて、電池パック1が得られる。まず、ラベル8の本体8aが電池コア2の表面に位置決めされて貼着される。そして、本体8aの長手方向の両端部が、電池コア2の裏面側に折り曲げられ、第2保護層83の端部83gが最外層となり、第1保護層82の端部82hに基材層81の端部81gの裏面が接着される状態で重ね合わされ、ラベル8が電池コア2に巻着される。このとき、突設部8b,8c,8dは電池コア2の裏面側にL字状に折り曲げられて、各先端部が本体8aの内側に折り込まれた状態で貼着される。
【0034】
上述したように、ラベル8の第1保護層82の端部82h上には第2保護層83が形成されていないので、端部82hには端部81gが良好に接着され、剥離することが防止されている。また、突設部8b,8c,8dを本体8aの内側に折り込む場合に、突設部8b,8c,8dの先端部において第1保護層82の突設部82b,82c,82dの先端部が表出しているので、各先端部に本体8aの粘着剤が良好に接着し、剥離することが防止されている。
【0035】
上述した第1印写部84,84,…の記録内容は不変であるので、第1印写部84,84,…はラベル8の製造時に形成されている。
内容可変の電池パック1の製造情報は前記上貼りラベル9に記録され、電池パック1の製造時に、該上貼りラベル9が、ラベル8の窓部83eから露出している第1保護層82の表面(基材層81のガイド枠81eの内側:請求項の他のラベルを貼着する部分)に貼着される(図1参照)。
製造情報は、また、電池パック1の製造時に、ラベル8の窓部83fから露出している第1保護層82の表面(基材層81のガイド枠81fの内側:請求項の第2の印写部が形成される部分)に、例えば熱転写プリント、不滅スタンプ、印刷、レーザマーキング、及び熱刻印等により印写され、この場合、第2印写部(請求項の第2の印写部)10,10が形成される(図2参照)。
前記製造情報としては、電池パック1を組み立てるに際しての情報、及び検査結果に係る情報がある。電池パック1を組み立てるに際しての情報として、具体的には、電池パック1の製造年月日、工場番号、製造ライン番号、ラベル8の巻き時刻、通し番号、スポット溶接の条件、及び超音波溶着の条件等が挙げられる。検査結果に係る情報として、具体的には各電池パック1につき実施される、絶縁検査等の電気検査、及び外観検査等の品質検査の結果等が挙げられる。
【0036】
上述したように、第1保護層82は剥離性を有しないので、前記上貼りラベル9は第1保護層82の表面に良好に接着され得る。
また、第1保護層82はインキの乗りが良好であるので、印写の手段が例えば熱転写プリント、不滅スタンプであっても、前記第2印写部10,10は第1保護層82の表面に良好に形成され得る。
【0037】
そして、本実施の形態においては、第1印写部84,84,…の上側には第2保護層83が形成されており、粘着力を有するテープ、シール、他のラベル等が第2保護層83の表面に貼着され、これを除去する場合に良好にテープ等を剥離することができ、ラベル8が破れたり、基材層81が破壊されたり、基材層81が多層構造を有する場合に表層の破壊が生じたりすることが防止されている。従って、第1印写部84,84,…と第2保護層83との間に第1保護層82が形成され、二層構造となり、第1印写部84,84,…の耐摩耗性が良好であることと相まって、第1印写部84,84,…が良好に保護され、第1印写部84,84,…の視認が保持される。第1印写部84,84,…が良好に保護されるので、故障等が生じたときに型番等を確認して原因究明をすることができ、注意事項等の表記が視認されてユーザの誤使用が防止される。
そして、ラベル8の外観品位が保持される。
【0038】
なお、本実施の形態においては、第1保護層82を基材層81の全面に形成した場合につき説明しているがこれに限定されるものではない。但し、基材層81の全面に第1保護層82を形成した方が、基材層81が良好に保護されるので好ましい。
また、全ての第1印写部84,84,…の上側に第2保護層83を形成する場合には限定されず、常に視認されるべき事項が印写された第1印写部84に限定して、該第1印写部84の上側に第2保護層83を形成することにしてもよい。
【0039】
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2に係る電池パック11を示す分解斜視図、図7は電池パック11のラベル18を示す分解斜視図、図8は図6のVIII −VIII 線における模式的断面図である。図中、図3、図4、及び図5と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係る電池パック11においては、ラベル18が実施の形態1に係る第1保護層82を有しないこと以外は、実施の形態1に係る電池パック1と同様の構成を有する。
【0040】
ラベル18は、平面視が略矩形状をなす本体18aと、該本体18aの一方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部18b,18cと、本体18aの他方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部18dとを有する。
【0041】
ラベル18の基材層81は、例えばPET等の合成樹脂製のフィルム、又は植物性繊維を主成分とする、例えば紙等からなるフィルムの裏面にアクリル樹脂系の粘着剤を塗布してなる。基材層181は、平面視が略矩形状をなす本体181aと、本体181aの一方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部181b,181cと、本体181aの他方の長辺の一部から略U字状に突設された突設部181dとを有する。基材層181は、ラベル18を電池コア2に貼着するときに、本体181aの長手方向の一方の端部181hの上側に他方の端部181gが重ね合わされるように構成されている。
基材層181の本体81aの表面には、有色のインキにより、例えば型式、定格、使用上の注意事項、会社名又は商品名等のロゴ、リサイクルマーク等のロット間で不変の内容を印写した第1印写部183,183,…が形成されている。また、本体181aの突設部181d側には、上貼りラベル(図示せず)を貼着するためのガイド枠181eが記され、本体181aの端部181g側には、第2印写部(図示せず)を形成するためのガイド枠181fが記されている。
【0042】
そして、基材層181の前記端部181hと、突設部181b,181c,181dの先端部と、ガイド枠181e,181fに対応する部分とを除く部分には、略透明の剥離オーバープリントニスを印刷し、紫外線硬化してなる保護層182が形成されている。すなわち、保護層182の本体182aの長手方向の長さは、基材層181の本体181aの長さより端部181hの幅分、短く、突設部182b,182c,182dの本体182aからの突出長は、突設部181b,181c,181dの本体181aからの突出長より短い。そして、本体182aには窓部182e,182fが形成されている。
【0043】
以上のように構成されたラベル18が電池コア2に貼着されて電池パック11が得られる。まず、本体181aが電池コア2の表面に位置決めされて貼着される。そして、本体181aの長手方向の両端部が、電池コア2の裏面側に折り曲げられ、保護層182の端部182gが最外層となり、基材層181の端部181hに基材層181の端部181gの裏面が接着される状態で重ね合わされ、ラベル18が電池コア2に巻着される。このとき、突設部18b,18c,18dは電池コア2の裏面側にL字状に折り曲げられて、先端部が本体18aの内側に折り込まれた状態で貼着される。
【0044】
上述したように、ラベル18の基材層181の端部181h上には保護層182が形成されていないので、端部181hには端部181gが良好に接着され、剥離することが防止されている。また、突設部18b,18c,18dを本体18aの内側に折り込む場合に、突設部18b,18c,18dの先端部において突設部181b,181c,181dの先端部が表出しているので、前記先端部に本体18aの粘着剤が良好に接着し、剥離することが防止されている。
【0045】
上述した第1印写部183,183,…の記録内容は不変であるので、第1印写部183,183,…はラベル18の製造時に形成されている。内容可変の電池パック11の製造情報は前記上貼りラベルに記録され、電池パック11の製造時に、上貼りラベルは、ラベル18の窓部182eから露出している基材層181のガイド枠181e内に貼着される。基材層181は剥離性を有しないので、基材層181の表面に上貼りラベル9は良好に接着され得る。
製造情報は、また、電池パック11の製造時に、ラベル18の窓部182fから露出している基材層181のガイド枠181f内に、レーザマーキング等により印写され、第2印写部が形成される。基材層181はインキの乗りが良好であるので、基材層181の表面に第2印写部は良好に形成され得る。
【0046】
本実施の形態においては、第1印写部183,183,…上には保護層182が形成されており、粘着力を有するテープ、シール、他のラベル等が保護層182の表面に貼着され、これを除去する場合に良好にテープ等を剥離することができ、ラベル18が破れたり、基材層181が破壊されたり、基材層181が多層構造を有する場合に表層の破壊が生じたりすることが防止されている。従って、第1印写部183,183,…が良好に保護され、第1印写部183,183,…が視認される。よって、故障等が生じたときに型番等を確認して原因究明をすることができ、注意事項等の表記が視認されてユーザの誤使用が防止される。そして、ラベル18の外観品位が保持される。
【0047】
なお、本実施の形態においては、全ての第1印写部183,183,…上に保護層182を形成する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、視認ができなくなるのを防止すべき事項が印写された第1印写部183に限定して、該第1印写部183上に保護層182を形成することにしてもよい。
【実施例】
【0048】
以下に好適な実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は、本実施例により、何ら限定されるものではなく、その主旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
【0049】
[実施例1]
実施例1として、前記実施の形態1に係る電池パック1と同一の構成を有する電池パック1を作製した。
ラベル8の基材層81として、合成樹脂フィルムが発泡PET(厚み25μm)からなり、裏面に粘着剤を厚みが20μmとなるように塗布したもの(合計の厚み45μm)を用いた。この実施例1の基材層81は、上述した三層構造を有する。
第1保護層82は、基材層にオーバープリントニス(商品名「FD OLマットOPニス MCS」、東洋インキ製造株式会社製)を印刷し、紫外線硬化することにより形成した。
第2保護層83は、前記オーバープリントニスにシリコーンを主成分とするスリップ剤(商品名「FD スリップ剤 R」、東洋インキ製造株式会社製)を略3%添加して剥離オーバープリントニスとしたものを印刷し、紫外線硬化することにより形成した。
【0050】
[実施例2]
ラベル8の基材層81として、合成樹脂フィルムが白PET(厚み38μm)からなり、裏面に粘着剤を厚みが20μmとなるように塗布したもの(合計の厚み58μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の電池パック1を作製した。
【0051】
[実施例3]
ラベル8の基材層81として、フィルムが白PET(厚み50μm)からなり、裏面に粘着剤を厚みが20μmとなるように塗布したもの(合計の厚み70μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の電池パック1を作製した。
【0052】
[比較例1]
実施例1と同一の基材層81に第1保護層82を形成したが、第2保護層83は形成しなかったこと以外は、以外は、実施例1と同様にして比較例1の電池パックを作製した。
【0053】
[比較例2]
実施例2と同一の基材層81に第1保護層82を形成したが、第2保護層83は形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の電池パックを作製した。
【0054】
[比較例3]
実施例3と同一の基材層81に第1保護層82を形成したが、第2保護層83は形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の電池パックを作製した。
【0055】
[性能評価試験]
実施例1乃至3、及び比較例1乃至3の電池パックを各10個作製し、以下の性能評価試験を行った。
性能評価試験は、各実施例及び比較例につき、10個の電池パックそれぞれに粘着テープを貼付して強く擦り付けた後、直角方向に瞬時に引き剥がし、基材層破壊の有無と、現象(ラベルが多層構造を有する場合に表層破壊が生じたか否か、ラベルの破れの有無、基材層の破壊は部分的なものであるか否か)とを確認することにより行った。その結果を表1に示す。「基材層破壊」は10個の電池パックのうち、少なくとも1個の電池パックのラベルが破壊した場合、「有」とし、10個ともラベルが破壊しなかった場合、「無」とした。
【0056】
【表1】

【0057】
表1より、ラベル8の基材層81に第2保護層83を形成した実施例1乃至3の電池パック1の場合、粘着テープが剥離しやすく、基材層81の破壊、ラベル8の破れ、及び基材層81が多層構造を有する場合の表層破壊が生じないことが分かる。比較例1乃至3の電池パックの場合、基材層が破壊されることが分かる。比較例1の電池パックの場合、全ての電池パックにおいて表層破壊が生じていた。比較例3の電池パックの場合、基材層の破壊は軽微であるが、基材層の厚みが厚く、強度が強い分、コシもあるため、ラベルとして用いた場合に、浮き及び剥がれが生じやすいという問題がある。
【0058】
以上より、第1印写部84,84,…の上側に第2保護層83を設けることにより、粘着テープ等が第2保護層83に貼着され、これを除去する場合に良好に剥離することができ、基材層81の破壊、ラベル8の破れ、及び基材層81が多層構造を有する場合の表層破壊が生じず、第1印写部84が良好に保護され、第1印写部84が良好に視認されることが確認された。
【0059】
なお、前記実施の形態1及び2においては、電池コア2の四側面に外装枠7を嵌合した場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、電池コア2をケースに収容した後、ラベルを電池コア2及び該ケースに貼着するものであってもよい。
そして、電池3は略直方体状を有する場合には限定されない。
また、前記実施の形態1及び2においては、電池3がリチウムイオン二次電池である場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、ニッケル・水素二次電池、ニッケル・カドミウム二次電池等の他の二次電池、又は一次電池であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る電池パックを裏側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る電池パックを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る電池パックのラベルを示す分解斜視図である。
【図5】図3のV−V線における模式的断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る電池パックを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電池パックのラベルを示す分解斜視図である。
【図8】図6のVIII −VIII 線における模式的断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 電池パック
2 電池コア
3 電池
4 保護回路基板
4a 保護回路実装部
4b 出力端子
5 水濡れ判定シール
6 基板ホルダ
7 外装枠
7a、7b 窓部
8、18 ラベル
8a、81a、82a、83a、18a、181a、182a 本体
8b、8c、8d、81b、81c、81d、82b、82c、82d、83b、83c、83d、18b、18c、18d、181b、181c、181d、182b、182c、182d 突設部
81、181 基材層
81e、81f、181e、181f ガイド枠
81g、81h、82g、82h、83g、181g、181h、182g 端部
82 第1保護層
83 第2保護層
83e、83f、182e、182f 窓部
84、183 第1印写部
182 保護層
9 上貼りラベル
10 第2印写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂又は植物性繊維を含む基材の表面に1又は複数の印写部が形成されたラベルを電池の一部に貼着してなる電池パックにおいて、
前記表面の少なくとも一の前記印写部の上に、剥離オーバープリントニスを硬化させてなる保護層が形成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記ラベルは、内外方向に重ね合わされる重ね合わせ部を有し、
前記保護層は、前記表面の、前記重ね合わせ部の内側となる部分を除外して形成されている請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記表面に第2の印写部を有し、
前記保護層は、前記表面の前記第2の印写部が形成される部分を除外して形成されている請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記表面に他のラベルが貼着されており、
前記保護層は、前記表面の前記他のラベルを貼着する部分を除外して形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の電池パック。
【請求項5】
少なくとも前記保護層と前記印写部との間に、オーバープリントニスを硬化させてなる第2の保護層が形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の電池パック。
【請求項6】
前記第2の保護層が前記表面の全面に形成されている請求項5に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−21029(P2010−21029A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180615(P2008−180615)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(597176832)三洋ジーエスソフトエナジー株式会社 (94)
【Fターム(参考)】